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放射線(放射能)の危険性と距離~2つの逆二乗法則(情報源明示)

(☆8月26日追記: 逆2乗法則正確な数式記事をアップ。

     外部被曝におけるベクレルとシーベルトの計算式(by IAEA) )

       

          

失敗した。。あまりに眠いから、走る前にちょっとだけ仮眠しようと思ったら、

起きれなかった。途中、震源が静岡の地震で目が覚めてしまったのも災い

したようだ・・・って言うか、目覚める方が正解だな。

          

とにかく、深夜になってしまったから、こんな時期に今さら走りに行くと、警

官に職務質問されてしまう♪ 仕方ないから、代わりに原発事故の関連記

事をサラッと書いとこう。本格的に書く余裕は流石にないけど、今現在ネッ

ト上に見当たらないマニアックな内容ではあるし、もちろん、先日の節電記

のように、根拠となる情報現も明示しておく。あくまで自己責任の範囲で、

ご参照頂きたい。

          

           ☆          ☆          ☆

まず、先日も触れたけど、あらためて「放射線」と「放射性物質」と「放射能

の関係について書いとこう。直接的に問題なのは放射線というビーム(粒

子の流れ)。自然界にもあって、微量なら問題ないが、多量だと人体に有

害。また、放射線を出す物質(=放射性物質)も、放射線を出す能力(=放

射能)も、同じく問題となる。各単語の語尾(線、性物質、能力)を見れば、

一通りの区別はすぐ付く。

              

ただし、放射能という言葉は、放射性物質のことを指すことがよくある。例

えば、朝日新聞15日夕刊など。これは、元をたどると言葉の誤用だが、長

く広く使われて来たものだから、もはや誤用というより普通の用法だ。放射

性物質と言うと、長くて堅苦しいし、日常的に「・・性物質」などという言葉を

使うことはまずない。

            

         ☆          ☆          ☆

さて、今回の東京電力・福島第一原子力発電所の大事故では、すでに

径20キロ以内から避難するよう呼びかけが行われて、すでにほとんど避

難完了。さらに、その外側の20~30キロ圏内の住民には、屋内退避

要請されている(朝日15日・夕刊)。つまり、建物の中にいればいい。

         

これらの地域の住民は、指示に従えばいいわけで、実行できるかどうか、

実行するかどうかはともかく、頭を悩ます必要はない。差し当たりの「正解」

が、菅直人首相からハッキリ与えられてるのだ。

             

しかし、問題はそれ以外の住民。私も含めて、原発から半径30キロを超

える場所に住む人達だ。これは一応、韓国や中国も含まれるけど、実際

に差し迫った危険性を感じる可能性があるのは、周囲の都道府県だろう。
    
例えば、半径100キロならどうなのかとか、200キロなら安全なのか、と

いった話だ。

            

特に、住民や通勤・通学する人が集中する首都圏(東京、埼玉、千葉、神

奈川)では、話題になりやすいだろう。ほぼ半径200~300キロ圏内にい

る人達だ(朝日15日夕刊の図)。そもそも、最初は10km以内に退避指示

が出てたのが、20~30kmに拡大したのだから、どこまで危険性が及ぶ

のか、気になるのは自然なことなのだ。

        

           ☆          ☆          ☆

これに対するマスメディアの報道は、どれも「今の所、特に心配ない」といっ

た感じの論調になってる。「現段階では、例えば200キロ以上離れた東京

の人が、むやみに心配する必要はない」(同上)。「指定された距離以上に

離れた地域に避難していれば、一般住民の健康に影響が出ることはない

と思う(読売HP・15日)。「関東でも一部では普段よりも高い数値を観測し

たが、人体への影響はほとんどないと専門家はみている」(日経HP・16日)。

                      

しかし、これらの文章をよく読むと、別に危険性が全否定されてるわけでは

ない。すべて、明快な断定にはなってないことに注意しよう。「むやみに」で

はなく「多少」心配する必要ならあるかも知れないし、「ほとんどない」のな

ら「少しはある」かも知れない。あるいは、専門家といっても大勢いるわけで、

一部の意見を聞いてるだけだから、もっと深刻に考えてる専門家もいるか

も知れないのだ。

            

もちろん、「だからやっぱり危険だ」と言ってるのではない。それは「逆向き

の行き過ぎ」というものだろう。安全だと確信するのも行き過ぎだが、危険

と動揺するのも逆の行き過ぎだ。そこで冷静な考察が必要になって来る。

         

        ☆          ☆          ☆

ここで、ウィキペディアの「被曝」の項目も含めて、ネット上のあちこちに見ら

れるのが、「逆二乗の法則」とか呼ばれるものだ。放射線の量は、放射線

源(=放射性物質)からの距離の2乗に反比例するという説。2乗の逆数に

比例とも言える。元々は光、つまり光線というビームに関する議論だろう。

光も放射線も、同じく電磁波なのだ。

         

これに従うと、原発から30km離れた場所と比べた時、7倍の210km

れた場所では、放射線の量が49分の1(= 1/7 ²)に減少することにな

る。この場合、関東では大丈夫だろうという結論になる。

     

 (☆追記: 距離と放射線量については、実測データの別記事もアップした。

   原発から各地までの距離と、放射線量の年間総量(by文科省データ) )

         

けれども、この逆2乗法則には注意点がある。まず、マスメディアの事故関

連報道で、この話を直接書いてるものが見当たらない。信頼できそうなも

のとしては、医療ガバナンス学会のメールマガジンVol.64とか、近畿中央

胸部疾患センターHPの「被ばくについて」という説明に一応書いてあるけ

ど、原発事故による被曝と関連付けた信頼できる記事は、意外なほど少な

いのだ。先日も書いたように、ウィキペディアの項目には、上部に「未確認

であったり誤りがある可能性があることを考慮してください」と警告してある。

            

一応、逆2乗法則に関する実験もあるようだが、これは人工的なごく狭い空

で行ってるだけだし、逆二乗にはあまりなってない(例えば群馬県立高崎

高校HP)。よって、現実の大災害を考える際には、参考程度のものでしか

ないのであって、むしろこの法則は、数学的な「理論」である可能性が高い。

          

つまり、点源(一点にある放射線源)とみなせる放射性物質から、ある距離

だけ離れた場所を、その距離を半径とする球面と考えると、2倍の距離

110316

  ら、球面の面積が4倍

  になる。人間の身体の

  大きさや、中心から放

  たれる放射線の量は一

  定だから、4倍の面積

  の場所に人間がいれば、

  浴びる射線は4分の1

  になる。そうゆう「理

  屈」だ。左図で長方形

  を球面と考えればよい。

          

しかし、これが(差し当たり)中学校数学のレベルの理論だということはさて

おき、その場合の距離とは、「放射性物質からの距離」だということを忘れ

てはいけない。「原発からの距離」ではないのだ。放射性物質(ヨウ素131、

セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウムなど)は、あちこちで報道

されてるように、風に乗ったり雨で落ちたりするものであって、それ自体が

長距離を移動してしまう。

       

だから、関東の人間は、放射性物質から200kmほど離れてるどころか、

体内に取り込んで「内部被曝」する可能性も一応ある。風、雨、食物への

付着など、ルートは様々だが、この場合の距離はゼロとなってしまう。

          

では結局、「原発からの距離」は関係ないのかというと、そんな事はない。

まず、花粉も含めて一般に言えるのは、遠くに物質が運ばれる時には、

非常に小さい微粒子の形であるし、濃度が低くなる、という当たり前のこ

と。つまり、放たれる放射線というより、「放射性物質」が減るわけだ。

          

実際、16日の日経HPには、「大気中の放射性物質の濃度は距離が離れ

ると急速に下がる。発生源から1キロメートル先では、濃度は100万分の1

程度まで低くなるという」と書かれてる。この文章、何と比べたのか明示して

ないが、おそらく発生源から1mの場所と比べたものだろう。

             

1kmは1mの1000倍。1000を2乗して逆数を取り、100万分の1という

わけで、結局これは、「放射性物質の濃度に関する」逆2乗法則ということ

になる。以前の、放射線量に関する法則と同じく、差し当たり数学的なもの

だろう。だからこそ、「・・・低くなるという」といった弱い表現になってる。

             

とはいえ、逆2乗で減少するかどうかはともかく、距離が遠くなれば物質の

濃度が減るのは一般に当たり前のこと。読売15日HPにも書いてあるし、

朝日15日夕刊によると、この日の1時間あたりの放射線量の観測データ

は次の通り(単位はマイクロ・シーベルト)。いわき市、23.7。新宿0.8。

横須賀0.2。原発から離れるにつれて、急速に減ってるのが分かるのだ。

           

これは正確には、放射性物質の濃度ではなく放射線量だが、朝日は濃度

と結びつけて書いてるし、濃度の参考にはなる。もともと厳密な数字を問

題にしてるのではなく、距離が増えると濃度が減るという大まかな関係(負

の相関関係)を言いたいだけだから、参考データも大まかで構わない。い

ずれ、物質の濃度自体の測定も行われるだろうと期待している。

      

濃度の減少以外にも、放射性物質が長距離を移動するには時間がかか

る。平均風速を毎秒2mと高めに見積もっても、200km飛ぶには10万秒、

つまり30時間近くかかるわけで、その間にヨウ素131(半減期8日ほど;

朝日15日夕刊)は多少減る。まして西日本なら大幅に減るわけだ。半減

期が約30年のセシウムやストロンチウムは別としても。。

            

         ☆          ☆          ☆

結局、原発からの距離が30kmを超えてる住民は、その距離が遠ければ

遠いほど、安心していいことになる。もちろん、相対的な意味だが、今現

在、200km以上離れた場所で不安を感じる必要はないはずだ。外でラン

ニングしていいのかを聞く検索アクセスが、昨日2件入ってたが、わりと薄

着とはいえ、数時間の外出なら実害はないだろう。

          

予防とか心がけとして覚えやすいのは、至る所に書いてある、被曝防止

の3原則は「距離」、「時間」、「遮蔽」。書き方は違うけど、実質的には朝

日15日夕刊にもある。

           

つまり、遠くにいて、外出時間を短くして、身体を衣服や建物によって守れ

ばいい。外出時間が長くても、距離が非常に遠ければいいわけだ。中部・

関西地方や、北海道はほとんど関係ない。逆に、福島に直接訪れた人で

も、短期間なら心配不要だ(放射線医学総合研究所HP)。ケースバイケー

ンなので、どれだけの距離なら安全か、というような一律の説明は、科学

的というより政治的な配慮である。距離と危険度の単純な数式はあり得

ないし、もしあったなら、空論とまで言わないにせよ、「机上の理論」だ。

          

という訳で、書き終えてみれば、そこそこ本格的な記事になってしまったか

ら、もう寝よう。一刻も早い事態の収束、あるいは終息を願いつつ、今日

の所はこの辺で ☆彡

                

        

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.ヨウ素131(放射性同位体)は放射性物質だが、それに対する

    定ヨウ素剤のヨウ素は、もちろん放射性ではない(47ニュースHP・

    15日)。だからといって、ヨウ素剤をむやみに飲むのは危険だと、

    至る所で警告が発せられている(放射線医学総合研究所HPなど)。

   

    そもそも、内部被ばくへの効果しかなく、身体の外からの「外部被

    ばく」には意味がないどころか、副作用の危険があるだけだ。おま

    けに、ヨウ素による甲状腺ガンは、成人にはほとんど関係ない(朝

    日新聞・16日朝刊)。昆布・わかめ・海苔は元々十分摂取してるし

    (国立栄養・食品研究所HP)、ヨウ素量も一定でなく、吸収にも時

    間がかかる(朝日16日朝刊)。うがい薬やのどスプレーを飲む

    は単に有害なだけとのこと(同上)。

        

P.S.2 200kmという距離を指定した検索が多いのは、やはり首都圏

      までの距離だからだろう。要するに、「原発から」20kmの場所

      と比べて、10 ²分の1、つまり100分の1と考えるのは机上の

      空論であって、間違いとか誤りと言っていい。だが、大幅に減

      るという大まかな考えなら正しいということだ。

          

P.S.3 昨夜の震度6強の地震にも関わらず、静岡県の浜岡原子力発

      電所は通常通り運転してるそうだ(中日新聞HP・16日)。ただ

      し、市民から停止の申し入れはあった(朝日HP・15日)。

     

P.S.4 2つの逆二乗法則が混同されがちなのは、「放射線源」という

      言葉が、放射性物質だけではなく、それを発生させる施設など

      を含む事があるからだろう(緊急被ばく医療研修HP・用語集)。

      

         

cf.原発から各地までの距離と、放射線量の年間総量(by文科省データ)

  シーベルト、グレイ、ベクレル~放射線・放射能の単位について

  雨の長距離ランニングで浴びた放射性物質の計算(by定時降下物データ)

  体内摂取した物質の放射線量の計算~物理学的・生物学的半減期

  原発事故評価レベル7と、セシウムのヨウ素換算値の計算(by INES)

  福島原発レベル7の基準を読む~INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)

  福島原発によるガン発生の厳しい試算~欧州放射線リスク委員会 

  中部・関西などの節電は「無意味」ではない

                     ~電力の総合的考察(情報源明示)

  原発事故はみんなが無責任、だけどね・・~東電社員の息子・ゆうだい君への応答

  被曝する全放射線量の計算方法 (自然・医療、外部・内部、屋外・屋内)

  放射性物質の半減期、壊変定数、質量(重さ)~微分方程式の初歩など

  外部被曝におけるベクレルとシーベルトの計算式(by IAEA)

  義務教育における放射線・放射能~中学校・理科の教科書&副読本

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   テレビ業界に精通するキッドさんによる、ヒネった震災番組レビュー♪      

     放射能みんなであびればこわくない(キッド)

       

                                  (計 5487文字)

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コメント

こんばんわ。
私は水素爆発のほうが気になって水の熱分解温度で
検索すると、1100℃から5500℃まで。
自分で計算してみたら3120℃。
242KJ/MOL=57.9kcal/mol→3.12kcal

燃料棒が触媒の働きをするのかなあ。

投稿: けろよん | 2011年3月16日 (水) 22時30分

> けろよんさん
   
こんにちは。
「ちょっと調べてみたけど、差し当たり分かりません」
とだけレスしようかとも思いましたが、
書ける範囲のことを一応書いときましょう。
   
水の熱分解の温度を計算で求めるのなら、
いろんな設定やデータが必要ですね。
けろよんさんの式は、気体の水の反応熱を
使ってるようですが、それで「分解」に必要な熱を
計算できるのかどうか、よく分かりません。
     
「反応熱は反応の経路や方法には関係しない」という
ヘスの法則がこの特殊な場合に適用可能かどうかも
分からないし、反応熱から熱分解の温度を出して
いいのかも分かりません。
   
あと、式の最後の単位は、kK(キロ・ケルビン)
でしょうが、3.12はどう計算したんでしょうか?
3.22なら、水の分子量18で割ったんでしょうけどね。
        
最後に、液体の水の比熱を使ってしまってませんか?
水蒸気の比熱は気体だから別だし、
定積か定圧かによってもかなり違って来ると思います。
    
何か僕が勘違いしてたら、指摘頂いて構いません。
ただ、数値や数式が何を示してるのか、
僕にも読者にも分かるようにお願いします♪

投稿: テンメイ | 2011年3月18日 (金) 11時42分

混乱させてごめんなさい。計算といっても
H-Oの結合エネルギーの単位を変えただけです。
おっしゃるとうり18で割ったので3.22でした

本当に申し訳ありませんでした。

投稿: けろよん | 2011年3月18日 (金) 22時25分

> けろよんさん
    
いえいえ、別にいいんですよ。僕も、頭の体操になったし♪
間違いの指摘で素直に謝れる人は、少ないですしね☆ 
     
ちなみに、H-Oの結合エネルギーは、手元の
『チャート式 新化学』だと463kJ/mol。
ウィキだと459になってます。
調べてる間に、反応熱との誤解が生じたんじゃないですかね。
   
あっ、今度は聞き流してくださって結構ですよ(笑)
自分で計算するってだけでも素晴らしいこと。
僕なんて、レスのために計算しただけですからネ (^^ゞ
  
ではまた。。

投稿: テンメイ | 2011年3月19日 (土) 11時39分

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