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歩いて泳いで走ったよ♪~太宰治『走れメロス』の移動速度&距離

はじめまして。天国のメロスです♪ その後、親友セリヌンティウスらと仲良

くのんびり暮らしてます。僕たちを主人公にして太宰治先生が書いてくださっ

た有名な小説『走れメロス』はロングセラーとして、日本の学校の教科書に

も載ってますが、最近はインターネットでもちょっと話題になってましたね。そ

ろそろ落ち着いて来たようなので、この辺で僕自身にも説明をさせてください。

    

何となく今まで、「よく走ったねメロス」といったイメージが強かったと思います

が、実際に小説を読むと、歩いたり昼寝したりもしてます (^^ゞ そもそも『走れ

メロス』という題名は、昼寝の直後に僕が自分で「走れ!」と気合を入れた時

の言葉。だから、こちらのブログの1年前の記事を読んでも、実際に移動した

時間、特に走った時間はわりと短めだったのではないか・・・といった推測を

立ててたわけですね。まさに、その通りなんです。

    

ということは、本当に走ってる時だけの速さ、スピードを考えると、まあまあ

だったということでもあります。と言っても、単なる苦しい弁解みたいに思わ

れて、なかなか信じて頂けないでしょうね (^^ゞ そこで、少し細かい事情を

お伝えしましょう。基本的には中学生以上の人に向けて書きましたが、小学

校の高学年(5・6年生)以上なら十分わかると思います。

   

ちなみに、無料で読める電子図書館「青空文庫」『走れメロス』のページ

は、下のURL(アドレス)なので、よろしければどうぞ。

    http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

      

    

          ☆           ☆           ☆

140211a

  話が長くなるので、最初に結論という

  か、全体のまとめをズバリ書いときま

  しょう。ただし、王様を殺そうとして捕

  まった後の例の3日間だけじゃなく、

  そもそもシラクス(=シラクサ : 今の

  イタリア・シチリア島)の町に出かけ

  る時も含めます。数字はすべて、「お

  よそ・・・」とか「約・・・」だと思ってくだ

  さい。図はウィキメディア、TUBS

  氏の作品より。

     

   

捕まった日 (自分の村 → シラクス) 

         距離・・・十里(39km)   

         移動時間(食事・休憩などを差し引いたもの)・・・8時間

         平均速度(速さ)・・・時速4.9km

    

捕まった後 (第1日)  (シラクス → 自分の村)

                距離・・・39km

                移動時間・・・9時間

                平均速度・・・時速4.3km

        

        (第2日)  休み (ずっと自分の村)

    

        (第3日)  (自分の村 → シラクス)

                ☆陸上  距離・・・39km+3km

                           (激流で3km川下に流されるため)                            

                       移動時間・・・7時間

                      平均速度・・・時速6km

                      (走ったのは3時間、時速9km

                       歩いたのは4時間、平均時速3.8km)

          

                ☆水泳  距離・・・川の横幅200m+流された3km

                       水泳時間・・・9分

                       川を横切る平均速度・・・分速22m

                       川の流れ・・・時速20km(=分速330m)

     

    

           ☆          ☆          ☆

それでは、上のまとめについて説明して行きますが、その前に算数の問題を

1問出したいのです。

   

     「12kmの距離を往復します。行きは時速12kmで走って、帰りは

      時速4kmで歩くと、平均速度はいくらでしょう?」

      

正解はもちろん、(12+4)÷2=時速8km・・・ではありませんよね♪ 行き

は12÷12=1時間、帰りは12÷4=3時間だから、合わせて4時間。これ

で往復24kmを移動するから、平均速度は24÷4=時速6kmです。

             

これでは、単なる早歩きみたいなものですね。つまり、走りと歩きが混ざると、

大幅に平均速度は下がってしまいます。でも、走った時だけ考えると速いの

です。時速12kmだと、12kmを60分で走るのだから1km5分ペースで、最

近の市民ランナーやマラソン大会を考えてもまずまずのスピードと言えます。

      

    

         ☆          ☆           ☆

そのことを確認した上で、僕の4日間を振り返ってみましょう。元々、シラクス

の町に買い物に行って、そのままセリヌンティウスの家に泊めてもらうつもり

だったので、その日はかなりスタスタ歩いたのです。

  

小説には、「未明メロスは村を出発し、野を越え山を越え、十里はなれたこの

140211b

  シラクスの市にやって来

  た」と書いてます。僕の出   

  発は午前4時、到着は午

  後2時(=14時)。途中、

  食事や休憩などで2時間

  使ったので、それを除くと

  8時間の歩き。一方、一里

は約3.9kmだから、十里は約39km。

    

結局、野山を通って平均時速4.9km(=39÷8)で歩き続けたのだから、

既にかなり疲れてました。図はウィキメディア、Zamonin氏の作品より。黄

色が標高300m程度で、茶色が標高700m程度。図の縦の長さの半分が

50kmくらい。

     

ヘトヘトの身体で、妹の結婚式のために買い物をして、お城に忍び込んで王

様に捕まり、いよいよ有名な3日間の猶予(ゆうよ)が始まります。。

    

    

          ☆          ☆          ☆

村に急いで帰った1日目。この日は深夜0時頃に出発して、午前10時頃に

到着しました。「メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。・・・一睡

もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、

陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた」。

    

食事・休憩などは1時間だけにして、夜通し頑張りましたが、疲れた身体で

徹夜したので、シラクスに向かった時より少し遅くなってしまったのです。僕

は牧人(羊飼い)で、朝型の人間。徹夜で歩き続けるのは大変でした。

   

2日目は睡眠や結婚式などで終了。そしていよいよ、注目の3日目です。小

説では、「眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃」と書いてました。シラクスの緯

北緯37度だから、福島県・福島市とほぼ同じ。季節は「初夏」で、大雨

も降ってたので、シラクスの気候だと5月後半~6月前半くらいだとおわかり

でしょう。実際は6月1日でした。福島市の日の出を調べると、4時20分頃、

日の入りは18時55分頃。シラクスも同様です。

        

ただ、4時半頃に目覚めた後、のんびり屋の僕は「悠々と身支度をはじめ」て

しまったのです。十分、間に合うと思ったし、雨が「小降りになって」くれるのを

待ってたもので。結局、出発は朝7時。。(^^ゞ

    

それは遅過ぎると思われるかも知れませんね。でも小説で、この日の午前

の箇所を読むと、前半の距離20km弱の内、12km(三里)ほどはゆっくり

歩いてます。その前は元気よく走ってるから、時速9kmで1時間走った後、

時速3.5kmで3時間歩いたということなのです。

    

    

          ☆          ☆          ☆

こうして、時刻は午前11時。この後が、僕の人生で一番キツかった時です。

豪雨の影響で、まさかの激流が目の前に現れました。僕は1時間待ちました

が、流れはあまり鎮(しず)まりません。もう昼の12時だから、仕方なく泳ぎ

始めたのです。文字通り、命がけのチャレンジですが、親友の命がかかって

たので、覚悟して必死に頑張りました。

         

でも、200mの川幅を9分で泳ぎ切る間に、川下へ3kmほど「押し流され

てしまったのです。川の時速は20km、分速330m。すると、9分の間に

330×9=2970m流されます。つまり、約3kmということですね。

      

泳ぐ前に残されてた距離は19.5km。これに3km加わって残り22.5km。

その後はグッタリ疲れてたし、標高300m以上の峠もあったので、必死に歩

いてもスピードは上がらず。時速4.5kmで1時間歩き、休憩や山賊との闘

いで1時間ほどのロス。それから時速9kmで30分、峠を駆け下りました。

     

    

           ☆          ☆          ☆

そしていよいよ、感動のクライマックス♪ この時点で、時刻は午後2時半、つ

まり14時半です。残り13.5kmの地点で、遂に僕は疲れ切って動けなくなり

ました。「流石(さすが)に疲労し、折から午後の灼熱(しゃくねつ)の太陽がま

ともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈(めまい)を感じ・・・・・・四肢

を投げ出して、うとうとまどろんでしまった」。

     

そして、3時間も寝込んでしまったのです (^^ゞ 昼寝にしては長過ぎると思わ

れるかも知れませんが、僕はもう疲れ切ってたし、眠りが深くて長いタイプ。

実際、シラクスから村に着いた時も、結婚式の後も、ぐっすり寝込んでました。

      

そして時刻はもう午後5時半、つまり17時半。湧き水が流れる音で目覚めて、

水分補給で元気回復。「斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ・・・。日没までに

は、まだ時間がある」。

   

そこからは最後の力を振り絞ってラストスパート。と言っても、もうヘトヘトな

のでいま一つスピードは出てませんが、平均時速9kmで1時間半ほど走り

ました。僕は別に市民ランナーではないし、当時はマラソンなんてスポーツ

は流行ってないので、このくらいで許してください。最近のマラソン大会なら、

制限時間オーバーでしょうけどね♪

    

   

          ☆          ☆          ☆

という訳で、結婚式の1日を挟んで、丸3日間。39km×3+3km=120km

のウルトラマラソン(あるいはトレイルラン=山道ラン)は終わりました。僕は

確かにかなり歩いたし、挫けて昼寝もしましたが、走ったのも事実。色んな条

件を考えると十分頑張ったつもりです。

   

一言、付け加えるなら、太宰先生の小説が描いてるメロスとは、スーパー・ア

スリートでも市民ランナーでもありません。平凡で意志の弱い人間が、正義と

愛と誠のために、自分に鞭(ムチ)打って頑張る姿を描いただけ。

   

実感が湧かない方は是非、野山と川で3日間、120km頑張ってみてくださ

い。その時初めて、ラストの時速9km走が「疾風の如」きスピードだと分かっ

てもらえるでしょう♪ まあ、「沈んでゆく太陽の、十倍も早く」という表現は大

げさだし、速いのか遅いのかもよく分かりませんけどね(笑)。

    

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

   

       

    

P.S. 週刊ポスト2014年3月7日号は、『走れメロス』は早歩きに過ぎない

     という素朴な計算(39km÷10時間=平均時速3.9km)をそのまま

     受け入れた後、専門家が指摘する「矛盾点」を指摘している。結婚式

     の準備の買い物だったのに、花婿が「葡萄の季節まで待ってくれ」と言っ

     たのが「明らかな矛盾」だというわけだ。

       

     メロスが走った時期と「葡萄の季節」(8月下旬~9月上旬)との間に

     は3ヶ月ほどのズレがあるが、それは「小説の矛盾」と言うより、単純

     な行動派のメロス(花嫁の親代わりの兄)と花婿との認識の違いだろ

     う。認識の違いや日取りの変更は、現実にもよくある事。そもそもメロ

     スは、いきなり荷物を背負ったまま王城に忍び込もうとするほど「単純

     な男であった」と書いてある。

      

     

cf. 太宰治『走れメロス』軽~い感想&走るテンメイ♪

            

                                   (計 4273文字)

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コメント

テンメイさん,はじめまして.メロスの移動速度を数学的に分析するとは面白い試みですね.ちなみに私は森見登美彦さんの走れメロスのほうが好みです.もっとも主人公はメロスではなく芽野史郎ですが.よろしければ私の幾何と代数に関する投稿記事を読んでいただいて,コメントしてくだされば幸いです.

http://suseum.jp/gd/index/3826

投稿: タナカ | 2014年2月23日 (日) 03時59分

> タナカさん
   
はじめまして。コメントありがとうございます。
文学の数学的分析なんてものは需要が少ないわけですが、
たまたまネットで流行ってたから飛びついてしまいました。
   
森見登美彦の新釈『走れメロス』、面白そうですね。
評判もいいようだし、いずれチェックしたいと思います。
   
そちらの数学記事は既に軽く拝見しました。
後ほど余裕のある時に、考えてみたいと思います shine

投稿: テンメイ | 2014年2月24日 (月) 08時26分

「走れメロス」は走っていた

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n252153

メロスが走っていたことを論証いたしました。

紀元前400年頃の実話をもとに

太宰治は描いたことが判明しました。


投稿: だざいおさむ | 2014年5月 9日 (金) 20時52分

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