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薄明かりに共生する命の温かさ~白夜行第4話

『白夜行』第4話、「罪と罰」

奈美江が可哀想だ。。バカだけど、雪穂より全然可愛い女性じゃないか。。。

熟女ファンって訳じゃないけど、童顔で一途で多少世の中も分かってて、殺風

景な部屋の窓辺に観葉植物を置いたりする姿も可憐。部屋で似顔絵を書くほ

ど心を許してた亮司に裏切られて、すぐ殺されてしまうなんて、可哀想過ぎる。。

ウルトラマンの着ぐるみで雪穂のストーカーっぽいことまでやってる亮司、人の

信頼を裏切るよう罪を犯してるから、罰として雪穂に裏切られるんだよ! 奈美

江に「M」とか言われてたけど、まさか雪穂に冷たい仕打ちを受けて喜んでた

訳じゃないよな♪

ともあれ、今回は雪穂に怒りをぶつけようと身構えてたのに、むしろ亮司にムカ

ついた。おかげでストレス発散、気分スッキリ! (って事もないか・・・) それにし

ても、あれだけ嫌味な篠塚お坊ちゃまに思いを寄せる雪穂にも困ったもんだ。。

          

あらすじは以下の通り。亮司(山田孝之)は、高校の卒業式があった1999年

3月5日、海で死んだように偽装工作し、陰から雪穂(綾瀬はるか)を支える事

を決意。松浦(渡部篤郎)の客の一人、大都銀行行員・奈美江(奥貫薫)を巻き

込み、売春仲間だった友彦(小出恵介)と3人で偽造キャッシュカードを作って

大金を手に入れ始める。稼いだ金は、雪穂の口座に送金。隠れ家は、雪穂が

通う清華女子短大の近くにし、通学する姿を窓から眺める。また、キャンパス

内の様子もこっそりチェックし、永明大学主催のソシアルダンス部に入った事も

知る。雪穂だけが亮司の心の支えだった。

季節はやがて秋に。ダンス部に、OBで篠塚製薬の御曹司・篠塚一成(柏原崇)

が顔を出し、雪穂は驚く。先日『風と共に去りぬ』の原書をカフェで読んでた素敵

な男性で、前から気になってた壁の落書き:「いざというときに ダンスのひとつ

もできるヤツが 生き残っていく K.S.」の作者らしい。アメリカ支社帰りで、部

長のクラハシと結婚を視野に入れつつ交際してるとの事。雪穂は一瞬で恋に落

ち、表向きは関心なさそうに装うものの、浮き立つ心は育ての母・礼子(八千草

薫)にも明らかだった。

一方、刑事の笹垣(武田鉄矢)は、亮司と雪穂の生い立ち年表を作ったり、礼

子のもとへ様子を伺いに行ったりして、2人を追いかけ続ける。その様子は、

後輩刑事・古賀(田中幸太朗)には、父親代わりのように見えた。

順調に大金をかすめ取り、松浦に上納金を渡しつつ雪穂に送金していた亮司

のもとに、突然ヤクザ風の榎本(的場浩司)が子分を連れて乗り込んできた。

奈美江はどこだと言いつつ亮司の手のひらにタバコの火を押し付け、居場所

が分かったら連絡しろと命令して帰る。偶然を装って奈美江に近づいた榎本

が不正送金させていた所、奈美江の上司にバレたため、榎本は上司を殺害、

証拠隠滅のために奈美江自身も殺そうとしてるようだ。亮司は、しばらく奈美

江を友彦と一緒にホテルの一室へ避難させる。男にだまされてばかりだと言

う奈美江に対し、友彦は、男じゃなくて仲間だから俺たちは裏切らないと安

心させる。しかしその頃、松浦に、お前が捕まったり殺されたりしたら困る人

いるんじゃないの、と言われた亮司は、奈美江を榎本に引き渡す決心をした。

一方、雪穂は、篠塚が部長と別れたことを知り、揺れる思いを鎮めようとして、

懐かしの図書館へ。雪穂を見かけた真文(余貴美子)は声をかけ、亮司を心

配してることを伝えるが、雪穂は図書館も亮司も全く関係がないフリをする。

いよいよ奈美江の信頼を裏切って榎本に引き渡す時が近づき、淋しさと罪悪

感を抱く亮司は、急に雪穂に会いたくなる。ところが雪穂は、たまたまダンス

部で一緒になった篠塚に車で送ってもらっている所だった。自信満々の篠塚

は、雪穂の好意をもてあそぶような事を平然と言うが、一旦好きになった雪穂

の気持ちは変わらない。車から降りて、原書のペーパーバックの『風と共に去

りぬ』を手渡された雪穂は、車をジッと見送る。その様子を陰で見ていた亮司

は、心の中でつぶやいた。「雪穂は恋をしていた、オレが泥水の中を這い回っ

ている間に。傷つけてやろうと思った、守りたいと思った時と同じ強さで・・・」。

亮司は雪穂に電話し、自分と同じ泥水の中へと巻き込む。奈美江をだまして

榎本に引き渡すと共に、奈美江に変装させた雪穂に大金を引き出させる。拠

点の部屋に2人で戻り、不安と不審をあらわにする雪穂に対して、亮司は篠塚

の件をほのめかす。「許さないからな。自分だけ都合よくイチ抜けなんて・・・

俺しかいないって言ったじゃない!」。詰め寄る亮司に、雪穂は「理屈じゃない

だもん。仕方ないじゃない!何とかしてよ・・・何とかしてよ、亮・・・」と言い返す。

その後、初めてベッドで抱き合う2人。あの父親殺しの時と同じく、外には冷た

い雨が降る中、2人はお互いの身体の温かさを感じつつ、「罪と罰」の共有を再

確認していた。

同じ雨空の下、真文は昔の事件の新聞記事を眺めつつ心配し、笹垣は奈美江

宅で見つけた亮司似の落書きのコピーを奈美江事件の記事に貼り付けて疑惑

を深め、篠塚は無邪気に歩いてる雪穂の親友のダンス部員・江利子(大塚ちひ

ろ)の姿を微笑みながら見つめていた。。。

              

「罪と罰」っていう今回のタイトルは、的を射たものだ。どんな罪に対しても、必

ず何らかの形で罰が与えられる。不正を続けた奈美江は殺されたし、奈美江

を裏切った亮司は雪穂に裏切られた。裏切った雪穂は、明るい大学生活から

再び泥水の中に引き戻されてしまった。「清華大学」で清い華のような女子学

生になりすまし、永遠の明るさをもつ「永明大学」のソシアルダンス部で折角上

流社会の光をかすかに味わっていた雪穂は、わずか半年で闇の世界に逆戻り

するハメになった。金目当てに軽い気持ちで売春やってた友彦も、結局ズブ

ズブの泥沼に入り込んで抜け出せない。。

題名と共に象徴的だったのは、奈美江が窓辺に置いた観葉植物。ブラインド

の隙間から差し込む薄明かりの中で懸命に生きてる姿は、亮司、雪穂、奈美

江の姿と重なり合う。奈美江を裏切る直前に観葉植物を見つめながら、亮司

が雪穂に会いたくなったのは、そのためだろう。世界は寒くて薄暗い。だからこ

そ、薄明かりに共生する様々な命は、お互いを温め合うんだろうし、お互いを

一種の光として照らし合うんだろう。友彦が亮司の事をもっと知りたくなったり、

奈美江との逃避行を楽しんだりするのは自然な事だ。ただ、そうした命の交流

にも、良いものと悪いものがある。一見、純愛を実らせたかのようにも見える

亮司と雪穂の抱擁は、罪と罰の共有を再確認するもので、後ろ向きの愛情表

現だ。むしろ彼らが目を向けるべきものは、薄暗い雨空の下、遠くから父親の

ように厳しい温かさを差し向ける笹垣や、母親のように優しい温かさを差し向

ける真文なのに。。。

       

ラストシーン。薄暗い室内で、「R&Y」の文字がかすかに浮かび上がったのが

印象的だった。今後も彼らは、罪を重ね、罰を受け続けるんだろう。すべての

罰は、ある意味で自業自得。ただ、それでも切なさを感じてしまうのは、そこに

人間らしさを感じてしまうからだろうか。明るさや温かさを求めつつも、暗くて

寒い方向に間違って進んでしまう姿に、一種の共感を覚えるからだろうか。。。 

      

cf.愛がもたらす夜の太陽~白夜行第1話

   太陽の下を2人で歩くために~白夜行第2話

   良心と幸福の欠落を埋める愛~白夜行第3話 

   無条件の愛という困難~白夜行第5話

   父と母~白夜行第6話

   昼間の幽霊~白夜行第7話

   コントロール不能な欲望~白夜行第8話

   殺すことと生かすこと~白夜行第10話

   救われない生の終焉と存続~白夜行最終回    

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コメント

 私も男なら、雪穂よりも奈美江と結婚したいです☆だって温かい家庭を築けそうですよね♪友達としても、雪穂よりも奈美江と付き合いたいです☆雪穂簡単に裏切りそうなんですもの(>_<)

投稿: 私の趣味日記 | 2006年2月 4日 (土) 07時22分

二人の願いはもう一度太陽の下を歩くという
ささいな幸せのはずなのに
亮司は雪穂の為に犯罪を重ね
全く暗い方向にいってますよね。
それでも切なさを感じてしまうのは
人間らしさを感じるからなんでしょうね。

投稿: あい | 2006年2月 4日 (土) 09時27分

>私の趣味日記さん

でしょ♪
奈美江はいい奥さん、いいお母さんになりそうですよね。
亮司や友彦との会話も感じ良かったし。
雪穂より全然好きだなぁ。。。

投稿: テンメイ | 2006年2月 4日 (土) 15時52分

>あいさん

程度の差こそあれ、人はみな、
やるべきでない事をやっちゃいますよね。
忙しいのにブログに熱中しちゃったり・・(^^ゞ

投稿: テンメイ | 2006年2月 4日 (土) 15時59分

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