重力波の観測 by LIGO(ライゴ)~ノーベル物理学賞2017、授賞理由(英語原文と和訳)

171005a

 

2017年のノーベル賞は、最初の3賞で日本人が受賞しなかった

ので、日本のメディア報道はかなり小さくなってしまった。これが本来

の自然な扱いかも知れないが、年に一度の学問の祭典としては、

ちょっと寂しい感もある。後はノーベル文学賞狙いか。

 

ただ、今年のノーベル物理学賞の業績は、今後の科学の歴史に

残ると思う。少なくとも50年くらい。あるいは、新たな発見や理論に

よって、今回支持されたアインシュタインの一般相対性理論が否定

されてしまうまでは。

 

171005b

 

イラストの作者はお馴染み、ニクラス・エルメヘド(Niklas

Elmehed)。許容範囲の引用と考える。左から、レイナー・

ワイス(Weiss、85歳)、バリー・C・バリッシュ(Barish、

81歳)、キップ・S・ソーン氏(Thorne、77歳)の3氏。

 

賞の1/2がワイス氏(ウェイスという表記もあり)に授与されてる

から、中心人物として特別に評価されてるようだ。

 

 

     ☆        ☆        ☆ 

では、プレスリリース冒頭、授賞理由の英文を日本語に訳してみる。

ほぼ直訳。主要部分である前半だけ扱うので、全文は英語公式

サイトを参照。医学・生理学賞よりシンプルな英文だと思う。

 

171005c

 

The Royal Swedish Academy of

Sciences has decided to award

the Nobel Prize in Physics 2017

 

スウェーデン王立科学アカデミーは、2017年ノーベル物理学賞

を、次の3氏に贈ることを決定した。

 

with one half to Rainer Weiss

LIGO/VIRGO Collaboration

 

半分は、レイナー・ワイス氏に。ライゴ/バーゴ共同研究。

 

and the other half jointly to

Barry C.Barish

LIGO/VIRGO Collaboration

and Kip S.Thorne

LIGO/VIRGO Collaboration

 

そして、もう半分は、バリー・C・バリッシュ氏(同上)と、キップ・

S・ソーン氏(同上)に。

 

“for decisive contributions to the

LIGO detector and the observation

of gravitational waves”

 

“ライゴ検出器と重力波の観測に対する決定的な貢献に対して。”

 

 

171005f

 

(注. 上図は添付資料の一部。ブラックホールの合体で生じた

  重力波を、4kmの線2本が直交する観測装置ライゴでとらえる。

  2方向に分かれたレーザーが重力波で僅かにずれて干渉する。

  3000km離れた地点に2つ設置して、場所の影響を除去。

 

  なお、ライゴ観測所は天文台と表記する場合もあるが、イメージ

  的にはむしろ、装置とか検出器に近い。)

 

 

     ☆        ☆        ☆

171005d

 

Gravitational waves finally captured

 

重力波が遂にとらえられた

 

On 14 September 2015,the

universe’s gravitational waves

were observed for the very

first time.

 

2015年9月14日、まさに初めて、宇宙の重力波が観測された。

 

The waves,which were predicted

by Albert Einstein a hundred

years ago,came from a collision

between two black holes.

 

アルバート・アインシュタインによって100年前に予言されていた

その波は、二つのブラックホールの衝突から到来した。

 

It took 1.3 billion years ago

for the waves to arrive at the

LIGO detector in the USA.

 

その波が米国のライゴ検出器に到達するまで、13億年を費やした。

 

 

171005e

 

(注. 上図も添付資料の一部。ブラックホールの衝突時に、

   重力波の振幅が最大になってる。)

 

 

     ☆        ☆        ☆

The signal was extremely weak

when it reached Earth,but is

already promising a revolution

in astrophysics.

 

その信号は、地球に届いた時、極度に弱かったが、天文物理学

における革命を既に約束している。

 

Gravitational waves are an 

entirely new way of observing

the most violent events in

space and testing the limits

of our knowledge.

 

重力波は、宇宙で最も激しい出来事を観測する全く新しい手段で、

私たちの知識の限界を試している。

 

LIGO,the Laser Interferometer

Gravitational-Wave Observatory,

is a collaborative project with

over one thousand researchers

from more than twenty countries.

 

ライゴ(レーザー干渉計・重力波観測所)は、20ヶ国以上の

国から1000人以上の研究者を集めたプロジェクトである。

 

Together,they have realised a

vision that is almost fifty

years old.

 

力を合わせて、彼らはほとんど50年前からある構想を実現した。

 

The 2017 Nobel Laureates have,

with their enthusiasm and

determination,each been invaluable

to the success of LIGO.

 

2017年のノーベル賞受賞者たちはそれぞれ、熱意と決断力を

もって、ライゴの成功にとって計り知れない貴重な存在だった。

 

Pioneers Rainer Weiss and Kip

S.Thorne,together with Barry C.

Barish,the scientist and leader

who brought the project to

completion,ensured that four

decades of effort led to

gravitational waves finally

being observed.

  

開拓者のレイナー・ワイス氏とキップ・S・ソーン氏は、プロジェクト

完結リーダーである科学者バリー・C・バリッシュ氏と共に、40年の

努力を重力波発見へと確実に導いた。

 

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf.「重力波」観測の英語論文、要約(アブストラクト)の日本語訳

  体内時計と遺伝子の解明

   ~ノーベル医学生理学賞2017、授賞理由

 

                (計 2708字)

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温度と熱量、熱容量、比熱~物理の問題と解き方7

問題文を書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要問題

集』シリーズ、第7弾。また2ヶ月も間が空いてしまったが、今回も

数研出版が集めた過去の大学入試問題を解説してみよう。

 

これまでの6本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事は色々あ

るし、数学カテゴリーには多数の記事がある。相変わらずアクセス

は地味に続いてるので、受験生その他の需要はあるようだ。

 

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

 物体の衝突、運動量保存法則、はねかえり係数~物理6

 

 

今回は第7章、温度と熱量(p.43~)のA問題から3問。わりと

単純で簡単な分野だが、熱という特殊なエネルギーを扱う内容

だから慣れは必要だろう。

 

いつものように、式や説明は私が書いたもの。読みやすさと入力

環境のため、小文字を大文字に変えたり、添え字を小文字に変え

たりしてるが、言葉遣いは元のままだ。

 

 

     ☆        ☆        ☆

 66 (熱容量と比熱) 久留米工大

 次の各問いに、単位をつけて答えよ。

 

 (1) 比熱が0.1cal/g・Kである物体の温度を10℃から

    60℃まで上げるのに5000calの熱量が必要であった。

    この物体の熱容量はいくらか。

 (2) この物体の質量はいくらか。

 (3) 質量100gのある物体を80℃に熱して、容器に入れた

    温度10℃の水340gの中に落としてかきまわしたら、

    水と物体の温度は12度になった。物体から水に移動

    した熱量および物体の比熱を求めよ。ただし、容器の

    熱容量は無視する。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) 10℃から60℃まで50K上げる熱量が5000calだから、

    1K上げる熱容量は、

    5000 / 50 = 100(cal/K) ・・・答

 

 (2) 「熱容量=比熱×質量」だから、

    100=0.1×(質量)

    ∴ (質量)=100/0.1

           =1000(g) 

           =1(kg) ・・・答

 

 (3) (物体から水に移動した熱量)

       =(水が得た熱量)

       =(水の比熱)×(質量)×(上昇温度)

       =1×340×(12-10)

       =680(cal) ・・・答

 

    また、物体から移動した熱量が680calだから、

    (物体の比熱)×(質量)×(下降温度)=680

    ∴ (物体の比熱)×100×(80-12)=680

    ∴ (物体の比熱)=680/(100×68)

               =0.1(cal/g・K) ・・・答 

 

 

 (解説・感想)

 基本問題だが、問題文でわざわざ単位を求めてるので、単位を

 揃えて計算する。この種の問題では、質量の単位はgが普通

 なので、(2)では1000gのままでもいいはず。

 

 温度の単位は、 「℃」と「K」の違いを気にする必要はない。

 温度差が問題になる時は「K」が普通だろうが、問題文や説明文

 に「℃」と書いてることも多い。学校の場合は、先生に合わせる。

 (3)では、物体と水をハッキリ分けて考えればよい。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 67 (金属球の比熱) 東北歯大

 比熱がc1[cal/g・K]の金属で作った質量50gの

 容器に100gの水を入れて温度を測ったところ15℃で

 あった。これに80℃の湯70gを入れてよくかきまぜた

 ところ全体の温度が41℃になった。

 

 (1) この金属容器の熱容量a1はいくらか。

 (2) この金属容器の比熱c1はいくらか。

 

 引き続いて、この容器の中へ温度100℃で質量が200g

 の金属球を入れてよくかきまぜたところ、全体の温度が

 52℃になった。

 

 (3) この金属球の熱容量a2はいくらか。

 (4) この金属球の比熱c2はいくらか。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) (湯が失った熱量)

       =(金属容器が得た熱量)+(水が得た熱量)

    ∴ 1×70×(80-41)

         =a1×(41-15)+1×100×(41-15)

    ∴ 2730=26a1+2600

    ∴ a1=5(cal/K) ・・・答

 

 (2) (熱容量)=(比熱)×(質量)だから、

     5=c1×50

    ∴ c1=0.1(cal/g・K) ・・・答

 

 (3) (金属球が失った熱量)

       =(金属容器が得た熱量)+(水が得た熱量)

    ∴ a2×(100-52)

        =5×(52-41)+1×170×(52-41)

    ∴ 48a2=55+1870

    ∴ a2≒40(cal/K) ・・・答

 

 (4) (比熱)=(熱容量)÷(質量)

    ∴ c2=40/200

        =0.2(cal/g・K) ・・・答

 

 

 (解説・感想)

 金属容器と金属球、水とお湯、計4つの物質を合わせて考える

 ので、ミスが無いよう注意。(1)の熱容量は、比熱×質量で

 50c1と書いた受験生が少なくないと思うが、採点でどうなるか

 は不明。ただ、(2)が合ってれば、(1)は50c1でもいいはず。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 69 (熱量の保存) 近畿大

 

 3個の物体A、B、Cがあって、最初これらの物体の温度は、

 互いに異なっていた。まず、物体AとCとを接触させたら、

 物体Aの温度は41℃下がり、物体Cの温度は16℃上昇

 した。次に物体AをCから離して物体BとCとを接触させた

 ところ、物体Bの温度は2℃上昇し、物体Cの温度は10℃

 下がって、80℃となった。接触した物体の間だけ熱のやりとり

 があり、そのために両物体の温度が等しくなるものとする。

 

 (1) さらに物体CをBから離して、物体AとCとを接触

    させると、物体Cの温度は何℃になるか。

 (2) このようにして、物体Cを交互にAとBに接触させていく

    と、物体Cの温度は、しだいにある一定の温度に近づいて

    いく。この温度は何℃か。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) まず、Cの温度に注目すると、

     Aとの接触で74℃から90℃へと16℃上昇し、

     Bとの接触で90℃から80℃へと10℃下降。

 

    よってAはCとの接触で131℃から90℃へと41℃下降。

    BはCとの接触で78℃から80℃へと2℃上昇。

 

    ここで、A、B、Cの熱容量をそれぞれa、b、cとすると、

    41a=16c   ∴ a=16c/41

    2b=10c   ∴ b=5c

 

    よって、2度目のAとCの接触でt℃になったとすると、

    (16c/41)×(90-t)=c×(t-80)

    ∴ 16(90-t)=41(t-80)  (∵ c≠0)

    ∴ 4720=57t

    ∴ t≒83(℃) ・・・答

 

 (2) 無数の操作全体をまとめて考えると、

    (Aが失った熱量)=(Bが得た熱量)+(Cが得た熱量)

 

    よって、最終的に近づく温度をs℃とすると、

    (16c/41)×(131-s)

       =5c×(s-78)+c×(s-74)

    ∴ 16(131-s)=205(s-78)+41(s-74)

    ∴ 2096+15990+3034=(16+205+41)s

    ∴ 262s=21120

    ∴ 131s=10560

    ∴ s=80.6・・・

        ≒81(℃) ・・・答

 

 

 (解説・感想)

 やや問題文が読みにくいが、実力が問われるユニークな良問だと

 思う。質量も比熱も出てないので、熱容量だけで解く。変数3つは、

 条件を使って1つだけに絞る(ここではc)。最後は計算が面倒

 なので慎重に変形。

 

 おそらく、何か具体的な例があるのだろう。例えば、高温のAから

 低温のBに熱を移したいが、Bは高い温度に耐えられないから、

 Cを媒介にして熱を移動させるとか。Cは単なる媒介だからこそ、

 主役のAとBに続くアルファベットを選んでるのだと想像する。

 

 

毎度の事ながら、物理の記事は入力が大変だと痛感しつつ、

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

                  (計 2972字)

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物体の衝突、運動量保存法則、はねかえり係数~物理の問題と解き方6

問題文を書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要問題

集』シリーズ、第6弾。約半年ぶりになってしまったが、今回も数研

出版が集めた受験問題を解説してみよう。

    

これまでの5本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事は色々あ

るし、数学カテゴリーには多数の記事がある。アクセスは地味に続

いてるので、それなりの需要はあるようだ。

    

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

     

今回は第6章、運動量の保存(p.36~)のA問題から3問。

いつものように、式や説明などはすべて私が書いたもの。

読みやすさと入力環境のため、小文字を大文字に変えた

り、添え字を小文字に変えたりしてるが、言葉遣いは元の

ままだ。

  

   

     ☆        ☆        ☆

 54 (一直線上の衝突) 関西学院大

  

 なめらかな水平面上をx方向に運動する2つの球A、Bが

 向心衝突した。A、Bそれぞれの衝突前の速度をVa、

 Vb、衝突後の速度をUa、Ub、質量をMa、Mbとする。

    

 (1) 反発係数(はねかえりの係数)eを上の記号を

    用いて表せ。

 (2) Va=26m/s、Vb=8m/s、Ma=0.4kg、

    Mb=1.8kg、e=0.8としてUa、Ubを求めよ。

 (3) この衝突によって失われた力学的エネルギー

    ΔEを計算せよ。

 (4) 失われた力学的エネルギーは何に変わったか。

   

   

      ☆        ☆        ☆

 解答

 (1) 定義式より、 

   e = -(Ua-Ub)/(Va-Vb) ・・・答

    

 (2) 反発係数の定義式より、

    0.8=-(Ua-Ub)/(26-8)

    ∴ -Ua+Ub = 14.4 ・・・①

    また、運動量保存則より、

    0.4×26+1.8×8=0.4Ua+1.8Ub

    ∴ 2Ua+9Ub=124 ・・・②

    ①②の連立方程式を解いて、

     Ua=-0.5 m/s,

     Ub=13.9 m/s ・・・答

    

 (3) ΔE={(1/2)×0.4×26²+(1/2)×1.8×8²}

  -{(1/2)×0.4×(-0.5)²+(1/2)×1.8×13.9²}

       =18.9 (J) ・・・答

    

 (4) 熱エネルギー、音のエネルギー、

    球の変形のエネルギー ・・・答

  

   

 (解説・感想)

  全くの基本問題で、小数や分数の計算ミスに注意すれば

  よい。数値がキレイに出ないし、有効数字も不明だが、

  (2)の問題文から、小数第1位までと考えておいた。2ケ

  タで答えても、ほとんど減点はないはず。

  

    

      ☆        ☆        ☆

 55 (走る台車からの打ち上げ) 上智大

   

 水平面上に固定されたなめらかなレール上を、質量

 500g(弾丸を含む)の台車が2.0m/sの速さで

 走っている。時刻t=0に、この台車から100gの

 弾丸を、水平面上の観測者から見て、鉛直方向から

 30度後方に向けて12m/sの速さで打ち上げた。

 弾丸が上昇して再びレール上に落下した瞬間の台車

 と弾丸との距離はいくらか。ただし、重力の加速度

 9.80m/s²、√3=1.73とする。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答

170502a_va_vix

    

 発射後の台車の速さを x m/sとする。

 水平方向の運動量保存則より、右向きを正として、

  0.5×2.0=0.4x+0.1×(-12×sin30°)

 ∴ 1=0.4xー0.6   ∴ x=4 

   

 また、弾丸の鉛直方向の初速は、

 12×cos30°=6√3=10.38

   

 鉛直方向・上向きを正とし、時刻t(>0)における

 位置が0とおいて、

 10.38t-(1/2)×9.8×t²=0

 ∴ 10.38=4.9t   ∴ t=2.12

   

 これが弾丸落下時の時刻だから、求める距離は、

 (台車の右向き移動距離)+(弾丸の左向き移動距離)

 =4×2.12+(12×sin30°)×2.12

 =10×2.12

 =21.2 (m) ・・・答

  

    

 (解説・感想)

 水平面上から台車の上の面までの高さが書いてないから、

 ゼロと解釈。問題文が3ケタの数字になってるから、tは

 4ケタで計算する方がいいかも知れないが、おそらく問題

 作成者でさえ3ケタで計算してるはず♪

 弾丸の打ち上げ角度を、水平方向に対して30度だと誤解

 しないように。。

   

    

     ☆        ☆        ☆

 56 (床との衝突 東京水産大

   

 高さ10mの所から、ボールを静かにはなして床に落とし

 たら、衝突してはね上がり、6.4m(最高点)までもどった。

 このあと再び床に落ちてはね上がることをくり返した。重力

 加速度を9.8m/s²とする。

    

 (1) はねかえりの係数を求めよ。

 (2) 手をはなしてから、床ではね返り、6.4mの最高点

    に達するまでにかかる時間を求めよ。

 (3) 2回目に床に衝突する直前の速度と直後の速度を

    求めよ。

 (4) 何回かくり返しているうちに、最高点はしだいに低く

    なるが、最高点が3.0mに達しないのは何回目の

    衝突のあとか。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答

 (1) 衝突直前の下向きの速度を x m/sとすると、

     速度、加速度、距離の関係式より

     x²-0²=2×9.8×10

     ∴ x=14

     衝突直後の上向きの速度を y m/sとすると、

     0²-y²=2×(-9.8)×6.4

    ∴ y=11.2

    よって、 速度ゼロのまま動かない地面に関して、

    (はねかえりの係数)

      =-(11.2-0)/(-14-0)

      =0.8 ・・・答

    

 (2) (落ちる時間)+(上がる時間)

    =14/9.8+11.2/9.8

    =2.6 (s) ・・・答

    

 (3) 下向きを正とすると、

    (2回目の衝突直前の速度)

    =(1回目の衝突直後の速度の符号を逆にしたもの)

    =-11.2 (m/s) ・・・答

   (2回目の衝突直後の速度)

    =-(衝突直前の速度)×(はねかえり係数)

    =-11.2×0.8

    =-9.0 (m/s) ・・・答 

   

 (4) 上向きを正として、

    (3回目の衝突直後の速度)

    =(2回目の衝突直後の速度)×(はねかえり係数)

    =9.0×0.8

    =7.2 (m/s)

    最高点の高さをhとすると、

    0²-7.2²=2×(-9.8)h

    ∴ h=51.84/19.6 < 3 (m)

    よって、3回目の衝突のあと。 ・・・答

   

    

 (解説・感想)

 鉛直方向のはね返りの問題では、速度計算する時の符号の

 プラス・マイナスに注意する必要がある。

   

 2回目以降の衝突の計算では、はねかえり係数の定義式を

 使うのは省略した。もし時間があれば、真面目に定義に従う

 ところだが、多くの受験生は省略すると思う。

    

 (4)の問題文は、おそらく「はじめて3.0mに達しない

 のは・・・」という意味だろうと解釈した。文字通りに読むと、

 答は、「n回目の衝突(n≧3)」とかだろう♪

    

    

やはり、物理の記事は入力が大変だなと思いつつ、それでは

今日は この辺で。。☆彡

    

                    (計 2650字)

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『頭脳王2016』問題・解説2~大谷のホームランの飛距離、数列8パズル、ジグソー不足ピース

(☆追記: これに続く記事も3日後にアップした。

  『頭脳王2016』問題・解説3

    ~立体三目並べの先手必勝法&コンピューター対局内容 )

   

   

    ☆        ☆        ☆

今日も第2弾として、日テレ『頭脳王2016決定戦』の理数系

の問題を解説する。昨日の第1弾記事は次の通り。タイトルに

入ってない問題についても、末尾のP.S.でコメントしてある。

    

 『頭脳王2016』、太陽にスマッシュしたシャトルが届く時間

          &立方体の体積の解説

    

一方、今年と来年の一次予選の記事は次の2本。

   

 『頭脳王 2017』実力テスト「謎解きクイズ」、問題と考え方

 『頭脳王2016』1次予選クイズの問題、解き方、感想

    

それでは今日は、物理(力学)の問題から始めよう。

   

   

     ☆        ☆        ☆

二刀流で大活躍のプロ野球選手・大谷が、実力2倍になって、自分

自身と勝負したら、特大ホームランとなった。飛距離はいくらか?

    

 投手・大谷の球速と、打者・大谷のスイングスピードは、

 共に時速330km/h。

 バットとボールの重さの割合は、6.5 : 1。

 バットとボールはバッティングの瞬間まで

 水平な同一直線上を移動。

 バッティングの直後、バットは下方向に軌道を変えたが、

 僅かなので考慮せず、水平を保つとする。

 バットのスピードはバッティング前の72%まで低下。

   

 打球は地面から仰角45度で打ち上げられ、

 ボールの着地点は打点と同じ高さ。

 空気抵抗や外力は無視。重力加速度は9.8m/s²。

 飛距離はメートル単位の整数値。小数第1位を四捨五入。

   

  

かなり色々と条件がついてるが、これでもまだ、問題の説明が足り

ないような気がする所だろう。そもそもバットは、直線運動ではなく

て回転運動だから、外力(手の力)が大前提のまず♪ 

   

まあ、色々と好意的にシンプルな解釈をしてみると、テレビで正解

とされた距離と同じ答に到達できた。要するに、2物体の衝突と、

斜方投射による放物運動との組合せだ。

    

    

     ☆        ☆        ☆

(解答) まず、時速を秒速に換算する。

  時速330km=3600秒で330000m

         =275/3 (m/s)

     

次に運動量保存則を用いる。バットから投球への向きを正とし、

バットとボールの質量を6.5a(kg)、a(kg)とする。

さらに、打球の水平方向の速度をv(m/s)とすると、

     

  a×(-275/3)+6.5a×275/3

    =a v+6.5a×{(275/3)×0.72}

 ∴ v=451/6 (m/s)

  

仰角45度だから、鉛直方向のスピードも同じ(上向きを正)。

ここで、打点の高さを基準点として、打球の鉛直方向の

位置(打点から見た高さ)hを時間tで表すと、

 h=(451/6)t-4.9 t²

  

着地点では、h=0、t>0だから、

  0=(451/6)t-4.9 t²

 ∴ 451/6-4.9t=0   ∴ t=2255/147 (s)

   

 ∴ (飛距離)=(水平方向の移動距離)

        =(水平方向の速度)×(時間)

        =(451/6)×2255/147

        =1017005/882

        =1153.0・・

        =1153 (m) ・・・ 答

    

   

     ☆        ☆        ☆

一応、筆算の図も挿入しとこう。私も電卓やアプリの類は使わず、

自分の手で計算した。昨日の記事で扱った太陽シャトル問題よ

りは簡単だ。

           

161218f2

    

           

161218g

    

  

ちなみに、衝突後のバットの速度が与えられてるので、はねかえり

係数(=反発係数)は不要。また、衝突では一般に力学的エネ

ルギー保存則は使えないのが普通で、ここでも保存されない。

高校1年か2年の物理の発展問題レベルであって、難問ではない。

   

もし「2倍の大谷」ではなくて、その半分の「普通の大谷」だと、打球

のスピードは半分になって、飛距離は4分の1になる。つまり、

288m程度。

   

ただし、現実の世界だと、打球は空気抵抗を強く受けるし、仰角

が45度(理論的にベストの角)ではないので、百数十mになる。

   

    

    ☆        ☆        ☆ 

続いて、「数列パズル」とテロップが出てた、3×3のスライ

ディング・パズルとか8パズルと呼ばれるもの。4×4

の15パズルの方が普通だろう。実物のオモチャが無くても、

紙に書くだけで楽しめるし、数学的にも興味深い脳トレゲーム。

   

最初の状態から、次の図のように、1個ずつ数字ブロックを上下

左右にスライドさせていけば、12345678の順に並べられる。

3×3で配置も簡単だから、私も含めて、知ってる人なら秒単位。

実物も紙も不要。頭の中のイメージを動かすだけ。

         

161218a

   

161218b

    

161218c

   

  

参考までに、8パズル関連の当サイトの記事も紹介しとこう。

2本目はややハイレベルで、基礎知識は不要だけど、大学

1、2年の内容が入ってる。

     

 「15パズル」の攻略法~8パズル、3パズルへの還元

 置換・互換と14-15パズルの不可能性

       ~3パズル&8パズルからの証明

    

       

     ☆        ☆        ☆

今日の最後は、絵が描かれてないし、1ピース足りないジクソー

パズル。緑の正方形の枠に、小さな正方形に近い15コの

ピースを入れた時、足りないピースの形は何か? 出場者は

秒速で、頭のイメージだけでイラストを描いてた。

  

昨日と同様、1枚だけ静止画キャプチャー(写メ)を掲載させて

頂こう。非営利の個人ブログで、番組レビューのための限定的

引用なので、著作権的に問題は生じないと考える。

   

161218d

   

   

     ☆        ☆        ☆

    

私には、これを頭の中だけで組み合わせるのは無理。それ

でも、足りないピースの形は書けるのだ。

   

15コのピースで、突起もくぼみもない真っ直ぐな辺の数を数え

ると、ちょうど16ある。ということは、これらが緑の枠と接する

部分で、それ以外の辺は、あるピースの突起と他のピースの

くぼみの組合せになってるはず。

    

15コのピースの突起は21個。くぼみは23個。ということは、

足りない1個のピースだけ見ると、突起がくぼみより2個多い

はず。

   

突起が2個、くぼみが0個のピースだと、真っ直ぐな辺が2つ

出来てしまうので不適。よって、足りないピースは、突起が

3個、くぼみが1個。イラストは次のようになる。

    

161218e

  

ちなみに、隣り合う2辺が共に真っ直ぐになってるピースが

4コあって、それらが緑の枠の四隅になる。ただ、その配列まで

は分からないから、この問題だと、すぐに隅に置けるのは1コ

だけ。あとの3コの配置は、そこから考える必要がある。

     

  

    ☆        ☆        ☆

これであと、気になる理数系の問題は、立体三目並べのみ。

これは場合分けが面倒だし、図を描きにくいので、しばらく時間

がかかると思う。できれば1週間以内にアップしたいけど、あま

り自信はない。

☆追記: 3日後に先手必勝法の記事をアップした。)

    

ただ、ルービックキューブと比べると遥かに単純で、別にコン

ピューターが必要な問題でもないので、遅くとも1ヶ月以内には

記事を書けると思う。おそらく、先手の人間必勝か引き分けの

ゲームだろうと思うけど、細かく調べてみないと分からない。

    

なお、今週計14343字となった。ではまた来週。。☆彡

    

                 (計 2654字)

      (追記 92字 ; 合計 2746字)

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単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理の問題と解き方5

問題文をブログに書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要

問題集』シリーズ、第5弾。今回も、数研出版が集めた受験問題を解説

してみよう。これまでの4本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事

は色々あるし、数学カテゴリーには多数の記事がある。

   

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

  

今回は第5章、単振動・単振り子(p.30~)のA問題から

3問。いつものように、式や説明などはすべて私が書いたもの。

元の問題集は、最後の数値など、最低限の事しか書いてない。

      

  

      ☆        ☆        ☆  

 43 (質点の単振動) 東京商船大

 

 次の文章の中の空欄(長方形)にあてはまる数値、またはグラフ

 を描け。ただし、数値は有効数字2桁まで求めよ。

   

  質量9kgの質点がx軸上を単振動している。x=1mの点

 Aをx軸の正の向きに通過した質点が、t=3sでx=3m

 の点Bに到達し、その後、向きをかえ、t=6sで点Aを

 x軸の負の向きに通過した。質点の速さは、点Aを通過する

 とき最大となり、点Bでは0であった。

   

 (1) この質点の運動について、時刻tと座標xの関係を表す

  グラフを、時刻t=0から9sまで、右図に描け。

 (2) 単振動しているとき、速さの最大値は振幅と角振動数

  (振動数に2πをかけたもの)の積であるから、点Aで質点

   がもつ運動エネルギーは     Jである。

 (3) この運動では、質点にはたらく力の大きさは点Aから

  質点までの距離に比例し、その比例定数は質量と角振

  動数を用いて表すことができる。時刻t=9sのとき、

  質点にはたらく力の大きさは     Nである。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答(1)

161127c    

   

 (2)グラフのように、振幅(上下の触れ幅)は2m。

   また、周期は12sだから、

   (角振動数)=2π/(周期)

           =2π/12

           =π/6

   ∴ (点Aでの速さ)=(速さの最大値)

               =(振幅)×(角振動数)

               =2×(π/6)

               =π/3

   ∴ (点Aでの運動エネルギー)

        =(1/2)×(質量)×(速さ)²

        =(1/2)×9×(π/3)²

        =π²/2

        ≒9.86/2

        ≒4.9 (J) ・・・ 答 

   

 (3) (力)=-(質量)×(角振動数)²×(変位)

        =-9×(π/6)²×(-2)

        =π²/2

     ∴ (力の大きさ)≒4.9 (N) ・・・ 答

   

  

 (解説・感想)

  グラフの縦軸がx軸になっている点と、単振動の中心が

  原点ではなくx=1であることに注意。問題文の最初に

  時刻t=0sと書いてないのは意図的なものだろうが、

  おそらく気づかなかった受験生が多いと想像する。

  

  後は親切で簡単な基本問題で、(2)と(3)の計算式

  が同じである点も嬉しい。ただ、試験会場だと逆に、やや

  不安になる所かも。

 

  なお、「力」とは向きも考えた概念で、この問題の場合は

  直線運動だから、正負の符号があるもの。一方、「力の

  大きさ」とは、力の絶対値だから0以上で、符号なし。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 46 (ばね振り子)  都立大 91年

 

 自然の長さL、ばね定数kの、重さを無視できるばね(つり巻き

 ばね)がある。 重力加速度の大きさをgとして、次の問いに答

 えよ。

  

 (1) 上端を固定し、下端に質量mのおもりをつるしたら、自

  然の長さから長さ x0 だけ伸びてつりあった。x0 を求めよ。

  

 (2) 次に、つりあいの位置から長さAだけばねを伸ばして

  静かにはなすと、おもりは単振動を行った。この振動で、

  ばねが自然の長さからxだけ伸びているときの、おもりの

  加速度aを、k、m、x、x0 を使って表せ。ただし、鉛直

  下向きを正の向きとする。また振動の周期Tはいくらか。

  

 (3) (2)の振動において、ばねが自然の長さからxだけ

  伸びているときの、ばねの弾性力の位置エネルギー

  Wと、おもりの重力の位置エネルギーUはいくらか。

  ただし、位置の原点は自然の長さの位置にとる。また、

  このときのおもりの運動エネルギーKを求めよ。解答

  にx0が現れたときには(1)で求めたx0を代入せよ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答(1) k x0 = mg   

      ∴ x0 = mg/k ・・・ 答

   

 (2) (加速度a)=(力)/(質量)

           =-k(x-x0)/m

           =k(x0-x)/m ・・・ 答

     (周期T)=2π√(m/k) ・・・ 答

  

 (3) (弾性エネルギーW)

       (1/2)kx² ・・・ 答

     (位置エネルギーU)=-mgx ・・・ 答

  

    長さx0の時、

    (力学的エネルギー)

      =(1/2)k(x0)²-mgx0

    長さxの時、

    (力学的エネルギー)

      =(1/2)kx²-mgx+K

   

    よって、力学的エネルキー保存則より、

    (1/2)k(x0)²-mgx0

        =(1/2)kx²-mgx+K

   

    x0=mg/kを代入して、Kについて解くと、

    K=(1/2)k(x0)²-mgx0

          -(1/2)kx²+mgx

     =(1/2)k(mg/k)²-mg(mg/k)

           -(1/2)kx²+mgx

     =mgx

      +(k/2){A²-x²-m²g²/k²} ・・・ 答

   

   

 (解説・感想

  丁寧な問題文と誘導で、出題者の実力を感じる。下の問題

  文と比べるとかなりの差がある。それはさておき、(3)の

  運動エネルギーだけが重要で、そこまでは誘導しながら、

  少しずつ点数を与えてるわけだ。

  

  最後の計算がやや面倒だが、保存則の式が書けてれば、

  ある程度以上の点数をもらえると思う。ちなみに、「振り子」

  とは普通、左右に揺れる物を指す言葉だが、「ばね振り子」

  の場合は上下の振動を指すようだ。

   

   

    ☆        ☆        ☆

 48 (2本のばねによる単振動)  千葉工大

  

 質量mの物体Aが、ばね定数がk1で自然長がL1の

 ばねS1と、ばね定数がk2で自然長がL2のばね

 S2に図のように結びつけられて摩擦のない水平面

 上に静止している。

  

 

161127d

   

 このとき、S1、S2は自然の長さの状態にあり、Aの

 位置をx軸の原点Oとし、S2側を正の向きとする。

 S1の左端とS2の右端は壁に固定されている。ばね

 の質量と空気の抵抗はないとして、次の問いに答えよ。

  

 〔1〕 Aに外力Fを加えてAを右方にaだけ変位させた。

  (1) S1がAに及ぼす力はいくらか。

  (2) S2がAに及ぼす力はいくらか。

  (3) Aに加えた外力Fはいくらか。

  (4) 外力FがAになした仕事はいくらか。

  

 〔2〕 〔1〕の状態から外力FをAから取り除いたら

    Aは単振動した。

  (5) Aが原点Oを通過するときのAの速さはいくらか。

  (6) Aの単振動の周期はいくらか。

  

   

    ☆        ☆        ☆

 解答〔1〕

  (1) -k1 a ・・・ 答

  (2) -k2 a ・・・ 答

  (3) (外力F)=-(上の2つの力の和)

           = (k1+k2)a ・・・ 答

  (4) (外力がなした仕事)

      =(ばねS1とS2が得た弾性エネルギーの和)

      =(1/2)(k1+k2)a² ・・・ 答

  

  〔2〕(5) (4)の仕事が、原点での運動エネルギー

      ∴ (1/2)(k1+k2)a² 

           =(1/2)m(速さ)² 

      ∴ (速さ)=a√(k1+k2)/m ・・・答

     (6) ばね定数 k1+k2 の1本のばねに

        よる単振動と考えられるから、公式より、

        (周期)=2π√{m/(k1+k2)} ・・・答

   

   

 (解説・感想)

  ばねが2本あることだけがポイント。簡単な誘導も付い

  てるが、解いた経験がほとんど無い受験生だと、考え

  が上手くまとまらないかも知れない。

  

  前の問題もそうだが、もちろん実際には、徐々に振幅

  が縮まる減衰振動となる。ばねとおもりが失った力学

  的エネルギーは、天井や壁の振動になったり、熱エネ

  ルギーに変換されるはず。鉛直方向で重いおもりを

  振動させると、ばね自体も少し伸びてしまって、自然の

  長さやバネ定数が変わるだろう。

   

なお今週は計16326字で終了。ではまた来週。。☆彡

    

                     (計 3061字)

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満月の大きさと楕円軌道の変化~月・地球・太陽の万有引力による三体問題

昨日、2016年11月14日は、「スーパームーン」が見れるという

ことで、メディアが多少盛り上がってた。

   

国立天文台HP(暦計算室)は、スーパームーンにはっきりした定義は

ないと書いてるが、要するに「超・月」。「超」大きく見える満「月」という

こと。1年ちょっと経つ度に現れる大きな満月か、その中でも数十年

に1回くらいしかない大きさの満月か、どちらかを表してるわけだろう。

        

どちらにせよ、それほど変わらないようで、小さい時と比べて大きさ

が14%増えて、明るさが30%増えるというお話。

   

(面積比)=(相似比)の2乗

∴ (面積の倍率)=1.14倍×1.14倍=1.30倍

明るさは面積に比例するので、1.30倍。つまり30%増。

    

という単純な計算だろうか。この記事では明るさ問題にはこだわらない。

        

   

     ☆        ☆        ☆

この現象に関する天文学的説明を、国立天文台HPで細かく読むと、

なかなか納得できない点が色々あった。昨夜は、本物の月の代わり

に、各種の解説図の月を延々と眺めることになったのだ。

         

おかげで、それなりに理解できたし、国立天文台の説明が多少おかし

いことにも気付いた。もちろん、一般市民向けの説明として、専門家が

分かりやすさを心がけた結果だろうが、数学好きの私から見ると、間

違いと言っていいような部分もあるし、論理的に飛躍した部分もある。

  

例えば、離心率eが大きくなるから、最近距離a(1-e)が小さ

くなるとか。楕円軌道の長半径aも同時に大きくなると、そんなことは

必ずしも言えないし、実際、aが大きくなってる図を書いてたのだ。

    

既に早くも流行遅れだし、数学的・物理学的にマニアックな話にもな

るが、個人的考察を簡単にまとめとこう。図はすべて、天文台のイラ

ストを加工して、引用させていただいた。

      

   

      ☆        ☆        ☆

最初に、月、地球、太陽の位置関係と満月について、確認しとこう。

小学校の理科の話に近いが、満月が「望」、反対の新月が「朔」(さく)

と呼ばれる点に注意。

   

161115a

    

下側のピンクの丸印が、満月、つまり「望」。太陽、地球、月の順に、

一直線に並んだ時に生じる。太陽に照らされてる月の表面全体を、

地球から見てるわけだ。以下では、この満月=望に焦点を絞り込

んで考える。

   

まず、上図を90度回転して、以下の話に合わせとこう。月の軌道の

右端、ピンクの丸印を付けてるのが満月、つまり「望」だ。

     

161115b

   

   

     ☆        ☆        ☆

ここまで、月が地球中心に円運動してるかのように説明してるが、

より正確には楕円運動だ。

   

下図は、太陽を回る惑星(地球など)の軌道だが、地球と月の関係も

こんな感じになる。太陽は、楕円の焦点と呼ばれる位置にある。

     

161115c_2

  

右端のピンクの丸印は、地球などの惑星が最も太陽に近づく「近日点」。

お日様に近い点という意味だ。

   

だから、月の楕円軌道で最も地球に近づく時なら、地球に近い点という

意味で「近地点」と呼ばれる。また、地球はこの楕円の焦点あたりに位

置する。要するに、中心から少しズレた場所だ。

     

   

      ☆        ☆        ☆ 

次に、太陽を回る地球の公転と、地球を回る月の公転を合体させる。

ここでは、地球の軌道はほぼ円、月の軌道はかなり極端な楕円として

描いてる。地球の軌道の方が円に近いので、分かりやすく対比を付け

てるわけだ。青丸が地球。ピンクの丸印が、近地点での満月。ここでは

点線は気にしない。

     

161115d_3   

   

    

       

      ☆        ☆        ☆

地球は1年で太陽の周りを公転するから、大まかに言うと、1年に

1回くらいピンク色の丸印の位置に月が来て、近地点だから大きな

満月=月になる。

  

正確には、近地点と満月は時間的に少しズレるようで、例えば今回

の場合だと、近地点の2時間半後が満月。まあ、月の見え方というの

は巨大なスケールの話だし、細かい誤差は気にしないということか。

    

あと、実は月の楕円軌道自体も回転する。イメージがつかめなけれ

ば、こちらに簡単なアニメがある。地球の周りを8.85年で1回転。

その他、複雑な理由が重なって、近地点の満月は約410日に1回

くらいになるらしい。この日数を、天文台は「約14朔望月」と書いてる。

    

     

     ☆        ☆        ☆

いずれにせよ、1年ちょっとで大きな満月が見れるわけだが、その大き

さも微妙に変化するらしい。月と地球の中心の距離(地心距離)で、

数km~数十kmほど。

  

昨日のスーパームーンは、その意味で68年ぶりの近さ(つまり大きさ)

だったが、天文台はかなり冷めた書き方をしてた。そんな僅かな差より、

真上で月を見るか、地平線の辺りで見るかの違いの方が遥かに大きい

からだ。

  

言われてみれば、真上に見る時の方が、地球の半径の長さ6400

kmくらい近いことになる。ただし、心理的効果によって、真上の月は

逆に小さく感じてしまい、地平線の辺りの方が大きく見えるのが普通。

私も何度も試したが、錯覚だと教えられても、そうとしか見えない。

    

    

      ☆        ☆        ☆

最後に、遥かに難しい話に向かおう。ここで私は悩むことになった。

  

近地点の満月では、特殊な2つの効果も加わって、より近くに満月が

来るというのだ。「出差」(しゅっさと読む)と、「二均差」。

左下の「出差」の図については、この記事の最後で再び考え直す。

          

161115e

    

「出差は太陽の影響で楕円がゆがむ効果」。「二均差は太陽の

影響で軌道のカーブが変化する効果」と書かれてるが、何がどう

違うのか、どうして分けるのか、なかなか分からなかった。

   

   

     ☆        ☆        ☆   

英語のウィキペディアなども読みながら考えた結果、おそらく原理的に

はこうゆう事だと思う。

   

本当は、月と地球と太陽、三つの天体が万有引力によって非常に複雑

な運動をするのであって、知る人ぞ知る、三体問題。より一般的に言う

と、「多体問題」。万有引力の3本の方程式から、キレイに軌道の式を

導くことはできない。そもそも、楕円軌道とか焦点という話も、正確には

近似に過ぎない。天体は無数。質量が重心の一点にあるわけでもない。

       

だから、シンプルな三体問題に絞り込んで、数値解析のような近似計

算を使うと共に、実際の計測で補うのだと想像する。

    

その一方で、三体問題を二体と考える近似的やり方も、ニュートン以前

からある。まず、太陽と月、太陽と地球の関係を考えて、それらを総合

するのが出差。たとえば、月の方が地球よりも太陽に強く引き付けられ

るから、月と地球の距離が変わるとか。

             

また、地球と月の関係を基本にして、それに対する太陽の僅かな影響

を考えるのが、二均差。一般的には、「摂動」と呼ばれる補正的な項目。

  

要するに、出差も二均差も、昔ながらの近似的で実用的な説明だから、

物理学的・数学的な違いがハッキリしないのだと思う。近地点の満月

の周期が約410日(14朔望月)になることについて、定量的な

説明が見当たらないのも、そうした背景によるものだと想像する。。

    

    

      ☆        ☆        ☆ 

最後に、天文台HPの図の問題点について、一言だけ書いとこう。

出差の図の一部分だけ再掲する。

   

161115f

     

この楕円だと、ゆがみ過ぎてて、地球にもっとも近い点は上と下に

あるように見えてしまう。

  

それは強調表現としても、この点線の軌道だと、右端にある近地点

の満月は、実線の軌道より離れてしまってる。これでは、「出差に

より・・・・・・最近距離は小さくなり」などの説明と矛盾してしまう。

   

おそらく、正しくは、点線を次のピンク色のように書くべきだろう。

  

161115g

    

これなら確かに、右端の近地点の満月が、黒い実線よりも地球

(青丸)に近づいてる。その後の説明文とつじつまが合うのだ。

    

いずれまた、データや数式をまじえて、もっと細かい話を書きたいと

思ってる。今日のところは、この辺で。。☆彡

        

                      (計 3055字)

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等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理の問題と解き方4

数研出版『物理重要問題集』の中から、適度な問題を選んで紹介&解説

するシリーズ、第4弾。これまでの3本は次の通り。アクセス数は期待

してなかったが、多少の需要はあるようだ。

     

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

       

今日は時間が無いし、風邪気味で体調が悪いから、すぐ1問目に

向かおう。第4章、円運動・万有引力。p.25のA問題2つから。

   

  

      ☆        ☆        ☆  

 33 (ばねにつけられたおもりの円運動) 愛知医大

   

 水平に置かれた円板上に半径に沿った溝があり、その中に

 質量mのおもりAをつけた軽いばねが水平に置かれている。

 図は円板を上から見たようすを示している。

  

161029a

 

 ばねの定数は k、自然の長さは L0 であり、ばねの

 一端は円板の中心Oに固定されている。おもり、および

 ばねと溝の間には摩擦はなく、おもりの大きさは無視で

 きるものとする。この円板を水平面上でOを中心として

 一定の角速度で回転したら、ばねの長さが L1 になった。

 そのとき、次の各量はいくらか。

  

 (1) ばねにはたらく力の大きさ。

 (2) おもりAの加速度の大きさ。

 (3)  おもりAの速さ。

 (4) 円板の角速度。

   

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (1) (ばねの力)=(ばね定数)×(伸び縮み)

            =k( L1-L0 ) ・・・答

  

 (2) (ばねの力)=(向心力)=(質量)×(加速度)

    ∴ k( L 1 - L 0 )=m×(加速度)

    ∴ (加速度)= k( L1 - L0 )/m ・・・答

  

 (3) (加速度)={(速さ)の2乗}/(半径)

    ∴ (速さ)=√{(加速度)×(半径)}

          = √ { kL1( L1-L0 )/m } ・・・答

  

 (4) (角速度)=(速さ)/(半径)

          = √ { k( L1-L0 )/mL1 } ・・・答

  

  

(感想・解説)

 非常に親切で簡単な誘導問題だが、円板の溝を難しく考えて

 しまうと面倒な話になる。溝は、全体が安定するまではおもり

 に力を与えるが、等速円運動として安定した後は無関係。

 おもりの速さが変わらなくなった後は、溝はおもりに力を

 与えてない。

  

 ただし実際の装置だと、完全な理想的状態は作れないので、

 溝からおもりへの力が僅かにあるはずだ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 34* (円すい振り子) 東京商船大 90年

   

  次の文章の中の〔  〕にあてはまる式を記せ。

  自然の長さが L0、ばね定数が k のつる巻きばねの上端を

 固定し、下端に、質量がmの質点を結ぶ。

   

161029b

    

  図のように、このばねと質点を、鉛直線のまわりに大きすぎ

 ない角速度 ω で回転させたとする。ただし、ばねの質量は

 小さくて無視できるとする。

  このとき、ばねの伸びを m、ω、L0、k で表す式を以下の

 順序にしたがって求めたい。

  

  ばねの伸びを x、ばねが質点から受ける力の大きさをT、

 質点の円運動の半径をr、質点が受ける遠心力の大きさ

 をFとすると、明らかに、T=kx である。また、Fを m、ω、

 r で表す式は、F=〔  ア  〕である。よって、F/Tを

 k、x、m、ω、r を用いて 〔  イ  〕のように表すことが

 できる。一方、力のつりあいの考察から、F/Tを

 r、L0、x を用いて 〔  ウ  〕のようにも表せる。F/T

 についての、以上の2つの式を利用して計算すると、

 ばねの伸びxをm、ω、L0、kで表す式

 x= 〔  エ  〕を得る。

  

   

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (ア) 少なくとも短時間、等速円運動と考えられるから、公式より

    (遠心力 F) = mr(ωの2乗) ・・・答

  

 (イ) F/T= mr(ωの2乗)/kx ・・・答

  

 (ウ) ばねの力Tの半径方向の成分が遠心力Fだから、

     T×r/(L0+x)=F

    ∴ F/T=r/(L0+x) ・・・答

  

 (エ) (イ)と(ウ)より、

    mr(ωの2乗)/kx=r/(L0+x)

    ∴ m(ωの2乗)(L0+x)=kx

    ∴ {k-m(ωの2乗)}x=m(ωの2乗)L0

    ∴ x=m(ωの2乗)L0/{k-m(ωの2乗)} ・・・答

   

  

(感想・解説)

 やり方も使う文字も指定されてるが、おそらく重力加速度g

 を使って答えた受験生は少なくないはず。鉛直方向のつり合

 いを(とりあえず)無視して、水平面での円運動を中心に見た

 問題なので、出題の意図に合わせて考えて行くことが必要。

    

 あと、等速円運動かどうかもハッキリしないので、(ア)の解答

 で一言付け加えておいたが、この点で迷った受験生はほとん

 どいないだろう。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 40* (人工衛星) 東京電気大

  

 万有引力を向心力として地球のまわりを等速円運動する

 人工衛星について、次の問いに答えよ。人工衛星が地球

 から受ける力は、地球の中心に地球の質量が集まったと

 して計算してよい。ただし、人工衛星の質量をm〔kg〕、

 地表からの高さをh〔m〕、万有引力定数をG

 〔N・(mの2乗)/(kgの2乗)〕、地球の質量と

 半径をそれぞれM〔kg〕、R〔m〕とする。

 

 (1) 地表面における重力の加速度をG、M、Rを

    用いて表せ。

 (2) 人工衛星の速さ(m/s)を求めよ。

 (3) 人工衛星の周期(s)を求めよ。

 (4) 地球から無限に離れたときの位置エネルギーを基準に

    して、人工衛星のもつ位置エネルギー(J)を求めよ。

 (5) 地表面近くを円運動でまわる人工衛星の速さを第1

    宇宙速度とよぶ。一方、物体を地球の引力から脱出

    させて無限遠方に飛び去らせるための地表面での

    最小の速さを第2宇宙速度とよぶ。第2宇宙速度は

    第1宇宙速度の何倍か。

   

   

      ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) 地表面にある質量1kgの物体について、重力加速度を

     g とすると、

      (重力)=(万有引力)より

      1×g=G×1×M/(Rの2乗)

     ∴ g = GM/(Rの2乗) 〔m/(sの2乗)〕 ・・・答

  

 (2) 人工衛星の速さを v とすると、

     (向心力)=(万有引力)より、

     m(vの2乗)/(R+h)=GmM/{(R+h)の2乗}

    ∴ v = √{GM/(R+h)} (m/s)・・・答

  

 (3) (周期)=(円軌道の長さ)/(速さ)

        =2π(R+h)/√{GM/(R+h)}

        =2π√〔{(R+h)の3乗}/GM〕 (s) ・・・答

  

 (4) 公式より、 -GmM/(R+h) (J) ・・・答

  

 (5) (2)で、地表からの高さh=0として、

     (第1宇宙速度)=√(GM/R)

    一方、(4)の答でもh=0として、

     地表での人工衛星の位置エネルギーは、-GmM/R。

     ∴ (第2宇宙速度v)

         =(位置エネルギー0の無限遠に運ぶ最小の速さ)

         =(運動エネルギーがGmM/Rである速さ)

     ∴ m(vの2乗)/2=GmM/R

     ∴ v=√(2GM/R)

       

     ∴ (第2宇宙速度)/(第一宇宙速度)

         =√(2GM/R)/√(GM/R)

         =√2 (倍) ・・・答

  

   

(感想・解説)

 まるで教科書の説明みたいな、完全な基本問題。

 人工衛星の位置エネルギーとは、無限遠に行くまでに

 「する」仕事のこと。つまり、無限遠までに「される」仕事

 にマイナスを付けたものになる。

  

 される仕事は、引力にさからって動かす仕事だから、中心

 と結ぶ距離方向に引力を積分したもの。引力の分母が

 距離の2乗だから、積分すると分母は距離の1乗になる。

 分数関数の積分で、積分定数を省いて書くと、

 ∫{1/(rの2乗)}dr=-1/r

  

 この分母が0(ゼロ)だとまずいので、地球の中心(r=0)を

 考える代わりに、無限遠(r=無限大)を考えることになる。

    

    

最後の答、宇宙速度の倍率は美しいので、多くの少年・少女を

宇宙関連、ロケット関連の道に誘い込んで来たことだろう。   

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

     

   

cf. 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

  

                   (計 2974字)    

           (追記 23字 ; 合計2997字)

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動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理の問題と解き方3

数研出版『物理重要問題集』の中から、適度な問題を選んで紹介&解説

するシリーズ、第3弾。これまでの2本は次の通り。

  

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

  

当サイトには、物理系のドラマ・映画記事なら多数あるが、普通の物理

記事は少ない。ただ、数学記事なら多数あるし、既に11年間、毎日

更新し続けてるので、安心して頂いていいと思う。問題集には答の数

値が書かれてるだけなので、以下の解答はすべて私が作ったものだ。

      

最近の数研出版の問題集には、きちんとした解答が付いてるらしいが、

まだ確認してない。

   

   

      ☆        ☆        ☆

では今回の1問目。前回から少しバックして、p.11。「A」で「*」(ア

スタリスク)付きだから、特別に重要な問題の1つだ。

  

 12 (力のつりあい) 京都府立大

160929a_2

        

 図のように、滑車にかけた1本の綱の一端を、板上の人が落ち

 ないように引っ張って静止している。人の重さは60kmw、

 動滑車の重さは8kgwで、板および板をつるしているロープの

 重さの和は10kgwである。綱の重さおよび滑車と綱との間の

 摩擦は無視でき、また綱は滑車にかかっている部分を除きす

 べて鉛直になっているものとする。

 

 (1) 人が綱を引いている力の大きさは何kgwか。

 (2) 人が板から受けている力の大きさは何kgwか。

   

  

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (1) 綱を引く力、つまり綱の張力の大きさをTとし、板から人に

     加わる垂直抗力の大きさをN、動滑車から板に加わる力

     の大きさをFとする。単位はすべてkgw。鉛直方向・上向き

     を正とした時、力の釣り合いの式はこうなる。

     

     (人) T+N-60=0  ・・・(ア)

     (板とロープ) F-N-10=0  ・・・(イ)

     (動滑車) 2T-F-8=0  ・・・(ウ)

   

     3つの式を辺々加えると、

     3T-78=0  ∴ T=26(kgw) ・・・答

   

 (2) 式(ア)にT=26を代入して、

      N-34=0  ∴ N=34(kgw) ・・・答

   

(感想・解説) 

 動滑車には左右から上向きに張力Tが加わるので、合わせて

 2Tの力で引き上げられる。定滑車と組み合わせると、かなり

 少ない力で自分を持ち上げることが可能。

  

 要するにその分、天井が頑張ってるわけで、もし単に天井と

 人間を綱でつなげば、手の力はゼロで済む♪ だから、小さ

 い力で済むのは一応、納得できるが、最初に学んだ時には

 だまされたような気がしたのも事実だ。それを言うなら、テコ

 の原理の不思議さも似たようなものか。

  

 実はTだけ、先にすぐ求めることもできる。人、台、動滑車の

 全体で見ると、上向きに3Tで78kgwを支えてるから、

  3T=78   ∴ T=26

 ただ、変わった解き方は間違えやすいので、お勧めはしない。

  

     

      ☆        ☆        ☆

2問目はp.18の第3節、「抵抗力を受ける運動」の最初。これもア

スタリスク付きで最重要問題とされてるA問題だ。PCトラブルで、

小さい数字の入力ができないので、代わりに半角の数字にしてある。

             

 23 (糸でつながれた2物体の運動) 武蔵工大

160929b

  

 図のように水平台上に置かれた質量Mの物体Aに糸を結び、

 滑車を通して糸の他端に皿をつり下げ、これにおもりBをの

 せる。物体Aと水平台の間の静止摩擦係数をμ、運動摩擦

 係数をμ´、重力の加速度をg(=9.8m/s2)として

 次の問いに答えよ。ただし、糸、皿の質量は無視できるもの

 とする。

  

 (1) 物体Aに作用するすべての力を図中に矢印で示し、

    それぞれの名称を横に記せ。

 (2) 物体Aが動きだそうとするときの、おもりBの質量m0を

    求めよ。

 (3) おもりBの質量をm(>m0)としたときの物体Aの加速度

    a、糸の張力Tを求めよ。

 (4) M=2.5kg、μ´=0.2、m=1.0kgとしてAの加速度

    aおよび糸の張力Tを計算せよ。

  

  

      ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) 図はここでは省略。物体Aの中心あたり(重心)から

    下向きの矢印が重力。Aの底面の中心あたりから上向き

    の矢印が垂直抗力で、左向きの矢印が摩擦力。Aの右端

    の真ん中あたりから右向きの矢印が張力

  

 (2) 物体Aに働く最大の静止摩擦力が、Bの重力と等しい。

    ∴ μMg=(m0)g   ∴ m0=μM ・・・答

  

 (3) 動き出した後なので、動摩擦力を考える。

     (Aの運動方程式 右向き正)

      T-μ´Mg=Ma ・・・(ア)

     (Bの運動方程式 下向き正) 

      mg-T=ma ・・・(イ)

     

    (ア)(イ)を辺々足して、

      (m-μ´M)g=(M+m)a

     ∴ a=(m-μ´M)g/(M+m) ・・・答

  

    これを(イ)に代入して、

     mg-T=m(m-μ´M)g/(M+m)

     ∴ =mg-m(m-μ´M)g/(M+m)

        ={ (M+m)mg-m(m-μ´M)g }/(M+m)

        (1+μ´)Mmg/(M+m) ・・・答

  

 (4) (3)で求めた答の式に、与えられた数値を代入する。

     a=(1.0-0.2×2.5)×9.8/(2.5+1.0) 

      =1.4 (m/s2) ・・・答

     T=(1+0.2)×2.5×1.0×9.8/(2.5+1.0)

     =8.4 (N) ・・・答

   

   

(感想・解説)

 2つの物体、水平台、定滑車、糸を使った、教科書レベルの基

 本問題。それぞれについて運動方程式を立てて、連立して解く

 だけだが、最初は正の向きの設定が出来なかったり、重力加

 速度gを付け忘れたりする。

 

 摩擦力は、動き出す直前なら静止摩擦係数、動いてる時なら

 少し小さい動摩擦係数を用いて計算。質量ではなく、垂直抗力

 (この問題では重力)と掛け合わせる点に注意。下の台が斜め

 だったり、上向きの別の力が加わってたりすると、摩擦力は減る。

  

 最近は動摩擦と言わずに「運動摩擦」と呼ぶのが普通なのかも。

 些細な呼び名の違いにすぎないが、後で調べてみたい。

   

   

      ☆        ☆       ☆

最後の3問目は、糸と滑車ではなく、バネの弾性力を使う連結。

これもアスタリスク付きのAだから、最重要問題。

  

 24 (あらい水平面上の連結物体) 神奈川大 

160929c

  

図のように、質量m1、m2の物体A、Bがばね定数k、自然

の長さL0 のばねで連結されてあらい水平な床上に静止して

いる。重力加速度をgとして次の問いに答えよ。

  

(1) 物体Aに左向きの力を徐々に加え、力の大きさがFに

   なったときAが動きだした。このとき、物体Aと床との間

   の静止摩擦係数を求めよ。

(2) さらにAを引き続けたところ、ばねの長さがLになったとき

   Bも動きだした。このとき、物体Bと床との間の静止摩擦

   係数を求めよ。

(3) その後、物体A、Bともに左方へ一定の速さで動き続けた。

   A、Bと床との間の運動摩擦係数は各々の静止摩擦係数の

   3分の2であるとして

   (ア) ばねの自然の長さからの伸びを求めよ。

   (イ) 物体Aに加えている左向きの力の大きさを求めよ。

  

  

       ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) Aの静止摩擦係数をμ1とすると、

     F=(μ1)(m1)g   

    ∴ μ1=F/(m1)g ・・・答

  

 (2) Bの静止摩擦係数をμ2とすると、

     k(L-L0)=(μ2)(m2)g 

    ∴ μ2= k(L-L0)/(m2)g ・・・答

  

 (3)(ア) 物体が一定の速さなので、力はつり合っている。

     Bにおける伸びをxとすると、

     kx=(2/3)(μ2)(m2)g

       =2k(L-L0)/3

     ∴ x=2(L-L0)/3 ・・・答

   

   (イ) Aに左向きに加えた力をGとすると、右向きの

      動摩擦力+バネの力とつり合っているので、

      G=(2/3)(μ1)(m1)g+kx

       =2F/3+2k(L-L0)/3

       =2{ F+k(L-L0)}/3 ・・・答

   

   

(感想・解説) 

 解答に使っていいのはどの文字なのか、ちょっと分かりにくい

 問題だし、最初のばねの長さがいくらなのかも明確ではない。  

 私なら、「・・・自然の長さL0のままで静止している」と問題文に書く。

 これなら、自然の長さと最初の長さがまとめて示されるわけだ。

  

 物理の問題では、そもそも出題者の意図を理解することが問われる。

 あと、ばねの力が、ばね定数と伸び縮みだけで決定することを理解

 できてるかどうか。運動してるとか、2物体との連結とかは、関係ない。

  

 ちなみにレベルが高い問題なら、途中のばねの伸び縮み(振動など)

 を聞いて来るところだろう。この問題の設定でも、動き出すとばねの

 伸びが縮むのだから、本当は厄介。出題者の意図を超えて、マジメ

 に考え過ぎてしまう人もいるはずだ。

   

  

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

  

cf. 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

   単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

   

                      (計 3330字)

            (追記 49字 ; 合計 3379字)

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運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理の問題と解き方2

いつの間にか1ヶ月半も経ってしまったが、『物理重要問題集』(数研出版)

の解説シリーズ2本目の記事をアップしよう。ちなみに1本目は次の通り。

   

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング

                 ~物理の問題と解き方1

   

   

        ☆          ☆          ☆

今回は、高校物理の基本中の基本を扱う章、「2 運動の法則」について。

たとえば次の問題は、「A」で「*」(アスタリスク)付きだから、特別重

要な問題ということだ。問題の項目名は編集部が付けたものだと思う。

    

 *A.13 (水平投射・浮力) 91九州産大 空欄補充

   

積荷を含めて全体の重量M〔kg〕の気球が一定の高さh〔m〕

で東方へ等速u〔m/s〕で流されている場合を考える。この気

球からm〔kg〕の砂袋を静かに落とすと、これはT〔s〕後に落

とした場所から東方へX〔m〕離れた地表面に到達した。落下す

る砂袋に対する浮力と空気の抵抗を無視し、重力加速度の

大きさをg〔m/s²〕とすれば、Tはg、hを用いて (1) で表

され、またXはT、uにより (2) という式で表される。

 g=9.8m/s²、h=1960m、u=5m/s

のときには T= (3) s、 X= (4) mである。

   

 また気球に対する浮力F〔N〕の大きさはM、gにより (5)

で表され、M=420kg、m=20kgとすれば質量m〔kg〕

の砂袋を落とした直後の気球の加速度の大きさは

 (6) m/s²となる。

 答えの数値は有効数字2桁で示せ。

   

   

         ☆          ☆          ☆

(解答) 

 (1) 鉛直方向には、速度0、加速度gの等加速度運動だから、

     (1/2)gT²=h   ∴ T=√(2h/g) 

   

 (2) 水平方向には、速度u(m/s)の等速直線運動だから

     X=Tu

   

 (3) T=√(2×1960/9.8)=√400=20

     =2.0×10

    

 (4) X=(2.0×10)×5=100=1.0×10²

      

 (5) 気球の浮力と重力が釣り合ってるのだから、

     F=Mg

      

 (6) (気球の浮力)=F=Mg=420×9.8

            =4116 (N)

    砂袋を落とした後の気球の質量は、

      420-20=400(kg)

    よって、気球の鉛直方向・上向きの運動方程式より、

     (加速度)=(力)/(質量)

          =(4116-400×9.8)/400

          =4.9×10⁻¹

    

   

(感想) 浮力の問題としては、体積を使ってない簡単なタイプ。

     気球の質量は、まず砂袋込みで与えられてるが、

     後で砂袋なしで計算することになる。有効数字にも注意。

     ただ全体的には、数値も簡単で、のどかなイメージ。

     基礎的な良問だろう。図があればもっと良かった。

   

     (6)は、砂袋に加わってた重力が新たに気球の上向き

     の力になると考えてもいい。

   

   

        ☆          ☆          ☆

 A.14 (質量のある棒に生じる加速度) 武蔵工大

   

160825a

    

長さl〔m〕、質量m〔kg〕の一様な棒の一端Aに質量M〔kg〕

の物体Pをつけて、図のようになめらかで水平な台上におき、

他端BをF₁〔N〕の力で水平に引っ張るとき、

(1) 棒の加速度a₁はいくらか。

(2) 棒の中央における張力T₁はいくらか。 

      

次に、この棒のA端の物体Pをはずし、棒を鉛直につるし、

上端をF₂〔N〕の力で引き上げるとき、

(3) 棒の加速度a₂はいくらか。

(4) 棒の下端から距離x〔m〕(l>x)の位置における

   張力T₂はいくらか。ただし、重力の加速度を

   g〔m/s²〕とする。

   

    

         ☆          ☆          ☆

(解答) 

 (1) 全体を質量M+mの物体と考えれば、運動方程式より、

     a₁=F₁/(M+m) (m/s²)

        

 (2) 棒の中央の張力が、その左側の部分全体を加速度aで

     引っ張ることになるので、

    T₁=(M+m/2)a₁

     =(M+m/2){F₁/(M+m)}

     =(2M+m)F₁/2(M+m) (N)

        

 (3) 鉛直方向・上向き正の運動方程式より、

     a₂=(F₂-mg)/m

      =F₂/m-g (m/s²)

    

 (4) 張力T₂と重力の合力が、棒の下側部分を

    加速度a₂で引っ張ることになるので、

    T₂-(x/l)mg=(x/l)ma₂

    ∴ T₂=(x/l)m(g+a₂)

        =xF₂/l (N)

       

       

(感想) (4)で差がつく所だろう。xをlに近づけると、もちろん

    T₂はF₂に近づく。上端での力に近付くから当然。

    ちょっと変わった問題で、「どうしてそんな途中の場所

    の力を考えるのか?」と言いたくなるところでもある。

       

    要するに、一定の加速度で運動させてるだけの話で、

    少なくともこの問いの内容だけだと、「力」という概念は

    役立ってない。公式で形式的に計算しただけだろう。。

       

    そう思った鋭い高校生・受験生は、「受験の後で」深く考

    えてみると面白い。運動方程式とは単なる力の定義式、

    約束事に過ぎないとかいう考え方につながる。規約主義、

    約束主義とか呼ばれるものだ。棒の伸びとかを考慮に入れ

    ても、事態は本質的に変わらない。

         

    作用・反作用の法則や弾性の法則を、力を使わずに質量

    と加速度と長さだけで書き直しておけばいいだけのこと。

    ただし、そうした考えは、普通の物理の先生や学生には

    相手にしてもらえないのだ。「どうしてそんな事を考える

    の?」、「ニュートンの基本法則だよ?」といった感じで。。

    

       

        ☆          ☆          ☆ 

 *A.17 (連結物体の運動) 東海大

     

160825b

    

図のように物体A、B、Cを軽くて丈夫な糸でつなぐ。AとB

を水平でなめらかな机の上におき、Cを机の端にあるなめらか

で軽い滑車にかけた糸の端につり下げて、静かに放した。ただ

し、A、B、C各々の質量は、3.0kg、2.0kg、5.0kg

である。初めBから滑車までの距離は130cmであり、床

からCの下端までの距離は80cmであった。

      

 重力加速度の大きさを9.8m/s²として、次の問いに答えよ。

(1) 物体A、B、Cが動き始めたときの、加速度を求めよ。

(2) 物体A、B、Cが動き始めたときの、BとCの間の

   糸の張力を求めよ。

(3) 物体A、B、Cが動き始めたときの、AとBの間の

   糸の張力を求めよ。

(4) Cが床に着いた直後のBの速度をエネルギー

   保存則を用いて求めよ。

(5) Bが初めの位置から120cm移動するのに

   要する時間を求めよ。

   

    

          ☆          ☆          ☆

(解答)

 (1) Cの重力で全体を引っ張るのだから、運動方程式より、

     (加速度)=5.0×9.8/(3.0+2.0+5.0)

           =4.9 (m/s²)

    

(2) BとCの間の張力が、AとBを引っ張って加速度

    4.9m/s²をもたらすと考えて、

     (張力)=(3.0+2.0)×4.9

         =24.5 (N)

      

 (3) AとBの間の張力が、Aを引っ張って加速度

    4.9m/s²をもたらすと考えて、

     (張力) =3.0×4.9

          =14.7 (N)

        

 (4) エネルギー保存則を使って速度を求めるということは、

    Cが床と衝突して運動エネルギーを失う直前で考えると

    いうことのはず。

    Cが最初に持ってた位置エネルギーが、A、B、Cの

    運動エネルギーになるのだから、速度をvとすると、

    5.0×9.8×0.8=(1/2)×10.0×v²

    ∴ v=√7.84=2.8 (m/s)

       

 (5) まず80cm移動するまでは、初速度0、加速度

    4.9m/s²の等加速度直線運動。

    ∴ (時間)=2.8/4.9=4/7

    その後、40cm移動するまでは、2.8m/sの

    等速直線運動。

    ∴ (時間)=0.4/2.8=1/7

    ∴ (合計時間)=4/7+1/7=5/7

              ≒0.71 (s)

     

       

(感想) 問題集の解答(最後の数値のみ)では、(2)(3)(5)

    は四捨五入して2ケタだけ書いてある。ただ、有効数字

    の話が問題文に無いし、明らかでもないので、正確に

    書いておく方が無難だろう。

       

    実はこの問題、前の問題と似てるのだ。前の問題で、

    物体P、棒の左半分、棒の右半分を分けて、ごく短い

    糸で結んだと思えばいい。

        

    ちなみに(1)を、運動方程式とか力を使わずに解くなら、

    A+BとCの間の作用・反作用の法則より、

    (3.0+2.0)×a=5.0×(9.8-a)

    ∴ a=4.9

    質量と加速度のみで解けるのだ。

        

    あと、(4)の問題文は紛らわしいと思う。私が出題者なら、

    Cが床に「着く直前」のBの速度と書く。この方が親切だし、

    正答率が上がるだろう。

   

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

    

cf. 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

   等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

   単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

   

    ・・・・・・・・・・・・・・・

   ニュートン物理学の基礎、「運動の法則」再考~その1

   「運動の法則」再考2~質量と重さ

   「運動の法則」再考3~運動方程式を使わずに問題を解く方法

    

                      (計 3301字)

           (追記 85字 ; 合計 3386字)

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等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理の問題と解き方1

荷物を片付けてたら、たまたまダンボール箱から高校物理の問題集が出

て来た。小型で安くて問題ぎっしり、数研出版『物理重要問題集』。物理よ

り、数学のシリーズの方が遥かに有名だと思う。私の高校では、数学の授

業で時々使ってた。

 

最近は、時代のニーズに応えて、しっかりした解答が付いてるらしいが、

10年くらい前までは、ほとんど最終的な答(数値)しか載ってない薄い

本だった。当然、普通のレベルの高校生、浪人生が自宅学習するのには

向いてない。

 

学校や塾などか、自分でスラスラ解ける人にとっての、文字通り、手軽な

問題集。片手で持ってもスマホより軽いかも。それでいて、内容はズッシ

リ重いのだ。

 

数学の問題を解く記事はかなり書いてるのに、物理の問題を解く記事は

少ないから、久々に1本書いてみよう。放射線、核分裂シリーズ以来か。

読者がどの程度いるのか読みにくいが、個人的に面白くて勉強(復習)

になるので、シリーズ化したいと思ってる。高校だけでなく、いずれは大

学レベルの物理も含めて。。

 

 

        ☆          ☆          ☆

では、記念すべき最初の問題は、問題集の第1章、第1問にしよう。

年は書いてないが、大阪電通大の入学試験が出典。問題Aで「*」

(アスタリスク)付きだから、「重要中の重要な問題」ということになる。

項目名は編集部が付けたものだろうが、私なら「等加速度直線運動

と・・・」と付ける。物理は問題文が長いのが面倒。。

 

 *A.1 (等加速度運動と等速度運動)

 高さ105mの高層ビルの屋上までエレベーターで昇った。

 エレベーターは、最初の5秒間は一定の加速度aで、次の

 12秒間は一定の速さで上昇して高さ87mまで達し、あと

 は一定の加速度bで減速しながら上昇して屋上に着いた。

 

 (1) 最初の5秒までは、エレベーターの高さyは出発

    からの時間tを用いるとどんな式で表されるか。

 (2) 加速度aはいくらか。

 (3) 一定の速さで上昇した距離はいくらか。

 (4) 加速度bはいくらか。

 (5) エレベーターは地上から屋上まで昇るのに

    全部でどれだけの時間を要したか。

 

 

      ☆       ☆       ☆

 (解答) 以下すべて、鉛直方向、上向き正で考える。

 (1) 初速度0(m/s)、加速度a(m/s²)の等加速度直線運動

    だから、 y=(1/2)at² ・・・・・・答

     

 (2) 5秒後の高さは、(1/2)a×5²=12.5a 。

    その時の速度5aのまま、12秒間は等速直線運動するので、

    この間の上昇距離は、 5a×12=60a 。

    ∴ 12.5a+60a=87   ∴ 72.5a=87

    ∴ a=1.2(m/s²) ・・・・・・答

 

 (3) 60a=60×1.2=72(m) ・・・・・・答

   

 (4) 減速の開始時点での速度は、5a=6。

    終了時点での速度は0。

    加速度はb、変位は105-87=18。

    ∴ 0²-6²=2b×18 

    ∴ b=-1(m/s²) ・・・・・・答

   

 (5) 加速度-1で、6から0へと-6減速したのだから、

    減速した時間は6秒間。

    ∴(全時間)=5+12+6=23(s)・・・・・・答

 

 

 ☆感想

  誘導つきで、数値計算も簡単。基本問題だから、公式に

  当てはめるだけだが、(4)の速度・加速度・変位の関係式は

  覚えてない人も少なくないかも。図やグラフを描いてもいい。

  おそらく、重力加速度gとか使ってしまった受験生もいたはず。

 

  物理の問題で加速度が与えられてる時、軸の向きを書いてない

  ことが多いが、この問題だと当然、上向きを正とすべきだろう。

 

 

        ☆          ☆          ☆

続いて、いわゆる「モンキー・ハンティング」。木の枝にいる猿をめがけ

て、ハンターが銃で撃つ。同時に猿が枝から落下すれば、重力の影響が

銃弾と猿に同様に働いて、見事に命中するという話だ。放物線を描く弾

が、真下に落ちる猿に当たるのは、美しい現象。人間にとっては♪

 

とはいえ、猿を撃っていいのかどうか動物愛護問題が生じるから、以

下ではおもちゃを使用してる。

 

 *A.6 (モンキー・ハンティング) 朝日大

   

160709a

 

 右図(注. ここでは上図)のような、水平な台Sから

 高さh(m)の所の点Aにある小さなおもちゃのサル

 に向かって小球をこの台S上の点Bから撃ち、小球

 を撃ったと同時にサルが自由落下し、空中で小球

 がサルに命中するモンキー・ハンティングの装置が

 ある。いま、この装置で小球を速さv₀(m/s)で水

 平となす角θで撃ったとき、次の問いに答えよ。た

 だし、空気の抵抗は無視できるとし、また、重力の

 加速度はg(m/s²)を用いよ。

 

 (1) 小球がサルに命中するまでで、小球が撃たれてから

    t秒後での、サルと小球のそれぞれの速度の水平成分

    と鉛直成分とはどのようになるか。

 (2) このとき、サルから見た小球の相対速度はどのように

    なるか。その大きさと水平とのなす角とで答えよ。

 (3) 小球がサルに命中するまでの時間はどれだけか。

 (4) 小球がサルに命中するまでにサルが落下した距離は

    どれだけか。

 (5) この装置で小球をサルに命中させるためのv₀の

    条件式を求めよ。

 

 

       ☆       ☆       ☆

 (解答) 以下すべて、水平方向、右向き正、鉛直方向、

      上向き正で考える。ただしgは、正の数と考える。

 

 (1) サルの速度は、

     水平成分0(m/s)、鉛直成分-gt(m/s)・・・答

    小球の速度は、

     水平成分v₀cosθ(m/s)、

     鉛直成分v₀sinθ-gt(m/s)・・・答

 

 (2) 小球の速度からサルの速度を引いた相対速度は、

     水平成分v₀cosθ、鉛直成分v₀sinθ。

    ∴ (大きさ)=√(v₀²cos²θ+v₀²sin²θ)

            =v₀(m/s) ・・・答

    また、(水平とのなす角のtan)=(sinθ)/cosθ

    ∴ (水平とのなす角)=θ ・・・・・・答

 

 (3) 最初のサルと小球の距離は、h/sinθ。

    ∴ (命中するまでの時間)=h/v₀sinθ (s) ・・・答

 (4) (命中するまでにサルが落下した距離)

      =(1/2)g×(h/v₀sinθ)²

      =gh²/2v₀²sin²θ (m)・・・・・・答

 (5) (4)の距離がh以下であればいいので、

     gh²/2v₀²sin²θ≦h

     ∴ v₀≧(1/sinθ)√(gh/2) ・・・答

 

 

         ☆       ☆       ☆

☆感想

  正直、問題文の日本語があまり滑らかでないが(失礼♪)、

  誘導付きの基本問題だし、(3)の相対速度の向きは面白い。

  要するに、サルから見ると、常に最初と同じ角度で弾丸が

  飛んで来ることになる。

 

  加速度gは、おそらく下向き9.8と考えてるのだろうが、g

  にはマイナス符号が付くこともあるので、受験生にとってまぎら

  わしい。「加速度の大きさg」と書く方が正確で親切だ。

 

  設問や誘導は、物理の問題だとよくあるものだが、数学的・論

  理的には、(3)(4)(5)の順に導くのはおかしい。というのも、

  v₀が(5)の条件を満たす時に初めて、(3)に答えられるのだから。

 

  物理はやはり基本的に、論理や正確さより、実用性を重視する

  学問なのだ。

 

 

        ☆       ☆       ☆  

もう1問書くつもりだったが、ここで時間切れとなってしまった。解くだ

けならすぐだが、記事だと100倍くらいの時間がかかる。

 

モンキー・ハンティングとは斜方投射の問題でもあるから、参考までに

下に、関連記事へのリンクを付けとこう。ややハイレベルな内容だ。

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

         

 

 

cf.高い地点からの斜方投射の軌跡(弾道)、角度と水平到達距離

    ・・・・・・・・・・・・・・・

  運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理の問題と解き方2

  動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

  等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

  単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

    

                       (計 2933字)

            (追記 113字 ; 合計 3046字)

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