夏目漱石『夢十夜』の第六夜、問題と正答への疑問~全国学力調査2017中学・国語A

この記事は2500字くらいは書こうと思ってたが、残念ながら仕事

その他に追われて余裕が無い。仕方がないので、ごく簡単に全国

学力調査の「正答」例を批判しとこう。2017年4月18日に実施さ

れたテストで、19日の朝日新聞・朝刊に掲載されてた。

    

当サイトでは5年前、中学数学Bの問題の解答例を批判する記事

をアップ。地味なアクセスが集まり続けてる所を見ると、私と同様の

疑問を感じた人は少なくなさそうだ。

    

 全国学力調査2012・中学数学B、

    スキー・ジャンプの問題(原田vs船木)

  

その時は、大まかに言うと論理的な疑問が生じたわけだが、今回

は半ば、文芸作品鑑賞のセンスに対する疑問だ。ただし、それ以外

にも色々な事がからんでると思う。解釈力、出題の仕方、等々。。

   

    

      ☆        ☆        ☆ 

中学・国語Aの問題6の出典は、一番最後に丸カッコで、(夏目漱

石「夢十夜」による)、とだけ書かれてる。実際は、短い「十夜」の内

第六夜で、ほぼ全文だが、そういった説明は無い。ちなみに『夢

十夜』は、無料の電子図書館「青空文庫」で全文公開中。

    

問題文の第六夜のあらすじは次の通り。主な登場人物は3人で、

1200年ごろに活躍した彫刻の天才・運慶と、見物人の若い男と、

自分」。自分は夢を見ていて、運慶の仕事ぶりを見に行く。非現実

的で幻想的なストーリー。

     

運慶が仁王を彫る様子を、自分が感心しながら見物してると、若い

男が言った。

   

 「あれは眉や鼻を鑿(のみ)で作るんじゃない。あのとおりの

  眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌(つち)の力で

  掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなもの

  だから決して間違うはずはない」。

    

 「自分はこの時はじめて彫刻とはそんなものかと思いだした。

  はたしてそうなら誰にでも出来ることだと思いだした」。

  

だから自分は家へ帰って彫り始めたが、

  

 「不幸にして、仁王は見当(みあた)らなかった。・・・・・・自分

  は積んである薪(まき)を片っ端から彫ってみたが、どれも

 これも仁王を蔵(かく)しているのはなかった。」 

                   (問題冒頭の文章終了)

      

    

      ☆        ☆        ☆

さて、問1は、主な登場人物3人の関係をたずねる簡単な選択肢

付きのもので、異論はない。それに対して、問2はかなり疑問だ。。

  

 「どれもこれも仁王を蔵しているのはなかった」とありますが、

  この部分の意味として最も適切なものを次の1から4までの

  中から一つ選びなさい。

  

 1. 木挽(こびき)が隠した仁王を見付けられなかった。

       (注. 木挽とは薪を切り出した人)

 2. 木が堅くて鑿では仁王を掘り出せなかった。

 3. 薪が小さすぎて仁王が入っていなかった。

 4. 仁王を彫刻することはできなかった。

   

   

    ☆        ☆        ☆

一読してすぐ、出題者が4番を正答と考えてるのは分かる。しかし、

それが正答とか模範解答とはとても思えない。

     

まず、あまりに平凡な解釈で、漱石の短編の内容や言葉遣いの面白

みを消してしまうものになってしまってる。

   

また、これはあくまで夢であって、700年も前の彫刻師を見物しに

行くような物語なのだ。「どれもこれも仁王を蔵しているのはなかっ

た」という言葉も、夢の中の自分の思いを表してる。

  

「自分」が若い男の言葉を、「彫刻は実は簡単だ」といった感じで普

通に解釈した証拠は書かれてないのだから、本気で文字通り、仁王

を探したと考える方が自然。実際、終盤の描写は全てそうなってる。

    

   

      ☆        ☆        ☆

ここでおそらく出題者や解答制作者はこう反論したくなるだろう。選択

肢の他の3つは選べないから、消去法で残るのは4番だけだと。

   

確かに、1番は「木挽が隠した仁王」という文が言い過ぎになってる。

若い男の説明に木挽は出てないし、その後の文章にもその木挽が

隠したと示す部分は無い。2番は「堅くて掘り出せなかった」という

部分がおかしい。自分は勢いよく彫り続けたのだから。

     

ただ、3番はいい線行ってる。出題者の側は、「薪が小さすぎて」とい

う文がおかしいと考えてるのだろうが、この問題には絵が載ってて、

人間の背丈ほどの大きな木を運慶が彫る姿が描かれてるのだ。

   

それに対して、「自分」が彫った木は薪だから、当然小さいはず。さ

らに、問題文の最後に3番を付加すると、夢独特の滑稽さも増す。

    

というわけで、どれか選ぶのなら3番か4番だろうけど、どちらも正答

とか模範解答と呼べるほど明らかではない。それなら根本的に、出

題の仕方がおかしいということだろう。むしろ例えば、簡単な記述問

題にして、答え方にある程度の広がりを持たせる方が良かった。

    

    

      ☆        ☆        ☆

人によって色々な見方があるのは当然として、選択肢から正答を

一つ選ばせるのなら、それなりに飛び抜けた説得力や優越性が必

要だ。義務教育で全員参加のテストなんだから、出題の際はもう

少し熟慮すべきだろう。

  

それでは今日はこの辺で。。☆彡

         

                     (計 1970字)

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米国の大学院入学テスト「GRE」2~言語的推論の問題(読解、数学の応用)

先日、米国の大学院に入るためのテスト「GRE

Graduate Record Examinations

:大学院進学適性試験)について書いた記事は、英語が

読める人にとっては簡単なものだろう。制度変更前のテストに関

する、簡単なサンプル問題を1問解いただけだ。

      

しかし、今日の記事は英語が読める人にとっても、ちょっと考えさ

せられる問題だと思う。

   

レベル的には、日本の大学入試センター試験の現代国語(評論)

や数学と同程度か、ハイレベルな高校の入試問題くらいだから、

英語のネイティブの大卒にとっては普通かも知れない。ただ、英語

を母国語としない人達にとっては、緊張するレベルの問題のはず。

   

それでは、公式サイト一般(General)テストの問題パターン

の1つとして紹介されてる、

verbal reasoning problem

(言語的な推論の問題)を1問だけ解説してみよう。専門テストと

は違って、一般的な教養を見る問題だ。

         

1949年からGREを運営するETS

(Educational Testing Service: 

教育試験サービス)のHPから引用させて頂いた。

国際交流のためにも、悪しからずご了承を。。

   

   

      ☆        ☆        ☆

170403a

   

丁寧な直訳は避けて、やや大まかに翻訳しておく。

   

 「政策作成者はジレンマに直面せざるを得ない。

  化石燃料はまだエネルギー源として不可欠だが、

  二酸化炭素で地球環境に悪影響を与えてしまう。

  現在の科学技術では、二酸化炭素を取り出して

  地底や海底に隔離すると、発電コストが2倍になる。

  しかし、送電コストは変わらないから、結局、

  電気代はせいぜい50%の上昇に留まる。

  より良い技術の研究でコストは更に下がるはずだ。

   

   

      ☆        ☆        ☆

それでは第1問。複数の選択肢から正しい1つを選ばせる問い。

   

170403b

   

上の文章は、現在の発電コストについて、以下のどれ

 意味しているか?」。

   

全部説明すると長くなってしまうので、正解だけを説明しておこう。  

元の発電コストが、電気代の半分を占めるとする。二酸化炭素の

隔離でこの部分が2倍になり、残り半分のコスト(送電)は元のまま

変わらないから、

    

  (0.5×2)+0.5=1.5

  

つまり、元の電気代の1.5倍、すなわち50%増になる。

  

問題文では、電気代はせいぜい50%増と書いてるから、元の発電

コストは電気代の半分以下ということ。よって、答はC

  

不等式できっちり書いて解くのなら、単位あたりの電気代をaとし、

発電コストの割合がx%として、次の通り。

   

 a×(x/100)×2+a×(100-x)/100≦1.5a

 ∴ 2x+(100-x)≦150

 ∴ x≦50 

   

   

      ☆        ☆        ☆

続いて、いくつか(1つ、または複数)の選択肢を選ばせる問い。

   

170403c

  

隔離を拡大すると、やがて次のどの結果になると示唆されてるか?」。

   

選択肢Aは、化石燃料の燃焼が二酸化炭素を出さなくなると書いて

るから、誤り。選択肢Cは、発電設備が次第に化石燃料を消費しなく

なると書いてる。これは引っ掛けで、常識とかイメージ的に正しいと

思ってしまいがちだけど、問題文にそこまで示唆されてないから誤り。

   

一方、選択肢Bは、電気代に占める発電コストの割合が上昇した

後、下降すると書いてある。隔離で短期的に上昇するけど、技術開

発が進んで下降するということで、問題文が示唆してると考えられる。

  

以上より、答はBのみ

   

   

     ☆        ☆        ☆ 

最後は、問題文の段落の中から、一つの文を選ばせる問い。

  

170403d_2

    

隔離の結果として予想されたかも知れない結果は、なぜ

 発生しないのか。それを説明する文を選べ」。

   

分かりにくい書き方だが、要するに、「二酸化炭素を隔離しても

電気代がそれほど上昇しないのはなぜか」を説明する文を選べ

ばよい。

  

よって、4つの文の3番目、「But because ・・・」が答

なぜかを説明する文だから、「because」だけ見ても答え

られるかも♪

    

    

     ☆        ☆        ☆

これ以外にも、まだまだGREの問題はあるし、私が先日の記事

執筆の際に見つけた論文の話はまた別にある。アクセスは少なく

ても、私自身にとって興味深いので、いずれまた記事を追加する

つもりだ。

    

ちなみにこの問題文、トランプ大統領はあまり喜ばない主張かも♪

今日のところはこの辺で。。☆彡

   

   

     

cf. 米国の論理パズル

   ~大学院入学テスト「GRE」のサンプル問題(英語) 

      

                     (計 1766字)

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小学校・道徳の教科書の物語『はしの上のおおかみ』、軽い感想(1・2年、奈街三郎作)

森友・籠池問題と築地・豊洲問題が大揺れになる中、来年(2018

年度)から使われる小学校の道徳の教科書も地味な話題になって

る。文部科学省の検定の指摘を受け、細かい変更が行われたらし

い。パン屋が和菓子屋に、おじさんがおじいさんに、アスレチック

公園が和楽器に、etc。。

   

私はパン屋が和菓子屋になったという話を朝日新聞デジタルで読

んだ時、思わず笑ってしまったけど、文科省の言い分によると、こ

の箇所だけ見た修正ではなく、教科書全体の構成の問題とのこと。

    

そう言われると、教科書全体をチェックしたくなるけど、当然まだ公

開されてないし、「道徳」に反する裏情報を探し出すつもりもない。

   

というわけで、合法的に教科書(教材)の内容を読もうとすると、文

科省がネット公開中の副読本『わたしたちの道徳』が参考になる。

この中に、全社が採用したお話が色々入ってるらしい。

  

170325a

     

とりあえず今日は、1・2年用の副読本の序盤に載ってた読みもの、

『はしの 上の おおかみ』を軽く見ておこう。「橋の上の狼」ではな

く、ひらがなを使ってるし、文節で1マス空けてある。

  

巻末の注によると、著者は児童文学者・奈街(なまち)三郎。出典

は、『読んでおきたい物語 やさしいの話』(ポプラ社)。ウィキペディ

アが正しいのなら、初出は『はしのうえのおおかみ』(鈴木出版、

1991)なのかも。

   

副読本は、以前から全文無料公開されてる公的配布物なので、

縮小画像を2枚入れさせて頂いた。出典、著者名も明記してるし、

著作権の問題は生じないと考える。普通にいいお話なので、基本

的には好意的な引用だ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

170325b

  

この読みものが挿入されてるのは、第2章「人と ともに」、第2節

「あたたかい 心で 親切に」。p.70~p.73の4ページ。

  

「おおかみは人ではありません」とか、いきなり先生に突っ込む生

徒もいるだろうけど、なぜか子ども向けのお話では、言動が人間み

たいな動物がよく使われる。擬人法ならぬ、擬獣法。子どもウケが

いいし、人間よりキャラ設定がしやすいからだろうか。たとえば、悪

役にはオオカミ、善玉にはクマさんとか。

  

あらすじを短くまとめると、次の通り。

  

1人しか渡れない山の1本橋で、おおかみが意地悪して遊んでる。

うさぎ、きつね、たぬきなど、他の動物が通れないように通せんぼ

して、いばってると、橋の真ん中で大きなクマとぶつかった。

     

おおかみが慌てて引き返そうとすると、クマはおおかみを抱き上げ

て、後ろへそっとおろした。橋の上で、クマの後ろ姿を見続けたおお

かみは、次の日、クマの真似をして、ウサギを抱き上げて通してあ

げた。おおかみはいい気持ちになった。。

    

    

     ☆        ☆        ☆  

まるで『水戸黄門』型のテレビドラマみたいなお話で、6才~8才

くらいの子どもには分かりやすくて教訓的。ちょうどいいと思う。

   

ただ、ちょっと頭の回る子どもなら、「先生、おおかみはおかしいと

思います」とか発言しても不思議はない。例えば、「おおかみは自

分がいい気持ちになりたいために、わざと橋をふさいだんだと思い

ます。温かい心や親切などではありません」とか。

   

もちろん、元のお話に、「わざと」という話は書かれてない。

 「つぎの日です。1本ばしのまん中で、おおかみは

  うさぎに出会いました」

と書かれてるだけ。だから、たまたま橋で一緒になったということか。

   

  

     ☆        ☆        ☆

あるいは、「おおかみに抱き上げられるとウサギは怖いので、余計

なお世話だと思います。おおかみが本当に優しい気持ちを学んだ

のなら、むしろ引き返してあげるべきだと思います」という意見が出

ることも考えられる。

  

そうすると、別の子どもが、「これは、たとえ話だから、そのまま読む

のはおかしいと思います。他人に良いことをしてもらったら、自分も

すぐ見習おうということを言いたいのです」と反論するとか。

   

「おおかみはちゃんと、クマにありがとうと言うべきだったし、うさぎ

もお礼を言うべきです」。

「先生は、クマさんみたいにお手本を示してください」。

「みんなで橋をもう1本作る方がいいはずです」、etc。

   

おそらく既に大量の授業データが蓄積されてるはず。それほど変

な方向に議論が向かうこともなさそうだから、先生の側も余裕を

持って授業に使えると思う。

    

  

      ☆        ☆        ☆

ちなみに私自身がすぐ思い出すのは、中学のホームルームでの

細かい表現論争。

   

他人に対して、「可哀想(かわいそう)」と言うのは偉そうで失礼だか

ら、「気の毒」という言葉を使うべきだという意見が出て、私は直ち

に反論した気がする。反論内容までは覚えてないけど、この同級

生とは今でも一応、連絡を取り合ってる仲で、関係はわりと良好だ。

     

まあ、教科書や教材よりも、先生や生徒の能力が問われることに

なるわけで、教科書の細かい部分は枝葉の問題にすぎない。小学

校の先生は大変だな・・とか思いつつ、今日はこの辺で。。☆彡

        

                    (計 1995字)

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くじ引きの順序は無関係、条件付き確率~2017センター試験・数学ⅠA・第3問

依然として、熱も咳も全くおさまらないまま。異常に体調が悪い

ので、今日はごく簡単な数学記事で済ませよう。

    

ちなみに昨日はセンター試験の現代国語で3500字ほど書い

た。小説中心だが、評論についても言及してある。

    

 「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』

          ~2017センター試験・国語

   

    

     ☆        ☆        ☆

さて、私の目に付いたのは、河合塾がやや難化と分析してた

数学ⅠA選択問題。必答問題の方は易しくなったとされてた

から、自動的にパスしたが、いずれ後でデータ分析を見るかも。

   

それでは、第3問。配点20点(1/5)。要するに、くじ引きは引く

順番と無関係で公平だということを、簡単な例で証明する問題。

     

 あたりが2本、はずれが2本の合計4本からなるくじがある。

 A、B、Cの3人がこの順に1本ずつくじを引く。ただし、1度

 引いたくじはもとに戻さない。

 

 (1) A、Bの少なくとも一方があたりのくじを引く事象E1の

   確率は、 ア/イ である。

   

 (解答) (E1の確率)

       =1-(A、Bともにはずれの確率)

       =1-(Aがはずれの確率)×(続くBもはずれの確率)

       =1-(2/4)×(1/3)

       =5/6 ・・・ ア、イ

    

 (解説) 「少なくとも一方」と言われたら、余事象の確率を

      用いるのが普通。このE1の確率はかなり高いから、

      最後に引くCはあたりが減ってて不利ではないか?

      ・・・などと考えてしまいがちな所だ。実際は公平。

    

   

 (2) A、B、Cの3人で2本のあたりくじを引く事象Eは、

  3つの排反な事象ウ、エ、オの和事象である。

  また、その和事象の確率は カ/キ である。

  

 (解答) E=(Aだけはずれ)+(Bだけはずれ)+(Cだけはずれ)

        = 排反な事象1,3,5の和事象 ・・・ ウ、エ、オ

         (注. ここでの「+」は、排反事象の和。以下同様。)

      

      (Eの確率)=(Aはずれ、Bあたり、Cあたりの確率)

              +(Aあたり、Bはずれ、Cあたりの確率)

              +(Aあたり、Bあたり、Cはずれの確率)

             =(2/4)×(2/3)×(1/2)

              +(2/4)×(2/3)×(1/2)

              +(2/4)×(1/3)×(2/2)

             =1/6+1/6+1/6

             =1/2 ・・・ カ、キ

   

 (解説) ある意味、Eの確率の求め方を誘導してくれてる

      わけだが、「排反」とか「和事象」とか、論理的すぎる

      書き方なので、逆に混乱した受験生の方が多いかも。

      普通は、反射的に足し算の式だけ書くだろう。  

      ちなみに、どの2人があたる確率も等しく、1/6。

     

      あたりとはずれの対称性を使うと、次のような解き方もある。

      (3人で2本のあたりの確率)=(3人で2本のはずれの確率)

      このどちらかしかあり得ないので、共に 1/2。

          

     

 (3) 事象E1が起こったときの事象Eの起こる確率は、ク/ケである。

   

 (解答) (E1が起こったときのEの起こる確率)

       =(E1かつEが起こる確率)/(E1が起こる確率)

       =(1/2)/(5/6)

       =3/5 ・・・ ク、ケ

   

 (解説) E(=2人あたり)が起こるなら、必ずE1(=A、Bの

      どちらか一方はあたり)も起きる。

      (E1かつEが起こる確率)=(Eが起こる確率)=1/2。

      あとは条件付き確率の公式に代入するだけ。

  

      もし公式を使わずに解くのなら、AあたりBはずれ、

      AはずれBあたり、AあたりBあたりと分けて考える。

    

  

 (4) B、Cの少なくとも一方があたりのくじを引く事象E2は、

    3つの排反な事象 コ、サ、シ の和事象である。

    また、その和事象の確率は ス/セ である。

    他方、A、Cの少なくとも一方があたりのくじをひく事象E3

    の確率は、 ソ/タ である。

   

 (解答) E2=(Aがあたりで、B、Cの少なくとも一方があたり)

         +(Aがはずれで、B、Cの少なくとも一方があたり)

        ={(Aあたり、Bあたり、Cはずれ)

            +(Aあたり、Bはずれ、Cあたり)}

         +(Aはずれ)

        =(選択肢0、3、5の和事象) ・・・ コ、サ、シ

    

     (E2の確率)=(2/4)×(1/3)×(2/2)

               +(2/4)×(2/3)×(1/2)+2/4

             =1/6+1/6+1/2

             =5/6 ・・・ ス、セ

  

     (E3の確率)=(A、Cの少なくとも一方があたりの確率)

            =1-(A、Cともにはずれの確率)

            =1-(Aはずれ、Bあたり、Cはずれの確率)

            =1-(2/4)×(2/3)×(1/2)

            =5/6 ・・・ ソ、タ

    

 (解説) E2やE3の確率の値は、E1と同じだと分かった人には

      すぐ書けたはず。ただ、問題は、E2を排反な和事象で

      表すこと。私が実際に解く時には、ベン図を描いた。

      3人ともはずれとか、3人ともあたりという事象が存在

      しない点が、このくじ引き特有のポイント。

  

  

 (5) 事象E1が起こったときの事象Eの起こる条件付き確率p1、

    事象E2が起こったときの事象Eの起こる条件付き確率p2、

    事象E3が起こったときの事象Eの起こる条件付き確率p3

    の間の大小関係は、  である。

    

 (解答) (3)より、 p1=3/5

      (3)の時と同様に計算して、 

        p2=(1/2)/(5/6)=3/5

        p3=(1/2)/(5/6)=3/5

      ∴ p1=p2=p3 

      大小関係は、選択肢 6 である。 ・・・ 

    

    

 (解説) 要するに、くじ引きは色んな意味で順番と無関係だと

     示してるわけだが、数研出版のチャート式のHPにある

     次のような説明はどうだろうか(単元の冒頭)。

       

      普通のくじ引きで当たる確率は、くじを引く順番

      に関係しないことは、順列の対等性から明らかです。

    

     この「明らか」に納得できる高校生、受験生は少数派だろ

     うし、「明らか」と納得した生徒でも、実際に細かく証明で

     きる人はごく少数だろう。単なるマークシートのセンター

     試験でさえ、平均点は低いのが現実。

           

     ちなみに私が知ってる数学のプロの1人は優秀だと評判

     だが、お昼休みの雑談中、「くじ引きは先に引く方が得に

     決まってる。当たりが沢山あるんだから」と真顔で話した♪

     学歴も教育歴もかなり高い方だ。

       

     まあ、「明らか」という言葉は、意欲的な生徒への挑発と

     して考えればいいのかも知れないが、私はこの言葉の

     危険性や曖昧さをよく理解してるので、この程度の箇所

     でいきなり断定的に使うことはない。前置きがあるとか、

     柔らかく主張してみるとかならさておき。。

       

それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

                  (計 2511字)

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「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』~2017センター試験・国語

5年連続、6回目のセンター国語解説となる今回。10年ぶりの体

調の悪さに苦しみつつ発表を待ってた問題文は、20時45分

頃に河合塾が公表。その時点で東進はまだだった。

     

試験直後からツイッターで「おっぱい、おっぱい」という短い連呼

が賑やかに拡散してた、今回の第2問・小説。大御所の女流作家、

野上弥生子(やえこ)の『秋の一日』で、問題文には「(1912

年発表)の一節」とだけ書かれてたが、元の半分ほどらしい。

   

(☆追記: 原作の全文を読んだ後、補足記事を別にアップした。

  野上弥生子『秋の一日』2

      ~センター試験の省略箇所も含めた全文を読んで )

    

国立国会図書館の書誌情報と、文芸雑誌『ホトトギス』HPで出典

を調べた所、原作は1912年のホトトギス第15巻・第4号

で発表。p.34-38、p.40-44となってるから10ページ

構成だ。途中の空きページには挿絵があったのだろうか。

        

170115a

    

    

ちなみに、この記事を読む人の大半は受験生と大人だろうが、

大人の方々にたずねてみたい。

    

 ツイッターの無邪気な声に、涙がこみ上げましたか?

    

小説の主人公・直子の涙を誘うのは、女性の裸体の胸に歓声を上

げたりする現在の子どもたちと、多感でお転婆な過去の自分たち。

つまり、純粋で繊細な幼さ。「春」のような若さだった。そして、時の

流れも、小説の物語も、「春」から秋へと重層的に流れてるのだ。。

   

    

     ☆        ☆        ☆

100年前の文化や習慣はよく分からないが、ピクニックとか遠足

というもののイメージは春だろう。暑くも寒くもなく、日が長いし、新

緑も美しい。

    

ところが、直子はもともと秋が好きだし、今年の秋は珍しく体調もい

い。だから、「一昨年の秋、夫が旅行の土産に」買って来てくれた、

あけびの蔓(つる)で編んだ手提げ籠(かご)に、好きな食べ物を

入れて、どこかへ出かけたい。

  

そこでふと思いついたのが、展覧会&ピクニック。明日の天気が良さ

そうだから、朝早く展覧会に行って、そのあと田舎へ行けばいい。

  

「誠に物珍しい楽しい事が急に湧いたような気がして」と書かれた

部分の直子の心情は、病気や自分の子どもはあまり関係ないし、

展覧会とピクニックの組合せがポイント。だから、問2の正解は4。

     

   

    ☆        ☆        ☆ 

私はこの箇所を読んだ時、ふと個人的に胸を打たれてしまった。家

族で日帰り旅行に出かけた時、母親たちが一生懸命、食べ物や飲

み物をかごに詰め込んでた姿を思い出したからだ。

           

私はその時、あまりに準備が遅かったのでつい、「そんなの、向こう

で買えばいいだろ」と口にしてしまった。曖昧に返答しながら、準備

の手を止めない姿を見て、私はすぐに深く反省したのだ。

    

準備の楽しさは、お店では買えない。出発前の自宅だけに、しかも

一定の期間だけ存在するもの、「春」だった。ちなみに小説にも、

準備で頑張る直子に対して、「家の人々は笑った」と一言書いて

ある。

   

       

     ☆        ☆        ☆

話を小説自体に戻そう。美術館に向かう途中、大きく黒く異様な

烏の話が入ってる。深読みするなら、病気や死など、直子の不安

を象徴してるとも考えられるが、深読みの根拠は曖昧だし、セン

ター試験の解答では無視すべき所。

  

最初の注目点は、小学校の運動会のお遊戯。久々の光景を5分ほど

見てる内に、「ふと訳もない涙」がにじみ出す。

  

訳(わけ)もない涙でも、理由(わけ)を説明させるのが国語の試験だ。

しかも、間違えやすい設問になってる。子どもを見て、涙。子どもに

乳房を与えて、涙。さらに、じっと見てる自分の子どもへの微笑みの

底にも、「涙に変る或る物」。

  

すると、つい涙と自分の子どもを結びつけてしまいがちだが、そうとは

限らないことは小説の後半でハッキリする。もちろん、病弱な自分とも

直接的には無関係。よって、問3の答は5番となる。

   

    

     ☆        ☆        ☆

話が大きく展開するのは、「幸ある朝」という絵画の前に直子が立っ

た時。この画家(藤島武二か?)の義妹である淑子は、直子の二級

上で、親しく交流してたらしい。

  

その淑子が10年近く前の夏、こっそりモデルになって描かれた絵が、

その秋にサプライズの形でお披露目された。題名は、「造花」。

   

淑子が花を造る様子を示すタイトルが、今となっては別の意味も含

んでることになる。「生花」とは異なる、生きてない「造花」。絵から

少し離れてにこにこ笑ってた淑子は、既に亡くなってるのであった。

  

ここでまた設問がある。「こうした雲のような追懐に封じられてる」と

はどういうことか。自分自身とか、淑子さんを強調し過ぎるのは、

可能な見方ではあるけど、「最も適当な説明」ではない。

   

自分、淑子、仲間たち。。これらを抽象的にまとめると、私の言葉

なら、「自分たちの春」ということになる。もちろん、小説の題名『秋

の一日』を意識し、「子どもたちの春」との対比を考えてのこと。

  

センター試験の正解としては、2番。全員の昔話を出すと共に、

「抜け出すことができずにいる」と書いてる点がポイント。要する

に、「追懐に封じられてる」という古い文学的表現をそのまま分

かり易く書き換えた文章。

  

ちなみに、選択肢の5番は部分点をくれてもいいと思う。そのまま

説明したのが2番、少しだけ読み込んだのが5番だ。

   

    

      ☆        ☆        ☆

そして最後。追憶に封じ込められてる直子を助け出したのは、

現在の現実からの叫び声。「とや。とや。」

   

とら(虎)の絵(中村不折)が怖くて、直子の子どもが泣き出したらし

い。幼さとはもちろん、恥ずかしさ、可笑しさでもあるし、生きにくさ

でもある。

   

ただ、その感覚はあくまで大人から見た幼さ。秋から見た春の断

面かも知れない。いずれにせよ、この日の直子はここまで、春の

陽気から秋の物思いへと変遷した。

  

ちなみに、私がテレビのフィクションと現実社会を別物だとハッキリ

認識できたのは、小学校高学年だったと思う。それと同時に、ヒー

ローの活躍から興味を失い始めて、お化けや幽霊の怖さも消えて

行った。。

  

   

     ☆        ☆        ☆

なお、今年の国語第1問は、小林傳司「科学コミュニケーション」。

おそらく、2002年刊行の勁草書房『科学論の現在』に所収の論

文だろう。31ページ。

   

一部で有名な科学論の古典、コリンズ&ピンチ『ゴレム』を扱って

る内容で、その世界では普通の話だが、引用の一番最後にいき

なりこう批判して終わってるのは、少なくとも引用として感心しない。

     

  科学を正当に語る資格があるのは誰かという問いに

  対して、コリンズとピンチは「科学社会学である」と答え

  る構造の議論をしてしまっているのである。

   

これで終わりなら、直ちに反論が返って来るだろう。

   

  科学論を正当に語る資格があるのは誰かという問いに

  対して、小林は「私である」と答える構造の議論をして

  しまっているのである。

    

170115b

  

写真は第二版の英語原書。amazonからお借りした。

   

    

     ☆        ☆        ☆

もちろん、こう指摘されれば小林は直ちに反論するはずで、それ

はコリンズ&ピンチでも同じこと。彼らの科学批判をメタレベルで

小林が批判したものがメタ批判とすると、それを彼らがさらに批判

すればメタメタ批判となる。

   

この種の議論には、そこまで読み込んだ仕掛けや深みが必要だ

が、センター試験の問題文は、単純なメタレベルの唐突な終わり

方になってた。

      

直接関係はないが、「重力波の存在は明確に否定された」と言い

切ってしまってるのも微妙な所で、ここでもより慎重に、「現在では

否定する議論の方が有力だ」などと書くべき所だった。実際、小

林の論文の僅か15年後の去年、明確に肯定された。

  

私の物理系の知人は当然だといった感じで喜んでた。つまり、

昔から重力波を確信してたのだ。批判に屈することなく。    

     

ちなみに『Golem』には、福岡伸一による邦訳『七つの科学実験

ファイル』(化学同人)がある(確か部分訳)。当サイトでも以前、

一般相対論の再検討の記事で触れておいた。。

   

    

     ☆        ☆        ☆

科学というのも、もちろん昔は今以上に称賛されてた営みだし、

今でも理系の子どもなら無邪気に愛し、信頼してるのかも知れ

ない。したがって、数少ない理系の国語受験者の一部にとっては、

第1問はあまり心地よい問題文ではなかったかも知れない。

  

とはいえ、今は科学にとっても「秋」の時代。実用的な収穫は多い

ようにも見えるが、冬が近づいてる感もある。

   

冬を経て、また春が来るのか。いきなり次の春になるのか。あるい

は、冬のままなのか。考え始めると、現在の社会と自分への複雑な

思いに、「封じられて」しまうのであった。

   

なお、今週は計15000字で終了。

それでは今日は、早めにこの辺で ☆彡

   

                  (計 3384字)

        (追記 64字 ; 合計 3448字)

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気温・湿度・給水とランニングのリスク(PISA 2015・科学問題)&25km走

(6日) RUN 25km,2時間08分27秒,平均心拍 152

   消費エネルギー 1360kcal (脂肪 231kcal)

   

単なる偶然にしては出来すぎだね。冬の25km走で給水する

ことは滅多にないけど、昨日は中盤から早くもノドが乾いて、終盤

には給水。ゴクゴク飲んだから、30秒ほどタイムを損した♪

   

その後、PISA 2015の問題を見たら、気温・湿度・給水と

ランニングのリスクの関係が出てたのだ。実は私が問題作成者

なのかも(笑)。守秘義務違反か!

   

   

     ☆        ☆        ☆

とにかく今朝、朝日新聞・朝刊(16年12月7日)を見ると、

PISA(ピザ: 学習到達度調査)の記事が載ってたのだ。テスト

実施の1年後の報告。「PISA 2016」ではないので念のため

・・と書いとけば、間違い検索でアクセス数を稼げる(笑)

     

私は科学的リテラシーの問題「持続的な養殖漁業」を見て、かなり

イラついた♪ 正しい答は一応出せたけど、15歳(高校1年生)

に短い時間で解かせるような問題ではない。実際、優秀な日本の生徒

でさえ正答率はわずか8%! 多分、貝の位置を間違えたんだろう。

      

貝は排泄するのか。貝はゴカイを食べないのか。排泄物はフィル

ターを通過しないのか。海草は他の生物の排泄物も吸収するのか。

海の生物の排泄物を海に流すのはいけないのか・・・etc。

   

あまりに説明不足の問題で、日本語への翻訳にも疑問を感じたから、

英語の公式HPをチェックしてみた。ブログのネタに出来るな、とか

思いつつ♪

    

    

    ☆        ☆        ☆

161207a

  

で、上がトップページの冒頭。OECD(経済協力開発機構)が

3年おきに行ってる国際学力調査で、当サイトでも以前、記事を

書いてる

  

魚の養殖問題は、一部、翻訳がおかしいことは分かったけど、やっ

ぱり元の問題自体が不適切だと判明。

  

それより、暑さに弱い汗かきランナーの目に留まったのは、

 「Running in Hot Weather

暑い天候におけるランニング)という問題。読むと、まさに私が以前か

ら欲しかった科学的情報が、問題形式で与えられてたのだ。

   

    

     ☆        ☆        ☆

161207b

   

問題の表示は上のような感じで、iPad Proだと、ブラウザが

SafariでもChromeでもエラーが発生した。Windows

PCなら、XPでも成功。やっぱり、ウィンドウズ中心なわけね。

    

161207c

 

上は、設問4の問題文。要するに、湿度40%で1時間ランニング

する時、気温が何度まで安全かという問いだ。air

humidityが湿度、air tenperatureが気温。わざと給水の有無に

ついては指定せず、受験者に考えさせてる。

   

161207d

  

ポイントは2つ。Water Loss(水分の損失)が2%以上

だと、Dehydration(脱水症状)のリスクが高まる。

また、Body Temperature(体温)が40度以上

だと、Heat Stroke(熱中症・熱射病)のリスク

が高まる。

  

Sweat Volume(発汗量)は、経験上はとても重要

なポイントだけど、直接的には回答に関係ない。余計な情報をわざと

加えて、迷わせてるのだ。

       

161207e

   

   

     ☆        ☆        ☆

で、比較的安全な給水(Drinking Water)有りの

条件で、気温を上に変化させながら「RUN」ボタンを押すと、気温

40度ではじめて体温が40度を超えた。

    

したがって、35度までが安全。表では、35度の行(横の列)

と40度の行を選択すれば正解。

   

最後に、もちろん本物の普通の長距離ランナーにとっては、もっと普通

の気象条件におけるデータの方が重要だ。日本的な条件で色々試し

たのが、下の表。給水の有無は、水分損失には関わるけど、体温には

無関係になってる。それだけ、発汗による体温調整が優先されてると

いうことか。ご参考までに。。

   

161207f

   

    

      ☆        ☆        ☆

重要な科学情報を見たところで、単なる一般市民ランナーの走りに

戻ろう♪ 忙しくて丸2日サボってしまったから、昨日は1ヶ月半

ぶりの長距離走。25kmに挑戦してみた。

   

3日前のハーフ走で心拍を上げ過ぎてしまったので、昨日はずっと

抑え目の走り。珍しく、最初からずっと心拍計が動いてくれたから、

なるべく心拍155以下をキープするようにした。スピードはあんま

し気にしてなかったのに、自然と1km5分ジャストに向かって上昇。

    

トータルでは1km5分08秒ペースで、無事に完走。北風対策

でちょっと厚着してたせいか、昼間の気温が高かったからか、やた

らノドが乾いて、最後は珍しく給水。帰宅後もまたゴクゴク。単なる水

なのに、美味しかった。。

   

  

     ☆        ☆        ☆  

まあ、青梅30kmとか板橋フルに向けて、給水しながら走るのも大

切だね。特にフルは、普通のランナーだと給水が必要。超エリートな

ら不要かも知れないけど。

  

気温8度、湿度55%、風速2.5mの条件は、風が時々冷

たかっただけで、意外と寒くなかった。右足首がまたちょっと痛んだ

から、注意しよう。それでは、また明日。。☆彡 

        

      

            時間 平均心拍 最大 

 往路(2.4km)  13分29秒  135  147

LAP1(約2.1km) 11分07秒 148  155 

  2         11分00秒  151  155 

  3         10分58秒  153  158

  4         10分56秒  152  157

  5         10分51秒  153  156

  6         10分49秒  154  157

  7         10分48秒  154  157

  8         10分45秒  156  158

  9         10分51秒  156  159

復路(約3.3km)  16分53秒  158  166

計 25km 2時間08分27秒 心拍平均152(84%) 最大166(91%)

         

                     (計 2206字)

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TIMSS 2015~国際数学・理科教育動向調査の数学の問題(中学2年)

国際学力調査については、3年前に「PISA 2012」の記事

アップしてある。今回は、昨日(16年11月29日)、ニュース

が出た、2015年の国際数学・理科教育動向調査

(TIMSS)について書いてみよう。

    

文科省が「ティムズ」と読んでる「TIMSS」は、国際教育到達度

評価学会(IEA)が実施するもので、次の英語の略。普通に読め

ば、むしろ「ティムス」だろう。57の国や地域が参加。

      

 Trends in International Mathematics

  and Science Study

   

   

    ☆        ☆        ☆

直訳に近い訳なら、「数学・科学の学習における国際的動向

(トレンド)」ということになる。

   

4年おきの調査では、問題の一部を同じものにして、勉強の様子

の流れをとらえてるようだ。PISA(ピサ)が応用力・活用力に重

点を置いてるのに対して、TIMSSはわりと普通の学習状況を

調べてる感がある。

          

当然、次回も使われる予定の問題は非公開のはずだが、ネット

社会だから、世界中を探せば出て来るのかも知れない。とりあえ

ず、この記事では、普通に英語の公式サイトで読めるものを紹介

しよう。「普通」と言っても、表示と場所はかなり分かりにくい。これ

も、意図的な情報制限だろうか。

  

ちなみに、朝日新聞の記事にも少しだけ問題が載ってた。当サイト

のこの記事とは重複してない。

   

   

     ☆        ☆        ☆

161130a

  

日本語に直訳すると、「第8学年、数学の項目の例」。要するに

中2用の問題例だ。以下、5問だけ翻訳して紹介する。他の問題

や第4学年(小学校4年)については、公式サイトを参照。

    

161130b

   

(第1問) キムは箱に玉子を詰めている。

 それぞれの箱には6個の玉子が入る。

 彼女は94個の玉子を持っている。

 彼女が全ての玉子を詰めるのに必要な、最小の箱の数は?

    

(解答) 箱15個だと、玉子90個しか入らない。

    箱16個なら、玉子96個が入るので、94個でも入る。

    よって、16個

   

(別解; 高校レベル) 求める箱の数をn(自然数)とすると、

 nが満たすべき数式は連立不等式で、 

   6n ≧ 94 > 6(n-1)

  ∴ 15+2/3 ≦ n < 16+2/3

  ∴ n=16

   

中学2年生だから、連立不等式は不要で、最初に示したような

小学校的な算数で解けばよい。

     

  

    ☆        ☆        ☆

161130c

    

(第2問) PとQは上の数直線で2つの分数を表している。

 P×Q=N

 数直線上でNの位置を示しているのは、次の内のどれか。

   

(解答) PとQは、1より小さい正の数だから、

 N、つまりP×Qは、PやQより小さい正の数。

 よって、Nの位置を示す図は、

  

(別解; 高校レベル)

 0<Q<1の全辺にP(>0)をかけて、 0<PQ<P

 0<P<1の全辺にQ(>0)をかけて、 0<PQ<Q

 ∴ 0<N<P, 0<N<Q

さらに、P<Q<1だから、 0<N<P<Q<1。

 したがって、Nの位置を示す図は、D。

  

  

     ☆        ☆        ☆

161130d

   

(第3問) 2x+3xを表すことが出来るのは、次のどれか?

 A この線分の長さ

 B この線分の長さ

 C この図形の面積

 D この図形の面積

  

(解答) Aが表すのは、x+5。Bが表すのは、2+3+x。

 Cが表すのは、2x+3x。Dが表すのは、5x+5x。

 よって、答は

   

   

     ☆        ☆        ☆

161130e

    

161130f

    

  

(第4問)  ジョーは金属のブロックを3個持っている。

 各ブロックの重さは同じ。彼女が8gのおもりの反対側

 に1個のブロックを載せると、上図の上側のようになった。

 彼女が20gのおもりの反対側に3個全てのブロックを

 載せると、上図の下側のようになった。

 金属ブロック1個の重さとなり得るのは、次のどれか?

   

(解答) 上側の図より、1個の重さは8gより軽い。

 下側の図より、3個の重さは20gより重いから、

 1個の重さは(6+2/3)gより重い。

 よって、1個の重さとなり得るのは、7g

   

   

     ☆        ☆        ☆

161130g_2

  

(第5問) リャンは直方体の箱に本を詰めている。

 すべての本は同じサイズ。

 この箱に入る本は、最大で何冊か?

  

(解答) 本を立てて、15cm×6cmの部分を下にする。

 箱の30cm×20cmの面に、2冊を並べるように置き、

 次々に2冊すつ並べて置けば、合計12冊入る。これで

 箱はちょうど一杯になるので、最大の冊数は12冊

    

   

     ☆        ☆        ☆

この最後の問題は、時間に追われると難しいかも知れない。

そもそも、ピッタリのサイズだと、実際の箱と本なら入れにくい

はずだから、私が出題者なら1cmくらいの余裕を持たせる。

  

日本の中2数学の順位は、39の国・地域の中で5位。平均

点は少し上がってたが、得点の付け方が統計学的に特殊な操作

をしてるので分かりにくい。普通の満点と点数も示すべきだろう。

  

なお、第3、4、5問は前回2011年にも出題されてた。

時間が無くなってしまったので、今日はこの辺で。。☆彡

   

                   (計 1909字)

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キャラ化されない戦後の人々、佐多稲子『三等車』~2016センター試験・国語

(☆2017年1月15日の追記: 最新の関連記事をアップ。

 「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』

              ~2017センター試験・国語 )

   

   

     ☆        ☆        ☆

ここ数年恒例のセンター試験記事。準備と待機だけで疲れてしまったので、

今年も簡単に済ませよう。何時に問題が発表されるのか分からないまま、

複数の予備校サイトの特設ページに何度もアクセスするはめになるのだ。

今年は特に遅くて、試験終了の6時間後、20時半を過ぎても発表されな

かったから、しばらくPCを閉じて、夜遅くにようやく問題を入手した。リンク

先は河合塾。

 

さて、センター試験の現代国語の問題だと、その年ごとに、評論か小説か

どちらか一方にネット上の人気が偏って来た。例えば去年なら、ネットを扱っ

た評論がネットの注目を浴びたわけで、何とも分かりやすい「キャラ」的反応。

 

今年はさらに分かりやすい反応で、ツイッター検索するとほとんど評論のツ

イートしか無かったほど。土井隆義『キャラ化する/される子どもたち』(岩

波書店,2009年)からの出題で、まさに受験生世代を対象にした論考だし、

リカちゃん、「やおい」、メイド・カフェなど、若者が食いつきやすい仕掛けが

散りばめられてたのだ。副題はお堅い表現で、「排除型社会における新た

な人間像」。

 

 

          ☆          ☆          ☆     

特に、ツイッター検索で圧倒的人気だったのが、「やおい」。私がこの言葉

を初めて友人から教えられた時、言葉も対象世界も全く知らなかったから、

何度も聞き直したのをよく覚えてる。問題文の注には、こう書かれてた。

 

   「やおい」などの二次創作 ── 既存の作品を原作として派生的な

   物語を作り出すことを「二次創作」と呼ぶ。原作における男性同士の

   絆に注目し、その関係性を読みかえたり置きかえたりしたものなどを

   「やおい」と呼ぶことがある。

 

コトバンクで『大辞林』、『大辞泉』を見ても、ウィキペディアやニコニコ百科

を見ても、やおいの説明の最初は男性同性愛とかボーイズラブだが、流石

はセンター試験。「絆」という無難な言葉を使ってるし、「『やおい』と呼ぶこと

がある」という控えめな説明も妥当だろう。

 

 

          ☆          ☆          ☆   

しかし、問題作成者たちは気になるミスをしてる感がある。それがどの程

度の大きさの出題ミスなのか、あるいはミスではなく許容範囲なのか、私

には判断できないけど、当日の深夜の時点でネット上の指摘はまだ見当

たらないから、当サイトが指摘しとこう。

 

この問題は、2011年度の桐光学園高等学校の入試問題とかなり重なっ

てるのだ。全く同じ個所から引用を始めて、大学入試センター試験の方が

早めに終わってる。問題説明の文の冒頭も全く同じ。「リカちゃんの捉えら

れ方が変容している」ことを設問にしてる点も同じだ。下図で、左がセンター、

右が桐光。

 

160117a

 

 

桐光の問題はネットで一般公開されてるし、検索ですぐにヒットした。12年

度、13年度の桐光学園受験生は、おそらく11年度の問題を参考にしただ

ろう。その彼らがちょうど、2016年のセンター試験を受ける世代なのだ。

 

まあ、大学入試センターの事務局としては、問題なしとか影響は僅かだと

して済ませる所だろうけど、問題作成サイドが過去の出題例をチェックした

のかどうかが気になる所。ちなみに、引用箇所も内容も違うものの、同じ本

は2012年度の愛知県公立高校入試にも使われてた。まさに、今回のセン

ター受験生の世代なのだ。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

もちろん、全国50万人が受けるセンター試験を作るのは大変な作業だし、

些細な(?)うっかりミスを追及するつもりもない。五輪エンブレム的なコピ

ペ騒動にしたいわけでもない。ただ、なぜ問題も設問も重なったのかを考

えた時、まさに問題文の内容が表す状況が影響したのでは、と思ってしま

うのだ。

 

つまり、筑波大学の社会学者・土井のキャラ論自体が、キャラとして教育界

のあちこちで使われてしまってるのではないか。土井の本が原作。各種の

試験問題は、二次創作。Googleの書名検索の結果を見ると、本の感想文

を求める人が大勢いるようだから、二次創作的授業も広がってそうだ。

 

問題の作者たちは、一次作品(土井による原作)からキャラ論の一部だけ

を取り出して、「当初の作品のストーリーとはかけ離れた独自の文脈の中

で自由に操ってみせます」。ただし、リカちゃんはリカちゃん、キャラ論は

キャラ論。簡単な特徴は、「変化しないソリッドなもの」なのだ。

 

 

         ☆          ☆          ☆

しかも、土井のキャラ論の内容によると、キャラとは極めて単純化されたも

の。そうなると、土井の分析に対するとらえ方も注意が必要だろう。極めて

単純化、パターン化されたものが現代社会で人気なのはその通りだし、少

なからずの価値もあるが、単純化されない現実も当然存在する。

 

土井の文章が教育界で広がるということは、現場の関係者たちが、それ自

体キャラ的な単純化理論にとらわれて、生徒や学校を取り巻く現実の微細

さや多様性、流動性をスルーしてしまってる可能性を示してるのではないか。

 

その意味ではむしろ、同じ本から大幅に異なる部分を引用した、愛知県の

入試問題の方が相対的に優れた機能を持つとも言える。出題意図はとも

かく、結果として。ただし、著作権の問題が微妙なので、リンクは付けない

ことにしよう。。

 

 

           ☆         ☆          ☆

前置きが長くなってしまったが、大人気のセンター・第一問のこうした性格

(キャラクター)を見た時、むしろ不人気の第二問が地味な輝きを放って来

る。佐多稲子の『三等車』全文。「一九五〇年代」の発表とだけ書かれてる。

 

こちらは土井の文章と違って、ネットでもなかなか出典情報が見当たらな

かったが、個人サイトらしき「文学賞の世界」によると、雑誌『文芸』1954

年(昭和29年)1月号が初出らしい。要するに、現代社会でほとんど共有

されてない文学だから、作品の存在自体がキャラ化とは無縁。「もはや戦

後ではない」は56年の経済白書の有名な言葉だから、54年の小説はギ

リギリで「戦後」だ。

 

ウィキペディアによると、佐多は共産党員で、後に除名されたそうだが、こ

こで描くのは、そうした政治的なものとは無縁。階級的に下の一般市民を

描いてる点では、プロレタリア文学とも言えるけど、そんなレッテルは不要

で、単なる混雑した長距離列車内の人間関係とも言える。

 

表現形式も内容も、去年一昨年と比べて平凡に見えるし、河合塾や東

の分析でも、解きやすい問題とされてた。3年前の技巧的小説みたい

なオチも仕掛けも、もちろん無い。

 

 

         ☆          ☆          ☆

しかし、そうした見方と無関係な、静かな存在感こそ、この小説の最大の

長所だろう。おそらく、作者が女性だという点とも関係あると思うが、現代

の一般男性なら数行のメールでまとめてしまいそうな情景を、延々と細か

く語り続けてる。

 

あらすじとしては、仕事その他で忙しい女性らしき主人公の「私」(作者の

投影かも)が、鹿児島行きの急行列車の三等車に乗って、「闇」で買った

座席に座る。目の前の女性も「闇」と言うので、少し安心したところで、子

連れの若夫婦がやって来る。

 

夫婦で言い争うような感じの会話の後、夫だけが列車を降り、母は赤ちゃ

んだけ連れて売店に。一人で残された三歳くらいの男の子「ケイちゃん」

は、「私」が預かってたが、窓越しに父親とお別れ。母親たちが戻って来た

時、「私」が父と息子のお別れの様子を教えてあげて、母親も身の上話。

 

やがて車内が静まった時、歌声のようなケイちゃんのつぶやきが聞こえて

来た。「父ちゃん来い、父ちゃん来い」。。

 

 

         ☆          ☆          ☆

さて、主人公「私」の表面的な行動だけ見ると、その場で与えられたキャラ

を演じてるようも思われる。「同性や子どもに優しくて、ちょっとお節介な事

までしてしまう、心温かい戦後の大人の女性」。

 

もちろん、職場では「男勝りで働く、有能な女性労働者」キャラになってた

かも知れないし、別の座席なら別のキャラ的行動だったかも知れない。実

際、出題者が第一問を意識したのか、小説にはこんな文章もあった。

 

 「三等車の中では、聞えるほどのものは同感して聞いているし、

 すぐその向うではまたその周囲の別の世界を作って、関りがない」。

 

 

          ☆          ☆          ☆    

しかし「私」は、「外キャラ」的な対外的演技とも、「内キャラ」的な単純さと

も無縁だ。あるいは、そうしたものを遥かに超えた生の厚みを示してる。

若夫婦もケイチャンも、非常に濃密な空間を何気なく紡ぎ出してるのだ。

 

私は、「闇」で座席を手に入れた罪悪感もあって、ケイちゃんを膝にのせた

ままだし、駅のホームに残された父親のことを内心で色々考え続ける。対

外的な役割行動でもなく、内なる固定的で単純な思考パターンでもなく。

 

 「・・・・・・彼は、彼の方に出ようとして、汽車の窓に片足をかけた

  小さい息子のズックをおもい出すだろうか。・・・・・・彼はもうすっ

  かりひとりになった実感におそわれて、ふとんの襟をやけに頭

  の上にずり上げるだろうか。」

 

母親も、見知らぬ他人たちの前で、ごく自然に辛い私生活をさらけ出す。

東京に去年出て来たけど物価が高くて生活が苦しいとか、お正月くらい

は「お父ちゃん」(=夫)の言葉に従って鹿児島に戻って、田舎の農家で

お餅を食べるとか。

 

すぐそばに見知らぬ男性客がいるのに、唐突に「男って、勝手ですねえ。

封建的ですわ」と言う辺りも、少しも空気を読んでない女性だし、公共の

場にふさわしい無難なキャラと化してない。だからと言って、「不満の多い

おしゃべり女」キャラでもない。自然な流れで、やがてみんな静かになる。

 

その時、それまで「大人しい、いい子」キャラだった男の子だけが、父へ

の思いを口にし始めるのだ。窓越しのお別れに続いて二度目の、自然

な子どもらしさ。ほとんど誰も見てない状況で、無意識的かつ変則的な

感情表現で。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

「だから、それこそ、昔と今の違いなのだ。現代では、そうした振舞いは

難しくなってる」。そう言いたくなる所だろうし、それは必ずしも間違いで

はない。

 

しかし、たとえ詳細な統計調査の裏付けがあったとしても、『三等車』的な

人間的厚みの明示は出来ないし、科学的調査でさえ、しばしば複数の対

立する結果が示されてしまうのだ。

 

ましてや、そうしたものが直接何も添えられてなさそうな現代社会論を読

んで、「キャラ化する/される子どもたち」という図式をインプットし、拡散

的にアウトプットすることこそ、まさにキャラ化された教育、キャラ化された

学問だろう。

 

リカちゃん人形は確かに可愛い。しかし、そんな人間など、どこにもいない

し、似た人間でさえごく僅かだろう。可愛さと本当らしさは、あまり関係ない

属性だ。現実はしばしば、まったく可愛くない。

 

 

          ☆          ☆          ☆           

だからと言って、「学問的認識や抽象化、単純化の必然的な短所から目を

逸らすな」などと、堅苦しい批判を声高にこねることなく、今でも身近にあり

そうな繊細複雑な生を静かに描き出すこと。これこそ、ほとんどの人がツ

イートしなかったこの第二問の微細な輝き、地味な素晴らしさなのだ。

 

もちろん、キャラ化されないサイトとしては、そちらに目を向けるのが自然

な選択だ。空気も読まず、普段の自らの記事パターンとも関係なく。という

わけで、平成28年度センター国語記事もそろそろ終わりとしよう。今週は

計19361字となった。

 

それでは、おそらくまた明日、センター数学記事にて。。☆彡

 

 

 

cf. データ分析(相関の強弱、変数変換と共分散~2016センター数学ⅠA

   分数の群数列、一般項と和~2016センター数学ⅡB・第3問

  

      ・・・・・・・・・・・・・・・

   啓蒙やツイッターと異なる関係性、小池昌代『石を愛でる人』

                              ~2015センター国語

   昭和初期の女性ランニング小説、岡本かの子『快走』~2014センター

   幻想的な私小説、牧野信一『地球儀』~2013センター試験・国語

   鷲田清一の住宅&身体論「身ぶりの消失」~2011センター試験・国語

 

                          (計 4674字)

             (追記 149字 ; 合計 4823字)

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放送大学の試験問題文削除と法規制、教育の政治的中立性&10kmラン

(20日) RUN 10km,51分13秒,平均心拍142 

      消費エネルギー 498kcal (脂肪 115kcal)

 

昨日、5000字超のレビューを書いたばかりだから、今日はもう手短に済ま

せよう。一般ウケしない細かくて複雑な話だが、ちょっと気になったもんで。

 

朝日新聞・朝刊(15年10月21日)の社会面で、二番目の扱いの記事は、

見出しが「政権批判の問題文削除 放送大『中立性に配慮』」となってた。

小見出しは、「総務省『試験は規制対象外』」。執筆は伊藤あずさ記者。

 

朝日の意図は明らかで、放送大学が過剰規制によって学問の自由を妨げた

と主張する形になってる。実際、ネットの記事では付いてないが、紙面だと、

「学問の自由を考える会」による大学批判が添えられてた。逆の意見は無い

から、朝日らしい両論併記の配慮も無い。

 

ちなみに、産経新聞HPでは、もっと簡単で穏やかな記事として、やや逆の

立場が示されてた。両論併記とは、例えばこうゆう事なのだ。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

それでは、騒動の中身について。単位認定試験の問題に、安倍政権批判

の文章が含まれてたから、学内サイトに掲載する際に大学側がそこだけを

部分削除。「この部分は、公開にあたり放送大学の責任で削除しました」と

いう文に置き換えられた。

 

授業は「日本美術史」で、担当は佐藤康宏・東大教授。放送大の客員教授

でもあるが、今年度末で辞任するそうだ。戦前・戦中に風刺画を描いて弾圧

された画家らについての文章において、削除された冒頭には次のような文

があったらしい。

 

   「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。

    平和と自国民を守るのが目的というが、ほとんどの戦争はそういう

    口実で起きる」

 

受験生670人の内、1人が大学にメールで連絡。来生(きすぎ)新・副学長

は、「放送法の規制を受け、一般大学より政治的中立性を配慮しなければ

ならない。試験問題も放送授業と一体。問題文は公平さを欠くと判断した」

と削除理由を説明。

 

ただ、総務省放送政策課の担当者によると、紙媒体は放送されなければ

放送法・第4条の規制対象にならないとのこと。

 

 

         ☆          ☆          ☆

私が気になったのは、この朝日の記事や総務省の担当者のコメントが、放

送法だけを考慮してるように感じたからだ。大学側は、「一般大学より政治

的中立性を配慮」する必要を考えたわけで、放送法第4条だけを考慮してる

のではないと思う。

 

そもそも教育の基本には、そのままの名前を持つ教育基本法というものがあ

る。政治教育について定めた第十五条・第二項は次のように書かれてるのだ。

 

   「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対する

    ための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」

 

放送大学は、放送大学学園が設置する大学だし(放送大学学園法・第二

条)、大学とは法律に定める学校の一種(学校教育法・第一条)。それなら、

特定の立場に偏った政治的活動をしてはならないはずだ。特に、試験のよ

うな重要な場、強い圧力が加わる場においては。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

もちろん、学問の自由は日本国憲法・第23条で保障されてるし、多様な考

えや教育はあっていい。多少の偏りも想定内で、許容範囲のはず。

 

だから例えば、削除された文は、「逆の意見もあるが、・・・・・・という意見も

有力となっている」などと多角的表現に留めておけば、許容範囲だったかも

知れない。大学側にせよ、受験生にせよ。また、そうした表現に直しても、そ

れ以下の問題文や解答に、実質的な影響は無かっただろう。あるいは、試

験ではなく授業の中で、単なる個人的見解として短く喋るとか。

 

試しに、かなり長い法律である学校教育法のページ内で「政治」を検索すると、

何もヒットしなかった。つまり政治教育については、上位の法律である教育基

本法の規定しか想定してないことになる。

 

そこには単に、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重され

なければならない」とだけ書かれてる(教基法第14条・第1項)。特定の立

場の支持や反対をしないような教育と教養が、今まさに問われてるのだ。

 

なお朝日新聞については、学校ではないし、左派(リベラル)のマスメディア

の代表だから、今回の記事は問題ないのかも知れない。ただ、私が担当記

者なら、教育基本法についても多少触れただろう。15年6月4日の「記者有

論」の写真を見る限り、予想通り、若い女性記者のようだ。原稿をチェックす

る上司やシステムについては、何も分からない。。

 

 

         ☆          ☆          ☆

お堅い話はこのくらいにして、最後に一言、一昨日の走りについて。相変わ

らず寝不足と体調不良と疲れが続く中、4日連続で短距離走を実行。10km

ジョグの予定が、意外とペースアップして、10km走となった。

 

気温17度、湿度80%。トータルでは1km5分07秒ペース。少しずつ回復

してるけど、まだまだだね。それでは、今日はこの辺で。。☆彡

 

 

                時間    平均心拍  最大心拍

  往路(1.2km)    6分41秒    120    131     

 LAP1(2.2km)   11分38秒    136    145          

   2           11分05秒    144    151

   3           10分58秒    149    157

  復路(2.2km)   10分51秒    152    158  

計 10km  51分13秒 心拍平均 142(78%) 最大158(87%)

 

                                 (計 2143字)

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人間ピラミッドの組み方、荷重計算、リスクと安全性

ダメだ。どうしても、体育祭などで10段人間ピラミッドを組む人数の計算が合

わなくて、仕事も手につかないほど♪

 

朝日新聞HP、2015年4月6日の記事を見ると、前(=正面)から見た時

人数は、上から1人、2人、2人、3人、・・・・、9人となってた。つまり、最上部

だけは少人数で高くしてるわけだが、各段の後ろに逆三角形状に並ぶ人数

をどう考えても、朝日が書いてる「組む人数 127人」にはならない。内部で

支える「かすがい」役の9人を加えても136人だ。

 

上から2段目を除いて逆三角形に組んで、最下部の一番後ろの1人を省略

しても(後述)、 1+2+3+6+10+15+21+28+36+44=166人に

なってしまう。おそらく、全体の後ろ側でかなり省略するんだろうけど、検索し

ても動画を見ても、ハッキリしないのだ。

 

左は主導的な役割を果たしてる、兵庫県伊丹市立南中学校の保健体育担

151004e 当、吉野義郎(よしの

 よしろう)教諭がアッ

 プしてる成功例の

 YouTube動画

 この先生の動画は、

 アスペクト比(縦横の

 比率)が変なので、

 私が補正した。お

そらく、16:9で撮影した映像を4:3でアップしたのだと思う。

 

先日の大阪・八尾市の失敗例とされる動画を見た時には怖いなと思ったけど、

成功例を見ると意外にあっさりスムーズ。何事も多角的に見て、冷静に考える

必要がある。ちなみに現存する失敗例は5日間で再生回数50万回弱。成功

例は5年間で300万回弱だ。

 

 

           ☆          ☆          ☆

この件で、逆に反対派の中心となってるのは、名古屋大・大学院の内田良

准教授。Yahoo!で「土台の最大負荷量は一人あたり200kg前後」と書い

てるが、荷重の計算も、組み方の詳細も示してない。

 

(☆追記: 内田の計算「結果」ならYahoo!にあった。ただし、計算「方法」

       や計算「式」は無いし、10段は151人で計算している。また、天

       王寺川中学校の137人については、想像を加えたコメントのみ

       で、計算結果も示してない。ちなみに、なぜ朝日の報道が136人

       と137人の2通りあるのかも分からない。)

 

J-CASTだと「およそ3.9人分」と書いてるが、これも解説抜きの記事に過

ぎないし、たった1人(一番下、後ろから2番目の列の中心)の生徒のみに加

わる値。例外的な最大値だ。しかも後述するように、成功例より大きな値に

なってしまってる可能性が高い。そうした説明なしに最大値を出すのは不適

切でミスリーディング(誤解を招きやすい)だろう。

 

松谷創一郎の本格的な記事も、内田の大まかな数字を引用しつつ、「大学

院でここまでのことをちゃんと勉強し、荷重計算したのだろうか」と書いてる

が、自分では計算を示さず、尾木ママと同様、人文的な批判に留まってる。

 

「ハイリスクの巨大組み体操」と題するレビューなら、リスク計算と評価が必

要なのだ。そのポイントは、事故発生率や件数、重症度と共に、荷重の物理

的考察や計算になる。

 

 

           ☆          ☆          ☆    

内田は、男子中学生の体重を1人50kgちょっとで計算したのだろうから、こ

こでも簡単に1人50kgと仮定しよう。手と足の荷重の比率は、吉野によると

3:7という話だから、仮にそうしてみる。最も単純な場合として、3段ピラミッド

で考えてみよう。

 

151004a  3段といっても、作り方は少なくとも

  3種類ある。1つは、左のように、最

  も少ない6人で組む場合。そうでは

  なく、下から逆三角形を積み上げる

  にせよ、足を伸ばすか、全員が四つ

  ん這いかで違って来る。

 

  吉野ほか、日本の主流は足を伸ば

  して逆三角形を積み上げるもの

  だろうから、ここでもそうしよう。

151004b 足は手より上部

 だし、高さがあ

 る方が見栄えが

 いいという事か。

 左は吉野の解

 説動画より

 

 

           ☆          ☆          ☆

151004c  左が真横から見たイ

  ラストだ。首は足の間

  に入れてるけど、原則

  的には荷重を受けて

  ない(崩れた場合など

は別)。上から腰に受けた荷重を、手と足で3:7に分けて支えることになる。

 

151004d  左は真上から見た図。一番下、

  一段目の6人が黒。二段目の3

  人が青。三段目の1人が赤色で

  示してある。

 

  一段目と二段目の一番後ろは、

  自分自身しか支えてないので

  省略可能。ただし二段目の後

ろは、三段目の「安心感」や後ろ向きの落下防止につながる。

 

私は最初、正面から見た三角形のみで計算してしまったし、ネット上にも同じ

ミスがあったが、少なくとも7段以上だと、その「平面型」では困難なので、「立

体型」、3次元で考えるのが妥当。吉野のビデオでも、後ろに後ろにという、奥

行きの話が強調されてた。

 

赤い生徒の手は左右7.5kg重ずつ、計15kg。足は左右17.5kgずつ、

計35kgを加重する。すると、一段目の前から二番目の生徒の腰には、

足によって17.5kgの荷重が生じる。一方、二段目の後ろの生徒からは、

手によって7.5kgが加わってる。

 

 

           ☆          ☆         ☆

以上より、数式にまとめると次の通り。

 

  (一段目の前から二番目の生徒に対する荷重)

          =(三段目の足から)+(二段目の手から) 

          =17.5+7.5

          =25kg

 

これに自分の体重50kgを加えて、75kg。すると、両手で22.5kg、両足

で52.5kgを支えるだけだから、ほとんど問題ない。むしろ、反対派の内田

があまり批判してない騎馬戦の方が安全性が低いはず。

 

もちろん一番ラクなのは、一段目の前列の両端(一番後ろは荷重ゼロだか

ら例外)。二段目の手から、8.625kgの荷重があるにすぎない(計算問題

としてお試しあれ♪)。

 

逆に言うと、中心部の方がキツイわけで、バランスや揺れが上部で厄介な

ことも考慮すると、大阪の動画が中心の上部から崩れ落ちたように見える

のは納得しやすいのだ。

 

151005g  ちなみに4段で、後ろ

  側を省略した場合は、

  ほぼ左図のようにな

  る。赤い2人の上に

  もう1人乗れば完成

  (図が見づらくなるの

で一番上は省略)。黒い一段目が7人、青い二段目が3人、赤い三段目が

2人、省略してる一番上が1人。合計で13人。

 

一番下、一段目の後ろ側の真ん中には、三段目の2人の足によって52.5kg

の荷重がかかってる(1.05人分)。三段目の2人と一番上の1人、合わせて

3人の体重の7割(3段目の足への配分)の半分ということで、

 

        (50×3)×0.7×0.5=52.5(kg)

 

 

           ☆          ☆         ☆  

これを10段にした場合を計算するには、組み方の詳細が必要だし、群数列

や漸化式を考える必要がある。後で挑戦するかも知れないが、とりあえず今

日はこの辺で終了。

 

4段、7段、10段の組み方の例や計算については、大阪経済大学の西山豊

教授が示してた。ただし、内田の著書『教育という病」を参照した10段の人数

は、朝日より多い151人なので、内田や西山の計算は、吉野の成功例より

大きな(静止)荷重を示してる可能性が高い。西山は「完成から解除まで3分

~5分もかかる」と書いてるが、成功例を見ると1分で解体されてる。

 

実際には、ピラミッドの内部に「かすがい」と呼ばれる生徒も入って、まとまり

を調整するらしい。朝日によると、10段ピラミッドで9人。横向きに広がろうと

する力や、それを防ぐ力も考慮する必要があるし、事故のシミュレーションや

「動的荷重」も欠かせないから、物理学や人間工学の専門家がコンピューター

を使って計算すべきものだろう。

 

もちろん、机上の空論を防ぐために、実際の測定や生徒の体感調査も必要

になる。事故の統計調査や訴訟判決・賠償金・和解金も含めて、まだまだ研

究不足、議論不足の話なのだ。ピラミッド作りの人員配置や技術向上も含め

て、今後の進展に期待しよう。

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

                                    (計 2999字)

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