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良心と幸福の欠落を埋める愛~白夜行第3話

『白夜行』第3話、さよならの光

感動した! 素晴らしい! ちょっと気が早いけど、今回がドラマ全体の最大

の見せ場になるんじゃないかな。完成度の高さに拍手、拍手♪

ラストシーン、つい涙ぐんでしまってた顔が雪穂の一言で引きつってしまった。

「ありがとう、亮。最高の卒業祝だよ」。エッ、ありがとうなの?。。こうゆう部分

も含めて、亮司と雪穂っていう2人の異常な生き方を見事に描き出してた。

前回の記事で、「なぜ、こう生きなければならなかったのか」が分からないと書

いた。特に、なぜ自首しないのか、なぜ雪穂はこんな性格なのか、という2点

について疑問を投げかけておいた。その疑問に、真正面から答えてくれる話

だったし、色んな事を考えさせられる回でもあった。時間さえあれば、長大な

記事を書きたい所だけど、とりあえず間に合わせの記事で我慢しよう。ところ

で、『ロンド』に続いて皆さんに質問♪ 「さよならの光」って題名の意味は?

答はのちほど発表 (^^)

        

あらすじは以下の通り。最初の13分ほどは録画できなかったんだけど、あと

の理解には別に困らなかったので、悪しからずご了承を。

雪穂(綾瀬はるか)に嫌がらせをしてた都子(倉沢桃子)に乱暴して、自分を

脅迫してた菊池(田中圭)に罪をかぶせようという亮司(山田孝之)の計画は

上手くいったかに見えた。しかし昔から2人を疑っていた刑事の笹垣(武田鉄

矢)はだまされず、都子に被害届を出させた上で、7年前の殺人を蒸し返そう

と密かに狙っていた。犯人は罪に罪を重ねていて、社会のためにも本人のた

めにも捕まえなければならないという笹垣の話に、都子の心は揺れていた。

事件の真相に気づいてる松浦(渡部篤郎)のもとで売春までしてた亮司は、

身辺に迫る危険と、あなたがこけたら私もおしまいだという雪穂の言葉を考え、

犯行に使ったカメラなどを川に捨てる。証拠と共に良心を捨て去るはずだった

が、愛用のハサミだけは捨て切れなかった。

一方、雪穂は、優しく都子の相談にのるフリをしながら、被害届を出さない方向

に誘導する。捕まっても犯人はすぐ出てきて逆恨みするかも、とか言われると、

都子も怖くなり、結局被害届は出さないことにする。それを聞いた笹垣は、あの

西本雪穂が唐沢に名前を変えて都子をそそのかしたことに気づき、桐原の事

を雪穂にたずねるが、雪穂は他人のフリをして切り抜ける。

亮司は先の見通しの暗さについて松浦にボヤいていたが、松浦はウザイと言っ

て、冗談めかして自首か自殺を勧める。その時、売春仲間の友彦(小出恵介)

が携帯で、相手の女が途中で死んでしまったとあわてて連絡して来た。女の夫

は暴力団員だし、友彦が警察に行くと松浦も亮司も困る。何とかするから、と

言って一人になった亮司は、雪穂を電話で呼んで相談。もう2人で自首しようと

言う亮司に対して雪穂は、目の前の死体と亮司がセックスすればいいという

事をほのめかす。友彦と違う血液型の精液を残せば、友彦は無関係になって、

とりあえずこの場をしのげるという考えらしい。これには亮司も激怒、バカ女!

と雪穂を罵倒して一人で部屋を出て行こうとすると、雪穂は一緒に行くと同調。

2人で警察に自首しに行くかのように見えたが、雪穂は最後にやりたい事が

あると言って、亮司と一緒に教会に侵入。キリストを侮辱し否定する言葉を、

落書きや言葉で表し、十字架を投げるなどして教会をメチャクチャにする雪穂。

その絶望や孤独の深さを目の前にした亮司は、もう二度と雪穂がこんな事を

しなくてもいいよう、二度と手を汚さなくていいよう、自分が頑張ることを決意。

神ではなく唐沢雪穂に誓う。そしてホテルに戻り、死んだ女とセックスして、

精液と共に良心の全てを死体の中へと捨て去った。

昔の事件を蒸し返そうとする笹垣が警察内で冷たく扱われてる頃、亮司は

松浦と一緒に、自分が海で死ぬフリをする計画を立案。高校の卒業式の夜、

亮司はそれとなく母・弥生子(麻生祐未)に別れを告げ、亮司の服のポケット

に死亡届が入ってるのを見た弥生子も、涙で息子を死の航海へと送り出す。

翌日、亮司は図書館の司書・真文(余貴美子)にも卒業証書を手渡して別れ

を告げ、立ち去る。入れ違いに入ってきた雪穂が棚の『風と共に去りぬ』を

開くと、亮司からのメッセージがあった。ヒロインのスカーレットを愛したレッド・

バトラーみたいに、悪知恵で金を稼いで雪穂を幸せにしたい、不公平な神

が雪穂にくれなかったものを全て自分があげたい。それを読んだ雪穂は駅

に向かい、遠い世界へ旅立とうとする亮司を抱きしめてキス。これからも、亮

がここにいることを私は知ってると涙で語りかけた。。。

         

初回と同等かそれ以上の核心部になりそうな第3話。その中でもポイントなの

は、もちろん教会のシーンだろう。2人で自首して罪をつぐなうはずだったのに、

状況が一転。愛する雪穂のために、亮司は多くの罪を背負って生きる決意を

した。もちろん、自分が亮司の立場だったら、暴れてスッキリした雪穂と一緒に

警察へ行く(と思いたい)。ただ、この2人の異常な生き方は、それなりに筋が

通ってる。理解するときの支えになるのは、良心への再考だ。

まず、古くて新しい問いを思い出してみよう。「良心はどこから来るのか」。人を

殺してはいけない、罪を犯してはいけない、既に犯してしまった罪は償わなけれ

ばならない・・・・・・。こうした考えは元々全ての人間の心にあるっていう見方と、

社会の中で生きていく中で育まれるものだっていう見方、2つが鋭く対立する。

ただ、少なくとも良心のかなりの部分が社会の中で育まれるものだっていう点

は確かだろう。良心の形成に大きな役割を果たすのが、人間との関わりや、

神(あるいは宗教)だ。だけど雪穂の場合、特に大事な幼い頃に、人間との関

わりに恵まれなかった。父は不在、荒れた生活をするばかりか娘の身体を売

り飛ばす母、それを買う亮司の父、自らの母親殺し、自殺未遂、事件後に冷た

い仕打ちをしてきた周囲の人々。一方、預けられた施設で出会った神やキリ

スト教も自分を救ってくれなかった。「神の前には、みな平等」、信ずる者は

救われる」、「求めよ、されば得られん」、すべてウソだった。死のうとした自分

を死なせてもくれなかった。聖母マリアの前で施設の人にイタズラされそうに

もなった。神や宗教に頼る方がおかしいって考えは、運良く育って自立できた

人間のものにすぎない。極度に不運で不幸だった雪穂が、最後にすがった

ものにも救われなかった時、絶望や怒りや軽蔑をぶつけたくなるのは自然な

ことだろう。宗教的に正しいかどうかじゃなく、人間的にフツーのことだ。

良心の形成に失敗し、そばにいない亮司への思いだけを大切にしつつ、自分

一人で必死に独自の人生を築いてきた雪穂。結果的に、世間一般の基準か

らは大きくはずれた、「間違った」人間になってしまってる。でも、そんな雪穂の

悲惨な人生を理解し始めた亮司が、神や世間の代わりに自分の力で幸せに

してやりたいと思う気持ちは決して分からなくはない。自首して罪をつぐなった

からと言って、「正しい」人間へと生まれ変われるかどうか分からないし、幸せ

と出会えるかどうかも分からない。それに対して、いま自分が一人で多くの罪

を背負ってしまえば、少なくとも表面的な幸せを雪穂に与えてあげられる。こう

ゆう亮司に対して、ヒーロー気取りのワルとか、犯罪者の自己陶酔とか言って

嘲笑したり批判したりするのは簡単で普通のことだけど、2人のこれまでの人

生や状況全体を見渡した時、決して理解できなくはないはずだ。良心と幸福に

恵まれなかった女性への歪んだ愛について、想像するくらいはできるはずだ。。。

              

個人的には、もうこれで後は見なくてもいいような気さえする。それほど納得

できる見事な回だった。でも、亮司の歪んだ愛が裏切られた時にどう変化する

のか、雪穂がどんな風に裏切っていくのか、見てみたい気もする。って事で、

来週も見ようかな♪

     

P.S.「さよならの光」はどうしたんだ、って? いやいや、ごもっとも♪ もち

    ろん、色んな意味を読み取れる。旅立つ亮司へのキスに込められた

    愛、別れのシーンの薄暗い太陽の光、送り出す母の涙の輝き、雪穂

    の部屋に新たに飾られた奇妙な太陽(?)の赤黒さ、通常の人生へと

    最後の別れを告げた教会の薄暗い光、飛び散ったステンドガラスの

    きらめき、等々。ここまではフツーの見方。

    だけど、ラストシーンを見ててハッと気付いた。雪穂が亮司に渡そうと

    思って持ってきた、卒業祝のペンケースみたいな物についてた「R&Y」

    の刺繍。録画で一時停止すると、「RAY」に見える。「RYOJI AND

    YUKIHO」の頭文字も「RAY」、つまり「光」。要するに、「さよならの光」

    って言葉は、「亮司と雪穂のさよなら」って意味を含んでるってこと。

    いやぁ、自己満足の極致!♪

            

cf.愛がもたらす夜の太陽~白夜行第1話

   太陽の下を2人で歩くために~白夜行第2話

   薄明かりに共生する命の温かさ~白夜行第4話

   無条件の愛という困難~白夜行第5話

   父と母~白夜行第6話

   昼間の幽霊~白夜行第7話

   コントロール不能な欲望~白夜行第8話

   殺すことと生かすこと~白夜行第10話

   救われない生の終焉と存続~白夜行最終回

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コメント

初めてお邪魔します。白夜行にハマってしまったものとして、テンメイさんの解釈は大変奥深く興味深く拝見しました。このドラマ、いつも見終わったあとは放心状態になってしまい、何かが頭の中でぐるぐると渦巻いているのですが、言葉に出来ずにいます。しかし、テンメイさんの感想はまさしく私にとってどんぴしゃで何か溜飲を下げるような心地よさがあります。
ドラマ自体も原作にはない部分を描いている、という点で大変難しい作りだと思いますが、セカチューから森下桂子さんの脚本作りを尊敬してるものとして、これはこれで素晴らしい解釈だと思っています。東野さんも「毎回面白くドラマを見ている。」とおっしゃっていますね。嬉しいことです。
来週は雪穂が亮司以外の男性に恋心を抱く?!ますます雪穂の悪女ぶりが浮き彫りになるのでしょうか。その時の亮司の反応も気になります。大変重く苦しいドラマですが、見ずにはいられませんね。ではまた感想をお待ちしてます。

投稿: ドラマファン | 2006年1月28日 (土) 11時37分

こんにちわ!
テンメイさん
3回目の書き込みさせて
いただきましす♪

光について、、最初から最後
まで読んじゃいました。
さすが!ですね。

投稿: amuk | 2006年1月28日 (土) 12時03分

>ドラマファン様

はじめまして。コメントどうもありがとうございます♪
気に入って頂けたようで、幸いです。
原作はドラマ終了まで読みませんが、多分脚本で
かなりの解釈=改釈が入ってるんだろうなとは想像してます。
出演者の熱演だけでなく、脚本家を含めたスタッフの方々の
見事な仕事ぶりに、心から敬意を表したいですね。
来週の雪穂の裏切りには、今から腹を立てつつ期待してます(^^)

投稿: テンメイ | 2006年1月28日 (土) 21時34分

>amukさん

毎度、TB&コメントありがとうございます。
光の話とか、半分ウンチク遊びで書いてますので、
軽いノリで楽しんで頂ければ幸いです♪

投稿: テンメイ | 2006年1月28日 (土) 21時40分

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