温度と熱量、熱容量、比熱~物理の問題と解き方7

問題文を書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要問題

集』シリーズ、第7弾。また2ヶ月も間が空いてしまったが、今回も

数研出版が集めた過去の大学入試問題を解説してみよう。

 

これまでの6本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事は色々あ

るし、数学カテゴリーには多数の記事がある。相変わらずアクセス

は地味に続いてるので、受験生その他の需要はあるようだ。

 

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

 物体の衝突、運動量保存法則、はねかえり係数~物理6

 

 

今回は第7章、温度と熱量(p.43~)のA問題から3問。わりと

単純で簡単な分野だが、熱という特殊なエネルギーを扱う内容

だから慣れは必要だろう。

 

いつものように、式や説明は私が書いたもの。読みやすさと入力

環境のため、小文字を大文字に変えたり、添え字を小文字に変え

たりしてるが、言葉遣いは元のままだ。

 

 

     ☆        ☆        ☆

 66 (熱容量と比熱) 久留米工大

 次の各問いに、単位をつけて答えよ。

 

 (1) 比熱が0.1cal/g・Kである物体の温度を10℃から

    60℃まで上げるのに5000calの熱量が必要であった。

    この物体の熱容量はいくらか。

 (2) この物体の質量はいくらか。

 (3) 質量100gのある物体を80℃に熱して、容器に入れた

    温度10℃の水340gの中に落としてかきまわしたら、

    水と物体の温度は12度になった。物体から水に移動

    した熱量および物体の比熱を求めよ。ただし、容器の

    熱容量は無視する。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) 10℃から60℃まで50K上げる熱量が5000calだから、

    1K上げる熱容量は、

    5000 / 50 = 100(cal/K) ・・・答

 

 (2) 「熱容量=比熱×質量」だから、

    100=0.1×(質量)

    ∴ (質量)=100/0.1

           =1000(g) 

           =1(kg) ・・・答

 

 (3) (物体から水に移動した熱量)

       =(水が得た熱量)

       =(水の比熱)×(質量)×(上昇温度)

       =1×340×(12-10)

       =680(cal) ・・・答

 

    また、物体から移動した熱量が680calだから、

    (物体の比熱)×(質量)×(下降温度)=680

    ∴ (物体の比熱)×100×(80-12)=680

    ∴ (物体の比熱)=680/(100×68)

               =0.1(cal/g・K) ・・・答 

 

 

 (解説・感想)

 基本問題だが、問題文でわざわざ単位を求めてるので、単位を

 揃えて計算する。この種の問題では、質量の単位はgが普通

 なので、(2)では1000gのままでもいいはず。

 

 温度の単位は、 「℃」と「K」の違いを気にする必要はない。

 温度差が問題になる時は「K」が普通だろうが、問題文や説明文

 に「℃」と書いてることも多い。学校の場合は、先生に合わせる。

 (3)では、物体と水をハッキリ分けて考えればよい。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 67 (金属球の比熱) 東北歯大

 比熱がc1[cal/g・K]の金属で作った質量50gの

 容器に100gの水を入れて温度を測ったところ15℃で

 あった。これに80℃の湯70gを入れてよくかきまぜた

 ところ全体の温度が41℃になった。

 

 (1) この金属容器の熱容量a1はいくらか。

 (2) この金属容器の比熱c1はいくらか。

 

 引き続いて、この容器の中へ温度100℃で質量が200g

 の金属球を入れてよくかきまぜたところ、全体の温度が

 52℃になった。

 

 (3) この金属球の熱容量a2はいくらか。

 (4) この金属球の比熱c2はいくらか。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) (湯が失った熱量)

       =(金属容器が得た熱量)+(水が得た熱量)

    ∴ 1×70×(80-41)

         =a1×(41-15)+1×100×(41-15)

    ∴ 2730=26a1+2600

    ∴ a1=5(cal/K) ・・・答

 

 (2) (熱容量)=(比熱)×(質量)だから、

     5=c1×50

    ∴ c1=0.1(cal/g・K) ・・・答

 

 (3) (金属球が失った熱量)

       =(金属容器が得た熱量)+(水が得た熱量)

    ∴ a2×(100-52)

        =5×(52-41)+1×170×(52-41)

    ∴ 48a2=55+1870

    ∴ a2≒40(cal/K) ・・・答

 

 (4) (比熱)=(熱容量)÷(質量)

    ∴ c2=40/200

        =0.2(cal/g・K) ・・・答

 

 

 (解説・感想)

 金属容器と金属球、水とお湯、計4つの物質を合わせて考える

 ので、ミスが無いよう注意。(1)の熱容量は、比熱×質量で

 50c1と書いた受験生が少なくないと思うが、採点でどうなるか

 は不明。ただ、(2)が合ってれば、(1)は50c1でもいいはず。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 69 (熱量の保存) 近畿大

 

 3個の物体A、B、Cがあって、最初これらの物体の温度は、

 互いに異なっていた。まず、物体AとCとを接触させたら、

 物体Aの温度は41℃下がり、物体Cの温度は16℃上昇

 した。次に物体AをCから離して物体BとCとを接触させた

 ところ、物体Bの温度は2℃上昇し、物体Cの温度は10℃

 下がって、80℃となった。接触した物体の間だけ熱のやりとり

 があり、そのために両物体の温度が等しくなるものとする。

 

 (1) さらに物体CをBから離して、物体AとCとを接触

    させると、物体Cの温度は何℃になるか。

 (2) このようにして、物体Cを交互にAとBに接触させていく

    と、物体Cの温度は、しだいにある一定の温度に近づいて

    いく。この温度は何℃か。

 

 

      ☆        ☆        ☆

 (解答)

 (1) まず、Cの温度に注目すると、

     Aとの接触で74℃から90℃へと16℃上昇し、

     Bとの接触で90℃から80℃へと10℃下降。

 

    よってAはCとの接触で131℃から90℃へと41℃下降。

    BはCとの接触で78℃から80℃へと2℃上昇。

 

    ここで、A、B、Cの熱容量をそれぞれa、b、cとすると、

    41a=16c   ∴ a=16c/41

    2b=10c   ∴ b=5c

 

    よって、2度目のAとCの接触でt℃になったとすると、

    (16c/41)×(90-t)=c×(t-80)

    ∴ 16(90-t)=41(t-80)  (∵ c≠0)

    ∴ 4720=57t

    ∴ t≒83(℃) ・・・答

 

 (2) 無数の操作全体をまとめて考えると、

    (Aが失った熱量)=(Bが得た熱量)+(Cが得た熱量)

 

    よって、最終的に近づく温度をs℃とすると、

    (16c/41)×(131-s)

       =5c×(s-78)+c×(s-74)

    ∴ 16(131-s)=205(s-78)+41(s-74)

    ∴ 2096+15990+3034=(16+205+41)s

    ∴ 262s=21120

    ∴ 131s=10560

    ∴ s=80.6・・・

        ≒81(℃) ・・・答

 

 

 (解説・感想)

 やや問題文が読みにくいが、実力が問われるユニークな良問だと

 思う。質量も比熱も出てないので、熱容量だけで解く。変数3つは、

 条件を使って1つだけに絞る(ここではc)。最後は計算が面倒

 なので慎重に変形。

 

 おそらく、何か具体的な例があるのだろう。例えば、高温のAから

 低温のBに熱を移したいが、Bは高い温度に耐えられないから、

 Cを媒介にして熱を移動させるとか。Cは単なる媒介だからこそ、

 主役のAとBに続くアルファベットを選んでるのだと想像する。

 

 

毎度の事ながら、物理の記事は入力が大変だと痛感しつつ、

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

                  (計 2972字)

| | コメント (0)

物体の衝突、運動量保存法則、はねかえり係数~物理の問題と解き方6

問題文を書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要問題

集』シリーズ、第6弾。約半年ぶりになってしまったが、今回も数研

出版が集めた受験問題を解説してみよう。

    

これまでの5本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事は色々あ

るし、数学カテゴリーには多数の記事がある。アクセスは地味に続

いてるので、それなりの需要はあるようだ。

    

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

     

今回は第6章、運動量の保存(p.36~)のA問題から3問。

いつものように、式や説明などはすべて私が書いたもの。

読みやすさと入力環境のため、小文字を大文字に変えた

り、添え字を小文字に変えたりしてるが、言葉遣いは元の

ままだ。

  

   

     ☆        ☆        ☆

 54 (一直線上の衝突) 関西学院大

  

 なめらかな水平面上をx方向に運動する2つの球A、Bが

 向心衝突した。A、Bそれぞれの衝突前の速度をVa、

 Vb、衝突後の速度をUa、Ub、質量をMa、Mbとする。

    

 (1) 反発係数(はねかえりの係数)eを上の記号を

    用いて表せ。

 (2) Va=26m/s、Vb=8m/s、Ma=0.4kg、

    Mb=1.8kg、e=0.8としてUa、Ubを求めよ。

 (3) この衝突によって失われた力学的エネルギー

    ΔEを計算せよ。

 (4) 失われた力学的エネルギーは何に変わったか。

   

   

      ☆        ☆        ☆

 解答

 (1) 定義式より、 

   e = -(Ua-Ub)/(Va-Vb) ・・・答

    

 (2) 反発係数の定義式より、

    0.8=-(Ua-Ub)/(26-8)

    ∴ -Ua+Ub = 14.4 ・・・①

    また、運動量保存則より、

    0.4×26+1.8×8=0.4Ua+1.8Ub

    ∴ 2Ua+9Ub=124 ・・・②

    ①②の連立方程式を解いて、

     Ua=-0.5 m/s,

     Ub=13.9 m/s ・・・答

    

 (3) ΔE={(1/2)×0.4×26²+(1/2)×1.8×8²}

  -{(1/2)×0.4×(-0.5)²+(1/2)×1.8×13.9²}

       =18.9 (J) ・・・答

    

 (4) 熱エネルギー、音のエネルギー、

    球の変形のエネルギー ・・・答

  

   

 (解説・感想)

  全くの基本問題で、小数や分数の計算ミスに注意すれば

  よい。数値がキレイに出ないし、有効数字も不明だが、

  (2)の問題文から、小数第1位までと考えておいた。2ケ

  タで答えても、ほとんど減点はないはず。

  

    

      ☆        ☆        ☆

 55 (走る台車からの打ち上げ) 上智大

   

 水平面上に固定されたなめらかなレール上を、質量

 500g(弾丸を含む)の台車が2.0m/sの速さで

 走っている。時刻t=0に、この台車から100gの

 弾丸を、水平面上の観測者から見て、鉛直方向から

 30度後方に向けて12m/sの速さで打ち上げた。

 弾丸が上昇して再びレール上に落下した瞬間の台車

 と弾丸との距離はいくらか。ただし、重力の加速度

 9.80m/s²、√3=1.73とする。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答

170502a_va_vix

    

 発射後の台車の速さを x m/sとする。

 水平方向の運動量保存則より、右向きを正として、

  0.5×2.0=0.4x+0.1×(-12×sin30°)

 ∴ 1=0.4xー0.6   ∴ x=4 

   

 また、弾丸の鉛直方向の初速は、

 12×cos30°=6√3=10.38

   

 鉛直方向・上向きを正とし、時刻t(>0)における

 位置が0とおいて、

 10.38t-(1/2)×9.8×t²=0

 ∴ 10.38=4.9t   ∴ t=2.12

   

 これが弾丸落下時の時刻だから、求める距離は、

 (台車の右向き移動距離)+(弾丸の左向き移動距離)

 =4×2.12+(12×sin30°)×2.12

 =10×2.12

 =21.2 (m) ・・・答

  

    

 (解説・感想)

 水平面上から台車の上の面までの高さが書いてないから、

 ゼロと解釈。問題文が3ケタの数字になってるから、tは

 4ケタで計算する方がいいかも知れないが、おそらく問題

 作成者でさえ3ケタで計算してるはず♪

 弾丸の打ち上げ角度を、水平方向に対して30度だと誤解

 しないように。。

   

    

     ☆        ☆        ☆

 56 (床との衝突 東京水産大

   

 高さ10mの所から、ボールを静かにはなして床に落とし

 たら、衝突してはね上がり、6.4m(最高点)までもどった。

 このあと再び床に落ちてはね上がることをくり返した。重力

 加速度を9.8m/s²とする。

    

 (1) はねかえりの係数を求めよ。

 (2) 手をはなしてから、床ではね返り、6.4mの最高点

    に達するまでにかかる時間を求めよ。

 (3) 2回目に床に衝突する直前の速度と直後の速度を

    求めよ。

 (4) 何回かくり返しているうちに、最高点はしだいに低く

    なるが、最高点が3.0mに達しないのは何回目の

    衝突のあとか。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答

 (1) 衝突直前の下向きの速度を x m/sとすると、

     速度、加速度、距離の関係式より

     x²-0²=2×9.8×10

     ∴ x=14

     衝突直後の上向きの速度を y m/sとすると、

     0²-y²=2×(-9.8)×6.4

    ∴ y=11.2

    よって、 速度ゼロのまま動かない地面に関して、

    (はねかえりの係数)

      =-(11.2-0)/(-14-0)

      =0.8 ・・・答

    

 (2) (落ちる時間)+(上がる時間)

    =14/9.8+11.2/9.8

    =2.6 (s) ・・・答

    

 (3) 下向きを正とすると、

    (2回目の衝突直前の速度)

    =(1回目の衝突直後の速度の符号を逆にしたもの)

    =-11.2 (m/s) ・・・答

   (2回目の衝突直後の速度)

    =-(衝突直前の速度)×(はねかえり係数)

    =-11.2×0.8

    =-9.0 (m/s) ・・・答 

   

 (4) 上向きを正として、

    (3回目の衝突直後の速度)

    =(2回目の衝突直後の速度)×(はねかえり係数)

    =9.0×0.8

    =7.2 (m/s)

    最高点の高さをhとすると、

    0²-7.2²=2×(-9.8)h

    ∴ h=51.84/19.6 < 3 (m)

    よって、3回目の衝突のあと。 ・・・答

   

    

 (解説・感想)

 鉛直方向のはね返りの問題では、速度計算する時の符号の

 プラス・マイナスに注意する必要がある。

   

 2回目以降の衝突の計算では、はねかえり係数の定義式を

 使うのは省略した。もし時間があれば、真面目に定義に従う

 ところだが、多くの受験生は省略すると思う。

    

 (4)の問題文は、おそらく「はじめて3.0mに達しない

 のは・・・」という意味だろうと解釈した。文字通りに読むと、

 答は、「n回目の衝突(n≧3)」とかだろう♪

    

    

やはり、物理の記事は入力が大変だなと思いつつ、それでは

今日は この辺で。。☆彡

    

                    (計 2650字)

| | コメント (0)

『頭脳王2016』問題・解説2~大谷のホームランの飛距離、数列8パズル、ジグソー不足ピース

(☆追記: これに続く記事も3日後にアップした。

  『頭脳王2016』問題・解説3

    ~立体三目並べの先手必勝法&コンピューター対局内容 )

   

   

    ☆        ☆        ☆

今日も第2弾として、日テレ『頭脳王2016決定戦』の理数系

の問題を解説する。昨日の第1弾記事は次の通り。タイトルに

入ってない問題についても、末尾のP.S.でコメントしてある。

    

 『頭脳王2016』、太陽にスマッシュしたシャトルが届く時間

          &立方体の体積の解説

    

一方、今年と来年の一次予選の記事は次の2本。

   

 『頭脳王 2017』実力テスト「謎解きクイズ」、問題と考え方

 『頭脳王2016』1次予選クイズの問題、解き方、感想

    

それでは今日は、物理(力学)の問題から始めよう。

   

   

     ☆        ☆        ☆

二刀流で大活躍のプロ野球選手・大谷が、実力2倍になって、自分

自身と勝負したら、特大ホームランとなった。飛距離はいくらか?

    

 投手・大谷の球速と、打者・大谷のスイングスピードは、

 共に時速330km/h。

 バットとボールの重さの割合は、6.5 : 1。

 バットとボールはバッティングの瞬間まで

 水平な同一直線上を移動。

 バッティングの直後、バットは下方向に軌道を変えたが、

 僅かなので考慮せず、水平を保つとする。

 バットのスピードはバッティング前の72%まで低下。

   

 打球は地面から仰角45度で打ち上げられ、

 ボールの着地点は打点と同じ高さ。

 空気抵抗や外力は無視。重力加速度は9.8m/s²。

 飛距離はメートル単位の整数値。小数第1位を四捨五入。

   

  

かなり色々と条件がついてるが、これでもまだ、問題の説明が足り

ないような気がする所だろう。そもそもバットは、直線運動ではなく

て回転運動だから、外力(手の力)が大前提のまず♪ 

   

まあ、色々と好意的にシンプルな解釈をしてみると、テレビで正解

とされた距離と同じ答に到達できた。要するに、2物体の衝突と、

斜方投射による放物運動との組合せだ。

    

    

     ☆        ☆        ☆

(解答) まず、時速を秒速に換算する。

  時速330km=3600秒で330000m

         =275/3 (m/s)

     

次に運動量保存則を用いる。バットから投球への向きを正とし、

バットとボールの質量を6.5a(kg)、a(kg)とする。

さらに、打球の水平方向の速度をv(m/s)とすると、

     

  a×(-275/3)+6.5a×275/3

    =a v+6.5a×{(275/3)×0.72}

 ∴ v=451/6 (m/s)

  

仰角45度だから、鉛直方向のスピードも同じ(上向きを正)。

ここで、打点の高さを基準点として、打球の鉛直方向の

位置(打点から見た高さ)hを時間tで表すと、

 h=(451/6)t-4.9 t²

  

着地点では、h=0、t>0だから、

  0=(451/6)t-4.9 t²

 ∴ 451/6-4.9t=0   ∴ t=2255/147 (s)

   

 ∴ (飛距離)=(水平方向の移動距離)

        =(水平方向の速度)×(時間)

        =(451/6)×2255/147

        =1017005/882

        =1153.0・・

        =1153 (m) ・・・ 答

    

   

     ☆        ☆        ☆

一応、筆算の図も挿入しとこう。私も電卓やアプリの類は使わず、

自分の手で計算した。昨日の記事で扱った太陽シャトル問題よ

りは簡単だ。

           

161218f2

    

           

161218g

    

  

ちなみに、衝突後のバットの速度が与えられてるので、はねかえり

係数(=反発係数)は不要。また、衝突では一般に力学的エネ

ルギー保存則は使えないのが普通で、ここでも保存されない。

高校1年か2年の物理の発展問題レベルであって、難問ではない。

   

もし「2倍の大谷」ではなくて、その半分の「普通の大谷」だと、打球

のスピードは半分になって、飛距離は4分の1になる。つまり、

288m程度。

   

ただし、現実の世界だと、打球は空気抵抗を強く受けるし、仰角

が45度(理論的にベストの角)ではないので、百数十mになる。

   

    

    ☆        ☆        ☆ 

続いて、「数列パズル」とテロップが出てた、3×3のスライ

ディング・パズルとか8パズルと呼ばれるもの。4×4

の15パズルの方が普通だろう。実物のオモチャが無くても、

紙に書くだけで楽しめるし、数学的にも興味深い脳トレゲーム。

   

最初の状態から、次の図のように、1個ずつ数字ブロックを上下

左右にスライドさせていけば、12345678の順に並べられる。

3×3で配置も簡単だから、私も含めて、知ってる人なら秒単位。

実物も紙も不要。頭の中のイメージを動かすだけ。

         

161218a

   

161218b

    

161218c

   

  

参考までに、8パズル関連の当サイトの記事も紹介しとこう。

2本目はややハイレベルで、基礎知識は不要だけど、大学

1、2年の内容が入ってる。

     

 「15パズル」の攻略法~8パズル、3パズルへの還元

 置換・互換と14-15パズルの不可能性

       ~3パズル&8パズルからの証明

    

       

     ☆        ☆        ☆

今日の最後は、絵が描かれてないし、1ピース足りないジクソー

パズル。緑の正方形の枠に、小さな正方形に近い15コの

ピースを入れた時、足りないピースの形は何か? 出場者は

秒速で、頭のイメージだけでイラストを描いてた。

  

昨日と同様、1枚だけ静止画キャプチャー(写メ)を掲載させて

頂こう。非営利の個人ブログで、番組レビューのための限定的

引用なので、著作権的に問題は生じないと考える。

   

161218d

   

   

     ☆        ☆        ☆

    

私には、これを頭の中だけで組み合わせるのは無理。それ

でも、足りないピースの形は書けるのだ。

   

15コのピースで、突起もくぼみもない真っ直ぐな辺の数を数え

ると、ちょうど16ある。ということは、これらが緑の枠と接する

部分で、それ以外の辺は、あるピースの突起と他のピースの

くぼみの組合せになってるはず。

    

15コのピースの突起は21個。くぼみは23個。ということは、

足りない1個のピースだけ見ると、突起がくぼみより2個多い

はず。

   

突起が2個、くぼみが0個のピースだと、真っ直ぐな辺が2つ

出来てしまうので不適。よって、足りないピースは、突起が

3個、くぼみが1個。イラストは次のようになる。

    

161218e

  

ちなみに、隣り合う2辺が共に真っ直ぐになってるピースが

4コあって、それらが緑の枠の四隅になる。ただ、その配列まで

は分からないから、この問題だと、すぐに隅に置けるのは1コ

だけ。あとの3コの配置は、そこから考える必要がある。

     

  

    ☆        ☆        ☆

これであと、気になる理数系の問題は、立体三目並べのみ。

これは場合分けが面倒だし、図を描きにくいので、しばらく時間

がかかると思う。できれば1週間以内にアップしたいけど、あま

り自信はない。

☆追記: 3日後に先手必勝法の記事をアップした。)

    

ただ、ルービックキューブと比べると遥かに単純で、別にコン

ピューターが必要な問題でもないので、遅くとも1ヶ月以内には

記事を書けると思う。おそらく、先手の人間必勝か引き分けの

ゲームだろうと思うけど、細かく調べてみないと分からない。

    

なお、今週計14343字となった。ではまた来週。。☆彡

    

                 (計 2654字)

      (追記 92字 ; 合計 2746字)

| | コメント (0)

単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理の問題と解き方5

問題文をブログに書き写すのが面倒で、なかなか進まない『物理重要

問題集』シリーズ、第5弾。今回も、数研出版が集めた受験問題を解説

してみよう。これまでの4本は次の通り。他にも物理カテゴリーの記事

は色々あるし、数学カテゴリーには多数の記事がある。

   

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

  

今回は第5章、単振動・単振り子(p.30~)のA問題から

3問。いつものように、式や説明などはすべて私が書いたもの。

元の問題集は、最後の数値など、最低限の事しか書いてない。

      

  

      ☆        ☆        ☆  

 43 (質点の単振動) 東京商船大

 

 次の文章の中の空欄(長方形)にあてはまる数値、またはグラフ

 を描け。ただし、数値は有効数字2桁まで求めよ。

   

  質量9kgの質点がx軸上を単振動している。x=1mの点

 Aをx軸の正の向きに通過した質点が、t=3sでx=3m

 の点Bに到達し、その後、向きをかえ、t=6sで点Aを

 x軸の負の向きに通過した。質点の速さは、点Aを通過する

 とき最大となり、点Bでは0であった。

   

 (1) この質点の運動について、時刻tと座標xの関係を表す

  グラフを、時刻t=0から9sまで、右図に描け。

 (2) 単振動しているとき、速さの最大値は振幅と角振動数

  (振動数に2πをかけたもの)の積であるから、点Aで質点

   がもつ運動エネルギーは     Jである。

 (3) この運動では、質点にはたらく力の大きさは点Aから

  質点までの距離に比例し、その比例定数は質量と角振

  動数を用いて表すことができる。時刻t=9sのとき、

  質点にはたらく力の大きさは     Nである。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答(1)

161127c    

   

 (2)グラフのように、振幅(上下の触れ幅)は2m。

   また、周期は12sだから、

   (角振動数)=2π/(周期)

           =2π/12

           =π/6

   ∴ (点Aでの速さ)=(速さの最大値)

               =(振幅)×(角振動数)

               =2×(π/6)

               =π/3

   ∴ (点Aでの運動エネルギー)

        =(1/2)×(質量)×(速さ)²

        =(1/2)×9×(π/3)²

        =π²/2

        ≒9.86/2

        ≒4.9 (J) ・・・ 答 

   

 (3) (力)=-(質量)×(角振動数)²×(変位)

        =-9×(π/6)²×(-2)

        =π²/2

     ∴ (力の大きさ)≒4.9 (N) ・・・ 答

   

  

 (解説・感想)

  グラフの縦軸がx軸になっている点と、単振動の中心が

  原点ではなくx=1であることに注意。問題文の最初に

  時刻t=0sと書いてないのは意図的なものだろうが、

  おそらく気づかなかった受験生が多いと想像する。

  

  後は親切で簡単な基本問題で、(2)と(3)の計算式

  が同じである点も嬉しい。ただ、試験会場だと逆に、やや

  不安になる所かも。

 

  なお、「力」とは向きも考えた概念で、この問題の場合は

  直線運動だから、正負の符号があるもの。一方、「力の

  大きさ」とは、力の絶対値だから0以上で、符号なし。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 46 (ばね振り子)  都立大 91年

 

 自然の長さL、ばね定数kの、重さを無視できるばね(つり巻き

 ばね)がある。 重力加速度の大きさをgとして、次の問いに答

 えよ。

  

 (1) 上端を固定し、下端に質量mのおもりをつるしたら、自

  然の長さから長さ x0 だけ伸びてつりあった。x0 を求めよ。

  

 (2) 次に、つりあいの位置から長さAだけばねを伸ばして

  静かにはなすと、おもりは単振動を行った。この振動で、

  ばねが自然の長さからxだけ伸びているときの、おもりの

  加速度aを、k、m、x、x0 を使って表せ。ただし、鉛直

  下向きを正の向きとする。また振動の周期Tはいくらか。

  

 (3) (2)の振動において、ばねが自然の長さからxだけ

  伸びているときの、ばねの弾性力の位置エネルギー

  Wと、おもりの重力の位置エネルギーUはいくらか。

  ただし、位置の原点は自然の長さの位置にとる。また、

  このときのおもりの運動エネルギーKを求めよ。解答

  にx0が現れたときには(1)で求めたx0を代入せよ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 解答(1) k x0 = mg   

      ∴ x0 = mg/k ・・・ 答

   

 (2) (加速度a)=(力)/(質量)

           =-k(x-x0)/m

           =k(x0-x)/m ・・・ 答

     (周期T)=2π√(m/k) ・・・ 答

  

 (3) (弾性エネルギーW)

       (1/2)kx² ・・・ 答

     (位置エネルギーU)=-mgx ・・・ 答

  

    長さx0の時、

    (力学的エネルギー)

      =(1/2)k(x0)²-mgx0

    長さxの時、

    (力学的エネルギー)

      =(1/2)kx²-mgx+K

   

    よって、力学的エネルキー保存則より、

    (1/2)k(x0)²-mgx0

        =(1/2)kx²-mgx+K

   

    x0=mg/kを代入して、Kについて解くと、

    K=(1/2)k(x0)²-mgx0

          -(1/2)kx²+mgx

     =(1/2)k(mg/k)²-mg(mg/k)

           -(1/2)kx²+mgx

     =mgx

      +(k/2){A²-x²-m²g²/k²} ・・・ 答

   

   

 (解説・感想

  丁寧な問題文と誘導で、出題者の実力を感じる。下の問題

  文と比べるとかなりの差がある。それはさておき、(3)の

  運動エネルギーだけが重要で、そこまでは誘導しながら、

  少しずつ点数を与えてるわけだ。

  

  最後の計算がやや面倒だが、保存則の式が書けてれば、

  ある程度以上の点数をもらえると思う。ちなみに、「振り子」

  とは普通、左右に揺れる物を指す言葉だが、「ばね振り子」

  の場合は上下の振動を指すようだ。

   

   

    ☆        ☆        ☆

 48 (2本のばねによる単振動)  千葉工大

  

 質量mの物体Aが、ばね定数がk1で自然長がL1の

 ばねS1と、ばね定数がk2で自然長がL2のばね

 S2に図のように結びつけられて摩擦のない水平面

 上に静止している。

  

 

161127d

   

 このとき、S1、S2は自然の長さの状態にあり、Aの

 位置をx軸の原点Oとし、S2側を正の向きとする。

 S1の左端とS2の右端は壁に固定されている。ばね

 の質量と空気の抵抗はないとして、次の問いに答えよ。

  

 〔1〕 Aに外力Fを加えてAを右方にaだけ変位させた。

  (1) S1がAに及ぼす力はいくらか。

  (2) S2がAに及ぼす力はいくらか。

  (3) Aに加えた外力Fはいくらか。

  (4) 外力FがAになした仕事はいくらか。

  

 〔2〕 〔1〕の状態から外力FをAから取り除いたら

    Aは単振動した。

  (5) Aが原点Oを通過するときのAの速さはいくらか。

  (6) Aの単振動の周期はいくらか。

  

   

    ☆        ☆        ☆

 解答〔1〕

  (1) -k1 a ・・・ 答

  (2) -k2 a ・・・ 答

  (3) (外力F)=-(上の2つの力の和)

           = (k1+k2)a ・・・ 答

  (4) (外力がなした仕事)

      =(ばねS1とS2が得た弾性エネルギーの和)

      =(1/2)(k1+k2)a² ・・・ 答

  

  〔2〕(5) (4)の仕事が、原点での運動エネルギー

      ∴ (1/2)(k1+k2)a² 

           =(1/2)m(速さ)² 

      ∴ (速さ)=a√(k1+k2)/m ・・・答

     (6) ばね定数 k1+k2 の1本のばねに

        よる単振動と考えられるから、公式より、

        (周期)=2π√{m/(k1+k2)} ・・・答

   

   

 (解説・感想)

  ばねが2本あることだけがポイント。簡単な誘導も付い

  てるが、解いた経験がほとんど無い受験生だと、考え

  が上手くまとまらないかも知れない。

  

  前の問題もそうだが、もちろん実際には、徐々に振幅

  が縮まる減衰振動となる。ばねとおもりが失った力学

  的エネルギーは、天井や壁の振動になったり、熱エネ

  ルギーに変換されるはず。鉛直方向で重いおもりを

  振動させると、ばね自体も少し伸びてしまって、自然の

  長さやバネ定数が変わるだろう。

   

なお今週は計16326字で終了。ではまた来週。。☆彡

    

                     (計 3061字)

| | コメント (0)

満月の大きさと楕円軌道の変化~月・地球・太陽の万有引力による三体問題

昨日、2016年11月14日は、「スーパームーン」が見れるという

ことで、メディアが多少盛り上がってた。

   

国立天文台HP(暦計算室)は、スーパームーンにはっきりした定義は

ないと書いてるが、要するに「超・月」。「超」大きく見える満「月」という

こと。1年ちょっと経つ度に現れる大きな満月か、その中でも数十年

に1回くらいしかない大きさの満月か、どちらかを表してるわけだろう。

        

どちらにせよ、それほど変わらないようで、小さい時と比べて大きさ

が14%増えて、明るさが30%増えるというお話。

   

(面積比)=(相似比)の2乗

∴ (面積の倍率)=1.14倍×1.14倍=1.30倍

明るさは面積に比例するので、1.30倍。つまり30%増。

    

という単純な計算だろうか。この記事では明るさ問題にはこだわらない。

        

   

     ☆        ☆        ☆

この現象に関する天文学的説明を、国立天文台HPで細かく読むと、

なかなか納得できない点が色々あった。昨夜は、本物の月の代わり

に、各種の解説図の月を延々と眺めることになったのだ。

         

おかげで、それなりに理解できたし、国立天文台の説明が多少おかし

いことにも気付いた。もちろん、一般市民向けの説明として、専門家が

分かりやすさを心がけた結果だろうが、数学好きの私から見ると、間

違いと言っていいような部分もあるし、論理的に飛躍した部分もある。

  

例えば、離心率eが大きくなるから、最近距離a(1-e)が小さ

くなるとか。楕円軌道の長半径aも同時に大きくなると、そんなことは

必ずしも言えないし、実際、aが大きくなってる図を書いてたのだ。

    

既に早くも流行遅れだし、数学的・物理学的にマニアックな話にもな

るが、個人的考察を簡単にまとめとこう。図はすべて、天文台のイラ

ストを加工して、引用させていただいた。

      

   

      ☆        ☆        ☆

最初に、月、地球、太陽の位置関係と満月について、確認しとこう。

小学校の理科の話に近いが、満月が「望」、反対の新月が「朔」(さく)

と呼ばれる点に注意。

   

161115a

    

下側のピンクの丸印が、満月、つまり「望」。太陽、地球、月の順に、

一直線に並んだ時に生じる。太陽に照らされてる月の表面全体を、

地球から見てるわけだ。以下では、この満月=望に焦点を絞り込

んで考える。

   

まず、上図を90度回転して、以下の話に合わせとこう。月の軌道の

右端、ピンクの丸印を付けてるのが満月、つまり「望」だ。

     

161115b

   

   

     ☆        ☆        ☆

ここまで、月が地球中心に円運動してるかのように説明してるが、

より正確には楕円運動だ。

   

下図は、太陽を回る惑星(地球など)の軌道だが、地球と月の関係も

こんな感じになる。太陽は、楕円の焦点と呼ばれる位置にある。

     

161115c_2

  

右端のピンクの丸印は、地球などの惑星が最も太陽に近づく「近日点」。

お日様に近い点という意味だ。

   

だから、月の楕円軌道で最も地球に近づく時なら、地球に近い点という

意味で「近地点」と呼ばれる。また、地球はこの楕円の焦点あたりに位

置する。要するに、中心から少しズレた場所だ。

     

   

      ☆        ☆        ☆ 

次に、太陽を回る地球の公転と、地球を回る月の公転を合体させる。

ここでは、地球の軌道はほぼ円、月の軌道はかなり極端な楕円として

描いてる。地球の軌道の方が円に近いので、分かりやすく対比を付け

てるわけだ。青丸が地球。ピンクの丸印が、近地点での満月。ここでは

点線は気にしない。

     

161115d_3   

   

    

       

      ☆        ☆        ☆

地球は1年で太陽の周りを公転するから、大まかに言うと、1年に

1回くらいピンク色の丸印の位置に月が来て、近地点だから大きな

満月=月になる。

  

正確には、近地点と満月は時間的に少しズレるようで、例えば今回

の場合だと、近地点の2時間半後が満月。まあ、月の見え方というの

は巨大なスケールの話だし、細かい誤差は気にしないということか。

    

あと、実は月の楕円軌道自体も回転する。イメージがつかめなけれ

ば、こちらに簡単なアニメがある。地球の周りを8.85年で1回転。

その他、複雑な理由が重なって、近地点の満月は約410日に1回

くらいになるらしい。この日数を、天文台は「約14朔望月」と書いてる。

    

     

     ☆        ☆        ☆

いずれにせよ、1年ちょっとで大きな満月が見れるわけだが、その大き

さも微妙に変化するらしい。月と地球の中心の距離(地心距離)で、

数km~数十kmほど。

  

昨日のスーパームーンは、その意味で68年ぶりの近さ(つまり大きさ)

だったが、天文台はかなり冷めた書き方をしてた。そんな僅かな差より、

真上で月を見るか、地平線の辺りで見るかの違いの方が遥かに大きい

からだ。

  

言われてみれば、真上に見る時の方が、地球の半径の長さ6400

kmくらい近いことになる。ただし、心理的効果によって、真上の月は

逆に小さく感じてしまい、地平線の辺りの方が大きく見えるのが普通。

私も何度も試したが、錯覚だと教えられても、そうとしか見えない。

    

    

      ☆        ☆        ☆

最後に、遥かに難しい話に向かおう。ここで私は悩むことになった。

  

近地点の満月では、特殊な2つの効果も加わって、より近くに満月が

来るというのだ。「出差」(しゅっさと読む)と、「二均差」。

左下の「出差」の図については、この記事の最後で再び考え直す。

          

161115e

    

「出差は太陽の影響で楕円がゆがむ効果」。「二均差は太陽の

影響で軌道のカーブが変化する効果」と書かれてるが、何がどう

違うのか、どうして分けるのか、なかなか分からなかった。

   

   

     ☆        ☆        ☆   

英語のウィキペディアなども読みながら考えた結果、おそらく原理的に

はこうゆう事だと思う。

   

本当は、月と地球と太陽、三つの天体が万有引力によって非常に複雑

な運動をするのであって、知る人ぞ知る、三体問題。より一般的に言う

と、「多体問題」。万有引力の3本の方程式から、キレイに軌道の式を

導くことはできない。そもそも、楕円軌道とか焦点という話も、正確には

近似に過ぎない。天体は無数。質量が重心の一点にあるわけでもない。

       

だから、シンプルな三体問題に絞り込んで、数値解析のような近似計

算を使うと共に、実際の計測で補うのだと想像する。

    

その一方で、三体問題を二体と考える近似的やり方も、ニュートン以前

からある。まず、太陽と月、太陽と地球の関係を考えて、それらを総合

するのが出差。たとえば、月の方が地球よりも太陽に強く引き付けられ

るから、月と地球の距離が変わるとか。

             

また、地球と月の関係を基本にして、それに対する太陽の僅かな影響

を考えるのが、二均差。一般的には、「摂動」と呼ばれる補正的な項目。

  

要するに、出差も二均差も、昔ながらの近似的で実用的な説明だから、

物理学的・数学的な違いがハッキリしないのだと思う。近地点の満月

の周期が約410日(14朔望月)になることについて、定量的な

説明が見当たらないのも、そうした背景によるものだと想像する。。

    

    

      ☆        ☆        ☆ 

最後に、天文台HPの図の問題点について、一言だけ書いとこう。

出差の図の一部分だけ再掲する。

   

161115f

     

この楕円だと、ゆがみ過ぎてて、地球にもっとも近い点は上と下に

あるように見えてしまう。

  

それは強調表現としても、この点線の軌道だと、右端にある近地点

の満月は、実線の軌道より離れてしまってる。これでは、「出差に

より・・・・・・最近距離は小さくなり」などの説明と矛盾してしまう。

   

おそらく、正しくは、点線を次のピンク色のように書くべきだろう。

  

161115g

    

これなら確かに、右端の近地点の満月が、黒い実線よりも地球

(青丸)に近づいてる。その後の説明文とつじつまが合うのだ。

    

いずれまた、データや数式をまじえて、もっと細かい話を書きたいと

思ってる。今日のところは、この辺で。。☆彡

        

                      (計 3055字)

| | コメント (0)

等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理の問題と解き方4

数研出版『物理重要問題集』の中から、適度な問題を選んで紹介&解説

するシリーズ、第4弾。これまでの3本は次の通り。アクセス数は期待

してなかったが、多少の需要はあるようだ。

     

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

       

今日は時間が無いし、風邪気味で体調が悪いから、すぐ1問目に

向かおう。第4章、円運動・万有引力。p.25のA問題2つから。

   

  

      ☆        ☆        ☆  

 33 (ばねにつけられたおもりの円運動) 愛知医大

   

 水平に置かれた円板上に半径に沿った溝があり、その中に

 質量mのおもりAをつけた軽いばねが水平に置かれている。

 図は円板を上から見たようすを示している。

  

161029a

 

 ばねの定数は k、自然の長さは L0 であり、ばねの

 一端は円板の中心Oに固定されている。おもり、および

 ばねと溝の間には摩擦はなく、おもりの大きさは無視で

 きるものとする。この円板を水平面上でOを中心として

 一定の角速度で回転したら、ばねの長さが L1 になった。

 そのとき、次の各量はいくらか。

  

 (1) ばねにはたらく力の大きさ。

 (2) おもりAの加速度の大きさ。

 (3)  おもりAの速さ。

 (4) 円板の角速度。

   

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (1) (ばねの力)=(ばね定数)×(伸び縮み)

            =k( L1-L0 ) ・・・答

  

 (2) (ばねの力)=(向心力)=(質量)×(加速度)

    ∴ k( L 1 - L 0 )=m×(加速度)

    ∴ (加速度)= k( L1 - L0 )/m ・・・答

  

 (3) (加速度)={(速さ)の2乗}/(半径)

    ∴ (速さ)=√{(加速度)×(半径)}

          = √ { kL1( L1-L0 )/m } ・・・答

  

 (4) (角速度)=(速さ)/(半径)

          = √ { k( L1-L0 )/mL1 } ・・・答

  

  

(感想・解説)

 非常に親切で簡単な誘導問題だが、円板の溝を難しく考えて

 しまうと面倒な話になる。溝は、全体が安定するまではおもり

 に力を与えるが、等速円運動として安定した後は無関係。

 おもりの速さが変わらなくなった後は、溝はおもりに力を

 与えてない。

  

 ただし実際の装置だと、完全な理想的状態は作れないので、

 溝からおもりへの力が僅かにあるはずだ。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 34* (円すい振り子) 東京商船大 90年

   

  次の文章の中の〔  〕にあてはまる式を記せ。

  自然の長さが L0、ばね定数が k のつる巻きばねの上端を

 固定し、下端に、質量がmの質点を結ぶ。

   

161029b

    

  図のように、このばねと質点を、鉛直線のまわりに大きすぎ

 ない角速度 ω で回転させたとする。ただし、ばねの質量は

 小さくて無視できるとする。

  このとき、ばねの伸びを m、ω、L0、k で表す式を以下の

 順序にしたがって求めたい。

  

  ばねの伸びを x、ばねが質点から受ける力の大きさをT、

 質点の円運動の半径をr、質点が受ける遠心力の大きさ

 をFとすると、明らかに、T=kx である。また、Fを m、ω、

 r で表す式は、F=〔  ア  〕である。よって、F/Tを

 k、x、m、ω、r を用いて 〔  イ  〕のように表すことが

 できる。一方、力のつりあいの考察から、F/Tを

 r、L0、x を用いて 〔  ウ  〕のようにも表せる。F/T

 についての、以上の2つの式を利用して計算すると、

 ばねの伸びxをm、ω、L0、kで表す式

 x= 〔  エ  〕を得る。

  

   

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (ア) 少なくとも短時間、等速円運動と考えられるから、公式より

    (遠心力 F) = mr(ωの2乗) ・・・答

  

 (イ) F/T= mr(ωの2乗)/kx ・・・答

  

 (ウ) ばねの力Tの半径方向の成分が遠心力Fだから、

     T×r/(L0+x)=F

    ∴ F/T=r/(L0+x) ・・・答

  

 (エ) (イ)と(ウ)より、

    mr(ωの2乗)/kx=r/(L0+x)

    ∴ m(ωの2乗)(L0+x)=kx

    ∴ {k-m(ωの2乗)}x=m(ωの2乗)L0

    ∴ x=m(ωの2乗)L0/{k-m(ωの2乗)} ・・・答

   

  

(感想・解説)

 やり方も使う文字も指定されてるが、おそらく重力加速度g

 を使って答えた受験生は少なくないはず。鉛直方向のつり合

 いを(とりあえず)無視して、水平面での円運動を中心に見た

 問題なので、出題の意図に合わせて考えて行くことが必要。

    

 あと、等速円運動かどうかもハッキリしないので、(ア)の解答

 で一言付け加えておいたが、この点で迷った受験生はほとん

 どいないだろう。

   

   

     ☆        ☆        ☆

 40* (人工衛星) 東京電気大

  

 万有引力を向心力として地球のまわりを等速円運動する

 人工衛星について、次の問いに答えよ。人工衛星が地球

 から受ける力は、地球の中心に地球の質量が集まったと

 して計算してよい。ただし、人工衛星の質量をm〔kg〕、

 地表からの高さをh〔m〕、万有引力定数をG

 〔N・(mの2乗)/(kgの2乗)〕、地球の質量と

 半径をそれぞれM〔kg〕、R〔m〕とする。

 

 (1) 地表面における重力の加速度をG、M、Rを

    用いて表せ。

 (2) 人工衛星の速さ(m/s)を求めよ。

 (3) 人工衛星の周期(s)を求めよ。

 (4) 地球から無限に離れたときの位置エネルギーを基準に

    して、人工衛星のもつ位置エネルギー(J)を求めよ。

 (5) 地表面近くを円運動でまわる人工衛星の速さを第1

    宇宙速度とよぶ。一方、物体を地球の引力から脱出

    させて無限遠方に飛び去らせるための地表面での

    最小の速さを第2宇宙速度とよぶ。第2宇宙速度は

    第1宇宙速度の何倍か。

   

   

      ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) 地表面にある質量1kgの物体について、重力加速度を

     g とすると、

      (重力)=(万有引力)より

      1×g=G×1×M/(Rの2乗)

     ∴ g = GM/(Rの2乗) 〔m/(sの2乗)〕 ・・・答

  

 (2) 人工衛星の速さを v とすると、

     (向心力)=(万有引力)より、

     m(vの2乗)/(R+h)=GmM/{(R+h)の2乗}

    ∴ v = √{GM/(R+h)} (m/s)・・・答

  

 (3) (周期)=(円軌道の長さ)/(速さ)

        =2π(R+h)/√{GM/(R+h)}

        =2π√〔{(R+h)の3乗}/GM〕 (s) ・・・答

  

 (4) 公式より、 -GmM/(R+h) (J) ・・・答

  

 (5) (2)で、地表からの高さh=0として、

     (第1宇宙速度)=√(GM/R)

    一方、(4)の答でもh=0として、

     地表での人工衛星の位置エネルギーは、-GmM/R。

     ∴ (第2宇宙速度v)

         =(位置エネルギー0の無限遠に運ぶ最小の速さ)

         =(運動エネルギーがGmM/Rである速さ)

     ∴ m(vの2乗)/2=GmM/R

     ∴ v=√(2GM/R)

       

     ∴ (第2宇宙速度)/(第一宇宙速度)

         =√(2GM/R)/√(GM/R)

         =√2 (倍) ・・・答

  

   

(感想・解説)

 まるで教科書の説明みたいな、完全な基本問題。

 人工衛星の位置エネルギーとは、無限遠に行くまでに

 「する」仕事のこと。つまり、無限遠までに「される」仕事

 にマイナスを付けたものになる。

  

 される仕事は、引力にさからって動かす仕事だから、中心

 と結ぶ距離方向に引力を積分したもの。引力の分母が

 距離の2乗だから、積分すると分母は距離の1乗になる。

 分数関数の積分で、積分定数を省いて書くと、

 ∫{1/(rの2乗)}dr=-1/r

  

 この分母が0(ゼロ)だとまずいので、地球の中心(r=0)を

 考える代わりに、無限遠(r=無限大)を考えることになる。

    

    

最後の答、宇宙速度の倍率は美しいので、多くの少年・少女を

宇宙関連、ロケット関連の道に誘い込んで来たことだろう。   

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

     

   

cf. 単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

  

                   (計 2974字)    

           (追記 23字 ; 合計2997字)

| | コメント (0)

動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理の問題と解き方3

数研出版『物理重要問題集』の中から、適度な問題を選んで紹介&解説

するシリーズ、第3弾。これまでの2本は次の通り。

  

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理1

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理2

  

当サイトには、物理系のドラマ・映画記事なら多数あるが、普通の物理

記事は少ない。ただ、数学記事なら多数あるし、既に11年間、毎日

更新し続けてるので、安心して頂いていいと思う。問題集には答の数

値が書かれてるだけなので、以下の解答はすべて私が作ったものだ。

      

最近の数研出版の問題集には、きちんとした解答が付いてるらしいが、

まだ確認してない。

   

   

      ☆        ☆        ☆

では今回の1問目。前回から少しバックして、p.11。「A」で「*」(ア

スタリスク)付きだから、特別に重要な問題の1つだ。

  

 12 (力のつりあい) 京都府立大

160929a_2

        

 図のように、滑車にかけた1本の綱の一端を、板上の人が落ち

 ないように引っ張って静止している。人の重さは60kmw、

 動滑車の重さは8kgwで、板および板をつるしているロープの

 重さの和は10kgwである。綱の重さおよび滑車と綱との間の

 摩擦は無視でき、また綱は滑車にかかっている部分を除きす

 べて鉛直になっているものとする。

 

 (1) 人が綱を引いている力の大きさは何kgwか。

 (2) 人が板から受けている力の大きさは何kgwか。

   

  

      ☆        ☆        ☆

(解答) 

 (1) 綱を引く力、つまり綱の張力の大きさをTとし、板から人に

     加わる垂直抗力の大きさをN、動滑車から板に加わる力

     の大きさをFとする。単位はすべてkgw。鉛直方向・上向き

     を正とした時、力の釣り合いの式はこうなる。

     

     (人) T+N-60=0  ・・・(ア)

     (板とロープ) F-N-10=0  ・・・(イ)

     (動滑車) 2T-F-8=0  ・・・(ウ)

   

     3つの式を辺々加えると、

     3T-78=0  ∴ T=26(kgw) ・・・答

   

 (2) 式(ア)にT=26を代入して、

      N-34=0  ∴ N=34(kgw) ・・・答

   

(感想・解説) 

 動滑車には左右から上向きに張力Tが加わるので、合わせて

 2Tの力で引き上げられる。定滑車と組み合わせると、かなり

 少ない力で自分を持ち上げることが可能。

  

 要するにその分、天井が頑張ってるわけで、もし単に天井と

 人間を綱でつなげば、手の力はゼロで済む♪ だから、小さ

 い力で済むのは一応、納得できるが、最初に学んだ時には

 だまされたような気がしたのも事実だ。それを言うなら、テコ

 の原理の不思議さも似たようなものか。

  

 実はTだけ、先にすぐ求めることもできる。人、台、動滑車の

 全体で見ると、上向きに3Tで78kgwを支えてるから、

  3T=78   ∴ T=26

 ただ、変わった解き方は間違えやすいので、お勧めはしない。

  

     

      ☆        ☆        ☆

2問目はp.18の第3節、「抵抗力を受ける運動」の最初。これもア

スタリスク付きで最重要問題とされてるA問題だ。PCトラブルで、

小さい数字の入力ができないので、代わりに半角の数字にしてある。

             

 23 (糸でつながれた2物体の運動) 武蔵工大

160929b

  

 図のように水平台上に置かれた質量Mの物体Aに糸を結び、

 滑車を通して糸の他端に皿をつり下げ、これにおもりBをの

 せる。物体Aと水平台の間の静止摩擦係数をμ、運動摩擦

 係数をμ´、重力の加速度をg(=9.8m/s2)として

 次の問いに答えよ。ただし、糸、皿の質量は無視できるもの

 とする。

  

 (1) 物体Aに作用するすべての力を図中に矢印で示し、

    それぞれの名称を横に記せ。

 (2) 物体Aが動きだそうとするときの、おもりBの質量m0を

    求めよ。

 (3) おもりBの質量をm(>m0)としたときの物体Aの加速度

    a、糸の張力Tを求めよ。

 (4) M=2.5kg、μ´=0.2、m=1.0kgとしてAの加速度

    aおよび糸の張力Tを計算せよ。

  

  

      ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) 図はここでは省略。物体Aの中心あたり(重心)から

    下向きの矢印が重力。Aの底面の中心あたりから上向き

    の矢印が垂直抗力で、左向きの矢印が摩擦力。Aの右端

    の真ん中あたりから右向きの矢印が張力

  

 (2) 物体Aに働く最大の静止摩擦力が、Bの重力と等しい。

    ∴ μMg=(m0)g   ∴ m0=μM ・・・答

  

 (3) 動き出した後なので、動摩擦力を考える。

     (Aの運動方程式 右向き正)

      T-μ´Mg=Ma ・・・(ア)

     (Bの運動方程式 下向き正) 

      mg-T=ma ・・・(イ)

     

    (ア)(イ)を辺々足して、

      (m-μ´M)g=(M+m)a

     ∴ a=(m-μ´M)g/(M+m) ・・・答

  

    これを(イ)に代入して、

     mg-T=m(m-μ´M)g/(M+m)

     ∴ =mg-m(m-μ´M)g/(M+m)

        ={ (M+m)mg-m(m-μ´M)g }/(M+m)

        (1+μ´)Mmg/(M+m) ・・・答

  

 (4) (3)で求めた答の式に、与えられた数値を代入する。

     a=(1.0-0.2×2.5)×9.8/(2.5+1.0) 

      =1.4 (m/s2) ・・・答

     T=(1+0.2)×2.5×1.0×9.8/(2.5+1.0)

     =8.4 (N) ・・・答

   

   

(感想・解説)

 2つの物体、水平台、定滑車、糸を使った、教科書レベルの基

 本問題。それぞれについて運動方程式を立てて、連立して解く

 だけだが、最初は正の向きの設定が出来なかったり、重力加

 速度gを付け忘れたりする。

 

 摩擦力は、動き出す直前なら静止摩擦係数、動いてる時なら

 少し小さい動摩擦係数を用いて計算。質量ではなく、垂直抗力

 (この問題では重力)と掛け合わせる点に注意。下の台が斜め

 だったり、上向きの別の力が加わってたりすると、摩擦力は減る。

  

 最近は動摩擦と言わずに「運動摩擦」と呼ぶのが普通なのかも。

 些細な呼び名の違いにすぎないが、後で調べてみたい。

   

   

      ☆        ☆       ☆

最後の3問目は、糸と滑車ではなく、バネの弾性力を使う連結。

これもアスタリスク付きのAだから、最重要問題。

  

 24 (あらい水平面上の連結物体) 神奈川大 

160929c

  

図のように、質量m1、m2の物体A、Bがばね定数k、自然

の長さL0 のばねで連結されてあらい水平な床上に静止して

いる。重力加速度をgとして次の問いに答えよ。

  

(1) 物体Aに左向きの力を徐々に加え、力の大きさがFに

   なったときAが動きだした。このとき、物体Aと床との間

   の静止摩擦係数を求めよ。

(2) さらにAを引き続けたところ、ばねの長さがLになったとき

   Bも動きだした。このとき、物体Bと床との間の静止摩擦

   係数を求めよ。

(3) その後、物体A、Bともに左方へ一定の速さで動き続けた。

   A、Bと床との間の運動摩擦係数は各々の静止摩擦係数の

   3分の2であるとして

   (ア) ばねの自然の長さからの伸びを求めよ。

   (イ) 物体Aに加えている左向きの力の大きさを求めよ。

  

  

       ☆        ☆        ☆

(解答)

 (1) Aの静止摩擦係数をμ1とすると、

     F=(μ1)(m1)g   

    ∴ μ1=F/(m1)g ・・・答

  

 (2) Bの静止摩擦係数をμ2とすると、

     k(L-L0)=(μ2)(m2)g 

    ∴ μ2= k(L-L0)/(m2)g ・・・答

  

 (3)(ア) 物体が一定の速さなので、力はつり合っている。

     Bにおける伸びをxとすると、

     kx=(2/3)(μ2)(m2)g

       =2k(L-L0)/3

     ∴ x=2(L-L0)/3 ・・・答

   

   (イ) Aに左向きに加えた力をGとすると、右向きの

      動摩擦力+バネの力とつり合っているので、

      G=(2/3)(μ1)(m1)g+kx

       =2F/3+2k(L-L0)/3

       =2{ F+k(L-L0)}/3 ・・・答

   

   

(感想・解説) 

 解答に使っていいのはどの文字なのか、ちょっと分かりにくい

 問題だし、最初のばねの長さがいくらなのかも明確ではない。  

 私なら、「・・・自然の長さL0のままで静止している」と問題文に書く。

 これなら、自然の長さと最初の長さがまとめて示されるわけだ。

  

 物理の問題では、そもそも出題者の意図を理解することが問われる。

 あと、ばねの力が、ばね定数と伸び縮みだけで決定することを理解

 できてるかどうか。運動してるとか、2物体との連結とかは、関係ない。

  

 ちなみにレベルが高い問題なら、途中のばねの伸び縮み(振動など)

 を聞いて来るところだろう。この問題の設定でも、動き出すとばねの

 伸びが縮むのだから、本当は厄介。出題者の意図を超えて、マジメ

 に考え過ぎてしまう人もいるはずだ。

   

  

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

  

cf. 等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

   単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

   

                      (計 3330字)

            (追記 49字 ; 合計 3379字)

| | コメント (0)

運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理の問題と解き方2

いつの間にか1ヶ月半も経ってしまったが、『物理重要問題集』(数研出版)

の解説シリーズ2本目の記事をアップしよう。ちなみに1本目は次の通り。

   

 等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング

                 ~物理の問題と解き方1

   

   

        ☆          ☆          ☆

今回は、高校物理の基本中の基本を扱う章、「2 運動の法則」について。

たとえば次の問題は、「A」で「*」(アスタリスク)付きだから、特別重

要な問題ということだ。問題の項目名は編集部が付けたものだと思う。

    

 *A.13 (水平投射・浮力) 91九州産大 空欄補充

   

積荷を含めて全体の重量M〔kg〕の気球が一定の高さh〔m〕

で東方へ等速u〔m/s〕で流されている場合を考える。この気

球からm〔kg〕の砂袋を静かに落とすと、これはT〔s〕後に落

とした場所から東方へX〔m〕離れた地表面に到達した。落下す

る砂袋に対する浮力と空気の抵抗を無視し、重力加速度の

大きさをg〔m/s²〕とすれば、Tはg、hを用いて (1) で表

され、またXはT、uにより (2) という式で表される。

 g=9.8m/s²、h=1960m、u=5m/s

のときには T= (3) s、 X= (4) mである。

   

 また気球に対する浮力F〔N〕の大きさはM、gにより (5)

で表され、M=420kg、m=20kgとすれば質量m〔kg〕

の砂袋を落とした直後の気球の加速度の大きさは

 (6) m/s²となる。

 答えの数値は有効数字2桁で示せ。

   

   

         ☆          ☆          ☆

(解答) 

 (1) 鉛直方向には、速度0、加速度gの等加速度運動だから、

     (1/2)gT²=h   ∴ T=√(2h/g) 

   

 (2) 水平方向には、速度u(m/s)の等速直線運動だから

     X=Tu

   

 (3) T=√(2×1960/9.8)=√400=20

     =2.0×10

    

 (4) X=(2.0×10)×5=100=1.0×10²

      

 (5) 気球の浮力と重力が釣り合ってるのだから、

     F=Mg

      

 (6) (気球の浮力)=F=Mg=420×9.8

            =4116 (N)

    砂袋を落とした後の気球の質量は、

      420-20=400(kg)

    よって、気球の鉛直方向・上向きの運動方程式より、

     (加速度)=(力)/(質量)

          =(4116-400×9.8)/400

          =4.9×10⁻¹

    

   

(感想) 浮力の問題としては、体積を使ってない簡単なタイプ。

     気球の質量は、まず砂袋込みで与えられてるが、

     後で砂袋なしで計算することになる。有効数字にも注意。

     ただ全体的には、数値も簡単で、のどかなイメージ。

     基礎的な良問だろう。図があればもっと良かった。

   

     (6)は、砂袋に加わってた重力が新たに気球の上向き

     の力になると考えてもいい。

   

   

        ☆          ☆          ☆

 A.14 (質量のある棒に生じる加速度) 武蔵工大

   

160825a

    

長さl〔m〕、質量m〔kg〕の一様な棒の一端Aに質量M〔kg〕

の物体Pをつけて、図のようになめらかで水平な台上におき、

他端BをF₁〔N〕の力で水平に引っ張るとき、

(1) 棒の加速度a₁はいくらか。

(2) 棒の中央における張力T₁はいくらか。 

      

次に、この棒のA端の物体Pをはずし、棒を鉛直につるし、

上端をF₂〔N〕の力で引き上げるとき、

(3) 棒の加速度a₂はいくらか。

(4) 棒の下端から距離x〔m〕(l>x)の位置における

   張力T₂はいくらか。ただし、重力の加速度を

   g〔m/s²〕とする。

   

    

         ☆          ☆          ☆

(解答) 

 (1) 全体を質量M+mの物体と考えれば、運動方程式より、

     a₁=F₁/(M+m) (m/s²)

        

 (2) 棒の中央の張力が、その左側の部分全体を加速度aで

     引っ張ることになるので、

    T₁=(M+m/2)a₁

     =(M+m/2){F₁/(M+m)}

     =(2M+m)F₁/2(M+m) (N)

        

 (3) 鉛直方向・上向き正の運動方程式より、

     a₂=(F₂-mg)/m

      =F₂/m-g (m/s²)

    

 (4) 張力T₂と重力の合力が、棒の下側部分を

    加速度a₂で引っ張ることになるので、

    T₂-(x/l)mg=(x/l)ma₂

    ∴ T₂=(x/l)m(g+a₂)

        =xF₂/l (N)

       

       

(感想) (4)で差がつく所だろう。xをlに近づけると、もちろん

    T₂はF₂に近づく。上端での力に近付くから当然。

    ちょっと変わった問題で、「どうしてそんな途中の場所

    の力を考えるのか?」と言いたくなるところでもある。

       

    要するに、一定の加速度で運動させてるだけの話で、

    少なくともこの問いの内容だけだと、「力」という概念は

    役立ってない。公式で形式的に計算しただけだろう。。

       

    そう思った鋭い高校生・受験生は、「受験の後で」深く考

    えてみると面白い。運動方程式とは単なる力の定義式、

    約束事に過ぎないとかいう考え方につながる。規約主義、

    約束主義とか呼ばれるものだ。棒の伸びとかを考慮に入れ

    ても、事態は本質的に変わらない。

         

    作用・反作用の法則や弾性の法則を、力を使わずに質量

    と加速度と長さだけで書き直しておけばいいだけのこと。

    ただし、そうした考えは、普通の物理の先生や学生には

    相手にしてもらえないのだ。「どうしてそんな事を考える

    の?」、「ニュートンの基本法則だよ?」といった感じで。。

    

       

        ☆          ☆          ☆ 

 *A.17 (連結物体の運動) 東海大

     

160825b

    

図のように物体A、B、Cを軽くて丈夫な糸でつなぐ。AとB

を水平でなめらかな机の上におき、Cを机の端にあるなめらか

で軽い滑車にかけた糸の端につり下げて、静かに放した。ただ

し、A、B、C各々の質量は、3.0kg、2.0kg、5.0kg

である。初めBから滑車までの距離は130cmであり、床

からCの下端までの距離は80cmであった。

      

 重力加速度の大きさを9.8m/s²として、次の問いに答えよ。

(1) 物体A、B、Cが動き始めたときの、加速度を求めよ。

(2) 物体A、B、Cが動き始めたときの、BとCの間の

   糸の張力を求めよ。

(3) 物体A、B、Cが動き始めたときの、AとBの間の

   糸の張力を求めよ。

(4) Cが床に着いた直後のBの速度をエネルギー

   保存則を用いて求めよ。

(5) Bが初めの位置から120cm移動するのに

   要する時間を求めよ。

   

    

          ☆          ☆          ☆

(解答)

 (1) Cの重力で全体を引っ張るのだから、運動方程式より、

     (加速度)=5.0×9.8/(3.0+2.0+5.0)

           =4.9 (m/s²)

    

(2) BとCの間の張力が、AとBを引っ張って加速度

    4.9m/s²をもたらすと考えて、

     (張力)=(3.0+2.0)×4.9

         =24.5 (N)

      

 (3) AとBの間の張力が、Aを引っ張って加速度

    4.9m/s²をもたらすと考えて、

     (張力) =3.0×4.9

          =14.7 (N)

        

 (4) エネルギー保存則を使って速度を求めるということは、

    Cが床と衝突して運動エネルギーを失う直前で考えると

    いうことのはず。

    Cが最初に持ってた位置エネルギーが、A、B、Cの

    運動エネルギーになるのだから、速度をvとすると、

    5.0×9.8×0.8=(1/2)×10.0×v²

    ∴ v=√7.84=2.8 (m/s)

       

 (5) まず80cm移動するまでは、初速度0、加速度

    4.9m/s²の等加速度直線運動。

    ∴ (時間)=2.8/4.9=4/7

    その後、40cm移動するまでは、2.8m/sの

    等速直線運動。

    ∴ (時間)=0.4/2.8=1/7

    ∴ (合計時間)=4/7+1/7=5/7

              ≒0.71 (s)

     

       

(感想) 問題集の解答(最後の数値のみ)では、(2)(3)(5)

    は四捨五入して2ケタだけ書いてある。ただ、有効数字

    の話が問題文に無いし、明らかでもないので、正確に

    書いておく方が無難だろう。

       

    実はこの問題、前の問題と似てるのだ。前の問題で、

    物体P、棒の左半分、棒の右半分を分けて、ごく短い

    糸で結んだと思えばいい。

        

    ちなみに(1)を、運動方程式とか力を使わずに解くなら、

    A+BとCの間の作用・反作用の法則より、

    (3.0+2.0)×a=5.0×(9.8-a)

    ∴ a=4.9

    質量と加速度のみで解けるのだ。

        

    あと、(4)の問題文は紛らわしいと思う。私が出題者なら、

    Cが床に「着く直前」のBの速度と書く。この方が親切だし、

    正答率が上がるだろう。

   

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

   

    

cf. 動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

   等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

   単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

   

    ・・・・・・・・・・・・・・・

   ニュートン物理学の基礎、「運動の法則」再考~その1

   「運動の法則」再考2~質量と重さ

   「運動の法則」再考3~運動方程式を使わずに問題を解く方法

    

                      (計 3301字)

           (追記 85字 ; 合計 3386字)

| | コメント (0)

等加速度直線運動、放物線、モンキー・ハンティング~物理の問題と解き方1

荷物を片付けてたら、たまたまダンボール箱から高校物理の問題集が出

て来た。小型で安くて問題ぎっしり、数研出版『物理重要問題集』。物理よ

り、数学のシリーズの方が遥かに有名だと思う。私の高校では、数学の授

業で時々使ってた。

 

最近は、時代のニーズに応えて、しっかりした解答が付いてるらしいが、

10年くらい前までは、ほとんど最終的な答(数値)しか載ってない薄い

本だった。当然、普通のレベルの高校生、浪人生が自宅学習するのには

向いてない。

 

学校や塾などか、自分でスラスラ解ける人にとっての、文字通り、手軽な

問題集。片手で持ってもスマホより軽いかも。それでいて、内容はズッシ

リ重いのだ。

 

数学の問題を解く記事はかなり書いてるのに、物理の問題を解く記事は

少ないから、久々に1本書いてみよう。放射線、核分裂シリーズ以来か。

読者がどの程度いるのか読みにくいが、個人的に面白くて勉強(復習)

になるので、シリーズ化したいと思ってる。高校だけでなく、いずれは大

学レベルの物理も含めて。。

 

 

        ☆          ☆          ☆

では、記念すべき最初の問題は、問題集の第1章、第1問にしよう。

年は書いてないが、大阪電通大の入学試験が出典。問題Aで「*」

(アスタリスク)付きだから、「重要中の重要な問題」ということになる。

項目名は編集部が付けたものだろうが、私なら「等加速度直線運動

と・・・」と付ける。物理は問題文が長いのが面倒。。

 

 *A.1 (等加速度運動と等速度運動)

 高さ105mの高層ビルの屋上までエレベーターで昇った。

 エレベーターは、最初の5秒間は一定の加速度aで、次の

 12秒間は一定の速さで上昇して高さ87mまで達し、あと

 は一定の加速度bで減速しながら上昇して屋上に着いた。

 

 (1) 最初の5秒までは、エレベーターの高さyは出発

    からの時間tを用いるとどんな式で表されるか。

 (2) 加速度aはいくらか。

 (3) 一定の速さで上昇した距離はいくらか。

 (4) 加速度bはいくらか。

 (5) エレベーターは地上から屋上まで昇るのに

    全部でどれだけの時間を要したか。

 

 

      ☆       ☆       ☆

 (解答) 以下すべて、鉛直方向、上向き正で考える。

 (1) 初速度0(m/s)、加速度a(m/s²)の等加速度直線運動

    だから、 y=(1/2)at² ・・・・・・答

     

 (2) 5秒後の高さは、(1/2)a×5²=12.5a 。

    その時の速度5aのまま、12秒間は等速直線運動するので、

    この間の上昇距離は、 5a×12=60a 。

    ∴ 12.5a+60a=87   ∴ 72.5a=87

    ∴ a=1.2(m/s²) ・・・・・・答

 

 (3) 60a=60×1.2=72(m) ・・・・・・答

   

 (4) 減速の開始時点での速度は、5a=6。

    終了時点での速度は0。

    加速度はb、変位は105-87=18。

    ∴ 0²-6²=2b×18 

    ∴ b=-1(m/s²) ・・・・・・答

   

 (5) 加速度-1で、6から0へと-6減速したのだから、

    減速した時間は6秒間。

    ∴(全時間)=5+12+6=23(s)・・・・・・答

 

 

 ☆感想

  誘導つきで、数値計算も簡単。基本問題だから、公式に

  当てはめるだけだが、(4)の速度・加速度・変位の関係式は

  覚えてない人も少なくないかも。図やグラフを描いてもいい。

  おそらく、重力加速度gとか使ってしまった受験生もいたはず。

 

  物理の問題で加速度が与えられてる時、軸の向きを書いてない

  ことが多いが、この問題だと当然、上向きを正とすべきだろう。

 

 

        ☆          ☆          ☆

続いて、いわゆる「モンキー・ハンティング」。木の枝にいる猿をめがけ

て、ハンターが銃で撃つ。同時に猿が枝から落下すれば、重力の影響が

銃弾と猿に同様に働いて、見事に命中するという話だ。放物線を描く弾

が、真下に落ちる猿に当たるのは、美しい現象。人間にとっては♪

 

とはいえ、猿を撃っていいのかどうか動物愛護問題が生じるから、以

下ではおもちゃを使用してる。

 

 *A.6 (モンキー・ハンティング) 朝日大

   

160709a

 

 右図(注. ここでは上図)のような、水平な台Sから

 高さh(m)の所の点Aにある小さなおもちゃのサル

 に向かって小球をこの台S上の点Bから撃ち、小球

 を撃ったと同時にサルが自由落下し、空中で小球

 がサルに命中するモンキー・ハンティングの装置が

 ある。いま、この装置で小球を速さv₀(m/s)で水

 平となす角θで撃ったとき、次の問いに答えよ。た

 だし、空気の抵抗は無視できるとし、また、重力の

 加速度はg(m/s²)を用いよ。

 

 (1) 小球がサルに命中するまでで、小球が撃たれてから

    t秒後での、サルと小球のそれぞれの速度の水平成分

    と鉛直成分とはどのようになるか。

 (2) このとき、サルから見た小球の相対速度はどのように

    なるか。その大きさと水平とのなす角とで答えよ。

 (3) 小球がサルに命中するまでの時間はどれだけか。

 (4) 小球がサルに命中するまでにサルが落下した距離は

    どれだけか。

 (5) この装置で小球をサルに命中させるためのv₀の

    条件式を求めよ。

 

 

       ☆       ☆       ☆

 (解答) 以下すべて、水平方向、右向き正、鉛直方向、

      上向き正で考える。ただしgは、正の数と考える。

 

 (1) サルの速度は、

     水平成分0(m/s)、鉛直成分-gt(m/s)・・・答

    小球の速度は、

     水平成分v₀cosθ(m/s)、

     鉛直成分v₀sinθ-gt(m/s)・・・答

 

 (2) 小球の速度からサルの速度を引いた相対速度は、

     水平成分v₀cosθ、鉛直成分v₀sinθ。

    ∴ (大きさ)=√(v₀²cos²θ+v₀²sin²θ)

            =v₀(m/s) ・・・答

    また、(水平とのなす角のtan)=(sinθ)/cosθ

    ∴ (水平とのなす角)=θ ・・・・・・答

 

 (3) 最初のサルと小球の距離は、h/sinθ。

    ∴ (命中するまでの時間)=h/v₀sinθ (s) ・・・答

 (4) (命中するまでにサルが落下した距離)

      =(1/2)g×(h/v₀sinθ)²

      =gh²/2v₀²sin²θ (m)・・・・・・答

 (5) (4)の距離がh以下であればいいので、

     gh²/2v₀²sin²θ≦h

     ∴ v₀≧(1/sinθ)√(gh/2) ・・・答

 

 

         ☆       ☆       ☆

☆感想

  正直、問題文の日本語があまり滑らかでないが(失礼♪)、

  誘導付きの基本問題だし、(3)の相対速度の向きは面白い。

  要するに、サルから見ると、常に最初と同じ角度で弾丸が

  飛んで来ることになる。

 

  加速度gは、おそらく下向き9.8と考えてるのだろうが、g

  にはマイナス符号が付くこともあるので、受験生にとってまぎら

  わしい。「加速度の大きさg」と書く方が正確で親切だ。

 

  設問や誘導は、物理の問題だとよくあるものだが、数学的・論

  理的には、(3)(4)(5)の順に導くのはおかしい。というのも、

  v₀が(5)の条件を満たす時に初めて、(3)に答えられるのだから。

 

  物理はやはり基本的に、論理や正確さより、実用性を重視する

  学問なのだ。

 

 

        ☆       ☆       ☆  

もう1問書くつもりだったが、ここで時間切れとなってしまった。解くだ

けならすぐだが、記事だと100倍くらいの時間がかかる。

 

モンキー・ハンティングとは斜方投射の問題でもあるから、参考までに

下に、関連記事へのリンクを付けとこう。ややハイレベルな内容だ。

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

         

 

 

cf.高い地点からの斜方投射の軌跡(弾道)、角度と水平到達距離

    ・・・・・・・・・・・・・・・

  運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理の問題と解き方2

  動滑車、摩擦力(静止・動)、バネの弾性力~物理3

  等速円運動、円すい振り子、万有引力と人工衛星~物理4

  単振動、ばね振り子、水平ばね2本~物理5

    

                       (計 2933字)

            (追記 113字 ; 合計 3046字)

| | コメント (2)

「重力波」観測の英語論文、要約(アブストラクト)の日本語訳

本や新聞の解説を読んでも、専門家の説明を聞いても、何とも分かりにくい

「重力波」検出のニュース。分かりにくさのポイントの一つは、重力による空

間のゆがみを、普通の空間で表現・イメージしようとするからだ。2次元にせ

よ、3次元にせよ。

 

普通の空間の中で、物が歪むのなら簡単に分かるし、画像を作ることもで

きるが、それは空間自体が歪むこととは違う。そもそも、空間が歪むとはど

うゆう意味なのか。その時、歪まないもの(別の空間、物差し、理論、法則

など)は何なのか。どうも理解できない。

 

普通の説明を軽く見聞きしても分からないのなら、試しに元の科学論文自

体を読んでみよう。もちろん、相変わらず分かった気にはなれないが、やは

り普通のニュース解説とは違う表現になってることだけは、分かるのだ。。

 

 

        ☆          ☆          ☆

以下、速報版の物理学誌『Physical Review Letters』(フィジカル・レ

ビュー・レターズ=物理学レビュー通信)のHPから、論文の要約(アブス

トラクト)を引用&翻訳させて頂こう。公益性その他を考えて、著作権の

問題は生じないと考える。

 

160213a

 

 

原論文の著者は、B.P.アボットほか多数(実験施設LIGO=ライゴに関

わる1000人以上の研究者)。論文タイトルは、

 

 Observation of Gravitational Waves from

 a Binary Black Hole Merger

 (2つのブラックホール合体からの重力波の観測)

 

「Binary」は、「連星」ブラックホールと訳してもいい。2コ組、ペアを表す。

波が「Waves」と複数形になってる理由はまだ分からない。

 

 

        ☆          ☆          ☆

要約に入る前に、添付された図を2枚確認して、イメージをつかんでおこう。

 

160213b

 

 

ブラックホール合体のプロセスと、重力波の変化のプロセス(増幅・増加、

減衰、安定)が連動する様子が何となくつかめた気になれるだろう。

 

続いて、重力波を検出するレーザー干渉計装置の場所と仕組み。

 

160213c

 

図の左上に描かれてるように、アメリカの北西と南東に遠く離れた2つの装

置を併用して、精度を上げるらしい。光が10ms(ミリ秒)かかる距離だから、

30万km×10/1000=3000km。

 

十字型の装置は、左の光源から出るレーザーを分配器で2つの方向(上と

右)に分けた後、それらを反射させて、再び一体化させてる。重力波が来る

と、レーザーが進む2方向の距離(4km)にほんの少しの差が生じて、「明

滅」が生じるとのこと。高校物理の干渉縞のようなものだろう。

 

もちろん、まだ1つのチームが一度検出したと報告してるだけだから、科学

的実証とまでは言えないはず。ただ、今の所、専門家達の評判は非常に

いいようだ。。

 

 

        ☆          ☆          ☆

それでは1文ずつ、ほぼ直訳していこう。

 

 On September 14, 2015 at 09:50:45 UTC the two detectors of

 the Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory

 simultaneously observed a transient gravitational-wave signal.

 (2015年9月14日、協定世界時9時50分45秒、レーザー干渉計

  による重力波観測所の2つの検出器が同時に、一時的な重力波

  の信号を観測した。)

 

 

 The signal sweeps upwards in frequency from 35 to 250 Hz

  with a peak gravitational-wave strain of 1.0×10^(-21).

 (その信号は、周波数で35ヘルツから250ヘルツ、

  最大のゆがみで1.0×(10の-21乗)である。)

 

 

 It matches the waveform predicted by general relativity for

 the inspiral and merger of a pair of black holes and the

 ringdown of the resulting single black hole.

 (それは、2つのブラックホールによる渦巻と合体に対して

  一般相対論が予測する波形に合致し、一つのブラックホー

  ルに収束する際のリングダウン(減衰安定)にも合致する。)

 

 

        ☆          ☆          ☆

 The signal was observed with a matched-filter signal-to-noise

 ratio of 24 and a false alarm rate estimated to be less than

 1 event per 203 000 years, equivalent to a significance greater

 than 5.1σ.

 (その信号は、マッチド(整合)フィルターによる観測で、信号対

  ノイズ比24。また、誤警報確率の評価は203000年に1回

  未満となり、これは5.1シグマを超える有意性に値する。)

 

 

 The source lies at a luminosity distance of 410(+160 -180) Mpc

 corresponding to a redshift z = 0.09(+0.03 -0.04).

 (波源の位置は、光度距離で410(+160~-180)メガ・パーセク

  であり、赤方偏移なら0.09(+0.03~-0.04)である。)

 

 

 In the source frame, the initial black hole masses are

  36(+5 -4) M₀ and 29(+4 -4)M₀, and the final black

 hole mass is 62(+4 -4)M₀, with  3.0(+0.5 -0.5) M₀

 radiated in gravitational waves.

 (波源の全体において、最初のブラックホールの質量は、

  36(+5~-4)太陽質量と29(+4~-4)太陽質量

  であり、最後のブラックホールの質量は62(+4~-4)

  太陽質量。3.0(+0.5~-0.5)太陽質量が重力波

  によって放射されている。)

 

 

訳者注。(36+29)-3=62という計算だろう。合体によって質量が減った

分が重力波になった形だ。

 

 

          ☆          ☆          ☆

 All uncertainties define 90% credible intervals.

 (すべての不確定性は、信頼区間90%とする。)

 

 

 These observations demonstrate the existence of

 binary stellar-mass black hole systems.

 (これらの観測は、2つの星=質量から成るブラックホール・

  システムの存在を示している。)

 

 

 This is the first direct detection of gravitational waves

 and the first observation of a binary black hole merger.

 (これは、重力波の最初の直接的検出であり、

  また連星ブラックホール合体の最初の観測である。)

 

 

専門用語だらけで、直訳だけでも大変だったので、今日はこれだけにしと

こう。いずれまた、関連記事を書くと思う。アインシュタインの元の英語表

現も確認してみたい。それでは、また明日。。☆彡

 

                          (計 2888字)

| | コメント (0)

より以前の記事一覧