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又吉直樹『火花』、吉祥寺の安アパートで思うこと~『いつか見る風景』(朝日be)

お笑い芸人・又吉直樹の大ベストセラー小説『火花』は、発行部数

300万部とか言われる。芥川賞受賞後の第二作『劇場』も、初版

だけで30万部(その後は不明)。

 

ただ、こうした数字の大部分は単なる流行現象であって、一瞬の火花

とまでは言わないにせよ、「作家」又吉の評価とは違ってると思う。

 

というのも、『火花』の舞台について本人が語ったエッセイが、17年

11月4日の朝日新聞・別刷beに掲載されたのに、全くと言っていい

ほど話題になってないからだ。

 

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バズるとかトレンドとは、かけ離れた反応になってる。今をときめく人気

俳優をキャスティングした映画『火花』も、11月23日公開予定なのに。。

 

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      ☆        ☆        ☆

丸1日近く経った時点で、コラム名と著者名を入れてツイッター検索を

かけると、わずか7つしかツイートがヒットしない。しかも、リツイートを

除いて検索してるはずなのに、朝日新聞関連の同じツイートが4つ

も入ってるから、実質的にはたった3、4人しかつぶやいてない。

 

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爆発的に売れた後でさえ、こんな状況だから、売れる前の淋しさや

悔しさ、自己嫌悪は悲惨だったはず。まあ、だからこそ悲惨な様子を

描いた小説が審査員の目に留まって、出版界のプッシュが成功した

とも言えるから、人生は皮肉なものだと思う。

 

ちなみに私自身は又吉の文章を評価してるから、既に2回、連載に

ついて記事を書いてる。ただ、他の記事と比べても、アクセス数が

少なめなのは事実。「インスタ映え」しないからか♪ 文章だろ!

 

cf. 横浜競馬場の「老いた3人の賢者」

     ~又吉直樹のいつか見る風景(朝日be)

  なにも書けない孤独な夜を・・

    ~又吉直樹 in 旧江戸川乱歩邸(朝日be)

 

 

      ☆        ☆        ☆

さて、月1回の長めの連載コラム、「又吉直樹の いつか見る風景」。

今回の「風景」は、吉祥寺(東京都武蔵野市)。

 

都内でも人気の街だけど、私はちょっと苦手で、数回しか行ったことが

ない。又吉の描写を引用してみよう。

 

 吉祥寺は魅力的な街だ。デパートや飲食店が立ち並ぶ

 エリアのすぐ近くに井の頭公園があって、街と自然が 

 共存している。普段から学生がたくさんいて、休日には 

 家族連れや若者で溢れかえる。流行に敏感な店も多いし、 

 この地に根を張った実力派の喫茶店や書店もある。

 

 

私の第一印象は、ゴチャゴチャして分かりにくいなという感じだった

(失礼♪)。井の頭公園も、池の形からして分かりにくいし、実際、池の

底を探るとゴミだらけだったというニュースもあった。もちろん今行けば、

そうした共存とか混沌の魅力を味わえると思うけど、何事も第一印象

の影響力は大きい。

 

自然と足が遠のいて、居心地のいい渋谷あたりに行くことが増えた。

あるいは、大都会の新宿、夜遊びの六本木、大人の街の銀座とか。

どこも、一つのイメージでつかみやすくて、スッキリしてる気がした。。

 

 

     ☆        ☆        ☆

又吉自身は、私とは別の意味で、吉祥寺に屈折した思いを持ってた

らしい。昭和とか昔の話ではなく、ほんの数年前のことだ。

 

 夕暮れ時に学生や会社員とすれ違うとき、なぜか後ろめたさ

 があった。喫茶店に行く時は小銭を数えて扉を開いた。眩しい 

 吉祥寺の風景は、何者でもない自分の存在を際立たせた。

 

 

実は人気者になった今でも、彼の基本的な感覚はあんまし変わって

ないだろうと想像する。まあでも、売れない時代、恵まれない境遇

だと、一段と身に沁みるものはあっただろう。

 

とはいえ、だからこそ貴重な体験も可能になるし、笑いのネタも手に

入る。お笑い芸人・又吉は、単に暗い生活を暗く思い出してるのでは

ない。エッセイの冒頭、風呂なし、トイレ・水道共用、築六十五年の

安アパートのことも、ヒネったオチで笑い飛ばしてる。

 

 その頃、不動産屋の前を通るたびに、他に安くて良いアパートは

 ないかと店頭に貼り出された物件情報を眺めることが多かった。

 たまに吉祥寺駅から徒歩十分圏内で家賃二万円台の物件が

 あって、自分が住んでいるアパート以外にも格安の物件がある

 のだなと驚かされることがあったが、写真をよく観察すると、それ

 は必ず綺麗な雰囲気で撮影された自分のアパートだった。 

 

 

      ☆        ☆        ☆

そうした情景は、私にとって、「いつか見た風景」だ。高校卒業後、

田舎から首都圏に出て来た時、アパートは自分で選んだものじゃ

なく、機械的に紹介されて決まった物件だった。

 

ハッキリ言ってボロくて、見た目も名前もさえないけど、最初だから

こんなものかと、逆に闘志を燃やすキッカケにもなった。街自体が

おそろしく地味だったけど、それもまた18歳の少年にとってはいい

刺激になったのだ。今に見てろよって感じで、文字通り、青い春♪

 

又吉は、「安いからなのかアパートの住民は変わった人が多かった

と書いてる。より正確には、「すごく安いから」と言うべきかも。

 

エアコンが無くて開けっ放しの窓から見えた部屋の中には、「世界征服」

と書かれた大きな紙(笑)。実話なんだから、本人が名誉棄損で又吉を

訴えれば、億単位で稼いだ印税の一部が手に入るかも♪

 

あるいは、お経を唱えながら歩いているおじさんを見て、変わった人

だなと思ってたら、そのまま自分と同じアパートに入ったとか(笑)。

駅前で、猫の絵が描かれた旗を自転車にくくりつけて、ギターを弾き

ながら猫語で歌うおじさんとか♪

 

 

      ☆        ☆        ☆

そうそう。私の最初のアパートにも、変わった人が多かった。部屋に、

「世界征服」とちょっと似た言葉を大きく書いた紙を貼ってる、可愛い

少年とか(笑)。自分か!

 

LGBTらしき方々を初めて身近で見たのも、このアパート。聞き取る

のが困難な日本語を初めて聞いたのも、ここだった。皆さん、今どう

してるのかね。そのアパートは既に無くなってるらしいけど、街の様子

はあんまし変わってない気がする。何しろ、首都圏なのに全く話題に

ならない街なのだ♪

 

その後、私はわりのいいアルバイトを始めて、収入がかなり増えた

こともあって、住みやすい街に引っ越した。その時初めて、街の格差

というものを思い知らされたのだ。家賃は遥かに高くても、圧倒的に

住みやすい。何しろ、街を歩いてていきなり因縁をつけられることが

なくなったから(笑)。普通だろ!

 

・・・って感じの回想録を書き始めたら長くなるから、今日はそろそろ

終わりにしよう。今週は計15328字で終了。制限オーバーだけど、

削るのが面倒だからスルーしとこう♪ ではまた来週。。☆彡

 

               (計 2610字)

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コメント

吉祥寺駅前で、猫の絵が描かれた旗を自転車にくくりつけて、ギターを弾き

ながら猫語で歌うおじさんとか、ってボクのことや!

ボクは吉祥寺の星O荘の部屋に、「天下統一」と貼り出していたけど、「世界征服」は?誰か分かんない。けど、吉祥寺も超変人が多いから、居そう。

、、、と言う事で又吉直樹さんにボクの猫歌CDか猫詞集を差し上げたいけど住所って分かるかな~?

 ...吉本興業に連絡したら良いのか?

投稿: 猫に片思い社 | 2018年11月 9日 (金) 13時59分

> 猫に片思い社 さん
   
はじめまして。コメントありがとうございます。
   
何と、又吉のネタのご本人ですか♪
「天下統一」が又吉の記憶の中で、
「世界征服」に変わったのかも。
    
ちなみに私も田舎から上京直後、
似たような言葉を部屋に貼ってました。
吉祥寺よりマイナーな場所でしたけど。
   
住所は知りませんが、こうゆう時代ですから、
事務所に物を送っても受け取ってもらえないかも。
ツイッターを使うのがいいような気がします shine

投稿: テンメイ | 2018年11月10日 (土) 02時30分

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