けもの人間の死~けものみち第7話
『けものみち』第7話、「麻布の女帝、衝撃の死」
残念! 毒物は椎茸じゃなかったか・・・♪ 少なくとも秦野(吹越満)なら、「毒
物って椎茸だったりして」とか不用意に口にして大ヒンシュクを買う程度のこと
はやってくれると思ったのになぁ。折角、吹越が「悪人ではあるんだけどちょっ
と楽しい人」(公式HP)を目指してたのに、監督と脚本家が認めてくれなかった
ようだ。つまらん・・。
それにしても、虚構の世界でも現実の社会でも、政治家ってのはバカなのか
悪賢いのかよく分からない。何で、小滝(佐藤浩市)とつるんで鬼頭(平幹二朗)
に刃向かってる若手政治家・間宮(長谷川朝晴)が、仲居の美代子(星野真理)
なんかと急に一緒になって、しかも裏でバカにするのかよく分からない。何で、
怪しいメール1通手に入れたくらいで国会で超攻撃的な発言をして、証拠に困っ
て自滅どころか民主党全体を危機に陥らせるのか、これもよく分からない。ここ
まで完璧に計算された演技だったら、称賛に値するかも知れないけどネ。。。
さて、今回も時間ないからあらすじは公式HPの詳細な「おさらい」に任せるとし
て、米子(若村麻由美)の「死」について考えてみよう。
わざわざカッコを使って「死」なんて書いたのは、ホントに死んだのかどうか分か
らないから。実はドラマを見てる最中は、今回のタイトルが「麻布の女帝、衝撃
の死」となってるのを知らなかったから、米子が死んだとは信じてなかった。実
際、黒谷(前川泰之)が米子の「死体」を車で運び出す映像は、いかにも意味あ
りげ。ああ、死体を捨てるフリをして米子を人間社会に戻してやるってことか、
情けない黒谷もたまにはいい事するなぁ、と思ってた。間宮が、多摩川河川敷
(よく自転車で走ってる所!)に髪の長い女の死体があがったとか言っても、さ
ほど信じてなかった。警察の摘発を受けた謎のシェンクー美女(『輪舞曲』)だっ
て、髪の長い女だしネ。ドラマ終了後に、新聞のタイトルを見て、アレッ、ヒネリ
が無いなぁって感じだったけど、さらに公式HPの「のりこの覗き見日記」を見る
と、まだ若村の出番は終わってないとの事。って事は、殺人の偽装だったのか
な? こうゆう偽装なら歓迎するけど・・・♪
という訳で、まだ米子がホントに死んだのかどうか分からないけど、少なくとも
鬼頭と黒谷が米子を殺そうとしたこと、米子が自ら死のうとしたことまでは確か。
その意味で、米子の「死」について考えてみる。直接のキッカケは、米子が(?)
鬼頭を毒殺しようとしたことだ。だけど25年も勤めてれば、鬼頭が死のうが死
ぬまいが、自分が殺そうとしたことがバレて自分も殺されることくらい分かるは
ず。ってことは、米子は死を覚悟してたってこと。それほど絶望してたってこと
だ。なぜ? それは、お暇を頂いて人間社会に戻ろうとしたのに、逆に黒谷な
んかと結婚して屋敷に住み続けることを命じられてしまったから。じゃあ、どう
して米子は突然お暇を頂こうとしたのか。それは、民子(米倉涼子)を見たから
だ。けものみちに入りつつも、人間社会の華やかな部分にも足場を築いてい
る民子の姿を見て、自らの心の奥にあった人間的なものへの執着が強く呼び
覚まされたから。人間社会への復帰を本気で考えるなら、せめて鬼頭が自然
に死ぬまであと少し我慢すべきだったんだけど、前回書いたように、けものは
欲望のコントロールが苦手だし、慎重に考えて行動するのも苦手。だから、欲
望を制止されてしまった悲しいけものは、自分をもてあます。その一方、米子
は人間、すなわち自殺する唯一の動物でもある。自分をもてあました「けもの
人間」が自殺的行為に出てしまったのは自然なことだろう。
結局、米子殺人事件の実行犯は黒谷と米子自身だけど、主犯は民子だ。民
子さえ来なければ、黒谷の構えた刃物に米子が飛び込むようなことは起きな
かった。半分冗談だけど、もっと考えれば、米子を殺したのは『黒革の手帖』
の成功だ。このドラマで強い悪女・米倉がウケたから、民子も強い悪女へと
脚色されてしまい、そのせいで「古い悪女」は死に追いやられたって事だろう。。
あと2回で終わりのようだけど、上手く話がまとまるのか、かなり心配。。小滝、
久恒(仲村トオル)、米子、黒谷、秦野、間宮、光恵(田丸麻紀)、奈々美(上原
美佐)、初音(東ちづる)、美代子・・・これだけ大量の伏線を張り巡らせといて、
残り僅かしか時間がないんじゃあ、キレイにまとまるはずはない。せめて民子、
小滝、久恒の3人はしっかり描いてほしいものだ。特に、けものみちに入った
者は決して抜け出せないと言った米子に対して、自分は違うと言ってた民子。
フツーに考えれば民子の自信過剰、あるいは虚勢にすぎないけど、果たして
どうなるのか。スタッフさん、頑張って!♪
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コメント
面白いご高察ですね。
でも一点納得いかない点が。
米子が殺されるのは原作のとおり。
古い悪女が死に追いやられたのでもなければ
黒革の成功も関係ありません。
投稿: はじめちゃん | 2006年2月24日 (金) 19時11分
>はじめちゃん様
はじめまして。コメントありがとうございます。
原作のあるドラマを解釈する場合、原作を考慮するか
ドラマだけで考えるか、2通りの方法があります。
その辺りの問題については、『野ブタ』の一連の
記事の終盤辺りで何度か考察していますので、
宜しければご一読ください。
投稿: テンメイ | 2006年2月24日 (金) 22時32分
あと2話で終わりなんですね~
今回、いろいろと動き出しましたが
テンメイさんの言うとおり、
まとまるのか心配ですね。
投稿: あい | 2006年3月 1日 (水) 23時05分
>あいさん
なかなか意欲的な脚本だとは思うんだけど、
ちょっと欲張り過ぎでしょ。
全11話なら分かるんですけどね。
ただ、全体的な完成度の低さに対する心の準備は
もう出来てるので、せめてポイントだけでも
キッチリ描いて欲しいものです。。
投稿: テンメイ | 2006年3月 2日 (木) 02時16分