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水族館から海へ、流星から星座へ~『流れ星』第3話

今から300年以上前、リンゴが木から落ちるのを見て、万有引力の法則を

発見したという「伝説」が残るニュートン。彼は、地球上の上から下への落

下運動と、宇宙で回転する星の動きを、一つの法則でまとめあげた天才数

学者&物理学者(or 自然哲学者)だ。2つのものが引き付け合う力(or 加

速度)によって、直線的な落下と、曲線的な回転、両方を説明できる。この

話は3年前、福山雅治『ガリレオ』第6話レビュー、「遠く離れたもののつな

がり」に、やや詳しく書いてある。

                      

『流れ星』というドラマ、もともとは初回と最終回だけ簡単にレビューか感想

を書いておしまいのつもりだったのに、妙に私のツボにはまって来た。その

理由の一つは、このドラマがニュートンと同様地上と天空を結びつける壮

大な構想を持ってるからだろう。地上では、「水族館」から「海」への流れ。

天空では、「星座」に向かう「流れ星」

            

ウチではまず初回、健吾役で主演する竹野内豊が、かつて反町隆史と共

に主演した名作月9、『ビーチボーイズ』(特にSP)と『流れ星』を重ねてみ

た。これは基本的に、地上の話であって、特にイルカとクラゲを対応させた

わけだ。次に第2話では、梨沙(上戸彩)の別名となってる海の生物・クリ

オネと、流れ星とをつなげてみた。基本的には地上(特に海)の話だが、

天空=宇宙ともつなげてある。

      

今回、第3話(視聴率13.7%)では、登場人物たちが星空を見上げるシー

で、コブクロの主題歌『流星』が美しく流れてたのが印象に残った。そこ

で、もう少し宇宙の話を加えて、ドラマ全体の構図を再構成してみよう。。

       

        ☆          ☆          ☆

まずは地上のお話から。街中で運命に流されて浮遊する梨沙は、海で流

れに身を任せてフワフワ漂うクラゲみたいなものだ。梨沙自身もそう思っ

てるし、クラゲを愛する健吾もそう思ってる。実際、梨沙のことを肝臓のド

ナー候補として医師・神谷(松田翔太)に連絡した直後、健吾は水槽で漂

うクラゲをじっと見つめて、さらにタイトルバックのクラゲの映像へとつながっ

て行った。

    

101102a

 あれは、白くて丸いミズ

 クラゲ。左の写真は、再

 びウィキメディア・コモン

 ズで一般公開されてる

 ものを使用した。著作権

 者のFASTILYさん、どう

 もありがとう♪

    

このクラゲの場合、傘の下の「足」(正確には口腕)が短いから、流れ星と

いうよりはお月さまだ。実際、英語の名前は「moon jelly」、月のゼリー。

日本の漢字でも、クラゲを「海月」と書くことがある。

          

Yahoo!辞書の『大辞林』と『大辞泉』は、400年前の『日葡辞書』(日本語

をポルトガル語で説明)を「海月」の出典に挙げて、ネットのあちこちでそれ

を引用してるようだが、実は日葡辞書というのは印刷上の都合で漢字や仮

名は付すことができなかったから、ローマ字が使われてる(ウィキペディア)。

「海月」という漢字の出典として『日葡』を挙げるのは奇妙な話なのだ。

       

まあ、差し当たりここでは、正確な出典は気にしない事にしよう。とにかく、

クラゲと言ってもミズクラゲに限るのなら、前回書いた大塚愛のように流れ

星と見るより、むしろコブクロ『流星』の歌詞のように、「白く透明な月」と重

ねる方が自然ということになる。

   

とはいえ、流れ星も月も、宇宙に輝く星と考えれば同じこと。サンスポ(9月

13日)によると、中野利幸プロデューサーは、竹野内から「子供の時、クラ

ゲは星に見えるから“星”というキーワードを折り込んでみては?」との提案

を受けた翌日、コブクロの主題歌『流星』を聞いたらしい。「運命を感じ、ドラ

マも『流れ星』に即決しました」。曲名をドラマのタイトルに採用されたことに

は、作詞したコブクロ・小渕健太郎も大感激したそうだ。

                  

          ☆          ☆          ☆

そこで、さらに星や宇宙の話に向かうことにしよう・・・と書く前に、今回ドラ

マに登場した2つの名前にも触れる必要がある。まず、イルカ。ウチの記

事では第1話から、梨沙=クラゲとイルカとのつながりを指摘した。その際

には、『ビーチボーイズSP』との類似に着目した訳だが、今回『流れ星』の

中でもハッキリと、梨沙がイルカと結びつけられた。

      

梨沙は、茶髪を多少マトモに染め直す間、健吾に「イルカってどうやって寝

てるの?」とたずねた。答は、左右の脳を交互に眠らせるというもので、左

の脳を眠らせる時には右目を閉じるらしい。この話は、ウィキも含めて、ネッ

トのあちこちに以前から書かれてることで、わりと信用できそうだ。

      

梨沙の質問は、物語の流れの中では唐突だったが、後の話に一応つながっ

てる。ドナー面接で健吾とのなれそめを聞かれた梨沙が、片目をつぶった

イルカの話で盛り上がったとか言ったことより重要なのは、「眠れなくて」と

いう台詞。マリアが病院で星空を見上げてた頃、健吾はビーチ=海岸で星

空を見上げる。そこへやって来た梨沙の台詞だ。何気なくビール(?)の缶

を置く仕草が、ピーチボーイズ的で微笑ましかった。

                   

イルカ梨沙も、不安のため、また「泳ぎ続ける」ために、ぐっすりとは眠れ

ないわけだ。イルカには外敵(サメ、人間など)がいる。梨沙は、恋人にフラ

れた後、兄・修一(SMAP・稲垣吾郎)に追われてる身。借金こそ無理して

返したものの、住む場所さえ不安定だし、肝臓の移植手術もあるし、その

後の生き方もまったく未定。ぐっすり眠れないのは当然だけど、半分眠るだ

けでも生きていける。イルカの睡眠の話は、そう勇気づけてくれてるのだ。

      

ただし、今の所、クラゲは水槽(=個人的な小型水族館)の中で見つめら

れてるし、イルカ水族館のショーの出演者(in 修一のセリフ)。どちらも、

本来の場所にはいないわけで、今後は本来の生きる場所=「海」を目指す

はず。実はそれこそ、ビーチボーイズの第1話からSPまでを貫く大きな主

題でもあったわけだ。「ビーチ」とは、「海」に出る手前の場所のこと。

                   

ちなみに、亀梨和也&山下智久&堀北真希の名作『野ブタ。をプロデュー

ス』も、その意味では同種のドラマである事は、5年近く前の全体レビュー

生きる場所を求めて~野ブタ再考」で示しておいた。野ブタで「ビーチ」

あたるのは、クラスとか学校。反町&竹野内がビーチでバイトする代わり

に、亀梨&山下&堀北が学校でプロデュースごっこしてたと考えれば、分

かりやすいだろう。

                 

『流れ星』に戻ると、梨沙=イルカという結びつきと共に第3話で登場した

のは、健吾=海亀(ウミガメ)。クラゲなどを食べるそうだから、多分クリオ

ネも食べるだろう。水族館で共働きする川本(杉本哲太)や妻・千鶴(ちす

ん)から見て、クリオネ=梨沙を「食べて」そうな健吾がウミガメに見えるの

はわりと自然なことだ。ま、健吾はまだしばらく食べないと思うけど♪ ちな

みにアカウミガメは、本州中央より南側に広く見られるようだ。

            

ウミガメと言えば、を泳ぐ姿と砂浜の産卵が思い浮かべられる。そうなる

と思い出すのが、『ビーチボーイズ』のタイトルバック。海を泳いで砂浜に上

がった反町&竹野内が、砂浜で自分たちが生きてる「証し」を作る姿だ。ま

るでウミガメが卵を産むように。草や木で作ったあの巨大な『BEACHBOY

S』というロゴは、サントラ盤の表紙にも採用されてる。あのサントラ、100

回以上は聴いてるだろう。。

       

          ☆          ☆          ☆

おっと。。実はここまで前置きのつもりだったのに、もう時間が無くなってしまっ

た。宇宙の話は、簡単に済ませて終わりにしよう。

     

印象的だった、星空を見上げる連続シーンの最初。マリア(北乃きい)が、

流れ星を探してるのだと健吾に話してた。涼太(関西ジャニーズJr・桐山照

史)がよくなりますように・・・と、願い事をするために。

   

同じ病気の自分は、移植が必要になっても大丈夫だと、健気に語るマリア。

涼太に教えてもらった落語の死神退散の呪文、「あじゃらかもくれん・てけ

れっつのぱ」♪ ネットで検索すると、色んなヴァージョンがあるようだ。まあ、

これで大丈夫だったら、教えた涼太自身も大丈夫なはずだけど、そこは突っ

込まずに流すとしよう。

      

とにかく、涼太が助かるように流れ星を探すことは、自分が助かるように

奇跡的な幸運を求めることでもある。愛という言葉を使うのなら、他者への

と、自己愛。どちらも、本来の「場所」を求める心の動きだ。他者への愛

では、2人が強く結ばれた状態。自己愛では、かくあるべき自分を確保して

安定した状態。

      

その「場所」こそ、コブクロ『流星』に歌われた「星座」なのだ。星が、他の星

たちと結びついて、安定した状態。「想い 流星になり 流れていくよ 君の

そばまで 消える前に 僕達は同じ星座だと 信じてるから♪」。台本を読み

込んだというコブクロ・小渕は、深く正確にドラマのストーリーを把握できてる。

         

マリアの想いは、涼太のそばに流れていき、強い絆を作り上げる。また、流

れ星=クラゲのような存在の梨沙も、健吾のそばに流れていき、「同じ星座」

として安らぎを得る。今現在は、かりそめの星座=偽装結婚にすぎないけど、

やがて本物の星座になるだろう。ちなみに、健吾の誕生日は8月31日で、お

とめ座。梨沙は11月28日でいて座。同じ星座ではないけど、この後ひょっと

すると脚本のワザが登場して、実は同じ星座という話になるかも知れない。

        

最後に、では星座とは具体的にどうゆう状態でドラマに現れるのか。これは

まだ見えない。「お星さまになる」という表現が、昔から「」を意味したよう

に、涼太とマリアが共にお星様になる可能性は十分ある。梨沙も、死んだ後

に、健吾と星座を織りなすのかも知れない。健吾の心の中で、あるいはこの

世を超えたレベル、魂と魂の結びつきにおいて。星座=constellationとは、

語源的には星の結びつきだけど、布置=配置を一般に表す言葉。星でなく、

2つの魂の配置であってもいいわけだ。

                 

私としては、ラストは結婚式。式場や、クリスマスでにぎわう街中が、星屑の

ようなきらめきに包まれる中、白いウエディングドレスの映像が光のまたた

きになり、やがて星空になって終了。月9的でもあるし、これがキレイだと思

う。実際、2年前の『イノセント・ラヴ』最終回はそんな流れだったのだ。世間

的にかなり冷淡な評価を受けたあのドラマ。少なくとも最終回は、美しいオフ

ホワイト・クリスマスを表現してくれたのだった。。

     

          ☆          ☆          ☆

この記事を書く際、いつも以上に大量の検索をかけてるけど、実は一番時

間がかかった話については、ここまで書いてない。それは、流れ星に願い事

をするという話( or 習慣)がどこから生まれたのか、ということだ。

      

ネットで普通に検索すると、有力な説明はすぐ一つに絞られる。もともとウラ

ル・アルタイ系民族古い習慣で、彼らが多く住むヨーロッパ、アジアに広く

分布。流れ星は、神様が地上を見る為に「天の扉」を開いた時に漏れた光

だと考えた。つまり、流れ星が流れた時は神様が私達の方を見ている時

から、その間に願い事すれば叶うと考えられた・・・とかいう説明だ。

      

同じ説明がネットのあちこちに広まってるが、とりあえずの元ネタになってる

のは、教えて!gooの2002年7月13日の書き込み。更にその根拠として

挙げられてるのは、東京大学地文研究会天文部のHPだ。1999年の学園

祭「第72回・五月祭」において、本郷キャンパスの3・4年生が中心になって

実行した企画「流星」のパンフレットに書かれてたらしいけど、今現在はリン

ク切れになっていて、その辺りのあちこちを探しても見つからない。リンク切

れをみんな、出典のままにしてるし、もともと相手は、優秀とはいえ、まだ幼い

学生たちにすぎない。

               

したがって、実質的にはほとんど根拠が無いまま、コピー&ペーストのよう

にして話が広がってるわけだ。もちろんウチでは、その種の世間に広まっ

てる話がそれほど信頼できないという事を、今まで何度も示して来たわけ

で、この説明も差し当たりは保留するしかない。他の有力な情報も見つかっ

てないから、否定もできないのだ。

            

普段よく役立ってる英語版ウィキも、流れ星への願い事に関しては役に立

たなかった。まして「3回願い事をすれば」という時の回数の由来について

は、強く願うという意味だとかいう曖昧な想像(or 解釈)しか見当たらない。

                       

まあ、とりあえず、こうした情報をまとめるだけでも意味はあるだろう。この

程度の事情説明でさえ、他には見当たらないのだから。後でまた、ヒマな

時にでも調べてみたい。図書館で調べた方が良さそうだね。

       

というわけで、まさかまさかの第3話レビューまで書き上げてしまった。いや、

他の事をやりたいんだけど、どうもこのドラマは胸に響くのだ。連ドラが毎週

楽しみだって感覚は、かなり久し振りだな。ここしばらくは、基本的にブロガー

としての義務感で書いてた部分が大きい。ま、趣味のタダ働きだから、何の

義務も責任もないし、別にドラマブロガーのつもりもないんだけど。そもそも、

去年の春以降は、ドラマ長期お休みモードなんだけどなぁ。来週こそ、完全

にスルーして、他の事をするべきか。。

      

ブツブツと、毎度お馴染みのボヤキを書き連ねてる内に、久々の5000字

超えとなった。それでは今週はこの辺で。。☆彡

          

              

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

cf.主役と演出家が再会、『ビーチボーイズ』の変奏~『流れ星』第1話

  クリオネ女子、クラゲ、大塚愛~『流れ星』第2話

  消えない流れ星に願いを~『流れ星』第4話

  星=コンパスとしての、死んだ父~『流れ星』第5話

  竹野内豊主演ドラマ、視聴率の推移&『流れ星』第6話

  共に歩むもの、ドッペルゲンガー(分身)~『流れ星』第7話

  揺らめきながらも前進する自転車~『流れ星』第8話

  ネガティブなものの直視~『流れ星』第9話

  クラゲ流星群のウエディングドレス~『流れ星』最終回

            

                                  (計 5610文字)

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