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ガリレオ『真夏の方程式』の数式、水ロケットの飛距離・初速度・発射角

(☆14年6月20日追記: 長編レビューを追加でアップ。

     真解=深海の光を目指す水ロケット~『ガリレオ 真夏の方程式』 )

 

 

昨日の日曜に開催されるはずだった青梅マラソンが大雪で中止になったの

で、準備や移動などの時間が急に空いた。引越しの荷物片付けをしようか

な・・とか思いつつも、しばらくガリレオや物理の記事を書いてなかったので、

『真夏の方程式』のDVDを借りて来てしまった♪ 2013年12月25日発売っ

てことで、お店には最新作として何十本もズラーッと並んでる状況。

 

映画の本格的レビューを書く余裕までは無いから、とりあえずの目的は、ガ

リレオ湯川学(福山雅治)が書いた数式の確認。もちろん、ドラマみたいな

数式書きなぐりシーンが無いのは知ってる。ただ、ペットボトル・ロケットに関

するレポートに三角関数を使った式があったという情報を、映画館で見た読

者の方から聞いてたのだ。

 

一応、最初からフツーに見て行くと、いつまで経っても出て来ないから、「D

VDだとカットされたのかな?」と思ってたら、一番最後にようやく登場。たっ

た1本の簡単な式だけど、映画の中での位置付けとしては目立つ形だ。そ

れを見た少年・恭平(山﨑光)の父が、式をたどたどしく読み上げた後、「さっ

ぱり分からない」と呟いてた♪

 

ちなみに、テレビCMの一部で湯川が「実に面白い」と言ってたけど(DVD

ラストのオマケ映像)、映画にはその台詞は無かったと思う。ただし、映画

上映直後の舞台挨拶で、福山が観客に感想をたずねると、「面白い」とか

声が上がってた。当然そこで福山は、「実に・・・でしょ♪」とか突っ込みを入

れて、笑いを取ってたようだ。

 

 

          ☆          ☆          ☆

140620
  さて、本題の数式は左の通り。

  湯川が書いて、恭平の夏休み

  の宿題(自由研究)用にプレゼ

  ントしたレポートの3ペー

ジ目、「飛距離のグラフ」の右上に記されてた。DVDからのキャプチャーで

はなく、私がWordで入力したものなので、念のため。正確には、分子の中

央に、掛け算を示す黒点「・」があったかも知れないが、大した問題ではない。

 

(☆4ヶ月後の追記: 右辺の v を r と見間違えてたので修正。議論に影響

              はない。)

 

今まで、ガリレオ・シリーズの大部分の数式を記事にして来た目線で見ると、

極端に簡単なもので、『容疑者Xの献身』と同じく、高校1年の物理の教科書・

例題レベルに過ぎない。

 

試しに、エンドロールで監修者をチェックすると、ドラマの難解な数式でお馴

染み、東大の大島まりの名前は見当たらなかった。ペットボトル監修の片岡

鉄雄か、ペットボトルロケット取材協力の東大・鈴木真二が書いた数式かな。

流体力学の大島なら当然、噴射する水の微分方程式とか、煙突内を上昇す

る一酸化炭素の流れの式とか、書く所だろう。

 

 

         ☆          ☆          ☆

簡単過ぎて、マニアック・ブロガーとしては記事にしにくい訳だが、一応書い

てみよう。500円ほどの最新作レンタル料金の元を取る必要がある♪

 

左図は私が映画に合わせて手書きしたものだけど、似たものはどこにでも

140217b  あるはず。斜めに

 発射した物体の運

 動で、斜方投射と

 呼ばれてる。

 

 最も簡単な仮定と

 して、空気抵抗ゼロ、途中の加速・減速は重力加速度 g(=9.8m/s²)の

み、としとこう。初速度(正確には速さ)を v (図では r と間違えてる)、投射角

θ、発射からの時間 tとすると、上下の鉛直方向については等加速度直線運

動、水平方向については等速直線運動であって、 

 

  (鉛直方向・上向きの変位) = v t sinθ-(1/2)g t²

  (水平方向・右向きの変位) = v t cosθ

               (注. 変位とは位置変化。普通の言い回しなら距離)

 

落下地点では、鉛直方向の変位がゼロだから、

   v t sinθ-(1/2)g t² = 0

 

t≠0だから、tで両辺を割って、

   v  sinθ-(1/2)g t = 0     ∴ t=(2 v sinθ)/g

 

よって、水平方向の変位は、

   v (2 v sinθ/g)cosθ=v²(2sinθ・cosθ)/g

                   =(v² sin2θ)/g   (sinの倍角公式より)

 

140620_2
  これをLと書いたのが、映画の

  方程式だ(左に再掲)。公式と

  呼べるほど基本的な式ではな

  いけど、高校1年の1学期の

中間テストで「この式を導け」とか聞かれても不思議ではない。

 

ちなみに、LとはLength(長さ)の頭文字。rはradius(半径)の頭文字だろう。

同じ大きさで様々な向きを持ちうる速度ベクトルの、回転半径という意味だ。

(☆追記: 本当は r ではなく v だったから、速度velocityの頭文字。) 

 

 

           ☆          ☆          ☆

rを決めるのは、水量(映画では1kg程度)、空気圧、噴射ノズルの直径など。

気圧は、数気圧程度、つまり数百kPa(キロパスカル)程度のようで、ポンプ

として自転車用の空気入れが実用的らしい。

 

ちなみにいわゆるロードバイク(レーサータイプの自転車)のタイヤは7気圧

程度。私が乗ってるクロスバイク(街乗り用スポーツ車)だと4~5気圧、MTB

(マウンテンバイク)なら3気圧だ。

 

映画で湯川が使ってた圧力計(PRESSURE GAUGE)は0.4近い数字を

示してた。単位は書いてなかったが、おそらくMPa(メガパスカル)だろう。0.4

MPa=400000Pa≒4気圧(atm)。その程度の内圧であれほど飛ぶという

のも不思議な気がするが、だからこそ手軽な物理実験として大人気なんだろう。

 

映画の式を用いて、ペットボトル・ロケット飛距離Lを調整するには、水量や圧

力によって初速 v を変えたり、角度θを変えたりすればいい。 一定の初速 v

に対してLを最大にするには、分子のsin2θを最大にすればいいから、2θ

=90度、つまりθ=45度となる。

 

何とも常識的な結果だが、元の数式が極端に大まかなものに過ぎないから、

実際には何度も実験、試行錯誤する必要がある。そもそも実際の水ロケット

では、水の噴射による加速がコンマ数秒(0.2秒とか)続いて、その間にロケッ

ト全体の質量は減って行くし、加速するにつれて空気抵抗が増えるから、非

常に複雑なプロセスになる

 

あちこちのサイトに微分方程式が色々と載ってるけど、結局普通に解くことは

出来なくて、大幅な近似式や数値解析を使うらしい。それでも計算値と実測

値はなかなか合わないようだ。宇宙ロケットの打ち上げがいかに大変なこと

か、分かるような気がする。。

 

 

         ☆          ☆          ☆

最後に、高校物理の教科書・例題レベルの話を少しだけ追加しとこう。水の

噴射とロケットの加速の関係だ。話を簡単にするため、真上に向けて発射す

る場合を考えよう。

 

140217c

   今、僅かな時間で、質量mの水が速さ

   v(地上が基準)で噴射されたとする。

   その水以外のロケットの質量をM、噴

   射直後の速度をVとすると、最初はす

   べて速度0だから、運動量保存則の

   式は下の通り(上向きを正)。外力が

   働かない時、全体の運動量(=質量

   ×速度)は保たれるという話だ。重力

   は後で考える。

 

  (M+m)×0 =M×V+m×(-v)

  ∴ MV = mv

 

単位時間(1秒)で考えると、Vとは1秒後の速度、つまり加速度のこと。一方、

噴射ノズルの断面積をSとすると、1秒間に噴射される水の体積はSv。よって

水の密度をρ(ロー)とすると、水の質量mはρSv。よって、ロケットの加速度

をαと書くと、上の式より

 

  Mα=ρSv²   (右端の2乗に注意)

 

要するにこれが、ロケットの運動方程式(質量×加速度=力)を表してる。実

際には更に、重力加速度gも下向きに働くから、ロケットの運動方程式は

 

  Mα=ρSv²-Mg

 

これは一見、簡単な式のようで、同等のものはネットのあちこちで見かけた。

ただし、Mもvも時間的に変化する値、つまり時間の関数M(t)、v(t)だし、vを

決める空気の内圧も変化する。だから実際は、見た目より遥かに面倒な式だ。

 

 

           ☆          ☆          ☆

なお、水ロケットに関するサイトは多数あるが、素人にも分かりやすい形で実

測値をまとめてるのは、県立新潟南高等学校のpdfファイル、「SSHの紹介

と物理分野での実践例」だ。流石はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)、

ハイレベルな理科教育を行ってる。

 

その指導者の方が、少し前にアップしてるpdfファイル、「水ロケットと気体ロ

ケット ── 断熱膨張の原理 ──」は、大学レベルでしっかりした内容に

なってた。私も興味が湧いたので、またいずれロケット関連の物理記事を書

きたいと思ってる。  

 

とりあえず、今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

P.S. 高さのある場所から発射する場合について、記事を追加した。加速

     終了後の水ロケットの考察にもなってる。

 

      高い地点からの斜方投射の軌跡(弾道)、角度と水平到達距離

 

 

cf. 『ガリレオ2』第1話の数式、誘電体のマイクロ波加熱における電力半減深度

   『ガリレオ2』第2話の数式、不覚筋動による水晶振り子の強制振動

   『ガリレオ2』第3話の数式、

            パルス電磁波のフレイ効果による耳の奥の弾性波か

   『ガリレオ2』第4話の数式、流体中の回転ボールを曲げるマグナス効果などか

   『ガリレオ2』第5話の数式、

         近似のニュートン法による√2の数値解析(&バルマー系列)

   『ガリレオ2』第6話の数式、

              ホログラム記録&再生における光波の複素数表示

   『ガリレオ2』第7話の数式、

             ロッキングチェアの慣性モーメント&回転・直線運動か

   『ガリレオ2』第8話の数式、花火の光の入射角&3つの像の位置関係か

   『ガリレオ2』第9話の数式、超音波による圧力・密度変化(&ビルの高さ)

   『ガリレオ2』第10話の数式、ゼラチン絵の具の濃度や溶解反応速度か

 

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』の数式と図について

   『ガリレオΦ』の数式、ナビエ・ストークス方程式

 

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   解けない問題、χ(カイ)=愛 ~『ガリレオ 容疑者Xの献身』 (数式込み)

 

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』第1話、レーザー光線の計算式

   『ガリレオ』第2話、光の屈折の計算式

   『ガリレオ』第3話、共振現象の証明

   『ガリレオ』第4話、超音波による泡の衝撃波に苦戦中・・

   『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪

   『ガリレオ』第5話の数式、波動方程式の導出と一般解

   『ガリレオ』第6話の数式「フーリエ変換」について

   『ガリレオ』第7話、ER流体とトリックについて

   『ガリレオ』第8話の数式、アレニウスの式と2次反応速度式

   『ガリレオ』第8話の数式、2次反応速度式の計算と答

   『ガリレオ』第9話、雷の放電エネルギーの数式か・・

   『ガリレオ』最終回、核爆弾処理シーンの数学的解説

   『ガリレオ』最終回の数式1~熱伝導方程式

   『ガリレオ』最終回の数式2~熱伝導方程式の計算と答

 

                                     (計 4319文字)

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