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好きなものをあきらめて、自分という舟を好きになりたい・・~『野ブタ。をプロデュース』第7話(再放送)

新型コロナによる再放送が決まって以来、ウチのブログで一番読まれて来たのは、14年半前に書いた白岩玄の原作小説のレビューだ。少なくとも最初は、検索サイト(Google、Yahooなど)を通じたアクセスが大部分だった。

  

小説はドラマとは大幅に違ってるので、原作を知らない人にとっては目新しい情報が色々入ってるレビュー。最近のネット用語なら、これも「ネタバレ」の一種か♪

  

 リアルな人間との向き合い方~野ブタ原作

   

その次に読まれてるのが昨日、2020年5月23日に再放送された、第7話の感想記事。こちらも14年半前のレビューで、素敵なコメントを頂いたのが嬉しかったから、よく覚えてる。

   

最初は検索経由が多かったけど、途中からツイッター経由のアクセスが多くなってる。好意的に拡散してくれた方、どうもです♪ 本放送の直後だと確か、ココログ(ニフティのブログ)の記事紹介ページを通じたアクセスが多かった。

   

 人を好きになることの難しさ~野ブタ第7話

   

ひょっとすると日テレも、あまりに切ない第7話の特別な人気を知ってるのか。あるいは、制作者サイドから第7話を特別にプッシュしてるのか。今年の再放送では、わざわざ先週の第6話の最後に、第7話の冒頭の主要部分を数分間だけ放送。彰(山下智久)が野ブタ(堀北真希)と結婚したいとか、放送部がどうとかいう内容だったと思う。

   

今週はその数分を除いた部分をオンエアしたようで、もともと放送するはずだった『未満警察ミッドナイトランナー』の宣伝PR部分も挿入される中、野ブタ第7話はあまりカットされない形で放映された。気になるのは、細かいブツ切り的な編集くらいか。まあ、その分、先週かなりカットされてた第6話は気の毒だけど♪

   

   

    ☆     ☆     ☆

さて、今の私なら、何度も書いて来たように、ドラマの映像の作り方や全体の構成に目が行く。これは、ほとんど書かれてない話、ほとんど気付かれてないポイントだから、マニアック・ブログとしてもちょうどいい題材だ。

   

後で画像と共に解説するけど、例えば修二(亀梨和也)と野ブタ(堀北)の抱擁シーンなら、私の目にまず留まるのは、2つのライトの使い方、映し方。あるいは、彰の『お嫁においで』熱唱シーンなら、「放送室の隣の部屋」のマイクの位置なのだ(細かっ・・♪)。非常にテクニカルな設定が使われてるように見える。

   

ただ、やっぱり主要な登場人物の関係や心の動き、物語に魅かれる視聴者が大多数だし、もちろん私も15年前はそうだった。そこで今回のレビューではまず、当時の私自身の解釈や考察を引用して、補足・修正しながら振り返ってみたい。

   

放送の翌朝、2005年11月27日の5時半にアップされた記事♪ 録画を見直して考えてたら、寝るヒマが無くなったと。ブログ依存症の初期症状か。ガクガク、ブルブル。。

   

   

    ☆     ☆     ☆

「前回の記事には『大切なもの、欲しいもの』という題を付けておいたが、今回は、様々な『欲しがる』(欲望する)という営みの中でも最も強い、『人を好きになる』ということをめぐるお話。『愛』っていうより、『恋』って言葉の方が相応しい」。

   

ここに書かれてる文章自体は、今読み返してもほぼ正しいと思う。ただ、当時は、「人を好きになる」ことの次に強い欲望には触れてない。それこそ、第6話のキーホルダー販売ごっこで話題になってた、お金。

    

今回の妙な宝くじ当選エピソードは、5人で300万円、1人あたり60万円の賞金を強く欲しがること、ぬか喜びすることから開始して、渋々「あきらめる」流れになってた。みんなで買った宝くじを、横山(岡田義徳)がポケットに入れたまま洗濯して、クシャクシャの丸い紙屑にしてしまったのだ。教頭キャサリン(夏木マリ)はヨコヤマ揚げを作って呪いをかけてた♪

  

そう言えば、新型コロナに揺れる現在。政策的に大きな話題になってるのは、10万円~50万円くらいのお金だ。数十万円レベルというのは、普通の大人が大切さを実感しやすい金額なのかも。毎月の給料やボーナスも、大体その辺りの額になってる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

もう一つ、昔は気付かなかったのが、「人を好きになる」ことと同じくらい強い欲望が別にあること。それこそ、「自分が生きること」への執着。

    

だからこそ、デルフィーヌ(忌野清志郎)は、秋(あき)まで生き残ってるセミに、あきらめなさいと諭してた♪ 脚本家・木皿泉お得意のダジャレ的言葉遊びが光ってる。彰(あきら)も、諦(あきらめ)なさいと。

   

ちなみに、今のコロナに揺れる世界なら、「空き」(あき)が大切だ(笑)。三密とか、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離のキープ)とか、「あき」るほど聞かされてる。この記事を10年後に読む人には、何のことか分からないかも♪ 感染予防には、なるべく2m以上の間隔が必要とされてるのだ。ランニングなら10mとか。

      

・・っていうか、10年後にこの記事、残ってるのかね? 5年後のブログ20周年なら、ひそかに狙ってるけど♪ もちろん、毎日更新連続で。

    

   

     ☆     ☆     ☆

もう1ヶ所、昔の記事からちょっと長めに引用してみよう(連続する2段落)。

  

「見るたびに、好きになる。・・・これ、人しか映ってないんだよ、知ってた? 好きなものって、人なんだよ。面白いよね、冷たそうに見えるのに、人が好きだなんて。きっと、周りの人を、ものすごく大事にする人なんだね。そのために、ウソついたり、すごい我慢したりしてるのが、これ見てるとよく分かる。

    

彰の嫉妬心を燃え上がらせるだけの無邪気さはともかく、ここで問題なのは、この信子の分析が、半ば正しく、半ば間違ってるって事。修二が好きなのは、確かに人だ。でも、一番好きな人は自分自身」。

    

こちらも、今読み返してもほぼ正しいけど、やっぱり見えてなかったものがあるのだ。それは、人間の最初の愛の対象、母という存在。あるいは、その欠如。非存在。

      

このドラマ、父親は時々登場するのに、母親はほとんど出て来ない。聞き分けのいい修二も、幼い頃には、「お母さ~ん!」と駄々をこねてたのかも。いわゆる「原初からの叫び」、プライマル・スクリームだ。

      

その駄々は全く効き目がなかったから、幼い修二は諦めたのだろう。人を大好きになること、大好きな異性(母)と一緒にいることを。それは現実の影響でもあるし、壊れそうなほど苦しい自分を守るためでもある。

  

性愛的な欲望と、自己保存の欲望。深層心理学の2つの原理はやはり強大。そして、それらポジティブなものと並ぶもう一つの強大なものこそ、破壊衝動。今、これを野ブタに向けてる謎の女の子はやがて、自分に対して向けることになるだろう。他人を壊そうとしてしまう自分を、自分で壊したいと。。

   

   

     ☆     ☆     ☆

昔の第7話レビューへの再考はこのくらいにして、今の私の目線を解説してみる。まず、軽いお遊び的な指摘から♪

     

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修二が撮影した映像をノブタが編集したビデオを、嫉妬した彰が捨てそうになったシーン。この野ブタ・パンチのヒットの時、山Pは上手く身体を逸らしてる。これ、「スウェイバック」と呼ばれる防御テクニックで、身体が柔らかくて反射神経が良くないと出来ない。そう言えば彼、2011年の主演映画『あしたのジョー』でボクサーを演じてた。

   

・・って話なら、わりとフツーかも。実はそれより、ノブタの左手のガードが目に付くのだ♪ 大きなストレートパンチを打って攻撃する時には、自分を守る必要もある。彰の反撃、必殺のクロスカウンターに備えて(笑)。ジョーか! っていうか、守るべき場所は反対の右側だろ!(細かっ・・)

   

   

     ☆     ☆     ☆

遊んだ所で、次はいきなり、重く哀しいシーン。彰と一緒に、早朝の学校に侵入した修二が、バスケの練習に来てたまりこ・・じゃなくてまり子(戸田恵梨香)に「ひどい事」を言って泣かせる場面の映像。ストレートなロングヘアに、白いマフラー。可愛い♪

     

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あきらめが悪いはずなのに、あきらめざるを得ない、まり子の可憐(いじら)しい姿に萌えつつ、私の目は上の2番目の画像に引き寄せられる。彰の放送につられるようにして、修二が、誰も本気で好きになれないという告白をした後、修二は廊下の左側に逃げ去る。この時、画面の上側には、非常口を示すライトと左向きの矢印がハッキリ映されてるのだ。

  

それだけじゃない。恋愛ごっこの終わりの瞬間、修二の横にも、まり子の横にも、消火器が映ってる。小さな炎が2つ、消されてしまったのだ。

  

1番目の画像では、消火器は2人の間に置かれてる。ところが2番目では、まり子のすぐ左横に消火器が見える。要するに、戸田恵梨香を少し前に移動させて、ベストな位置で消火器と非常口ライトを映してることになる。演出はいつもの通り、岩本仁志。

   

   

    ☆     ☆     ☆

続いて、順番は前後するけど、抱擁と並ぶ第7話の名シーン。彰の『お嫁においで』。告白して諦めるはずの放送で、どうしてプロポーズするのか。その意味については既に昔、説明しておいた。作詞、岩谷時子。

  

「もしもこの舟で 君の幸せ 見つけたら すぐに帰るから 僕のお嫁においで」。

  

つまり、一人で舟(小さい船)に乗って相手の幸せを見つけることが、結婚の条件、つまり資格だけど、彰には結局見つけられなかった。残念だけど、今の自分には信子と結婚する資格どころか、好きになる資格さえ無いから、しばらく一人きりで航海を続けるよってこと。「月もなく淋しい 暗い夜も ・・・君の微笑み」を思い浮かべながら。

      

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上側の画像で、彰の白いジャケットの意味がよく分かる。早朝の暗い放送室で、彰だけスポットライトを浴びた形になってるのだ。窓からの自然光を活かして。もちろん、白は彰のピュア(純真、素)な性格も象徴。7時15分を指す時計も忘れずに撮影。

  

で、その下の画像が何とも芸が細かい。隣の部屋のスタンドマイクが、彰の背中に向けられてるのだ。映像の文法的に、これがマイクを中心に構成された画像なのは明らか。背中まで泣いてる彰。思わず見入ってしまった。ちなみに、下の画像でも7時15分という時刻を強調。ほとんど誰もいない校舎に侵入して、7時30分に身柄確保されるのだ♪ 事件ものドラマか!

  

彰については、最後の修復ビデオテープの画像を一人で見るシーンも印象的だった。あれ、野ブタ。パワー注入の映像を見てる彰は、野ブタの前で撮影してた修二の位置にいるわけだ。野ブタが好きな修二と一緒にいる姿を、脇から見つめる彰。「3人でいる時の野ブタが一番好き」という台詞には、明るい意味に加えて、こんな哀しい意味も含まれてる。

      

   

    ☆     ☆     ☆

最後はやっぱり、主人公2人の熱い抱擁。ドラマ『あすなろ白書』のキムタク=木村拓哉とは逆に、女が男を後ろから抱き締める、「逆あすなろ抱き」。ちなみにこの公園はたぶん、墨田川から都心を挟んで西に大きく移動した、蛇崩川の緑道の途中だろう(細かっ♪)。

   

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一連のシーンの最初は、2つのライトが大きく離れて映ってる所からスタート。

   

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ところが最後、自分で慌てた野ブタが逃げ去るシーンでは、接近した2つのライトが右側に映ってる。そしてこの後、1人で歩く野ブタを映す時には、ライトが1つに。さらに、1人になった修二に対しては、ライトを直接映すことなく、ぼんやりと明かりで後ろから包み込んでるのだ。まるで、野ブタの愛に背中から包まれたように。後光がさすような影の線も見事。

        

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意識的には誰も気づかないだろうけど、無意識のサブリミナルな効果は生じるはず。プロフェッショナルな映像だと、あらためて感心。撮影&編集スタッフの皆さん、グッジョブ♪☆

   

   

    ☆     ☆     ☆

結局、ストーリー的に見ると、彰は大好きな野ブタを一旦あきらめて、野ブタのことを好きになる資格を持てるような自分を目指そうとする。もし、自分という舟を立派にできたら、自分で好きになれるくらいの舟になれたら、その時こそは・・と、はかない夢を描きつつ。

  

一方、修二は、ちょっとだけ好きだったまり子をあきらめて、可愛い女の子と付き合ってるカッコイイ自分の姿もあきらめる。もっと、他人を本気で好きになれるように。もっと、自分という舟を自分で愛せるように。

   

まり子も似た感じで、野ブタの展開だけは、最終回のお楽しみってことで。あぁ、15年後もまた明け方になってしまった (^^ゞ 大好きな相手を諦めること、大好きな女の子が選んだ他の男に嫉妬すること。そうした出来事も、いずれ眩しくて懐かしい思い出に変わって来る。少しずつ、少しずつ。。

 

なお、今週は計16416字で終了。最後だけ気合いが入り過ぎてしまった♪ ではまた来週。。☆彡

   

   

   

cf. 哲学者ニーチェ「神は死んだ。人間は仲間と創造のゲームで遊べ」~『野ブタ』第1話(再放送)

 どんな服着てても笑える、好きな服ならもっと~『野ブタ』第2話(再放送)

 真夜中に手をつなぐモグラ達、はかない奇跡の光~『野ブタ』第3話(再放送)

 不意打ちのように訪れる、本当の心~『野ブタ』第4話(再放送)

 「花の街」、七色の谷を越えて、リボンのキャッチボール~『野ブタ』第5話(再放送)

 ちゃんとした人間になっても、道端の十円玉のままで~『野ブタ』第6話(再放送)

 信じたいから信じる、本当の友達を~『野ブタ。をプロデュース』第8話(再放送の前♪)

 闇夜に浮かぶ蒼い月、はるか遠い場所~『野ブタ。をプロデュース』第9話(再放送)

 「山崎と海亀」がヤバイ♪、修二と彰は2人で1つ~『野ブタ』最終回(再放送)

          

      (計 5329字)

   (追記117字 ; 合計5446字)

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