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接近することの効果と限界~『ガリレオ2』第5話・念波る

(☆6月23&25日追記: 最新数式記事レビューをアップ。

   男子の中で泣く女~『ガリレオXX・内海薫』愚弄(もてあそ)ぶ

   『ガリレオ2』最終回の数式、浄水器と管内の水の乱流&層流 )

       

      

        ☆          ☆          ☆

面白かった☆ 前回に続いて、物語的にも物理的にも地味な話だけど、個

人的には初回以来の満足度。やっぱ桐谷美玲は、クリクリッと可愛いね。

まさに旬の女性タレント。見るなら、今でしょ♪ 桐谷健太も、胡散臭い成り

上がりのヤンキー・コンサルタントを好演してた。ま、ちょっと分かりやす過

ぎるキャラと演技だけど、ガリレオ湯川(福山雅治)にやられる悪役だし、時

代的にも時間帯的にもあんなもんでしょ。

          

肝心の数式も、病院のバルマー系列とエンドロールのニュートン近似法の

両方について、かなりキレイに把握して記事を書くことが出来た。第3話、第

4話と、イマイチ分からなかった後だから、ホッと一息って感じなのだ。

      

ところが、視聴率は一気に3ポイント下がって17.9%。今シリーズ初の20

%割れどころか、前シリーズや『ガリレオΦ(ファイ)』まで含めた中での最

低となってしまった。ちなみに今までの過去最低は、なぜか前シリーズの最

終回で、19.6%だ。笑いあり、感動あり、数学的にも楽しめる、素晴らし

い傑作だったのに♪

    

先週から『ガリレオ2』批判を始めた日刊サイゾーは、今回の数字を見て、

さらに批判を強めてる。批判の中身は、短くて薄いものに留まってるけど、

必ずしも的外れとは言い切れないし、勢いづいて声高になってるのだ。こ

の視聴率ダウンについては後で考えるとして、まずは第5章の核心である

「接近」について考えてみよう。

     

       

          ☆          ☆          ☆

接近とは、時間的・空間的にかなり近づくこと。つまり、同じ時間、同じ場

所など、同一性に向かう大きな変化ということだ。

       

数式記事で説明したように、最後のエンドロールで強調された数式は、病

院で書いたものとは全く別で、「限りなき接近」を表してる。単純な操作を

繰り返して、√2という無理数に少しずつ近づくための数式なのだ。「掛け

合わせて2になる同じもの」こそ、√2という数。まさに√2とは、ほとんど

同じでありながら2人でもある、双子の象徴としてピッタリなのだ。

            

今回の物語的な特徴も、双子の間の限りない接近、強い類似性への動き。

つまり、被害者の若菜と「目撃者もどき」の春菜の間の密接なつながりで、

「テレパシーのようなもの」も、その一種だ。つながりが深いからこそ、相手

の心身や生活の様子が分かる(気がする)。分かるとは、相手が持ってるの

と同一の認識へと、自分が接近することだ。

       

         ☆          ☆          ☆

この双子という珍しい存在。私自身は、小学校で一緒だっただけで、それ

以降は身近にいたことがない。双子の有名人をテレビその他で見る機会

もほとんど無し。医学系の情報とか見る時、一卵性双生児の比較実験が

時々出て来るけど、縁遠い話だから、あんましピンと来なかったりする。

           

そこへいきなり登場したのが、双子のオンパレード(死語♪)。湯川の言う

通り、「無駄だけど実にあっぱれ」な演出だね。双子タレントってものが、

色んな事務所に登録されてるわけか。特殊な需要に備えて。

        

ただ、今回もし内容を削って変えるんであれば、あそこが有力候補の一

つだったと思う。一般的な視聴者への気楽なサービスのつもりだろうけど、

前シリーズなら、あそこはむしろ、「少年探偵団」の学生5人組を使って、

物理実験をする所だ。双子おばちゃんが、紫のパンツの一致とか喋って

も、反応に困ってしまう。って言うか、反応しなかった♪ そりゃ、フツーか。

     

アイドル系の女子学生(逢沢りな)が、みんなでガクッとする箇所で、頭に

載せてた実験用メガネをズルッと顔の前に落とす姿なら萌えたかも(笑)。

僅かな出番の中、精一杯頑張ってる姿がまた、萌えを加速するのだ。。

         

     

         ☆          ☆          ☆      

双子ってものは、遺伝子的にも成育環境的にも非常に似てるだろうから、

考えや趣味、行動が似るのは自然なこと。だから、テレパシーなんてものを

持ち出さなくても、意味のある偶然の一致、シンクロニシティはかなり合理

的に説明できる。

        

それは十分踏まえた上で、それでも今現在、科学の及ばない領域が存在

することを素直に認めてるのが、原作者の東野圭吾だ。私も同じ考えだし、

ガリレオ湯川も基本的にはそうだったはず。第2話で話題になったダウジ

ング(行き先占い)も、全否定はしてない。だから今回、湯川がテレパシー

をハッキリ否定する態度を示したのは、最後のオチを強調するためだろう。

                 

つまり、瀕死の重傷で眠り続けてた若菜が、春菜の予想通りに目覚めて、

しかも湯川の名前を知ってたのだ。これには湯川も驚いて、「実に面白い」。

直後にエンドロール開始。形が出来てる。要するに、前もって春菜がこっそ

り教えてたってことだろう♪ コラコラ。原作の控え目なラストをアレンジして、

テレビ的に強調したわけで、この箇所の脚本はいいと思う。

          

ただ、残念なのは、原作の序盤のポイントを削ってたこと。原作小説では、

湯川の友達の草薙(ドラマの俳優は北村一輝)が、捜査協力を嫌がる湯川

を論理的に初めて説得して、喜ぶシーンがあるのだ。しかもそれは、内海

(同・柴咲コウ)の入れ知恵によるもの。草薙や内海をワンポイントで登場

させるチャンスだっただけに惜しまれる。その程度の余裕はあったはずだ。。

    

   

          ☆          ☆          ☆

一方、事件解決の面でも、単純な操作で少しずつ接近する方法がポイン

トになってた。まさに、ニュートン近似法なのだ。

            

湯川が数式書きなぐりを始めたのは、壁にズラッと並べた写真の1枚が落

ちた時。つまり、「存在しない1枚」のイメージが現れた時だ。それこそまさに、

真犯人の写真。テレパシーと物理学者にビビる若菜の夫(=首謀者)は、お

そらくその1枚を外してるだろう。

           

だから、未知の真犯人へと接近するには、既に存在する写真に写ってる人

物すべてを1人1人確認して、それら以外の周辺人物を捜査すればいい。

消去法というもので、残った数十人ほどの中から、怪しい人物をマークする

わけだ。金に困ってる者、違法行為をしそうな者、そして、つい最近になって

外見を大幅に変えた者。髪の毛を切って、アゴひげを剃った男とか。

   

    

          ☆          ☆          ☆

ちなみに原作では、その消去法だけで事件解決となってるが、ドラマでは実

行犯が春菜を襲いかけて、妙に大げさな逮捕劇。もちろん、あんな危ない

オトリ捜査もどきはあり得ないが、単に無理やり盛り上げようとしたのでは

ない。要するに、原作の要素を少し違う形で取り入れたってことだ。

             

原作では、春菜は若菜より先に、間違えて襲われてたというオチになってる。

おまけに春菜は元々、若菜の夫に不信感を持ってた。だから、春菜はテレ

パシーと言うより、普通に頭を働かせて、若菜のことを心配したし、事件発

生後には、若菜の夫を怪しむことになった。ドラマでは、若菜の後で、春菜

が襲われることにしたってことだ。

             

接近というものには、普通、限界がある。双子がいくら近い存在だといって

も、あくまで別人で、特に男の趣味が違ってた。ニュートン近似法による√2

への接近も、限りなく近づくけれど、一致することは絶対にない。出て来る数

はすべて有理数だから、無理数√2には決してならない。そして、原作物の

ドラマでも、かなり原作に近づけてはいるものの、やはり違いはあるし、あっ

て当然なのだ。

              

ところが、犯人探しの消去法的な接近だけは成功した。これは本質的に、

有限の少数がターゲットだからだ。人間と人間の類似&相違点は無限にあ

るし、√2は1.41421356・・・と無限に続く数。また、原作とドラマの関係

も無限に存在する。

               

ところが、犯人というのは普通、有限の少数の中にいるのだ。被害者の周

囲で、金、怨恨、粗暴なふるまいなど、動機や理由を持ってる人物。今回は

特に、写真に写ってなくて、セキュリティ関連の事情を知り得る人物が有力

候補だから、かなり少数になる。有限の少数が相手なら、少しずつ接近すれ

ば到達できるのだ。

               

ちなみに有限でも多数の場合は、到達できるとは限らない。それは、調べる

側の人間の能力も有限だからだ。時間、金、人数、道具、すべて有限だか

らこそ、未解決事件は無限に続くだろう。。

             

               

         ☆          ☆          ☆

最後に、視聴率低下と番組批判について。まず、批判から見ると、原作と

違うという指摘は、それなりに練り上げてないと、説得力はない。というの

も、旧シリーズの最初から違うし、原作とドラマが一致するはずないからだ。

            

もしその点で新シリーズを批判したいのなら、旧シリーズまで含めて詳細

に調べて、新シリーズの方が原作より離れてることを示す必要がある。そ

して更に、そのせいで面白さが減ってることも示す必要がある。

            

それは大変な作業になるだろう。ちなみに私は、旧シリーズでずっと、原

作とドラマの比較記事を軽く書いてたが、思ったより面倒だった。というこ

とは、前から既に、かなり違ってたのだ。しかも、複雑な形で。

             

ちなみに、前回の第4話が、原作と「かなり」違ってたことなら、私も認めて

る。ただ、旧シリーズの最後もかなり違ってたけど、最終回は素晴らしく面

白くて感動できた。数学的でマニアックな謎解きもワクワクさせてくれたし、

内海の「ピンク!」は意表を突く名言♪ 核爆弾解除のために切断すべ

きコードは、赤と青しか見えてなかったんだから。。

             

      

         ☆          ☆          ☆

一方、岸谷=吉高への不満というのは、私自身も最初から軽く書いてた

ことだから、あらためて書くことはしない。おそらく、初期の設定から相当

ズレてるだろう。

         

それより問題なのは、トリックがつまらないという指摘。これは正直、「一理」

あるのだ。単なる主観の問題ではなく、客観的に「多少」示すことが出来る。

旧&新シリーズで、ポイントとなるトリックが何だったか、まとめてみよう。

              

まず、旧シリーズ。かなりバラエティに富んでた。1話、光学(レーザー)。2

話、光学(蜃気楼)。3話、共振。4話、超音波。5話、力学・弦の振動。6話、

図形の変形(数学)。7話、電気粘性流体(ER流体)。8話、水の結露。9話、

落雷&衝撃波による変形。10話、熱伝動&数学。SP(Φ)、力学&熱。

         

ところが、新シリーズはそうではない。1話、電磁波による加熱。2話、共振。

3話、電磁波による聴覚効果。4話、トラックの違法な無線電波。5話、無し♪

3話まではともかく、4話と5話のトリックが寂しいのは、その通りだと思う。

           

ただ、4話と5話は、原作も淋しいのだ。4話が原作と違うという話が強調され

てるようだが(検索アクセスも多め)、原作は単なる撲殺ですぐに解決だから、

ドラマよりもっと淋しい。まあ、もちろん4話の物語的なポイントは、殺人では

なく、野球のピッチャーと妻の「曲がり方」なんだけど。『ガリレオ』に限らず、

事件ものとは、単に事件を解決するお話ではない。5話も、原作は事件より

湯川&草薙のやり取りを楽しむ話。ドラマは桐谷健太・・・じゃなくて、美玲に

萌える作品だろう♪

         

       

         ☆          ☆          ☆

不満や批判とは別の話として、視聴率について。私はむしろ、新シリーズ

がここまで20%超えを維持したことの方が驚きだ。テレビドラマ全体もフ

ジテレビも勢いを失った、2013年の今、物理ドラマがそんなに数字を取

る方が不思議だろう。前にも記事にしたように、物理というのは、理科系の

科目の中でも一番人気がない科目なのだ。特に、女性には人気が無い。

私は、数学の次に好きなんだけどね♪

         

来週以降、10%台の後半が続いても、別に問題ないと思う。ただ、15%

割れまで行くと、流石に淋しいのは確か。今週、裏番組があまり強くないの

に17.9%だから、今後さらに下がる可能性もある。ま、数字や世評とは

関係なく、私はすべて見るけどね♪ アクシデントが無ければ。

       

視聴率については、いずれまた書くかも知れない。たかが視聴率、されど

視聴率なのだ。今回はもう、時間も字数も余裕なし。

それでは多分、また来週。。☆彡

            

      

       

P.S. 今回の1シーン、黒板の上段右側に何気なく、量子テレポーテーショ

     ンとか量子エンタングルメントとか書いてあった。前シリーズ第4話

     で話題になった黒板の一言、「円端具流」(えんたんぐる)が懐かしい。

      

P.S.2 「高次元マトリックス研究開発センター」という施設は実在しないが、

      NMR(Nuclear Magnetic Resonance : 核磁気共鳴)を分子

      構造の分析に使うのは普通らしい。

       

     

cf. 宗教、科学、自然と人間~『ガリレオ2』第1話・幻惑す

   心の同期と「慣性の法則」~『ガリレオ2』第2話・指標す

   揺れ動く、見えないもの~『ガリレオ2』第3話・心聴る

   曲がった男のストレートな切れ味~『ガリレオ2』第4話

   閉じたものを開くこと~『ガリレオ2』第6話

   脇役と主役、よそおう人々~『ガリレオ2』第7話・偽装う

   虚像=花火を演じる舞台としての生~『ガリレオ2』第8話・演技る

   エリートがみだす凡人の心の歯車~『ガリレオ2』第9話・撹乱す

   誰が何を救うのか~『ガリレオ2』第10話・聖女の救済(前編)

      

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 『ガリレオ2』第1話の数式、誘電体のマイクロ波加熱における電力半減深度

 『ガリレオ2』第2話の数式、不覚筋動による水晶振り子の強制振動

 『ガリレオ2』第3話の数式、

          パルス電磁波のフレイ効果による耳の奥の弾性波か

 『ガリレオ2』第4話の数式、流体中の回転ボールを曲げるマグナス効果などか

 『ガリレオ2』第5話の数式、

        近似のニュートン法による√2の数値解析(&バルマー系列)

 『ガリレオ2』第6話の数式、

            ホログラム記録&再生における光波の複素数表示

 『ガリレオ2』第7話の数式、

             ロッキングチェアの慣性モーメント&回転・直線運動か

 『ガリレオ2』第8話の数式、花火の光の入射角&3つの像の位置関係か

 『ガリレオ2』第9話の数式、超音波による圧力・密度変化(&ビルの高さ)

 『ガリレオ2』第10話の数式、ゼラチン絵の具の濃度や溶解反応速度か

              

                                  (計 5698文字)

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