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トマトジュースで痩せる!、京都大の研究発表のまとめと注意点

昨日も風邪で走れなかったから、代わりに何か記事のネタを探す必要が

ある。新聞やネットでたまたま目に付いたのが、トマトが売り切れとかいう

ニュース♪ ウチの近所のスーパーでは平気で売ってて、むしろバナナの

方が品不足なんだけどな。ちなみに3年半前には、バナナ・ダイエットが

流行って、バナナが売り切れになったのだ。

    

さて、今回の話を聞いてすぐ思い出したのが、以前書いたチンパンジー論

文の記事。あの時も、「PLoS ONE」(プロス・ワン)という電子版の科学

英語論文が掲載されて、朝日新聞が紹介。サルが「手助け」するとい

う面白い話だから、わりと真面目に読んで記事を執筆。論文のページに

TB(トラックバック)まで付けたから、どんな反応があるのかと思ってワク

ワクした。ところがほぼ完全な空振りで、検索アクセスもTBからのアクセ

スも僅かだし、ウチの常連さんもあまり読んでなさそうな感じ。ガッカリし

たもんだ。

     

その後も、色んな科学系の記事をアップして、何となく分かって来たことが

ある。次々と新しい研究が発表される分野ニュースで記事を書いても、

ほとんど相手にされないのだ。それに対して、「1+1=2」とか、波動方

程式とか、数十年~数千年のレベルで不動の基本的な話を記事にする

と、ウケがいい。もっと言うなら、簡単で役に立つ話がいいのだ。代表格

が、宝くじの買い方。あるいは、放射線被曝の計算もそんな感じだろう。

     

     

         ☆          ☆          ☆

前置きはこのくらいにして、トマト・ダイエットのブームを(短期的に)作り

出すことに成功した、京都大学の研究チーム(河田照雄、金英一ほか)。

日本語なら、新聞やネットのニュースより、京都大学HPの「研究」の「お

知らせ」が手頃な科学的解説だと思う。

   

トマトジュースでお馴染み、デルモンテが研究をバックアップしてるという

点が少し気になるが、「産学共同」(産業と大学の結びつき)への批判と

いうものは全共闘と共に終わったんだろうから、さほど問題ではない。研

究の内容こそが問題だ。

  

私は知らなかったけど、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺が

あるそうで、昔からトマトの栄養は評価されて来た。研究チームは、ト

マト(特にジュース)から13-oxo-ODAという有効成分を発見。毎日

新聞によると、リノール酸の仲間らしい。

   

これを、肥満・糖尿病のマウス(KK-Ayと呼ばれてる)で動物実験。

その成分をより多く含む食事を与えた方が、効果があったのだ。細か

く言うと、血中および肝臓中の中性脂肪量の上昇を抑制、脂肪の燃

焼の亢進も「示唆され」た。成分が0.02%の時より、0.05%の時

の方が効果が高いので、トマトジュースを沢山飲めば、人のメタボリッ

ク・シンドロームなどにも良い「のではないか」、という話に一応なる。

   

    

         ☆          ☆          ☆

確かに興味深い研究だが、色々と注意も必要だ。まず、根本的にまだ

物実験であって、他のチームによる追試も(ほとんど)行われてないはず

だ。ということは、1週間ほど前からのトマトの流行が、「人間での実験」

という意味合いを持つことになる。もちろん、ほとんど副作用はないだろ

うし、自主的に行うのだから、別に問題はない。

     

ただ、使ったマウスは肥満・糖尿病の特殊なマウスだから、その種の病気

を持つ人ならともかく、健康な人と比べる場合、相当な違いがある。あと、

与えた食事はもともと高脂肪食(60%kcal脂肪)であって、人間の普通の

食生活からは相当離れたものだ。おまけに、人間に換算すると、1日3回、

200mlのトマトジュースを飲むことに相当するとのこと(有効成分だけに

関する換算)。よほど好きな人でない限り、続けるのは大変だろう。ちなみ

マウスは4週間続けたようだ。

             

結局、既にメタボな人を除くと、普通の食事を摂ってる健康な人がトマト

ジュースを飲んで痩せるかどうかは、かなり曖昧だろう。そもそも論文

読んでも、体格が痩せたとか体重が減ったとかいう、誰にでも分かりや

すい効果の証拠は見当たらない。逆に、どうして4週間で止めたのか

思議な気がする。そのまま数ヶ月続けて、体格や体重を測定する方が、

遥かにインパクトがあったはずだ。

          

もちろん、ダイエットなんてものは幾らでも方法があるし、信じて努力すれ

ば、大抵のものにはそれなりの効果があるとは思う。したがって、別に最

近のブームを批判するほどの根拠もない。ただ、おそらく多くの人は続か

ないだろうし、また別の流行が生まれることになるだろう。ランニングや自

転車など、有酸素系スポーツのブームの方が、遥かに長続きすると思う。

        

ちなみに私自身は、前から書いてる通り、最近やせ過ぎて困ってるので、

わざわざトマトを食べるつもりはない。やせ過ぎでがんリスクがかなり上が

るのは、国立がん研究センターが公表してることだから、むしろトマトを避

けて高脂肪食を食べるべきなのかも♪

   

なお、英語論文も一応見たけど、専門用語が多過ぎるし、日本語の説明

と比較して特に面白い点も無かったから、省略しよう。ちなみに論文名は

次の通り、非常に長くて分かりにくい。トマトジュースという単語は、デルモ

ンテへの配慮もあるのかも。最後の「Mice」は「mouse」(マウス)の複数形。

       

  Potent PPARα Activator Derived from Tomato Juice, 13-oxo-9,

    11-Octadecadienoic Acid, Decreases Plasma and Hepatic Triglyceride

    in Obese Diabetic Mice

     

要するに、「トマトジュースの成分が、肥満・糖尿病のマウスにおいて、

や肝臓の中性脂肪を減らす」という意味で、実験内容そのままの題名だ。

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

    

    

  

P.S. 2月20日の日経新聞コラム「春秋」では、「フードファディズム

     (food faddism)という言葉と共に、食品への過大評価やのめ

     り込みを冷めた目で見つめている。ただし、今回の場合が過大

     評価かどうかは明言を避け、次のように言葉を濁していた。

     「こんどはちゃんとした研究に違いないが、かくも熱くなるとは世

     間にメタボおやじがあふれているせいだろうか」。 

       

     ここで「おやじ」と書いたのは、女性への気遣いなのか、あるい

     は読者に中高年男性が多いからなのか。。

    

         

P.S.2 『週刊新潮』3月1日号(2月23日発売)に、「街から『トマトジュー

      スが蒸発! 『トマト・ダイエット』は効くか! 効かないか?」と題

      する記事が掲載されたようだ。後ほど内容をチェックしたい。

    

           

P.S.3 上記、『新潮』の記事をチェック。2ページだけで、中身の薄い記

      事に過ぎなかった。めぼしい内容は、トマト自体ではなくトマトジュー

      スが売れてること、医薬品としての実用化までに20年くらいかか

      るという話と、トマトはあくまで補助的なものだという話(食事制限

      と運動、食事全体の内容が重要)。

   

      塩分に注意とも書いてあったが、近所のスーパーに行ってみる

      と、カゴメの食塩無添加のものだけが売り切れ。ネットで見ても

      無塩トマトジュースはあちこちで売り切れになってた。  

            

                                (計 2917文字)

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コメント

はじめまして o(_ _)oペコッ
長い間読者をしていますが初めてのコメントです
あ、山Pファンですw

山Pファンなのにこのエントリーに初めてのコメントなんて変ですが、家族に糖尿病患者がいるのでこの手の話題には興味があります

私の勉強した限りでは糖尿病の患者にとってトマトジュースのがぶ飲みは危険です
この実験は13-oxo-ODAの成分を多く含む食事を与えたそうですが、実際のトマトジュースにそのほかに糖質がたくさん含まれています
糖質は血糖値をあげます。そして食べ物から摂る糖質よりジュースから摂る糖質はより急激に血糖値をあげてしまいます
日本では糖尿病の食事療法はカロリー制限が主流ですが、米国では糖質制限が常識となっているようです
実はテンメイさんのマラソン後のジュースもあまりお勧めできません。健康な人であっても空腹時の糖質たっぷりのジュースは少なからずグルコーススパイクがおきているはずです。
これからも山Pの記事をたくさん書いて欲しいのでどうかご自愛ください

ちなみに私は「ドクター江部の糖尿病徒然日記」で勉強しています。健康な人にとってもおもしろいブログだと思います。過去の記事には炭水化物を摂らずにハーフマラソンを走ったっていうのもありましたよ

投稿: ひろりん | 2012年2月16日 (木) 09時54分

> ひろりん さん
   
はじめまして。コメントありがとうございます。
「長い間読者」って、『プロポ』くらいですかね♪
まさか『野ブタ』以来とか。
   
山Pファンの方の初コメがこの記事とは面白いですね。
ご家族が糖尿病ですか。僕の周囲にもいますよ。
平気で食べまくって、後は病院と薬任せです (^^ゞ
 
     
このニュースでトマトに飛び付いてるのは、
普通の女性が大多数だと思いますけどね。
流石に糖尿病患者だと、トマトジュースの
がぶ飲みを続けたりはしないでしょう。
    
患者の場合は、将来開発されるはずの
サプリメントを飲むんじゃないかな。  
論文も、患者にトマトジュースのがぶ飲みを
勧めてるって訳ではないですしね。。
    
   
糖尿病の食事療法、なるほど。
日本はカロリー制限、米国は糖質制限が常識ですか。
    
「グルコーススパイク」とは、食後高血糖。
つまり、グルコース(glucose:ぶどう糖)の
血中濃度がスパイク(spike:急上昇)することですね。   
    
検索すると、トップがドクター江部でした。   
ブログもトップページだけ拝見。
なかなか本格的で刺激的な内容ですね。
 
    
僕の身体まで心配してくださって、有難い限りです♪
ただ、ランニング後の暴飲暴食は中学時代から続けてて、
これまで一度も太ったことはないし、内蔵の変調もなし。
お腹がゴロゴロすることさえ滅多にありません。
この長期間の個人データは大きいと思います。
 
周囲のランナーや自転車仲間を見ても、みんな適当ですよ。
何しろ、一番速い仲間でさえ、早朝レースの前夜に
飲みまくるような人ですからね(笑)。
それでタイムは凄いし、心身共に健康そのもの。
糖尿病って話も、スポーツ仲間では(ほとんど)聞きませんね。
単なる酒飲みの友達なら、糖尿病になってましたが。
     
僕は素人ですが、今まで書いて来たように、医学や医療には
関心があるし、すぐに元の専門論文まで探して読みます。
また、周囲には専門家も大勢います。
   
カロリー制限と糖質制限の一番大きい違いは、
患者にとっての分かりやすさじゃないですかね。
カロリーはあちこちに書かれてるから、
計算もしやすいし、実行するのも比較的簡単。
それに対して、糖質制限はちょっと難しい。
グルコースとかスパイクという言葉も、日常的ではありません。
    
この記事にも書いてますが、ダイエットにせよ、
トレーニングにせよ、その時々で色んな考えがあって、
続ければどれでもそれなりの結果を出せると思います。
もちろん、糖質制限の方がより効果的、より安全だという考えは
あり得るでしょうが、最大のポイントは続けられるかどうか。
そのためには、分かりやすさ、やり易さ、楽しさが重要です。
     
もっと言うなら、糖尿病でもいいから楽しく食べたい、
という考えもあります。僕の周囲の患者もそのタイプ。
医者は病気の治療を第一に考えますが、
患者は必ずしもそうではありません。
もっとアバウト、適当に生きてる人が沢山いるわけで、
それはまさに『ルート66』で言ってた話と同じでしょう。
個々の人間のライフスタイル、生きる道なのです。
   
病気と共に、なるべく好きなように生きるスタイル。
もちろん、糖質制限で病気と闘うのも一つのスタイルです。
    
   
最後に一つ、印象的な話をしましょう。
何も口に入れてはいけない病人が身近にいて、
空腹でうめいてた時、親族がお菓子をこっそり持ち込みました。
病人は涙を流しながら、ほんの少し口にする。
医師も看護師も、怒るどころか見て見ぬふり。
実はこの病院、非常に評価が高い所なのです。
      
自分にせよ、他人にせよ、人間と向き合うというのは
こうゆう事だと僕は思ってます。
病気や治療より本質的なのは、クオリティ・オブ・ライフ。
トータルでの、生の質でしょう。
    
それでは。。

投稿: テンメイ | 2012年2月17日 (金) 07時43分

ルート66で言ってた話
個々の人間のライフスタイル、生きる道
確かにそうですね

テンメイさんのコメントを読んで昔叔母が糖尿病で苦しんでいた時「好きなもの食べさせてあげたらいいのに」と思っていた自分を思い出しました。
いざ大切な家族が同じ状況になった時あの頃の様には考えられない自分がいます
大切な人の人生に向き合うのは難しいです

投稿: ひろりん | 2012年2月17日 (金) 09時29分

最後の話が文字通り印象的で書くの忘れてました
プロ大の時からの読者です(゚▽゚*)
野ブタの記事もさかのぼって読みました
亀梨君ファンの方とコメント欄でお話してるのもしっかりチェックしてますよ
結構ヘビーな読者でしょ?

投稿: ひろりん | 2012年2月17日 (金) 12時32分

> ひろりん さん
   
こんにちは。再びコメントどうもです
レスが遅れて失礼しました。
    
身近な人にせよ、自分自身にせよ、「病人」への対応を
どうすべきか、難しい所ですね。
ある意味、「病気」への対応より難しいでしょう。
一般的な正解がありませんからね。
その都度、個別に対応するしかないし、
それが正しいかどうかも確信が持てません。
    
大まかな考えとしては、まず本人の希望を考えて、
次に家族の希望を考える。
ただし、本当に身近な人間の場合は、本人の希望を
押しのけてでも、正しいと思うことをやる。
これもまた、間違ってはないと思います。
   
色々と考える際、基本的に理解しとくべきなのは2つ。
まず、病気を治したり避けたりするのがベストとは限らないこと。
また、医者や医学はそれらをベストと考えがちだということ。
   
こういった事は、素人だからこそ言えることでしょう。
そして、人生に専門家も素人もないわけです。
と言うより、みんな手探りのプロフェッショナルでしょう♪
     
  
一方、ひろりんさんの読者歴のお話。
『プロポーズ大作戦』からの読者さんでしたか
もうすぐ丸5年☆ それは貴重ですね♪ 
   
あの頃はドラマ記事に気合入れてたなぁ。
って言うか、入れ過ぎて実生活が大幅に乱れたほど (^^ゞ
ここ3年は基本的に、ドラマ長期お休みモードのままなもんで。。
    
『野ブタ』の記事は、今でも結構読まれてるんですよ。
亀梨ファンも山Pファンも関心ありますからね。
あれはブログを始めてすぐの時期だから、
最初の内は簡単な感想でしたが、少しずつ上達。
最後の『再考』記事と原作記事は、
自分で今読み直しても気合を感じます(笑)。
   
ただ、ドラマ前半の記事は書き直したいんですけどね。 
前のは記念に残して、新たに別記事で。
でも、今さら続編SPも映画も無いだろうからなぁ。
   
『プロポ』だってそうですよね。
今更『ウェディング大作戦』は期待できないでしょう。
あっ! 『マタニティ大作戦』なら可能かも
   
ともあれ、亀ファンとのやり取りまで読んで頂いてどうもです♪
このやり取りも、ヘビーな方々に読まれてますよ。
ま、ちょっと気付きにくい場所だけど(笑)
    
という訳で、今日はこの辺で。
ご家族のご快復を祈りつつ、ではまた。。

投稿: テンメイ | 2012年2月19日 (日) 11時33分

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