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性転換大国タイにおける、「ガトゥーイ」と性同一性障害(朝日新聞)

今日は、32.195km走の翌日だし雨だから、ランニングはお休み。気

分的には、また本格的な数学記事を書きたい所だけど、あまり乱発する

とフツーの常連さんに申し訳ない感じもある。そこで、「困った時の朝日

新聞」。今日(2月11日)の朝刊をペラペラめくると、国際面に適当な記

事が見つかった。3分の1ページ近くある、しっかりした内容の記事だ。

     

大見出しは、「性転換大国の悩み」。小見出しは、「受け入れ寛容 タイ

社会」、「性別変更 法整備まだ」、「同一性障害 薄い理解」、「安易な

手術で後悔も」。これらに示されてるように、記事全体は、性転換大国

タイの寛容さと共に、法的・社会的・医学的な未熟さとか遅れのようなも

のを示唆している。執筆は、バンコクの山本大輔記者。

       

タイと言えば去年10月、タレントのはるな愛が「世界一美しい性転換者」

コンテストで優勝して話題になったが、新聞記事の冒頭も、昨年5月の

ニューハーフ美人コンテストの優勝者・ジャズさんだ。バンコクの公立大

の学生で、180cm、50kg。「やや低い声さえ聞かなければ、かつて

『男』だったと気づく人は少ない」とある。

     

写真を見ると、確かに「美人」っぽい顔で、胸もあり、服装も女性っぽい。

ただ、独特の派手な顔と身長の高さで、気づく人は結構いるんじゃないか

な。むしろ、はるな愛の方が、初対面で気づきにくいと思うけどね。ともあ

れ、幼い頃から女装や化粧が好きだった「彼女」、性転換手術の大金を

親に頼むことも出来ず、コンテストの賞金で手術。今は有名人として活躍

してるらしい。

              

仏教思想もあって、「第3の性」が寛容に受け止められてる大国といえど

も、親が自然に性転換を援助するほどの状況でもないようだ。実際、13

歳の時、女性の下着を着けている姿を見た父親は「立ちつく」してたとの

こと。もちろん、性同一性障害というものが広く知られるようになった今の

日本でも、まだそんな反応だろう。

              

そのジャズさん、自分は「ガトゥーイだからこそ成功できたのかも」と語

る。タイでは、女性への性転換者から女装・化粧好きの男性までを広

ガトゥーイと呼び、学校では先生も生徒もガトゥーイであることを隠さな

いとのこと。男に性転換した人たちを指す「トム」も合わせると、数百

とも言われる。タイの人口は7000万人弱だから、20~30人に1人

くらいの割合ということか。確かに日本よりは遥かに多いけど、アメリカ

と比べるとどうなのかね。

                         

この「ガトゥーイ」と「トム」について、ネットで調べてるみると、ガトゥーイ

関連の情報は結構あるのに、「トム」の情報がやたら少ないことに気付

く。朝日の記事も、ほとんどがガトゥーイ(男から女に関するもの。ジャズ

さんと共に写真が掲載されてるノンさん(はるな愛に次ぐ2位)もガトゥー

イだし、「タイ性転換女性協会」の話はあるのに、「タイ性転換男性協会」

の話はない。

                      

さらに不確定情報によると、「トム」は英語の「tomboy」(男の子っぽい

女の子)から来てるという話だ。一方、お馴染み、精神医学の国際標準

マニュアルDSM-Ⅳ-TRを見ても、世界的に、mtf (男から女:male

to female)の方が、ftm(女から男:female to male)よりもかなり多いこと

を示すような記述が一応ある(明言はしてない)。

        

かなりの少数派らしい「トム」はともかく、非常に多いらしいガトゥーイ

日本語の「オカマ」に近いニュアンスらしいが、ネットで発音を色々調べ

た限りでは、むしろ「カトゥーイ」の方が正確のようだ。Google検索(日

本語ページ)だと、「カトゥーイ」が約10400件で、「ガトゥーイ」が約32

70件。英単語でも「kathoey」(またはkatoey)で、先頭は「k」だ。

        

100211

 発音については、色々な意見があるけど、総合

 的に考えると、現地の発音に近いのが「カトゥー

イ」で、日本人が発音しやすいのが「ガトゥーイ」といった所か。ちなみに

タイ語の表記は左上の通り(英語版・ウィキペディアより)で、先頭の子音

字の発音記号は「k」だ。と言うか、発音記号に「g」が入ったものは、タイ

文字にはない(日本版ウィキの「タイ文字」の項目より)。

                    

       ☆          ☆          ☆

ところで、朝日の記事の大見出しには「悩み」と書いてあった。具体的

には、性別変更の法整備がなされてないことや、若者たちがファッショ

ン的感覚で性転換手術を行ってしまう風潮のことらしい。後悔しても手

術は元に戻せないし、手術後のケアも大変。けれども、手術希望者の

9割は性同一性障害ではないとされてる(タイ医学評議会)。

               

そこで、政府は昨年11月から、手術の規定を厳格化。申請から1年

間は手術を認めず、精神科医2人によるカウンセリングなどを義務づ

けた。国際的な手続きに合わせようということだろう。1年という期間が

適当かどうかはともかく、手術の大変さを考えると、基本的にはいい流

れだと思う。

      

ただ、性同一性障害に関する理解の薄さを問題視する、朝日の論調

や、タイ性転換女性協会の見解には、ちょっと微妙な感じも受ける。と

いうのも、性同一性障害という概念は非常に新しくて曖昧なものにすぎ

ないからだ。

     

参考として、マニュアルDSM-Ⅳ-TRにおける性同一性障害(GID:

Gender Identity Disorder)の診断基準の要旨を引用してみよう(新訂

版,医学書院,p.556-557)。

                      

   A.反対の性に対する強く持続的な同一感。

   B.自分の性に対する持続的な不快感、またはその性の役割に

     ついての不適切感。

   C.その障害は、身体的に半陰陽を伴ってはいない。

   D.その障害は、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、ま

     たは他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

     

これら4つを満たすのが条件だが、かなり曖昧な基準なのは明らかだろ

う。それは、精神障害一般が抱える困難という訳でもない。実際、ウチで

も度々記事にして来た諸々のうつ病の診断基準は、もう少し細かい条件

が明記されている。例えば、時間的な問題。どのくらい続いてるかとか、

どのように変化・反復するのかとか、うつ病の基準にはあっても、性同一

性障害の基準にはないのだ。

    

さらに性同一性障害は、うつ病のSSRIのような特効薬「らしきもの」もな

ければ、手術後の経過に関する大規模の長期的研究もまだまだこれか

らの課題。「ガトゥーイはガトゥーイとして受け入れるが、女性ではな

(朝日の説明)とするタイ社会の受け止め方が本当に「薄い理解」とネガ

ティブに語られるようなものなのか、考える余地は十分あると思う。。

         

         ☆          ☆          ☆     

今後まだ、「薄い理解」と「濃い理解」の間で、世界は揺れ動くだろう。

それと共に、精神医学マニュアル・DSMの基準や説明、あるいは法

制度なども、揺れ動いていくわけだ。

    

一昨年話題になったドラマ『ラスト・フレンズ』における瑠可(上野樹里)

の扱いの最後が、かなり曖昧にされてたのも、問題の曖昧さや複雑さ

を背景にしたものなんだろう。

とりあえず、今日の所はこの辺で。。☆彡

     

     

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.「ガトゥーイ」に似た言葉として、「サオ プラペーッ ソン」という

    表現があるらしい。英語版ウィキは「a second kind of woman」と

    訳してるし、性同一性障害関連の専門家のブログとして有名な

    「Anno Job Log」でも、「sao(女性) praphet(種類) song(2)で、

    『第二の女性』のようだ」としている(2009.10.11)。

           

    

100211b

 ただ、私がGoogle 翻訳

 を使って、タイ語の英訳

    をやってみると、「sao」は「gal:若い女性」、「song」は「two:二つの」

    で、「sao praphet song」全体ではむしろ「二つの性を併せもつ女性

    のような気もする。その方が意味的にも納得しやすいと思うんだけ

    ど、どうだろう。

          

    ちなみに、元のタイ文字は左上の通りだ。先頭から、3文字、6文

    字、3文字に分かれるらしい。また、単数・複数の区別は無く、最

    後の3文字は「二番目」(序数)ではなく「二つ」(基数)を示すようだ。

    

    なお、Google翻訳で元のタイ語を直接日本語に訳すと、「二種類

    のカップル」と出る。これは明らかにおかしい訳だが、「二種類」で

    あって「第二の種類」ではないことは、一応注目に値しよう。。

    

P.S.2 上に書いたブログ「Anno Job Log」で直接たずねてみた所、

         「わたし自身はタイ語はよく分かりませんが、このブログ

          の読者にはタイ在住のタイ語堪能な方もいますので、

          たぶん、『第二の女性』でいいかと思うのですが・・・。」

      との丁寧なお返事を直ちに頂いた。

               

      ただ、言語学的、社会学的、歴史的な説明を具体的に頂いた

      わけではないので、私としてはとりあえず、「未解決問題」とし

      ときたい。。

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