哲学者・鷲田清一の自殺論(朝日新聞)

日付け変更まで、もう時間がない。毎日更新継続のための間に合わせで書くよ

うな話でもないんだけど、他に思いつかないから、これで行こう。今日、2008年

7月17日の朝日新聞・朝刊文化欄に、大阪大学総長・鷲田清一の現代自殺論っ

て感じの文章が載ってた。見出しは、底知れない「孤立貧」。副見出しは、自殺者

10年連続3万人超過

       

鷲田を知ってる人の割合は多くないだろうけど、哲学者としてはかなりメジャー

な人だ。文学的で柔らかい文体と独特の着眼点・切り口が売りで、私もわりと好

感は持っている。ただ、文章の論理的な曖昧さと、実証性の無さはちょっと引っ

かかる所で、今回の記事もかなり読みにくかった。阪大総長の肩書きを持つと

はいえ、もし小論文のテストなら、かなり減点されてもおかしくはない。理系の論

文形式ともかけ離れたものだ。

                   

まず、1300文字程度のこの小論の内容を要約してみよう。

    

   多数の自殺の報道を見ると、我々は「なぜ?」と疑問に思う。同じ社会に

   生きながら、彼らが自殺して私たちが死なないのはなぜか、その分かれ道

   が知りたいからだ。でも、その問いは二重の理由で「やがて虚空に消える」

    

   まず、彼らと自分の間にはかなりの距離があるから。どうしても自分とは

   「無縁」なものという側面があり、「死なれた」痛手を感じにくいのだ。一方、

   自分たち自身も「所在のなさ」が膨れあがって、存在が曖昧になってるの

   で、彼らとの分かれ道=違いをとらえにくい。こうして、「なぜ彼らは自殺し

   て私たちはしないのか」という問いは、答のないまま消えざるを得ないのだ。

        

   ここに見て取れるのは、個々の人間が孤立して、存在が貧しくなった状態

   だ。柳田国男の言葉を少し変形して借りるなら、「孤立貧」と言えるだろう。

   昭和のはじめ、自殺者の数が毎年1万数千人となった頃、彼はこう言った。

   「われわれの生活ぶりが・・・・・・個人の考え次第に区々に分かれるような

   時代が来ると、・・・貧は孤立であり、従ってその防御も独力でなければな

   らぬように、傾いて来る」(『明治大正史・世相篇』)。

    

   柳田の言う孤立は、共同体から家族への細分化のことだが、平成に入る

   と、建築家の山本理顕が、最小単位としての家族でさえ最後の拠り所とは

   ならなくなってると指摘する。つまり孤立が、家族から個人へと更に細分化

   してるのだ。柳田が「われわれは公民として病みかつ貧しいのであった」

   (同上)と語った時代からも、唐木順三が自殺は「僕らと無縁ではない」と

   語った時代からも、遠く隔たった現代。私たちは、孤立した個人として、存

   在が貧しくなっている。まさに、底知れない孤立貧の状況なのだ。。。

     

          ☆          ☆          ☆

これを読んで最初に感じたのは、まず曖昧さだ。「孤立貧」は、直接的には、

他人の自殺に対する我々の隔たりを説明するキーワードとして挙げられてい

る。おそらく、孤立貧と自殺そのものも結び付けたいはずなのに、その表現は

見当たらない。また、柳田国男という超大物の民俗学者の名前を援用してるだ

けで、広い視野や細かい論証・データもない。柳田が語った貧しさと鷲田の言

う貧しさがどの程度関係してるのかも気になる所だ。

           

ただ、自分で深く考えることこそ哲学だという観点に立つのなら、鷲田の文章は

まさに哲学的だろう。つまり、「所在のなさ」という表現の意味とかも含めて、あち

こち読者に考えさせる箇所だらけなのだ。孤立貧という造語がしっくり来るという

人もいるだろうから、哲学とは新しい思考を求める営みだという観点からも、鷲

田の文章はやはり注目に値する。半ば理系の人間として、読んでてイラつく表現

だらけでも、やっぱり魅力や価値を感じてしまうのだ。

       

最後に、おそらく鷲田とは全く違う、私の見方を一言書いとこう。そもそも、自殺

は多いんだろうか? 急速な増加が続いてるわけでもないし、死因の主要な部

分を占めてるわけでもない。多様化の時代に、毎年1万人中の2、3人が自殺

(or 自死)し続ける割合というのは、巨視的に考えると不自然ではない気もする

のだ。この数字は、自分の周囲ではなかなか起こらないことを表してるのだから、

低い値と言えなくもない。

       

もしそうなら、孤立貧の状態だから他人の自殺と疎遠なままだという鷲田の主張

は、根底から崩れることになる。孤立貧など無くても、人々は、一つの死の形

あるがままに受け入れてるだけかも知れないだ。いわゆる自殺は、精神的な行

為だけど、ガンだって身体的自殺とも見れる。タバコによる肺がんや、無謀な運

転による交通事故死などは、精神的自殺と見ることさえできるだろう。その意味

で、いわゆる自殺をさほど特別視しない人がいても不思議でないかも知れない

           

ただし、誤解のないように付け加えると、私自身は現状を良しとしてるわけでは

ない。人間は、多少なりとも自然に逆らって生きる主体的動物だ。社会的に自

殺を減らしたいとは思ってるし、自分の周囲の自殺を絶対に避けたいとも思って

る。ただ、もし鷲田の言うように、人々が他人の自殺との隔たりを持ってしまって

るのなら、それは孤立貧など持ち出さなくても説明できるだろう。

    

人は、昔から全く知らない人の死に関心を持ちにくいし、現在は多様化の状況

にも慣れている。その程度の説明でも十分だと思う。その多様化を孤立貧と呼

びたいのなら、必ずしも反対しないが、特に賛成もしない。いずれにせよ、もう

少し精密で繊細な論証が必要な話なのだ。

   

とにかく、もう時間なので、今夜はこの辺で。。☆彡

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瑠可(上野樹里)の性別違和症候群~『ラスト・フレンズ』第8話

 シェアハウスを出ようと思ってます

 そうですか

 誰も知らない場所で 新しく生活を始めたいんです

 落ち着いたらいずれ 海外に行こうと思ってます

 出来れば その時に手術を受けたいと思ってます

 何か 焦ってるんじゃないですか

 それにまだ あなたを性同一性障害だと診断できているわけじゃありません

 今の段階では 性別違和症候群と呼ばれる症例にあたります

 どうしてそんなに急ぐんですか

 苦しいんです 大声で 叫びだしたいほど苦しいんです

 でも 今カミングアウトすることは 全てを壊すことになるから

 全てとは 限らないんじゃないですか

 一番そばにいる人に ありのままの自分を認めてもらいたい

 人間なら 誰もが願うことです 

 その切実な思いが少しでも満たされれば

 あなたも あえて出て行きたいとは思わなくなるんじゃないかな

     

         ☆          ☆          ☆

あぁ~、もう時間が無くなってしまった。今日はこの辺でおしまい・・って、まだ何

にも書いてないだろ!♪ いやいや、毎度お馴染みだけど、記事を書く前にあれ

これ調べてたら時間取られちゃって、書くヒマが残り少なくなっちゃったわけ。仕

方ないから、高速でまとめて、形だけ作っとこう。今回の主題、つまり私がハマっ

た話はちょっと細かい理屈なので、後回しにする。先に、普通のドラマの話を簡

単に済ませよう。

       

予想通り、及川宗佑(錦戸亮)は病院で手紙を書いて、樋口直也(澁谷武尊)

頼んでシェアハウスへ届けてた。岸本瑠可(上野樹里)がうっかりミスで、滝川エ

リ(水川あさみ)にパソコンの画面を見られたのも、思った通りだ。瑠可が引っ越

す話は予告で分かってたし、カウンセリングの流れも最初から考えてた通りだっ

たので、今回は正直、ほとんどインパクトのない回のように思えた。

        

ところが、最後にちょっと目立つ動きがあった。瑠可の手紙を読んだ水島タケル

(瑛太)が、藍田美知留(長澤まさみ)の目の前で、瑠可と涙の抱擁。特に、瑠可

もタケルの背中に手を回してたのが印象的だった。もちろん、タケル自身のトラ

ウマやセックス恐怖症もあるから、この2人がハッピーエンドになるはずはない。

      

ただ、ハッキリしないけど、恐らく手紙に性同一性障害の話が書かれてたんだろ

うから、これで瑠可はタケルにカミングアウトしたことになる。既にエリの話と貼り

紙で、心の準備ができてたタケルは、もちろん温かく受け止めてくれたから、瑠

可がみんなと離れる理由は少し薄らいだことになる。これで美知留にも伝えられ

たら、医師の言う通り、「あえて出て行きたいと思わなくなる」かも知れないね。

    

冒頭では、興明不動産の社員が、福生(ふっさ:都心から離れた西部)のマン

ションは安いし敷金・礼金なし(更なる引越しが簡単)だと言ってたし、予告では

瑠可の歓迎会みたいなことをシェアハウスでやってた。これらから考えると、美

知留と同じく、瑠可もシェアハウスに戻るのかも知れない。視聴者の好みも、そ

んな感じがする。個人的には、瑠可はこのまま福生にしばらく住んで欲しいけど、

特にこだわりはない。どうせ、第1話冒頭の時点になれば、瑠可はどこかへ行っ

てしまうんだしね。ちなみに私は、さらにその後、最終回で瑠可が美知留のもと

へ戻って来ると予想してるけど。。

    

そんな話より、遥かに私がインパクトを受けたのは、予告の宗佑の暴力シーン

だ。あれはDVどころか、露骨な犯罪レベルの暴力に見えた。可愛いナースが

優しくしてくれる常陽総合病院から抜け出して、松葉杖でタケルを殴りつけて階

段から落とした上に、暗いガード下でタケルの手を足でグリグリ踏みつけてた。

スローで見直しても、なかなか迫力あるバイオレンスだ。

           

ホラ、やっぱり宗佑は暴力男のままだ♪、と微笑む声が全国から聞こえてきそ

うだけど、私としては、またか・・って感じだ。男と女という単純な二分法に収まら

ない人間を温かく描き出しながら、その一方では、悪い人間と善い人間をハッキ

リ強引に二つに分けて、悪い人間を冷たく切り捨てる。極度に単純で分かりや

すい構図のもとで。

     

もしこれで最後に、宗佑という悪魔が死んで、多くの善良な視聴者のカタルシス

(感情の浄化)がもたらされるようなら、私はまた卓袱台を放り投げることになり

そうだ♪ ガラガラガッシャーン! まあでも、予告を見た後でも、最後に死ぬの

はタケルの可能性が一番高いと思ってるけどね。先週は、タケル60%、宗佑40

%と書いたけど、現在は、タケル55%、宗佑45%かな。

    

この点に関して、一つだけ具体的に気になるシーンを挙げとこう。それは、宗佑

の手紙を瑠可とエリが燃やすシーンだ。末尾のP.S.に全文掲載するけど、宗

佑の手紙の文面は少しもおかしくない。実際エリは、宗佑の「絶対変わらない愛」

を読み取って、しんみりしてたほどだ。未練がましさとは、普通の恋愛感情(or失

恋感情)であって、別に悪いことでもないし、宗佑が手紙を持って強引に乗り込

んで来たわけでもない。

        

ところが、瑠可は火をつけて勝手に燃やしてしまう。もっともらしい言葉で自分を

正当化しながら。「自分が苦しいからって、好きだ好きだって気持ちをこんな風

に、叫びちらすのって、愛だと思う? 時には自分の気持ちを抑えて、相手のた

めに引けるのが愛だと思うけど」。愛する美知留に不自由な手で丁寧に書いた

ラブレターを送る宗佑。愛する美知留に届いたラブレターを無断で燃やす瑠可。

      

もちろん、宗佑の方が本物の愛だと言ってるんじゃない。ウチが一貫して言い続

けてるのは、似た者同士でしょってことだ。1人の女に対する「愛の囚人」(Prisoner

Of Love)が2人で、あるいはタケルも含めて3人で争ってるにすぎない。罪とい

うことを言うのなら、3人はそれぞれ罪は異なるものの、いずれも「愛の罪人」な

のだ。罪の重さは見方によるだろう。ま、裁判官も先日ストーカーで「愛の罪人」

になってたようだけどね♪

          

それはともかく、似た者同士の2人なのに、BGM・効果音・映像は相変わらず、

宗佑だけを極悪人扱いし、瑠可は切なくて共感できる「女性」として扱ってる。手

紙を勝手に燃やしてしまう時に流れるのは、ホノボノした心温まるメロディー(瑠

可のテーマ曲かな)。ゴーッと燃える炎を少し強調して、それを瑠可じゃなく、次

のシーンの宗佑にかぶせていく。その後、病室の宗佑には不気味な効果音。顔

には暗い照明。

     

2つのシーンの連続は、音声を消すだけで、全く違って見えるだろう。繰り返す

けど、現実世界にはBGMも効果音もない。偏ったライティングもない。ドラマと

違って、観客の性別に偏りがあるわけでもないのだ。。

     

        ☆          ☆          ☆

という訳で、ウチとしてはいつも通りの話を書いた後で、本題に入ろう。今回、

何にハマったかって言うと、「性別違和症候群」(gender dysphoria syndrome)

だ。放送終了後にあちこち調べて、結局ハッキリした事は分からなかったけど、

逆にその作業を通じて、「性同一性障害以上に曖昧な概念」ってことだけはよ

く分かった。おそらく、やや古い言葉で、かなり意味の広い言葉と思われる。

             

まずは、「メンタルクリニック・おくでら」でのカウンセリングで、精神科医が開い

てた、PC画面の電子カルテを読み取る所から始めよう。わずか数秒間のぼや

けた画面から読み取ると、右側には、外見・服装・体験とかの表面的な情報、

左側には医学的な診断内容や治療方針が書かれてた。この左側を、多少の

推測を交えて再現すると、ほぼこんな感じの内容だったと思う。

       

    性別違和を訴え、性同一性障害の可能性がある。身体の男性化願望

    は必ずしも明確ではなく、男性的な女性同性愛である可能性もあり。

    治療方針としては、カウンセリングをしていくことで、内面の性別違和の

    ありようを明らかにし、本人が今後どのように生きていきたいかを、考え

    ていく。

    

ここで、「性別違和」という言葉が2回、性同一性障害という言葉は1回使われ

てるが、「性別違和症候群」という言葉は見当たらない。検索しても、学問的に

信頼できそうな情報は、有名な埼玉医科大学病院の報告くらいしか目に付か

なかった(「性転換治療の臨床的研究」に関する審議経過と答申,2006)。しか

も、この報告でさえ、もっぱら「性同一性障害」に関する説明が並んでて、「性

別違和症候群」というのはまるで俗称にすぎないかのようにも感じてしまう。

        

ウチで度々参照している、世界標準のマニュアル『DSM-Ⅳ-TR』(精神疾患

の診断・統計マニュアル・第4版・テキスト改訂版,医学書院)にも、性別違和症

候群という項目はない。さらに、手元の2冊の一般書『性同一性障害 30人の

カミングアウト』(監修・針間克己,編集・相馬佐江子,双葉社)、『性同一性障

害』(吉永みち子,集英社新書)を見ても、「性別違和」とか「違和感」という言葉

はあるものの、「性別違和症候群」という言葉は(ほとんど)見当たらない

     

という訳で、諸々の情報をもとに、とりあえずの私なりの結論を出しとこう。性同

一性障害の説明でありがちなのは、「生物学的な性(sex)」と「心理的・社会的

な性(gender)」の不一致というものだ。上の埼玉医科大の報告でもその種の説

明がされている。

    

でも、「釈迦に説法」をするなら、これはかなり不正確でミスリーディングな(=誤

解を招きやすい)ものだ。「gender」という言葉で一まとめにされてるけど、実際

には心理的な性と社会的な性の不一致の問題も非常に大きい。例えば、自分

は男だと思ってる瑠可にとって、戸籍が女となってること、あるいは女子トイレを

使わされることは嫌だろうし、モトクロスのレースで女性選手として扱われるのも

不愉快だろう。

           

だからむしろ、現在の言葉の用法に基づくなら、こう言うべきだと思う(下図参照)。

       

 ① 「性別違和」=「心理的な性」(=性自認)と、「生物学的な性」や「社会的な

            性」とのズレに対する不快さや嫌悪。病的なものに限らない。

 ② 「性別違和症候群」=様々な性別違和を病的レベルで保持した状態。

 ③ 「性同一性障害」=性別違和を示す人の中で、厳しい診断基準をみた

               一部の患者の病名。耐えれないほどズレが大きい状態。

                

080530b  DSMに従って少し細かく言

 うなら、性同一性障害とは、

 反対の性への志向と、自分

 の性への嫌悪がどちらも強

 くて、大きな問題を引き起こ

 してる人に対する診断名だ

 (ただし、身体的には男女の

 区別が可能な人)。

    

で、瑠可の場合は、まだ性同一性障害とまでは診断できてないし、医師の推測

でも、そこまで重くはなさそうだ。という事は、手術は行われないってことになる。

これは実質的に、ウチが最初から書いてた予想&希望、つまり「瑠可は性同一

性障害だけど手術まではいかない」って話と一致する。というのも、「性別違和

症候群」なんて言葉はめったに使われない言葉だから、瑠可は広い意味では

性同一性障害と言っていいからだ。。

       

       ☆          ☆          ☆

ところで今現在(29日夜~30日朝)、Yahoo!で「ラスト・フレンズ 最終回 

予想」の検索をすると、ウチが2位(実質的に1位)になる。ただし、ヒットする記

事は『ホタルノヒカリ』だし、ホタルの記事にちゃんと注意書きを付け加えたのに、

やってくる人のほとんどは一瞬で帰っていく (^^ゞ ま、それは笑い話として、第

8話が終わった時点でもウチの予想はほとんど変わらない。ここでまとめとこう。

     

  死ぬのは55%の確率でタケル。(45%で宗佑)

  瑠可はいずれ、第1話冒頭の時点で、遠く(おそらくアメリカ)に行くものの、

   最後に美知留と再会する。

  瑠可は結局、手術まで行かない(保留も含む)。

  宗佑は悪魔のままでは終わらない。最後までには、描き方が変わるはず。

  タケルのトラウマは、姉・白幡優子(伊藤裕子)の現実の性的いたずらに

   よるものじゃなく、タケルの幻想か勘違い。

         

残り3話っていう時間を考えても、それなりに筋が通った予想だと思ってる。も

ちろん、特殊なネタバレ的情報は、早くからウィキペディアに書かれてすぐ削除

された瑠可情報しかないし、その情報も、今回の記事の論点整理によって、も

はや無意味なものになった。

      

まあ所詮、ドラマの筋書きなんて、脚本家・浅野妙子演出家・加藤裕将らが

好きなように決めれることだし、結果的な当たり外れが重要なんじゃない。何度

も書いて来たように、予想とは、徹底的な分析・解釈・考察から生み出される結

果にすぎない。だからそれが外れた場合、「ドラマが悪い」と言うのもアリだし、

予想に至るプロセスの価値は別問題なのだ。

         

これが単なる聞き苦しい言い訳ではないことくらい、常連読者の方ならお分かり

だろう。一昨年の『クロサギ』は全く話が終わってないから映画で続編が出来たし、

『プロポーズ大作戦』のブカブカの指輪がおかしいという指摘も、後のスペシャル

版でちゃんと受入れられたわけだ。一方、数々の独自の予想も的中させている。

プロポの岩瀬健(山下智久)が水をかぶるとか、『あしたの、喜多善男』の善男

(小日向文世)は「塔から飛び降りる」けど助かるとか、『Around40』で聡子(天

海祐希)と岡村(藤木直人)が自転車で並走するとか。

                

とにかく、瑠可の病気の話は今週でほぼ終わりだろう。やっぱり、手術不要な

軽い性同一性障害だった。性別違和を持つ人の大半は、瑠可と同程度か、もっ

と軽い人だろうから、これでいいと思う。もう時間が無いから、家族ともめても知

れてるはずで、脚本の流れ的にちょっと変だけど、大した問題でもない。

    

私の興味は、宗佑のラストの扱いと、タケルのトラウマの描き方だけだ。美知留

は可愛いアクセントってだけでOK。エリーは第6話でチョコッと活躍したし、オグ

リン(山崎樹範)も最初だけ可愛かったからもういいや。やっぱり、スピンオフ『エ

リー my Love』のための要員だったってことね♪

ではまた。。☆彡

    

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.エリーが最初に読んで、燃やす時にも映ってた、宗佑の手紙の全文

    次の通り(改行も元のまま)。最初の封筒に書かれてた「S」っていうイニ

    シャルは、ひょっとすると「サディスト」の頭文字でもあったかも知れない。

     

      美知留へ

       美知留に会えなくなって何日経つんだろう。

      電話も繋がらない今だからこそ電話で美知留の

      声が聞けた頃を思い出す。

      一緒に暮らし始める前、会えない日は必ず電話で

      話したよね。

      一日美知留の声が聞けないと、気が狂いそうなくらい

      寂しくなった。今はもう、数え切れないくらい美知留の

      声が聞けてない。

      わかるよね。今の僕の淋しさ。

      淋しいよ。美知留。

      淋しくて仕方がないんだ。

      美知留、愛しているよ。何度でも言う。愛してる。

                                宗佑

              

P.S.2 久々に見たスピンオフ『エリー』。無料だからいいけど、もし105円払っ

      てたら卓袱台投げてたかも♪ エリとオグリンが、バスルームで、温泉

      旅行に行く前の予行演習をするんだけど、長澤まさみならともかく、オ

      グリンの入浴シーンなんて全く萌えないし、有料の映像作品って言うよ

      りお風呂遊びって感じだった。

    

P.S.3 瑠可が、アクセスしたままパソコンにうっかり残してたサイト(orページ)

      は、アメリカの病院が日本向けに作ったものだろう。英文の説明に和

      訳が付けられてた。日本語が固かったから、翻訳ソフトの機械的変換

      を少しイメージしてるのかも。ちなみにトップのタイトルは次の通り。

    Sex Changes,Sex Change Surgery,Sex Change Procedure,Costs&Pricing

     性転換外科手術(性別再判定手術)、美容整形、審美形成手術を米国で

    

P.S.4 前記『性同一性障害』(2000年発行)の31ページにはこう書かれてる。

      「一九五〇年代のアメリカで、最初に性転換者の人格を尊重し、人権

      を擁護した専門家として知られているハリー・ベンジャミン博士の名を

      冠した『ハリー・ベンジャミン国際ジェンダー・ディスフォリア学会』では、

      『性別違和感症候群』という表現で、この症例をあらわしている」。

      ここで、「ジェンダー・ディスフォリア・シンドローム=性別違和症候群」

      の話は一応あったんだけど、実はこの学会も名前が変わって、今では

      「ジェンダー・ディスフォリア=性別違和」という言葉も消えてしまってる。

      ちなみに現在の学会名では、「トランスジェンダー」という言葉が使わ

      れてるが、これは広い意味を持ってる医学的でない言葉だ。

        

P.S.5 annojo 氏の次の記事は非常に専門的で参考になる☆

      〔考察〕 性別違和症候群って何?  (Anno Job Log)

     

cf.『ラスト・フレンズ』第1話、軽~い感想♪

   『ラスト・フレンズ』第2話、軽~い感想♪

   被害者としてのDV男・宗佑~『ラスト・フレンズ』第3話

   宗佑に再び負けた瑠可~『ラスト・フレンズ』第4話

   ボーダーライン・カップルの崩壊~『ラスト・フレンズ』第5話

   人間は白か黒だけじゃない~『ラスト・フレンズ』第6話

   タケルのアイスピック~『ラスト・フレンズ』第7話

   ルーク vs 宗佑、最終章へ~『ラスト・フレンズ』第9話

   宗佑の死、ドラマの終焉~『ラスト・フレンズ』第10話

   共生を選んだビーチボーイズ~『ラスト・フレンズ』最終回

   白い家への憧れ、永遠に~『ラスト・フレンズ』SP アンコール特別編

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ラスト・フレンズ』最終回、宗佑(錦戸亮)の遺書全文

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害に関する情報

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害・2 

   春ドラマ2008、期待のレビュー候補3本☆

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ボーダーライン・カップルの崩壊~『ラスト・フレンズ』第5話

 美知留、まだその携帯使ってんの?

 うん

 捨てなよ その携帯 それが鳴るたんびに こっちもビクッとする

 美知留があいつに付け狙われてるような気持ちになる

 ・・・わかった 捨てるね

 待って! いいよ 捨てなくていい

 もうこんなのヤダ これじゃまるで あなたの彼のやってる事と変わんないよね

 瑠可・・・

 ちょっと走ってくる

    

        ☆          ☆          ☆

ウチでは第3話、第4話と、独自の主張を打ち出して来た。岸本瑠可(上野樹里)

は切なくて、及川宗佑(錦戸亮)は悪い暴力男、藍田美知留(長澤まさみ)は早く

彼から逃げるべきだ。。こうした「フツーの」見方が余りにもネット上に溢れかえっ

てるので、多少バランスを取るためにも、また知的挑発の意味でも、あえて全く

逆の見方をきっちり示したのだ。あらためて、要約してみよう。

      

    宗佑の暴力その他は、確かにやり過ぎで問題だ。でも瑠可だって、

    宗佑から美知留を横取りしようとして負け続けてる性悪の「男」でも

    ある。また宗佑は、そこそこマトモでかなり我慢してる被害者でもあ

    る。さらに、人はみな何らかの種類の暴力と共に生きてるのであっ

    て、宗佑が身体的暴力を多少ふるったからと言って、宗佑だけが

    悪者でもないし、美知留が別れたり逃げたりする理由にも必ずしも

    なってない。。  

   

こうした過去2週間の主張は、既に数千人の訪問者を集めてるし、きっちり読ん

だ人に限っても数百人に達してるだろう。でも、全体から見ればまだゼロに近い

影響力にすぎないのだ。視聴率約16%ってことは、日本の人口が約1億3000

万だから、単純計算で視聴者は2000万人。少なく見積もっても数百万人はい

ることになる。放送とか世論のこうした規模と比べると、マニアックブログは数千

分の一以下。ちょうど、性同一性障害(推定で約1万分の1)と同じくらいの超~

少数派なのだ。 

   

実際、公式サイトの長澤まさみのインタビューを見ても、ごくフツーの考えで、周

囲のスタッフにも同様の考えが多いことが感じ取れる。また、昨日全く偶然見か

けた錦戸ファンのブログにも、あの第4話の後でさえ圧倒的に肩身の狭い思い

をしてることが書かれてて、思わず苦笑してしまった。瑠可が無理やり、美知留

を宗佑から引き離して、シェアハウスに閉じ込める「暴力」をふるったことさえ、

ほとんど理解されてないのだろう。失敗した瑠可自身が罪悪感で落ち込んでる

様子をモノローグしてたというのに。。

      

おそらく、今回エリ(水川あさみ)が美知留に鍵を渡したことに含まれてる暴力

性、つまり束縛の意味も、あんまし伝わってないんだろうね。美知留が持った

映像が、直後のタイトルバックの赤いテープとぴったり重ねられてたことの意

味が、どれほど伝わっただろうか。シェアハウスの鍵を渡すこと、鍵マーク入り

のマグカップをプレゼントすること、これらは友情の証であると共に、善意の束

縛の象徴でもある。やがて第1話冒頭の、「あの恐ろしい出来事」「あの死」

つながって、赤い血の流れを生み出してしまうかもしれないのだ。

         

という訳で、既にある程度同意してくださってる方、自分で見えてる方には申し

訳ないけど、今回もまた同様の主張を打ち出そう。記事の具体的内容はまった

く違ってるので、悪しからずご了承を。。

    

まず、この記事冒頭に引用した、美知留&瑠可のやり取りを見てみよう。まる

で、脚本家の浅野妙子の苦笑が目に見えるような台詞だ。大衆娯楽の代表の

テレビドラマだから仕方なく書いてることで、これが映画なら、あるいは少なくと

も文学なら、明らかに説明過剰なのだ。「そこまで言わなくても分かるわ!」と突っ

込みたくなるほどあからさまに、瑠可のネガティブな側面が語られてる。

    

今回の携帯捨てろ事件に限らず、瑠可がやって来たことを客観的に見れば、あ

んまし「彼のやってる事と変わんない」し、瑠可自身もそれに気付いて自分に苛

立ってるのだ。だからシェアハウスを飛び出して、自転車のダンシング(立ちこぎ)

で夜の坂道をガンガン登ることになってたのだ。

          

でも、これだけ明白な描写でも、まだ世間の状況はほとんど変わらないだろう。

そこには色んな理由や事情がある。上野がドラマ視聴者の多くと同じく女性で、

しかもキレイに映されてること。それに対して、男性の錦戸はホラー的に映され

ることが多くて、ハサミを持ち出したりスタンドを壊したり、過激なことを何度かやっ

てしまってること。DV(ドメスティック・バイオレンス)は、女性が擁護されるべき

被害者で、男性が罰せられるべき加害者だという見方が、ここ10年間、女性

(特にフェミニスト)の側から流布され続けてること。発言力のある女性には、身

体的暴力に対する抵抗感が強いこと。社会的な同調圧力の強さ、等々。。

      

そこで、ウチでは第3話で、瑠可をルークという名前の男だと考えれば違って見

えて来る、という簡単なアイデアを提示した。これはそこそこインパクトがあった

ようで、「瑠可 ルーク」なんて検索がたまに入るたびに、ニヤッと笑ってる♪ 面

白いことに今回、瑠可はアメリカの大会に出たいなんて事も言ってたけど、向こ

うに行けば「ruka」の発音は「ルーク」に近くなるだろう。第1話の冒頭、妊娠した

美知留が田舎に引っ込んでる時点で、瑠可は「そっち」=アメリカに行ってるなん

て可能性も出てきたってことだ。最終回でアメリカ人が「ルーク」と呼びかけるシー

ンが映ったりしたら、私はまたニンマリと満足するだろう♪

        

ルークに続いて、今回もまた、別の簡単な指摘をしてみよう。それは、現実社会

にはBGMも効果音もないってことだ。テレビや映画というフィクション=虚構では、

たとえドキュメンタリーやニュースであっても、BGMや効果音で視聴者の判断を

誘導することが多い。ラスフレだと、瑠可には明るい音や切ない音、宗佑には暗

い音や不気味な音が割り当てられてしまう。ドラマで起きてる事を現実的に考え

るためには、こうした虚構の音を(頭で)消したり、逆の音を(頭で)流したりする

のも効果的だろう。

    

例えば、瑠可が携帯を捨てろと言ったシーン。タケル(瑛太)とエリはとまどった

表情で沈黙。美知留が「捨てるね」と言うまでは静かなままで、その後ちょっと不

穏な音が流れるだけだ。あそこで、最初からハッキリとネガティブなBGMが流れ

てればどうだろう。瑠可のイメージは変わるはずだ。まして、タケルやエリが「そ

れはやり過ぎだろ」とたしなめてれば、瑠可の印象はさらに宗佑に近づいたは

ずなのだ。

      

エリがタケルに、セクハラ的なDV(家庭内暴力)をふるった際も、その暴力のネ

ガティブさを消すかのように、温かい音楽でフォローされている。エリがやった強

引なキスは、宗佑がベッドで美知留を押し倒したのと同種の行為なのに、音が

視聴者を明るくさせてるのだ。宗佑の時には犯罪的音楽が流れてるのとは全く

対照的。もちろん、初回の瑠可のキスなんてのも同じこと。ずっと静かで、キスと

同時に宇多田ヒカルの主題歌『Prisoner Of Love』が切なく流れるだけ。やって

るのが女性だし、美しく映されてることもあって、DVなんて印象はかけらもない。

      

あるいは、美知留が瑠可に、何で好きな人に思いを伝えないのかと迫った瞬間

なんてのも、ほとんど暴力的に瑠可を傷つける無邪気さだ。伝えられなくて長年

苦しんでるのに、伝えろと強いられてしまった瑠可は、かなり感情的な言葉と表

情で応答してた。それでもBGMは、主題歌が切なく流れるだけ。もどかしいほ

ど無邪気な女の子の可愛いイメージが保たれてしまう。DVとは、近親の「異性」

間での意図的でない言葉の暴力も含まれてるはずだけど、あの美知留の言葉

に、広義のDV的側面を見てとった人がどれだけいただろうか。なんなら、岸本

家でチクチクと瑠可を突き刺してた、もっと女らしくって感じの母(朝加真由美)

の言葉も加えてもいい。

     

非常に重度のDVのほとんどが、男性から女性への肉体的暴力だと言うのなら、

それはそうなのかも知れない。ただ、DV論者たちも、あまり話を絞り込みたくは

ないはずだ。そこで話を広げると、今度は曖昧で複雑になってしまう。とにかく、

歴史の非常に浅いDVという概念は、今言われてるほど単純なものではなく、か

なり厄介なのだ。男性のDVだけを声高に悪者扱いする人達に、そうした複雑

な問題への意識がどれだけあるのだろうか。そもそも、2005年に内閣府が実

施した「男女間における暴力に関する調査」を見ると、男性でも女性の半分くら

い、10人に1人以上の身体的暴力経験者がいて、沈黙したままじっと我慢して

るというのに。ま、男の私が言っても、耳に入らないんだろうけどさ。。

      

        ☆          ☆          ☆

ここで、精神医学的な観点から状況をとらえ直してみよう。DVというのは、現在

の国際標準となってるマニュアル・DSM-Ⅳ-TR(Diagnostic and Statistical

Manual of mental disorders,4th edition,Text Revision)= 精神疾患の診断・

統計マニュアル・第4版・テキスト改訂版,原書2000年)を見ても、独立した精神

障害とは認められていない。様々な疾患から生じる具体的症状の一つとして扱

われてる感じだ。

       

ただ、ドラマや現在日本の状況を見てると、宗佑はいわゆる「ボーダーライン」

ではないかという気がしてる。これは、歴史を遡ると、元々は重い精神病と軽い

神経症の境界(ボーダーライン)の障害を言う言葉であった。けれども、複雑な

経緯を経て、今では文字通りの「境界」という意味は希薄化。マニュアルの「境界

性パーソナリティー障害」(2003年までの訳語は境界性人格障害)を表すこと

が多い、曖昧な言葉として使われるようになってる。

    

このボーダーラインの診断基準をマニュアルで調べてみると、かなりよく宗佑に

当てはまるのだ。「見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力」、

「自己を傷つける可能性のある衝動」的な「性行為」、「自殺の・・・脅し、または

自傷行為」、「感情不安定性」、「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困

難」。ボーダーラインは、女性が4分の3を占めると言われてる疾患だけど、残

り4分の1は男性だから、宗佑がそうであっても不思議はない。DVは、境界性

パーソナリティー障害の一つの症状、現れってことだ。

      

このボーダーラインについて、約670ページにもわたる詳細な『精神医学ハンド

ブック』(創元社,1998)を見ると、日本を代表する精神分析家・小此木啓吾が興

味深い項目を執筆していた。「ボーダーライン・カップル」。どちらか一方がボー

ダーラインのカップルの事で、もう一方が自己愛パーソナリティー障害の場合に

は、一定の安定した関係性が継続されることがあるらしい。つまり、自己愛人間

はボーダーラインを支えることで、自己をより良く愛せる。また、カップルが一体

化することで、強い自己愛が相手への愛にもなりうるわけだ。ただし、その安定

状態へ第三者の妨害があると、一気に関係が崩壊してしまうこともあるとの事。

           

どうだろう。余りにもピッタリ当てはまると思わないだろうか。ボーダーラインの

宗佑と自己愛人間の美知留がそれなりに上手くやってるところへ、瑠可の妨害

が入ったために一気に崩壊してしまった。こう考えると、ドラマともウチの主張と

も合ってるし、「被害者」宗佑の今回の怒りもそれなりに理解できるだろう。

「何でこんなになっちゃったんだ。こんなにした奴が憎いよ。ただじゃおかない」。。

      

        ☆          ☆          ☆

こうして、それなりの安定を壊されてしまったボーダーライン・宗佑の怒りは、性

同一性障害・瑠可へと向けられる。来週は、瑠可の障害を書いたビラがまかれ

てしまうようだ。まさか、閑静な住宅街に目立たない形で小ギレイに開業してた、

「メンタルクリニック・おくでら」の精神科医がまいたわけじゃないでしょ♪ 宗佑

がバラまいたんなら、結局はナイフでの自殺は未遂に終わったってこと。まあ、

まだ連ドラの中盤だしね♪

   
   
さて、もう時間だから、唐突に終わりにしよう。その前にふと、全然違うことが頭

に浮かんできた。キレイな家で美味しいものを食べる幸せそうな姿とか、暗い部

屋でおかゆの茶碗を投げつけて割る不幸せな姿。そうしたドラマの映像を創っ

たり楽しんだりする先進国の陰には、急激な食料難に直面している途上国の現

実がある。ここ数年の、商品価格高騰という名の世界規模の暴力、あるいは苦

悩の凄まじさに比べると、ラスフレの内容や見てる我々が牧歌的に感じられてし

まうのは気のせいではないだろう。

    

少なくともモトクロスが、貴重で高価な燃料その他を浪費して、自然と人間を破

壊する暴力的スポーツだということを、忘れないでいようと思う。だからいけない

と断定してるのではない。我々は、ネガティブなものと共に折り合いをつけなが

ら何とか苦労して生きてるのだ。その大変さを自覚しようってだけのこと。次の

美知留の簡単な言葉は、シニカルに響いてた。

「人生って、簡単じゃないよね」。。ではまた。。☆彡

           

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.瑠可が一気にカウンセリングまで行くとは、思ったよりも早い展開だな。

    その影響で、今回の瑠可の台詞は、赤色じゃなくて青色で表してみた。

    バイクの活躍の「後にやりたい事もある」っていうのは、もちろん性同一

    性障害の身体的治療のことだろう。ホルモン投与、乳房切除、そして、最

    終的には性別適合手術。私は、カウンセリング止まりを主張してたけど、

    ちょっと苦しくなったかも。ま、そろそろ障害がバレて、岸本一家(父・平田

    満、母、弟・長島弘宜)の動揺が生じるはずだから、何とか大丈夫かな。。 

    

P.S.2 DVという新しい言葉や考えを、世間(特に女性)に広めるために、意

      図的に話を単純化したってことなら、ある程度は理解できる。でも、も

      うそろそろ、次の段階に移るべきだし、意図的単純化ではなくて本気

      の可能性も少なくないような気がしている。

       

P.S.3 遅まきながら、スピンオフ(派生作品,外伝)の『エリー my Love』

      の無料視聴を試してみた。今回は、オグリン=小倉友彦(山崎樹範)

      が離婚届を奥さんに突きつける前に、エリーと予行演習するシーン。

      約2分間、結構楽しめたな。やっぱエリはスピンオフ要員だったのか。

      奥さんの仮面を顔にかぶってたから可愛かった、なんて書くと、水川

      ファンに叱られちゃうかも♪

       

P.S.4 公式サイトで水川が、スピンオフの題名は桑田圭祐の『いとしのエリー』

      の歌詞じゃなくて、米国の人気ドラマ『アリー my Love』から取ったと

      か言ってるけど、これは底が浅い。アリーは、エリーより遥か後の作品

      で、原題は『Allie McBeal』。これに、98年からのNHKの放送が『アリー

      my Love』と邦題をつけた訳で、桑田の影響は明らかだろう。実際、

      ドラマでもエリは「エリー my Love」と『いとしのエリー』を歌ってた。

        

P.S.5 好きな女性のために強い「男」になりたいっていう瑠可の気持ちは、

      男としてよ~く分かる。私も、特に10代の頃は、好きな女の子にふさ

      わしい男になろうと考えて頑張ったりしたもんだ。恥ずかしい~♪☆彡

     

P.S.6 エンドロールに「はりまメンタルクリニック」と書いてあった。ここの

      長の針間克己氏は、前回の記事で引用した『性同一性障害30人の

      カミングアウト』の監修者。日本性科学会幹事長でもあるようで、性同

      一性障害のエキスパートのようだ。  

       

P.S.7 コメント&TBを下さったannojo さんのブログのラスフレ記事に、上

      野樹里が「杉山文野」に似てるとかいう話が書いてあったので、早速

      調べてみた。性同一性障害のFTM(本人はこうゆう表現を好んでな

      いかも知れない)で、カミングアウトして『ダブルハッピネス』(講談社)

      という本も出版してる人だ。写真を見ると、確かに瑠可に雰囲気が似

      てる。スポーツ好きな所も含めて、瑠可のモデルは杉山文野の可能

      性が高いと思う。ま、検索すると公式発表は全く出ないし、個人サイト

      とかの記事も僅かしかヒットしないけどね。。

              

cf.『ラスト・フレンズ』第1話、軽~い感想♪

   『ラスト・フレンズ』第2話、軽~い感想♪

   被害者としてのDV男・宗佑~『ラスト・フレンズ』第3話

   宗佑に再び負けた瑠可~『ラスト・フレンズ』第4話

   人間は白か黒だけじゃない~『ラスト・フレンズ』第6話

   タケルのアイスピック~『ラスト・フレンズ』第7話

   瑠可(上野樹里)の性別違和症候群~『ラスト・フレンズ』第8話

   ルーク vs 宗佑、最終章へ~『ラスト・フレンズ』第9話

   宗佑の死、ドラマの終焉~『ラスト・フレンズ』第10話

   共生を選んだビーチボーイズ~『ラスト・フレンズ』最終回

   白い家への憧れ、永遠に~『ラスト・フレンズ』SP アンコール特別編

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ラスト・フレンズ』最終回、宗佑(錦戸亮)の遺書全文

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害に関する情報

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害・2 

   春ドラマ2008、期待のレビュー候補3本☆

    

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

手作業TB: ラスト・フレンズ 第5話 「衝撃の一夜」  (テレビお気楽日記)

        世界の中心は自分(中山優馬)VS自分に愛を叫ぶ(上野樹里)

                               (キッドのブログ in ココログ)

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宗佑に再び負けた瑠可~『ラスト・フレンズ』第4話

 美知留 人は人を傷つけて 無傷ではいられない

 あなたと宗佑を引き裂こうとして

 傷ついたのは 自分だった・・・

     

         ☆          ☆          ☆

今週は身体もPCも絶不調だし、連休で色々と予定が詰まってるから、ホントに

「軽~い感想♪」で済ませよう。「軽~いつぶやき♪」に近い記事ね。そもそもラ

スフレで4回連続記事を書く気なんて無かったけど、ドラマの人気がかなり高い

し、Yahoo!その他を通じて過去最高のアクセスが続いてるから、一応もうちょっ

と書き続けとこうかって感じだ。ま、10日後に迫った『CHANGE』が大コケすれ

ば、このままでもいいんだけど、月9のキムタク=木村拓哉はやっぱ鉄壁でしょ。。

        

さて、ウチでは先週、「被害者としてのDV男・宗佑」と題して、独自の挑発的な

記事をアップした。「宗佑、怖い・・・美知留、逃げろ・・・瑠可、可哀相&頑張って

・・・」って感じの感想が目立つように感じたから、知的挑発として意図的に全く

逆の側面を浮き彫りにしたのだ。──確かに、宗佑(錦戸亮)のDV(ドメスティッ

ク・バイオレンス=広義の家庭内暴力)その他ははやり過ぎで犯罪レベルだけ

ど、世の中は暴力と共に成立してるんであって、DVだけが悪いわけじゃない。

「元カレ」的存在の瑠可と「浮気」してるのに罪悪感がない美知留(長澤まさみ)

も問題だし、瑠可(上野樹里)には横取りの罪悪感があるはずだ──

       

この観点から見ると、第4話はまたしても顔がニヤける回だった♪ と言うのも、

ウチ独自の解釈をキレイに裏づけしてくれた回だったから。ただ、逆に言うと、だ

からこそ個人的には1回休みの回でもあった。つまり、ほとんど何も新たな発見

がなかったのだ。

     

言い換えると、今回ハッキリしたのは、宗佑がホラー映画のゾンビでも極悪人

でもなくて、それなりにマトモで哀れな青年にすぎないってこと。美知留はそれ

がよく分かってるし、自分と似てるとも思ってるから、みんなが宗佑を悪く言うと

怒るし、雨音を聴きながら宗佑のことを思い出すし、翌朝ゴミ収集所のそばで

ズブ濡れの宗祐を見ると抱きつくわけだ。

    

もちろん、瑠可もそれは分かってる。宗佑が極悪人に見えるのは、彼が暴力を

ふるうからだけじゃなくて、自分が美知留を横取りしたいからだ。自分も美知留

&宗佑を「暴力」的に引き裂こうとしてるのが分かってて、罪悪感を感じてるか

らこそ、つい美知留をゴミ捨てで外に出させてしまう。もし、あの朝、美知留をゴ

ミ捨てに行かせなかったら、今度は自分が美知留を「暴力」的に監禁する「男」

になってしまうことが薄々分かってたのだ。瑠可から美知留への携帯を宗佑が

嫌うのと、宗佑から美知留への携帯を瑠可が嫌うのとは、全く同じとまでは言え

なくても、キレイな対称性を描いてる。

                       

家に鍵をかけて守ることと、鍵をかけて監禁すること。この2つは、それほどか

け離れた行為ではない。鍵のマークのマグカップで美知留をシェアハウスに囲

い込むことと、ロープの模様のコーヒーカップで宗佑のマンションに囲い込むこ

。この2つも、意外に類似した行為なのだ。束縛という意味で。。

     

私は今まであちこちで、宗佑の映し方がホラーみたいだとか上手くないとか書

いて来た。この意味は、今回の宗佑の映像を見ればよく分かるだろう。ホラー

どころか、哀れな負け犬、ゴミと一捨緒にてられた子供のようだった。瑠可たち

に殴りかかるわけでもなければ、シェアハウスの窓を割って侵入するわけでも

なく、スゴスゴと引き下がるだけ。まるで両親に捨てられた小学生時代に帰った

ような、孤独で弱弱しい姿。これが本来の彼であって、ようやく他の5人並みに

人間らしく扱ってもらったって感じがした。

      

ともかく、宗佑の周辺を丁寧に描いた回として価値はあるけど、ゴールデンウィー

クらしい「お休み」の回でもあったってこと。前回も今回も、瑠可が男の宗佑に負

た話なのだ。前回、美知留が「宗佑に会うまで愛されたことがなかった」とか言っ

て、瑠可が落ち込んだのを思い出そう。「瑠可の失恋」前編・後編と呼んでもいい。

              

ま、あえて新しい情報を探すのなら、前回話題沸騰だった「所沢市の白幡優子

(伊藤裕子)がタケルの実の姉かも知れないって事は分かったけどね。あとは、

グリン=小倉友彦(山崎樹範)奥さん(川村早織梨?)がちょっとガラの悪い

イケメン(吉田友一?)と浮気してるってことくらいかな。

             

ちなみに、今回オグリンは、瑠可と鮮明なコントラストをなしてたわけ。瑠可は、

嫉妬相手の仲を引き裂こうとして自分が傷ついた。それに対して、おぐりんは、

引き裂かずに悶々としてる。つまり、自分が傷つくのを避けている。いずれにせ

よ、恋愛はなかなか辛いものなのだ。相手を独占したいけど、完全には無理。

相手の愛を確保したいけど、これも不安が残る。そうした苦痛を和らげるため

の社会制度としてあるのが結婚。でも、これまた十分な働きはしてくれない。。

         

2年半前からの読者の方、覚えてる? これって『野ブタ。をプロデュース』第7話

で書いた内容の反復ね♪ 修二(亀梨和也)に嫉妬した彰(山P=山下智久)が

テープを捨てて信子(堀北真希)にグーで殴られて、校内放送で『お嫁においで』

を歌った切ないシーン。あの彰が、今回ラストの瑠可に重なってるわけよ。美知

留と宗佑が抱き合うシーンは、瑠可にとって、グーで殴られるより痛かったはず。

おまけに、今のままの瑠可じゃ、美知留に「お嫁においで」とも言えない。。

       

話を戻すと、宗佑関連と白幡優子とオグリンの他は、美知留のお母さん・千夏

(倍賞美津子)が相変わらず男とだらしない生活してるのなんて何の驚きもないし、

宗佑の手助けをしてたのも全く枝葉の問題。先輩美容師の平塚令奈(西原亜希)

は相変わらずムカつく女で、宗佑から受け取った連絡先をゴミ箱に捨ててたけど、

むしろ今回は嫌味が足りなかった。もっと頑張って嫌われなきゃ♪ エリ=滝川

エリ(水川あさみ)は、本気で気の毒になってきた。スッチーコスプレ要員だったの

かスピンオフ要員だったのか、のだめトリオ要員なのか。そりゃ、言い過ぎかも♪

           

        ☆          ☆          ☆

ってことで、また来週。と書きたい所をグッと我慢して、今回のドラマと直接的に

は関係ない話を書き足しとこう。岸本瑠可の性同一性障害(GID:Gender Identity   

Disorder)がかなり注目を浴びてるようだし、この関連でのアクセスがウチに大量

に入ってるから、本を1冊買ってみた。『性同一性障害 30人のカミングアウト』

080502 (双葉社)。副題は「I recognize myself

  as what I am!」(私は自分自身をある

 がままに認める)。監修が針間克己

 (精神科医)、編著が相馬佐江子(ライ

 ター)。ウィキの参照文献に入ってた。

         

 まず、大きな書店に行って感じたこと

 は、やっぱりかなりマイナー(少数

派)なんだなってこと。うつ病や統合失調症なら本が溢れてるのに、性同一性障

害に関する本は僅かしかない。その中でこの本を選んだのは、30人の当事者

が自分の言葉で具体的に語ってるのが貴重だからだ。ま、正直言うと、カバー

の色が大好きなパステルグリーンに近い色だったってのもあるんだけどさ♪

    

で、この本を読んで分かったのが、日本の病院での具体的な流れだ。つまり、

女から男を目指す「FTM」(Female To Male)である瑠可が、宗佑に対抗するた

めに病院へ行ったら、どうなるのかってこと。日本精神神経学会が発表した、

「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」(第2版,2002年)に従っ

てまとめられた図式を読むと、

    第一段階カウンセリング→診断→ジェンダークリニック委員会)

    第二段階ホルモン治療乳房切除術→委員会)

    第三段階性別適合手術=SRS:Sex Reassignment Sergery)

となってる。

         

乳房切除がホルモンと並ぶ普通の治療だって話は、初耳だった。薬の作用で

乳房萎縮があるって話を知ってたから、ホルモン治療で乳房も縮むんだろうと

思ってたら、そうでもないらしい(男が胸を大きくするのは可能)。あと、この一連

の流れのどこで止めるかは人それぞれだし、時間もお金もかなりかかるようだ

(ホルモンや手術は保険不適用)。大雑把に見て、数年がかりで、数十万~数

百万円って感じだろう。

    

最後まで行くと、身体のあちこちに大きなが残るし、それなりのリスク(合併症

で死亡とか)もあるとのこと。特に、ガイドラインに沿わない「闇」の治療とか、外

国だと、注意が必要らしい。去年かな、フジテレビのノンフィクションで見た時は、

MTF(男から女)の患者が手術後に痛みで顔を歪めてたのが印象的だった。テ

レビ向けに嬉しそうに装う余裕さえなかったようだ。。

           

念のために、ネットでガイドライン第3版(2006年)も見た。大きな違いは、

委員会(上でジェンダークリニック委員会と書かれてるものだろう)の承認が

撤廃されてることだ。2004年施行の通称「特例法」(性同一性障害者の性別の

取り扱いの特例に関する法律)を支えにして、多少のスピードアップを目指すと

いうことらしい。まあ、実際には診断だけで相当な時間がかかると思う。2人の

精神科医の一致が必要だし、他の病気ではないことの確認も簡単ではない。

         

人数に関しては、あちこちに書かれた大まかな数字から個人的に推測すると、

ほぼ1万人に1人。日本なら1万人前後って感じだ。諸々のデータに潜在患者

を加えて、少し多めに見積もってある。この人数をどう見るかについては、別の

機会に譲りたい。あと、第3版では、上の「第2段階」と「第3段階」は一まとめに

されてた。要するに全体としては、精神医学的治療から身体的治療へと向かう

流れってことだ。。

                        

         ☆             ☆            ☆

さぁ、これでもう時間だ。ここまでのドラマから考えると、瑠可は一度は病院に行

こうとするのが自然だ。ただし、少なくともドラマの中では、身体的治療はないと

思ってる。総合的に考えて、カウンセリングまでに留めるのがベストだろう。ま、

脚本家の浅野妙子と中心的スタッフ(と当事者)で、じっくり考えてね。

    

上の本によると、2001年から02年にかけて放映された『3年B組金八先生』

第6シリーズで、上戸彩が性同一性障害者(FTM)の鶴本直を演じたのは、か

大きな出来事だったらしい。『ラスト・フレンズ』も、日本の精神医学史に残る作

品になって欲しいもの。上野樹里だけじゃなく、DVの錦戸亮にも期待しよう。

   

来週は、瑠可じゃなくてタケル(瑛太)がエリにキスされて口をゆすぐのね。宗佑

の自殺は早すぎるからフェイントでしょ。バランス的に、もうちょっと待たないと。

ではまた。。☆彡    

       

         ☆          ☆          ☆

P.S. 『金八』の公式サイトを見ると、上戸が演じてた直は、異常に長いスカート

     の制服で登校して、すぐジャージに着替えて、男みたいな口調で、男とぶ

     つかり合ってたらしい。瑠可を見てもカミングアウト集を読んでも、大筋

     では似たような感じ。要するに、外見や行動にすぐ現れやすいようだ。。

       

P.S.2 林田(田中哲司)は今回のキス事件を機に、いい人になるのかもね♪

   

P.S.3 ラストの美知留&宗佑の映像編集がイマイチだった。残念。。

    

P.S.4 あの強烈なタイトルバック映像を僅かにして、ラストで普通の映像と

      共に主題歌とエンドロールを流したのは正解だ☆彡

    

cf.『ラスト・フレンズ』第1話、軽~い感想♪

   『ラスト・フレンズ』第2話、軽~い感想♪

   被害者としてのDV男・宗佑~『ラスト・フレンズ』第3話

   ボーダーライン・カップルの崩壊~『ラスト・フレンズ』第5話

   人間は白か黒だけじゃない~『ラスト・フレンズ』第6話

   タケルのアイスピック~『ラスト・フレンズ』第7話

   瑠可(上野樹里)の性別違和症候群~『ラスト・フレンズ』第8話

   ルーク vs 宗佑、最終章へ~『ラスト・フレンズ』第9話

   宗佑の死、ドラマの終焉~『ラスト・フレンズ』第10話

     共生を選んだビーチボーイズ~『ラスト・フレンズ』最終回

   白い家への憧れ、永遠に~『ラスト・フレンズ』SP アンコール特別編

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ラスト・フレンズ』最終回、宗佑(錦戸亮)の遺書全文

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害に関する情報

   『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の同性愛と性同一性障害・2 

   春ドラマ2008、期待のレビュー候補3本☆

     

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

手作業TBラスト・フレンズ 第4話 引き裂かれた絆  (テレビお気楽日記)

         『ラスト・フレンズ』 第4話  (美容師は見た)

       ラスト・フレンズ 第4話  (エリのささやき)

       自分という孤独(中山優馬)VSジェラシーというレース(上野樹里)

                             (キッドのブログ in ココログ)

    

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ハートの時空旅行としての愛~『Around40』第3話

 じゃあ 聡子が言ってた 変な心理士って 岡村さんのこと?

 そう

 ウソ 信じられない あんなに穏やかで優しい人なのに

 優しい?

 私の話 何でも受け止めてくれるし

 私のこと 小さな事でも、理解してくれようとするし

 瑞恵みたいな 心理士に対する愛情や信頼の気持ちって

 陽性転移って言って 治療の過程ではよくあることなのよ

 心理士から見れば一般的なことだから あんまり 瑞恵が

 心理士に対して好意を持ち過ぎると カウンセリングがしづらくなって

 心理士がチェンジしちゃうこともあるからね

 聡子

 ウン?

 私にヤキモチ焼いてる?♪

 ヤキモチ

 岡村さんが 私に良くしてくれるから 

 ハッ? どうして私がそんなことで焼き餅焼くのよ!

   

      ☆           ☆          ☆

美味しそうな焼き餅だったな! じゃなくてキレイな夕焼けだったな♪ あの屋上。

焼餅と夕焼けを重ねたんだけど、ちょっと苦しいスタートだったかも。。

               

ウチでは、ドラマ記事のオリジナルタイトルは、ちょっと前まで本格的レビューにし

か付けないようにしてた。でも、冬ドラマの『1ポンドの福音』では、「軽~い感想」

記事に付けちゃったし、今回も軽~い感想に近いレベルの記事にすぎない。ま、

読者がどう感じるか、よそと比べてどうかって話は別問題だけどね。

   

今期、少なくともキムタク=木村拓哉の『CHANGE』が5月12日に始まるまでは、

アラウンド40を少しマジメに、『ラスト・フレンズ』をもうちょっと軽めに書こうかな

と思ってた。ところが、ラスフレへのアクセスが極端に多いから、ラスフレの方を

重めにしてしまってるのが実情。いや、アラフォーもかなり読まれてるし、視聴率

もそんなに差はないんだけど、ラスフレの方がインパクトのある素材だし、激しい

展開を期待できるから、過去最高レベルの強烈なアクセス数につながってるん

だろうね。ま、Yahoo!のランク付けのおかげが大きいんだけどさ。Google は

いい加減、反省したまえ!

          

         ☆          ☆          ☆

さて、前置きが長いけど、今回は軽~い記事でさえ書きにくかったのだ。見てる

だけなら、橋部敦子の脚本は十分楽しめたけど、マニアック・ブロガーとして困っ

ちゃうわけよ。と言うのも、ウチはストーリーに沿って少しずつ感想を書き添えるっ

て書き方をできる限り避けてるから、何か中心軸とか面白いネタが必要なんだ

けど、それが今回はなかなか見当たらなかった。

      

3回連続、自転車の話をする気もしないし、「今週のこころに効く~名言集~」も

今週はなし。先週解説した、うつ病用「ベックテスト」みたいに、ズブズブはまる目

新しくてマニアックな素材もない。かと言って、緒方聡子(天海祐希)岡村恵太朗

(藤木直人)の面白いやり取りとか恋の進展なんて話は、この24時間でもうあち

こちに書かれちゃってるはず。「岡村、テーブル運ぶ時は下側を持てよ!」とか、

「ナックルじゃ女性視聴者に分かんないだろ、せめてフォークボールにしろよ!」

なんて突っ込みも、どっかで書いて・・・ないか♪ 「聡子、もっと萌えるパジャマに

しろ!」なんて突っ込みも、どこにでも書いて・・・ないか♪ 

    

大泉俊君(武井証)よかったね、なんて感想書くようじゃ、まるでブログみたいだ

しね♪(ブログだろ!) いや、可愛かったし、ちょっとウルッと来ちゃったけどさ。

酒ビンの音と声が出ないことの音声的つながりも、それ以上は話が膨らんで行

かない。可愛いナース2人の名前(ベンチの右が松本若菜,左が星野涼子)も

調べて、どっちもかなりの人気者だってことも分かってるけど、本文に書くほど

のデータでもないでしょ(って、書いてるだろ!)。

    

ナースより、むしろ占い師「自由が丘の母」(大島蓉子)の方が気に入ったかな♪

笑えたから、また出して欲しいね☆ 念のために書き添えると、あれは超有名な

「新宿の母」のパロディ。自由が丘は、新宿から約20分、渋谷から約10分、特

に女性に人気のオシャレな街だ。あぁ、こうやって小ネタを書き連ねるだけでも、

結構な字数になっちゃうな♪

     

「結婚も子供もキャリアも すべて手に入れること そして 女であり続けること」

なんて派手なプレゼンテーションやってた森村奈央(大塚寧々)に、ちょっと冷た

い視線を投げてた、出版社の上司(大場久美子)後輩(吉瀬美智子)。意地悪っ

ぽくも見えたけど、確かに「欲張り」だわ。多くの女性は、少なくとも一つは諦め

てるはずだ・・・とか書かれて、グサッとかムカッとしたそこのあなた♪ 何を諦め

たのか、諦めてないのか、よ~く胸に手を当てて考えてみてネ。言われなくても

毎日やってる? あっ、そう♪

   

ともかく、奈央は婦人科の検診で、子供を諦めそうになってるわけか。そこで

マーくん=大橋貞夫(筒井道隆)が「諦めるのは早い!」とか励ましながら、店の

照明を落とすってことね。残念ながら、その後は編集でカットされてたようだけど。

そこへ、前から怪しんでた新庄貴文(丸山智己)が乗り込んできて、マーくんの白

い服に赤い線が流れる・・・って、そりゃ『ラスト・フレンズ』のタイトルバックか♪

関係ないけど、鴨のポワレって美味しそうだったね。

     

        ☆            ☆            ☆

って感じで、ダラダラお遊び気分で書いてるだけで、結構な字数になっちゃったな。

ではこれで、今週はもう終了ってことで。えっ、ダメ? あっ、そう♪ 仕方ない。

マニアックなあなたのために、ちょっとだけウチらしい話を書いとこうか。

今回、マニア心をくすぐったのは、冒頭に引用した聡子&竹内瑞恵(松下由樹)

の会話。ドラマのラスト近くで、最後にもう一発笑わせてくれたって感じのやり取り

だった。「陽性転移」って専門用語、皆さん分かったかな? 深い意味で♪

     

事の発端は、東京都の「心の悩み相談室」で、瑞恵がイケメン臨床心理士の岡

村に優しくされたことだった。瑞恵って言うか、松下由樹のはしゃぎ方が笑えたな。

個人的には苦手なタレントだけど、やっぱ上手いね。相談室でズリズリとすり寄

る所とか、お掃除とか、鍛えられたベテラン女優って感じ。あれだけ変われば、

奈央だけじゃなくて、息子のパン食い小僧・洋介(木村遼希)まで気付くのも当然

のこと。気付かない聡子と夫の竹内彰夫(神保悟志)は要反省だ。

    

で、今回最後に、瑞恵がときめいてる心理士と、聡子が変だって言ってた心理士

が同一人物・岡村だってことが分かったんだけど、岡村をホメまくる瑞恵に対して、

聡子が水をぶっかけた。そこだけ再掲してみよう。

     

   心理士に対する愛情や信頼の気持ちって、陽性転移って言って、治療の過

   程ではよくあることなのよ。心理士から見れば一般的なことだから、あんまり、

   瑞恵が、心理士に対して好意を持ち過ぎると、カウンセリングがしづらくなっ

   て、心理士がチェンジしちゃうこともあるからね

    

これに対して、ヤキモチでしょと突っ込んだ瑞恵は、日常生活的にはお見事だ☆

エリート女性の説明の通俗的本質を突いた、鋭い一言だった。でも、瑞恵の自己

反省がスッポリ抜け落ちてるし、ドラマ批評とか学問的考察のレベルから考えて

も物足りない。

    

そもそも「陽性転移」とは何か。陽性、つまりポジティブな、プラス方向の転移の

ことだ。では、「転移」とは何か。一言でいうなら、感情の変化、つまり移し変え&

移り変わりのことだ。原語もイメージも違うけど、ガンの「転移」と似てなくもない。

結局、陽性転移とは、プラスの感情(愛情、信頼、尊敬、感謝など)を誰かに差し

向けること(またはその感情)。その逆の、ネガティブな場合が「陰性転移」だ。

精神医学・心理学・カウンセリングの世界では、ごく一般的な術語にすぎない。

「転移」だと普通の人に分かりにくいから、「感情転移」と言われることもある。

        

ここで、フ~ンと受け流したりせずに、「単に好き嫌いって言うのと何が違うの?」

と考えたあなたは、なかなか鋭い☆ わざわざ「転移」(英 transference)なんて

言葉を使うのは、特別な意味、あるいは考えがあるからだ。つまり、人間の感情

というものは、子供の時から一貫してるもので、それが色んな相手に移し変えら

れ、同時に移り変わるのだ、という考え。これが根本的発想なのだ。いつも同じ

タイプの相手を好きになるっていう経験的事実にも適合している。

     

転移という言葉を、現在のような意味で学問的に流行らせたのは、ウチでもおな

じみ、精神分析の創始者・フロイトだ。100年くらい前、彼は臨床経験の中で、患

者から強い感情(特に愛情、次に憎悪)をぶつけられることに驚き、興味を持った。

そこで、そうした自分への感情は、患者の病気と深く関わってる相手(特に両親)

への思いを移し変えたものだろうと考えたのだ。そうすると、この感情=転移へ

の対処も変わってくる。

    

それまでは、患者の強い感情は治療の邪魔だと思ってたけど、転移の中には

患者の病気と関わる強い思いが再現されてるんだから、むしろ積極的に利用す

べきだと考えるようになる。上手く利用して、治療が成功した後で、患者の気持

ちを自分から一般人へと移し変えればいい。大枠で言うと、

   両親 → (途中の誰か) → 治療者 → 一般人

という形で、患者の感情が移し変えられ、移り変わって行く。これが精神分析の

基本図式であって、100年の時間を経て、今や日常的になってるカウンセリング

の世界まで受け継がれてるのだ。

     

ただし、治療者たるもの、自分の側から患者に向かう気持ち(逆転移:counter

transference)の考察と制御にはくれぐれも注意する必要がある。いずれ、若い

女性患者が登場したら、問題になるだろう。いずれにせよ、転移とは患者だけ

のものではなく、治療者や一般人をも含みこむポテンシャルを持つ、大きな概念、

あるいは思想なのだ。

                       

こうした転移の観点に立つと、愛とは時間旅行でもあり、空間旅行でもある。だ

から、ハートの時空旅行なのだ。時間と場所が変わっても、旅するハートは一つ

のもの。瑞恵のハートだと、中心的な相手の変化は「両親 →(途中)→ 夫&

息子 → 岡村」。実際にはもっと複雑で網の目状の経路だけど、一直線に単

純化すればこうなる。

        

ここで、岡村がこの患者(or クライアント)のハートを本気で受け止めてしまうと、

職業倫理に反するし、不真面目な応答だと瑞恵が不満を持つ。つまり、心理士

とかカウンセラー、精神科医って職業は大変なわけで、場合によっては手に余る

患者も出てくるから、結果的に心理士のチェンジにつながることもある。これは本

当だから、瑞恵もあんまし夢中になってはマズイのだ。せいぜい、ちょっと遠出し

て、緒方達也(AKIRA;EXILE)緒方マキ(さくら)のオシャレな美容室で髪型を

アレンジしてもらうとか、口紅を変えるとか、鼻歌でニコニコお掃除するとかまで。

1対1の部屋でズリズリとすり寄るのは、危険信号、イエローカードだ。

     

恋愛を転移として、つまりハートの時空旅行としてとらえた時、今回のドラマの見

え方も変わって来るだろう。奈央のハートなら「両親 → マー君 →・・・→新庄」

て感じで、旅行してる。でも、旅行中に昔のお気に入りの「場所」に帰るのは、あ

りがちだし自然なこと。ルール違反でも何でもない。その場所を指し示してるのが、

まーくんのお店・グランポンの冷蔵庫に貼られたあの写真なのだ。まるで松下由

樹みたいな奈央が映ってる写真ね。そりゃ、失礼か♪

     

俊君のハートで言えば、父親はどうなってるのか知らないけど、「母親 → 岡村」

と旅行してきたことになる。これは、すぐ母親のもとに帰ることになりそうだ。もし

そうでなかったら、俊君と岡村が困るだけじゃなくて、母親も困るだろう。間違いな

く、今現在の母親のハートは俊君に向けられてるはずだから。たとえ、身体がア

ルコールに向けられてたとしてもね。

    

そして、最後は聡子。岡村と打ち解けて、一緒にマイ箸で出前を食べたタイミン

グを見計らうようにして、昔の恋人らしき金杉和哉(加藤雅也)が近づいてきた。

決してストーカーではないので念のため♪ 彼が、例の写真を写した相手、聡

子が結婚を考えた人ってことなんだろうね。聡子のハートは、「両親 →・・・→ 

金杉 → 岡村 → 金杉&岡村」って感じかな。来週は2人の相手に差し向け

られることになりそうだ。金杉の「結婚」なんて言葉も予告で出てたけど、食事の

度にマイ箸で岡村の顔を思い出すわけだから、そうは行かないでしょ。金杉は

脇役だしネ。

    

       ☆                ☆              ☆

こうして、転移という視点から人の気持ちをとらえ直せば、全ての人間が広い意

味でファザコン&マザコンなのも分かるだろう。つまり、誰だって多少は、父や母

への複雑な思い(コンプレックス)を引きずったまま今を生きてる。同じ一つのハー

トの時空旅行なのだ。冬の『あしたの、喜多善男』の平太(松田龍平)が見せて

たファザコンは、ごくフツーのものにすぎない。ま、ちょっと善男(小日向文世)と

仲が良過ぎて、そっち系の方々にまでウケたらしいけどネ♪

        

あ~、来週こそはもっとラクしよっと。1回休むかも。ではまた。。☆彡

    

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.治療者の「患者の転移を呼び込む能力」は、特別な技術と才能だ。聡子

    は、岡村のこの技能に感心すると共に嫉妬してたのだ。ま、小児科のカル

    テから住所を調べるのは、副院長(松尾貴史)が言ってた通り、単なる結

    果オーライ。患者との距離が近過ぎるし、個人情報の不正利用までする

    「非常識男」だったけど♪

           

P.S.2 サブタイトル「思い込み女 vs 非常識男」の映し方が、日テレ『ホタル

      ノヒカリ』に似てるね。あと、ラスト近くで、聡子が自分をかばってくれる

      のを立ち聞きした直後の岡村が、「カッカッ」と音をたててゆっくり歩く