戦前の東京大学(旧制・第一高等学校)の数学の入試問題~幾何、昭和11年(1936年)

先日(20年9月26日)、久々にNHK『ニュース7』を見てたら、終了後に『たけしのその時カメラは回っていた』という番組がスタート。初めてだから、そのまま消さずに流し見してると、既に戦前から、東京大学などの受験戦争は激しかったと説明してた。

   

早速、国立国会図書館デジタルコレクションで当時の受験雑誌を探したものの、公開されてるものがなかなか見当たらない。そこで代わりに、試験問題を探すと、解答どころか解説までついてる詳しい問題集(または参考書)を発見できた

  

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『高等学校・専門学校・大学予科入学試験問題詳解 昭和11年度』、欧文社(今の旺文社)。指導部編ということは、専属の先生みたいな社員がいたのかも。附録として、競争率の一覧表まで付いてて、本格的な受験参考書だ。東京大学(当時は旧制・第一高等学校) は文系も理系も10倍近い倍率の難関。採用予定数は、文理ともに僅か150人。

  

200929b

            

今日は時間が無いけど、興味深かったから、東大(第一高等学校)入試問題の数学を1問だけ紹介しとこう。全6問中の第1問。幾何だから、今なら上位の高校の入試問題みたいなものか。

        

試験時間は3時間だから、完答しても1問30分ある。当時の合格ラインは不明だけど、問題自体は今より簡単で、解答も長くはないから、トップクラスの受験生なら完答できたと思う。

    

   

      ☆     ☆     ☆

200929c

  

1. 位置および大きさが与えられたる角XOYの辺OX、OYの上にそれぞれ点A、Bをとり三角形AOBの周の長さを定長Lに等しからしむるときは、辺ABは一定円に切することを証明せよ。 (引用者による注.切する=接する)

   

解答 (私が作成。図は、本の解答のものを修正して利用。)

200929d2

   

上図のように、∠XABの二等分線と、角YBAの二等分線との交点を、点Pとする。また、点PからOX、AB、OYに下ろした垂線の足をそれぞれ、点E、点H、点Fとする。

  

1辺2角が等しい直角三角形なので、△PAE≡△PAH  

 ∴ PE=PH・・・①   AE=AH・・・②

  

同様に、△PBF≡PBH

 ∴ PF=PH・・・③   BF=BH・・・④

  

①③より、PE=PH=PF。よって、中心P、半径の長さPEの円(以下、円Pと呼ぶ)は、OA、AB、OBと接して、接点はそれぞれE、H、F。

  

200929e

   

また、L=OA+AB+OB  (∵ 仮定)

    =OA+AH+BH+OB

    =OA+AE+BF+OB (∵ ②④)

    =OE+OF

   

ここで、OEとOFは、点Oから円Pに引いた2つの接線だから、長さは等しい。

∴ OE=OF=L/2

   

したがって、点A、Bの位置に関わらず、接点E、Fは点OからL/2の距離の定位置にあり、円Pの中心と半径PEも一定となる。

以上より、辺ABは一定円(上の円P)に接する。

         (証明終了)

  

  

     ☆     ☆     ☆

三角形の「傍心」と「傍接円」の問題だから、私は2つの外角の二等分線の交点から解いた。

   

の解説では、1つの外角の二等分線と角XOYの二等分線との交点から解いてる。

  

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200929g

     

私は、純粋な論理を重視。本は、この種の問題を解く時の常套手段を重視したということか。

   

ちなみに本の解答は、点Oが2つあるし、他にも間違い(または活字の誤植)がある。軽い実力試しのクイズとして、どうぞ♪ 時間が無いので、今日はあっさりこの辺で。。☆彡

  

  

  

cf. 海軍兵学校の数学試験(算術)~明治36年度(1903年)の問題と解説・解答

      

      (計 1390字)

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パズル「ナンスケ」のとき方6~小学生むけ(星3つのむずかしさ、あさひしんぶん)

「ナンスケ」というパズルの解き方(ときかた)について、今まで、5本の記事(きじ)を書(か)いて来ました。今日(きょう)は、子どもむけにやさしく書いてみます。

  

「ナンスケ」は、ナンバーのスケルトン。数(かず)の骨(ほね)ぐみ、ということです。縦(たて)と横(よこ)に、いろんな数をつなぎます。数は、上から下か、左から右へと書きます。

  

問題(もんだい)の図(ず)からわかるのは、数のケタと、つなぎ方だけ。どこに何の数を入れるか、自分(じぶん)で考えます。

  

  

    ☆     ☆     ☆

ここでは、2020年7月18日(土曜・どよう)の朝日新聞(あさひしんぶん)の朝刊(ちょうかん)be(ビー)のパズルを考(かんが)えてみましょう。

    

ニコリが作(つく)ったもので、難易度(なんいど、むずかしさ)は、☆☆☆。星(ほし)3つだから、フツーです。

    

200721a

  

今までの説明(せつめい)は、下の5本。小学5年生以上なら、読(よ)めると思います。リンクをつけてるので、クリックとかタップしてみてください。

  

 19年5月11日の記事、6月29日の記事、9月7日の記事、10月26日の記事。20年4月5日の記事

    

     

      ☆     ☆     ☆

200721f

   

上のマス目に入れるのは、次(つぎ)の18コの数です。

 

(3ケタ)292, 298, 595, 892, 995, 999

(4ケタ)1215, 1812, 1818, 9998

(5ケタ)12828, 25822, 29229, 52885, 58855, 85552, 88155, 95588

   

プレゼント用(よう)の答(こたえ)は 、赤(あか)い枠(わく)の2つの数の合計(ごうけい)です。たし算(ざん)するだけ。最後(さいご)まで、わかりません。

  

  

    ☆     ☆     ☆

まず、すべての数をジッと見て、同じになってることを探(さが)すのがコツ。よく見ると、3ケタの数はどれも、真ん中(まんなか)が9になってますね。だから、下のように書けます。

  

200721b

   

左上(ひだりうえ)のタテの3ケタは、真ん中と下が99となってるから、999ですね。

  

次(つぎ)に、右下(みぎした)のタテの3ケタは、はじめと真ん中が99となってるから、995です。もう、999はさっき使(つか)ってるから、ダメなのです。

  

書く順番(じゅんばん)が大切(たいせつ)。これで、下の図のようになりました。

   

  

     ☆     ☆     ☆

200721c

  

左上のヨコの5ケタは、2つめが9だから、29229です。すると、真ん中の上にあるタテの4ケタは、9から始(はじ)まるから、9998になります。

  

200721d

   

右上のヨコの5ケタは、9から始まるので、95588ですね。あと、残(のこ)ってる4ケタの数3つはどれも、1番目(ばんめ)と3番目が1だから、下のように書けます。

  

200721e

   

これでもう、かなり分かったから、後(あと)は簡単(カンタン)。今日はしめきりの火曜(かよう)だから、ここで止(や)めておきます。左にタテの5ケタが2つありますが、どちらもすぐ、わかるでしょう。

  

この続(つづ)きは、今週(こんしゅう)の土曜に、正解(せいかい)が出た後で書きます。では、自分で頭(あたま)を使(つか)って、考えてくださいね。

   

  

     ☆     ☆     ☆

土曜になりました。最後(さいご)まで進(すす)みましょう。

   

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左側のタテの5ケタは、真ん中が1だから、88155。すると、その上のヨコの3ケタは、298だと分かります。

   

200725c

   

左下のヨコの5ケタは、真ん中が5だから、85552。すると、下の方のタテの4ケタは、1215だとわかります。

  

200725d

   

右下のヨコの5ケタは、1番目と4番目が5だから、58855。すると、その上のタテの5ケタは、5で始まってるから、残ってる52885のはず。

   

200725e

  

200725f

  

後はもうカンタンだけど、あわてて答を出そうとすると、間違(まちが)えます。は、赤い枠(わく)の足し算で、

 2+8=10

でした。2+2=4とか、8+8=16と答(こた)えてしまった人もいるかもしれませんね。

   

それでは、これで終(お)わりにします。。☆彡  

   

      (暫定 1284字)

  (追記332字 ; 合計1616字)

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正十七角形の作図法2~図形的な長さと角度のcosの数値チェック(手計算とコンピューター半々)

フジのドラマ『やまとなでしこ』特別編(後編)で感動。本気でウルウルした後、私も数学をあきらめずに全部計算しようとしたけど、やっぱり途中で挫けてしまった (^^ゞ やっぱり魚屋を継ぐべきか♪ いずれ、時間と能力の余裕を作って、三度目の正直にチャレンジしたい。

     

さて、当サイトでは先週(20年7月7日)、次の記事をアップした

   

 正十七角形の作図を使った、ケーキの68等分の方法・解説~『やまとなでしこ』(特別編)数学者・欧介

   

68÷4=17。正十七角形の作図だけなら、日英のウィキペディアも含めて、既存のサイトより分かりやすいと思ってる。不要な線を消して、簡単すぎる作図(中学1年レベル)も省略、点にも名前を書いたからだ。実際、納得したというツイートも頂いてる。

     

ただ、その作図でなぜ正しいのか、理論的にも計算的にもチェックしてないと正直に付記しておいた。その後、1回の計算間違い(途中で16分の1にしてた)も含め、ノート5ページ分を計算。わりといい所まで行くけど、あと少しの所で、三重根号その他の面倒すぎる計算に挫けてしまう。「経験したことのない」計算♪ 気象庁発表か!

  

200714a

  

200714b

  

下は、逆にcos360°/17(=cos2π/17)の値から、図形的な長さを出そうとした計算だけど、3倍角の公式でcos3×360°/17を出す時点で挫けてしまった。文字a、bとかで、上手く置き換えないと苦しいかも。

     

200714c

  

  

     ☆     ☆     ☆

というわけで、しばらく忘れようと思ったけど、そう言えば最近、コンピューター計算を使ってない。Wolfram alphaなんて高級なサイトは要らないはずで、カシオの計算サイトで十分だろう(ちょっと失礼かも)と思って挑戦。わりと簡単に成功♪ やっぱりコンピューターを使えないとダメか。数学も、将棋も囲碁も、語学も金融マーケットも。。

   

200707a

   

では本題。前の記事の図をそのまま使って、計算の説明を行う。作図そのものの説明は前の記事で書いたから、ここでは省略。円O(オー)は半径4として、OC=1と設定。するとAC=√17。

   

200707b

   

上図のODを計算するには、角の二等分線の性質を二重に使えばいい(斜辺の比=底辺の分割比)。二等分をくり返すと、角の4等分になる。

  

結局、上図で、OD={√(578-34√17)+√(34-2√17)-4-4√17}/16。ノート1ページ目の下側。

  

200714d

  

これをカシオのサイトで10ケタ計算すると、 OD=0.3441507314

  

     ☆     ☆     ☆

200707c

   

上図で、原点OとEの距離OEは、ODの長さとtan(タンジェント)の加法定理から求められる。

OE=tan(45°-∠OCD)

 =(tan45°-tan∠OCD)/(1+tan45°tan∠OCD)

 =(1-OD)/(1+OD)

 =・・・・・・

 =(√(34-2√17)-√17+1)/4 (ノート2ページ目の下側)

  

200707d

   

よって、EAの中点(作図用の円の中心)をMとすると、

OM=EM-OE

  =(OE+OA)/2-OE

  =(OA-OE)/2

  ={15+√17-√(34-2√17)}/8  (ノート2ページ目の右下)

   

FM=EM=(OE+OA)/2

  =(17-√17+√(34-2√17))/8 (ノート3ページ目の右上)

  

∴ OF²=FM²-OM²

    =・・・・・・

    =1-√17+√(34-2√17)  (ノート3ページ目の一番下)

   

∴ DF²=OD²+OF²

   =・・・・・・

   =(68-12√17+7√(34-2√17)-√17√(34-2√17))/16

    (ノート4ページ目の中段)

   

この√ (三重根号)がDFで、カシオのサイトで計算すると、 1.438802692

   

  

     ☆     ☆     ☆

200707e

   

∴ OG=OD+DF

   =0.3441507314+1.438802692

   =1.782953423

       (有効数字が1つズレるけど、些細な事だから無視)

    

200707f

  

200707g

  

この図形的な長さOGが、4cos3×360°/17の値と一致すれば、作図の正しさが示される。ちなみに4倍するのは、半径4だから。

       

   

     ☆     ☆     ☆

この4cos3×360°/17 の値は、直接、カシオで計算すると、1.782953423。ピッタシ。

  

200714e

  

一方、cos360°/17の小数の値は、ドイツ語版ウィキペディアだと0.9324722294・・と載ってたから、そこから三倍角の公式を使って上の値を求めても、ぴったり合ってた。

  

200714f

  

  

     ☆     ☆     ☆

というわけで、作図は少なくとも、ほとんど合ってそうなのだ。残る問題は、コンピューターなしでcosの値をどうやって求めるのか。そして、手計算だけでOGの長さを求めること。ウィキに載ってる三重根号の値まで、正確に導きたい所だ。

   

まあ、かなり時間も労力も使って疲れたし、ドラマも終わったから、しばらくは休養ということで。『やまとなでしこ』。特別編は省略だらけになってたけど、良質の恋愛コメディだったし、刺激的な数学コネタドラマだった。ひょっとすると、制服姿の美人「スッチー」を前面に押し出した最後のドラマかも♪

  

押し出し過ぎて、航空会社の協力が取れなかったとかウィキに書いてあった(笑)。今だともう、少なくとも地上波ゴールデンタイムでは作れない内容だろうな・・とか、郷愁を覚えつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

        (計 2133字)

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正十七角形の作図を使った、ケーキの68等分の方法・解説~『やまとなでしこ』(特別編)数学者・欧介

20年ぶりフジテレビ・月9に再登場した人気ドラマ『やまとなでしこ』。2時間ドラマ、2本に編集した特別編

    

前編の昨日(2020年7月6日)は大幅にカットされてたが、全盛期の松嶋菜々子は輝いてたし、全てが懐かしかった。平成ブロガーにとっては、小学校以来という計算になる♪ 平均視聴率9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

    

本来なら、本格的なレビューを書くところだけど、残念ながら今は仕事に追われる毎日で、余裕がない。そこでとりあえず、数学的なコネタ記事をアップしとこう。ツイッター検索ではちょっとしか話題になってなかったけど、ドラマ抜きでも、多少の数学的な需要はあると思う。

   

  

    ☆     ☆     ☆

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数学者になる夢をあきらめて魚屋の跡継ぎとなった欧介(堤真一)が、数学研究の仲間の結婚披露宴に出席。イチゴの数は68個より多かったから、美術スタッフさんのミスかも♪ 「あなたと2人で浪漫飛行 サイン コサイン 恋サイン♡」

       

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新郎・岡本「おい! そこの誰か! このケーキ、人数分、均等に分けてくれ」、客1「それじゃ、クリームとスポンジの比率が均等になんないだろ」、客2「欧介、お前の意見は?」。

  

欧介「68人分か。17の倍数だから、ガウスの証明した正十七角形の作図の応用をすればいいんじゃないかな?」、客3「おぉ、リッチモンドの方法か」、新郎「おぉ! やっぱり欧介だ♪」

  

   

    ☆     ☆     ☆

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上のように、丸いケーキに正十七角形が書ければ、一切れを半分にすれば、34等分になる。さらに半分にすれば、68等分。上図の17コの扇形を、それぞれ4分の1にするということ。

   

実際には、それだと細すぎて切りにくいし、見栄えも良くない。スポンジはともかく、クリームの比率も均等にならないはず。私なら、適当に分ければいいよと言うだろうし、仮に数学を使うとしても、遥かに簡単な64等分を主張する。

   

半分(2分の1)にする簡単なカットを6回続けて、64等分。その内の4コを、男性客8人で半分にして分ける。

(64-4)+8=68

   

ただ、ドラマ的には欧介の数学的才能を見せつける必要があるので、やっぱり正十七角形の作図が必要。ガウスやリッチモンドを知らなくても、ウィキペディアにやり方が載ってるが(gifアニメ画像付)、特に日本版ウィキの説明は非常に分かりにくい。図に点の名前を書き込んでないし、途中で使った線を残してるから、終盤は複雑すぎてゴチャゴチャに見える。

     

英語版ウィキの「Heptadecagonのページの方がシンプルだが、それでも途中の線を少し残してるので、大まかな論理の筋を追いにくい。そこで以下では、使い終わった線は消しながら、分解した図で流れを追ってみる。ただし点の名前は、日本版ウィキの説明に合わせた。

   

    

    ☆     ☆     ☆

かなり面倒な作図なので、中学1年レベルのカンタンな幾何は前提としよう。まず、線分(両端のある直線)の2等分はすぐ出来る。それを連続で行えば、線分の4等分もすぐできる。もちろん、定規(定木)とコンパスのみ使用。分度器はダメ。

        

また、角の二等分線もカンタンに引ける。それを連続で行えば、角の4等分もできる。ということは、直線(180度の角)を2等分すると、垂直の線が引けるし、それをさらに2等分すれば、45度の線も引けることになる。

   

一応、日本版ウィキの「二等分線」の項目にリンクを貼っとこう。正十七角形の作図は、日本版も英語版も、その基礎的操作まで書いてるから、全体が必要以上に複雑に感じられるのだ。

   

    

     ☆     ☆     ☆  

200707a

  

① まず、中心O(オー)の円に、直角に交差する半径OA、OBを書き込む。次に、半径OBを四等分して、中心Oに一番近い四等分点をCとする。そして、Aと結ぶ線を引く。

       

200707b

   

② 上図のように、角OCAの4等分線を引いて、OAとの交点をDとする。

       

200707c

  

③ 角ECDが45度になるように、ADの延長線上にEを決める。

   

200707d

  

④ 線分AEを直径とする円を書いて、OBとの交点をFとする。その円は、先にAEを2等分する点を求めて、それを中心として、その点からAまでを半径として、書けばよい。

   

    

      ☆     ☆     ☆

200707e

  

⑤ DFを半径とする円を書き、OAとの交点をGとする。

      

200707f

  

⑥ Gを通って、OAに垂直な直線を引き、元の円との交点をHとする。

      

200707g

   

⑦ この点Hが、円の右端の点Aを始点とする正十七角形の頂点の4番目になるらしい(理論的・計算的には未確認)。

角AOH=角GOH=3×(360°/17)

  

   

     ☆     ☆     ☆

        

200707h

  

⑧ Hから左回りに、3×(360°/17)の角度を取って行く。その角を合計6回取って、1周ちょっと回転した時、上図の角AOMは、360°/17になる。

 6×{3×(360°/17)}-360°=360°/17

これで、線分AMが正十七角形の1辺となった。

         

200707i

  

⑨ 後はもう、角AOMや辺AMなどを利用すれば、上のような正十七角形が完成。ウィキはこの最後の操作を、コンパスで美しくやってるから、難しく見えてる。1辺が分かれば後はもう、その長さで区切って行くだけでいい。

 

200707j  

 

⑩ 17個の扇形をそれぞれ4等分して、正68角形が完成。ほとんど円に見えるからか、ネットでも(ほとんど)見当たらない。上図は、こちらのサイトのアニメーションから完成図だけお借りして、加工させて頂いた。

   

  

    ☆     ☆     ☆

ちなみにドラマではその後、均等に切り分けられたケーキの映像が登場。見事に、普通の長方形・・じゃなくて「直方体」(笑)。欧介も数学も全く関係もなし♪ ここはコメディの綺麗なオチだったわけか。

   

200707m

 

なお、理論的・計算的な説明はまたいずれ。かなり面倒な二重根号、三重根号とかの計算が必要になるはず。正17角形の各中心角の角度360°/17(=2π/17)の恋サイン・・じゃなくてコサインの値はこうなるらしい。右端は三重根号になってる。

    

cos360°/17=1/16〔-1+√17+√(34-2√17)+2√{17+3√17-√(170+38√17)}〕

   

この記事、こんなに時間がかかるのなら普通にレビューした方が早かったかも・・とか思いつつ、ではまた。。☆彡

  

  

  

P.S. 翌週のドラマ後編の後、計算チェックの記事も新たにアップした。  

 正十七角形の作図法2~図形的な長さと角度のcosの数値チェック(手計算とコンピューター半々)

       

        (計 2478字)

   (追記80字 ; 合計2558字)

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パズル「絵むすび」解き方16~小学生向け(難易度4、ニコリ作・朝日be、20年7月4日)

線で同じ絵を結ぶだけ。みんなが楽しめるパズル「絵むすび」については、これまで15本の記事を書いて来ました(本当は他にも少しあります)。どれも朝日新聞(あさひしんぶん)に出てた問題です。

  

4本は小学生向けです。 絵むすびの解き方15(20年3月21日)。解き方13(18年5月19日)。解き方12(17年5月2日)。解き方11(16年5月21日)

  

最初からの10本と前々回の1本は、大人向けです。 第1回2回3回4回5回6回7回8回9回10回14回(19年4月21日)

     

今日は3ヶ月半ぶりに、子ども向けに書いてみます。考え方、コツ、攻略(こうりゃく)法みたいなもの。7月4日の問題は難易度(なんいど)☆4つ。私は星3.5コくらいだと思いますが、ウチの昔の記事へのアクセスは多いので、むずかしかったのかも知れません。元の画像は、小さく引用しときます。

    

200705a

  

  

  ☆    ☆    ☆

200705b

      

今回の問題は、6つの絵がどれも「く」で始まるものでした。くつ下(ソックスだから、上図では水色の「ソ」)、クマノミ(上図では茶色の「魚」)、クルマ(赤の「ク」)、クローバー(四つ葉だから緑の「四」)、(灰色の「雲」)、口紅(ピンクの「口」)。

      

ルールはいつもと同じ。すべてのマス目を1回だけ線が通るように、絵を結びます。線の交差(クロス)や枝分かれ、絵の突き抜けはダメ。応募(おうぼ)用のポイントは、☆印をどの線が通るかだけど、解く時に星印は気にしなくていいです。

   

  

    ☆     ☆     ☆

200705c

   

いつものように、まず大きくはなれた2組だけに注目しましょう。特に、角(かど、すみ)とか、端(はし)にあるものをえらぶと分かりやすいです。

   

今回だと、まず雲の線とソックスの線だけに注目するのがいいでしょう。大まかな線の流れを引いて考えます。上図のように、雲の線がソックスの間を通らずに左下を通ると、ソックスの線がクルマの線をジャマしてしまいます。

  

次に、下図のように、雲の線がソックスの間を通るように引くと、雲の線とソックスの線が、口紅の線をジャマしてしまいます。

  

200705d

   

ということは、雲の線は、もっと上の方を通るのです。さて、どう引けばいいでしょうか? あまりネタバレにならないよう、いつものように少しずつ書いていきます。

  

次の更新(こうしん)は、今日(5日・日曜)の夜の予定です。では、また後で。

   

  

    ☆     ☆     ☆

では、夜8時半を過ぎたので、少し先に進みます。

  

200705e

  

雲の線は、口紅の線と四つ葉の線をジャマしないよう、上図のように引くしかありません。

  

すると、ソックスの線も上図のようにほぼ決まります。まだハッキリとはしませんが、ソックスの線が右下の方を大回りすると、他の線をジャマするだけになってしまいます。

  

この時、口紅のピンクの線は少しだけ書けます。上図の後、ピンクの線を、どのようにのばせばいいでしょうか? 次は明日(月曜)の夜、更新(こうしん)します。

  

なお、今週は合計12594字で終了。ではまた。。☆彡

   

   

     ☆     ☆     ☆

月曜の深夜になったので、また少し先に進みます。

  

200705g

   

口紅の線を左下あたりで結んでしまうと、残った魚、四つ葉、クルマの線3本が右上のあたりでからまってしまいます。だから、口紅の線は、上図のように、下側を大回りしてつなぎます。

  

もう残りはカンタンなので、最後の更新は正解発表の後、今週の土曜にしましょう。ではまた。。

   

   

     ☆     ☆     ☆

土曜になって、正解も発表されました。では、最後の更新です。

  

200711d

   

クルマの線は、四つ葉の線のジャマをしないよう、上図のように引くことになります。

  

200711e

  

すると、口紅の線は、魚の線をジャマしないよう、上図のように引くしかありません。もう、後はカンタン。

   

200711f

   

完成図は上の通りで、☆印を通る線は、5番の魚(クマノミ)の線。正解は5番でした。ではまた。。☆彡

       

       (暫定字数 1248字)

  (追記323字 ; 合計1571字)

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小学校『5、6年のプログラミング ドリル』問題と解き方4、アルゴリズム、移り変わり図

この3ヶ月で、小学生向けの学習参考書『5、6年の楽しいプログラミング ドリルの王様』(新興出版社)について、問題と解き方を紹介する記事を3本書きました。

   

1本目の記事へのリンクはここです。2本目へのリンクはここです。3本目へのリンクはここです。

  

今日はそれらの続きとして、4本目の記事を書きます。はじめの2回で大まかな説明はしてるので、今回もすぐ問題に行きます。問題文の書き方は少し変えてます。

   

   

   ☆    ☆    ☆

では、第1問。ドリルの52ページの問題、「25 コンピュータの考え方②」。

  

問② そうたさんは、カード型の鍵(かぎ、キー)を使って、部屋に入ろうとしています。カードの読み取り機は、次の通りに、ドアを開けるか開けないかの判断をします。

  

1.カードの番号(横に並んだ13ケタの数)を読み取る。  2.左から1、3、5、7、9、11、13番目の数字を上に書いて、足し算する。また、左から2、4、6、8、10、12番目の数を下に書いて、足し算する

  

3.下の方の足し算の結果に3をかける。  4.上の方の足し算の結果と、3の結果を、足し算する。

 

5.4の結果の数で、一の位が0なら、ドアを開ける。一の位の数が0でないなら、ドアを開けない。

  

次のカードで、そうたさんは部屋に入れますか?

A.1235427902184   B.6827913304018

  

  

    ☆    ☆    ☆

では、解答です。Aのカードから見て行きましょう。

上の数の足し算は、1+3+4+7+0+1+4=20。下の数の足し算は、2+5+2+9+2+8=28だから、3をかけると、28×3=84。

 

だから、上+(下×3)=20+84=104。よって、一の位の数が0でないから、ドアを開けず、部屋に入れません

  

次に、Bのカードについて。上の数の足し算は、6+2+9+3+0+0+8=28。下の数の足し算は、8+7+1+3+4+1=24だから、3をかけると、24×3=72。

  

だから、上+(下×3)=28+72=100。よって、一の位の数が0だから、ドアを開けて、部屋に入れます

   

  

そんな計算しなくても、入れるか入れないかだけ、簡単にカードに書けばいいのに・・という気もしますよね。

  

たぶん、数や読み取り方(プログラム)を変えることで、色んなことが出来るからだと思います。例えば、部屋に入れるのはいつまでなのか、とか、何人なのか、とか、13ケタの数に色んな意味を持たせることができるでしょう。

   

  

    ☆    ☆    ☆

次に、第2問。ドリルの62ページの問題、「30 アルゴリズム⑤」。アルゴリズムという言葉は、前回の記事(3本目)にも書きましたが、ある目的、問題の解決に向かって、1つずつ進む手続きをまとめたもの。 もとは数学者(難しい算数のプロ)の名前です。

    

問② 家と道がかかれた下の図で、丸の中に書かれた数は、その道を通るのに何分かかるかを表します。

  

200526a

  

(1)さくらの家から、お店を通って、ゆなの家に行きます。最も早く行くためには何分かかりますか?

(2)そうたの家から、ひまりの家を通って、りこの家に行きます。最も早く行くには何分かかりますか?

    

  

   ☆    ☆    ☆

では(1)から解きましょう。時間の長さは、道の長さと比例してますが、道を見ただけだとよく分かりません。いくつか計算して、合計時間を比べることになります。

     

さくらの家からお店までは、ゆうまとひまりとゆなの家を通るのが一番早くて、4分+3分+5分+2分=14分です。次に、お店からゆなの家までは、2分です。だから、合わせて、14分+2分=16分です。

  

ゆなとお店の間の道は2回通りますが、2回はダメとは書いてないので大丈夫です。また、さくら→ゆうま→そうた→りこ→お店→ゆなの順なら、4分+5分+3分+6分+2分=20分。だから、16分より遅くなってしまいます。

   

次に(2)。まず、そうたの家から、ひまりの家までは、ゆうまの家を通るのが一番早くて、5分+3分=8分。次に、ひまりの家からりこの家までは、来た道をそのまま帰って、ゆうま、そうたの家を通るのが一番早いです。3分+5分+3分=11分。

  

だから、合わせて、8分+11分=19分です。

  

このような、時間や長さが最も短い道を探す問題は、家と道が増えると面倒で難しくなるので、人間だと大変。だから、コンピューターが色々な道の時間を計算して、比べて一番短い時間や距離を探すことになります。

    

   

    ☆    ☆    ☆

次に、第3問。ドリルの70ページの問題、「34 移り変わり図①」。いくつかのもの(物、人など)の状態が、少しずつ変わる様子を考える図のことです。 

    

問② 下図は、スーパーのレジでのやり取りを表したものです。

  

200526b

  

次の説明から、正しいものを2つ選びましょう。

ア.客は商品を置くと同時にお金をはらう。   イ.レジ係は合計金額を伝えると同時に商品をわたす。

ウ.客は商品の合計金額を確かめてからお金をはらう。   エ.レジ係は客がはらったお金を確かめてから合計金額を伝える。

オ.客は商品のお金をはらってから商品を置く。   カ.レジ係は客がはらったお金を確かめてからおつりと商品をわたす。

  

  

     ☆    ☆    ☆

これは、図が無くても、常識で分かるでしょう♪ まず、ウが正しいですね。図だと、左上あたりを見ればそうなってます。

 

次に、カが正しいですね。図だと、右下あたりを見ることになります。

   

     

実際のスーパーやコンビニ、100円ショップだと、商品が1コなら、お客さんは商品とお金を同時に置くことがあります。また、合計金額を伝えると同時に商品を客の近くに置くレジ係もいます。

   

客とレジ係がお互いによく知ってて、相手を信頼してる場合も、あまり順番にはこだわらないでしょう。上図はあくまで、機械的な決めごと。今後はレジ係もロボットが増えるでしょうから、きっちり決めておく必要があります。

    

2つのコンピューターで、互いにデータをやり取りしながら計算していく場合も、似たような図になるでしょうね。それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

      (計 2436字)

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ペアノの自然数論、減法(引き算)、乗法(掛け算)、除法(割り算)~論文『算術原理』2

3ヶ月半も間が空いてしまったが、イタリアの数学者ペアノの『算術の諸原理』(ARITHMETICES PRINCIPIA、ラテン語)に関する記事の2本目を軽く書いとこう。時間が無いので簡単に書くが、数学の古典の原文に即したネット記事というのは世界的に非常に少ないので、多少の意味はある。

    

既に1本目の記事に書いたことは、基本的に繰り返さないので、いきなりこの記事にアクセスした方には、先に前の記事に目を通すことをお勧めする。独特な書き方の論文だし、邦訳のある2年後の論文「数の概念について」とも少し違ってるので、この種の話に慣れてる人でも戸惑う部分はあると思う。

   

 ペアノの公理、自然数の加法(足し算)、結合法則の証明~論文『算術原理』(1889年)

  

なお、ペアノの原論文(ラテン語)は、 Internet Archive で公開中。副題は「NOVA METHODO EXPOSITA」(新しい方式で提示された)。つまり、今までの算術(算数)と外見的に同じ式や定理などを、新しいやり方で示すということだ。ということは、同じ形の式でも意味は違ってる、とも考えられる。

   

      

    ☆     ☆     ☆

200511a

  

足し算に続く第2節、減法(引き算)について(De subtractione)。ペアノはいちいち、言葉の区切り目に点(ピリオド)を打ってる。最初は、説明(Explicationes)で、記号(Signum)の説明。

  

「-」は、「マイナス」と読む。「<」は「より小さい」。「>」は「より大きい」。

    

いきなり不等号や不等式が出て来るのは、引き算の結果が正の整数(自然数)になる場合からスタートするため。つまり、b-aは最初、b>aの時しか定義されてないのだ。

  

続いて、引き算の定義(Definitiones)。1番が核心だが、記号法が読みにくい。

  

aとbが自然数ならば、b-aは、x+a=bとなるような自然数xである」。

   

要するに、足し算の逆演算として引き算を定義。だから、引き算の定理の証明は、基本的には足し算から入ることになる。例えば、3-2=1を証明してみよう。

 

 1+2=3 ・・・① (前の記事で証明済)

∴ 3-2=1 (①と、引き算の定義1より)

  

定義の2は、「aがbより小さいならば、b-aは無ではない(つまり存在する)」。3の前半は、「a<bとb>aは同じことである」。3の後半は、3つの項がある場合、先に前の2つを計算するという決め事。例えば、a-b+c=(a-b)+c。

   

  

     ☆     ☆     ☆

200511b

     

続いて、第3節の最大値・最小値は飛ばして、第4節乗法・掛け算(multiplicatione)。これが一番、簡単な定義で、足し算をもとにしてある。

    

1. a×1=a

2. a×(b+1)=a×b+a

  

この2番の定義式の読み方は、そのすぐ下で補足してある。式変形の形で示すと、

 a×b+a=ab+a

     =(ab)+a

     =(a×b)+a

  

つまり、左側の掛け算を先に行うことになる。当たり前すぎて見逃しがちな部分だが、そこまで考えて定義の全体を構成してるわけだ。2×2=4を証明してみよう。

  

2×2=2×(1+1) (自然数2の定義より。前の記事参照)

  =2×1+2 (乗法の定義2より)

  =2+2 (乗法の定義1、2より)

  =2+(1+1) (自然数2の定義)

  =(2+1)+1 (加法の定義、前の記事参照)

  =3+1 (自然数3の定義、同上)

  =4 (自然数4の定義、同上)

  

確かに、数式「2×2=4」の左辺から右辺へと、論理的に証明できる。

 

  

    ☆     ☆     ☆

ただ、この論文での乗法の定義は2種類の式を用いてる。それに対して2年後の論文「数の概念について」だと、乗法の定義は1本だけ。

  

例えば、2×2=(0+2)+2。あるいは、3×1=0+3。

   

つまり、a×bとは、0にaをb回足したもの掛け算全体を足し算から一気に定義してるわけで、体系家の本質的で細かいこだわりに感心する。ただし、この場合は先に0(ゼロ)の定義と導入が必要となる。

    

ちなみに話題の京大・望月新一教授によるABC予想の証明(とされるもの)では、足し算とかけ算が分離されてるとかいう話だが、私はまだ全く理解してない。

    

というより、数学者にとっても難し過ぎる理論構成らしいから、今後もほとんど理解できないかも。少なくとも、かなり時間の余裕がないと無理だから、しばらく保留しとこう。証明が本当に正しいのかどうかも、まだ不明。世界的に見て、まだ認められたとは言えないような感じだ。

   

   

    ☆     ☆     ☆

200511c

  

200511d 

  

第5節の累乗は省略。最後は第6節除法(divisione)。妙な記号の数々は飛ばして、最初にある最低限の割り算記号、「/」だけに注目しよう。定義1は、

  

aとbが自然数ならば、b/aは、xa=bとなるような自然数xである」。

 

例えば、6/2=3(つまり 6÷2=3)を証明してみよう。先に、3×2=6を示す必要がある。

   

3×2=3×(1+1) (自然数2の定義)

  =3×1+3 (乗法の定義2)

  =3+3 (乗法の定義1)

  =3+(2+1) (自然数3の定義)

  =(3+2)+1 (加法の定義)

  =(3+(1+1))+1 (自然数2の定義)

  =((3+1)+1)+1 (加法の定義)

  =(4+1)+1 (自然数4の定義)

  =5+1 (自然数5の定義)

  =6 (自然数6の定義) ・・・②

   

∴ 6/2=3 (除法の定義と②より)

   

この後、さらに3本目を書くかどうかは未定。むしろ、他の数学者の原著を扱うべきかも。とりあえず、今日はこの辺で。。☆彡

   

  

「1+1=2」はなぜか?~ペアノの自然数論(足し算)

 「1×1=1」はなぜか?~ペアノの自然数論2(掛け算)

 自然数に関するペアノの公理~論文『数の概念について』に即して

 引き算の証明、負の数~ペアノの整数論(減算=減法)

 集合論における自然数の表記と計算

 0、1、「次の数」に関する哲学的考察~フレーゲ『算術の基礎』

 デデキントの「切断」による実数の構成~対角線論法2

 「1+1=2」はなぜか~小学1年生の算数の教科書

 引き算、足し引き連続、0(ゼロ)~小学1年生の算数2

 掛け算の導入、足し算・引き算との関係~小学校の算数3

 同じ数ずつ分ける計算、割り算(除法)~小学校の算数4

 原始リカーシヴ関数と足し算(加法)、掛け算(乗法)

   

      (計 2540字)

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新型コロナの集団免疫に必要な免疫(抗体)獲得者の割合(閾値)、基本再生産数からの理論と計算式

2019年12月頃から生じた新型コロナウイルス感染症(COVID19)が、20年3月頃から急激に世界的に蔓延。その辺りから、「集団免疫」(Herd immunity)という言葉が時々使われるようになった。herd とは、管理された群れのことで、普通は家畜などを指す。

     

要するに、集団内の大勢の人々がかかって獲得した抗体によって、さらなる拡大を抑える機能・効果のこと。例えば人口の60%とか70%とかいう数字が挙げられて来た。どうせ非常に大まかな話だから、半分前後と思っておけば問題ない。

  

   

    ☆     ☆     ☆

それを政策的に目指すとなると、まだワクチンが開発されてない現在、非常に多くの感染者や死者数を認めることになるので、国民の合意も含め、なかなか難しい。

   

ただ、最近の様々な調査によると、確認されてる感染者数を大幅に上回る人達が、既にウイルスに抵抗する抗体を持ってるようだ。つまり、いつの間にか(あまり気付かない間に)感染してるということ。あるいは、感染とまでは言わないまでも、ウイルスと接触してるとか。

         

ということは、今後も感染者や抗体保有者が大幅に増え続けて、特に意図しないまま、集団免疫を獲得できる可能性がある。その前にパンデミック(大流行)が収まる確率の方が高いだろうが、ここで理論と計算を簡単にまとめとこう。

   

実はいまだに、不正確な言葉遣いが目立つし、具体的な計算式の説明もほとんど見かけないので。これは9年前、東日本大震災の後の放射線被ばく量の時と似た状況。特にマスメディアは、計算式を避ける傾向が非常に強いのだ。

   

   

     ☆     ☆     ☆

まず、大阪大学の阪大病院・感染制御部が一般向けに公開してるパンフレットを見てみよう。「I.C.T(感染制御チーム)Monthly no.233」、2015年12月の月報で、インフルエンザに関して説明されてる。

  

200506a

    

一般向けの説明だからか、前半はやや不正確な表現になってる。「集団免疫率・・・基本再生産数から算出されます」という部分は、正確には、「感染拡大を抑えるための最小限の集団免疫率は・・・」などと書くべき所だ。単なる集団免疫率なら、基本再生産数とは関係ない。全員にワクチンを投与するだけでも、集団免疫率は1に近づく。

    

基本再生産数R₀の説明も、「一人の感染者から生じ得る二次感染者数」とだけ書いてるが、正確には前置きとして、「免疫も対策も無い状態で」という言葉が必要。要するに、対策なしで、1人の感染者からウイルスを与えられる人数と考えれば分かりやすい(感染するしないは別)。

    

それを理解して初めて、「実効再生産数」との違いが分かる。実行ではなく、実効(effective)。例えば、基本再生産数が2でも、免疫獲得者や対策が増す中での、実際の二次感染者数は1.5に減ったりする。その時々で変化するこの実際の値が実効再生産数だとすべきなのに、例えばつい最近のロイター通信も、これを基本再生産数と報じてしまってるのだ。

   

とはいえ、国や組織、時代によって、認識や言葉遣いの違いがあるのは事実で、仕方ないから、その時の言葉遣いがどうなのか注意して区別したい。ちなみに国立がん研究センターの説明も、そこで引用されてる論文も、実効再生産数のことを基本再生産数と書いてるようだ。5月1日の厚労省・対策専門家会議のpdfは、正しく「実効再生産数」の推移を示してる。

   

   

    ☆     ☆     ☆

とにかく、1人のインフル感染者から、2人にウイルスがばらまかれるとしよう。集団免疫率50%の場合、ばらまかれた2人の内、1人だけが感染する。だから結局、元の1人の感染者から、別の1人の感染者が生じるだけで、順番で治癒(一部は死亡)していくから、人数的な拡大は一応抑えられるわけだ。

    

この50%という数字が分からなかったとして、x%とおき、計算で求めてみよう。基本再生産数は2集団免疫率x%なら、x/100の割合の人が免疫を持ってる。ということは、免疫を持ってない人(=感染してしまう人)の割合は、1-x/100。

  

 ×(1-/100)=1

∴ 1-x/100=1/2

∴ x/100=1-1/2

∴ =(1-1/)×100

   

結局、x=50(%)。最後の式で、2の代わりにR₀と書いてるのが、阪大の説明の式。英語版ウィキペディアでは、上の導出を一般的な形で表してる(上側3本の式、%は使わず)。ちなみに日本語ウィキは、英語版を翻訳する際に不正確な訳も混ざってるので、注意が必要だ。

    

200506b

  

上で、Sは免疫を持たない人の割合(当サイトのこの記事では、記号は省略)。pは集団免疫率。pcは、感染拡大を抑える集団免疫率の閾値(しきいち、いきち)。つまり、ギリギリの限界(最小)の値で、これより集団免疫率が上がると、感染は収束して行く。

  

  

    ☆     ☆     ☆

では最後に、新型コロナの場合に必要な集団免疫率の計算。基本再生産数は、WHOが感染初期の1月末に1.4~2.5程度と推定。仮に、社会にとって悪い側を想定して、2.5と仮定してみよう。計算方法は同じ。

  

(必要な集団免疫率)= 1-1/2.5

0.6

60%

  

もし基本再生産数が3と仮定するなら、0.666・・・、つまり67%。よって、余裕をもって考えると、集団免疫率70%が必要とかいう話になる。

  

下図は、基本再生産数4、集団免疫率3/4(つまり75%)の場合。4人グループごとに1人だけ感染して行く様子。専門誌の論文より

     

200506d

  

ちなみに、1-1/R₀、または(1-1/R)×100(%)という公式は、基本再生産数R₀が1以上の時しか使えない。1未満だと、左辺の集団免疫率がマイナスになってしまうので。1未満なら、集団免疫率ゼロでも感染拡大はもともと抑えられてることになる。

  

  

    ☆     ☆     ☆

なお、1以下の小数や分数で表される割合と、100以下の整数で表されることが多いパーセント表示との混同もありがちなので、注意が必要だ。例えば、経済産業研究所の説明は、やや専門的な内容にも関わらず、割合とパーセントを混同してしまってる。

  

200506c

  

「人口のZ%が免疫をもつ」という設定なら、上図の下段の式の1-Zは間違い。正しくは、1-Z/100。

     

最後に、話は逸れるが、重要な状況で専門家が間違えるくらいだから、小学校の算数で割合とパーセントが混同されがちなのは仕方ない。60「パーセント」を直訳して「100分の」60と言うことにすれば、60/100だから、1以下の割合だけで済む。ただ、今さらパーセント表示をなくすことは無理だから、両方を上手く切り替えるしかない。

  

ちなみにパーセントとは、「per cent」。つまり、「100あたりにつき」という意味だ。ここでのセントは、貨幣単位ではなく、100という意味。それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

        (計 2771字)

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小学校『5、6年の楽しいプログラミング ドリルの王様』、問題と解き方3

この1ヶ月半で、小学生向けの学習参考書『5、6年の楽しいプログラミング ドリルの王様』(新興出版社)について、問題と解き方を紹介する記事を2本書きました。1本目の記事へのリンクはここです。2本目へのリンクはここです。

  

今日はその続きとして、3本目の記事を書きます。下の画像は、AMAZON(アマゾン)の通販ページです。同じシリーズで、小学1・2年生用、3・4年生用のドリルもあります。

       

200305a 

   

  

    ☆    ☆    ☆

前の2回で大まかな説明はしてるので、今回はすぐ問題に行きます。

では、第1問。ドリルの49~50ページの問題、「24 コンピュータの考え方①」。

  

問① 2つのカーペットを重ねると、色が変わります。白の部分と白の部分が重なると、そこは白になります。それ以外の重なり方だと、その部分は黒になります。

では、下の2枚のカーペットを重なると、どんな模様(もよう)になりますか?

  

200414a

  

   

   ☆    ☆    ☆

この変化は、わりと簡単にイメージできると思います。答は下図です。

 

200414b

  

   

この変化はいずれ、中学校・高校・大学とかで、「ORゲート」のような名前で習います。読み方は、オーアール・ゲートとか、オア・ゲート。コンピューターの設計図の部品(のはたらき)なのです。

    

白と白で、白」は、「0+0=0」などと書きます。「黒と黒で、黒」なら、「1+1=1」などと書きます。ちょっと変な計算だけど、すぐになれます。書き方は色々あるので、その時の先生や本などの指示に合わせます。

  

  

    ☆    ☆    ☆

問③ 次の変化では、重ねる2枚のカーペットの片方でも白の部分は、白になります。黒の部分と黒の部分が重なると、黒になります。そのルールで色を変えた後、さらに、白は黒に変え、黒は白に変えます。

  

次の2枚のカーペットを重ねると、どんな模様(もよう)になりますか?

  

200414c2

  

  

    ☆    ☆    ☆

1つずつ、進みましょう。まず、2枚を重ねるだけだと、下図のようになります。

   

200414d

   

さらに、白と黒を入れ替えると、下図になります。これがです。

  

200414e

  

  

1つめの変化はいずれ、中学校・高校・大学とかで、「ANDゲート」のような名前で習います。読み方は、アンド・ゲート。これもコンピューターの設計図の部品です。

    

白と黒で、白」は、「0・1=0」などと書きます。「黒と黒で、黒」なら、「1・1=1」です。ちょっと変な計算だけど、すぐになれます。

  

2つめの変化はいずれ、「NOTゲート」のような名前で習います。読み方は、ノット・ゲート。コンピューターの設計図の部品なのです。「白は、黒になる」なら、「¬0=1」。「黒は、白になる」なら、「¬1=0」などと書きます。

   

2つの変化を合わせて、例えば、「黒と白を合わせて白にした後、黒になる」のなら、「¬(1・0)=1」などと書きます。ちょっと難しいですね。今はまだ、ふう~んと聞き流していいです♪

   

  

   ☆    ☆    ☆

では、第2問。ドリルの59ページの問題、「29 アルゴリズム④」。

  

ロボットに命令して、5つの箱に書かれた数を、小さい順に並べ替えます。最初は左から右に、5、2、3、1、4と並んでます。ロボットは次のルールに従って、左右に動きます。

 

1. 正面の数と右どなりの数を見る。

2. 右どなりの数の方が小さければ、正面と右隣りを交かんする。

3. 右へ移動する。右端に移動するまで、1~3をくり返す。

4. 右はしまで来たら、左はしにもどる。右はしに移動した箱は見ない。

  

下の表の、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)に当てはまることばは何ですか? また、全部で何回、箱を交かんしましたか?

  

比べた回数 比べる数 交かん 比べた後のならび方

0回目            52314

1回目  5と2  する  25314

2回目  5と3  する  23514

3回目  5と1  する  2315

4回目  5と4  する  23145

 (左はしにもどる)

5回目  2と3 しない  23145

6回目  3と1  する  21345

7回目  3と4 (ア)  21345

 (右はしの5は見ないで左はしにもどる)

8回目  2と1 (イ)  12345

9回目  2と3 (ウ)  12345

(右はしの4と5は見ないで左はしにもどる)

10回目  1と2 (エ)  12345

  

  

    ☆    ☆    ☆

ちょっと難しいですね。特に、右はしに来た時にどうするのか、問題文のルールも分かりにくくなってるので、自分で「たぶん、こうゆう意味だろうな」と考えることになります。問題文が長いので、少しはぶいて短くしてるのです。

    

7回目。3と4を比べると、右の4の方が大きいので、交かんは「しない」・・(ア)の答。8回目。2と1を比べると、右の1の方が小さいので、交かんは「する」・・(イ)の答

  

9回目。2と3を比べると、右の3の方が大きいので、交かんは「しない」・・(ウ)の答。10回目。1と2を比べると、右の2の方が大きいので、交かんは「しない」・・(エ)の答

  

全部で、交かんは、6回です。・・・

   

   

    ☆    ☆    ☆

全体を大きく見直すと、ロボットの右への動き4セットになってます。1つ目のセットで、5が一番右に決まります。次に左はしにもどって、2つ目のセットで、4が右から2番目に決まります。

  

また左はしにもどって、3つ目のセットで、3が右から3番目に決まります。また左はしにもどって、4つ目のセットで、2が右から4番目に決まって、おしまいです。最後のセットではもう、ロボットは動かず、1と2を見て比べるだけです。

   

アルゴリズム」という言葉は初めて聞いたかも知れませんね。ある数学者の名前から作った言葉なのです。要するに、何かある目的、問題の解決に向かって、1つずつ進む手続きをまとめたものです。

   

例えばこの問題なら、5つの数を小さい順に並べるための手続きのまとめ(アルゴリズム)、ということです。その中で、たとえば2つ目のセットなら、左側の4つの数の中で一番大きい数(つまり4)を、右はしから2番目に決めてるのです。

  

新型コロナウイルスのせいで大変ですが、気楽にがんばってくださいね♪ それでは、今日はこの辺で。。☆彡

   

     (計 2412字)

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パズル「ナンスケ」の解き方5~難易度4、朝日新聞be

朝日新聞・土曜の別刷beで、昨日(20年4月4日)また、「ナンスケ」というパズルが出ました。制作はニコリです。難易度は4(☆4コ)で、苦戦してる人も多いようです。新型コロナウイルスのせいで、みんな家にいるのでしょう。

       

ナンスケ(ナンバースケルトン)とは、数を並べて作った骨組みという意味。クロスワードパズルの言葉の代わりに、数を入れるのですが、解くためのヒントは、入れる数の候補のみ。

   

このサイトでは今まで4回、解説しています。19年5月11日の問題の記事、6月29日の問題、9月7日の問題、19年10月26日の問題。リンクを付けてるので、クリックとかタップで参考にしてください。

    

   

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今回は、次の20コの数が与えられてました。ちょっと多くなってます。

 

(3ケタ)222,234,255,354,423,541

(4ケタ)1237,2343,2455,2775,3423,3523,4234,4542,5232,5353,5543,7374

(5ケタ)77432,77454

    

骨組みを作る盤面は、下の通りです。応募する時の答は、ピンク色の枠のマス目2つに入る数の合計です。今回も、図をクルッと180度回転すると元通りになる、点対称の形。キレイですね♪

   

200405a

   

  

  ☆    ☆    ☆

では、いつものように少しずつ記事を更新しながら、解き方、考え方、攻略法、コツなどを説明して行きましょう。

   

最初に入れるのは、左側と右側に5つ並んだマス目2ヶ所の、最初の3つ。5ケタの数は、77432と77454の2つだけどちらも最初の3つは「774」なので、まず左と右の2ヶ所に774を入れます。少しの候補しかないケタ数(ここでは5ケタ)の共通点を見抜いたのです。

  

次に、左上の横の4ケタは、2番目が7なので、2775です。

      

200405b

  

これに続いて何が書けるでしょうか? 次の更新は、今日(4月5日)の夜にします。ではまた後で。。

    

    

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日曜の夜になったので、最初の更新です。

  

200405c

  

まず右側の横の4ケタ。3番目が7なので、7374です。2775はもう左上に書いてるので使えません。次に、右上の縦(たて)の4ケタ。4番目が7なので、1237です。

   

この後は、上側の横の3ケタが決定します。次の更新は、明日(月曜)の夜にします。なお、今週は合計14288字で終了となりました。ではまた来週。皆さん、くれぐれもお身体にご注意してください。。☆彡

   

   

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月曜の夜になったので、またちょっと書き足します。

  

200405d

  

上側の横の3ケタは、1で終わってるので、541です。続いて左上の縦の4ケタは、55で始まるので、5543です。

  

この後は、まず上半分をほぼ終わらせて、それから下半分を考えればいいでしょう。次はもう、土曜に正解が発表された後に更新して終わりにします。ではまた。。

   

   

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4月11日(土曜)になりました。正解が発表されたので、残りもカンタンに説明しときましょう。

  

200405e

  

左の4ケタ、3423と、真ん中の上側の3ケタ、423はすぐ分かります。右端の3ケタは、4で終わってますが、もし234だったら、右上の4ケタが見つかりません。だから、右端の3ケタは354。右上の4ケタは2343です。

   

200405f

   

残った3ケタの数3つは、どれも2から始まってるので、上図のように、2だけを書き込みます。後はもう、カンタンなので、途中の図だけにしときます。

   

200405g

  

200405h

   

200405i

  

というわけで、応募用の答は、右上が4、左下が3だから、足し合わせて7でした。ではまた。。☆彡

 

    (計 1004字)

  (追記427字 ; 合計1431字)

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