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折り紙の一刀切り問題~朝日新聞・GLOBE「数学という力」

(☆追記: 13年2月9日、22日、3月7日、3年ぶりに続編を4本アップした。

   

      多角形の一刀切り・2~エリック・ディメインの折り紙数学 

      折り紙の一刀切り(ワンカット)3~ハートマーク&熱帯魚

      折り紙の一刀切り(ワンカット)4~簡単な数字(0,1,2,5,7)

      折り紙の一刀切り(ワンカット)5~簡単な数字(3,4,6,8,9) )

       

      

         ☆          ☆          ☆

今夜は本当なら、久々に福山雅治主演のドラマ『ガリレオ』関連で、理数

系記事を追加するつもりだった。ところが、朝日新聞・朝刊(2月1日)の

マニアックな特集欄「グローブ(GLOBE)」が、全面4ページにわたって

「数学という力」というテーマを追究してたので、つい読み耽ってしまって、

予定変更となった。

            

特に、1、2ページの「折って、1回はさみを入れるだけで・・・」と題した記

事における、「オリガミ数学」(mathematics of paperfolding ,or mathe-

matical origami)の話が面白かったのだ。

 (☆追記: 4ページ目にも白鳥の作り方の図があった)

      

折り紙というと子供の遊びのように思われがちだけど、実は本気で考える

ハイレベルな数学につながるという事は、昔から一応理解してたし、

用性があるという話も耳にしてた。スペースシャトルの望遠鏡の収納とか、

車のエアバッグの折りたたみ方とか。ただ、実際に折り紙をやってたのは

小学校までだし、数学でも中学の図形とかでチョコッとやっただけ。今では

かなり縁遠い世界になってた。

    

ところが、この新聞記事の話はマニア心をそそるものだ。「紙を折りたた

み、一回切るだけで、どんな多角形でも無限に作れる」というのだ。ちなみ

に多角形とは、簡単に言うとカクカクした平面図形のこと。言いかえると、

短い直線(=線分)で囲まれた形で、家とかロボットとか、相当色んな変

化が考えられるものだ。

     

で、どんな多角形でも作れることを数学的に証明したのが、若き天才・

エリック・ディメイン(Erik Demaine)、28歳。2001年、有名な米マサ

チューセッツ工科大(MIT)に、史上最年少(20歳)で招かれた数学者

で、証明の中身はともかく、やり方についてはこう書かれてる。

     

   「切り出したい形を紙に書いて、それぞれの角の二等分線と、

    切り出す線に下ろした垂線を折っていく。どれだけ複雑な形

    でも、多角形は最終的に三角形と四角形に分割できる。さ

    らに折り目を追加すれば、三角形と四角形が一直線上に並

    ぶようにおりたたむことができるという」。

    

この文末の「という」が問題であって、当然記者(佐藤武嗣、宮地ゆう、

田中郁也)も理解できない訳だ。その代わり、紙にでたらめな六角形

書いてエリックに渡すと、鼻歌まじりで約2分かけて折りたたんだ後、

「Moment of truth」(真実の時)と言いながら、見事に六角形を切り離し

たそうだ。

        

これを読んだ私は、「たかが六角形なのに、専門家の天才数学者でも2

分かかるのか!」と驚き、やっぱり相当手強そうな問題だと思ってしまっ

た。でもおそらく、手でキレイに折る作業に時間がかかるだけなんだろう。

後で自分で折ってみて、その手間を実感できた。

        

さて、ほとんどの人はこの辺りで天才に感心して終わりだろうけど、マニ

アック・ブロガーたるもの、自分でやってみないと納得できない♪ そこ

で、簡単な切り離しをやりながら、自分で理屈を考察。初歩的理解には

一応成功した。最初は、ガリレオ=福山雅治みたいに、「さっぱり分から

ない。実に面白い」って感じで笑うばかり。それでも、何枚か失敗する内

に、コツとか問題の意味が少しずつ見えて来た。。

           

       

       ☆          ☆          ☆

まず、根本的な問題は、折り紙の「一刀切り」(fold-and-cut)のルールだ。

特に、「一刀」という意味が分からなくて、ウィキペディアの日本語版、英語

版、その他のサイトを探し回ったけど、言葉の意味さえなかなか出て来な

いし、具体に解説してるサイトも全く見当たらない。実行したと報告して

るサイトは少数あるけど、どう折ってどう切ったらどんな形になるのか、具

体的に図示・解説したサイトが見つからないのだ。

      

   (追記: 朝日のグローブのサイトと、そこから飛べるエリックの

        サイトを記事アップ直後に発見。参考になった。)

             

100201a

 その内、どうも「ハサミの向きを変

 えずに、一回だけチョキンと真っ

 直ぐ切る」らしいことが分かったの

 で、一番簡単な長方形で実験。こ

 れはすぐに成功した♪ 要するに、

 各辺の線が重なるように折って、

 重なった部分にハサミを入れれば

 いいわけだ。

         

100201b

 具体的には、図の赤い長方形を切りだす

 操作で説明しよう。まず上下2つ折りにし

 て(図①)、左右2つ折りにする(図②)。更

 に、図③の斜め線(角の二等分線)に沿っ

 て折ることで、赤い長方形の4辺を縦一直

 線に重ね、最後に図④の矢印の箇所で、

 「一刀切り」。見事に長方形が出来た。

          

(☆追記: 下と同様、角の二等分線を4本引いて、交点2つを直線で結び、

       それらの線を山折りにする解き方の方が、統一感はある。)

     

             

100201c

 続いて、勝手に書いた三

 角形(不等辺三角形)に

 挑戦。これはかなり苦労

 した。この程度の図形で

 も、わりと大きめの紙で

 正確に折らないとやりに

 くいのだ。途中で止めそ

 うになりながら、試行錯

 誤してる内に、ようやく

「角の二等分線」と「垂線」の使い方が判明。三角形を紙の両面に書いと

くと、分かりやすいだろう。

                 

三角形の角の二等分線は、3本が1点で交わるので(中学の図形の有

名問題)、2本だけ引いて交点を求める(図の①②)。そして、交点から

辺に垂線を2本下ろす(図の③④)。ここで、まず①②にそって紙を「山

折り」にする。つまり、①②が上に来るように折る。そうすると、③④の

側が盛り上がって立体的になるので、③④に沿って「谷折り」にした後、

尖った形に直立して来る部分(図の右下の頂点辺り)をどちらかにペタ

ンと倒せば、平面的に折り畳める(谷折りは③④の片方だけでも可)。

            

と言うより、平面的に折り畳もうとすると、自動的に③④の箇所が凹ん

で、垂線での谷折りになるのだ。同様に、実は角の二等分線も引く必要

はない。三角形の辺が重なるように折り畳めば、自動的に折り目が角

の二等分線になる。ただし、上手く折れない方は、3本目の角の二等分

線も含めてすべて線を書きこんだ後、それに沿って折るとラクだろう。

           

で、最後に、一直線上に重なった3辺の箇所を「一刀切り」すれば出来上

がり♪ 見事に、勝手に書いた(任意の)三角形を切りだすことが出来る。

              

      

       ☆          ☆          ☆

この後、台形にもチャレンジしたんだけど、不成功のまま時間切れ・・・と

書いて一旦記事をアップしたんだけど、やっぱり気になって寝れないから、

100201d

 解いてしまった(多分)♪

 これで安心して眠れそう

 だ。左図で、角の二等分

 線①②③④で山折り、垂

 線⑤⑥で谷折りすれば、

 四つの辺が一直線に重

 なるから、そこを切れば

 いい。

      

ただ、こんな折り方が常に可能かと言われると、正直よく分からない。

そらく、同じやり方で台形以外の四角形でも成功すると思うけど、「幾つ

かの線に沿って必ず折り畳めることの証明」というのが厄介なのだ。ま

あ、その辺りの厳密な理屈は、天才エリックに任せとくべきかも♪ 何か、

数学的な「武器」が必要だろう。

                           

あと、しばらく上に5行で引用した文において、どうして「三角形と四角形」

に分割する話を出すのかが納得できない。四角形は、2つの三角形に分

けれるんだから、すべての多角形は三角形に分割して、つなぎ合わせれ

ばいいんじゃないのかね。それは無理なんだろうか。あるいは、四角形ま

で分割すれば、既に十分簡単だという意味か。

    

ちなみに、これまた証明抜きで直感的な思い付きを補足しとくと、おそらく

一般に、角の二等分線は山折り、垂線は谷折りにしていくんだと思う。た

だし、5角形以上で内側に凹んだ角がある場合は、逆に二等分線を谷折

りにして、垂線を山折りにしていくんじゃないかな。

          

  (追記: 細部の理屈は曖昧ながら、内側に凹んだ角のある五角形

       の一刀切りにも一応成功。凹んだ角は谷折りにした。)

      

        

          ☆          ☆          ☆     

とにかく、当面はこれ以上こだわらないことにしよう。他にやる事が一杯

溜まってるのだ。自然数論、ポアンカレ、その他色々。新聞に載ってた

「リーマン予想」も記事を書きたいと思ってるし、複素数とか虚数単位 i

(2乗して-1になる不思議な数、 imaginary number)も扱いたい。

         

折り紙遊びは、またヒマな時にでも延期するとしよう・・・とか言いつつ、こ

の後また考え込んで、眠れなくなるかも♪

ではまた。。☆彡  

    

    

    

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.朝日の記事に、エリックが「まず図形の中に円を描く」と書いてる

    のは多分、内接円の中心が角の二等分線上にあるからだろう。

    

P.S.2 「一刀切り」を説明する英文は、「one complete straight cut」、

      「a single straight cut」、「a cut along a line」、などと書かれてる

      (エリックのサイト)。要するに、「一本の真っ直ぐな切断」だ。

    

P.S.3 同じ2月1日の朝日新聞・夕刊には、「凄腕つとめにん」という

      連載企画で、段ボール箱の設計図のプロが紹介されていた(レ

      ンゴー・東京包装技術センター・石川淳生氏)。平面に折り目や

      切り口をつけて、複雑な立体を作る技は、エリックの折り紙数

      学とも関係が深い職人芸だろう。エリックのお父さんの仕事(ガ

      ラス細工職人)とも関係ありそうだ。

    

P.S.4 2012年11月12日のNHK・Eテレ2355で、ディメインの一刀

      切りが軽く紹介されたらしい。今現在13日の0時過ぎだが、続々

      と検索アクセスを頂いてる。

   

P.S.5 13年2月7日のNHK・Eテレでも、「マニアックスペシャル」と題し

      て、またエリックが登場したようだ。

     

P.S.6 13年2月12日、テレビ朝日の『モーニングバード』では、折り紙

      の「ワンカット」(one cut) として紹介されたらしい。愛知県の

      園長さんが漢字などを切り抜いたようで、調べると、12年5月

      19日の朝日新聞・朝刊・名古屋版で大きく紹介されていた。

        

      

cf. 多角形の一刀切り・2~エリック・ディメインの折り紙数学 (凸六角形まで)

   折り紙の一刀切り(ワンカット)3~ハートマーク&熱帯魚

   折り紙の一刀切り(ワンカット)4~簡単な数字(0,1,2,5,7)

   折り紙の一刀切り(ワンカット)5~簡単な数字(3,4,6,8,9)

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数学」カテゴリの記事

コメント

ここが 良く解らないので、もう少し教えて下さい。。三角形のところ、
まず①②にそって紙を「山折り」にする。
 →解りました。
③④に沿って「谷折り」にすると、
 →これはどういう意味なんですか?垂線③と垂線④を谷折りに折るという意味ですか?
すなわち③を折ってそして④を折るの順に2回折るという意味ですか?


投稿: gauss | 2010年2月 2日 (火) 16時33分

> gauss さん
   
はじめまして。コメントどうもです。
凄いお名前ですネ♪
   
③④で谷折りというのは、順番は関係ありません。
同時に両側から折っても、片方ずつでもOK。
いずれにせよ、③と④がぴったり重なるはず。
これは平面幾何的にも簡単に証明できます。
    
最後は、元の三角形の右下の角辺りが膨らむので、
そこを押さえつけて平面的にすれば終了。
結局、元の三角形の左上の辺へと、他の2辺が
重なっていく感じになります。
   
これでも上手く行かなければ、先に三角形を
切り抜いてから折れば、イメージをつかめます。
僕はその方法で、凹んだ五角形まで一応成功しました。
    
なお、ご指摘を受けて、記事の説明を少し補足しました。
もう一度読み直して頂ければ、多少分かりやすく
なってるかも知れません。。shine

投稿: テンメイ | 2010年2月 2日 (火) 18時32分

やっと、解りました。。ありがとうごいました。①②をしっかり山折して、そしてもう一つの二等分線もしっかり山折にする。その後③(or④)を谷折すればOKですね。このときは④(or③)は折必要は無いようにも思えます。
すごく面白いお話ありがとうございました。とっても難産でしたが楽しかったです。
・・gaussは図々しいと思っています。

投稿: gauss | 2010年2月 7日 (日) 23時39分

> gauss さん
    
こんばんは♪ 成功おめでとうございます☆
わざわざご報告頂き、どうもです。
   
なるほど、③④の谷折りは片方でもいいですね。
完全に片方だけだと、やや折りにくい気もしますが、
ウッカリしてました。記事を少し修正しときます。
   
僕自身が解決した時には、角の二等分線2本に
続いて、垂線2本を同時に折ったんですよ。
片方だけの特別扱いは気持ち的に引っ掛かったし、
三角形の「底辺の左側」と「右辺の上側」を早く
一直線につなげたかったもんで。
   
ともあれ、楽しんで頂けたようで良かったです。
ウチは半月に1本くらい理数系の記事を書いてますし、
テレビと朝日新聞のネタには目を光らせてます。
また機会があれば遊びにいらしてください shine

投稿: テンメイ | 2010年2月 8日 (月) 03時10分

現在大学の卒業論文でこれをやっています。
八角形までは一刀切りで作りだしました(それ以上は図形を書くのが難しかったので)

やはり、角の二等分線を山折、垂線を谷折が基本のようです。
180度以上の角は、二等分線を谷折にしましたが…。

それの証明も現在進行中です。
三角形と四角形に分ける意味ですが、この一刀切りは合同証明を活用することによって証明できそうです。
確かにすべて三角形に分けることも可能ですが、それだと余分なところまで切れてしまいます(やってみてください)

合同という観点で見るのはおもしろいですよ(^^)
ちなみに、三角形・凸凹四角形・五角形はそれで証明ができましたflair

投稿: mimo | 2011年2月 2日 (水) 11時07分

> mimo さん
  
はじめまして。コメントありがとうございます。
  
ウチは、大学からのアクセスは結構ありますが、
大学生の方からだと分かるコメントは珍しい☆
特に卒論関連は初めてです。最後の追い込み中でしょうね。
   
八角形まで作りだしたという話ですが、ウチへの検索
アクセスを見ると、白鳥への挑戦が結構あるみたいですよ。
まあ、朝日新聞の記事の影響が大きいんでしょう。
僕は、拡大コピーを切って折るのが面倒なんで、パスですが♪
     
切るよりむしろ、合同証明という話が気になります。
何と何が合同で、一刀切りの可能性とどう関係するのか。
自分で調べてみたいとは思いますが、今はPCトラブル
真っ最中で、まったく余裕がありません。
このレスも、ほとんど見えない画面で打ってるもんで。。
  
とにかく、卒業論文の仕上げを頑張ってくださいね♪
それでは、この辺で。。shine

投稿: テンメイ | 2011年2月 2日 (水) 22時54分

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