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信じること、本当の事~野ブタ第8話

(☆2020年5月31日の追記: 再放送の前に、この記事とは別の新たな長編レビューをアップ。

 信じたいから信じる、本当の友達を~『野ブタ。をプロデュース』第8話(再放送の前♪) )

  

    

「野ブタ。をプロデュース」第8話 いじめの正体

   

終盤になって、この展開とは。。。いろんな意味で何とも記事が書きにくい。。。 私は、このブログや他のブログで次のように主張してきた。正体不明の悪意なんて、物語の内部では枝葉の問題だし、ドラマ作りの観点から見ても不要。ただ、もし犯人を考えるのなら、カスミでは不自然すぎるから、残った一人の候補しかない。たとえ予想がはずれても、こうすべきだったと言いたい・・・

    

見事に予想がハズれただけでなく、想定外の異常な展開になったけど、考えは全く変わらない。好きなドラマだから言いたくないけど、今回の彰みたいに、信じたくないものを見てしまったって感じ。脚本家さん、プロデューサーさん、今更これですか? これまでの物語や映像がホントにこんな展開につながると思いますか? ただ、所詮この異常な悪意は、ドラマの本筋とは関係ない。

    

信じたくないものは、彰と共にヌカミソに数十年漬けとくことにして、ここでは話の本質に目を向けることにしよう。

    

あらすじは次の通り。思いがけない抱擁事件以来、修二(亀梨和也)を避け続ける野ブタ。=信子(堀北真希)に対して、修二はプロデュース再開を通知。3人は再び結束し、お祝いに彰(山下智久)が作ったくす玉を割ろうとするが、上手く割れなかったくす玉は屋上から地上に転落。3人の今後を暗示する。

   

実際、修二は偶然ケンカ騒ぎに巻き込まれて犯人扱いに。自分を信じてもらえない辛さを味わった後でようやく疑いが晴れる。一方、信子は修二の発案によるランチタイム生放送企画が成功して、さらに人気者に。

    

そんなある日、修二は集団暴行の現場を見かけるが、悲惨な経験の後だけにシカト。やられてるのがクラスメートのタニ=谷口健太(大東俊介)だって事にも気付かず。タニは誤解して激怒し、修二はクラスメートを見殺しにした最低男として、人気者から仲間はずれへと転落。迷惑をかけたくない修二は、信子と彰に、もう自分には近づくなと忠告。一人淋しく昼飯を食べる修二の後ろには、そっと弁当を置く「諦めない」まり子(戸田恵梨香)の姿。

   

修二がハトに石を投げて八つ当たりしてると、カスミ(柊 瑠美)がその感心しない姿を撮影。追いかけて捕まえると、カスミは信子への一連の嫌がらせを認める。理由は、プロデュースと同じ。陰に隠れて、自分の力で人を変えていくのが面白いから。

     

修二はカスミを屋上へ呼び出して信子から離れろと言うが、カスミは、信子には自殺したくなるくらい絶望してもらうつもりだといい、みんなの前で、修二に犯人扱いされたと泣きながらウソをつく。修二は、信子に初めてできた友達だから、カスミの言い分を認めてじっと耐える。さらにカスミは、彰の下駄箱に、信子が修二を抱きしめてる写真を入れ、彰は衝撃を受ける。

  

それでも結局、信子と彰は修二を信じることにして、3人の絆はより一層強く結ばれる・・・

   

   

今回は、「信じること」と「本当の事」をめぐるお話。世の中に厳密な意味で本当の事とか真実なんてものがあるのかどうか分からない。たとえあるとしても、それが何なのか人間には分からない。したがって、人間にとって重要なのは、それぞれの人が本当と信じる事柄とか信じる行為自体、つまり本当だと「信じること」である。

    

それは言い過ぎだとか、本当の事は当然あるに決まってると思う人も多いだろう。それでは、あなたにとって本当の事とは何なのか。教科書に書いてある事だと言うのなら、なぜその教科書が正しいと言えるのか。エライ人が書いてるからと言うのなら、なぜそのエライ人が正しいと言えるのか。教科書は止めて自分が見たものを信じると言うのなら、なぜあなたが見たものが錯覚や幻想じゃないと言えるのか・・・キリがないので止めておこう。

    

いくらもっともらしい根拠を探って行っても、結局のところ、本当の事にとって最も重要なのは、それぞれの人が何かを信じること。つまり、キャサリンの言葉を使うなら、

  

 本当だから信じるんじゃなくて、信じるから本当になる」

    

もちろん、信頼性の差というものはある。Aさんは朝日新聞より読売新聞を信じるけどBさんは逆だとか、あの医者はこの医者よりも多くの患者に信頼されているとか。そして、その差が何から生じてるのかを深く考えたり、その考えを活用したりすることは重要だろう。でも、信じることに関して色々理屈をこねても、また「なぜその理屈を信じるのか」という話が生じる。だから、キャサリンは言う。

   

 「本当の事なんて、誰も分かんないの。

  だったら、信じたい方を選ぶしかないでしょ」

    

これは、いつも正しいとは言えない。信じたくない方を、本当の事だと信じるべき時も多いだろう。たとえば、医者にガンだからすぐ手術するようにと突然言われた時など。したがって、キャサリンの言葉はむしろ次のように言う方が正確だ。

     

「何を本当と信じればいいのか分からない時もあるよね。そんな時は、自分が信じたい方を選ぶっていう方法もあるのよ。迷うよりも、あなた自身の気持ちにしたがって何かを信じることの方がずっと大切な場合が確かにあるの。ひょっとすると、今あなたは、そんな場面に直面してるんじゃないかな」

   

このキャサリンのメッセージを真正面から受け止めた信子は、すぐに気付いた。自分は修二を信じたいし、今こそ無条件に信じるべき時なんだってことに。それこそ友情なんだってことに。だから、信子は修二と彰を前にして言う。

   

 「信じれば、どんな事も解決できる。一緒に、信じてください。

  野ブタ。パワー、注入!」

   

この時、3人が手にした輪がつながったのが手品かどうかはどうでもいい。重要なのは、心が再びつながったってこと。孤独の闇から救い出された修二の言葉は、誰もが素直に共感できるものだろう。

   

 「誰にも信じてもらえなくていい。ただ、こいつらにだけは、信じてもらいたい。

  今も、この先も、ずっと・・・」

   

必要ならば、信子が手にした野ブタ。キーホルダーや、修二が母からもらった子ブタのお守りのような、信じることの手助けとなるものを上手く利用すれば、当面3人はお互いを信じ続けられることだろう。。

    

来週以降、もはや誰が犯人かなんて些細なことに気を取られることなく、3人の関係、それぞれの生き方に目を向けやすくなったのは、むしろ幸運かも知れない。不自然で異常な悪意の介入なんてものに目を曇らされることなく、深く信じ合うことができた3人の友情と恋がどうなるのか、最後までじっと見守りたい♪

   

   

   

オマケ:最後につながった3本の輪。信子の青色を中心にして、修二の黄色と彰の赤色がつながっており、画面で見る限り普通のつながり方だった。

   

これは物語に即した適切な演出だけど、3人の友情を考えるなら、むしろ「ボロメアンの結び目」と呼ばれる特殊なつながり方の方がベターだろう。どの2つもつながってないのに、3つ一緒だとなぜかはずれない特殊な幾何学的結び目だ。マニアックすぎた?(^^ゞ

  

  

 「野ブタ。をプロデュース」、面白い♪(第1話の記事)

 「野ブタ。をプロデュース」第2話

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 本当の自分を見つめて生きること~野ブタ第4話

 人は人間関係に何を求めるのか~野ブタ第5話

 大切なもの、欲しいもの~野ブタ第6話

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 取り返しのつかない場所からの帰還~野ブタ第9話

 誰かのために、自分のために~野ブタ最終回

   

 生きる場所を求めて~野ブタ再考

 

  ・・・・・・・・・・・・・・・  

 

 リアルな人間との向き合い方~野ブタ原作

 野ブタ最終回(突っ込みヴァージョン)

 水田芙美子さん(野ブタ・バンドー役)の疑問への応答

    

  ・・・・・・・・・・・・・・・

   

☆2020年、再放送時の新レビュー

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 「花の街」、七色の谷を越えて、リボンのキャッチボール~『野ブタ』第5話(再放送)

 ちゃんとした人間になっても、道端の十円玉のままで~『野ブタ』第6話(再放送)

 好きなものをあきらめて、自分という舟を好きになりたい・・~『野ブタ』第7話(再放送)

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コメント

あなた考えすぎだと思う。

投稿: | 2005年12月 4日 (日) 14時47分

>名無しさん

最低限、名前くらい書いてください。

投稿: テンメイ | 2005年12月 4日 (日) 19時28分

TB&コメントありがとうございました。

犯人はわかったけど、まだ、何かやりそうですね。

でも、今回のことでさらに三人は結束を強めたと思います。どんなことも三人なら、乗り越えていくでしょう。

P.S.
こちらからTBが打てません。(泣
ココログはダメみたいです。もー嫌になってきました。

投稿: 直美 | 2005年12月 4日 (日) 21時30分

>直美さん

コメントどうもありがとうございます。
TB、残念でした。ココログはダメですか。。(^_^;)
コンピューターの世界は色々と面倒な事がありますよね。
異常な悪意の乱入で、ドラマの残り時間が心配になって来ました。
最後はキレイなエンディングにして欲しいと思います♪

投稿: テンメイ | 2005年12月 4日 (日) 21時55分

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