『華麗なる一族』第7話、ドラマと原作の比較
1ヶ月サボッた分を取り戻そうと、連日のアップ。まだ第7話で、ドラマより大幅に
遅れてるからネタバレに注意する必要なんかもうない。そもそも、既に予告編や
予告CMで結末がかなり見えちゃってる状況だ。けれども、一応これまでの流れ
を引き継いで、ドラマの第7話までに出てない事はあえて書かないようにする。
要するに、統一性とか美学の問題だ♪
☆ ☆ ☆
さて、第7話と対応する山崎豊子原作の箇所は、非常に大雑把に言って、中巻
p.580~下巻p.34。突貫工事開始後から、爆発後の事故処理委員会の前
までで、原作では僅か87ページ。他の回の対応箇所と比べてやたら短いのは、
ドラマが独自路線を突っ走ってるために、原作との対応付けができないからだ。
その点も含めて、原作がドラマと違う部分を箇条書きしてみよう。
①前回も書いたように、沖仲士(船舶作業員)・荒武玄(六平直政)はドラマの
創作。理想のリーダー・鉄平(木村拓哉)の引き立て役で、原作にはない。た
だし一応原作にも、爆発事故で死んで鉄平の弔問を受けた人物がいる。阪
神特殊鋼(ドラマでは阪神特殊製鋼)の高炉建設の現場担当工長だった多田
増太だ。その場で鉄平と一之瀬パパ(平泉成)は、遺族の露骨に冷たい仕打
ちを浴びている。
もちろんドラマでは、鉄平にとってネガティブなそうゆうシーンは抑えてあった。
②爆発事故直後、鉄平と一之瀬は、原因に関して現場監督を強い調子で問
いただしてる。これは当然のことで、ウチの第9話のドラマ単独記事でも、建
設業者や作業員が責任を問われてないのはおかしいと指摘しておいた。
ドラマは徹底して、こうゆうネガティブなシーンを排除し、キムタク=鉄平を神
格化してるのだ。
③少なくとも原作のこの辺りには、大介(北大路欣也)と鉄平が真正面から対
立するシーンは見当たらない。むしろ、大介が鉄平を文字通り「子ども扱い」
してる感がある。
一方ドラマでは、大介 vs 鉄平&敬介という構図を最初から極端なまでに強
調している。それは、現実主義 vs 理想主義という中立的な対立を超えて、
悪 vs 善、愚者 vs 賢者、凡人 vs 天才、冷酷 vs 温和という形で、常に鉄平
の方を上として扱う姿勢だ。さんざん持ち上げて最後にズドンと落とすことで、
悲劇的効果を高めよう、というテクニカルな配慮もあるだろう。でもそれ以上
に、中心的スタッフの価値観が色濃く反映してると思われる。
ちなみに私は、最初から示唆してるように、たとえドラマだけを見るとしても、
鉄平が大介より上だとは思わない。実力だけでなく、人間的な哀しさという面
でも、むしろ大介の方が上だろう。。
④万樹子(山田優)の流産の話は、原作では第6話対応箇所に出ていた。こ
の問題に関しては、ドラマは銀平(山本耕史)を冷たい悪者にしていたけど、
原作では万樹子が銀平を油断させて(or 騙して)無理やり子供を作ったこと
になっている。流産の直接の原因も、万樹子の酒と夜遊びだ。これを「どっち
もどっち」と表現すると女性が怒るかも知れないけど、万樹子にも2割くらい
は非があるだろう。
流産を知った大介は、遠い将来の万俵家の後継者となるべき「銀平の子供」
を失ったことで落胆するが、ドラマのように激怒はしない。それどころか、落胆
は一瞬の事で、すぐに銀行再編の話に思いをめぐらせ始めている。
⑤銀平はこの辺りで、阪神銀行の「小が大を食う合併」計画をまだ知らない。
極秘のプロジェクトだから、たとえ家族といえども下っ端の貸付課長の銀平
が後回しになるのは自然なことだ。他にも全般的に、銀平の扱いは小さい。
ドラマでは、色々と知ってる銀平が、尊敬してるし打ち解けてる鉄平になぜか
チクらないので、非常に不自然な流れになっていた。
⑥二子(相武紗季)は、鉄平のために閨閥結婚を引き受けるどころか、逆に
自分から四々彦(成宮寛貴)の胸にもたれかかって、再びプロポーズっぽい
言葉を口にする。ところが、四々彦は高炉建設の事で頭が一杯なので、なか
なか話に乗ってこない。二子が閨閥結婚を嫌がるのは、銀平と閨閥結婚した
万樹子の悲しい流産を知ったからでもある。
⑦鉄平はつる乃家で芙佐子(稲森いずみ)を抱こうとして、強くこばまれてし
まい、ますます自分の出生に対する疑問を強める。芙佐子が祖父・敬介の
子だということは既に知ってるが、自分もそうじゃないのかという疑問。二人
の険悪な会話を引用してみよう。
「あなたと私は血の繋がった叔母と甥なのよ、おそろしい・・・・・・」
「ほんとに叔母と甥なのかい、もしかしてもっと血が濃いので、それ
であんたはそんなに怯えているんじゃないのか」
「何ということを・・・・・・、そんなことありようはずがないって、前にも
云ったじゃありませんか、離して!」
もちろんドラマでは、険悪どころか、男と女のしみじみと味わい深い、ふれ合い
のシーンになっていた。女将(多岐川裕美)が死んで、芙佐子がその手紙を鉄
平の家に持ってきたのだ。
⑧綿貫(笑福亭鶴瓶)は、大介に上手くそそのかされたという形になっている。
ドラマでは、もっと本人自体を悪っぽく描いていた。
⑨美馬(仲村トオル)と相子(鈴木京香)が、地味な動きを続けながら妖しい雰
囲気をかもし出してる点は、ドラマと同じ。ただし相子はドラマほど嫌味じゃない。
⑩ベアリング社がキャンセルした注文が復活するなんて不自然な話はない。
また「公家の女の肌はマシュマロのように柔らかい」なんていう、寧子(原田美
枝子)に対する欲望むき出しの敬介のセリフも、この辺りには見当たらない。
☆ ☆ ☆
フーッ、あと3話か。。時間が許せば、また今度。。♪
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