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NHK『永平寺』~身体の行動形式

数年前から、昔の優れた番組を夜中に再放送してる『NHKアーカイブス』。

今晩は1977年3月3日放送のNHK特集『永平寺』。すごく興味のある世界だ。

継続して記事を読んでくださってる方ならお分かりだと思うが、ランニングにせよ

自転車にせよ、私が走る時には、半ば遊び、半ば修行の感覚でやってる。大体、

誰もいない真冬の夜中の公園でのランニングとか、真冬の深夜の自転車とか、

単なる遊びからは程遠い行動だ。「スポーツ」は、語源的には「楽しむ」って意味

らしいから、私にとっての走りとは、単なるスポーツ以上のものと言ってもいい。

修行としての走り。したがって、楽しくなくても走る。もっと言えば、人生は必ず

しも楽しくなくてもいいと思ってる。最近は、楽しさ、面白さ、気持ちよさとかが

やたら重視される世の中になってるけど、楽しいのも人生、苦しいのも人生。

苦しんだからこそ楽しめるって側面もある。価値があるのは生きること自体で

あって、楽しむことだけとは限らない。極端な話、修行だけの人生なんてのも、

当然ありだと思ってる。修行と言えばやはり、永平寺とか山伏とか千日回峰行。

と言うわけで、今晩の『永平寺』を真面目に見たところ、期待以上に素晴らしい

番組だった♪

                  

福井の山奥にある、曹洞宗大本山永平寺。鎌倉時代に道元が開いたっていう

話は、歴史の授業で習う基本事項だ。でも、その山門に「永平寺」の文字など

ないって話は習ってない。単に「日本曹洞第一道場」と書いてるだけだ。つまり、

修行僧のための道場の寺。番組は、雪山に囲まれた真冬の道場で修行する

150人の雲水の日常生活を丹念に追いかける。平均年齢23.5歳、平均滞

在期間2年。ほとんどが大卒って話は意外。彼らは、朝4時半から夜9時まで、

分刻みで定められた厳しい生活を送る。食事は極端に質素な精進料理だけ

で、最初はみんな、脚気とかで体調を崩すとのこと。ところが、次第に身体が

順応してしまうって所は興味深い。生活全体がとにかく静かで、番組もそれを

尊重して極端に静かだ。ナレーションや会話は最小限に抑えて、あとは字幕。

最近はうるさい番組がほとんどだから、この静寂さはとても心地よい。1日の

うち、朝8時からの「廻廊掃除」の時間だけは、ドタバタと音を立てていいとの

事。わずか15分で済ませる全速力の掃除で、エネルギーを発散させるのだ

そうだ。禅宗の寺でさえ、やはり身体的発散の重要性が認識されてるわけか。

さて、肝心の修行の内容だけど、道元と言えば、「只管打坐(しかんたざ)」。

悟りとか関係なく、ただ単に座り続けるって話は、授業で習った覚えがある。

だけど、この番組を見たところ、曹洞宗の本質はむしろ「威儀即仏法」にある

と感じた。形を整えることが即ち仏法。坐禅や読経だけでなく、食事、掃除、

その他すべての行動を、750年前から続く厳密な作法に従って行うことこそ

重要だってこと。作法とは、基本的には身体的な行動形式であって、それに

従うことは、普通の感覚だともちろん不自由だけど、その表面的な不自由さ

を超えた次元にある特別な価値が示唆されてるわけだ。

                   

ここで改めて、ランニングや自転車ってものについて考えてみると、どちらも

全く規則的な身体行動を長時間続ける点においては同じだ。球技や格闘技

やダンスなどとは全く違う、単調な運動。「何がいいの?」っていう疑問は、

おなじみのものだけど、これに対して、気持ちいいから走ってるだけだとか

答えるのは、事の半面しか見てないような気がする。それ以外に、気持ち

いいとか楽しいとかいう次元を超えた所にある特別な価値を、身体全体が

無意識のうちに感じ取ってるって側面があるんじゃないだろうか。

この話は当然、「なぜ山に登るのか?」とか、「なぜ生きるのか?」といった

問題ともつながるものだけど、今日のところはもう時間切れ。番組内での

禅問答なんてのも面白かったんだけど、また今度ってことで。野ブタの記事

に示されてるように、長々と深く考えるのは大好きなので、逃げではない。

                  

ちなみに、「大好きなクリスマス・ソング♪」なんて記事を書いたくらいだから、

仏教徒じゃないので念のため。神社の初詣もちゃんとするしね (^^)

あと、突っ込み系の人間としては、この番組も当然、突っ込みを入れながら

楽しんでた部分があるんだけど、不謹慎だから書き込みは自粛♪

         

P.S.早速、続編の記事を追加 : ・NHK『永平寺』~禅問答

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コメント

検索から来ました。
昨晩の『永平寺』をご覧になって、かつて永平寺にいた者にとって、こういう感想を書いてくださるのは、非常にうれしいことです。
「威儀即仏法」に注目されるのは、曹洞宗の教えの重要な部分をおさえているように思います。

TBいたします。

投稿: ぜん | 2006年1月 9日 (月) 17時04分

>ぜん様

はじめまして。TB&コメントありがとうございます♪
まさか現職の禅寺の住職さんから応答を
頂けるとは、夢にも思っていませんでした。
しかも、実際に永平寺で修行されたとの事。
単にTV番組だけ見て書いてる者にしてみれば、
羨ましいやら、恥ずかしいやら・・(^^ゞ
非常に興味ある世界なので、時々そちらのHPへ
勉強しに行きたいと思います♪

投稿: テンメイ | 2006年1月 9日 (月) 21時31分

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» 永平寺 [あれこれ随想記 ]
昨夜のNHK総合のアーカイブスで放映された『永平寺』をビデオ録画し、今日、子どもたちと一緒に見ました。{/tv/} 真剣な顔をしてみていました。朝課と坐禅が興味深かったようです。 時々、質問がきます。 「お父さんも叩かれたの?」「そうだよ、眠っていたり、考え事をするとね」 「おかゆで腹がへらないの?」「おなかはすくよ」 いずれ、永平寺に行くつもりでいるようです。{/face_yaho/} 昭和�... [続きを読む]

受信: 2006年1月 9日 (月) 17時12分

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