父と母~白夜行第6話
『白夜行』第6話、「白夜の終わり」
笹垣(武田鉄矢)の後輩刑事・古賀(田中幸太朗)。転勤前最後に、「父」の
ように慕ってた先輩に恩返ししようとした「探偵ごっこ」が、取り返しのつかない
事になっちゃったな。。残された奥さんの前じゃ言えないけど、余りにも不用意
だった。古賀が大好きだった七味を死ぬほどかけたカップ麺、さぞや笹垣の目
に沁みたことだろう。。
これだけ刃物と殺人だらけの回だと嫌になるし、番組が心配になる。昔、超人
気タレントの刃物の影響が騒がれた事件があったもんな。友彦(小出恵介)も
そうだけど、やっぱ真文(余貴美子)を見てるとホッとする。いや、別に変な意味
じゃなくてね。奈美江(奥貫薫)がリミット♪
さて、時間の余裕がないので、いつもみたいな詳しいあらすじは省略。簡単な
あらすじは次の通り。弥生子(麻生祐未)が探偵事務所に頼んで松浦(渡部篤
郎)の居場所を突き止め、ネガと写真を取り返そうとしたら、逆に襲われそうに
なった。そこへ、弥生子を尾行してた古賀が乗り込んで来て、婦女暴行現行犯
で逮捕しようとしたら、逆に松浦に刺し殺される。偶然やって来た亮司(山田孝
之)が、母と松浦の2人を見て幼い頃の怒りを思い出し、松浦を刺す。その後、
雪穂(綾瀬はるか)と会い、仲直り。雪穂は、「亮をもう一度、太陽の下に戻して
あげるからさ」と言う。亮司は、隠れ家にしてた事務所を去り、残された友彦の
もとへ笹垣が乗り込んできて、殴りかかった。。
今回のテーマは、父と母だろう。前回既に、無条件の愛を注ぐ人として、親に注
目しておいた。親子っていうのは、一番最初の、最も基本的な人間関係だ。子
供は親に頼るしかないとか、親を選べないっていう話は昔から強調されてるけど、
最近は逆に、子供に精神的に依存する親(特に母親)の話が問題になってる。
いずれにせよ親子関係は、運命によって結び付けられた後は、決して切り離せ
ない特別な関係だ。
だからこそ、親に恵まれなかった子供は、不満のはけ口に困ることになる。亮
司も雪穂も親に恵まれてないのは分かってたけど、亮司はどうも、刺し殺した
洋介(平田満)の子ではなかったらしい。ホステスの母・弥生子が客と作った子
供を、洋介の頼みで実子として育てただけって話で、弥生子にとっては欲しくも
なかった子。でも、自分の実の子なのは事実だから、悲惨な人生を歩んでる事
を告げられると、どうにかしてやりたくなる。ただ、『輪舞曲』のショウの母と違っ
てイマイチの母だから、息子に自首を勧めることもできなければ、警察に本当
の事を話すこともできない。
亮司には、もっとパッとしない「母」も今回できた。若くて美しくて自分を愛してく
れるけど、良心と幸福が決定的に欠落してる女性・雪穂だ。本来なら、亮司が
雪穂の隠れた「父」として生きるはずだったのに、これまたイマイチの父で、前
回その役割を放棄。今回2人が仲直りして、役割交代したってわけ。いずれに
せよ、両親と良心に恵まれなかった2人の子供が必死にお互いの親代わりを
演じるっていう、何とも切ない構図になってる。来週以降、雪穂が金持ちの先
輩と結婚して経済的に亮司を支えるって話になるのかどうか、よく分からないけ
ど、いずれにせよ無理がある「母子」関係だ。
今回ついに殺された松浦の話も、何とも重苦しいものだった。母が浮気してで
きた子で、邪魔者扱いした母と兄を刺して傷害で捕まった前科があるって話。
「いらない人間」として扱われる事にすごく敏感だから、自分を捨てようとする
亮司や寄生虫呼ばわりする友彦には激怒する。でも亮司と似た境遇だし、元々
は亮司の母の愛人だから、実は亮司を自分の息子のように思ってて、だからこ
そ過去の罪については一切口外しなかった。それなのに、最後はいきなり「息
子」の亮司に刺し殺されてしまった。自業自得とはいえ、死んでも死に切れな
いって感じはあっただろう。亮司にとっては、二度目の「父殺し」となった。
それにしても、今回のタイトル「白夜の終わり」には、溜息をつかざるを得ない。
「白夜の継続」の間違いだろ!って突っ込みを入れる気にもならないくらい、
どうしようもない人生の歩みだ。あるいは、「白夜のさらなる暗黒化」とでも言
うべきか。ここで、亮司の言葉が思い出される。
「なあ、雪穂。白夜ってさぁ、奪われた夜なのかなぁ、与えられた昼なのか
なぁ。夜を昼だと見せかける太陽は、悪意なのか、善意なのか、そんな
事を考えた」
雪穂っていう「ぱちもん」(うそっぱちの偽物)の太陽は、悪意だろうが善意だ
ろうが、とにかく悪い方向へと亮司を歩ませる。その事を亮司に告げることが
できるのは、友彦じゃムリだろうから、もう笹垣しかいない。ところが、笹垣の
立場も今回で微妙になってしまった。今までは、2人の厳しい父のような感じが
あったのに、古賀っていう別の「息子」が殺されてしまったから、もう怒り狂って
る。こうなると、親子の対立から、3度目の「父殺し」が見えてきてしまう。第1話
の冒頭の笹垣の意味不明な叫びを思い出してしまう。
「白夜の終わり」が暗闇だったって話か。重過ぎる。。。
自首の話とか、もっと色々と書きたい所だけど、もう時間がない。とにかく、実生
活でも父だったらしい山田孝之には、もっとしっかりしろ!と檄を飛ばしたい。
友彦が上手くリードできればいいんだけど、食べまくってはトイレに駆け込むよ
うじゃ、やっぱムリだな。自分の罪のけじめも全然つけてないしね。来週は誰が
殺されるのか、乞うご期待、なんてシニカルな言葉で締めくくっとこうかな。。
P.S.いつの間にか雪穂が唐沢家に戻ってて、しかも母・礼子が映ってない。
雪穂は何を庭に埋めたの? ハサミは正しく使って欲しいもんだけど。。
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コメント
毎回テンメイさんの感想には
惚れ惚れしてしまいます。
すごいですね!
渡部篤郎殺しは『第2の父親殺し』…
たしかに。
亮司は行き着くところまで行き着いてますよね。
’息子’を殺され、怒りに満ちた
笹垣がこれからどのように亮司と雪穂を
追い詰めていくのか!
投稿: あい | 2006年2月18日 (土) 19時12分
>あいさん
ありがたいお言葉、どうもです<(_ _)>
お世辞でも嬉しいです♪
たまに誰かホメてくれないと、
やってられないって所はありますからね(^^ゞ
何だかんだ言っても、「白夜行」は自分に
合ってるドラマだと思います。
深く考える余地が十分あるんですよね。
今クールは、これ一本に絞って、もっと
キチンと書いた方が良かったかも。。
笹垣が追い詰めても、結局最終的には、雪穂が
笹垣や亮司を追い詰めることになりそうな気がしてます。。
投稿: テンメイ | 2006年2月18日 (土) 23時15分