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「三浦知良38歳の挑戦」

スポーツはやるのも見るのも大好きだけど、ここ10年間で一番気になってる

アスリートと言えば、間違いなくカズ、三浦知良選手だ。15歳で単身ブラジル

へサッカー留学して本場のプロに。日本サッカーの海外進出の草分けになる

と共に、Jリーグ発足当初から人気・実力ともにトップ。全盛期のヴェルディの

華麗なサッカーを率いてた姿は単純にカッコ良かった。ただ、最初はそれほど

特別な存在ではなく、派手でキザで、プレーでもプレー以外でも目立ちたがり屋

な「キング・カズ」にはネガティブな感情も持ってた。

        

ところが、メディアへの大量の露出を度々チェックしてるうちに、これは本物

のプロ・アスリートだなと思うになっていった。サッカー職人とまで言われる

サッカーへのこだわりと自己管理は飛び抜けてるし、メディアやファンへの誠実

な対応も素晴らしい! 決定的だったのは、8年ほど前のフランスW杯の時。

30台に入ってスピードとキレに衰えが出始め、ディフェンダーとの勝負になか

なか勝てなくなり始めてた時で、日本チーム初のW杯出場が苦しくなって来た

ために、マスコミやファンからの風当たりは頂点に達してた。それでも淡々と

サッカーに打ち込み、周囲への対応もきっちりこなす姿は、まさにトッププロ

の名にふさわしいもの。そして、結局W杯直前に代表からはずされて、北澤

と共に帰国したあの時。自分たちの魂は向こうに置いて来たと語った、あの

記者会見は最高だった♪ あの失意の状況で、あれだけ潔く堂々とした態度

を取れるプロが一体何人いるだろうか。カズへの評価は最高のものとなった。

    

それ以後、サッカー選手としては、正直言ってパッとしないのは事実。日本

開催のW杯でさえ出れないし、Jリーグでも活躍できず、むしろ若い選手の

活躍の場を奪ってるベテランって感じもあった。個人的にも、「カズが好きだ」

と言うと周りから冷たい反応が返ってくるのを何度も経験してる。正直、試合

結果を見るのもちょっと辛くなっていた。

               

そのカズが、38歳半ばにしてオーストラリア移籍。シドニーFCの一員として

世界一のクラブを決めるトヨタカップに出場することになり、急に再び注目を

浴びるようになってる。先日の土曜深夜、野ブタの記事に苦しんでる時に、

日テレの深夜番組で「三浦知良38歳の挑戦」と題する特番をやってたので、

録画してあとで見た。トヨタカップを放送する日テレってことで、シドニーFC

への移籍も含めて、裏に巨大なマネーやビジネスがうごめいてるのは明らか

だけど、そんなドロドロしたものを吹き飛ばしてくれる爽やかな内容だった。

                

番組は、11月8日、空港に降り立ったカズを映す所から始まる。ブラジル、

イタリア、クロアチアに続く4度目の海外挑戦で、実に13チーム目。オーストラ

リアのプロサッカーリーグは今年8月に始まったばかりだけど、シドニーFCは

オセアニア地区を制して、FIFA・トヨタカップ・クラブ選手権に出場決定。日本

でもお馴染みのかつての名選手、リトバルスキー監督のオファーで、期限付き

のゲストプレーヤー扱い。当地のマスコミも、「The Japanese God of 

Football」なんて見出しで大きく扱ってる。プロ20年目、相変わらずのサッカー

職人ぶりが映し出された後、オーストラリアに着いてわずか6日目でのぞんだ

初めての試合の模様。後半31分に途中出場して、わずか1分後にフリーキック

志願。ファーストタッチは当然のごとく失敗に終わり、思わずフランスW杯予選

の最終試合を思い出した。苦しい展開の中、やっともらったフリーキックをカズ

が志願。中田が不満げに大声で、ベンチに「カズ?」と問いかけてた。あの時も

カズは枠にも飛ばない失敗。その後、ついにベンチに下げられて、皮肉にも

結果的に日本の幸運につながったのは、今でもよく覚えてる。カズファンとして

は素直に喜べない試合だった。ただ、今回の番組では暗い展開にはならず、

カズ独特の細かいトリッキーな動きに13000人の観客が沸くシーンが映し出さ

れてて安心した。当地のファンの「KAZU!」っていう歓声は、見てるこっちまで

嬉しくなってきた。

                    

その後は、プロ・アスリートの様々な側面が描かれた。食事、マッサージ、休憩、

寝ること、すべて仕事。30台半ばから栄養学を学び、緻密な食事制限、魚市場

でスタッフ、トレーナーと食事の細かい相談。試合前には脚がつらないように、

大量のグレープフルーツ摂取。プールでは、絞り込まれた肉体の披露。休みも

自主トレ、部屋では腹筋・背筋、チーム練習ではいつの間にかジョギングの先頭。

そんな数々のアスリートの側面に、もっと人間的な部分も織り込まれていた。カ

フェでみんなでくつろぐ姿、スタッフに自分の映像をねだりつつ、矢沢栄吉みたい

に自分に酔うんだと笑う姿。神戸のカリスマ美容師、井澤隆之氏をわざわざ呼ん

で、モヒカン&リーゼントにしてもらう姿。青い海と空、白い波と雲、吹き抜ける風

の中でわずかな休息を楽しみつつ、こんな所に住みたいと普通の夢を語る姿。

               

イタリア語を通じて仲良くなったチームメートのホームパーティーでは、食事制限

を解禁してもてなしを楽しむ温かい姿。かつての仲間、北澤の訪問で、衰えを

素直に認めつつ歓談する姿。カズ・ファンとして、とても楽しめる1時間だった。

                

肝心のトヨタカップでは、「KINGよ 日本代表で待ってる」の横断幕に見守られ

ながら、カズのボールへのキスで試合開始。残念ながらカズのシドニーFCは、

北中米カリブ海代表のサプリサ(コスタリカ)に惜しくも0-1で敗退。ただ内容

的には互角(以上)で、特に前半はカズも結構活躍してたけど、アシスタントの

上戸彩が仕事中トイレに行ってた間に、ロングパスからの1本のシュートで点を

取られてしまった。これがサッカー。。それでも、一対一の勝負を挑んでセンタ

リングに成功した姿や、ディフェンダーの脚に阻まれたけど枠に飛んでた強烈

なシュートは目に焼きついた。16日の5位決定戦がシドニーでの最後。また、

それほど遠くないうちに引退を迎えるだろうけど、将来の日本代表監督はほぼ

間違いないし、今後も色んな形で日本のスポーツ界を引っ張ってくれるだろう。

トップ・アスリート、カズ。「極めたらおしまい」と常に上を見据えつつ、周囲

への配慮も忘れないカズ、その生き様全体を、いつまでも応援し続けたい。。

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