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君を必要としている人はいる~『医龍』第4話

今回はGW中なので、旅先でサラッと見ただけの記事。いつもみたいに録画

でチェックし直すことができなかったので、悪しからずご了承を。。

    

最近、ある医療関係者と話す機会があった。仮にAさんとしとこう。私自身も

医療にはかなり興味を持ってるので、話はかなり突っ込んだ内容に。途中

でAさんに、「この話を『ある医療関係者の話』としてブログに載せてもいいか

と尋ねると、とんでもないとの事。ところが、後でもう一度尋ねると、十分な配

慮を条件にOKの返事。そこで、いつも以上に個人情報保護を徹底させて、

かなりボカした話を無難に書くだけにしよう。

      

Aさんは現役のベテラン。周りには、医療関連のドラマをバカにする人が多

いし、自分も色々と変に感じるけど、やっぱ気になるから時々見てる。『白い

巨塔』、『1リットルの涙』、『医龍』、etc・・・。医龍で言うと、前回の朝田の除

細動器の使い方とかムリがあるけど、伊集院が少しずつ成長する様子は

好感もてる。医療全体の中でも、医師には問題が目立つ。朝田がやったよ

うな、教授の間違いをただすなんてのは全く論外で、そんな事したら本当に

飛ばされる。特に外科は、職人の世界に近くて上下関係が厳しい。見方を

変えると、下の方の医師は上からニラまれつつ、全く腕が未熟なまま、生身

の患者相手に職能を身に付けていくことになる。朝田や財前みたいな手術

のイメージトレーニングは、忙しくてやるヒマがないだろう。ドラマみたいな総

回診は減りつつあるけど、まだ部署によってはやってる。

製薬会社から医師への援助は、公立だとかなり前から激減してるけど、私立

ではまだまだ健在。外科の中だと、心臓外科より脳外科の方が難しくて上っ

て感じ。手術の様子を他の医師が(勉強のために)見るのはフツーだけど、

ドラマみたいに立派な見学環境は、自分の所にはない。麻酔に関しては、荒

瀬は7つで必ず「落とす」って話だけど、3つで落ちるのも珍しくないし、速さだ

けじゃなく身体の機能全体のコントロールが腕の見せ所。医療の問題点を内

部告発するシステムは、自分の所ではやっと作り始めた段階。ただ、患者か

ら担当医師への苦情については、患者→看護師→看護上層部→医師上層部

→担当医師という迂回ルートで伝達可能になってる。。

   

もちろん、Aさんの話が日本の医療の現状だなんて言うつもりはない。ただ、

直接聞いた関係者の話の一例として掲載しただけ。いずれにせよ、このドラ

マは単にフィクションとして楽しんでる訳じゃない。いつでも、現実への視線

を保ちつつ見てるってこと。

      

さて、今回の医龍。詳しいストーリーは公式HPにおまかせ。超簡単なあらす

じは次の通り。野口教授(岸部一徳)が関わってる心臓ペースメーカーに問

題があって、患者が何人も倒れる。でも、担当の講師・沖(袴田吉彦)は見て

見ぬフリ。朝田(坂口憲ニ)がデータをまとめて野口に突きつけると、意外に

もあっさり野口は指摘を受け入れ、自分の代わりに沖を地方へ飛ばす。実

はその裏には、加藤(稲森いずみ)がついにバチスタ患者を用意したという

事情が。つまり野口は、朝田に従ったと言うよりも、朝田と加藤にバチスタを

成功させて自分が出世する道を選んだようだ。そんな中、ミキ(水川あさみ)

藤吉(佐々木蔵之介)らの助言を受けた伊集院(小池徹平)は、チーム・

ドラゴンへの参加を朝田に申し出る。一方、朝田は、好条件で引き抜きの話

を持ってきた鬼頭(夏木マリ)に対し、麻酔医・荒瀬(阿部サダヲ)が欲しいと

要求した。。

     

個人的に印象深い思い出がある。まだ18才の頃、ある年上の友人と、「自

殺したい人を止めるにはどうすべきか?」って話になった。私が、本人の生き

方の事ばかり考えてる時、その友人は「私はあなたに生きてて欲しい」と伝え

るのが一番じゃないかと言った。今なら普通に感じる答だけど、まだ「ボクちゃ

ん」って感じだった私にはインパクトがあった。他人から必要とされることの重

要性。難しく言うなら、自己の欲望と他者の欲望の密接な関連性。もちろん、

上の言葉を伝えるには、それなりの人間関係が前提となるし、タイミングや話

し方とかも重要となる。。

      

今回の『医龍』のテーマも、まさにそんな話だ。「ボクちゃん」が、生き方に自

信を持てず、チームへの参加も迷ってる時、最後にプッシュしたのは朝田の

「お前が必要だ」っていう言葉。でもその前に、ミキがあらかじめ、臆病さこそ

が一番重要だと伝えて、伊集院を「あるがままの自分」への肯定へと導いて

た。また藤吉は、誰かのためなら人は強くなれる、君を必要としている人はい

る、と伝えていた。さらに、何人かの患者が心を込めて、伊集院への感謝や

信頼を表していた。

     

今回の話は、そうした様々な人間関係の中で伊集院の心が動いていく様子

を中心に描いたものであって、若くて優れた医師が年配の悪い医師をやっつ

けるヒーロー物語なんてのは、全く枝葉の問題にすぎないか誤解にすぎない。

そもそも、悪い医師を動かしたのは、正義じゃなくて単なる打算にすぎない。

朝田のカンフーみたいなイメージトレーニングは、視聴者の気晴らし用のサー

ビス映像程度のもの。『クロサギ』の黒崎の裸体と違って、女性の視聴率向

上を狙ったわけでもないだろう。

ましてや、ペースメーカーがあの程度の微小電磁波で深刻な事態を引き起こ

すだろうか、なんて疑問は全くの的外れ。もちろん、最後のお断りのテロップ

は誤解を防ぐために必要だろうけど。。

        

という訳で、今やすっかりお気に入りの『医龍』、全体的にますます面白くなっ

てきた♪ ミキや加藤と霧島(北村一輝)の関係は? 荒瀬を初めとして残り

のチームメンバーはどうなるのか? 木原(池田鉄洋)はあの笑える凡人キャ

ラを続けるのか? そしてバチスタの行方は? 来週以降の展開に期待!☆

   
それにしても、改めて考えさせられる。

自分を必要としている人なんて、本当にいるんだろうか。。。

     

cf.権威的秩序vs破壊的天才~『医龍』第1話

   完成度の高い本格派~『医龍』第2話

   誤解と対立の爽やかな克服~『医龍』第3話

   氷の涙~『医龍』第5話

   極限状況における人間の姿~『医龍』第6話

   屈折した愛と良心~『医龍』第7話

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コメント

こんにちは。
満足しているドラマとおっしゃるだけあって、
レビューで書かれることも内容が深いですね。
実体験の話や本質へ迫る話で考えさせられました。
単なるフィクションで済ませられない要素も多いですよね。
見応えはあると思います!

投稿: ads(あず) | 2006年5月 7日 (日) 12時02分

>あずさん

こんにちは。
ちょっと重いかな、と思いつつ書きましたが、
そう言って頂ければ嬉しいですネ♪
たかがドラマ、されどドラマ。
その場で軽く楽しめばいいって考えもありでしょうが、
面白くアレンジしたノンフィクションみたいな
感じで、現実的に受け止めたいと思ってます。

投稿: テンメイ | 2006年5月 7日 (日) 13時24分

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