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「閉じた宇宙」と閉多様体~ポアンカレ予想の理解3

少しずつ確実に分かって来た♪ 友人の唐突な質問をキッカケに探求し始めた

世紀の難問「ポアンカレ予想」の意味。その証明は、超天才ペレルマンやごく一

部の専門家に(差し当たり)お任せするとして、予想の意味くらいは理解したいも

んだと思って、ここ1週間は地道に勉強を続けてる。基本的には、大学や研究機

関の研究者が書いてるサイトと、ウィキペディア(日・英・仏)と、『現代数学小事典』

(講談社)を使って、自分の手と頭を動かしながら少しずつ考えてるわけだ。

    

まだまだ、精密な議論は理解できてないけど、昨日の時点でほぼ予想の全体像

のイメージはつかめた気がする。オーッて感じだね♪ もう後は時間の問題だろ

う。たとえ直接的なアクセスは少なくても、これで磨いた思考力や調査力はドラマ

記事とかにも使えるし、半ば理系のこだわり人間として満足感がかなりあるな。

ま、とりあえず、第三弾の記事にとりかかるとしよう。

   

         ☆          ☆          ☆

ここまで、まず第一弾の記事では「ポアンカレ予想」の表現を厳密に調べた。「ポ

アンカレ自身がフランス語で述べた言葉」と、「ポアンカレ予想と呼ばれる数学的

内容」とは、表面的に少し違ってたわけだ。

        

前者を直訳すると、

    「3次元の(閉じた)多様体を考えよう。Vの基本群が恒等置換へと縮小し、

     それにも関わらず、Vが単連結でないということがあり得るだろうか?」。

後者のよくあるタイプは、

    「単連結な3次元閉多様体は、3次元球面Sに同相である」。

この両者がどうして言い換え可能なのかは、それぞれの意味が分かるまで保留

にしてある。

      

続いて第二弾の記事では、この種の話によく出てくる球面とドーナツ(正確には

トーラス=円環の表面)を、数式に着目してn次元まで確認しておいた。そして今

回、第三弾では、ポアンカレ予想の文章の主語になってる「3次元の閉じた多様

体」とは何かを扱う。

           

これは本来、純粋な数学的用語だ。けれども、もし物理学的に考えるなら、我々

が実際に住んでる、縦・横・高さのある3次元宇宙のあり方を語る言葉だ。一つ

(有力な)可能性として、数学の3次元閉多様体みたいに「閉じた」宇宙だとい

うことが考えられるから、その「閉じた宇宙」(3次元閉多様体)にはどんな種類

があるかと考えてるわけだ。

                     

ポアンカレ予想について、ネット上を広く見渡した時、ありがちな誤解が2つある。

まず、わりと簡単な誤解は、「球面」「球体」の違いに関するものだ。英語なら、

「Sphere」「ball」。数学でよく使われる略号だと、「」と「」。このDというのは、

おそらくDisk(円板=「2次元球体」)の頭文字だろう。

              

我々がイメージする普通の球面は、(3次元空間における)「2次元球面」であって、

ポアンカレ予想の文章の述語になってる「3次元球面」とは次元が違ってる。また、

この3次元球面とは、3次元球体(中身も含む、いわゆる球)とも別物なのだ。そ

の点までは、前回の第二弾記事でもハッキリさせてある。ただし、3次元球面と3

次元球体に本質的関係があることは、昨日ようやく理解できた。

                

一方、もう一つの誤解は簡単ではなくて、「閉じた」とか、「閉」多様体という言葉

の意味に関するものだ。英語だと「closed」、フランス語だと「ferme」(アクセント記

号省略)。球面は閉じてるという話は何となく分かった気がしてしまうけど、では球

体は閉じてるのか、あるいは球体に「境界」はあるのかと聞かれるとどう答えるだ

ろうか。数学的な正解は、球体は閉じてない、球体に境界はある、となる。

           

その数学的証明はかなり面倒だから、とりあえずここでは、イメージによる理解

を目指すとしよう。学問の鉄則の一つは、簡単なものから考えること。そこでまず、

一次元空間、つまり「線」の世界から考えていこう。

       

          ☆          ☆          ☆

一次元の世界では、2つの「空間」(ひろがり)を分けられる。一つは円周。もう

090323a  一つは「両側に伸びた線」だ。

 円周が「境界のない空間」な

 のは何となく納得できるだろ

 う。円周、つまり1次元球面は

 1次元の「閉じた」空間、「1次

 元閉多様体」なのだ。

 一方、両側に伸びた線(真直

 ぐでも曲がっててもいい)の場

 合は、両端が「境界」となる。これ

 を「閉じてない」というのは、図から

イメージできるはずだ。ちなみに、「1次元球体」というのは左右に真直ぐ伸びた

線であって、1次元球体は閉じてない(=境界がある)ということになる。

       

「閉じた」とは、「真直ぐ進むといつの間にか元に戻ってしまう」という意味だと考え

てもいいだろう。一方「閉じてない」とは、真直ぐ進んでも元に戻らないということだ。

少なくとも3次元までは、この大まかな理解で問題は生じない。ところで、下の2本

の線の両端を重ねると、上の円周ができることに注目しとこう。つまり2つの1次

球体(真直ぐな線)を曲げて境界同士を重ねれば、境界が無くなって、閉じた1次

元球面ができるのだ。

           

            ☆          ☆          ☆ 

続いて2次元、つまり面の世界について。ここでは、色んな空間が考えられるけ

090323b  ど、代表的なものとしてよく

 登場するのが、2次元球面

 (いわゆる球面)と「四方に

 伸びた面」だ(トーラスは差

 し当たり関係ない)。

 2次元球面が「境界のない

 空間」なのは、何となくイメー

 ジできるだろう。つまり、2次

 元閉多様体ということだ。  

 一方、四方に伸びた面(曲

 がっててもいい)の場合は、

端っこ(周囲)が境界となって、これは「閉じてない」と言うわけだ。よって、2次元

球体(円の中身まで含めた円盤形)は閉じてない

                    

ところで、今回も1次元の時と似たような話に注目しとこう。2枚の2次元球体を

お椀型(半球の形)に曲げ伸ばしして、境界同士を重ねると、境界が無くなって、

閉じた2次元球面になるのだ。

       

         ☆          ☆          ☆

最後に、一番大切な3次元について。人間が実際に住んでるし、ポアンカレ予想

090323c

 の文章にも出てる次元だ。

 ここでも色んな形が「頭で考

 えられる」けど、イメージでき

 るのは普通の厚みのある物

 体しかないだろう。人間の身

 体でもいい。この3次元の物

 体は、曲げたり延ばしたりす

 れば3次元球体(いわゆる球)

 へと変形できる。これが、閉じ

 てない3次元多様体の一番わ

 かりやすい具体例で、境界は

球体の表面(つまり球面)となる。

                       

さて、いよいよ大詰めだ。ここで、1次元と2次元の時の注目点を思い出そう。

2つの球体の境界を重ねると、境界が無くなって閉じた球面になってたはずだ。

そこで3次元でも似た操作を行う。2つの3次元球体の境界(球面)を頭で強引

に重ね合わせて、境界を無くして、閉じた3次元球面を作るわけだ。それが物理

的には、「閉じた宇宙」という話になる。

          

2つの球面を同じものと考える、すなわち、同一視する。もちろん、そう言われて

もなかなかピンと来ないけど、ただ単に数式上で3次元球面を考えるよりは一歩

前進だろう。2つの3次元球体の境界(球面)はイメージできるし、簡単に数式で

表すこともできる。その数式において、それぞれ別々にある点(x,y,z)を同じも

のとして強引に考えればいい。

                     

この時、片方の3次元球体からもう片方の3次元球体へと自然に進んでいける

ことになる。大雑把なイメージとしては、自分の家の内側から玄関のドアを開けて

外に出たら、いきなりそこは他人の家の玄関だったという感じだ。もちろん、超能

力で瞬間移動したのではなく、2つの場所(玄関)が「同じ」だからそうなるわけだ。

玄関だけじゃなく、窓や屋根や床でも似たようなことが起きる。急に、周りの風景

に別世界が混入するわけだ。そして、他人の家の玄関からさらに進んでいくと、

いつの間にか自分の家に戻って来る。これが、閉じた3次元世界だ。

           

もちろん、今の所そんな事は、現実に経験していない。けれどもそれは、単に我々

境界のような場所に到達してないからなのかも知れない。一つの3次元球体の

広大な内部にいる限り、もう一つの3次元球体との接点はないし、宇宙が閉じて

るという意味も実感できないのだから。。

                                        

           ☆          ☆          ☆

以上、閉じた宇宙と3次元多様体について、1次元から3次元までイメージ的に

考えた。ポアンカレ予想の理解に必要なことは、残り2つだ。一つは、いわゆる

「単連結」ということ。もう一つは、「同相」ということだ。n次元に拡張した形の予

想を理解するには、さらに「ホモトピー球面」を把握する必要もあるけど、それは

後回しでいいだろう。

     

第四弾の記事がいつになるかは全く分からない。私自身はもうイメージ的には把

握してるけど、あらためて記事で数学的に説明するのはかなり大変なことだ。特に

「単連結」、ポアンカレ自身の表現だと、「基本群」が恒等置換へと縮小するという

のが厄介。もちろん、空間の中でロープとかループを作って手元の一点に回収可

能か(「可縮」か)というような話は、第一弾でもう書いてしまってることで、もっと理

論的な話を狙ってるわけだ。

                          

とりあえず、今日の所はこの辺で。それでは、またいずれ。。☆彡

    

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

cf.ポアンカレ予想の正確な数学的理解を目指して

  ドーナツ型とボール型の区別~ポアンカレ予想2

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コメント

すいません。
図の考え方、ブログで引用させてもらいました。

投稿: taka | 2009年11月29日 (日) 00時54分

> taka さん
    
こんばんは。引用&ご連絡どうもです♪
宇宙の果てについて、お子さんに説明したいんですね。
               
まず、本人が「果て」というものをどう理解してるのか、
その辺りからたずねてみては如何でしょうか。
「境界」とか「閉じた」とか、似たような概念が
色々あるので、大人でも混乱する所でしょう ☆彡

投稿: テンメイ | 2009年11月29日 (日) 04時28分

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