闘いと穴埋め、自らの存在のために~『A LIFE~愛しき人~』最終回

素晴らしい☆ 橋部敦子の脚本らしい、マニアックで綺麗なエンディ

ングの形に拍手!

  

  「Let’s save her life」

  (レッツ セイブ ハア ライフ

   

彼女の命を救おうという英語の台詞の最後に、『ア ライフ』という

タイトルの発音をさりげなく持って来てたのだ。

   

「ハー」ではなく「ハア」と読むのは、単なるこじつけではない。不定

冠詞の「a」と、代名詞の所有格の「her」は、母音の発音がほぼ同

じで、「e」を上下ひっくり返した発音記号。

      

こういった言葉遊び的なハイレベルのテクニックをラストに持って来

た作品は、少なくともテレビドラマだと滅多に無いと思う。英語を使っ

た日本のドラマだと、ほとんど初めてかも。

   

ちなみに映像的・物語的なテクニックをラストで誇示したドラマなら、

『ビーチボーイズ』が筆頭。イメージとお話の両面において、連ドラ

の一番最初と一番最後を完璧に合わせたファンタジックなドラマは、

他に知らない。こちらも、脚本家が優秀な作品だった(岡田惠和)。

    

   

     ☆        ☆        ☆

話を『ア・ライフ』に戻そう。最初から感じ取れたことだけど、『A 

LIE~愛しき人~』というタイトルの隠された意味が最終話でハッ

キリした。分かりやすく書き直すと、「A LOVE~愛しき男~」♪

    

沖田(木村拓哉)の愛しき人とは、ドラマ的にはまず壮大(浅野忠

信)。年下の浮気相手が井川(松山ケンイチ)。壮大にとっては、

本命が沖田で、愛人が羽村(及川光博)♪ BL系女子も狂喜乱

舞の内容で、小説・マンガその他の二次創作もしやすいだろう。

      

深冬(竹内結子)や由紀(木村文乃)との男女の恋愛に注目してた

女性視聴者、キムタクファンには、曖昧な宙吊りのままでちょっと

物足りない結末だったかも知れないけど、わざと続編の可能性を

残してる気もする。連続ドラマでなくても、単発スペシャルや映画

とか。

    

実際、この後、沖田がまた日本に帰って来る方が自然だし、その

前にシアトルかどこかの海外で、井川(松山ケンイチ)が沖田の

前に現れる展開も十分予想できる。そう言えば、莉菜ちゃん(竹野

谷咲)が終盤、海の向こうには何があるの?とかママに聞いてた。

海の向こうには、ブロンド美女とのロマンスもあるはず♪

    

壇上病院の急激な経営改革の今後も気になるし、羽村と実梨(菜々

緒)の密会も思わせぶりなままの放置プレイになってる。父に会い

に行った実梨が、続編で羽村との略奪婚を報告するとか♪ 無い

だろ! ハイハイ。長年の穴を埋める、父と娘の美しい和解ね。

   

とにかく、それなりの視聴率と評価を獲得。続編を期待させること

にも成功したから、いい作品になった。ありがちなスーパードクター

ものとはビミョーに違う路線の医療ドラマを切り開いたという意味

でも、成功だと思う。正直言うと、期待以上の出来栄えだった♪

     

    

     ☆        ☆        ☆

ドラマの中盤の見せ場で、カズ(=沖田)と壮大が熱く抱擁するBL

シーン(笑)。演出の平川雄一朗のカメラは、上半身と片手だけを

強調してた。これは、ある意味、上手い撮影テクニックだ。沖田の

右手と、壮大の左手の動きを自由に想像できるから♪ 

    

そう言えば今回、「テント切開」なんて言葉も登場。ファスナーを

開いてバットを握るという意味の隠語だ(笑)。最後までバットか!

    

マジメな医学用語「テント切開」の説明としては、大脳と小脳を分け

る膜(tentorium)を切り開いて患部に向かうことね。下図は

英語版ウィキペディアより。夏のキャンプに使うテントも同様で、

幕みたいに薄く広がる物を指す言葉だ

   

170320a

   

ついでに書いとくと、「バイパスペイテンシー」という用語は、日本

語どころか英語(bypass patency)でもあまり使われて

ないけど、バイパス管が開いて通じてること(医学用語で「開存」)

を指すらしい。バイパス開通性と訳した方が分かりやすい。

  

もう一つ、「VEP波高=大脳機能評価」という画面テロップは、

Visual Evoked Potentials

 (視覚誘発電位)の波の高さ 大脳の機能評価の一つ」と書け

ば明確になる。目の網膜に光刺激を与えて、脳の電気的反応

を確認することだ。

    

   

     ☆        ☆        ☆

話を戻して、ファスナー・・じゃなくてテント切開はさておき、この作

品の根底に、男女の恋愛と同等かそれ以上に、男の友情がある

のは確かだ。広い意味の男性同性愛の常識的な形を描いたとも

言える。男性同士の友情と性愛とを統一的にとらえる考え方だ。

    

ということは、タイトルには微かに、「Anal LOVE」という

意味も込められてた・・と解釈できなくもない。抵抗を感じる人も

少なくないだろうけど、間違いなく生=性の現実の一つの側面。

   

まあ、ウワサによると、BL系女子の一部はそれを否定して、

代案となるキレイな穴を別に空想してるらしいけど♪

    

    

     ☆        ☆        ☆

マジメな話、人間という存在には本質的に「穴」が空いてる=開

いてる。身体的には、口から肛門まで、中心は長い穴なのだ。

  

性愛の営みが、それを双方向から埋めようとする象徴的行為に

なってるのは興味深い。しかも、その行為が反復的だということ

は、完全に埋めることはできないという事態を表してる。埋まら

ないからこそ、繰り返すわけだ。

  

あるいは無意識的に、埋めたくない思いもあるからこそ、繰り返

すのかも。埋めたくて仕方ない。でも、一方では埋めたくない。

穴を埋める行為が、開ける行為でもあるから、まさに二律背反。

アンビバレント(両面価値的)な穴=欠如。それは、埋めようとす

ること自体が快楽だからだろう。

        

そう考えると、深冬の命を救いたいけど死んで欲しいとか、壮大

の支離滅裂な姿もそれなりに理解できる。そもそも人間とは、

根本的に矛盾した存在なのだ。ホラー映画やお化け屋敷、バン

ジージャンプの逃げ出したくなる恐怖が、快感にもなるのだから♪

  

ちなみに、矛盾した人間を理解する時、矛盾しない理論を作り上

げようとすると、無理が生じる。したがって、あらゆる人間理論に

は穴=欠点があると思っておいた方がいい。

   

もっとも完成度の高い理論である数学でさえ、その全体に矛盾

が無いという証明は無いのだ。単に、潜在的な矛盾が運良く表

面化、顕在化しないから、問題とされないということにすぎない。。

     

     

     ☆        ☆        ☆

このドラマは、初回から「穴」を強調してたし、ウチのレビューも

初回からその点に注目して来た。

     

壮大の部屋の絵の後ろ側、壁の穴は、心の穴を示してる。まず

第一に、壮大の穴。さらに、壮大の愛人である実梨の穴。2つあ

るのは、過去と現在、2つの時点にあるからで、両者が深く関係

してるからこそ、隣り合わせにある。

    

壮大なら、過去の父(&母)との関係に生じた穴がトラウマ的に

作用して、現在の穴につながってる。深冬や実梨との関係の穴、

傷。そして、「自分は誰にも必要とされてない」、「自分には存在

価値がない」と思ってしまう、自我の穴。

   

しかし、心の穴=欠如は、誰にでもあるものだ。普段は意識しな

くても、無意識に穴があるからこそ、ちょっとしたキッカケで、穴

埋めの強い衝動が突き上げて来る。

  

例えば、沖田と深冬がふれあう姿を見た瞬間、壮大が愛人・実梨

を呼び戻すとか。一般の人なら、何かストレスが加わると空腹を

感じて、食べ物や飲み物が欲しくなるとか。

   

飲食とは、性愛と並んで、身体的にも精神的にも、穴埋めの代表

なのだ。腹が減るという言葉は、存在の内なる穴が広がることを

表してる。男性が女性に手を出すことを、「食べる」と表現するの

も興味深い♪

      

       

     ☆        ☆        ☆

もちろん、穴は単にネガティブな存在ではなく、ポジティブにも作

用する。沖田の場合、母を失った穴と、勉強が苦手な自分に対す

る劣等感の穴が、外科医としての天才的技術につながった。

   

沖田が今回、壮大への嫉妬に近いリスペクトを口にしてたのは、

無精ひげでウイスキー(or バーボン)に溺れる壮大を励ますた

めだけではない。誰でも、自分なりの穴があって、他の人にはな

かなか分からないということだ。

    

ちなみに私自身は、最近ようやく、自分の本質的な穴を理解でき

て来た気がする。当然、かなりマニアックな穴♪ 遠い過去に、あ

る意味、偶然の流れで空いたけど、より大きな目で見るなら必然

とも言える。天の命令、天命(テンメイ)なのだ。 

   

   

     ☆        ☆        ☆

深冬という女性の場合、穴埋めの欲望は子どもに向かうことに

なる。実際、自分の手術の担当を、夫の壮大ではなく沖田にして

欲しいと言ったのは、娘の莉菜のためだった。パパの失敗でママ

を失った悲し過ぎる子どもにしたくない。。

   

深冬の愛情表現も、一番ハッキリしてるのは、娘に対して。特に、

自分にもしもの事があった時に備えて、将来の娘に向けて書い

た日記のメッセージが典型で、これを沖田から渡されて読んだ壮

大はようやく深冬を助けようと改心した。「面倒くさい」男なのだ♪

    

面倒くさいと言えば、女性には女性特有の面倒くささがあるけど、

男性にもある。代表の一つが、闘いたがること。

   

男同士の勝負をしたがること。女性とか地位の奪い合いが目立つ

けど、もっと些細なことでも争いたがるものだ。大切なもののため、

自らの存在を確立するために闘う一方、闘うこと自体も楽しむ。

    

闘争や勝負を通じて、はじめて成り立つ男の絆というものもある。

沖田の父・一心(田中泯)がカワイイ憎まれ口を叩き続けるのも、

言い合いを通じて息子との本音の絆を深めつつ、自分を超える

存在へと育て上げたいから。それこそ昭和の育て方で、『巨人の

星』の父・一徹もそうだった♪

   

   

     ☆        ☆        ☆    

美しい女に辛い運命が訪れる。そして、彼女を愛する2人の優れた

男が戦いながら、力を合わせて救い出す。その流れを通じて、男

たちも成長していく。。

  

この物語の構造は、ウチのブログが11年半前に初めてレビュー

した連ドラ、『野ブタ。をプロデュース』と同じものだ。

   

子どもや若者向けに、ジャニーズの美少年を使ったのが『野ブタ』。

大人向けにしたのが、『A LIFE』。この後、たまたま(?)野

ブタの2人が春ドラマで共演、木村文乃まで出演するのも、面白い

つながりだと思う・・というのは、一部読者へのご挨拶だったりする♪ 

   

   

     ☆        ☆        ☆     

ウチは時々、ドラマブログと勘違いされるけど、全体をよく読めば

そうでないことは明らかなはず。ドラマ記事は、週1本くらいしか

書いてないし、字数的に際立ってるわけでもない。

   

ただ、長い間、ドラマと格闘して来たのは事実だし、恵まれない作

品や脚本、演出、映像を救い出す努力はして来た。「ハア ライフ」

とか、夜のバッティング・シーンとか(笑)

   

ドラマと無関係な理屈系の記事でも同様。その意味ではやっぱり、

男性的なんだろう。かなりマニアックで、面倒くさいブログ♪

    

Save a life. 些細な存在を救え。その闘いは、他者と共に、

自分という小さな生をも救おうとする、些細な営みなのだ。それが

分かれば、大抵の存在や物事は、愛すべきものに見えるはず。

可愛らしい一つの存在の生、ア・ライフ=ライヴとして。

     

特殊な芸能状況の中、一つの存在を救出する闘いに全力を尽くし

たキャスト&スタッフに拍手しつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

   

   

P.S. 最終回の平均視聴率(関東地区、ビデオリサーチ)は

    16.0%で自己最高。おめでとう! 

    瞬間最高視聴率は17.5%で、沖田が深冬とお別れ

    したシーン。やはり男女の恋愛が強いということか。

    

    

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理〜第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち~第9話

   

                      (計 4761字)

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小保方晴子日記(第5回・BPOの吉報)、超軽~い感想

今日は久々に、3000字程度の数学記事を書こうと思ってたのに、

時間が無くなった。昨日の夜まで「疎開生活」が10日も続いてた

から、色々と後遺症が残ってるし、明日は酷暑のフルマラソンだか

ら、準備と対策に時間を取られてしまった。

    

代わりに、手近なコネタとして、小保方日記で2000字ほど書こう

と思ってたけど、明日は早起きだから、もう寝なきゃいけない時間。

仕方ないから、超手抜き記事で済ませるとしよう。なりふり構わず、

毎日更新だけは死守ってことで。

    

しかし、久々にPCで記事を打つと、ホントにラクだね♪ SONY

のVAIOのキーボードだけでも凄く打ちやすい。デリート(削除)

キーもちゃんとあるし(笑)。まあでも、iPad用の外付け無線キー

ボードも、疎開中はそこそこ活躍してくれたから、あんましバッシ

ングしないことにしようか。。

   

    

      ☆        ☆        ☆

さて、婦人公論連載中の『小保方晴子日記』。前回の最後に、

次はいきなり2年後の今年まで飛ぶと予告されてたから、私は

早くも最終回かも・・とかつぶやいてた。

   

ところが、実際に3月28日号(14日発売)を見ると、単に先日

のBPO(放送倫理・番組向上機構)の決定に合わせて特別編

を挿入しただけで、次回からまた2年前に戻るらしい。一定の需

要はあるってことね。ウチの関連記事への地味なアクセスから

も、それは感じ取れる。

  

2014年7月27日のNHKスペシャル『調査報告 STAP細胞

不正の深層』で、まるで小保方さんがES細胞を盗んでSTAP

を捏造したかのような内容が報じられたということで、人権侵害

だと小保方さんがに申し立て。

  

その審議の決定と公表が2017年2月10日で、その前後は彼

女の心身も一段と大きく揺れ動くことになった。ちなみに私はそ

のNスペは見てないけど、最近のNHKの調査報道はそれほど

信用してない。特に原発・放射線関連だと、むしろ左派の朝日新

聞の方が冷静かつ客観的、科学的に感じられることもある。

    

ただし、単なるニュース程度の軽い報道なら、民放・新聞・雑誌・

ネットメディアよりはNHKの方が全体的に中立的かな・・とは思っ

てる。CMが入らないのも見やすくて良い。受信料の強制的な

徴収に見合うかどうかはさておき。。

    

    

     ☆        ☆        ☆

で、今回の連載記事「新月・立春・BPO」によると、小保方さんは

まず1月末、知人の勧めに従う形で、新月にお祈りしたらしい。さ

ほど乗り気ではなかったのに、いつの間にか、願い事。文脈から

想像すると、BPOの人権侵害認定だろうか。

    

続いて、緊張・ストレスでまた体調が悪化する中、立春には誰か

素敵な人と会えたらしい。具体的なことを全く書いてないのに、サ

ブタイトルには入れてるから、トップシークレットの恋愛関連かも♪

いずれにせよ、それなりの人数の知人・友人がしっかり支えてる

ようだ。

       

そして2月10日。前に瀬戸内寂聴と会った場所を指定して、BPO

の人から決定を聞いた。結果は、NHKにとって初めてらしい、人権

侵害の認定と再発防止の勧告。彼女にとって当然の決定だし、放

送や人権侵害の現実は今さら変えられないけど、やっぱり嬉しくて

安心したらしい。

  

   

      ☆        ☆        ☆   

ただ、その翌日の2月11日には、夢から覚めたら現実は逆だった

・・という流れになるのを恐れたようで、二度寝したようだ。まだまだ

完全な快復には時間がかかりそう。

   

ちなみに私も、心が不安定だった時期にはよく寝てた。一番安全で

手軽な治療法だろう。とはいえ、寝過ぎると逆効果だから、バランス

を取る必要はある。その点は、薬でも認知療法その他でも同様。

   

最近、地裁の判決が地味な話題になった、ノバルティス論文不正事

件とかと比較したいところだけど、もう寝る時間が来た。

今夜は唐突にこの辺で。。☆彡

   

                    (計 1543字)

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包丁を研ぎ続ける職人たち〜『A LIFE〜愛しき人〜』第9話

夜の部屋で1人、夢中になって繊細な指使いを続ける男の姿、いいね♪

もちろん、退院直後のお店で包丁を研ぐ沖田パパ(田中泯)のこと。

おそらく、今注目の野球のWBCでも、選手たちは大切なバットを

磨いてるだろう。私も昨夜、磨いたばかりだ。野球やってないだろ!

  

裏番組のWBCが25.2%の高視聴率を取る中、『A LIFE』

第9話(10分拡大版)は14.7%を確保。最近のテレビドラマ

状況その他を考えると、健闘と言っていい。

  

健闘の要因は色々あるけど、私が一貫して主張してるのが、脚本家・

橋部敦子の優秀さ。どこまでが最初から計算してた流れなのかは

分からないけど、最終回直前の今回は特に、職人芸を感じた。一般

ウケするドラマチックな起伏やコメディを考慮つつつ、高度な構成

の物語を創り上げてる。

  

今回は「包丁を研ぐ」という行為について多角的に考えてみよう。

ちなみに私も、先週から不自由な疎開生活が続く中、包丁研ぎや

バット磨きは続けてるのだ。いつ出番が来ても、良い仕事が出来る

ように♪ 最近は磨くこと自体も満足できる仕事だったりする(笑)

   

   

   ☆        ☆        ☆

包丁を研ぐということは、身体と物と心が三位一体となった繊細な

だ。私は本物の包丁は苦手だから、バット磨きに専念してる♪

いずれにせよ、未来の使用に備えて一心不乱に黙々と行うわけで、

ある意味それは動く座禅とも言える。ウチでは11年前、ブログ

を始めた頃、禅宗関連で「身体の行動形式」という記事を書いた。

  

今回のドラマ終盤までは、沖田(木村拓哉)に代わって壮大

(浅野忠信)が深冬(竹内結子)の手術をする流れ。おまけに

その前に、現職の厚生労働大臣・横井充の困難な手術(前方アプ

ローチによる眼窩内腫瘍摘出手術)も担当することになったから、

壮大も本気で手術の準備を行ってた。

  

つまり、悪役の副院長だった彼も、優秀な職人の立場に戻って、

包丁を磨いてたのだ。ちょうど実梨(菜々緒)がいなくなった

後だし、バット磨きの方はしばらくお休みってことで♪

 

その間、沖田の方も、出血でますます難度が上がった深冬の手術

に備えてた。壮大に役割を取られた不満、もっと早くバイパス法

を見つけて手術してれば・・という後悔、父親のオペを自ら志願

したのにミスして半人前扱いされてしまったことへの自己嫌悪など

と闘いながら、そうした雑念を振り払うかのように。

 

 

    ☆        ☆        ☆

包丁研ぎのバリエーション=変奏として気づきにくいのは、深冬

の手紙執筆。1年前の月9『いつかこの恋を』の主題歌『明日へ

の手紙』のMVを思い出す姿だった。幻想的でノスタルジック。

私のツボだから、解釈のレビューを書いてある。

  

「2018ねん4がつ にゅうがくおめでとう」。自分にもしも

の事が起きた場合に備えて、未来の娘への手紙を書く母の姿は、

程よく抑制された映像になってた。演出の木村(^^)ひさしは地味

な仕事も出来るらしい。名前の途中の笑顔マークは目立ち過ぎ

だけど♪

  

「 中学生になった莉菜へ」。「 2026年5月7日・・お誕生日

おめでとう」。この年月日を見た瞬間、高校入学なら2027年

だろ!、とか突っ込みたくなった視聴者もいたはず♪ 18+6

+3=27。ところが、どっこい庄一by綾瀬はるか、高校生に

になる前年の15歳の誕生日だから26で合ってる。細かいわ!

 

 

    ☆        ☆        ☆

主役級の3人と同じくらい目立ってた脇役が、オペナースの三条

さん(咲坂実杏)。地味に可愛くて、いいね♪ 冠動脈バイパス

および左内頸動脈内膜剥離術のスタッフ。

  

苛立つ沖田のパワハラ責めを受けてたけど、アレも彼女にとっての

包丁研ぎ。抑圧される哀しさを蓄積した後、柴田(木村文乃)の

責めで快感へと転換するはずだから、M性を磨いてたことになる。

 

ということは、柴田女王様は男女2人を調教してるのだ♪ 井川

の調教はかなり進んでるようで、焼肉屋で「お座り!」と命令した

途端、優等生お坊っちゃんは大人しく縮こまってた。こうなると、

前の回で木の枝の笞(むち)打ちチャンスを逃したのが惜しまれる。

ちなみに、私生活の新妻・木村文乃は逆の役割だ。断定か!

  

  

   ☆        ☆        ☆

最後に、かつての沖田みたいな包丁研ぎを始めたのが安井知樹少年

(藤本飛龍)。将棋の作品に出演しそうな名前だね♪ そのまんま

か! いや、松山ケンイチが天才棋士の映画『聖の青春』で主演

してたもんで。

 

知樹が沖田に託してたのは、ベルギー大先生に渡す裏金の1億円。

将来、返すという意味で、借用書なんてタイトルを付けてたから、

あれも自分の明日への手紙だ。1億円は必要なかったけど、大好き

お母さんを救ってくれた沖田に大きな借りが出来たから、これから

猛勉強という包丁研ぎで返すことになる。沖田が父親になったのだ。

 

まあ、算数のテスト59点というのは沖田パパより上みたいだから、

立派な医師になる可能性は十分ある。そろそろバット磨きにも熱中

する年頃だから、本番の試合での活躍を祈るとしよう♪

 

ただし、自分が父親になるにはまだ早いので、バットのコントロール

も大切なのであった。父と母と子、家族の三角形のダイナミックな

進展では、性=生の物語の中で一定の秩序、つまり法が機能する。

 

「ほう・・」と感心してくれた方は、国語のテストで90点くらい

だろう♪ 寒っ! バーの密談後、羽村(及川光博)のバッティング

も気になりつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡 

 

 

 

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理〜第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

   

                   (計 2357字)

       (追記 20字 ; 合計 2377字)

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穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜『A LIFE〜愛しき人〜』第8話

ダメだね、平川雄一朗の演出は。ペンとパイナップルを映さなかった

から♪ そこか! 古っ! いや、このドラマのレビューはPPAP

でスタートしたもんで。ペンがパイナップルとアップルを突き刺す

のがポイントという点では、まさにPPAPドラマと言っていい。

    

さて、最近の私は「クワ(鍬)と雪の王様」と化してるから、ドラマ

レビューどころじゃない状況なんだけど、毎週書くと宣言しちゃって

るから、形だけでもつけなきゃいけない。今は既に金曜の夜中だし、

もちろんフツーの話なんて書く気はゼロ♪

      

そうなるとやはり、「由紀の女王」から書き始めることになる。

この場合の「の」は文法的に同格を表すから、「由紀という

女王」という意味だ。細かいわ!

     

井川と由紀(木村文乃)のお散歩シーンで、井川が何気なく木の枝

を拾って由紀に手渡したのは、松山ケンイチのアドリブ演技じゃ

ないかね♪ で、木村文乃が対応しきれなかったとか。実梨(菜々緒)

の闘魂ビンタを見習うべきところ。

     

あれは鞭というより、笞(ムチ)。当然あそこは、グダグダ呟く

井川を由紀がムチでビシッと叩くべきシーンだった。そうすれば

松山なら直ちに、四つん這いになって悦んだはず。で、喘ぎ声まで

あげて、編集でカットされて、一部スタッフが持ち帰るとか(笑)

     

     

     ☆        ☆        ☆  

由紀の女王様キャラは今回、王様の沖田(木村拓哉)に対して

も発揮されてた。早く帰って寝ろ!って感じの、愛のムチ。

まあ、3割は、「早く寝ましょ♡」っていう誘いだろうけど♪

     

おぉ〜っ、iPadでハートマークが打てた!(笑)。PC

を使えない不自由な環境が続いてるのだ。

     

ちなみに、脳の手術の練習を5万回するとか沖田が言ってた

けど、1回10秒でも50万秒だから、1時間=3600

秒で割ると、140時間もかかってしまう♪ 不眠不休でも

6日間・・っていうのは理数系の方々へのご挨拶だ(笑)

   

話を戻すと、由紀の女王はムチだけじゃなく、飴も用意して

くれてた。イカめしという飴♪ どうして、イカなのか。

形と大きさと柔らかさから、明らかだろう。由紀の無意識の

欲望が、フラフラッとイカに向かわせたのだ。あぁ、美味し

そう。私も食べたい・・♡ コラコラ! バットの変奏(笑)

     

     

     ☆        ☆        ☆  

真面目な話、いつもながら巧妙だったね。橋部敦子の脚本は。

寿司屋のネタを織り交ぜて、沖田をお父さん(田中泯)のもと

に向かわせる。で、心臓発作の父を病院に連れて行かせて、

大切な人を自分の手で救いたいという核心につながる。今はなき

母、目の前の父、そして、深冬。

     

もちろん、沖田自身も分かってるように、自分の手で救おうと

するのが正しいかどうかはビミョーな所。いい悪いの判断じゃ

なくて、救いたいという欲望の問題なのだ。そして欲望の原点

には常に、「母」という女性の存在がある。今回はお花で象徴

されてた。

   

子供の欲望は、かなりの部分、母を喜ばせることに向けられる。

つまり、最も大切な人だけど、完全な存在ではない母を満足

させること。母に欠けてる部分を自分が補うこと。すなわち、

母の穴を自分がふさぐこと。。

     

     

     ☆        ☆        ☆  

そう考えると、壮大(浅野忠信)が大きな穴を手で塞いだ意味も

分かって来る。壮大にとって現在、母親代わりの愛の対象は深冬

だから、自分が穴を塞ぎたいのだ。自分が病気を治したい。そう

すれば、ママは僕を愛してくれるはず。今よりずっと。ライバルの

沖田よりもずっと。そうすれば、自分の心の穴も塞がる。

   

この壮大の心変わりの描き方も巧妙でハイレベルだった。秀逸な

小技は、横浜・八景島シーパラダイスのアクセサリー。

   

あの時、ママの深冬と一緒に娘が手作りしてたのは、「PAPA」

というロゴを入れたアクセサリーで、その上にはおそらく、

「MAMA」というロゴのアクセサリーが映ってたんだろうと

思う。

  

ママが見守る中、娘は無邪気に悦びの声をあげてた。パパ、

「できた!」。この声が、壮大の無意識の中で作用したのだ。

完了形から未来形への歪曲と共に、主語まで娘から自分へと置き

換えて。「パパ、できる !」

   

俺はできる! アイツより上手く! 父親の手術をわざわざ自分

で引き受けながらミスした、アイツよりずっと上手く。押し出しで

負けゲームにしたアイツより、もともとオレの方が上なんだ。。

   

    ☆        ☆        ☆  

こうして、深冬女王を奪い合う最終決戦が始まった。深い冬の

氷に閉じ込められたような女王様を、真実の愛で救い出そうと

とすれば、たとえミスしても春がやって来る。これこそ、アナ雪

の物語の基本構造だった。『穴と深冬女王』も同様だろう。

   

基本じゃなくマニアックなアナ雪の構造については、ウチの映画

レビューをご覧あれ♪ 原作童話との関連も、『レリゴー』の

歌詞解釈もあるし、睡眠薬にも最適だ(笑)。自虐か!

   

まあ、沖田のミスに限らず、無意識のストレスは身体に影響するから、

エリート医師の壮大も実際には大変なはず。ちなみに私は、ホテルの

バイトで若い女性客にサービスした時、手が震えて笑われたのをよく

覚えてる(^^ゞ バイブレーションに満足してもらえたんだろう♪

そうゆうサービスか!

   

あぁ、超寝不足の中、iPad入力でもここまで「できた」!

これは個人的にブレイクスルーかも♪ 慣れればもっと長くできる

はず。要らない? あっ、そう♪

   

しかし、それは貴女の表面的な意識に過ぎないのだ。身体の深い部分

からの声、意識の外部に耳を傾けてみよう。もっと、もっと。。

それでは今日はこの辺で。。☆

   

   

    

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理〜第7話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

   

                    (計 2372字)

         (追記 36字 ; 合計 2408字)

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僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~『A LIFE~愛しき人~』第7話

眠くて眠くて、このままじゃ脳出血か脳梗塞で倒れそうだけど、

トランス・シルヴィアン法だろうが脳血管バイパス法だろうが、外科

手術は嫌なのだ。それより、「レビュー手抜き法」を採用しよう♪

安全、簡単、無料で、すぐ寝れる。

   

最近、私は懲りずにまた、早寝早起き生活にチャレンジしてるのだ。

リズムが崩れるし、体質に合わないし、もう眠い、眠い。。どうせまた、

すぐ挫折するだろうけど、僅かな可能性に賭ける男はカッコイイはず♪

そりゃ、物語のヒーローだけだろ!

    

    

     ☆        ☆        ☆

さて、今回はやはり、ドラマのタイトル変更から入るのが本筋。

   

170302b

  

金色のアルファベット「V」(ヴイ)が、ローマ数字の「Ⅴ」(ご)にも

見えるから、「第5回じゃないだろ!」と勘違いクレームをつける人

が現れるリスクもある♪ しかしスタッフは、そんな僅かなリスク

は無視して、ロゴ・デザイン的な遊び心を重視したわけだ。

   

「A LIE」(エー、リヴ)。えぇ~、生きる?(笑)。つまり、壮大

(浅野忠信)のラストのショックを表す、ちょっと寒いロゴなのだ♪

これで、「A LIVE タイトル 意味」とかいう検索アクセスが

3回くらい稼げるはず♪ 少なっ! 

   

ちなみに前回の「逆行性の解離」だと、検索が1000ぐらい入って

驚いた。ドラマのポイントで、難しくて、おまけにネット上の情報が

少ないからだろう。

      

     

      ☆        ☆        ☆

話を「えぇっ、生きる?」に戻すと、脳腫瘍の手術で神経を傷つけられ

て、死んだような存在になると思ってた妻・深冬(竹内結子)が、沖田

(木村拓哉)の手術でフツーに生きる可能性が浮上。愛する女性だか

ら、壮大にとって嬉しい驚きではある。ただ同時に、自分には手に

入らない存在だから、消えて欲しかったのも事実。

    

それだけなら中立的でビミョーな話だけど、自分の専門領域で沖田

が画期的活躍をすることへの嫉妬もある。手術室で深冬と沖田が、

ヒモで縛る大人の遊び(笑)を仲良くやってる姿もシャクにさわる。

   

だから、実梨(菜々緒)に言わせると、本当は深冬に死んで欲しいと

思ってるくせに・・とかいうマトメになるのだ。

      

この悪女の見方は半ば正しいけど、重要な点を見落としてる。実は

既に壮大は、嫉妬と憎悪で屈折した愛を快楽へと転換する性倒錯者

へと進化を遂げてるのだ♪ 欲望のオペとしての、歪曲法。

   

実際、先週の最後で、ラヴラヴの深冬&沖田カップルの姿をのぞき

見した後、あやしい笑みを浮かべながら、捨てた実梨を電話で呼び

出して、バットを振ったらしい(笑)。またバットか! 

  

想像力を駆使した、ヴァーチャル4Pに励んだのだ♪ 妻が親友

と浮気する姿を目に映しながら、自分も浮気。そう言えば、「V」

の字はバット2本にも見える(笑)。色が金なのは、「かね」と

「きん」を使ったことの暗示。「壮大 黄金バット」という検索は

今のところゼロだ。今後も無いだろ!

   

    

      ☆        ☆        ☆

ロゴ解説に続いて、トランス・シルヴィアン法(trans-sylvian

approach)の説明に移ろう。

    

トランスという幻想的なダンス・ミュージックやカルチャーは大好き

だったし、デビッド・シルヴィアンという音楽家の名前も知ってたが、

この手術法の名前は知らなかった。

  

最初、「トランス・シルビア法」で探してダメだったから、試しに

「シルビアン」に変えると専門情報がそこそこヒット。

     

170302a

   

   

     ☆        ☆        ☆  

上図は英語版ウィキペディアのアニメから合成。「lateral

 sulcus」(側溝、外側溝)というのが解剖学的な英語名と

して普通らしい。図の赤い線、つまり、脳の中央に伸びる溝のこと。

   

発見者とされる人名で呼ぶなら、シルヴィウス裂溝(Sylvian

 fissure)とか。私の好きな、クリにも見えたりして♪ 栗ね(笑)。

コラコラ!

     

この溝をはがして超える(=トランスする)ような形で、脳の中心

に向かうのが、トランス・シルヴィアン法らしい。専門情報を見ると、

優秀な脳外科医が上手く使えば、それほど大きなリスクでもない

ような感じも受けた。

   

でも、もちろん場合によってリスクは異なる。ドラマだと、動眼神経が

傷つけられるとか言われてたし、検索してすぐ出て来る医学論文の

pdfファイルを読むと、こんな感じでリスクや難しさが列挙されてた。

    

数又、横山ほか、『Transsylvian approach に

必要な解剖学的知識』(脳神経外科ジャーナル Vol.21,

2012,No.9)より。

     

170302c

     

    

     ☆        ☆        ☆

これに対して、失敗リスクはもっと高いけど、完全に成功する可能

性もあるのが、沖田が早口言葉で喋ってた方法♪ メールの指示

に従ったおかげで発見できた。

   

 「Back to the Basics」

バックを基本にしてくれ(笑)。コラコラ! 初心に帰れ、ね。   

    

もう木曜の夜だから、今さら聴き取って書く気にはなれない。そも

そも私は、「耳はダメ」(笑)。『ラスト・シンデレラ』か! マジメな話、

耳を攻めるとかなり効くから、お試しあれ。

   

で、心臓手術を応用した脳血管バイパス法ね。要するに、ジャマな

脳の血管をつなぎ換えて、スペースを開けて、神経を傷つけずに

そこから腫瘍の手術をするという話だ。これがどれほど新しくて、

メリットとデメリットはどうなのか、もう調べる時間はない。

     

とにかく、高い確率でそこそこ成功する行動より、低い確率でも

大成功する行動の方が、ドラマ受けするし、一般ウケもいいのだ。

大衆向けの物語には、起伏の大きさと派手な明るさがポイント

になる。選挙や政治の演説でも同じだろう。

   

   

    ☆        ☆        ☆      

ちなみに、読者の皆さん自身は次のどちらを選ぶだろうか?

   

(方法1) そこそこ成功する確率80%、失敗する確率20%

(方法2) 大成功する確率60%、大失敗する確率40%    

      

例えば、そこそこ成功を+2、失敗を-2、大成功を+5、大失敗

を-5と評価して、確率論的な期待値を計算すると、

      

(方法1の期待値)=2×0.8+(-2)×0.2=1.2

(方法2の期待値)=5×0.6+(-5)×0.4=1.0

     

方法1、つまり、そこそこ成功を狙う保守的戦略の方が期待値が

高くなる。もちろん、プラス・マイナスの評価の値や確率の設定に

よって、話は変わるし、期待値よりも成功したときのメリットで選ぶ

人も多いはず。

     

こうした話は、原発vs反原発の論争でもあるし、リスク管理に付き

物の微妙さ、難しさなのだ。地震のリスク評価を間違えると、保険

会社の経営が傾くことにもなる。賭け屋のオッズ(掛け率)も同様。

似たような賭け事でも、競馬や競輪はイマイチの評判とイメージ

なのに、宝くじはクリーンで人気なのであった。。

    

   

     ☆        ☆        ☆

さて、この程度の話なら、ゴールデンタイムのドラマの脚本としては

普通の出来だろうけど、橋部敦子はやっぱり一味違ってるし、ひと

クセある脚本家だ♪

  

僅かな可能性に「賭ける」のでなく、僅かな可能性を「調べる」だけ

なら正しいわけで、それが沖田の乳ガン発見につながってた。

   

もちろん、リスクやデメリットがほとんど無ければ、僅かな可能性

でもやってみる価値がある。由紀(木村文乃)のキャベツ抜き、

マスタード2倍ホットドッグの差し入れは、安くて賢い戦術だ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

一方、僅かな可能性なら諦めて、「無くしてしまえ」と考えたのが、

壮大と実梨の2人。

   

壮大は、壇上記念病院がなかなか自分の手に入りそうにないから、

桜坂中央病院に吸収合併させようと考える。深冬の心が手に入ら

ないから、死んでしまえ、消えてしまえと考えてしまう。

   

分からなくはないし、ある意味、合理的な自己防衛の一つと言える。

内心に留めとけば、社会的なバッシングも受けない。敵は、自らの

内なる良心、超自我のみ。

    

一方、実梨は、壮大の心が手に入らないから、ライバルの本妻・

深冬と共につぶしてしまえと考える。リスク管理の不十分さの責任

を取らせる形で。

   

   

     ☆        ☆        ☆   

深刻な脳腫瘍がある深冬に手術させる巨大なリスクについては、

当サイトのレビューでも以前からハッキリ指摘してたことだ。明らか

におかしいどころか、訴訟ものの罪のはず。大きな危険を冒すこと、

つまり、少年少女たちの「冒険」。

     

ただ、そのおかしさを敢えて人間性の一つとして描きつつ、物語の

意外な展開にも利用する辺りが、橋部脚本の優秀さだろう。人間

とは本質的に、罪人とか迷い人なのだ。

   

170302d

  

最後に、国立がん研究センターHPから、乳がんの年齢別罹患率

のグラフを引用させて頂こう。確かに、ほとんど30代以降で、15

歳以下はほぼゼロだから、14歳の少女だと考えにくい。乳腺外科

部長・児島由貴子(財前直見)の判断は疫学統計的に普通なのだ。

   

って言うか、30年でずいぶん乳がんが増えてるように見えるね。

グラフの正確な解釈は保留しとこう。統計リテラシー、統計を扱う

能力というのは、結構ハイレベルなのだ。

     

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

    

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

   

                   (計 3686字)

        (追記 54字 ; 合計 3740字)

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逆行性の解離と、二つの穴~『A LIFE~愛しき人~』第6話

凄かったね、美人ナース・由紀(木村文乃)の誘惑。

  「私にワインの全身麻酔をかけて、オペして食べて♪」

   

そこまで言ってないだろ! 誘惑を拡大解釈して、井川(松山ケンイ

チ)がホントに食べちゃうと、後で「鯛」が怒って問題になるから要注

意なのだ。ワイン飲むとバットスイングの威力もイマイチになるし♪

また野球か!

    

ちなみに、アジアの読者の方にとっては分かりにくい日本語だろ

うから、あっさり読み流すのがお勧めだ♪ 機械翻訳もムリでしょ。

    

他にも凄かったのが、シアトルから来たブロンド美女☆ 出てない

だろ! いや、沖田(木村拓哉)がシアトルにメールして、手術方法

の質問をしてたから、来週はもっと上の立場の美人女医が登場し

て大活躍、ドヤ顔の女王様になるのかと思ったわけ♪ 

    

ちなみにこれは、時間の流れに沿った、現在から未来に向かっての

想像だから、逆行性じゃなくて、「順行性の空想」と呼ぶべきものだ。

   

    

         ☆        ☆        ☆

上から目線の美人といえば、弁護士で高身長の実梨(菜々緒)。

公式ツイッターのこの写真は、いいね♪ 既にあちこちに拡散し

てるから、著作権も肖像権も事実上、無効だろう。

     

170221b

    

この写真を見て、菜々緒は手が長いね・・なんて平凡な事を書

くようじゃ、マニアック・ブロガーにはなれない♪ なりたくない

だろ! 写し方の技術が巧みなのだ。

    

菜々緒は半身で片手を突き出して、指先まで伸ばしてる。竹内

は正面を向いて、両手を曲げて、左手は下に向けてるし、指は

曲げてる。黒い服と白い服の対比=コントラストも鮮明。

  

お遊びのスチール写真でさえ、この程度のテクニックは使うのだ

から、ドラマ本編の撮影や脚本は遥かに高度なのだ。今回は両方

を見てみよう。その前に、恒例の~医学用語チェック♪ 古っ! 

      

   

     ☆        ☆        ☆

さて、じわじわと人気が広がったのか、コメディ路線が功を奏した

のか、裏番組が弱めだったからか、視聴率が15.3%まで上昇し

た、『A LIFE』第6話。

        

やたら医学用語のテロップが出てたけど、物語的にも映像的にも、

最大のポイントは明らかに、「逆行性の解離」だった。

     

これを理解するには、実梨の父親の緊急手術を理解する必要が

ある。「Ⅰ型解離に対するトータルアーチリプレイスメント」。

   

つまり、まず心臓のすぐ近くで破れて、遠くまで剥離が広がってる

大動脈の解離(血管内の膜のはがれ)に対して、弓型に曲がった

部分の血管を丸ごと人工血管に取り替える手術だ。Ⅰ型という

分類は、ドベイキー(Debakey)によるもので、現在は少数派

なのかも。ネットの情報が意外と少ない。

   

   

     ☆        ☆        ☆

170221c

    

上の図は愛知県・安城更正病院のpdfファイルより。心臓は省略

されてるけど、どこよりも明快な説明だ。血管の膜が二重になっ

てしまって、その間に血が流れ込んでる。だから当然、心臓のそ

ば、図の左上の穴が重要な目印となる。

    

ところが、手術中にモニターで見てた壮大(浅野忠信)の顔色が

変わった。血液の流れと逆向きに、上の図の右下から左上に

向けての解離もあったのだ。つまり、穴は2つ開いてて、両側か

ら患者のハート(心臓=心)を痛めつけてる。

  

またしても、脚本家・橋部敦子の実力を誇示するハイレベルな設

定なのだ。実梨も壮大も、心の穴が2つ開いてしまって、両側か

ら苦しめられてるのだから。。

       

ちなみに、脳、心臓、肺の血管の図も添えとこう。中外製薬HP

より。黄色い〇印が今回のドラマと関係する部分。

   

170222a

   

    

      ☆        ☆        ☆

そもそも人間の中心には、口から肛門につながる長い穴が開いて

て、上下から行われる愛の営みは、存在の穴埋めという象徴的意

味を持つことになるわけだが、それ以外にも重要な穴はある。

   

まず、実梨の穴。遠い過去、浮気してた父親に捨てられてしまっ

たのが、心の大きな穴。その父親が突然、病院に搬送されて来

たから、昔に遡るような形で、合意書でお別れしてた。逆行性の

お別れ、解離なのだ。

   

そして、もう一つの穴が、壮大とのお別れ(に見えるもの)。自分

から別れを切り出せば、壮大が一度は引き止めてくれると思っ

たら、あっさり「ありがとう」と同意♪ 視聴者は笑うところだけど、

当事者は笑えない。

   

「涙をこらえた女性が一人で歩いてる時に限って、通行人がぶつ

かる」♪ またしても、マーフィーの法則、恐るべし。。私が青梅マラ

ソンにエントリーした年に限って、大雪やインフルエンザが来襲す

るのと同様だろう(笑)

   

170221d

  

上は、若者グループにぶつかられて倒れた場面。パンストで

妖しく光る膝や太腿辺りに気を取られた視聴者もいるだろう♪

他人事か!

   

公式動画サイト・TVerから、縮小キャプチャーさせて頂いた。非営

利の個人ブログのレビューにおける、限定的・好意的・明示的な

引用なので、問題はないと考える。

         

ここではもちろん、グループの中の女性の言葉に耳を傾けなけ

ればならない。「謝れば?」と小さく言ってるのだ。しかし、実梨に

謝る人はいない。父親も、不倫相手も。脚本なのか、「木村(^v^)

ひさし」による演出なのかは不明だけど、芸が細かいね。

   

     

     ☆        ☆        ☆

一方、壮大にも2つの穴が開いてた。それをキレイに象徴して

たのが、渋谷から全国展開したスパゲティ店♪ 分かりにくっ!

ハイハイ。壁の穴ね。

  

ウチのブログでは、第1話のレビューから穴と絵に注目してた

けど、今回は絵の額縁が床に落ちて、穴が2つ見えてた。壁の

取り付け部分が壊れたわけか。

   

170221e

  

ここで、影と穴の位置に注目しよう。頭と心臓、つまり、心の位置

に2つの穴が開いてる。下側の穴は、壮大が殴った凹み。

   

   

     ☆        ☆        ☆

壮大にとって、昔の穴は父親に「価値がない」と言われ続けたこ

と。98点のテストでも、2点の減点が医師にとっては致命的だと

ののしられる。

   

その叱咤激励に負けずに歯を食いしばって頑張ると、『巨人の

星』とか、昭和のスポ根になる所。ところが平成のフィクションで

は、心の傷、トラウマとされて、教育方法としても全くダメなものと

されてしまうのだ。体罰に対する現実社会の反応も、同様。

  

この昔の心の穴、心の傷に、あらためて塩を塗りこめたのが、

すし屋のオヤジ。そりゃ、鯛茶漬けだろ! そうじゃなくて、壇上

のオヤジ(柄本明)ね。恩師を追い出してまで病院の提携を成

功させても、何の価値もないと怒鳴りつけてた。壮大は当然、

昔を思い出すから、時間を遡る逆行性のダメージとなる。

  

そしてさらに、現在の穴も開いてしまった。愛人であり、病院を守っ

てくれる顧問弁護士でもある、実梨との別れ。あっさり認めてしまっ

た後、その穴の大きさに打ちのめされることになる。

   

ちなみに実梨は、壮大も父親に開けられた穴で苦しんでる仲間だと

思ってたら、そうでもないような冷たい扱いを受けてしまった。そこで

また、過去に遡って「あの人、本当はもともと仲間じゃなかった・・」

と思ってしまう。逆行性の落胆、逆行性の別離と呼んでいい。

     

    

     ☆        ☆        ☆

なお、逆行性とかトラウマという話で有名なのは、2人の深層心理

学者の論争だ。先輩・後輩の仲でもある大物、フロイトとユング。

   

フロイトは、幼い時期のトラウマの記憶は現実のものだと考えた

が、ユングは「逆行性の空想」かも知れないという考えを提示。

つまり、昔に遡って、「私が幼い頃、こんな事があった」と空想して

るだけかも知れないと考えたのだ。

  

公平に見れば、記憶は常に現実と空想の融合であって、どちら

が正しいというわけでもない。ただ、トラウマを理論の中心に据え

てる年長者のフロイトは激怒。若いユングはそもそも、それほど

こだわりがない部分でもあるから、謝らないのであった。

   

通行人グループの女の子なら、小さな声で、「謝れば?」とユング

にアドバイスするだろう♪ 実梨は今後も登場するようだから、案

外、壮大が「悪かった」と謝るのかも知れない。野球のために(笑)。

コラコラ!

    

どちらかの父親が再登場して謝るというのは、流石にないかな。

殺意のようなものを持ってしまった実梨と、家族を捨てた父親とが、

お互いに謝るとキレイだけどね。

  

私自身は、悪くなくても謝れるのが大人だと思ってる。謝った方が

結局、得だから♪ 世渡りの打算か!

   

    

      ☆        ☆        ☆    

最後に、井川の手術を成功に導いた予習の映像を確認しとこう。

上手く切り抜けた直後、カメラは井川の机の上をアップで映して

た。そこにはまるで沖田みたいに、予習の絵が描いてあって、

「4 逆行の可能性」とか書き込んでたのだ。その対処方法2つと

共に。折角のカットだから、もうちょっとハッキリ映せばもっと

良かったかも。

      

170221f

     

折角、準備して手術室に入ったのに、誰も相手にしてくれなくて

淋しそうだった羽村(及川光博)も可愛くて、いいね♪

それでは今日は、この辺で。。☆彡

   

   

   

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

   

                    (計 3603字)

          (追記 75字 ; 合計 3678字)

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少年たちの冒険と、最小の傷の手術~『A LIFE~愛しき人~』第5話

 ぼくらはみんな 生きている

 生きているから かなしいんだ

  ・・・・・・・・・・

 みんな みんな 生きているんだ

 友だちなんだ

        (作詞 やなせたかし)

  

   

     ☆        ☆        ☆

全国のバット(Bat)ファンの皆さん、こんばんは(笑)。今回も壮大

(浅野忠信)と実梨(菜々緒)のバッティング・シーンを描こうかと

思ってた。バット(But=しかし)、1回お休みしとこう。1回か! 

あんまし続けると、私がバッドな(Bad=悪い)男だと誤解されそ

うだから♪

        

ちなみにオーソン・ウエルズの名作映画『市民ケーン』で印象的

だった台詞は、「rose bud」(ローズ バッド)。この多義

的な言葉はもちろん、開く前のバラ(rose)の花びらとバット

(bat)の話も暗示してる。普通に言うなら、女と男の性=生。

     

いつか、本格的なレビューを書いてみたい、文句なしの名画だ

と思う。私は時々、ドラマや映画のレビューで映像の分析を書

いてるけど、最初に映像の文法に気付いたのは『市民ケーン』

だった。

   

言葉や物語の筋道とは少し違う次元に、映像の筋道というも

のがある。そして、bat、but、bad、budみたいな、音声

の筋道、つづり字の筋道というものもあるのだ。そしてもちろん、

バットにはバットの筋道がある。裏側に(笑)。コラコラ!

    

お硬いバットじゃなくてお堅い私にとって、不本意な読者サービ

スも大変なわけだが、だからと言って、「出家」する予定もない。

ブログ活動の「引退」も、もう少し先だろうか。長年の「所属」先

が変わる可能性は高まって来たけど。。

    

   

     ☆        ☆        ☆

さて、ドラマ『A LIFE』の第5話。かなり変則的で複雑な物語

になって来たので、視聴率13.9%への回復は健闘だと思う。

   

一話完結のスッキリ爽快型とはかなり離れてるし、善なる主人公

の大活躍とも距離がある。分かりやすく言うと、同じキムタク=

木村拓哉主演でも、『HERO』と『A LIFE』は違うのだ。

   

もちろん、一般的に人気があるのは『HERO』であって、それ

は数字にもハッキリ表れてる。あのタイプだと、何度か見逃して

も、安心して次の回を楽しめるのだ。高齢者から子どもまで。そ

れどころか、文部科学省の道徳教育ともタイアップしてたほど。

  

それに対して、『A LIFE』を第5話で初めて見た人はとまどう

はず。見事な成功もないし、どうして脳腫瘍で危ない深冬(竹内

結子)が患者の手術を担当してるのかも分からない。羽村(及

川光博)の行動や心理、立ち位置もややこしい。センター試験の

国語の問題で説明させると、炎上してしまうだろう♪

     

    

     ☆        ☆        ☆

つまり、脚本家の橋部敦子らは際どいチャレンジを行ってるわけ

で、ある意味、型にハマった医療ドラマの世界を「手術」してるの

だ。難しい手術だから、血も流れるし、失敗するリスクもある。

  

しかし倫理的な問題はないし、冒険に痛みや危険は付き物。そう

言えば、キムタクの憧れはトム・ソーヤの冒険だった♪ 

   

沖田先生を単なる聖人君子と考えると、数々の疑問点が生じてし

まう。しかし半ばトム・ソーヤと考えれば納得できるのだ。『A L

IFE』と言うより『B LIFE』。これもまた一つの生(a life)。

       

熱いものを胸の内に秘めて、正しいものも追い求めるし、危ない

事やあまり感心しない事もするガキ。失敗も当然ある。その人間

の原点の姿、少年の生き方が魅力なのだ。

    

だからつい、患者の安全より、深冬の医師としてのプライドを尊重

して、脳腫瘍の症状が出てるのに危ないオペをさせてしまう。いざ

となったら、自分がすぐ助ける準備をした上で。羽村にケンカを売

られたら、反射的に買いそうになってしまう。半ば、熱い少年だから、

ごく自然な反応だ。一瞬の後に、大人に戻って、大人しくなる。

     

     

      ☆        ☆        ☆

それでは、ようやくこの記事の冒頭に戻ろう。童謡『ぼくらはみんな

生きている』・・・じゃなくて、『手のひらを太陽に』。歌詞の書き

方がいくつか微妙に分かれてるようなので、私の判断で書いた。

    

この題名は、命の全肯定であると共に、お遊戯という行為への誘

い、広くて明るい世界の認識への誘いでもある。

     

可愛い莉菜(竹野谷咲=たけのや・さき)が踊りながら、深冬ママ

の前で元気に歌ってた。ある意味、反転させた形の「死亡フラッグ」

(今後の死を示す目印)とも解釈できる。

   

ただ、普通に歌詞をみると、どんな生でも「友だちなんだ」と歌って

る。ミミズだって、オケラだって。生きているだけで、みんな仲間。

見た目がどうでも、好きになれなくても、正しくなくても。そう言え

ば悪役に見える壮大と、善玉に見える沖田も、友だちだった。

   

    

     ☆        ☆        ☆

逆に言うと、生きていないと、仲間と認めてもらいにくいということ

だ。もちろん、死んだ後も仲間のままという関係はあるが、多くの

場合、徐々に記憶が薄れていくし、関心も小さくなっていく。たまに

墓参りとか法事に行った時だけ思い出すとか。

   

というわけで、生きていることがまず大切。それなのに、恩師で

ある優秀な医師・山本先生(武田鉄矢)を沖田が「殺した」と思っ

たからこそ、羽村は沖田を殴った。まるで小学校の教室で、子ど

もがケンカするみたいに、一人の教え子という子どもに戻って。

   

見方を変えるなら、羽村が殴ったのは自分自身とも言える。医療

事故調査報告書で、最終的に山本先生のミスを指摘して、桜坂

中央病院の辞職に追い込んでしまったのは、自分自身。その自

分への怒りを、目の前にいる沖田に投影したとも見れるわけだ。

  

心理的な防衛メカニズムの典型的なパターンで、医師なら大学時

代の初歩的な授業で習ってるはず。殴った後は、羽村の方が遥か

に痛いのだ。あまりに自分が恥ずかしくて、情けなくて。。

   

   

     ☆        ☆        ☆

だからこそ、まず、自分を仲間だと受け入れてくれる家族に電話す

る。ホッと一息ついた後、留守電に切り替えて録音した、山本先生

からのメッセージを聞いてた。

    

すると、意外なことに、山本先生は死んでなかったのだ。むしろ、人

間として、医師として、死にかけてた自分を、教え子の羽村が救って

くれたかのように感謝してた。少なくとも、表面的には。

   

このメッセージほど優れた医学教育はないからこそ、羽村は号泣す

る。先生、本当に申し訳ありません。そして、ありがとうございます。。

     

   

     ☆        ☆        ☆    

ここで思い出すのは、山本が行った手術「MICS」(ミックス)

英語と日本語の直訳は次の通り。

    

 Minimally Invasive Cardiac Surgery

  最小で  傷つける  心臓の  手術

  

テレビ画面のテロップには、「開胸せず小さな切開創による心臓

手術」と出てた。医学的には、皮膚が切れるダメージを「創」、切

れないダメージを「傷」と呼び分けるとかいう話だが、日常的には

むしろ皮膚が切れる方が傷だろう。

   

専門的な用語法はさておき、山本はMICSの手術を行って

る途中、最小の傷の手術では済まない病状だと気付いた。とこ

ろが、もっと大きく傷つけて手術すると、MICSの症例とはカウ

ントされないから、名医としての評判が上がらない。

  

だから、最小の傷のMICS手術だけで終わらせてしまって、患者

は完治しなかった。それは、「山本少年」がやってしまった大失敗

であって、結局はバレて、自分が最大の傷を受けてしまった。

      

・・・かと思ったら、実はその最大に見えた傷、つまり不正の発覚

と病院辞職こそ、山本にとって最小の傷の手術になったというお

話なのだ。ヒネリの入ったハッピーエンドで、めでたし、めでたし。

   

患者のMICS手術で冒険して失敗した山本が、羽村や沖田のおか

げで、自分自身のMICS手術に成功。結局、ぼくらはみんな、生き

ている。冷静さを失ったって、失敗したって。

   

こうした重層的な構造が見えて来ると、ネットその他で色々言われ

てる脚本家の実力、底力も分かるだろう。なかなか理解されない

くらいの高度な技術なのだ。

    

      

     ☆        ☆        ☆

最後に、沖田くんと深冬ちゃん、少年少女の冒険についても簡単

に見ておこう。

  

深冬が米国の沖田に送った携帯メールは、冒険なのだ。壮大から

のプロポーズを知らせて、沖田の出方を見るカワイイ冒険。ただし、

自分の本心は書かない。その場での、自分の傷を最小にしたい

から。結婚して欲しいと伝えて断られたら、大きな傷になると思っ

たから。

    

それは沖田にとっても同様のこと。既に、深冬のメールでかなりの

傷を受けてしまった。そこでさらに、「オレと結婚して欲しい」などと

伝えて断られてしまったら、致命傷になってしまう。そこで、自分の

傷を最小にするオペ(操作)が、「おめでとう」の文字入力だった。

    

結果的には2人とも失敗で、大きな傷を受けてしまったけど、まだ

みんな生きている。ここで2人の傷を治すには、まず、深冬の脳

腫瘍手術を最小の傷で成功させなければならない。

    

その困難な試みにはパワーが必要だからこそ、ねぎ抜き、紅しょ

うが抜きの牛丼をガツガツ食べなきゃいけないし、差し入れして

くれた美人ナースもガンガン食べなきゃいけない♪ コラコラ!

どうせ、後の編集でカットすればいいのだ。 

    

  

    ☆        ☆        ☆

ちなみに私は、由紀(木村文乃)よりも、横に座ってた2人の方が

可愛いと思う。聞いてない? あっ、そう♪

     

若くて可愛い2人が席の中央に座って、地味にカワイイ洋服(ピン

クと白)とカクテルグラスと共に、羽村とカメラの視線を集めてたこ

と。一方、場の雰囲気に引いてる由紀が、黒い服で端っこに座っ

て、普通のビールグラスを持ってたこと。

   

これらが映像の文法でもあり、平川雄一朗の演出や美術関連ス

タッフの地道なお仕事でもある。

   

一番上の羽村だけはワイン。お坊ちゃまの井川(松山ケンイチ)だ

け、白い紙ナプキン。そして、羽村と井川の視界に入らない場所

(すぐ横)には、ビミョーなナースが配置されるのだ♪ 失礼だろ!

    

現実社会は厳しいのであった。それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

   

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

     

                    (計 4068字)

        (追記 91字 ; 合計 4159字)

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私って、いつフラれたの?~『A LIFE~愛しき人~』第4話

 実梨  私って、いつ振られたの?

 壮大  バッティングセンターの帰りだよ♪

 実梨  そうそう。空振りの後、遠位弓部に凄い当たりだった☆

    

というわけで、今週も一部で人気のバットを振る話から入ろう(笑)。

またか! 「テンメイのRUN&BAT」、走りとバットのブログだ♪

RUN&BIKEだろ!

   

    

     ☆        ☆        ☆

今週は変則的な用事が色々と入ってるので、短いレビューで済ま

せたい。ただし、あくまでマニアックに。

 「山椒は小粒でもピリリと辛い」。

   

ちなみに、キムタクのラジオ『ワッツ』によると、

 「パンツは小さくてもタンガがエロイ」♪

似てないだろ!

    

木村拓哉ファンなら当然、知ってるエピソードのはずだが、万が一

知らない人は、ウチの記事をご覧あれ。同じようでも、Tバックを身

につけると、後ろのヒモが細過ぎてイマイチの反応らしい♪

  

キムタクと上手く付き合うには、細かすぎて伝わらない部分でも区

別できる繊細な感性が必要だ、というお話なのだ。ラジオでも、ドラ

マでも。。

      

    

     ☆        ☆        ☆

さて、『A LIFE』第4話は、女性2人が主人公になってた。普通

の視聴者の目線は、ヒロインの深冬(竹内結子)に注目しがちか

も知れない。脳腫瘍よりむしろ、「W失恋」のエピソードで。

    

ただ、特にナースとか女性の医療関係者なら、由紀(木村文乃)

の姿に「ある、ある」って感じだったはず。もちろん、事務職のOL

とか専業主婦でも共感できることで、男性社会の内部にもある。

     

 自分だって頑張ってるのに、みんな、自分を下に見てる(と思う)。

 自分自身もつい、自分を下に見てしまう。。

   

   

      ☆        ☆        ☆

由紀の場合、個人的な不運も重なって、医師への進路にフラれてし

まったらしい。親の病院が医療ミスで傾いて、医者を目指す経済的

余裕が消滅。上から下への転落。仕方なく奨学金を借りて、看護学

校に進学。医師の下で手助けする、オペナースに。

     

私の身内でも、ちょっと似た例がある。実家の格差は、自分ではど

うしようもない運命だけど、たまたま上の立場にいる人間は、問題

の深刻さに気付かない。というのも、上はしばしば上同士で固まっ

てるから、上下の違いを実感してないのだ。

   

そして、たまたま下から上に到達できた人は、「やれば出来る」、

「境遇なんて関係ない」、「自分の努力次第」とか口にしてしまう。

やって出来なかった多くの人達を視界に入れることもなく、自分の

幸運を理解することもなく。

  

「上とか下とか、人間の価値にとって関係ない」といった建前的な

言葉も、似たようなものだろう。そもそもこれは、中の上くらいの人

が、多少の余裕を持って口にしがちな台詞なのだ。

    

     

     ☆        ☆        ☆

そこでまず、自分でも自分を下だと感じてしまう由紀の生きづらさ、

運命にフラれてしまった後の居場所の無さを示す、映像の分析と解

釈を示そう。

     

提携予定の片山関東病院の医師から圧力を受けて、壇上病院を

辞めようとしてた時、井川(松山ケンイチ)に誘われて「いいよ」とOK

したドライブ。つまり、ナースとしての職場にもフラれて、仕方なく金持

ちのおぼっちゃまと気晴らしするシーンだ。フラれた後にも、大なり小

なり、出会いやチャンスは訪れる。それは深冬でも同じこと。

    

画像は公式動画(TVer)からキャプチャーさせて頂いた。非営利

の個人ブログのレビューにおける限定的、明示的な引用であって、

著作権・肖像権の問題は生じないと考える。

   

   

     ☆        ☆        ☆

170207b

    

デートもどきのシーンの最初は、このカットから。向こうにそびえ

る白い門は、迎賓館だろうか。上の権威のシンボル。その前には、

走る前にストレッチする女性ランナーが2人。体育会系の元気女子

の代表。左には仲良し女子2人。これらは全て、由紀が入れない

(と思ってる)世界だ。

    

170207a2

    

続いて、華やかな上の世界を目指すアイドル予備軍らしき女の子

3人が、ビミョーに地味で可愛い洋服で踊ってる。YouTube

動画用の安上がりの撮影♪ その右には、子どもと仲良く公園の

お散歩を楽しむ若いママ。これらもまた、由紀には別世界の幸せそ

うに見える人達。すべて、由紀と同じく、若い女性の姿になってる。

     

170207c2

  

橋部敦子の脚本か、加藤新の演出か。何気なく見えるこのシーンが

巧妙に構成されたものだということは、このカットでハッキリする。

   

左から由紀が歩いて来ると、撮影中だからといって制止されてしま

う。由紀は入れてもらえないのだ。キャピキャピ・アイドルの世界に

もママの育児にも、体育会系女子(右端)にも、白くそびえる門にも。

        

そこへ右から、ポルシェという馬車に乗った王子様の代わりに、井川

の白い普通車が迎えに来る。全員の視線、由紀と車と門の位置。こ

の撮影には、プロのこだわりとテクニックが感じ取れる。全体の秒単

位の調整が必要。

  

  

     ☆        ☆        ☆           

170207d2

  

そして、江ノ島の近くの湘南・鵠沼(くげぬま)海岸。由紀が思わ

ず、自分の恵まれない境遇と屈折した思いを叫んだ時のこの

映画的なショット。

   

主役は、左手前で傾いてる杭(くい)だ♪ つまり、中央の辺りに、

傾いた杭と挫けそうな由紀が映されてる。右端には、しっかり直立

した杭と、金持ちの医師の井川。キレイな象徴表現だ。

   

左側で、倒れそうな杭を支えるような土台まで見えてるのも素晴ら

しい。美術さんのグッジョブ。小粒でもピリリと光る、いい仕事だった。

この流れが分かると、直後に井川がわざとコケた優しさも分かる。

  

頭のいい由紀は、直ちに内心でそれを理解。そっけない素振りで、

焼肉を食べに行く。その後、食べられたのだった。金持ちのバット

だから、黄金バットだ♪ コラコラ!

     

   

     ☆        ☆        ☆

繰り返すが、失恋の後には、新たな出会いもある。それは二重、

三重の意味でそうなのだ。

 

170207e

  

上の2つの画像を見比べてみよう。深冬が沖田にメールして、

壮大からプロポーズされたのを伝えたのが2010年5月。

そして、由紀が壇上病院で働き始めたのが、2010年6月。

由紀の最初(No.1)のノートにしっかり書かれてた。

   

ということは、深冬と沖田が同時に「フラれた」と思った頃、由紀

には新たな出会いの世界が始まったことになる。若い美人ナー

スは当然、合コンに行かなくてもチヤホヤされたはず。

   

それらをスルーしてると、やがて素敵な王子様が迎えに来てくれ

たのだ。野菜は食べなくても、私は食べてくれるはず。手先も器用

だし♪

  

実際、沖田をまじえた会話は意味深でラブラブだった。

   

 由紀  相変わらず、動き、最高ですね♪

 沖田  あ~、やりやすかった。

   ・・・・・・・・・・

 由紀  私、ナース辞めません。沖田先生と、できるから。

   

   

     ☆        ☆        ☆

まさか、「引用が一部間違ってる」とかいう指摘は無いだろう♪ 現

在の世界は、「ポスト・トゥルース」。真実を超えたレベルの混沌に

なってる♪

        

そもそもこのドラマ自体、今回は完全に幻想の世界と融合してた

のだ。壮大の脳の中には、深冬が死んだように横たわってる姿が

焼きついて離れなくなってた。

   

「私って、いつ死んだの?」。それは、壮大が脳腫瘍を知った時と

言ってもいいし、病院の屋上で深冬が沖田と仲良くしてるのを見ら

れた時と言ってもいい。

   

壮大にとっては、深冬の姿に、愛と憎悪がぶつかりながら重なっ

ていく。愛する存在から、アンビバレント=両面価値的な存在へ

の変化。憎悪の先には、死の欲望も芽生える。愛する深冬には

死んで欲しくない。と同時に、無意識的には死も願ってしまう。

矛盾に心を引き裂かれる壮大。

   

   

     ☆        ☆        ☆

今回のレビューは、沖田と深冬の「失恋」はいつなのか、時間性

の問題を本質的に考える予定だったのに、かなりズレてしまった。

まあ、ちょっとズレた方がいいのかも。遠位弓部を刺激して♪

まだ言うか!

   

ごく簡単に言うなら、一般に、出来事の時間・時刻というものは、

一つに定まらないことも多い。

    

沖田と深冬の場合、沖田が米国のシアトルに行ったのが最初の

大きなキッカケではある。ただ、沖田がどうしても別れたくないの

なら、シアトルに行かないという選択もあったし、行った後の関係

の維持もできたはず。

   

むしろ、本当に関係を維持したかったのなら、米国の方が簡単だっ

たとも言える。「言わなくても分かる」路線が取りにくいから、声や

文字(メール)での意思伝達が必要。自然と、「口にしなきゃ分から

ない」路線に近づく。

        

だから、深冬がフラれたのは、沖田が米国行きを決める前とも言

えるし、行った後、沖田が意志を示さなかった数年間とも言える。

逆に、「まだフラれてない」とも考えられるのだ。

     

それは沖田の側でも同じこと。深冬から来た、壮大のプロポーズを

伝えるメールに、「おめでとう」と返信してしまった瞬間、沖田はフラ

れてしまったとも言えるが、学歴コンプレックスその他でシアトル行

きに追い込まれた時、病院長の娘にフラれたとも言える。もちろん、

深冬が壮大と結婚した今でも、まだフラれてないとも見れるのだ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

かつて、フランス現代思想のデリダは、出来事に一つの時間だけを

与えてしまうような考えを「現前の形而上学」と呼んで批判した。

   

表面的に何かが前に現れた時だけを考えてしまう思考は、様々な

問題を抱えてる古い悪習だというような見方だ。物事の多様なあり

方や見方を、一つの固定されたものへと回収してしまおうとするから。

   

ちなみに、ドラマの終盤、「松果体部腫瘍」という症例が映されたが、

松果体とは脳の奥の場所。400年前のフランスの哲学者デカルト

が、心と脳のつながる場所と考えたことで有名だ。深冬という名前自

体も、心と脳がつながる深奥の問題点を表してる。。

     

・・・とかいう理屈を書いてる時間はもうないから、終わりにしよう。

普通の医療ドラマとはかなり違う路線だし、視聴率12.3%と

いう数字はそんなもんだろう。テレビドラマとしては斬新な挑戦で、

今のAIブームを先取りしてた『安堂ロイド』を思い出せば、気にす

るほどのこともない。

    

結局、4000字書いてしまった (^^ゞ 時間は絞り込めないのだ♪

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

   

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~第3話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

   

                    (計 4135字)

         (追記 111字 ; 合計 4246字)

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JR SKI 2016-17、CM第3話・夜の散歩編レビュー

先日、人気ブロガーという噂の、はあちゅうさん(Ha-chu)

のツイートが炎上したとかいうニュースは、すぐに目に留まった。

     

電通時代の先輩が、「CMは偏差値40の人にも理解できるもの

じゃなきゃダメ・・・」とアドバイスをくれて、「一番役に立ってる教え

の一つ」と書いてる。

      

慶応大卒の可愛い女性、最近やたら話題の電通、ビリギャルでも

おなじみの「偏差値」「40」(ただし、あちらは40の上昇)。

     

こうしたポイントの数々があって、初めて炎上するわけで、無名の

一般人が「CMはみんなに分かりやすく作ろう」とか穏やかに言っ

ても、何の話題にもならないはず。

    

    

      ☆        ☆        ☆

つまり、言い方は別とすると、それは当たり前というよりフツーの

考え方の1つなのだ。唯一の正解ではなく、代表的解答の一例。

  

CMの代わりに、「テレビドラマは」、「テレビの情報番組は」、

「学習参考書は」、「プレゼンテーションは」と言っても似たよう

なことだ。不特定多数に何かを伝えたい時、あるいは支持され

たい時、浮上しがちな考え方だろう。

    

ただ、分かりやすいCMの中にも、ちょっと分かりにくい技、気付

きにくいテクニックは色々と使われてるし、解釈の余地もある。

昨年度と違って、すごく分かりやすく感じる、今年度のJR

SKI SKIのCMもその典型だ。

     

では、第3編・夜の散歩編(30秒)も細かく解説してみよう。い

つものように公式サイトの動画CMから、静止画をキャプチャー

させて頂いた。非営利の個人ブログにおけるレビューへの限

定的引用なので、著作権・肖像権の問題は生じないと考える。

   

私は度々、JRの新幹線でスキー&スノボツアーに出かけてるし、

今年ももうすぐ出かける予定なので、JRさん他、よろしく♪

ちなみに、今までの2つのレビューは以下の通り。

  

 JR SKISKI 2016-17、CM第1話・目線編の解説

        ~「冬が胸にきた。」(桜井日奈子)

 CM第2話・まつげの雪編レビュー

   

   

     ☆        ☆        ☆

170202a

   

まずスタートの場面。前方を、友達カップルが仲良さげに歩い

てて、楽しげな熱い会話が一瞬聞こえる。

「帰りたくない~~♪」、「アハハハ」。

 

一方、桜井日奈子カップルの側は、かなり離れて歩いてるし、桜

井はまだ画面に登場してない。わざと画面左側にスペースを空け

て、ヒロインを呼び込む流れを作ってるわけだ。映像の文法。

     

170202b

  

そのスペースに、ヒロインの桜井が左から映って来ると共に、

脇役カップルがフレーム右側に消えていく。歩く方向と同じ

右向きに映像も流れるから自然に感じる。残るのは主役達。

   

170202c_2

   

夜のライトに、舞い落ちる雪がきらめく。桜井は、彼の大きな

足跡に小さな足を合わせて、後ろを歩きながらつぶやく。

「また来たいね♪」。

     

170202d

   

しまった、これじゃ、告白してるみたい・・とすぐ気付いた彼女

は、あわてて可愛い言い訳。「あっ、みんなで」。

  

   

     ☆        ☆        ☆   

170202e

  

シャイな彼は後ろを向かずに、ボソッと恥ずかしげに一言。

「よくね? みんなじゃなくても」。

   

170202f

   

意外な返事に、「エッ?!」と驚く彼女。

   

170202g

  

彼はそれ以上、説明せずにゆっくり歩き続ける。この一瞬の

タメの映像で、光=ライトがまぶしく当たってるのはもちろん、

ヒロインの側。彼女の方が、画面中央に近く、大きく映ってる。

スタッフやクレーン・カメラの影は映ってない(笑)

   

   

     ☆        ☆        ☆    

170202h

   

いきなり、まさかのお泊りデート決定で、彼女の頬も欲望も期待

に膨らむ♪ 日帰りなどとは夢にも思わない。あぁ、勝負下着、

買わなきゃ!(笑)

   

170202i

    

彼女は、彼の足跡を追いかけるように走り出す。そして、足を

開いて、彼にしがみつくのであった。おんぶネ♪

「冬が胸にきた。」

彼の側から見ると、「冬が背中にきた。」。雪色のウェアの彼女

が釣れて、内心、ラッキー♪

    

170202l

   

170202j

   

よいしょ!と、彼がしっかり、おんぶし直してくれて、幸せ一杯

の笑顔の彼女。祝福するかのように、左後ろからはライトの輝き。

まるで、まばゆい雪の世界のよう。。

   

170202k

   

そしてもちろん、交通手段はJR東日本の新幹線。間違っても、

格安バスやマイカーではダメだ♪ マジメな話、値段は多少高

いけど、新幹線だと、ラクで速くて安全・・と宣伝しとこう(笑)

     

というわけで、今年度のJR EASTのキャンペーンもこれに

て終了。また来年・・・じゃなくて今年の12月の新シリー

ズを楽しみにしよう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

                  (計 1759字)

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みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~『A LIFE~愛しき人~』第3話

先週、第2話のレビューのタイトルに「華麗なるキムタク、雪山へ」

と書いたら、第3話で沖田(木村拓哉)が靴を片方だけ脱ぐシーン

が登場♪ 普通の大人の男性だと風当たりが強い、白いソックス

を見せて、ごく一部の足フェチ女子を歓喜させた後(笑)、「自滅」

という台詞まで2回出てきた。

          

まさに、『華麗なる一族』最終回の鉄平。これだけでもう、個人的に

は自己満足に浸れるわけだけが、他にホラーのオマケも付いてた♪

     

最後のエスカレーターのシーン。沖田との逃避行を狙ってたナー

ス・由紀(木村文乃)が、恋のライバルの医師・深冬(竹内結子)

を突き落とさなかったから、落胆・・じゃなくて安心した視聴者も

多いはず。ガクガク、ブルブル。。演出家・加藤新の軽いお遊びか。

転落したはずみで脳腫瘍が治るとか♪ 白雪姫か!

    

私なら、エスカレーターにエッセンシャル・シャンプーをまいて滑ら

せてたかも(笑)。コラコラ! スポンサー降板だろ。いや、私は

メリット派なもんで♪ どっちも花王だろ! 

     

そしてさらに、萌えシーンのトッピングまであったのだ。   

 榊原実梨(菜々緒) 「バットの振り方を変えたらどう?」

 壮大(浅野忠信)  「ほ~ら、これでどうだ♪」

   

   

      ☆        ☆        ☆  

ってことで、夜のバッティングセンターを比喩にして、夜のバッ

ティングルームの会話が描かれてたのだ。最初は空振り続き

で体力を浪費してたけど、バットの振り方を変えると、少しズレ

た奥、遠位弓部にヒットして、いいらしい♪ まだ言うか!

     

ま、このくらいヒネリを入れると、もはや現在の A I には解釈不

能だろう。普通の記憶力や情報処理だと全く勝てなくなってるから、

人間知性は大胆な柔軟性や微妙な繊細さで勝負するしかない。

  

それは、橋部敦子の脚本でも同様。わざと厚みや広がりをもたせ

て、単純で平凡なスーパードクター大活躍物語になるのを避けよ

うとしてる。

   

だからこそ、壮大は単なる悪の大魔王にはなってない。かつての

仲間・沖田への友情や信頼は持ってるし、妻・深冬への愛もある。

それゆえに嫉妬を抑え、深冬の脳腫瘍を沖田に任せることにした。

主張も行動もそれなりに筋が通ってるからこそ、銀行の信頼も厚い。

    

そして院長(柄本明)も、水戸黄門的な安定感をもたらす善人に

はなってない。それは、第1話から一貫してることだ。

      

    

     ☆        ☆        ☆   

こうした全体像が見えないと、第3話で、「ドラマの根幹を揺るがす、

院長の“キャラ変更”」などという妙な指摘をしてしまう。

       

サイゾーによると、院長は「ビジネスよりも医療の本質を追及せよ」

という考えの“理想の医師”だったのに、第3話でキャラ変更され

てしまったことになってる。

  

そうした不満は、院長の表面的な明るさだけを見てるから出てし

まうわけだ。あるいは、小児科を守ろうと口にする医師はいい人、

主役の味方のように見える人は善人だという先入観&固定観念。

    

実は、院長の怪しさは10年前の壮大との会話から既に分かってた

ことだ。「親友」の沖田を米国に飛ばそうとする壮大を怪しみつつ、

結果的に賛成。決定はもちろん院長のはず。当時の壮大に実権

はない。

     

その後、自分の娘を有能なエリート医師・壮大と結婚させて、病院

を大きくしてるのだ。しかも、壮大と折り合いが悪くなると、今度は

沖田を味方につけようとする。

  

院長が医療の理想だけでなく、ビジネスや個人的利益も追及し

てるのは最初からであって、それは現実社会でもフツーだろう。。

    

    

     ☆        ☆        ☆

というわけで、単純な能力ではAIに大敗しつつある人間知性とし

ては、独自の解釈や柔軟性、厚み、幅の広がりで対抗する必要

がある。マニアック・ブログとしては、まず次の画像から始めよう。

この時点で早くも、ツイート数がほぼゼロになる♪

      

170131a_2

       

エイブ・バーンバウム作『みどりの目』(童話館出版)。おね

しょ・・じゃなくて腸捻転に苦しんでた友梨佳ちゃん(子役・石井

心咲=みさき)が読んでた絵本だ。

   

上の画像は、ドラマの公式動画(TVer)より。非営利の個人

ブログのレビューにおける限定的引用なので、著作権・肖像権

の問題は生じないと考える。

    

英語版のamazonで、原作の中身が少し公開されてたから、

こちらも引用させて頂こう。

      

170131b_2

        

英語タイトルもそのまんまで、『GREEN EYES』。「みどり

の目」という名前のちっちゃな白い猫が、箱から出て世界を見

ると、色とりどりのキレイなお花畑が広がってた。まるで昨年末

のスマスマ最終回、ラストシーンみたいな美しい光景。

   

多少、神話が入ってるとしても、幼い目に映る世界が色鮮やかな

のは本当だろう。そしておそらく、美術さんか演出家・加藤新が、

そうした事を理解してたんだと想像する。

   

友梨佳ちゃんの洋服のロゴは、

 「FIRST PASSION COLOR」。

日本語に直訳すると、最初の感情=情熱の色。    

      

170131c    

     

    

      ☆        ☆        ☆

小児科の診察室の壁もカラフルで可愛かったが、省略しとこう。

それより重要なのは、銀行からの借入申込書に名前と年齢が書

かれてた、壮大&深冬の娘、莉菜ちゃん(5歳)。カラフルなお

花と太陽に囲まれた自分の姿を絵に描いて、ママに見せてた。

       

170131d

  

こうした画像や映像の数々の連鎖の後だからこそ、次のちょっと

珍しい画像にも意味が生じるのだ。

    

170131e

    

赤、青、黄色。沖田が友梨佳ちゃんの手術のために、カラフル

なマーカーで描いた準備の図面。女子高生の落書きではない♪

    

これは、沖田が子どもの思いや世界を理解すると共に、自分自

身も子どもの感情=情熱を抱き続けてることを示してる。目の前

の患者の命を救うだけ。純粋無垢な「みどりの目」に映るのは、

キレイな生命のお花畑。ファースト・パッション・カラー。

  

もちろん、それで大人の世界を生きていけるかどうかは別問題。

病院に融資するあおい銀行にとっては、経営手腕という大人の

能力だけが大切。要するに、金だ。一方、美人弁護士にとっては、

バットの技術だけが大切。これも根本は、金だ♪ コラコラ!

    

    

     ☆        ☆        ☆

最後に、深冬の論文も少し見ておこう。タイトルの日本語と英語

が、ビミョーにズレてる辺りも興味深い(細かっ・・)。

    

 小児水腎症における外科手術:

  腹腔鏡手術と開放手術の比較検討

     壇上記念病院 第一外科 小児外科

           壇上深冬

  

 Surgical Management of 

  Hydronephrosis in Children

    Laparoscopic versus Open

  

要するに、小さな傷で済む腹腔鏡の手術をしたグループ(群)と、

大きく腹を切る手術をしたグループを、多角的に比べる統計的

な調査だ。友梨佳ちゃんの腸捻転の見落としを指摘された慶応

大・・じゃなくて慶安大学病院の蒲生教授なら認めてくれるはず♪

     

ちなみにこの論文は、広い意味で、まとめ論文の類。沖田のチー

ム仲間が書いてた斬新な手術法の論文と比べると、格下だろう。

沖田的な観点から見るなら。逆に、学術研究に熱心な井川(松

山ケンイチ)なら、同格の論文と見るのかも。。

      

     

     ☆        ☆        ☆

なお、ドラマでは不採算な小児科部門の切り捨てが一つのポイ

ントになってるけど、今日(1月31日)、富士通は、ニフティの

個人サービス部門の売却を正式発表した。ノジマへの株式譲渡

は4月1日。順調なクラウド部門だけを自社に残すことになる。

    

前から各種の情報が入ってたし、理解できる経営判断とはいえ、

いよいよ来たか・・って感じだ。ニフティのブログであるココログ

で11年半、毎日更新し続けて来たこのブログ、「テンメイの

RUN&BIKE」も、大きな転機を迎えることになるかも。

    

よそのブログに引っ越すとしても、ウチの記事数は5000本

近いし、文字数は1000万字近い。引越しによるレイアウト

崩れを修正するだけでも、ほとんど不可能な作業になりそうだ。

コメントのやり取り5000回分も、移動できないだろう。

    

現実社会にスーパードクターは(ほとんど)いないから、一般人

が必死にもがくしかない。そうなるとつい、絵本やオモチャの世

界に戻りたくなるのであった。幼児退行か! ほんじゃ、大人の

映像やオモチャに逃避するとか♪ コラコラ!

   

   

      ☆        ☆        ☆   

そんな軽口より、沖田が「目の前の患者を助ける」とか言いつつ、

深冬の真後ろに立ってたカットを褒めるべきだね。

   

深冬は、友梨佳ちゃんのことを考えてるけど、沖田は深冬という

患者も同時に抱えてる。だからこそ、2人の目線の対比が鮮明に

なってた。キムタクの目はしっかり、深冬の後頭部をとらえてた。

      

それでは、また明日。。☆彡

   

   

   

cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影

              ~『A LIFE~愛しき人~』第1話

   華麗なるキムタク、雪山へ~第2話

   私って、いつフラれたの?~第4話

   少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話

   逆行性の解離と、二つの穴~第6話

   僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~第7話

   穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話

   包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話

   闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回

  

                  (計 3468字)

         (追記 127字 ; 合計 3595字)

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