連続する3つの自然数の積と倍数、不定方程式の応用~2019センター試験・数学ⅠA・第4問(選択)

河合塾の分析によると、今年の数Ⅰ・

数Aの総合的な難易度は「昨年並み」。

ただし、「必答問題は計算量が少なく

易しいものが多かったが、選択問題は

誘導に気づきにくく難しいものがあった」。

 

以下で解説する選択問題・第4問の

(4)のラストは、確かに誘導に気づき

にくいというか、誘導を使いにくい。

 

これが時間の長い入試なら普通かも

知れないけど、センター試験は4問で

60分だから、1問平均15分。正確

には選択問題は配点20点だから、

単純計算だと12分。それでこの誘導

は不親切だろう。

 

せめて(3)を最初にして、その後で

(1)(2)を続けてれば、自然に(4)

を考えることができた。

 

ところが実際は(3)で不定方程式の

話の流れが一旦途切れるので、誘導

の流れを見失う。(3)の前半と後半

のつながりも分かりにくい。

 

特に、100点満点を取ろうと狙ってた

受験生は焦っただろう。ただし、難しい

のは一番最後だけなので、平均点には

それほど影響しないと思う。河合塾の

数Ⅰ・Aの予想平均点は60点で、去年

より2点弱下がっただけになってた。

 

なお、この記事はスマホで読む人の

割合が多いだろうから、1行の字数を

少なくする。PCやタブレットの方、

悪しからず。ちなみに私の入力はPC。

 

 

    ☆       ☆       ☆

問題はまだ大学入試センターで公開

されてないので、河合塾からコピペ

させて頂く。解答・解説は何も参考に

してない。厳密に書くと長いし、元々

マークシートだから、少し省略した。

 

190121a

 

解答(1)

 49x-23y=1

 49×8-23×17=1

(注. 8と17はアイウの単なる候補)  

辺々引いて、 

 49(x-8)-23(y-17)=0

 ∴ 49(x-8)=23(y-17)

49と23は互いに素だから、

x-8=23kと書ける。

 ∴ x=23k+8

よって最小の自然数xは8 ・・・ア

また、エオ23

 

x=23k+8を元の式に代入して

 49(23k+8)-23y=1

 ∴ y=49k+17

x=8の時、k=0だから、

 y=17 ・・・イウ

また、カキ49

 

 

    ☆    ☆    ☆

190121b

 

解答(2)

 A=49x、B=23yとし、

(1)を参考にして考える。

 

A-B=1の時、

 49x-23y=1

よって(1)より最小のAは49×8。

この時のBは23×17。

 

一方、A-B=-1の時

 49x-23y=-1

 49×8-23×17=1

辺々足して、

 49(x+8)-23(y+17)=0

∴ x=23k-8,y=49k-17

最小のAは49×15(k=1)で、

先ほどの8より大きくなってしまう。

 

以上より、AとBの差の絶対値が1なら 

(A,B)

=(49×,23×17) ・・クケコ

 

またA-B=2の時、上と同様にして

 x=23k+16

最小の自然数xは16だから、

最小の自然数Aは、49×16

 

一方、A-B=-2の時、

 x=23k-16

最小の自然数xは7(k=1)だから

最小の自然数Aは49×7。

これは先ほどの49×16より小さい。

この時、B=A+2=23×15 

 

以上より、差の絶対値が2なら

(A,B)

=(49×,23×15) ・・サシス

 

 

    ☆    ☆    ☆

190121c

 

解答(3)

 aとa+2の最大公約数は、

 aが奇数なら1、偶数なら2。

合わせると、1または2 ・・・セ

 

また、a=1の時を考えると、

 a(a+1)(a+2)=6

これがmの倍数だから、 m≦6

 

逆に、m=6としてみる。

連続する3つの自然数である

a、a+1、a+2の中には2の倍数

と3の倍数は必ず含まれるから、

3つの積は6の倍数。

 

以上より、条件をみたす最大の

mは6 ・・・ソ

 

 

    ☆    ☆    ☆

190121d

 

解答(4)

 6762=2××7²×23 ・・タチツテ

 

まず(3)より、b(b+1)(b+2)は

常に2×3(=6)の倍数。

よって、あと7²(=49)の倍数であって、

かつ、23の倍数であればよい

(正確には、bの必要十分条件)。

 

連続する3つの自然数b、b+1、

b+2のどれか1つが、単独で49の

倍数かつ23の倍数とすると、それは

49×23の倍数だから大きくなって

しまう。

 

そこで、49の倍数と23の倍数が

3つの中の別の数だとしてみる。

 

例えば、b=49x、b+1=23y

なら、49x-23y=-1

また、b=23y、b+2=49xなら、

49x-23y=2

 

結局、49の倍数と23の倍数の差

の絶対値が1か2だから、(2)の答

2種類を合わせて利用できる。

 

よって、49の倍数が最小になる

のは、それが49×7=343の時

((2)後半)。この時、23の倍数は

23×15=345。

 

したがって、345がb+2であり、

 b=343 ・・・トナニ

 

 

    ☆    ☆    ☆

なお、最初や途中の1次不定方程式

(整数解)を解く方法は色々ある。

 

例えば、49x-23y=1なら、

係数の絶対値が大きいxの側に

1,2,3,・・・と代入していく

のがコツで、x=8で成功する。

 

あるいは、まず

 23(2x-y)+3x=1

と変形して、2x-yの所に

1,2・・と代入していくやり方も

ある。2x-y=2ですぐに成功。

 

理論派の人なら、さらに

 3{7(2x-y)+x}

 +2(2x-y)=1

と変形したくなるかも知れない。

 

ただ、変形自体が面倒だし、

7(2x-y)+xの所に整数を

代入して成功しても、そこから

出て来るyが整数とは限らない

ので、あまり上手くはない。

 

最初の式から

 y=(49x-1)/23

  =2x+(3x-1)/23

と変形して行く方法は、さらに

面倒で、受験数学では損だろう。

 

ともあれ、数Ⅰ・Aの約40万人の

受験生の皆さん、お疲れさま♪

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf.妻と再会できた夜、月見草の花畑

 ~上林暁『花の精』(2019国語)

 

二項分布と正規分布、標本による

  母集団の推測、信頼区間

 ~2018センター試験・数学ⅡB    

 

 陸上選手の体格指数BMI(散布図

 と補助線の傾き、箱ひげ図)

 ~2018センター試験・数学ⅠA

 

       (計 2356字)

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妻と再会できた夜、月見草の花畑~上林暁『花の精』(2019センター試験・国語)

ここ十年ほどツイッターその他で話題になって来たセンター試験

の国語(現代文)だが、今年はあまり話題になってない気がする。

 

上林暁(かんばやし・あかつき)の私小説『花の精』。初出は各種

ネット情報を総合すると昭和15年(1940年)、河出書房の雑誌

(?)『知性』だろう。普通に読むだけだと、一般人の日記かブログ

のような感じさえある、日常的な話だ。

 

もちろん、よく読むとやはり文学であって、メモみたいに行動を単純

に記録しただけの文章ではない。『花の精』というタイトル自体も、

メルヘン的言葉に見えて、心をえぐるような鋭さを秘めてる。という

のも、妻の入院先は「精神病院」とされてるから(ブリタニカ国際

大百科事典)。

 

つまり、「花の精」とは、「妻の精神」と綺麗に重なる言葉を選んだ

題名なのだ。私は問題文を一度読んだ後にその事実を知ったが、

その上で読み返すと妖しく危険な香りを感じた。

 

それこそ、主人公=彼が最後にかいだ月見草の「かぐわしい香り」

なのだ。「天国」とか「脱線」という言葉の解釈も微妙に変化せざる

を得ない。2013年に出題された「スピンスピン」(『地球儀』)など

を思い出す所だろうか。下はウィキメディア、Michael Wolf

氏の作品より。

 

190120c

 

 

     ☆       ☆       ☆

問題は、私自身は河合塾HPで21時過ぎに読んだが、既に

あちこちで公開されてる。

 

解釈込みのあらすじをごく簡単にまとめると、妻の入院中、心を

慰めてくれる存在だった月見草が、庭師によって引き抜かれて

しまう。そこで、釣りをする友人と一緒に多摩川へ行き、月見草を

手に入れる。

 

夜の建物の明かりで妻を思い出すが、圧倒的な月見草の花畑が

感傷を吹き飛ばす。手に抱えるのは、かぐわしい花。やっと「妻」

と再会、抱擁できたのであった。。

 

 

     ☆       ☆       ☆

190120a

 

まず、Googleマップをお借りして、場所と位置関係を確認

しとこう。右上(JR荻窪駅の北側)辺りが天沼で、作者の自宅。

流石は昭和初期の私小説、個人情報を思いきりさらしてるのだ。

 

JRは当時「省線」などと呼ばれ、荻窪駅の西側に武蔵境駅が

ある。そこまから地図の左下の「是政」(これまさ)までは、西武

鉄道のガソリン・カーが走ってたらしい。その南西側はちょっとした

山(丘陵)になってるが、田舎の「山」ほどの大きさや雰囲気はない。

 

ちなみに是政というのは多摩川サイクリングロードの「是政橋」と

しても有名な地名。私も自転車で度々通過してるが、止まったこと

は1、2回しかない。ただ、サイクリストに限らず、スポーツ愛好家

がよく休憩してるポイントなのだ。東京・横浜エリアで大きく見ると、

下の図のようになる。南東の羽田から北西に伸びるのが多摩川。

 

190120b

 

 

     ☆       ☆       ☆

さて、多くの人と同様、私も全く知らなかった小説だが、ネット

上に問題文とは違う箇所が紹介されてる。「花の精」を含む選集

『星を撒いた街』に対する、阿部公彦の書評(東京大学)。その

引用を読むと、またしてもイメージが大きく揺さぶられるのだ。

 

 「その月見草の太い株が、植木屋の若い職人が腰に挟んでいた

 剪定挟で扭(ね)じ切られているのを見たとき、私は胸がドキドキ

 して、口が利けなかった」

 

 「職人は、根株を徹底的に片づけて、もう二度と芽など出させ

  ないようにするつもりらしく、何度も何度もナイフを当てがって

  切りさいなむのであった。彼は、私が大事に大事にしていた

  月見草だとは知らず、只の雑草だと思い込んで・・・」

 

実も蓋も無い強烈で生々しい感情、情動の発露と描写。この言葉

そのものが、「何度も何度もナイフを当てが」うような鋭さを持つ。

 

では、どうして雑草にも見える月見草にそれほどの感情を注ぎ

込むのか。それは、入院した妻への思いが込められてるから

だろう。暗い場所で、僅かにひっそりと咲く花。

 

月見草を通した妻への強烈な愛を踏まえると、問5の答は「正解」

とは別の選択肢になる、と私は考える。「正解」は、表面的な文章

しか見てないように感じるのだ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

第2問の問5は、次のように書いてる。

 

 傍線部D「それはまるで花の天国のようであった。」とあるが、 

 ここに至るまでの月見草に関わる「私」の心の動きはどの 

 ようなものか。その説明として最も適当なものを、次の

 ①~⑤のうちから一つ選べ。

 

②は前半が少しおかしいし、④は後半の「死後」とか「死」という

表現が強すぎる。⑤は、最後の「自分と妻の将来に明るい幸福

を予感させてくれた」という表現が言い過ぎだろう。結局、センター

では2つの選択肢が残ることが多いのだ。ここでは、①と③。

 

① 是政の駅に戻る途中で目にした、今咲いたばかりの月見草

  の群れは、どこまでも果てしなく広がるようで、自分の感傷

  を吹き飛ばすほどのものだった。さらに武蔵境へ向かう

  車中で見た、三方から光の中に現れては闇に消えていく

  一面の月見草の花によって、憂いや心労に満ちた日常から

  自分が解放されるように感じた。

 

③ サナトリウムを見たときは妻を思って涙ぐんだが、一面に

  広がる月見草の群落が自分を迎えてくれるように感じ

  られ、現実の寂しさを忘れることができた。さらに帰りの

  車中で目にした月見草の原は、この世のものとも思えない

  世界に入り込んだような安らかさを感じさせ、妻の病も回復

  に向かうだろうという希望をもった。

 

 

      ☆       ☆       ☆

①と③は、もし2つ選ぶのなら共に正しいし、逆に選択なしでも

いいのなら、どちらも最適とまでは言えないから不適でもよい。

 

①は、妻という言葉や解釈が入ってないし、「憂いや心労に満ちた

日常から自分が解放されるように感じた」が言い過ぎ。あるいは、

「憂いや心労に満ちた日常」という表現が曖昧で一般的すぎる。

 

③は逆に、妻という言葉や解釈を最初と最後に入れてるが、

「安らかさを感じさせ、妻の病も回復に向かうだろうという希望

をもった」が言い過ぎ。

 

傍線部の辺りは、表面的には「妻」という言葉が使われてないし、

問われてるのは「月見草に関わる『私』の心の動き』だから、

「正解」は①となってるのだと想像する。月見草そのものと私。

そのままの解答だ。

 

ただ、それは単なる表面上の読解であって、月見草どころか、

小説全体が「花の精」=「妻の精神」への思いを語ってるわけだ。 

お花畠を「花の天国」とまで書いてるのだから、ややポジティヴな

妻への想いを入れた③の方がベターな選択肢だと考える。妻と

いう言葉の不在が、逆に圧倒的な存在感を示してるのだ。

 

 

    ☆       ☆       ☆

おそらくその点は、小説全体を読めばさらにハッキリするだろう

から、去年に続いて今年も全文を読もうと思ってる。とりあえず

今日はこの辺で。

 

ちなみに他の設問の「正解」は確かに正しい。例えば表現に

関する問6なら、選択肢①は不適となる。「テンポよく描き、妹の

快活な性格を表現」が言い過ぎだ。間違いとは言えなくても。

 

なお、今週は計14923字で終了。ではまた来週。。☆彡

 

 

 

cf. 自転車というキュウリに乗って、馬よりゆったりと♪

  ~井上荒野『キュウリいろいろ』(2018センター国語

 「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』

             ~2017センター試験・国語

 キャラ化されない戦後の人々、佐多稲子『三等車』~16センター

 啓蒙やツイッターと異なる関係性、小池昌代『石を愛でる人』

       ~15センター国語

 昭和初期の女性ランニング小説、岡本かの子『快走』~14センター

 幻想的な私小説、牧野信一『地球儀』~13センター・国語

 鷲田清一の住宅&身体論「身ぶりの消失」~11センター・国語

 

          (計 3043字)

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第2回・大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)、国語・第1問(記述式、ヒトと言語、指差し)の解説・感想

センター試験に代わって2020年度(正確には2021年1月)

に始まる大学入学共通テスト。主導してるのが大学入試センター

だから「センター試験」と言いたくなるし、「共通」という言葉を聞くと

「共通一次」と言いたくもなる。

 

いまだに馴染まない名前だから、まずは、この名前を一般市民に

たずねるテストから始めた方がいい気もする。軽口はさておき、

既に1週間遅れだが、1年ぶりに簡単な記事を書いておこう。

 

去年の記事2本は以下の通り。

 

 「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)、

    国語・第1問(部活動)の解説・感想

 数学ⅠA・第3問(高速道路の確率)の解説

 

なお、問題と正解、ねらい等は、公式サイトで公表中

 

 

     ☆       ☆       ☆

第一問(記述式)は、まことさんが「ヒトと言語」の探求レポートを

書くときに参考にした文章3つ読んで答える。文章Ⅰ、Ⅱ、資料。

著者名と書名しか示されてなかったので、出版社と出版年度を

調べて補足しとこう。

 

181116a

 

文章Ⅰの出典は、

 鈴木光太郎『ヒトの心はどう進化したのか

   ──狩猟採集生活が生んだもの』(筑摩書房、2013年)

 

181116b

 

文章Ⅱの出典は、

 正高信男『子どもはことばをからだで覚える

  メロディから意味の世界へ』(中央公論新社、2001年)

 

181116c

 

資料の出典は、

 川添愛『自動人形(オートマトン)の城 人工知能の

  意図理解をめぐる物語』(東京大学出版会、2017年)

 

3人の専門は、実験心理学、ヒト&サル(霊長類)、言語学&

コンピューター。

 

一見、3人目だけが最新の研究に感じられるが、要するにすべて

言語活動の基本を探っているわけだ。人間の基本が子どもとサル。

言語の基本からインプットする必要があるのが、コンピューター。

 

 

     ☆       ☆       ☆

問1は、文章Ⅰの傍線部「指差しが魔法のような力を発揮する

の説明。句読点を含む30字以内だから、ポイントになる言葉を

入れるだけで終わりになる。

 

直前から直後までの文章は以下の通り。

 「ことばのまったく通じない国に行って、相手になにかを

 頼んだり尋ねたりする状況を考えてみよう。この時には、

 指差しが魔法のような力を発揮するはずだ。なんと言っても、

 指差しはコミュニケーションの基本なのだ。」

 

私なら、正答の条件に「指差し」とか「ポインティング」という言葉

を入れたくなる。「ことばが通じなくても、指差しでコミュニケーション

できること。」(30字)。

 

コミュニケーションという言葉の代わりに、頼んだり尋ねたりと書いて

いるのが、公式の正答例2。私の感覚なら、3つの例の中でこれ

だけが満点だ。例1は、「指差し」という言葉が入ってなくて字数が

少ない(21字)。例3はさらに、「注意を向けさせる」と書いているが、

それは段落の最初の言葉であって、説明がやや曖昧になる。

 

実際の「正答の条件」はもう少し緩くなっているが、要するにその

段落の主要な言葉をつないで答える形。朝日新聞の取材では、

受験生が、「答えを抜き出すよう求めている設問ばかり」と話して

いた(11月11日・朝刊)。

 

受験者も採点者も多い中で客観性を持たせるためには、仕方ない

ことではあるが、これで大学入学者の思考力・表現力を問うとか

言われても微妙なところだ。記述式導入への批判には、一理ある。

 

なお、採点評価はまず各問4段階(a~d)で行った後、組合せで

5段階(A~E)にする。問3重視の複雑な「総合段階」だ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

問2は、ヒトの「初期の指差しと言語習得」についてまとめたノート

の空欄補充、40字。文章Ⅱの内容を基に、と指示されている。

 

 ある単語を耳にする。

 →子供は無数の候補の中から適切な一つを選ぶ必要が生じる。

   しかも大人は・・・(大きな空欄)・・・

 →だから子どもは積極的に指差しをする。

 

私なら、ほとんど文章Ⅱと同じ文で答える。“英語の先生のように、

本を手にとって「これはブック」と教えてはくれない。”(35字)。

 

この「ブック」の代わりに「本」と書いているのが、公式の正答例3

だが、英語の先生が「これが本だ」と教えるというのは変な話。

原文の英文は気が引けるから、カタカナのブックが妥当だろう。

 

正答例1と2は、指示対象とか対象という言葉を使っているが、

設問のノートで、原文の「対象」という言葉をわざわざ「候補」と

書き直しているのだから、私なら「対象」という言葉は避けたい。

というより、そもそも設問のノートに「対象」という言葉を入れておく。

 

 

     ☆       ☆       ☆

最後の問3は、80字以上、120字以下で、2文に分けて答える。

ちょうど、受験生も好きそうなツイッターのつぶやき1本分。

 

レストランのメニューで料理を指さすと、その写真自体ではなく、

本物の料理のことだと理解できる。つまり、「指さされたものが、

話し手が示したいものと同一視できないケース」もある。

 

資料を読んでその事に気づいたまことさんは、「話し手が地図上

の地点を指さす」行為もそのケースだと気付いて、なぜ理解できる

のか、考えをまとめた。そのまとめを答えるわけだが、そう言えば

単純な「まとめ」というのも、若者がネットで好むものだ。

 

私なら、丁寧すぎるほどの親切な指示に従って、次のように答える。

ピンク色の部分は、指定された言葉。

 

 「話し手が地図上の地点を指さす時、示しているのは地図

 そのものではなく、地図が表している現実の場所である。

 それが理解できるのは、聞き手が、話し手と同一のイメージ

 や関心、文化を共有し、相手の立場に身をおけるからである。

 (106字)。

 

 

      ☆       ☆       ☆

本来なら80字ほどで書けるが、120字以内という指定だから、

わざわざ少し伸ばしておいた。これは、公式の正答例2に近い

もので、例1と例3はあまり賛成できない。

 

というのも、その2例は相手の「視点に立つ」という文章Ⅰの主張

を取り入れているけれども、それでは限定が狭すぎるからである。

視点に立つという表現を、文字通り視覚的な狭い意味で使って

しまっている上に、そもそも指差しに関して半ば事実誤認している

と思われる。

 

指差しの理解に、相手の視点に立つことは「必要」ではない(部分

否定)。例えば、外国のお店で買いたい商品の数センチ手前を

指さす時、相手は指の位置だけから直ちに商品を確定できるし、

実際それは反射的な機械的反応のはず。

 

ロボットの設計でも単純に可能だろう。指のすぐ先に小さな物体が

ある時は、それを対象の第一候補とみなせばよい。他にも、自分と

相手と指が同一直線状にある時は、自分の視点のままでよいこと

になる。「相手の視点」でもあるが、わざわざ「相手の視点に立つ」

わけではなく、むしろ相手が私の視線に合わせて指差している。

 

 

     ☆       ☆       ☆

そうした簡単な反例、例外を考慮していない文章の説明を、自分で

改善する行為や能力こそ、思考の名に値する重要なものなのだ。

相手の言葉を抜き出すだけでは、コミュニケーションにも値しない。

 

とはいえ全体的に見ると、無難に完成された記述式問題だろう。

「それが理解できるのは、読み手の私が作り手の立場に身をおく

からである」。

 

書き手の私が、問題作成者と文体を共有したところで、それでは

今日はこの辺で。。☆彡

 

         (計 2911字)

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鉄道の列車運行ダイヤグラム、一次関数のグラフ~全国学力調査2018中学・数学Bの解説

「ダイヤグラム」という言葉は最近、ほとんど聞くことがないけど、

「ダイヤ」の改正なら毎年、春ごろに聞く気がする。

 

ダイヤグラムは普通、鉄道で複数の列車運行を表すグラフのこと。

横軸は時刻で、縦軸は駅や距離。ダイヤは普通、運行スケジュール

を表す省略語だろう。例えば、8時10分にこの駅で快速発車とか。

 

元々は英語の「diagram」で、語源的な意味は「書かれた

もの」。英語だと「図表」を表す一般的言葉であって、日本みたいに

列車のグラフを表す特殊な意味は(ほとんど)ない。

 

 

      ☆       ☆       ☆

というより、そもそも英語圏では、日本みたいなダイヤグラムは

かなりマイナーな存在のような気がする。実際、画像検索も含めて

英語の検索をかけても、日本みたいな図は少数で、しかも個人が

書いてる物が目立つのだ。

 

180418a

 

日本語版ウィキペディア(上図)は冒頭で、

 「英語では service planning diagram と呼び」

と書いてる。直訳すると、サービス計画表。

 

ところが、この英語でGoogle画像検索を行うと、日本的なグラフは

ほとんど表示されない。「train」(列車)という言葉を追加

しても、少ししか表示されないのだ。日本語で検索すると大量に

画像が出るから、かなり事情が違うのは明らか。

 

180418b

 

英語版ウィキで近い項目は「public transport timetable」

(公共交通機関の時刻表)。ただ日本的なグラフは1枚だけ(上図)

で、しかもフランスの鉄道に関して個人が作成したものにすぎない。

やはり、英語圏だとマイナーでマニアックな物ということだろう。

 

 

     ☆       ☆       ☆

というわけで、とりあえず言いたいのは、全国学力・学習状況調査

2018の数学Bの問題3が非常に日本的だということ。作成者が

鉄道オタクかも・・とまでは言わないけど、一部ファンだけ高得点

になるかも♪

 

180418c

 

180418d

 

問題は、国立教育政策研究所HPから引用させて頂く。ちなみに

朝日新聞・朝刊だと、今日(18年4月18日)は小学校の分の掲載。

明日が中学の掲載の予定。

 

 

     ☆       ☆       ☆

(1) 「列車の運行のようすを直線で表しているのは、・・・・・・

  が一定であると考えているからです」。

 

おそらく、どの選択肢でも当てはまると思った中学生が結構いる

はずだし、アだけは違うと思った生徒もいるはず♪ 列車の速さは

一定じゃない、発車と到着の時は遅いからと考えて(笑)。

 

真面目に解説すると、直線というのは傾きが一定の線のこと。横軸

が時間で縦軸が距離だと、傾きは速さとか速度を表す。それが一定

だから、空欄に入る言葉は選択肢の。「列車の速さ」。

 

実際には、電車のスピードは、駅から出る時と止まる時に遅いから、

グラフは「∫」の形を左右に引き伸ばしたようになる。ただ、それだと

分かりにくいし書きにくいから、スピード一定と考えて直線にするのだ。

 

最初のグラフで一番左端の線だと、 y=70x-435

くらいの一次関数のグラフ。もちろん数式まで求めなくても解ける。

 

 

     ☆       ☆       ☆

180418e

 

180418f

 

180418g

 

 

(2)はいわゆる「撮り鉄」、鉄道撮影マニア向けの問題♪

 

列車のすれ違いは、A駅からの道のりが・・①・・kmの地点

1回、A駅からの道のりが・・②・・kmの地点で2回起こる」。

 

すれ違いとは、向きの違う列車が同じ時刻に同じ場所を通ること。

グラフだと2直線の交点になる。3つある交点について、左側から

A駅からの道のりを見ると、それぞれ2km、4km、4km。

 

つまり、すれ違いは、2kmの地点で1回、4kmの地点で2回。

よっては、①が2、②が4

 

 

     ☆       ☆       ☆

180418h

 

(3)は、列車2本の写真撮影の間に何分待たされるかという問題。

 「A駅からの道のりが6kmの地点において、列車アが通って

  から列車エが通るまでにおよそ何分かかるかは、前ページ

  の太一さんが作ったグラフから求めることができます。その

  方法を説明しなさい」。

 

求めるやり方だけ書けば正解で、求めた時間も要らないし、なぜ

そのやり方でいいのか理由を書く必要もない。私が出題者なら、

最後に「理由も要らないので、方法だけを書いてください」と書く。

 

模範解答(例)は、

 列車アと列車エの2つのグラフについて、yの値が6のときの

 xの値の差を求める。

 

これ、私が採点者ならちょっと減点するかも♪ というのも、上の答

だとyの値は数字になってるから、xの値の差も数字のはず。それ

だと、問題は「何分かかるか」なのに、単位なしの「4」となってしまう。

あと、せっかくグラフを使うのに、線、点、距離といった図形の言葉

が入ってないのも気になる所。

 

 

      ☆       ☆       ☆

私なら、グラフと単位を意識して、次のように答える。

 

 y=6の所で水平の直線を引き、列車アとイの直線と交点を作り、

 それら2交点の間の距離を求める(単位は分)。

 

ちなみに過去、出題者、解答作成者からの応答は一度もない(笑)。

まあ、解説資料をチェックすると、上の答でも二重丸をもらえるようだ。

 

180418i

 

今年は別にいいとして、2017年の中学・国語Aと12年の数学B

は今でもおかしいと思ってる。どちらの記事も地味にアクセスが

続いてるから、同意してくれる人はそれなりにいるのかも・・と

思っとこう♪ 下にリンクを付けておいた。

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 夏目漱石『夢十夜』の第六夜、問題と正答への疑問

    ~全国学力調査2017中学・国語A

  全国学力調査2012・中学数学B、

    スキー・ジャンプの問題(原田vs船木)

  全国学力調査、伝説の確率の問題が登場♪(2009)

 

            (計 2295字)

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日本初のセーラー服、1921年9月の金城学院(女学校)制服か~日大・刑部准教授の論文ほか

私が「セーラー服」という言葉の意味を知ったのは、高校卒業の後

だったと思う♪ それまで、「女子の制服」を表す一般的な言葉だと

思ってたのだ(笑)。上下が分かれてることを意識したのもその頃。

寒そうと思ったのは、皮下脂肪もファッションへのこだわりも少ない

男子の発想か。

 

朝日新聞デジタルが18年4月14日に掲載した記事は、上下に

分かれたセーラー服の起源に関する新説を紹介したもので、記者

は女性のようだ(日高奈緒)。男性記者だったら色々言われたかも♪

左から3番目か5番目かな(笑)。何が?

 

180415b

 

 

      ☆       ☆       ☆

セーラー服発祥を「争わないで」 名古屋新説に福岡は・・・”。

1985年のおニャン子クラブのデビュー曲、『セーラー服を

脱がさないで』をパロった記事タイトルは、古過ぎて気づいて

もらえないだろうけど、読者層を意識したものか♪

 

もちろん平成ブロガーは曲名とサビのメロディーラインしか知らない。   

試しに歌詞を検索すると、過激な内容♪ 流石は秋元康、30年前

から目立ってるね。今だと、炎上する前の企画段階でボツのはず。

上を「セーラー服」、下を「スカート」と書き分けてるのが興味深い。

 

で、朝日の記事の要点をまとめると、次の通り。おそらく、記者が

名古屋配属だから、ご当地自慢のコネタとして書いたのだろう。

 

 広い意味でのセーラー服が制服として初めて採用されたのは、

 1920年(大正9年)、京都の平安女学院。

 普通のセーラー服(上下セパレート型、リボン付き)だと、

 1921年(大正10年)12月採用の福岡女学院とされて来た。

 

 しかし実は、21年9月の金城学院(旧・金城女学校、愛知県

 名古屋市)が最初だとする論文が3月末に発表された。

 

 

     ☆       ☆       ☆

素直で従順な私としては直ちに、元の資料を自分でチェック♪ まず

制服会社・トンボ公式サイトの説明、「セーラー服の歴史」。

 

180415c

 

ユニフォーム研究室長、佐野勝彦の署名入り記事だけど、根拠と

なる出典を何も挙げてないのが惜しい所。

 

続いて、広い意味でのセーラー服の元祖、平安女学院HP。「日本

で初めてのセーラー服」と強調してた。リボンとかスカーフの有無は

ハッキリしないけど、無いように見える

 

180415f

 

さらに、これまでセーラー服の元祖とされて来た福岡女学院HP

写真2枚入りで、「日本で最初のセーラー服」を強調してた。ページ

の一番上にも大きく写真入り。来年は受験生が減少するかも♪

 

180415d

 

それに対して、新たに元祖と名指しされた金城学院HPは、まだ新説

に飛びついてない。まだ、論争を様子見してる所か。朝日新聞に提供

した写真(この記事の一番上)は鮮明で大きいけど、日付けが入って

ないのが惜しい所。

 

 

     ☆       ☆       ☆

で、最後は日本大学商学部の論文。いわゆる学会誌ではなく、大学

内部での発表に使われる「紀要」と呼ばれる雑誌に掲載されたものだ

 

 『総合文化研究 第23巻第3号』

  ミッション系高等女学校の制服洋装化

 

180415e

 

180415g

 

新説の根拠は、主として『金城学院百年史』(金城学院、1996)

のようだ。他に、『目で見る金城学院の100年史』(1989)、

『金城六十年史』(1949)も挙げられてた。

 

180415k

 

 

     ☆       ☆       ☆

刑部(おさかべ)芳則氏の論文は、流石に学術的なもので、出典も

網羅的に多数挙げられてる。

 

ただ、レフェリーの厳しい審査(査読)を受けてないからか、編集者

による校閲が緩かったのか、些細なミスのようなものが複数すぐ

目についた。

 

例えば2ページ目(p.129)の末尾、「高等女学校の・・・入学

資格は十二歳以上の高等女学校第二学年修了者と定められ」

と書いてるが、おそらく間違いだろう。正しくは高等「小」学校第二

学年だと思う。

 

180415j

 

あと、一番最後の要旨の英訳で、「female」(女性の)という英単語

を3回、f「a」maleと入力してしまってる。終盤の「famale

school」という部分もおそらく削除すべきで、パソコンの操作

ミスで重複したのだと想像する。

 

180415h

 

180415i

 

もしご本人か編集担当がこの指摘を読んで、私が間違ってるので

あれば、妥当な理由と共にご連絡頂ければ直ちに謝罪して訂正する。

ご遠慮なく、どうぞ♪ これ自体は些細な枝葉の指摘とはいえ、論文

や雑誌全体の信頼性に関わることだ。

 

ちなみに過去13年間、その種の学術的な反論は一つも来てない。

ご自分で間違いを認めて来た方ならお二人だけいらっしゃった。

 

 

      ☆       ☆       ☆

この種の歴史的な一番乗り争いは、新たなデータが出ればすぐに

更新される。ただ、意外と先行研究も既にあるようだから、他の学校

や研究者がこれから今回の指摘をくつがえすのは大変かも。

 

ちなみに私が上の論文で面白いと思ったのは、女子学院(JG)の

話だ。昭和初期、外国人教師たちが「黒の靴下はメイドだけが穿く

もの」と意見したので、茶色の靴下を採用したとのこと♪

 

ヒマな時に英語で調べてみるかも(笑)。そう言えば黒のソックス

やストッキングは外国人だと少ない気もする。現在のJGは規則

が緩いという噂。

 

なお、今週は計15000字で終了。それでは今日はこの辺で ☆彡

 

            (計 2125字)

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二項分布と正規分布、標本による母集団の推測、信頼区間~2018センター試験・数学ⅡB・第5問

今年(2018年)の大学入試センター試験も無事終了。ムーミン問題、

携帯バイブ問題、試験官の居眠りなど、多少のトラブルや不祥事は

生じたが、志願者だけで全国60万人近くだから仕方ないだろう。

 

どれほど努力しても、ミスやエラーの確率は決してゼロにはならない。

例えば、1人当たりのトラブル発生率が0.1%で独立とするなら、

 60万人×0.1%=600人

 

実際は問題作成者やスタッフも大勢関係するし、独立ではなく従属

だから、トラブルに巻き込まれる人数はさらに増えることになる。

 

 

     ☆        ☆        ☆

自分については正常な出来事が起こるはず、と考えるような楽観的

発想については、先日のドラマ『BG~身辺警護人~』第1話だと、

「正常性バイアス」と呼んでた。私だけは大丈夫という主観的な判断・

心理を正しいと思い込む、確証バイアスの一例とも考えられる。

 

もちろん、「ケセラセラ」(なるようになるさ)と達観するのも、一つの

生き方だろう。しかし一般的な正論としては、確率と統計を冷静に

把握し、可能性の低いリスクにもそれなりに考慮する必要がある。

 

例えば、意外と起伏に富む首都圏で数年ぶりの大雪が降った時、

車を運転すると、一部で何が起きるのか。昨日、今日のニュースを

見てれば実感できる。自分の車が大丈夫でも、他の車に問題が

生じたら巻き込まれてしまうのだ。スリップとか坂道を登れないとか。

 

今日は、草津国際スキー場で白根山の噴火も起きてる。世界遺産

ブームでにぎわう夏の富士山なら、遥かに大きな騒動だったはず。。

 

 

     ☆        ☆        ☆

というわけで、前置きがやや長くなったが、地道に確率・統計を解説

することにしよう。今年は既にセンター数学記事を1本アップしてある。

 

 陸上選手の体格指数BMI(散布図と補助線の傾き、箱ひげ図)

   ~2018センター試験・数学ⅠA・第2問

 

上の記事で扱ったのは数学ⅠAの必答問題だが、これから書くのは

数学ⅡBの選択問題。つまり、理解してる人がかなり少ない分野の

話だ。だからこそと言うべきか、難易度レベルは低くて、教科書の

章末問題Aといった感じ。発展問題ではない。河合塾の分析でも

標準とされてた。

 

以下、解き方はもちろん、問題文もコピペではなく私が簡単にまとめ

直したもの。原文は河合塾その他、大手予備校などで公開されてる

ので、そちらを参照。下図のようなpdfファイルで無料配布されてる。

ちなみに、大学入試センターの公式発表はなぜかいつも遅い。

 

180123a

 

 

    ☆        ☆        ☆

第5問 必要に応じて、正規分布表を用いてもよい。

 (1) aは正の整数。2,4,6,・・・,2aの数字が1つずつ

   書かれたa枚のカードが箱に入っている。1枚を無作為

   に取り出す時、書かれた数字を表す確率変数をXとする。

   X=2aとなる確率を求めよ。

 

   次に、a=5とする。Xの平均(期待値)と分散を求めよ。

   また、sX+tの平均が20、分散が32となるように、定数

   s(>0)、tを定めよ。さらにその時、sX+tが20以上で

   ある確率を小数で求めよ。

 

 (解答) まず、 確率 P(X=2a)1/a ・・・ア、イ

 

   次に、a=5の時、

   平均 E(X)=(2×1/5)+(4×1/5)+・・・

          =(2+4+6+8+10)/5

           ・・・

 

   ∴ 分散 V(X)

        =(2-6)²×1/5+(4-6)²×1/5+・・・

        =(16+4+0+4+16)/5

        = ・・・エ

 

   さらに、(sX+tの平均)=s・(Xの平均)+t、

   (sX+tの分散)=s²・(Xの分散)だから、

   与えられた条件を連立方程式に直すと、

    s×6+t=20 

    s²×8=32

   s>0より、 s=2 ・・・、 t=8 ・・・

 

   ∴ (sX+tが20以上の確率)

      =P(2X+8≧20)

      =P(X≧6)

      =P(X=6)+P(X=8)+P(X=10)

      =0. ・・・

 

 

 (2) (1)でa≧3とする。箱から3枚同時に取り出し、横1列に

   並べた時、左から小さい順に並んでいる事象をAとして、

   Aの起こる確率を求めよ。

 

  この試行を180回繰り返す時、Aが起こる回数を表す確率

  変数をYとする。Yの平均m、分散σ²を求めよ。

  さらに、回数が大きいので正規分布と考え、

  Z=(Y-m)/σ とおいて標準化する。

  P(18≦Y≦36)を、Zの確率を利用して求めよ。

 

 

 (解答) 並び方は全部で、 3P3=3×2×1=6通り。

   これらは同様に確からしいので、

   P(A)1/6 ・・・ク、ケ

 

   Yは、180回中にAが起こる回数だから、二項分布に従う。

   ∴ 平均 m=180×1/6

          =30 ・・・コサ

     分散 σ²=180×(1/6)×{1-(1/6)}

          =25 ・・・シス

 

   よって Z=(Y-m)/σ=(Y-30)/5 だから、

    Y=5Z+30

 

   ∴ P(18≦Y≦36)   

    =P(18≦5Z+30≦36)

    =P(-2.40≦Z≦1.20) ・・・セ、ソタ、チ、ツテ

    =P(0≦Z≦2.40)+P(0≦Z≦1.20)

    ≒0.4918+0.3849 (正規分布表の数値より)

    ≒0.88 ・・・トナ

 

180123b

 

 (3) ある都市の世論調査で、無作為に400人の有権者を選び、

   ある政策の賛否をたずねると、320人が賛成だった。全体の

   賛成者の割合(母比率)pを推測する。

 

   まず調査での賛成比率(標本比率)を求めよ。また二項分布

   の正規分布による近似を用いて、pに対する信頼度95%の

   信頼区間を求めよ。

 

   続いて、その区間の幅をL₁とする。また、標本の大きさ400、

   比率0.6の時の信頼区間の幅をL₂とし、大きさ500、比率

   0.8の時の信頼区間の幅をL₃とする。L₁、L₂、L₃の不等式

   を求めよ。

 

 

 (解答) 標本比率は、  320/400=0. ・・・

 

    また、信頼度95%の信頼区間は公式より、

    0.8-1.96×√0.8×0.2/400

     ≦ p ≦ 0.8+1.96×√0.8×0.2/400

    ∴ 0.8-1.96×0.02

       ≦ p ≦0.8+1.96×0.02

    端数を四捨五入して、信頼区間は

    0.76 ≦ p ≦ 0.84 ・・・ヌネ、ノハ

 

    さらに、 L₁=2×(1.96×√0.0004)=0.08。

 

    また、標本の大きさ400、比率0.6の時、同様の計算で

    信頼区間の幅を求めると、

    L₂=2×(1.96×√0.6×0.4/400)

     =2×(1.96×√0.0006) > L₁

 

    標本の大きさ500、比率0.8の時、信頼区間の幅は、

    L₃=2×(1.96×√0.8×0.2/500)

     =2×(1.96×√0.00032) < L₁

 

    以上まとめると、 L₃ < L₁ < L₂ 

    つまり、答は4番。 ・・・

 

 

     ☆        ☆        ☆

なお、最後のL₂やL₃を真面目に計算すると時間の浪費になる。

 

また信頼区間の公式は、標準正規分布表などから近似的に求めた

もの。変数が0~1.96の区間に入る確率が0.475だから、

-1.96~1.96の区間に入る確率が0.95。

つまり95%ということになる。

下の正規分布(ガウス分布)表で、色付きの数値を参照。

 

180123c

 

その変数を、ここでは

 (p´-p)/√p(1-p)/n (p´は標本比率)

と考えると、95%信頼区間は

-1.96≦ (p´-p)/√p(1-p)/n≦1.96

∴ p´-1.96×√p(1-p)/n

    ≦ p ≦ p´+1.96×√p(1-p)/n

 

さらに、不等式の左と右のpを標本比率で近似して、

95%信頼区間の公式が完成。

 

 p´-1.96×√p´(1-p´)/n 

   ≦ p ≦ p´+1.96×√p´(1-p´)/n

 

 

    ☆        ☆        ☆  

上の覚えにくい不等式を暗記してそのまま使うのが、高校数学とか

大学受験数学ということになる。試験場で自分で導くのは困難。

 

しかし、この理論は近似だらけだし、説明も省略されてるので、他の

話と比べると説得力に乏しい。もし本格的に近似を正当化する証明

を行うと、完全に大学(以上)の数学のレベルになる。少なくとも中心

極限定理や確率密度関数が必要で、経験的正しさを主張するには

大数の法則という厄介な問題も絡んで来る。

 

というわけで、公式データは発見できてないが、この問題の選択者

は少ないはず。学研のサイトでは、「あまりおすすめはできません」

とアドバイスされてた。

 

だから逆に、マニアック・ブログが進んで扱うことになるわけだ。

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

            (計 3315字)

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陸上選手の体格指数BMI(散布図と補助線の傾き、箱ひげ図)~2018センター試験・数学ⅠA・第2問

大規模な入試改革が徐々に近づく中、現行の大学入試センター試験

にも思考力や応用力を見る意欲的な問題が入って来た。

 

巷(ちまた)で話題の地理B・ムーミン問題は、狙いは面白いし一応

解けるけど、詰めが甘い。出題ミスを早めに認めて、全員正解扱いに

してもいいと思う。おそらく、作成者らは固定的な現実に慣れていて、

フィクションの表現や解釈の多義性には慣れてないのだろう。長い

幻想的アニメの「舞台」を一つの国に限定するのは、大変な作業だ。

 

(☆追記: 出題ミスではないが今後さらに注意する、という

      ような回答が16日、朝日新聞に送られた。アニメ

      画像の背景や服装まで見ることを求めてるようだ。)

 

それに対して、今年の数学ⅠAのデータ分析はよく出来ていて、ミス

はない。ただ、受験生がどの程度対応できたのかは微妙。河合塾の

分析では、「散布図には補助線が描かれており、その利用の仕方に

戸惑った受験生もいただろう」とされてた。結果の公表に注目しよう。

 

 

      ☆        ☆        ☆

それでは第2問(必答問題)〔2〕の解説。陸上競技大会の出場選手

の身長(cm)と体重(kg)を、男子・女子、短距離・長距離で

グループ分けしてデータ分析する。グラフだけ縮小コピーさせて頂く。

 

180116a

 

180116b

 

180116c

 

 

(1)は身長だけだから、簡単な問題。上の図1(ヒストグラム)、図2

(箱ひげ図)から読み取れる内容として正しいもの2つを選ぶ。

 

まず選択肢の1番。「四つのグループのすべてにおいて、四分位 

範囲(箱の横の長さ)は12未満である」。箱ひげ図より明らか。目盛

6つ分より短いということだ。

 

次に6番。「男子短距離グループの中央値(箱中の縦線の値)と男子

長距離グループの第3四分位数(箱の右端の値)は、ともに180

以上182未満である」。これも箱ひげ図だけで分かる。

 

よっては、サが1、シが6。逆順でもよい。

 

「ガーディアン社のWebページにより作成」という出典表示は、少し

調べてみたけどまだ確認できてない。単にガーディアンと言えば

普通、英国メディアのことだから、もう少し明確に表示するべきだ。

 

 

      ☆        ☆        ☆

(2)は身長と体重の関係で、この分析が目新しい設問だった。

身長H(cm)に対して、X=(H/100)²と定義。要するに、単位

をmに変換して2乗したということ。

 

体重はW(kg)として、Z=W/Xを考える。結局、

 Z=体重(kg) / {身長(m)の2乗}

 

なぜか問題文では説明してないが、体格指数BMI(Body

Mass Index)の話だ。ツイッター検索から考えると、

理解できた受験生はかなり少ないようで、年齢的に当然だろう。

健康器具大手のタニタHPでは、「18.5以上25未満が標準範囲

とされ・・」と書いてる(厚労省の基準)。

 

 

     ☆        ☆        ☆

180116d

 

180116e

 

180116f

 

 

散布図には、「原点を通り、傾きが15、20、25、30である

四つの直線L1、L2、L3、L4も補助的に描いている」。

 

傾きでZを表してるわけだが、滅多に見ない直線だし、図の原点辺り

も省略されてるから、分かりにくいだろう。この4本の線は要するに、

下から、痩せ過ぎ、標準、やや太り気味、太り過ぎ(肥満)の目安を

表してる。

 

したがって、長距離走とか持久系スポーツというものを理解して

いれば、長距離選手が一番下のL1(痩せ過ぎ)に近づくのは分かる。

BMIの最小値は女子長距離選手だろうということも、想像できなく

はない。テレビや写真で女子マラソンや女子駅伝の選手を見ると、

痩せた選手が多いから。

 

 

     ☆        ☆        ☆

問われているのは、上の図3(散布図+補助線)と図4(箱ひげ図)

から読み取れる内容。

 

まず、選択肢の4番。「女子長距離グループのすべてのZの値は

25より小さい」。と言うより、女子長距離選手のほとんどはZが

20より小さい。つまり、どちらかと言うと痩せてるということで、

当然の結果だろう。

 

次に、選択肢の5番。「男子長距離グループのZの箱ひげ図は 

(c)である」。

 

散布図より、女子の方が直線L1に近い、つまりZが小さい。女子

短距離が(b)、女子長距離が(d)。また、男子短距離は直線L2

とL3の間に点が集まってて、Zの値が明らかに大きいから、(a)。

消去法で、男子長距離の箱ひげ図は残る(c)となる。

 

したがっては、4と5(ス、セ)

 

 

     ☆        ☆        ☆

男子短距離選手の体格ががっちりしてる(つまりZが大きい)のは、

五輪や世界選手権の100m決勝を見れば分かりやすい。

 

その中で、引退したボルトはBMIがそれほど高くない選手だったが、

最近は体重が増えてBMIが増加してたようだ。タイムが落ちて来た

ことと関係してるかも知れない。

 

なお、この後の設問は普通の共分散で、簡単な計算問題だから

省略しよう。数学の問題と正解を掲載した朝日新聞・朝刊(1月

15日)には、河合塾の全面広告が載ってた。中央に1行、熱い

言葉を配置。

 

 「自分の夢まで、自己採点しないでください。

 

いいね♪ まあ、自分の夢を他者に採点されるのもビミョーだけど。

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf.二項分布と正規分布、標本による母集団の推測、信頼区間

    ~2018センター試験・数学ⅡB・第5問

 

  自転車というキュウリに乗って、馬よりゆったりと♪

  ~井上荒野『キュウリいろいろ』(2018センター・国語)

 

               (計 2152字)

       (追記 46字 ; 合計 2198字)

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自転車というキュウリに乗って、馬よりゆったりと♪~井上荒野『キュウリいろいろ』(2018センター試験・国語)

(☆18年1月22日の追記: 続編記事を新たにアップした。

  井上荒野「キュウリいろいろ」2

   ~長編小説『キャベツ炒めに捧ぐ』全体を読んで )

 

 

      ☆        ☆        ☆

今年(2018年)の大学入試センター試験・初日の問題が公開された

のは、夜21時半ごろ。河合塾その他で確認した。

 

寝不足だから、問題を読むだけで寝るつもりだったが、いい小説だと

感心したから、簡単な感想と解説だけサラッと書いとこう。レビュー

とか批評というほどのものではない、3000字の記事だ。

 

ちなみに当サイトでは、2011年と13年~17年にセンター試験・

国語の記事をアップして来たから、これで6年連続、7本目になる。

この記事の末尾に一覧あり。他に数学の記事もある。

 

例年、国語の問題については大量のツイートが流れてお祭り状態

になるけど、今年は数だけ多くて、内容的に盛り上がってなかった。

去年までと違ってフツーだったというような感想が大多数。その中で、

一部の受験生は、いい小説だなと素直に感動してた。

 

実は私も、居眠り気分で小説を一読した直後、「何、これ?」と思って

しまった。「さっぱり分からない」(by ガリレオ福山)。そこで文字通り、

この小説は何だったかな?と思って、先頭のページに戻った途端、

一気に視界が明るく開けた。あっ、題名は『キュウリいろいろ』か!

なるほど。「実に素晴らしい」♪

 

ガリレオ湯川が書きなぐる物理学の数式の代わりに、日本語の題名で

一気に謎が解けた。今年の第1問(評論)、有元典文・岡部大介の

『デザインド・リアリティ──集合的達成の心理学』を踏まえて言うなら、

小説のタイトルが読み方や解釈をデザインしてくれてたのだ。

 

 

     ☆        ☆        ☆

もちろん、書き手のデザインが、読み手にそのまま受け入れられる

とは限らない。授業において、「後でテストをする」と言われた学生

なら、フツーはちょっと気合いを入れて暗記・理解しようとするだろう。

 

ただ、『キュウリいろいろ』を読んだ高校生・浪人生達が、自転車とか

電話・手紙とか電車とか、いろいろなキュウリを探そうとするかどうか

はビミョーな所。そもそも、お盆のキュウリという古い慣習を知らない

受験生が多そうだからこそ、文末の注1で説明してくれてたわけだ。

 

180114a

 

実際、当日の深夜の時点で「キュウリいろいろ 自転車」のツイッター

検索をかけると、1つもヒットしない。「キュウリ 自転車」でも、関係

ないつぶやきが2つヒットしただけだった。

 

 

     ☆        ☆        ☆

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ところが、作者・井上荒野(あれの)のツイッターを見ると、センター

試験のつぶやきの僅か1時間前に、クロスバイク(街乗り用スポーツ

自転車)で転倒した話が書かれてるのだ。私のこのブログ自体が、

クロスバイク日誌からスタートしてるので、すぐに気づいた。

 

自転車の比喩に気づいてもらえなかったという事を暗示してるのか

と本人にたずねれば、否定するはず。ただ、単なる偶然なら恐るべき

シンクロニシティ(同時性=共時性)。いずれにせよ、恐るべき存在に

「戦(おのの)きながら」、さらに記事を書き進めよう♪

 

ちなみに問1(イ)の意味の答が5番なのは、「おびえ」という説明が

ポイント。2番の「驚いてうろたえ」とかだと、意味がちょっと弱いのだ。

 

なお、問題作成者がキュウリ=馬=自転車という関係、イメージの

連鎖を理解してるのは明らかだろう。問題文はキュウリの馬から

始まって、自転車に乗るシーンで終わってる。おまけに、「キュウリ」

という言葉は冒頭で本物の野菜を指した後、使われてないのだから。

 

 

     ☆        ☆        ☆

一応、あらすじを超簡単にまとめておこう。35年前に息子の草(そう)

を亡くし、去年には夫・俊介も亡くした郁子(いくこ or ゆうこ)。60代

半ばくらいの女性らしい。昔なら「未亡人」と言われたと思うけど、

最近はこの言葉を聞かなくなってる。

 

ちなみに著者は今現在56歳だから、自分の人生をそのまま描写

した私小説ではない。

 

はじめて一人きりで迎えたお盆。郁子は楊枝をキュウリに刺して、

2頭の馬を作り、息子と夫の写真の前に置く。お盆に仏様2人が

馬に乗って、速く来てくれますように・・との願いを込めて。ただ、

今年は仏様がゆっくり帰るための牛は作ってない。帰らずそのまま、

自分のそばにいて欲しいから。

 

そんな時、たまたま同級生から、名簿用に夫の写真が欲しいと依頼

を受ける。おそらく最初は手紙で、次に電話で話したのだろうと思う。

郁子は直接、写真を持って行くと告げて、関係ない写真まで色々と

見てる内に、ようやく気付く。実は私たち夫婦も、哀しみに沈んでた

わけじゃなく、笑顔で仲良く暮らしてたのだ。少なくとも表面的には。

 

夫の実家があった辺りで、相手に待ち合わせ。白髪の上品な男性・

白井さんは自転車で、2人乗りさせてくれた。夫の母校まで行くと、

かつて聞かされてた高校時代の様子を思い出して、目の前の現在

の風景と重なって幻のように見えた。夫の過去は、無意識の内に

自分の心の中へと保存されてたようだ。。

 

 

     ☆        ☆        ☆

さて、「キュウリ」を「いろいろ」探す問題が出題されてたら、受験生も

当然、自転車とか、お盆に訪れた手紙や電話を挙げてただろう。

 

その意味では、出題者のデザインが物足りない感もある。小説という

対象とそれに向き合う読者に、「異なる秩序を与える」企画・構成が

あっても良かった。まあでも、できるだけ客観的な問題と解答を作る

ためには仕方なかったのかも知れない。

 

自転車について言うなら、夫の記憶を呼び戻してくれたと同時に、

ひょっとすると新たな夫を連れて来てくれたのかも知れない。2人で

夫について語る内に、より親密になっても不思議はない。キュウリに

乗った夫を待ってると、自転車に乗った上品な男性に遭遇。まるで

恋愛小説みたいな出会いだろう♪

 

ただし、年齢と状況もあるので、スピードはゆったりと。馬の速度は

時速40kmくらいだけど、高齢者・・と言うより60代の自転車2人乗り

なら、時速10km以下だろう。新しい人生の最後の訪れなら、その

くらいのスピードでちょうどいいのだ。

 

 

      ☆        ☆        ☆

依頼の手紙や電話というものも、そのおかげで素早く夫に「再会」

できたのだから、「キュウリ」と言っていい。

 

他には、高尾山駅に向かう京王線だろうか、郁子が席を譲られて

古い記憶が甦った電車もキュウリ。譲ってくれた人もキュウリだし、

共学になってる夫の母校でハードルの練習をしてた女生徒の姿も

キュウリと言える。そのおかげで、男子校時代の夫が女子校の生徒

と交換日記をつける姿も思い起こせたのだから。

 

なお、キュウリという細長い野菜には、男性的な意味合いもあるが、

ここではもう触れないことにしよう。また記事が長くなって来たし、既に

今週は15000字制限を超えてしまった。

 

 

     ☆        ☆        ☆

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この小説が短編集『キャベツ炒めに捧ぐ』(角川春樹事務所

2011)に収録されてるのは国立国会図書館で確認できたが、まだ

初出の年や雑誌は確認できてない。題材は古いけど、普遍性の

ある新しい小説なのは確かだろう。

 

(☆追記: 初出は角川PR誌『ランティエ』2010年1~11月。

      加筆・訂正して単行本出版。)

 

今週は15588字で終了。今日はそろそろこの辺で。。☆彡

 

 

 

P.S. 問題文には、“小説「キュウリいろいろ」”と書いてたが、

   作者はツイッターでこう書いてた

   “「キュウリいろいろ」は小説のタイトルではなく章タイトルで、

    「キャベツ炒めに捧ぐ」という長編の一部です。”

   なお、“「キャベツいろいろ」って間違えている人がいる”との事♪

 

 

cf.「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』

              ~2017センター試験・国語

 キャラ化されない戦後の人々、佐多稲子『三等車』~16センター

 啓蒙やツイッターと異なる関係性、小池昌代『石を愛でる人』

       ~15センター国語

 昭和初期の女性ランニング小説、岡本かの子『快走』~14センター

 幻想的な私小説、牧野信一『地球儀』~13センター・国語

 鷲田清一の住宅&身体論「身ぶりの消失」~11センター・国語

 

             (計 3183字)

    (追記 114字 ; 合計 3297字)

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「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)、数学ⅡB・第3問(数列、薬を飲む量と時間間隔)の解説

「大学入学共通テスト」第1回試行調査(プレテスト)については、

既に国語の記事、数学ⅠAの記事を書いた。今日は、数学ⅡB

の記事を書いてみよう。

 

問題・解答その他、情報はすべて大学入試センターHPで公開

されてる。以下で扱う第3問は一応、選択問題だが、実際はほぼ

全員が選択。

 

要するに、これだけ統計とかビッグデータの重要性が強調される

時代になっても、相変わらず大部分の高校生は正規分布などの

統計を避けるわけだ。高校教育のあり方や授業の進め方、大学

入試問題の傾向が問われるべきかも知れない。

 

 

      ☆        ☆        ☆

この問題には数値記入があるが、文章の記述は入ってない。ただ、

内容的にも難易度的にも良問だと思う。少し難しめといった感じで、

誘導も適切。あえて注文を付けるなら、薬の名前のDという文字は

紛らわしいだけだろう。無い方が親切だ。

 

正答率は、簡単な前半は高いが、難しくなる後半は低い。選択肢

が一部に付いてることなどを考慮すると、後半は実質的に正答者

ゼロに近いが、数ⅠAほど極端な不出来にはなってない。

 

日常的な実用性もある問題で、要するに、薬を毎回飲むのは面倒

だが、まとめ飲みは効率が悪い、ということ。ただし、2回まとめて

飲むくらいなら大丈夫なように、安全性も配慮して作られてるのだ。

 

もちろん、まとめ飲みはしないのが原則なので、念のため。間が

空き過ぎると、途中で薬の効果が不足することになるし、まとめて

飲んだ直後には副作用が強まってしまうから。

 

      ☆        ☆        ☆

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(1) a(1)、つまり1回目の服用直後の血中濃度はP。すなわち、5。

    a(1)= ・・・アの答

 

  薬の濃度が1/2になる12時間ごとに、濃度が5増えるのだから、  

  a(n+1) = ()a(n)+ ・・・イ、ウ、エ

 

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公式より、各項から引くと等比数列になるような定数は、

 d=(漸化式の定数項)/〔1-{a(n)の係数}〕

  =5/(1-1/2)

  =10 ・・・オ、カ

 

 a(n)-10=(1/2){a(n)-10}

 よって{a(n)-10}は公比の等比数列。 ・・・キ、ク

 

階差数列をとるなら、

 a(n+2)-a(n+1)=(1/2){a(n+1)-a(n)}

  ∴ (公比)=1/2 ・・・ケ、コ

 

考え方1の方を使うと、

 a(n)-10=(1/2)(n-1乗){a(1)-10}

       =(1/2)(n-1乗)(-5)

 ∴ a(n)=10)(n-1乗)

       ・・・サ、シ、ス、セ、ソ

 

 

(2)

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(1)で求めた一般項a(n)の式より、a(n)の値は常に10未満。

つまり、常にL=40を下回る。

よって、0番と1番は誤りで、2番は正しい。

 

また、2回目の服用直前、濃度が最も下がってる時でさえ、

 a(2)-5=(10-5×1/2)-5=2.5

よって、常に濃度はM=2を上回るので、

3番は正しくて、4番と5番は誤り。

 

したがって答は、と3番。 ・・・

 

 

(3)

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(1)と同様に考えると、24時間ごとに濃度が1/4になるから、

 b(n+1)=(1/4)b(n)+5

 ∴ b(n)-20/3=(1/4){b(n)-20/3}

 ∴ b(n)=(1/4)(n-1乗){b(1)-20/3}+20/3

      =20/3-5/3(1/4)(n-1乗)

 ∴ b(n+1)-P=5/3-5/3(1/4)(n乗)

 

一方、a(2n+1)-5=5-5(1/2)(2n乗)

            =5-5(1/4)(n乗)

 

 ∴ {b(n+1)-P}/{a(2n+1)-P}

     =3 ・・・チ、ツ

 

 

(4)

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24時間ごとにk錠飲む場合の、n回目の服用直後の濃度を

c(n)とすると、(1)(3)と同様に考えて、

 c(n+1)=(1/4)c(n)+5k

 ∴ c(n)=

    (1/4)(n-1乗)(-5k/3)+20k/3

 ∴ (24n時間経過後の服用直前の濃度)

   =(n+1回目の服用直前の濃度)

   =c(n+1)-5k

   =5k/3-5k/3(1/4)(n乗)

 

(3)より、これは12時間ごとに1錠飲む場合の(k/3)倍。

 これが1倍になる時、 k= ・・・

 

この時、

 (n回目の服用直後の濃度)

   =c(n)

   =20-5(1/4)(n-1乗)

 

これは常に20未満なので、L=40を超えることはない。

したがって、正しいのは番。 ・・・

 

 

     ☆        ☆        ☆

2回分のまとめ飲みをする場合は、「ある意味」、3倍の量が必要

になるというのは面白い結果だ。

 

ちなみに私は、基本的に2回以上のまとめ飲みはしない。飲み

忘れた時はそのままにするか、次回に1.5回分くらい飲む。

効き目が強い場合は、少し時間を空けて、1回分+0.5回分に

分けて飲むとか。もちろん、お勧めはしないので念のため。

 

最後のテとトは、真面目に計算しなくても、直前の(3)から想像が

つく。元の量のままだと3分の1の濃度になってしまうから、3倍飲む

ということだし、その程度で許容範囲を超えるとは常識的に思えない。

 

もっと言うなら、(3)とも無関係に、単なる勘でも正答できるだろう。

それはそれで、高い評価に値する能力だと思う。  

では、今日のところはこの辺で。。☆彡

 

               (計 2108字)

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「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)、数学ⅠA・第3問(高速道路の確率)の解説

先日は国語について記事を書いたので、今日は数学Ⅰ・数学Aに

ついて書くことにしよう。大学入試センターの公式サイトで公開中

 

私自身の感覚だと、どれも面白くてよく考えられた問題だ。現代性

や日常性も考慮されてて労作だと思う。しかし、全国の普通の高校

2年生、3年生は、難しい、あるいは大変だと感じただろう。

 

まだマークシート部分の採点だけなので、いずれ記述式の設問の

採点が終わると事態はますます明らかになると思う。「共通テスト」

なのに、「上級テスト」のような結果になってる。

 

 

      ☆        ☆        ☆

必答2問、選択2問、合計4問で70分という時間は、あの問題文だと

かなり短い。特に、問題1(10ページ)問題2(8ページ)は文章が

長いから、読むだけでも大変。それぞれ4分の1の時間(17分30秒)

だと、肝心の考える時間が足りなくなってしまう。

 

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だから、最初で時間を使ってしまって、後の方の問題にしわ寄せが

来るのではないか。第2問(Tシャツと2次関数、統計・データ分析)

の中盤以降の正答率はかなり低いし(10%前後が4ヶ所)、以下で

扱う第3問(選択率68%)の正答率も、最初以外10~20%(上図)。

 

特に最後の設問は、四択(四者択一)だから、でたらめに選んでも

正答率25%のはずなのに、実際は12%。ということは全滅に近い

わけで、流石に「良問すぎた」ということか。

 

 

      ☆        ☆        ☆

とにかく、私が一番面白いと思った第3問(場合の数と確率・統計)

を見てみよう。高速道路の渋滞をなるべく少なくする話で、システム

工学とか応用数学の分野だ。似たような話に、道路の信号の制御

などがある。

 

171209a

 

図の下のA地点から上のB地点に向かう高速道路では、中央を

真っ直ぐ行く経路(A→C→D→B)がメインだが、3ヶ所に分岐点

がある。渋滞の表示がなければ、上のような確率で選択される。

 

分岐点で片方の道路だけに渋滞の表示がある時には、そちらを

選択する確率がもとの2/3へと減少する。

 

 

      ☆        ☆        ☆

おそらく、そう書けば多少は正答率が上がると思うが、実際の問題

文はわざと読みにくい表現で書かれてるのだ。もちろん、図に確率

の書き込みはないし、やや凝り過ぎで複雑過ぎる出題かも知れない。

 

例えば、3地点の調査日を別にする必要はないし、書く必要もない。

「いずれにも渋滞中の表示がある場合」という説明も、むしろ無い

方が生徒の誤解が減るかも。

 

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      ☆        ☆        ☆

それでは、解答と解説、感想を書いていこう。

 

(1)は、渋滞中の表示がない場合に、A地点で道路①を選択する

確率。私が図に書き込んだように、答は12/13。問題文を読み

取って、約分する。

 

(2)は、渋滞中の表示がない場合、D地点を通過する確率。

 (A→C→Dと進む確率)=(12/13)×(7/8)

             = 21/26

 (A→E→Dと進む確率)=(1/13)×(1/2)

             = 1/26

 ∴ (Dを通過する確率)= 21/26 + 1/26

             = 11/13 ・・・答

 

(3)は、渋滞中の表示がない場合、D地点を通過した車がE地点

を通過していた確率。原因の確率の公式(ベイズの定理)より、

 

 (D地点を通過した車が、E地点を通過していた確率)

   = (E→Dと進む確率)

       ÷{(C→Dと進む確率)+(E→Dと進む確率)}

   = (1/26)÷(21/26+1/26)

   = 1/22 ・・・答

 

もちろん、原因の確率の公式は苦手な生徒が多いので、直感的に

 (21/26):(1/26)=21:1  ∴ 1/22

と出す方が実戦的だと思う。

最後に1と21を足すのを忘れて、「1/21」と答えてしまう生徒が

少なくないだろうが。

 

 

      ☆        ☆        ☆

(4)は、道路①のみ渋滞中の表示がある時、D地点を通過する確率。

 

 (道路①を選択する確率)=(12/13)×2/3

              = 8/13

 ∴ (道路④を選択する確率)=1-8/13

              = 5/13

 

 ∴ (Dを通過する確率)

    =(A→C→Dと進む確率)+(A→E→Dと進む確率)

    = (8/13)×(7/8)+(5/13)×(1/2)

    = 7/13 + 5/26

    = 19/26 ・・・答

 

道路①を選択する確率が減る時、道路④を選択する確率が増す

のを忘れないのがポイント。

 

 

      ☆        ☆        ☆

そして最後の(5)、(6)。問題設定が難しくなる。

ある日(5月13日)の車を計1560台と想定。各道路の通過台数

は1000台以下に留めたい。

 

(5)は、まず渋滞中の表示がない場合、道路①を通過する台数。

 1560×12/13 = 1440(台) ・・・答

 

そこで、道路①に渋滞の表示を出すと、①を通過する台数は、

 1440×2/3 = 960(台) ・・・答

 

(6)は、選択肢となる図が4つ与えられてる。

 

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直感的に考えると間違えそうなので、真面目にすべて計算する方

がいいだろう。実戦的には、とりあえず勘で何か答えた後、最後に

余った時間で取り組むべき所だ。

 

0番と1番は、道路③で1000台制限を超えるので失敗。

2番と3番を比較すると、答は3番になる。

 

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(道路①でA→Cと進む車)=960(台)

(道路②でC→Dと進む車)=960×(7/8)×(2/3)

            = 560(台)

(道路④でA→Eと進む車)=1560-960=600(台)

(道路⑤でE→Bと進む車)=600×(1/2)×2/3

            = 200(台)

(道路⑥でE→Dと進む車)=600-200=400(台)

(道路③でD→Bと進む車)=560+400=960(台)

 

∴ (道路①②③を通過する車の合計)

    = 960+560+960

    = 2480(台)

 

計算自体は小学校レベルだが、問題文を理解して、4つの図で

この計算をするのは面倒。実質的に全滅状態に近くなったのも

うなづける。

 

 

      ☆        ☆        ☆

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念のため、公式サイトの正解も引用。基本的には良問だから、

文章をもう少し簡潔にして、計算量を少し減らせばいい。

 

この問題、よく読むと、本当は渋滞してないのに「渋滞」と表示する

場合があるような内容になってるのが気になる♪

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)、

  数学ⅡB・第3問(数列、薬を飲む量と時間間隔)の解説

 

   「大学入学共通テスト」試行調査、

      国語・第1問(部活動)の解説・感想

 

               (計 2536字)

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