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山中でけもの化する人間~けものみち第1話

『けものみち』第1話、「裸の女王」

今クールに記事を書くドラマの候補作4本のうちの1つ、松本清張原作、米倉

涼子主演『けものみち』。もう一つの候補作『白夜行』と放送時間が重なってる

ので迷った。けものみちだけは既に話を知ってるし、『黒革の手帖』の成功を

露骨に利用してるのも引っかかって、パスしようかとも思った。でも、かなり面白

いストーリーなのは間違いないし、「エロ・カッコイイ」女を目指すっていう米倉も

興味があったので、結局録画で両方見ることに。実際、複雑でドロドロした人間

関係を丹念に描くドラマになってて、「裸の女王」ってタイトルほどのエロさはない

けど十分面白かった♪ 来週以降も記事を書き続けるかどうか分からないけど、

とりあえず1本、お試し記事として書いとこう。
           
              

あらすじは次の通り。鎌倉の料亭旅館『芳仙閣』の仲居として働く魅力的な女・

成沢民子(米倉涼子)は、脳梗塞で寝たきりになった夫・寛次(田中哲司)をかか

えて苦しい生活を送りながらも、一流のジュエリーデザイナーを夢見て必死に

頑張ってる。外で働いてる間の夫の面倒は、家事手伝いで雇った女子美大生・

奈々美(上原美佐)に任せてるが、酒びたりで嫉妬深い夫は民子が家に帰ると

色々とからんでくるし、奈々美にもこっそり金を渡して関係をもってそうだ。また、

ジュエリーデザイナーとしての成功に至る道筋も、なかなか見えて来ない。出口

の見えない辛い状況に追い込まれている民子に、旅館の女将・初音(東ちづる)

は一人の男を紹介する。一見紳士的だが怪しげな雰囲気を漂わせる、ニュー

ロイヤルホテル総支配人・小滝章二郎(佐藤浩市)。彼は民子を、行き先の見え

ない乗り物に乗ってみないかと誘い、その条件としてこれまでのしがらみや過去

をすべて消し去るように指示する。そこで民子は、家の近所で続発していた放火

を模倣。自宅に火をつけて身体の不自由な夫を焼き殺し、アリバイ工作を小滝

が手伝う。その後小滝は、ホテルの常客である弁護士・秦野(吹越満)を通じて

民子を政財界の裏の大物フィクサー・鬼頭(平幹二郎)のもとへ愛人として送り

込む。以前の愛人らしき女・米子の案内で、民子は布団に横たわる鬼頭と顔合

わせ。金と権力は持ってるが、年老いた上に脳梗塞で不自由な生活を送る鬼頭

の楽しみは、女や鯉など、美しいものを可愛がること。ただし気に入らなくなった

女は消してしまうと民子にほのめかした鬼頭だったが、大人しく言いなりになる

かと思った民子は、大胆にも鬼頭に、力の証拠を見せて欲しいと希望。そこで

鬼頭は、裏工作によって民子にジュエリーデザインコンテストの大賞を取らせ、

民子は一躍華やかな舞台に躍り出る。そんな民子に疑惑を抱くのが、たたき上

げの中堅刑事・久恒(仲村トオル)と、元・家事手伝いの奈々美。また、小滝、

秦野、米子らも、それぞれ複雑な思いと打算を内に秘めている。金・権力・女・

名声、欲望渦巻く人間ドラマが幕を開けた。。。

                        

「けものみち(獣道)」を手元の『集英社 国語辞典』で引くと、「シカ・イノシシなど

の獣が通ることによって、自然につくられた山中の小道」という普通の説明(広

辞苑その他と同様)の後に、一つだけ用例が載っている。「──に迷い込む」。

テレ朝のHPには、「山で路に迷った人間たちは、けものみちを歩道と錯覚し思い

がけない山奥に迷い込んでしまうことがある」と書かれている。つまりこの作品は、

「けもの」の歩みを描いてると言うより、「人間」がけものみちを通って山奥に迷い

込み、結局けものになってしまう様子を描くものだ。

けものみちを主人公・民子の前に用意したのは、小滝、秦野、初音、米子ら。

彼らもけものだろうけど、山奥の大きなけものは鬼頭。しかし、本当に怖い存在

は、けものではなく山。見通しが効かず歩きにくい山があるからこそ、人はけもの

みちへと迷い込むのだし、けものも隠れて生き延びることができる。この山とは、

もちろん、わざわざ出かけたり登ったりするものではなく、我々が普段生きてる

この人間社会、特にその裏側のことだ。番組冒頭で、この山を象徴してたのが

廃墟。そこで小滝は、民子の前で十字架を倒し、それに埋め込まれていた宝石

をえぐり出して遠くへ投げ捨てる。表社会の「人の道」を無視し、光り輝く華やかな

ものと決別。ところが、小滝が偽物として、あるいはどうでもいいものとして捨てた

宝石を、民子は、本物だったかも、と言った。つまり民子は、けものみちを通って

山奥へ進む一方で、表社会の光あふれる舞台とも関わり続けようとする。ここが、

小滝らにとって計算外だった所だし、山奥に潜んだままの鬼頭との決定的な違い

でもある。

              

脳梗塞の夫との苦しいながらも普通の生活を捨てて、脳梗塞の老人とけものみち

を歩むことを選んだ民子。これからどんな道を通って、どんなけものになるのか、

山奥と人里の往復はどう行われるのか。また、他のけもの化しつつある人間たち

はどう動くのか。来週以降が楽しみだ♪ けものみちはどこにでもあるし、人間は

誰でもある程度はけもの。これは決して単なるフィクションではない。。。

                                         

P.S.テレ朝HPの「Kito’s house(鬼頭邸)」は、プロデューサー日記としては

    かなり面白くてヒネリが効いてる。こちらの今後にも期待♪

    

cf.欲望と力の衝突~けものみち第2話

  本物と偽物~けものみち第3話

  自力の意図的なけもの化~けものみち第4話

  人間的なものへの執着~けものみち第6話

  けもの人間の死~けものみち第7話

  リアルタイムの感想~けものみち第8話

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