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誤解と対立の爽やかな克服~『医龍』第3話

お見事! また今回も、素晴らしい出来栄えだ♪ 「ウチに帰ろう、パパ」

て抱き合うシーンは、録画で見直してもウルウルしてしまう。美しい。。。

このドラマはスーパードクターの勧善懲悪物語なんかじゃなく、医療の世界

のヒトクセある面白い連中たちが、一つの目的に向かって織り成す人間模様

を真正面から丁寧に描く作品だ。登場人物たちの向こうには、キャスト&ス

タッフが、優れた作品の制作っていう一つの目的に向かって必死に協力し合っ

てる姿も透けて見える。こうゆう優れた作品に対しては、しっかり拍手してエー

ルを送るのが視聴者の務めってもんだろう。。

     

今回も、あらすじは公式HPに詳しいので省略。すぐ本題に向かおう。スタッ

フの仕事の話を先に簡単にすると、遅まきながら今回、音楽が『白夜行』に

似てることに気付いた。これで担当者が別人なら盗作問題になりそうだなと

思って調べたら、やっぱり同じ! 二人のうちの一人、河野伸が、白夜行の

音楽を一人で担当してた人だ。両作品とも、音楽で泣かせるテクが絶妙♪

   

映像も、例えば鬼頭(夏木マリ)加藤(稲森いずみ)がやり合う所なんて凄

く手間のかかったカットだったし、藤吉(佐々木蔵之介)が暗い病室で朝田

(坂口憲ニ)・ミキ(水川あさみ)・ボクちゃん(小池徹平)に語る場面も、特に

陰影が上手くて、そこから朝の明るい景色や光へと一気に切り替えたのも

キレイだ。藤吉が倒れたシーンで、わざと少しだけカメラを傾けて(倒して)

るのも芸が細かい。さらにラスト近くの、藤吉が娘の樹里ちゃんを廊下で抱

き上げるシーンも、望遠レンズか何か分からないけど美しい絵だし、最後に

朝田と見せかけて霧島(北村一輝)を登場させるシーンも問題なかった。

     

スタッフに負けず、もちろんキャストも、みんないい仕事をしてる。前回少な

かったお笑い、今回はやや多め。ボクちゃんや木原(池田鉄洋)の軽いボ

ケや、救命手術の横でさぼって寝てた荒瀬(阿部サダヲ)、手術前に「音楽」

なんて要求をした霧島とか、あちこちでニヤッとさせてくれた。また、ミキの

出番が増えて、全体に少し明るさと華やかさが出てるし、野口(岸部一徳)

が失敗した医師に向けて「君、きびだんご、好き?」なんて言うシーンもいや

らしくていい。

         

そして、今回の主役の2人。朝田=坂口は相変わらずハマり役だけど、藤

吉を演じる佐々木はホントに上手い。さすが、あちこちドラマに出まくってる

だけある。今回は要するに、藤吉が誤解対立を克服してチーム・ドラゴン

仲間に加わるお話で、全体の骨格は、2人の最初の対話で巧妙に先取り

されていた。

  藤吉「お前ら外科医は、メスを入れることだけが治療だと思っている。

      患者を生身の人間だと思っていない。」

  朝田「生身の人間だという事を忘れて、外科医は初めて人を切れる。

     ・・・あんた、医局じゃ出世しないタイプだな」

  藤吉「お前のような底の浅い外科医に、バチスタだろうが何だろうが、

     オレの患者は一人として渡さん。絶対にな」

      

細かく見てみよう。最初の藤吉の台詞(あるいは誤解)は、2つの文から成っ

てる。最初の文には、朝田はコメントせずに、結局自分の行動で否定した。

つまり朝田は樹里ちゃんにメスを入れなかったし、それは藤吉と同じ考えだ。

続いて、2番目の文も、藤吉がちょっと言い過ぎ。ただ、朝田も説明不十分

で、余計な対立を招いてる。つまり、外科医は生身の人間を救うために切

るんだけど、切ってる最中にあまり生身を意識しすぎるとやりにくいってこと

を、丁寧に伝えれば何も問題はないはずだ。さらに、朝田の「あんた・・・」

て台詞は、ハズレ者同士の仲間意識の表れ。決して単なる皮肉じゃない。

        

誤解や対立を超えて仲間になることを先取りした台詞の直後、藤吉の最後

の言葉も面白かった。「オレの患者は・・・渡さん」に対して、ドラマは巧みな

展開で応じてる。つまり、「オレの患者」じゃなく「オレ」自身、藤吉自身を患

者として渡した結果、2人は仲間になる。ただし、藤吉が「オレの患者」を渡

すわけじゃなく、<お前の患者>を手伝うって形で。

      

こう考えると、最初に挙げた二人のやり取りが、かなり練り上げられた台詞

だってことがよく分かるはずだ。最後に、打ち解けた直後の藤吉の台詞も

引用しておこう。これも、適度なライバル意識が爽やかで、別れ際にニヤッ

とさせる上手い捨て台詞だった。

  「バチスタは難しい手術だ。外科医だけに任せる訳には行かない。

   それに、術後の治療計画を立てるプロが、チームに必要なんじゃない

   のか。患者は生身の人間だからな。短い付き合いになるが、お前のよ

   うな奴とは、それぐらいが丁度いい」。。。

       

藤吉は優れた内科医だけど、誤解や間違いもあった。そして朝田も、「腐っ

た日本の医局に、優秀な人材などいない」なんて言いつつ、医局の人間と

次々に連携するし、自分自身も医局に所属して、助けられてる。このドラマ、

善良なスーパードクターが悪い医局をやっつけるなんて単純で平凡な構図

になってないことは、もはや明らかだろう。

来週以降が、ますます楽しみになって来た。。♪

        

P.S.今回活躍した除細動器、最近はマラソン大会にも準備されるようになっ

    てて(AED:自動体外式~)、ランナーとしてはホントにありがたいことだ。

    心臓の細かい動き(VF:心室細動)を取り除いて、正常な動きにする

    れもの。使い方くらい、マスターしときたいな。ちなみに、番組で使われ

    たのは、医師が扱う植込み型(ICD)。それを直接心臓に当てる荒業を

    朝田はやってのけた。

         

cf.権威的秩序vs破壊的天才~『医龍』第1話

   完成度の高い本格派~『医龍』第2話

   君を必要としている人はいる~『医龍』第4話

   氷の涙~『医龍』第5話

   極限状況における人間の姿~『医龍』第6話

   屈折した愛と良心~『医龍』第7話

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