京都大・望月新一教授による、「ABC予想」の「証明」論文のニュースから、
丸5日間経過。巷(ちまた)の話題としては、早くも流行遅れの感もあるが、
学問的には重要で根本的な話だし、普通の中学生でも「予想」自体はかな
り理解できるものだから、簡単な記事にまとめとこう。基本的部分は、信頼
できそうな3つのHPの「まとめ」だが、単なる寄せ集めではないし、説明に
関しては独自の補足もかなり入れてある。
ちなみに、3年半前に書いた「ポアンカレ予想」の記事3本は、いまでもかな
りのアクセスが継続中。数学好きや、ちょっと気になる人は、意外なほど人
数が多いのだ。。
☆ ☆ ☆
この種の(一般人には)目新しい専門的話題が出た時、一番手軽な調べ方
は、ネットで大手新聞社HPやウィキペディアを見ることだろう。今回だとまず、
新聞社の説明は簡単すぎて、ほとんど役に立たない。と言うか、その予想の
実質的内容が分からない。
日本語のウィキというものは、学問的項目だと、英語版ウィキの部分的直訳
のような内容で終わってることが結構ある。「ABC予想」もその一つで、英語
版の「abc conjecture」(直訳するなら abc 推測)の方が詳しいし、出典や
参照文献・HPもしっかりしてる。
今回、私にとって一番役に立ったのは、英語版ウィキの参照HPの一番上に
挙げられてる、オランダのライデン大学のHP、「ABC@home」。ここは、コ
ンピューターを用いた研究プロジェクトを立ち上げてる最先端の研究拠点で、
HP冒頭にリンクがある「What is the ABC conjecture?」という解説
は非常に親切で分かりやすかった。簡単な英文しか使ってないし、英語が
気にならない方には、直接読んでみることをお勧めしておく。。

(☆17年12月16日の追記:
上の解説はいつの間にか削除されて、まだキャッシュも発見できず。)
☆ ☆ ☆
では、中学生でも分かるように、最初からゆっくり進んで行こう。もちろん、
高校以上のレベルの方は、簡単な箇所は読み流して先に進んで頂きたい。
まずは、自然数(正の整数)の素因数分解について。
素因数とは、素数である因数(=約数)のこと。素因数分解とは、「1とその
数自身しか正の約数を持たないような、2以上の自然数」(=素数)の積
(=掛け算)の形にすることだ。整数論では非常によく登場し、活躍する。
素数(prime number)とは、具体的には、2、3、5、7、11、13・・・のこ
と。素因数分解の簡単な例を、3通り挙げよう。
9=3² , 12=2² ×3 , 90=2×3²×5
次に、自然数の「根基:こんき」(radical)という用語を導入する。これは、あ
る自然数の異なる素因数の積のことで、nの根基ならrad(n)と書く。要する
に、ある自然数の一番「根もと」にある数というイメージだ。日・英のウィキだ
と、n=1の場合の説明が見当たらない(1は素数ではない)が、実際には
n≧2の時しか関係ないので、気にしなくていいのだろう。ライデン大は少し
違う処理になってて、全く問題ない。
上の3つの例について rad を書くなら、次の通り。素因数分解の式と見比
べれば、すぐ分かるはずだ。
rad(9)=3 , rad(12)=2×3=6 , rad(90)=2×3×5=30
☆ ☆ ☆
続いて、自然数の3つ組(トリプル)、(a,b,c)の話に向かう。まず、aとbは
「互いに素」(co-prime)という条件を設定する。これは「最大公約数が1」、
つまり、共通する普通の(つまり2以上の)約数は持ってないということだ。
例えば、2と6は、最大公約数が1でなく2だから、互いに素ではない。一方、
9と10は最大公約数が1だから、互いに素である。2つの自然数が互いに
素かどうかは、次のように素因数分解して、同じ素因数があるかどうか調べ
ればすぐ分かる。もちろん、素因数分解などしなくても、簡単な場合ならすぐ
分かることもある。
2=2 , 6=2×3 共通の素因数2があるから、互いに素ではない。
9=3² , 10=2×5 共通の素因数がないから、互いに素である。
いま、互いに素である2つの自然数を、a、bとしよう。ただし、a<b。つまり、
bの方が大きいとする。このとき、別の自然数c(=a+b)を考えると、a、b、
c、3つの自然数も、互いに素、つまり最大公約数が1になる。
この理由を簡単に説明しとこう。というのも、日本語版ウィキとライデン大の
説明だと、aとbが互いに素としか書いてないのに、英語版ウィキだと、aとb
とcが互いに素としてあるからだ。この2種類の説明が、実質的に同じだと
いうことを確認しておこう。細か過ぎると思う方は、以下の3段落の説明は
飛ばしても構わない。
(注. ここまで1881文字、今週は計19859文字。
以下は、日付け変更後に書き足した翌週分。)
もし仮に、cとaが互いに素でないとすると、2以上の公約数mを用いて、
c=pm、a=qm、と書ける(p>q)。すると、
b=c-a=pm-qm=(p-q)m
だから、a と b が2以上の公約数mを持ってしまう。これは、a と b が互い
に素であることと矛盾している。よって、c と a は互いに素(いわゆる背理
法の証明)。したがって、a と b と c の3つも互いに素となる。
一方、a と b が互いに素でないならば、2以上の公約数を a と b が持つの
だから、上と同様の議論で c もその公約数を持つことになり、a と b と c は
互いに素ではなくなる。ということは、a と b と c 3つが互いに素であるなら、
aとbも互いに素である(いわゆる逆、つまり「対偶」を用いた証明)。
したがって、日本版ウィキやライデン大の設定(a と b が互いに素)と、英語
版ウィキの設定(a と b と c が互いに素)は、論理的に同じである(いわゆる
「同値」関係)。。
☆ ☆ ☆
とにかく、(実質的には)aとbとcが互いに素であって、a+b=cをみたす場
合を考えるわけだ。どうして互いに素という条件をおくのかについては、しば
らく後で補足する。
この3つ組を、日本版ウィキは「abc-triple」(abcトリプル)と呼んでるが、
英語版では使われてないし、ライデン大はこの言葉をもっと限定した意味
で使ってる。したがって、ここではこの呼び名は使わない。自然数の3つ組
(a,b,c)とだけ書いとこう。「トリオ」と訳すのも、違和感があるので。
いま、この3つ組の積、つまり掛け算であるabcに対して、rad(abc)を計
算し、cとの大小関係を調べてみる。ちなみにライデン大では、ここで初め
てradicalの記号を導入して、r(a,b,c)と書いてる。
(2,3,5)の場合、
rad(2・3・5)=rad(30)=2・3・5=30
∴ rad(2・3・5)>5
(4,9,13)の場合、
rad(4・9・13)=rad(468)=rad(2²×3²×13)=2×3×13=78
∴ rad(4・9・13)>13
このように、普通は、rad(abc)>c となる。つまり、積abcの根基(ラディカル)
の方が、cより大きい。ただし、例外もかなり存在する。
例えば、(1,8,9)の場合、
rad(1・8・9)=rad(72)=rad(2³×3²)=2×3=6
∴ rad(1・8・9)<9
実は、より一般に、自然数nに対して、(1,9ⁿ-1,9ⁿ)や(1,64ⁿ-1,
64ⁿ)は、rad(abc)<c を満たす(この記事に最後に証明)。ということは、
rad(abc)<cを満たす自然数の3つ組(a,b,c)は、例外的とはいえ、無
数に存在することになる。n=1,2,3・・と無限に変化させればいいからだ。
ただし、何か適当にa+b=c、a<b,となる3つ組(互いに素)を考えると、
rad(abc)>c となることの方が「普通」なのだ。色々と試してみれば、大ま
かに感じ取れるだろう。ちなみに、rad(abc)=cとはならない。もし両辺が
等しいなら、a、b、cが互いに素という条件と矛盾してしまうからだ。日・英の
ウィキもライデン大も、その点については触れてないが、各自お試しあれ。
なおライデン大では、rad(abc)を考える代わりに、aとbとcの異なる素因数
の積 r(a,b,c) を考えるのだが、これは実質的に同じことだ。a=1なら、
素因数の代わりに1を積に加える。
証明は意外に書きにくいし、差し当たり見当たらないが、素因数分解を
考えれば明らかだろう。3つの数a、b、cであれ、積abcであれ、異なる
素因数は同じだ。これ以上の説明は、省略しておく。。
☆ ☆ ☆
さて、ここから高校の常用「対数」(logarithm、略して log、ログ)の知識を
軽く使うことになるが、中学生でも少し考えて手を動かせば、ある程度以
上は分かるはずだ。最低限の説明をするなら、「10を何乗したらその数に
なるか」を示す数のこと。
log 100 =(10を何乗したら100になるか)=2 (100=10² だから)
log 1000=(10を何乗したら1000になるか)=3 (1000=10³だから)
logの値は、上の2や3のようにキレイな整数だけでなく、小数にもなる。こ
の値は昔から細かく求められてるし、ネットでも電卓でもすぐ分かる。例え
ば、log 2=0.301・・、log 5=0.698・・。一般に、x>1 なら log x > 0。
また、x < y なら log x < log y、逆も言える(証明省略、高校の教科書など
を参照)。よって、以前の話をlogを使って次のようにまとめられる。
普通の rad(abc) > c の場合、
log {rad(abc)} > log c
∴ 1> log c/log {rad(abc)}
わりと珍しい rad(abc) < c の場合、
log {rad(abc)} < log c
∴ 1< log c/log {rad(abc)}
つまり、不等式の右辺の分数、log c /log {rad(abc)}が1より小さい
場合が普通で、1より大きい場合が珍しいのだ。ここで、この分数の値を
q と書くことにする。
q = log c / log {rad(abc)}
qと書くのは、3つ組(a,b,c)の質(quality)を表すと考えるからだ。値が
大きいほど珍しくて、質が高いという大まかなイメージだろう。一般に世の
中では、希少価値というものが認められてるわけだ。ダイヤも金も、それ
自体として美しいけど、量が少ないからこそ、大きな価値が与えられる。
さて、いよいよ「ABC予想」の核心に向かおう。q>1となる3つ組が、珍し
いとはいえ、無数にあることは既に述べた。
q>1とは、 log c/log {rad(abc)}>1のこと。
分母をはらって両辺を入れ替えれば、 log {rad(abc)} < log c
すなわち、 rad(abc) < c
例えば、すべての自然数nについて、3つ組(1,9ⁿ-1,9ⁿ)は上の不等式
をみたすのであった。
これに対して、ABC予想は似て非なることを予想する。単なる想像ではなく、
かなり根拠があるから、本当は「推測」と訳すべきだが、慣習として「予想」
と訳されてる。ポアンカレ予想もリーマン予想(hypothesis=仮説)も、同
様だ。とにかく、ABC予想(の一つの形)は、次のような主張のことだ。ライ
デン大では「強いヴァージョン」と呼んで、別の「弱いヴァージョン」(下のP.
S.2参照)と併記している。
1より大きい特定のhを先に固定した場合、それがどんな値だろうと、
q > h となるような3つ組(a,b,c)の個数は有限である。
このh(例えば1.5)という書き方はライデン大のもので、英語版ウィキでは
1+ε(ε>0)とも書いてある。ちなみにεは「イプシロン」と読み、大学レ
ベル以上の数学で、正の小さな実数を表すのによく用いる文字だ。h=1.5
なら、1+0.5と見て、ε=0.5の場合と考えることになる。
また、q>1.001となる3つ組が有限個しかない(英語だと「only finitely
many」、つまり「有限的にのみ多数」と書く)ということは、1< q ≦1.001
をみたす3つ組が無数にあるということを示してる。つまり、qが1よりほんの
僅かに大きくなる3つ組が無限に存在するのだ。コンピューター無しに、頭だ
けでイメージするのはなかなか難しい。。
☆ ☆ ☆
このABC予想は、色んな言い換えが可能だが、q > hとなる3つ組が有限
ということは、「有限個の例外を除いて、全て」 q ≦ h ということになる。
つまり、 log c/log {rad(abc)} ≦ h
log c ≦ h・log {rad(abc)}
対数の法則を用いて(高校教科書など参照)、右辺のhの位置を変えると、
log c ≦ log [{rad(abc)}のh乗 ]
∴ c ≦ {rad(abc)}のh乗
この不等号 ≦ から、等号 = を取り去って、単なる不等号 < にし、hをκ
(カッパ)と書いてるのが、日本版ウィキの説明の1つ(最後のヴァージョン)
だ。しかし、なぜ等号が消せるのかはやや分かりにくい(この記事のP.S.
参照)。また、中カッコ{ }を省略してるので、誤解を招きやすいだろう。
おそらく、「中カッコが無ければh乗しても同じ値のままで意味がないから、わ
ざわざ書かなくても中カッコがあると読むのが当然だ」ということだと思う。し
かし、このradという記号は普通は使わない演算を示してるし、中カッコ無し
の式を普通に読むなら、{abcのh乗}に対するradという意味になるはず。
実際、対数や三角関数(sin,cosなど)でも普通はそうなってるのだから。。
☆ ☆ ☆
ここまで、日・英のウィキとライデン大の説明を総合的に考慮すると共に、独
自の補足も加えて、ABC予想(またはabc予想)の最低限の説明を行った。
少し付け加えると、まず、a、b、cが互いに素という条件は、qの値を制限す
るためだ。互いに素という条件が無い場合、最大公約数が例えば6(=2×3)
であるなら、(a,b,c)に対して、(2a,2b,2c)という3つ組を考えてみる。
すると、2は既にa、b、cの共通の素因数のはずだから、
rad(abc)=rad(2a・2b・2c)
つまり、radの値は変わらない。一方、当然のことながら、c×2=2c。つまり、
cの側は2倍になる。
したがって、互いに素という条件が無い場合、3つ組に共通の素因数を掛け
ることで、いくらでもc(3つ目の数字)の値だけを増やせる。すると、qの値は
無限に大きくできるし、相異なる無限の値を取り得ることになって、ABC予想
は当然、成り立たないのだ。
☆ ☆ ☆
最後に、rad{1・(9ⁿ-1)・9ⁿ } < 9ⁿ の証明も示そう。高校で習う数学的
帰納法と呼ばれるものを用いるが、中学生でも理解できると思う。
まずb、つまり2番目の数 9ⁿ-1が、8の倍数であることを示す。
n=1の場合、9ⁿ-1=9¹-1=9-1=8
よって、確かに8の倍数である。そこで、8×1と書いておこう。
この時、9²-1=(9²-9)+8=9(9¹-1)+8=9×(8×1)+8
=8×(9+1)
よって、n=2の場合も8の倍数となる。
同様に考えて、すべての自然数nに対して、9ⁿ-1は8の倍数である。つま
り、2³ を因数に持つから、2³×mと書くことにしよう。
本来の帰納法だと、n=kの場合を仮定してn=k+1の場合を示すわけだ
が、あえて帰納法を知らない中学生でも理解できるように、kは用いてない。
実際、ライデン大でも、こんな感じの初心者向けの説明をしてるのだ。
さて、この時、 rad{1・(2³×m)・9ⁿ }=rad(2m×3)=rad(6m)≦6m
一方、 9ⁿ=c=a+b=1+2³×m=8m+1。
2式を合わせて、 rad{1・(2³×m)・9ⁿ }≦ 6m < 8m+1 = 9ⁿ
∴ rad{1・(9ⁿ-1)・9ⁿ } < 9ⁿ
全く同様の議論で、rad{1・(64ⁿ-1)・64ⁿ} < 64ⁿ も証明できる。この
場合は、8の倍数の代わりに、9(=3²)の倍数という話を用いるのだ。各
自、お試しあれ。9というのは英語版ウィキに合わせただけで、63(=3²×
7)としてもいい。
なお、ライデン大のコンピューティング、つまりコンピューター計算によると、
今現在、最大のqは約1.63のようだ。(a,b,c)=(2,3¹⁰×109,23⁵)
の場合とのこと。日本版ウィキが示す、ABC予想の最初のヴァージョンは、
要するに q < 2という事だから、まだ余裕がある。
☆ ☆ ☆
以上、意欲的な中学生でもそれなりに理解できるように配慮しながら、話題
のABC予想について最低限の解説を行った。話題の京都大学・望月教授
は、「宇宙際タイヒミュラー理論」で証明したと主張してるわけだが、その説
明は難し過ぎて当分できそうにない。専門家によるチェックで数年かかると
言われてるくらいだから、素人としては(しばらく)諦めるとしよう。
では、今日はこの辺で。。☆彡
P.S. ABC予想について、「有限個の例外を除いて、全てq≦h」と言い替
える時、不等号の下の等号=を消してもいい点について、簡単に
説明しとこう。
いま仮に、q=hとなる3つ組が無数に存在したとしよう。すると、
1< h´ < h となるh´を新たに考えた時、q>h´となる例外的
な3つ組が無数に存在してしまう(q=hとなる3つ組の影響)。こ
れでは元のABC予想(1より大きい任意のhに対して有限個)と
矛盾する。よって、q=hとなる3つ組は有限個しかない。
逆に、q<hからq≦hを導いていいのは当たり前(hより小さけれ
ばh以下)。したがって、ABC予想の言い換えにおいて、「q≦h」
と書いても「q<h」と書いても論理的に同じである。
P.S.2 上の本文で書いたABC予想を、ライデン大は「強いヴァージョン」
と呼んでるが、「弱いヴァージョン」とは次の推測のことだ。
ある実数gが存在して、q>gとなるような3つ組は一つもない。
これは、大学レベルの数学の用語で言うと、qには「上界」gが存在
するということだ(すべてのqに対して、それ以上である数)。この形
が「弱い」と言われるのは、もし「強い」ヴァージョンが正しければ、
そこから導けるからだ。導けるということは、簡単に言うなら、情報
量が少ないことを示してる。
強い方から弱い方が導けることを証明するには、その言い換え(対
偶)命題である、「弱い方が成り立たなければ強い方も成り立たな
い」を示せばよいのであって、これは簡単に示せる。
もし弱い方が成り立たなければ、どんな実数hに対しても、q>h
となる3つ組が存在する。すると、例えばh=1.1に対して、q>h
となる3つ組が存在するから、そのqを仮に1.2としよう。今度は
h=1.2に対して、q>hとなる3つ組が存在するから、そのqを
仮に1.3としよう。
この手続きを無限に続けて行けば、最初のh、つまり1.1を上回
るqを持つ3つ組が無限に手に入る。つまり、強い方も成り立たな
い。よって、「弱い方がダメなら強い方もダメ」。すなわち、「強い方
が正しければ弱い方も正しい」ことになるのだ。。
(翌日の追記分 5701文字。前日分と合わせて、計7582文字)
P.S. 2017年4月9日の朝日新聞・朝刊「科学の扉」において、
「ここが数学の最先端」というタイトルで、京都大学の数理解析
研究所(RIMS)が紹介された(石倉徹也記者)。
望月教授とABC予想の話もわりと大きめに説明されてたが、
そこで言うεやKとは何なのか、説明が曖昧だし、不等式の
右辺のlogに付けるべき中カッコが省略されてしまっている。
P.S.2 17年12月16日の朝日新聞・朝刊1面トップに、
「数学の超難問 ABC予想『証明』」
という大見出しの記事が掲載された(石倉徹也記者)。
京大・数理研の雑誌『PRIMS』に、早ければ来年1月にも掲載。
フィールズ賞の特別賞も狙えそうな感じで書いてる(嘉幡久敬
記者、阿部彰芳記者、社会面)。

その朝日の記事の図解は不適切で、間違いに近い。
「rad(abc)とは a、b、cそれぞれの素因数を
かけ合わせたもの」と書き添えて、a=1の場合の素因数を
1とする例を挙げてるが、1は素数ではない。
よって、1だけ特別扱いする説明を加えるか、あるいは
「abcの異なる素因数をかけ合わせたもの」などと書くか、
どちらかにすべき所。実際、朝日の具体例(a=1、b=8、
c=9)はそう扱ってる。
また、「Kはεによって決まる定数」とだけ書いてるが、
論理的に正確に言い直すなら、
「すべてのεに対して、あるKが存在して、
すべてのa、bについて
c < K {rad(abc)} {(1+ε)乗} 」
ということ(述語論理)。
有限個の例外を除いてradの辺の方が大きいから、
それら例外においてもradの辺の方が大きくなるように、
定数Kを定めてかけ合わせれば、常にradの辺の方が
大きいことになる。
P.S.3 J-CASTが、望月教授の面白い側面を報じてる。
公式サイトの「最新情報」にある「望月新一の安否確認
情報」Safty Confirmation Information
(for Shinichi Mochizuki)によると、
「 2017年12月12日 06:00現在: 元気に
やっています。
所在地: 京都府」 とのこと。
更新頻度を書いてないのは不注意なミスで、逆に
ここ4日半の安否が心配になる♪
(追記 858字 ; 合計 8440字)
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