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福島のスギ花粉の放射能による内部被曝の計算式(by林野庁)

12月27日の林野庁農林水産省・外局)発表によると、森林総合研究所

名古屋大学の協力で、スギの雄花とその内部の花粉に含まれる放射性

セシウムの濃度の調査を実施。とりあえず、福島県内の調査結果を、中間

報告としてまとめた。正式な結果は2月上旬に発表の予定。今回の試算

果の数字で判断するなら、ほとんど気にする必要のない被曝量にすぎない。

       

スギの花粉に含まれる放射能(セシウム)の濃度を、雄花の濃度と比べる

と、ほぼ同程度だったので、試算には雄花の濃度(乾燥重量1kgあたり何

ベクレルか)を使用。まだ雄花は閉じてることもあって、花粉を直接調べる

より雄花を使った方が簡単なのだろう。

     

セシウム(Cs)による内部被曝の計算は、基本的にはいつもの通り。つまり、

Cs137Cs134のそれぞれについて、

   

   吸引する放射能の量(Bq)×吸引摂取の実効線量係数(μSv/Bq)

   

で計算して、最後に足し合わせる。ちなみにカッコ内は単位で、「Bq」は

ベクレル。「μSv」はマイクロ・シーベルト、つまりシーベルトの100万分

の1。この種の科学的計算では、単位が重要だ。

          

吸引するのでなく、口から飲み込んだ場合は、係数の値が多少下がるか

ら、被曝量は減ることになる。よって、被曝量が多くなる吸引の方が問題

だ。吸引で安全なら、飲み込んでも安全という理屈になる。正確には、飲

み込むと言うより、摂取すると言うべきだろう。。

      

      

         ☆          ☆          ☆

(1) ではまず、Cs137の吸引(または吸入)による内部被曝の計算。

1時間当たりの値(μSv/時)を求めるために、先ほどの式を少し書き直すと、

   

1時間に吸引する放射能の量(Bq/時)×係数0.039(μSv/Bq) ・・・① 

     

この実効線量係数0.039は、林野庁が用いてる成人の値で、子供(3~

7歳)の場合は2倍程度、乳幼児(3ヶ月~2歳)の場合は3倍程度になる

(放射線医学総合研究所より)。

     

①式の左半分、放射能の量は、吸い込む空気に含まれる花粉に注目して

計算する。以下、林野庁HPの該当pdfファイルに示された値を使用。もち

ろん(?)、式までは書いてくれてないから、この記事で解説してるわけだ。

         

1時間に吸引する放射能の量(Bq/時)

  =空気の濃度(Bq/m³)×1時間の呼吸量(m³/時)

  ={空気中の花粉の濃度(個/m³)×花粉の重量(kg/個)

    ×花粉のセシウム濃度(Bq/kg)}×1日の呼吸量の1/24(m³/時)

  ={2207×(12÷1000÷1000000000)×145000}

                            ×(22.2÷24) ・・・②

     

②式を①式の左側に代入して計算した答は、約0.000139(μSv/時)。   

     

   

(2) 全く同様の考えで、Cs134による内部被曝は次の式で求められる。

   {2207×(12÷1000÷1000000000)×108000}

                   ×(22.2÷24)×(係数0.020)

   ≒0.000053(μSv/時)

      

       

(3) したがって、2種類のセシウムによる内部被曝量の総和

      0.000139+0.000053=0.000192(μSv/時) ・・・答

                                     (計算終了)

       

     

            

        ☆          ☆          ☆

林野庁の発表には、2種類のセシウムの量を合わせた約25万ベクレルと

いう値もあるが、これはCs137の14万5000と、Cs134の10万8000

を単純に足し合わせたもので、時々見かける省略表現だ。両者は係数が

違うから、正確には上のように別々に計算する。

    

ちなみに答の0.000192μSv/時という値は、実は成人の最大値。つ

まり、も厳しいデータを用いた計算結果であって、実際にはこれよりか

なり低い値になると思われる。

        

この最大値でさえ、現在の空間線量(約0.05μSv/時以上)と比べても、

200分の1にすぎない。年間(24×365=8760時間)で計算しても、内

部被曝の総量は約1.68μSv。つまり、0.00168mSv(ミリ・シーベルト)

であって、最も厳しい年間基準値1mSvと比べても遥かに低い子供で2

倍、乳幼児で3倍の内部被曝としても、まず問題はない。     

     

では花粉による「外部」被曝はどうか。真面目に計算するなら、標準理論

基づく面倒な積分計算になってしまう。ただ、内部被曝でさえ余裕十分なの

だから、気にする必要はほとんど無い。万が一、ほんの少し問題のある量

になった場合でも、普通の空間線量の値に反映されるはずだから、そちら

をチェックしてれば大丈夫だ。

                

したがって、林野庁の情報とICRP(国際放射線防護委員会)の標準的理

論を信用するなら、何の問題もない。信用しないのなら、互角以上の代案

を示すべきだが、仮に100倍に見積もるとしても、基準値まで余裕がある。

おまけに、来年花粉の量普通で、今年よりは少なめとのこと。花粉症

の人には、総合的にひとまず朗報だろう。

                   

春以降、ずいぶん沢山の放射線記事を書いて来たが、今年はこれで終了

する。正確な計算と根拠に基づいて、冷静に判断することを心がけて来た

つもりだ。来年は、明るい光の訪れに期待したい♪ ではまた。。☆彡

          

       

      

P.S. 2012年2月2日の朝日新聞・朝刊「ニュースがわからん!」では、

     「スギ花粉と放射能」と題して簡単に解説。今春はヒノキも含めて

     花粉が少なめで、東北では1~4割減関東では3~4割減と予

     想されていた。

           

            

cf. 被曝する年間放射線量すべての計算方法

                  (自然・医療、外部・内部、屋外・屋内)

   ランニングの呼吸で内部被曝した放射線量の計算

   WHO(世界保健機関)による被曝線量の推定(全国、年代・経路別)

   義務教育における放射線・放射能~中学校・理科の教科書&副読本

                   

                               (計 2297文字)

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