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袴田さん再審取消(東京高裁)の感想~本田克也教授の細胞選択的抽出法など

約50年前、1966年の殺害事件の死刑囚、袴田巌さんの再審

決定については、4年前から何となく気になってた。

 

当時から微妙な雰囲気が漂っていて、再審&逆転無罪への道のり

は長そうだと思ったし、半世紀も前のシャツの血痕から別人のDNA

を検出するという手法に、やや違和感があったからだ。常識的に

考えて、それほど時を隔てた実証例はほとんど無いはず。

 

仮に「検出」らしきことが可能としても、死刑の確定判決(その時点

で34年前)をくつがえすほどの信頼性はあるのか。当然、その手法

は別の事件だと逆向きに、無罪を逆転有罪へと導くことにもつながる。

 

極端な話、ある日突然、自分が昔の事件の真犯人とされてしまう

可能性もある。その意味で、決して冤罪を救済するための正義の

科学というわけではない。冤罪を捏造する悪の科学にもなりうるし、

真犯人を逃がしてしまう信頼性の低い技術にもなりうる。

 

 

     ☆       ☆       ☆

ところで、当サイトは個人ブログだから、私自身がどう書いて来た

のかをまずチェックしてみた。ブログ内検索をかけると、記事は3本。

ニュースが出た直後に1度軽く感想をつぶやいて、少し後にほんの

一言コメント。4ヶ月後に、司法ドラマのレビューでも書いてた。

 

最初はこんな感じで語ってた(2014年3月27日)。

 

 「・・・まだ再審決定にすぎないけど、無罪確定後にチャンピオン・

 ベルトを巻く姿が見たいもの。授与するのは当然、支援し続けた

 輪島功一かな。とりあえず、袴田さんの心身の快復を祈るとしよう♪ 

 

 それにしても、本当に証拠ねつ造としたら、かなりの人数が

 関わってたはず。・・・」

 

「まだ再審決定にすぎない」、「本当に証拠ねつ造としたら」という

書き方で、慎重な態度は保ってる。ただ、私が格闘技ファンという

こともあって、好意的な文章になってるのは確か。もちろん世間的

には、遥かに好意的な反応が飛び交ってた時期だった。

 

 

     ☆       ☆       ☆  

一方、キムタク=木村拓哉が検事として活躍する人気ドラマ、

『HERO 2』の第1話レビューでは、こんな感じになってる

2014年7月15日。

 

 「ところで、『ミスター・ブレイン』でも冤罪(足利事件)が話題に

  なってたが、今回の『HERO 2』でも袴田事件がほのめかされ

  てた。こちらはまだ、3月に再審決定&釈放となっただけで、

  無罪確定にはなってない。

 

  ・・・(中略)・・・

  マスター  そいつが真犯人だったらどうすんだよ?

  久利生  あぁ。。でも、こないだもあったじゃないですか。

         無実の罪で40何年間も刑務所にいたって。

  マスター  あったあった。あれはひどい話だな。

  久利生  でも、あれが事実だったとしたら、オレら、

         検事の責任ですからね。・・・」

 

 

ここでは、私は記事の中身同様、中立性を保ってる。ドラマでも、

脇役のマスターは一般人の素朴な感情として「あれはひどい話だな」

と語ってるけど、主役のキムタク=久利生検事は、「あれが事実

だったとしたら」と慎重に言葉を選んでた。

 

つまり、無実の罪と見えて、実際はそうでない可能性も残ってることを、

脚本家はそれとなく冷静に示してるのだ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

さて、先日の東京高裁による再審取り消し(2018年6月11日)

を受けて、私はすぐ判決(決定)要旨を読んでみた。12日の朝日

新聞・朝刊から、核心部の前半を引用してみよう。

 

  本田氏の「細胞選択的抽出法」という鑑定手法には科学的

 原理や有用性に深刻な疑問があり、地裁決定を是認できない。

 本田鑑定は確定判決に合理的な疑いを生じさせるような新証拠

 とも認められない。

 

  まず、本田鑑定の手法は本田氏以外に成功した例が報告

 されておらず、一般的に確立した科学的手法と認められない。

  そして、本田鑑定は基礎となる科学的原理の信頼性が十分

 でなく、複数の専門家から疑問が上がっていたのに、地裁決定

 は証拠価値を高く評価しており、慎重さを欠いている。

 

  本田氏は試薬「レクチン」を使って血球細胞を凝集させ、遠心

 分離で比重の重い血球細胞を沈殿させ、それ以外の細胞を

 分離するとしている。だが、レクチンはDNA型鑑定に必要な

 赤血球だけを凝集させるものではなく、遠心分離で白血球と

 他の細胞を分離できたとの研究報告は見当たらない。・・・

 

 

      ☆       ☆       ☆

この要旨を読んだ後、東京高裁HPで実際の決定の文章を探して

みたが、サイト内システムで検索しても何も出て来ない。

 

過去にも何度か経験したように、判例の類のネット公開はまだ進んで

ないのだ。人権や裁判への影響を考慮してのことか。判例集の出版

などへの配慮もあるのか。

 

そこで、核心部である本田教授の方法について検索してみたが、

確かに一般的なものとは思えない。色々な検索の結果を見ても、

(袴田事件の報道などを除く)実質的な科学的情報は僅か。

 

英語で、「lectin dna "Katsuya Honda"

 cell selective extract」の検索を行っても、

「似たページは除外」した結果は15件しかヒットしない。

 

180613a

 

これで死刑判決を再考させるほどの実効性を認めた静岡地裁の

理由が知りたくなる。

 

 

     ☆       ☆       ☆

もちろん、まだ弁護側は最高裁への特別抗告を予定してると報道

されてるし、今後どうなるか、真実はどうなのか、ハッキリしない

状態ではある。

 

それは今後を待つとして、少し違う側面にも触れとこう。朝日新聞

と読売新聞の報道の仕方がかなり違うのだ。

 

朝日の社説(12日)はそもそも題名が、「釈然としない逆転決定」。

本文は微妙な書き方になってるけど、明らかに不満を示してる。

 

それに対して読売の社説(同)は、「・・鑑定への評価が明暗を

分けた」。本文にはこう書かれてる。「高裁は、検証により、鑑定

結果を真っ向から否定した。地裁決定の根幹が崩れた以上、覆す

しか選択肢はなかったと言えよう」。要するに、認めてるのだ。

 

左派の「人権の朝日」が死刑囚を擁護し、右派の読売が冷めた

姿勢を見せる。左と右の違い、対立は、今でも色々な所で鮮明だ。

 

半ば理数系の中立ブロガーとしては、他の科学者・専門家の意見や、

静岡地裁の見解なども調べてみたいと思ってる。

ともあれ、今日のところはこの辺で。。☆彡

 

 

P.S. 2日後、静岡地裁の4年前の再審決定要旨を読んでみた

   (朝日新聞)。単なる要旨であって元の文章ではないからか、

   実質的な説明はなし。単に、弁護側鑑定が検察側鑑定より

   信頼性の高い方法を使っているという指摘だけで、根拠は

   何も示していなかった。

 

            (計 2619字)

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