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生死の賭け、リスクの管理~氷壁第2回

『氷壁』第2回、「生死を賭けた挑戦」

いやぁ、迫力あった! 全編で最大の見せ場とも言えるクライミング・シーン。

標高8611m、パキスタンと中国の国境、カラコルム山脈にある世界第2の

高峰、K2。その南側のルートとして超人メスナーが考案したマジックラインへ

のアタックの様子は、ニュージーランド・ロケによるドラマだと分かっていても

凄まじかった。よくあんな撮影ができたもんだなぁ。。エライぞ、NHK! 主演

の2人にも拍手、拍手!!あと4回だし、氷壁の記事は継続の予定。

          

あらすじは以下の通り。いよいよ奥寺(玉木宏)北沢(山本太郎)のK2アタック

が開始された。8月11日ベースキャンプ出発、クレバス(氷河の裂け目)に注意

しつつ、標高6400mのネグロットコルに到着してビバーク(野営)。氷を溶かし

て作ったおかゆを、一つしかない器とスプーンで一緒に食べる。夜、北沢は奥

寺に、妹のゆかり(吹石一恵)が奥寺を好きなこと、K2登頂に成功したら、レディ

ース・フィンガー(山の名前)すなわち美那子(鶴田真由)へのアタックを開始する

ことなどを話す。さらに北沢は、自分がスターになって登山の社会的評価を上げ

たいと話すが、奥寺は、自分一人の孤独な挑戦だと言う。

2日目、晴れ。2人は順調に登っていく。その頃、日本では、北沢が美那子の実

家に送ったラブレターを、兄・工藤(高橋克実)が心配そうに美那子に手渡した。

2人は岩の隙間にテントを張り、座ったまま夜を過ごす。気温マイナス20度。 

3日目、晴れ。7300mの大雪田に到着。素晴らしい景観。日本では、スポンサ

ーのスポーツメーカー社長・八代(石坂浩二)が、妻・美那子に、北沢が帰国し

たら話があると言ってたことを話す。

4日目、雪。世界初のトラバース(横断)区間を終えて、標高8000mの「三日月

のガリー」と呼ばれる氷壁登攀開始。マジックライン最後の難所で、高度障害に

よって弱った北沢が荷物を落としてしまう。テントを失った2人は、雪洞を掘って

ビバーク。マイナス23度。極限状況で北沢が、美那子と1度だけ寝た話をする。

奥寺は動揺、実は自分も好きなんだと告白。

5日目、頂上アタック開始。三日月のガリー最上部を目指す。その後はノーマル

ルートで楽になるが、ガリーの最後に垂直壁70mが待ち構える。北沢がトップ

(前)で登攀してる途中、雪崩で落ちかける。北沢はザイルを切れというのに奥

寺は切らず、引っ張り上げた。でも、北沢は右足骨折。自分を捨てて頂上を目

指せという北沢に、生きて帰るんだと奥寺が言い返す。まず奥寺が一人で垂直

壁を登り、そこからロープを張って下に戻り、北沢と一緒に「ロープ登高」する

考え。メインロープにスリング(短い輪にしたロープ)をつなぎ、スリングと身体

カラビナ(連結用具)でつないで登っていく途中、両腕と左足で必死に登って

た北沢が遥か下へと滑落。奥寺は助けようと、下へ向かう。しかし、その辺りは

雪崩の巣。奥寺からベースキャンプへの連絡は途絶えてしまった。

ほぼ絶望だったが、日本で涙を浮かべながら手を合わせて祈る美那子の願い

が通じたかのように、奇跡的に奥寺はベースキャンプ到着。帰国後、凍傷の

跡も痛々しい状態で、奥寺は記者会見。社長の息子で企画発案者の八代智之

(武田真治)と美那子が同席。北沢の滑落の原因は、操作ミスじゃないかという

智之に、奥寺は反対。美那子は会見終了を告げたが、奥寺は、ザイルとスリン

グは問題なかったからカラビナが壊れたとしか考えられないと言った。カラビナ

は、美那子の兄・工藤が経営するヤシロの子会社の製品だった。。。

              

今回、3つの賭けが描かれていた。一つ目は、2人の生死を賭けた挑戦。奥寺

が自分の命を賭けて、友人の北沢を救おうとした挑戦も、ここに含まれる。二つ

目は、ヤシロの業界生き残りを賭けた挑戦。三つ目は、工藤の会社生き残りを

賭けた挑戦(相次ぐ設備投資)。賭けっていうものには、必ず成功と失敗、2つの

可能性がある。八代が言ってたように、若いうちは失敗を恐れず成功だけ信じて

挑戦する傾向が強いけど、年を取るにつれて失敗を考慮するようになる。世間

一般で見ると、非常に大きなリスクを取って運良く成功した人間だけを絶賛する

傾向が強く、リスクを避けた人や失敗の話は無視されがちだ。

こうした現状に異を唱えるのが、最近流行り始めたリスク管理、あるいはリスク・

コントロール。要するに、失敗のリスクに十分配慮して、失敗した場合に備える

と共に、取れる範囲のリスクを慎重に取るっていう話だ。たまたま今回のドラマ

の直後に、ライブドア株で全財産を失うどころか借金まで背負うことになった個人

投資家の姿が映し出されてたけど、要するにリスク管理が出来てないってこと。

厳しい言い方だけど、分散投資でリスクを軽減しなかった自分を反省すべきだ。

ドラマに戻ると、北沢や奥寺は最初から命を賭けてる訳だから、特に問題ない。

最前線のクライマーの多くは結局死ぬっていう事実くらい当然知ってて挑戦する

わけだから。簡単に言えば、細く長く生きるより、太く短く生きるのを選んだって

こと。続いて、ヤシロの賭けも、全体としては特に問題ない。命を預ける道具を

作ってるんだから、訴訟のリスクは当然承知の上で勝負しただけ。ただし、智之

の態度は、父・八代が言ってたように若過ぎた。彼に見えてるのは、成功と、自

分の企画の失敗だけ。一番大切な、クライマーの命を失うリスクを過小評価し

てる。クライマーが死ねば、たとえ製品に問題はなくても、会社のイメージは大

幅に低下してしまう。そこまで考慮して決断する態度が見えない所が、若さの

限界を表してた。前出の個人投資家も若者なのは、決して偶然じゃない。

そして最後に、工藤の賭け。妹・美那子も心配してたけど、次々と設備投資す

る際には、数百万、数千万単位の借金をしてるはず。K2登頂に賭けるのは

いいとして、負けた時のリスク管理が出来てたのかどうか怪しい。おそらく、来

週以降は悲惨な状況に追い込まれ、それが美那子にも悪影響を与えてしまう

んじゃないだろうか。そうしたリスクを過小評価してたんじゃないだろうか。。。

           

最大の見せ場、K2アタックは終わった。でも、来週以降、賭けに負けたヤシロ

と工藤を相手に、生き残った奥寺がどう立ち向かうのか、また、美那子との微

妙な関係をどうするのか、奥寺の新たな登山に注目しよう♪

     

cf.友情がつなぐ2つの命~氷壁第1回

  過去の真実の共同制作~氷壁第3回

  ウソをつくという事~氷壁第4回

  ウソをつかない理由~氷壁第5回

  大人とは何か~氷壁最終回

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コメント

はじめまして
TBさせていただきました
わたしもはまってます。
圧倒されました景色。
登山って、人生を考えさせられます。

投稿: amuk | 2006年1月22日 (日) 11時02分

↑ごめんなさい。
前回コメントいただいてましたね!
ありがとうございました。

投稿: amuk | 2006年1月22日 (日) 11時04分

>amuk様

こんばんは。TB&コメントありがとうございます♪
思い出して頂けたようで、幸いです。
登山を人生にたとえることは多いのですが、
一つ決定的な違いがあります。。
登山は終わった後の日常生活がありますが、
人生は終わった後がありません。(宗教は別)
その辺りをじっくり考えていきたいと思ってます。

投稿: テンメイ | 2006年1月23日 (月) 03時14分

はじめまして
こんばんは。ご報告遅れましたがTBさせていただきました。お返しのTBとコメントどうもありがとうございました。
あらすじをよくこんなに丁寧にまとめられるなぁ~と思わず感心してしまいました^^
山の景色ももっとみたいなぁ~と思ってしまいますね☆

投稿: kaorihonoka | 2006年2月 5日 (日) 21時55分

>kaorihonoka様

TB&コメントありがとうございます。
記事、コメント応答、コメント返し、
すべて丁寧な方ですね♪
名前も素敵で、好印象を持ちました。
あらすじは、丁寧にまとめてるんじゃなくて、
そのまま文章にしてるだけですよ(^^ゞ 

投稿: テンメイ | 2006年2月 6日 (月) 03時48分

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» NHK土曜ドラマ:「氷壁」 第2回 [仙丈亭日乘]
第2回「生死を賭けた挑戰」。 超人ラインホルト・メスナーのマジックルートに挑む北澤と奧寺。 三日月のガリーで雪崩に卷きこまれ、北澤が右足を骨折。 單獨行のスペシャリスト奧寺は、ひとりで殘りの70mの氷壁を登攀し、一般ルートに出て、ザイルを固定し、北澤のもとに戻る。 北澤は、固定されたザイルにシュリンゲをかけて、躰を引つ張り上げるやうに登攀を開始する。 しかし、どうしたことか、北澤はザイルから外れて墜落してしまふ�... [続きを読む]

受信: 2006年1月22日 (日) 10時58分

» 三日月のガリー 氷壁 [ららら★E!blog*自分TV*amuk]
後半30分は、壮絶なシーンに惹きこまれました。リベラの「彼方の光」がすごくいい。 [続きを読む]

受信: 2006年1月22日 (日) 11時01分

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? TVサントラ 氷壁 NHK土曜ドラマ「氷壁」オリジナル・サウンドトラック ? 山登りは辛い、けれど愉しい。 それは頂上へ着いた瞬間、今まで背負ってきた重い荷物が。 急にワタアメになってしまったような感覚。 初めの頃はおしゃべりに花が咲いても... [続きを読む]

受信: 2006年2月 2日 (木) 21時54分

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