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構造の認識、意味の解釈~『サプリ』第10話

素晴らしい! 前回、制作サイド、特に脚本家の金子ありさを絶賛したけど、

今回はさらに感心した♪ これは見事な技、まさにアートだ。

諸々の事情で、素晴らしさに気付くのがちょっと遅過ぎたかも知れないな。

いずれ時間が出来たら、この作品は第1話から見直してみたい。作品を評

価する際には、その作品を信頼してるかどうかが大きく関わってくる。人間

を評価する時と同じだ。サプリが信頼できる作品となった今なら、当初の話

の見え方も大きく変わることになるだろう。。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は前回以上に丁寧に見ていきたいので、あらすじは4行で済ませよう。

勇也(亀梨和也)は中途採用試験の1次には合格したものの、2次の面接

で社会人としての未熟さを指摘されて不合格に。ミナミ(伊東美咲)荻原

(瑛太)と共に気持ちよく北京に行けるよう、自分から辞表を出して離れて

行った。ミナミはあわてて探し回るものの、見当たらず。。。 

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回一番大きい出来事は、もちろん勇也の辞表&別離だろう。辞表までは

考えてなかったけど、一度離れるのは全く自然なこと。と言うのも、最終回

を前にしたドラマの常套手段だからだ(外的な自然さ)。第7話ラストの好き

好きチューから大きな転回がなかったことを考えても、ごく自然な流れで、

もう1回興味を引きつけようって考え。それ自体は特に良くも悪くもないフツー

のことだ。ただ、その具体的な組み立て方が絶妙だった。

      

まず、別れを印象づけるラストシーンの場所は、再び新橋のスクランブル。

出会いの場所と同じだ。巨大スクリーンの利用も全く同じ。つまり、ドラマ全

体の中でのスタイリッシユな構造ができてる。

また、今回だけを見ても、最初がベタベタのシーンで最後が離れ離れ。これ

またスタイリッシュな組み立てだ。

さらに、勇也が別れを決心する際の一つの理由となったのは、ミナミの変わ

らない姿勢、特に人を寄せ付けない態度。これは冒頭、ミナミのお尻に襲い

掛かろうとした勇也を拒絶して逆にベッドに投げ飛ばすシーンでコミカルに象

徴されていたのだけど、最後は勇也の方から去って行った。つまり、最初に

ミナミが突き放し、最後は勇也が突き放すスタイリッシュな構造になっている。

これだけの重層的な構造を作れる脚本家など、そうそういるはずはない。

    

続いて、少し視点を変えてみよう。今回の話を受けて、やっぱり勇也はサプリ

のままで主食になれなかったじゃないか、と思う人が少なからずいるかも知れ

ない。ここでもまた、要求されるのは全体構造を見る力だ。既に前回、主役と

サプリは交代してるのであって、今回も完全に主役=主食は勇也だ。その事

は、今岡(佐藤浩市)なつき(志田未来)の話を考えるとさらに明確になる。

    

今回、今岡はわざとピアノの発表会に行かないことにした。お別れの2日前だ

し、曲名も「調子の良い鍛冶屋」で今岡にピッタシ。それでも行かなかったの

は、再プレゼンの日程と重なったこともあるけど、それ以上になつきのためを

思ってのこと。なつきが自分(今岡)のことなんて心配せずに出発を決心でき

るように、わざと今岡は突き放したのだ。

とりあえず注目したいのは、今岡がなつきのためにわざと突き放したことが、

勇也がミナミのためにわざと突き放したことにつながってるということ。つまり、

勇也は今岡、ミナミはなつきになってるのだ。

      

倍率数十倍の試験に新人が落ちるのは当たり前だけど、好きな人のために

わざと突き放すのは、まさしく大人のハート。そうしないとカッコがつかないっ

て発想も合わせると、大人の男性と言うべきだろう。素直に荻原に負けを認め

て、ミナミの今後をお願いしながら頭を深々と下げた勇也の姿は、野ブタ終盤

で信子のためにクラスの前で頭を下げた修二と同様、最高に男らしい姿だった。

パターンを破れず、いまだに荻原と北京に行く選択肢を捨てきれないミナミより、

既に完全に上の存在であることは明らかだろう。

     

ところで、勇也に影響を与えた大人2人、今岡とヨウコ(白石美帆)のハートの

描写は、まさしく大人のもの。高度で繊細な表現だった。

なつきが今岡を心配して相談に来た直後、ヨウコは次のように言ってた。

  「それ聞いて、この前私が言ったこと、ちょっと言い過ぎたなって思って。

   悪かったなって。だって、あなたが心配されてる場合じゃないもん。

   気持ち、揺れてるのはなつきちゃんなのに、周りにいる大人がさ、

   揺れてる場合じゃないよ」

   

ここは、大学入試の現代文のテストにでも使えそうな箇所だ。「ヨウコは何を、

なぜ言い過ぎだと感じたのか。300字以内で説明せよ」と言われたら、皆さ

んはどう答えるだろうか。言い過ぎという言葉の意味をどうとらえるだろうか。

    

言い過ぎなのはもちろん、いつも自分の都合ばかり考えてて、自分に合わ

せる顔がないでょ、とか言ってた台詞のこと。ただし、別にこれは間違ってた

わけじゃなく、むしろ正しい言葉だ。実際今岡はそうだし、もっとなつきの事を

考えるべきだという意味でも正しい。

でも、言い方が強かったのか、余りにも今岡の心を揺らしてしまい、それが逆

に精神年齢の高いなつきの心配を産み出してる。なつきを思いやるヨウコの

言葉が、結果的になつきを苦しめてることが分かったから、言い過ぎなのだ。

さらに、あの言葉にはヨウコ自身の今岡に対する心の揺れも含まれてたから、

自分への反省の意味でも言い過ぎなのだ。。

これだけ繊細な箇所をあっさり組み入れてしまう辺り、まさに大人の脚本だ。。

   

最後に、ユリ(浅見れいな)について考えてみよう。脇役だけど、ここが変だ

と全体のバランスが崩れてしまう。

第8話の記事で、このままだとユリだけ可哀相だから試験に合格するべきだ

という感じのことを書いた。この予想は、結果だけ見るとハズレだ。でも、話

のポイントは、ユリだけ可哀相な状況で終わるわけにはいかないってこと。

今回のストーリーでは、落ちたユリを松井(原田あきまさ)電磁波吸収サボ

テンなんていう「意味わかんない」プレゼントで慰めていた。つまり、試験の合

格でなく愛の獲得ってことで、一応最低限のフォローにはギリギリなっている。

    

けれども、もしこれだけでエンディングまで持っていくのなら、この点に限って

は感心しない脚本だ。事務職でくすぶってるOLがひそかに抱いてたクリエイ

ターへの夢を再び打ち砕かれ、そこへ年上の男性クリエイターが愛の手を差

し伸べるなんてのは、全くスタイリッシュじゃないし、ドラマ全体のバランスも崩

れてしまう。したがって、例えば翌年の試験合格の様子を最後に映すとかの

配慮か欲しいところだろう。。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上、私がサプリの構造や意味をどのように楽しんでいるのか、細かく書いて

みた。もちろん、まだまだ書いてないこともあるけど(特に映像のテクニック)、

変わった人がいるなって程度の印象は持って頂けただろうと勝手に思ってる。

   

それでは、毎度恒例ってほどでもないけど、予想に移ろう。裏情報なし、単にド

ラマだけを見て、最後はどうなるのが自然なのか、公言しておく。当たり外れ

より、筋道立てて考えるための一つの手段とすることが重要だ。したがって、

外れた場合にも、私じゃなくてドラマが外してる、なんて事を平気で言う可能性

がある。たとえばクロサギがそうだった。。

    

まず、勇也とミナミは再び一緒になる。それは、「いっしょうけんめいは人に伝

わる」「友情見つけた」「ずっと一緒だね」というミナミのコピーが強調されてた

ことからも言えるし、勇也が面接で落とされる瞬間に「趣味カレー。バカだけど

 いいやつです」というコピーが映されたことからも言える。バカだから落選し

たけど、いいやつだから敗者復活するってこと。キッカケにカレーが使われて、

再会にスクランブルがもう1度使われれば凄くスタイリッシュだ。ゆりかもめと

携帯が再び使われれば完璧だ♪

なお、勇也の仕事がどうなるのかは見当がつかない。あっさり元の職場に戻

るわけにもいかないだろうから、どんな技を見せてくれるのか楽しみだ。

    

今岡となつきは、やはり別れるべきだろう。そうしないと、わざわざ持ち出した

母親の存在が浮くし、ヨウコに困る。なつきの代わりにヨウコが復活するのが

自然だ。今岡は、ヨウコと一緒にピアノ発表会に行くべきだろう。

荻原は、やはりミズホと完全によりを戻す時間はないので、気持ちを通わすだ

け、あるいはとりあえず一緒に北京に行くだけだろう。その際、どこかで今回

使われてた「結婚しよう」って北京語、「ウオ メン ジエ フンバ」を冗談めか

して言うのがスタイリッシュでエモーショナルだ。

ユリについては、既に書いた通り。愛だけでなく、仕事関連の飛躍が欲しい。

    

という訳で、最終回が今から凄く楽しみだ♪ ではまた。。☆彡

   

cf.野ブタ・修二、主食になれるか~『サプリ』第1話

   自然に曲がった子供の魅力~『サプリ』第2話

   エモーショナルの優越性~『サプリ』第3話

   片思いという不均衡~『サプリ』第4話

   サプリから主食へ~『サプリ』第5話

   透けてみえたのは何か~『サプリ』第6話

   大人のハート~『サプリ』第8話

   制作サイドによる実力誇示~『サプリ』第9話

   現在から未来へ、あなたと共に~『サプリ』最終回

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コメント

自分のブログでは、あまりに酷評してたので、TBは遠慮してたのですが・・・。しかし、ここまで分析して見ている視聴者がいる事も製作者は重く受け止め、いい作品を作って欲しいものですね!!

投稿: お気楽 | 2006年9月12日 (火) 19時22分

>お気楽さん

実は僕も遠慮してたんですよ。
今クールは全般的にお気に召さないようですので。
あと、実はウチのPCは満身創痍なので、
そちらに伺うとなぜかフリーズするんです(^^ゞ
ライブドアのブログで時々起きるエラーなんですよね。。

評価の違いはあって当然ですし、サプリの酷評なんて
読みなれてますから全然平気♪
ただ、僕は本気で感心してるし楽しんでます。
最終回の優秀の美にも期待しています☆

投稿: テンメイ | 2006年9月12日 (火) 22時16分

テンメイさん、はじめまして。
ブログ初心者の私のような未熟者に
早々にコメント、TBありがとうございます。

ドラマレビューされてる方って沢山いるんですね。
そんな中でテンメイさんに巡り会えて
とてもうれしいです。
 
なのに亀梨君をあまりほめてないなんて
書いてしまい、すみませんでした。

またこれからも伺わせて頂きます。
「サプリ」最終回、
ほんとに有終の美を飾って欲しいですね!

投稿: いつか | 2006年9月16日 (土) 08時53分

>いつかさん

こんにちは♪
こちらこそ、ウチの宣伝を担当して頂き
どうもありがとうございます<(_ _)>
コンペもプレゼンもなしで、今後も宣伝は
いつかエージェンシーにお任せします(^^)
  
ドラマレビューっていうのは恐ろしく多いですよね。
テレビ記事の中でも多いと思います。
連続放映でハマりやすい、記事を書きやすい、
読み手が多い、共感しやすいってあたりが理由でしょうか。
僕は去年試しに書いた野ブタの記事がたまたま
ヒットしたのでハマってしまいましたが、
あまりにも時間がかかるので、次のクールからは
週1本か不定期にするつもりです。
ただ、ドラマは好きなんで、完全に止めることは
ないでしょう。多分。。

という訳で、そもそもスポーツ系ブログだし、
亀梨関連の記事を書くことは当分ないかも
知れませんが、一応よろしくってことで♪
最終回、期待しましょう☆

投稿: テンメイ | 2006年9月16日 (土) 14時20分

テンメイさん

お久しぶり。
結局月9はテレビがついているだけで
入り込めなかったなあ。

土9を見終わってそれなりに満足し
来期のドラマの予告をみたら
綾瀬はるかと亀梨和也が主役で
なんだかとっかえひっかえ
同じ人ばっかりで新鮮味に欠けるなあ。

見なくてもわかるようなラストのストーリーは
食傷気味なので斬新な展開を期待したいものです。

今クールはテンメイさんとかんかんがくがくやれなかった
のが残念でした。

秋深し。よいドラマに熱いコメント待ってますよ。

投稿: 海苔 | 2006年9月17日 (日) 07時53分

>海苔さん

お久し振りです。
僕もそれほど入り込めませんでしたが、
サブリは洗練されてて十分面白かったし、
タイヨウは沢尻と山田と挿入歌の魅力で楽しめました。
来期はやっぱ綾瀬・亀梨かなぁ。。
何か余りにも露骨な組合せで、引っかかるものが
ありますが、とりあえず初回は見てみますよ♪


投稿: テンメイ | 2006年9月17日 (日) 08時16分

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