大切なもの、欲しいもの~野ブタ第6話
(☆2020年5月17日の追記: 再放送の後、この記事とは別の新たな長編レビューをアップ。
ちゃんとした人間になっても、道端の十円玉のままで~『野ブタ』第6話(再放送) )
「野ブタ。をプロデュース」第6話、「親と子の青春」。
今回は、面白いって言うより味わい深いお話。ホントに色んな事を考えさせられるので、記事をまとめるのに大苦戦。タイムリミットが迫る。。(^_^;
あらすじは次の通り。彰(山下智久)は父の会社の後継ぎを強要されて親子ゲンカ、修二(亀梨和也)の所に家出&居候。ある日、信子(堀北真希)が作った野ブタのアクセサリーが女の子達にウケたのをキッカケに、修二が販売計画を立案、3人は野ブタ。キーホルダーを作って売り出す。
野ブタ。パワーのおかげで願いがかなうという噂をでっち上げるプロデュース戦術が大成功して、1個200円のキーホルダーはバカ売れ、3人は大儲け。信子はカスミ=蒼井かすみ(柊 瑠美)にはタダで青い(=蒼井)特別ヴァージョンをプレゼント。かすみはお返しに温かい鯛焼きを渡し、信子は友達ができたと大喜び。でも彰は、鯛焼きの頭をもらって食べながら、信子がみんなのものになっていくのを淋しく思う。
その後、他校から150円の偽物が登場してキーホルダーの売れ行きはガタ落ち。信子はもうみんなが喜んでくれたから満足だったが、修二と彰は販売競争に闘志を燃やし、儲けをつぎ込んで新しいキーホルダーを外注で作製。ところが早くも流行遅れとなり、自信作は大量の売れ残り。彰と信子はあっさり諦めたが、修二は激しく落ち込む。
それに対して信子は、売れ残りのキーホルダーにペンキがかけられたのをキッカケに「次に行かなきゃ」と提案、さらに誰かがキーホルダーを宝物として地面に埋めてたのを発見して、こんなに喜んでもらったんだからいいじゃないかと説得。修二も納得し、売れ残りを焼いて新たな道を探すことに。
一方、彰の父は、家族のために仕方なく会社を継いだ辛い過去を思い出したのか、会社の事はお前の好きにしろと彰に言う。そして最後、彰が突然、信子を独り占めにしたいからプロデュースを降りたいと言い出し、修二はあわてる。。。
今回は、大切なものと欲しいものをめぐるお話。人それぞれ、微妙に異なる価値観を持っていて、自分が持ってる価値あるものが「大切なもの」つまり宝物、自分が持ってない価値あるものが「欲しいもの」だろう。
3人共通の大切なものは、自分達の友情。共通の欲しいものは、野ブタ。の人気だ。その人気を得るために野ブタ。キーホルダーを売ってたはずなのに、やがて、お金が欲しいから、偽物に対する勝利が欲しいから、といった具合に話がズレて行き、3人の心もズレて行く。そもそも、なぜ人気が欲しかったのかと言うと、イジメられっ子状態から信子が抜け出すのに役立つと思ったから。
つまり、信子の幸せ・喜び・満足が欲しかったはず。ところが、もう十分信子がハッピーになってるのに、修二と彰は金や勝利を求めて迷路に入り込む。実はこれこそ、冒頭で2人がバカにしてた大人達がしょっちゅうやってる事だ。
特にお金っていうものは、多くの価値あるもの(欲しいもの)と交換可能だから、ほとんど全ての人間が価値観を共有していて、そのためいつの間にか、それ自体へと人をのめり込ませる魔力も持ってる。
キャサリンの言葉を使うと、人はお金が広い交換価値を持ってるっていう「キレイ」な所を「表」(ポイント)と考えがち。だけど、実はお金の「表」は、人をそれ自体へとのめり込ませてしまうっていう汚い所、普段は忘れがちな「裏」の部分なのだ。特に修二は、信子の人気をプロデュースするつもりだったのに、お金にプロデュースされてしまってる。
そこで、今回もまた、信子の正論が光を放つことになる。
「私たちの作った物が、誰かの宝になってたんだよ。誰かの心に残ったんだよ。 私はそれで十分だと思う」
自分たちの心にも、カスミの心にも残った。みんな一目置いてくれた。これ以上、何を求めてキーホルダー販売にのめり込むのか。他人にとっての宝物を作り出せた経験自体が、自分たちにとっての宝物。「次に行かなきゃ」、今度は別のもっと価値あることに向かわなきゃ。
自分たち独自の価値観、一万円札よりも十円玉を選ぶことさえあり得るような価値観にしたがって、3人の未来を切り開いて行かなきゃ! とりあえず、ごもっともなお話。
ただし忘れちゃいけないのは、自分達がまだ高校生だから、親に養ってもらってるから、紙飛行機を飛ばしたり屋上で空を見上げたりに時間を費やせるんだって事。大人は自分で生活しなきゃならないから、必死にお金を稼がなきゃならない。
親は子供が宝だから、自分が欲しいものをあきらめてでも頑張らなきゃならない。こういった事の大切さ、ありがたさは、子供の心の底にも自然に染み込んでいる。
だからこそ彰の父は、息子に跡を継いで欲しいのをとりあえずあきらめた。また、だからこそ彰は、鯛焼きの頭を食べると幸せなのだ。幼い頃、宝物はお前かなと言いながら父がくれた、あんこの多い頭の部分、修二や信子にとってはどうでもいいような物に幸せを感じるのだ。彰が信子を独り占めしたいと思ったのは、まるで昔の父のように、信子が鯛焼きの頭をくれた瞬間だったのかも知れない。。
それにしても、彰が欲しいものは手に入るのか、他の2人は何が欲しくて何が大切なのか。信子を人気者、つまりみんなが欲しいものにするプロデュースはどうなるのか、そして、悪意は何が欲しいのか。今後がますます楽しみ♪ 脚本家さん、プロデューサーさん、期待してますよ!
P.S.ちなみに、担任の横山先生にとっての詩集、つまり、捨て切れなかった大切なもの、それが私にとっては走ること、すなわちRUN&BIKE。皆さんにもあるでしょ。今、それをどうしてますか?
「野ブタ。をプロデュース」、面白い♪(第1話の記事)
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