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適度な政治性~輪舞曲第10話

『輪舞曲~ロンド』第10話 「償うべき罪 守るべき愛」

ヨンジェがすっかり、いい人になっちゃった。

 「俺は思う 残酷な運命は、それに耐えられる人間にこそ訪れるものだと

  強い人間にこそ訪れるのだと」

いい言葉だなぁ♪ 現実はそれほど甘くないにしても。。

琢己やユナに、あれだけ色々と温かい心配りをしたヨンジェは、先週も書い

たけど、残念ながらやっぱり死ぬしかないと思う。このままだと、脇役なのに

主役2人以上の位置づけになっちゃうしね。死ぬ間際に、遠回しにユナへの

愛を告白なんてのが、平凡だけどキレイかも。。。

昔の写真を見ながら琢己が「もう一度出会えたら この奇跡を俺は無駄に

したくない」と口にしたのは、冬ソナをチョコッと意識してるのかな。。

今回は、最終回への準備って感じで、大きな動きはなかった。龍吾と宋が

逃げたって言っても、今までノンキにしてた方がおかしいんであって、何の

驚きも感じない。またメールの送信者に頼る展開とか、相変わらず気になる

点が目立つけど、まあいいや。終わり良ければ全て良し。来週、キレイに

終わらせてくださいな♪

        

あらすじは以下の通り。琢己(竹野内豊)は、ユナ(チェ・ジウ)が日本人・

佐倉愛だと告げ、妹・ユニ(イ・ジョンヒョン)が重態で手術承諾書が必要だ

と伝える。とまどうユナの前に、ヨンジェ(シン・ヒョンジュン)も現れて、警察

の身分証を提示。琢己の話は本当で、日本への一時帰国を特別に許可す

ると話し、琢己には韓国警察お墨付き偽造パスポートを手渡す。こうして、

みんな再び日本へ。ユナはユニに謝り、手術許可書にサイン。病院に、

きら(木村佳乃)恵子(風吹ジュン)が駆けつけ、ユナ=佐倉愛に昔の写

真を見せる。ユナは全てを琢己らに告白。優しい義父のように思えた宋(橋

爪功)を助けるために、日本の金融関連のデータを消すプログラムを作ろ

うとしたことを話して謝罪。ユナの情報を受けて、日韓合同の神狗(シェン

クー)特別捜査班は、宋と龍吾(速水もこみち)の逮捕に向かう。龍吾はす

ぐ見つかったものの、人質を取って逃亡。宋は見つからず。龍吾は宋に電

話し、原発データ入手プログラムのはずだったのに話が違うと激怒したが、

宋は、あなたは人の上に立つ器じゃなく利用される側の人間にすぎないと

突き放す。メディアは、神狗の事件と、西嶋ショウ(=琢己)による監理官

殺害事件とを結びつけて報じた。自分のせいで琢己の身分証明データが

消され、未だに指名手配されてることを知ったユナは、ヨンジェに頼んで、

宋をおびき出そうと計画。電話で、プログラムを完成するから私たち姉妹

に関わるなという条件を提示して、取引場所のスタジアムで待つ。宋は引っ

かからず、代わりに同じ韓国人の琢己に、自分の日本攻撃の意図を話す。

ヨンジェの部下から場所を聞いてスタジアムに駆けつけた琢己に、ユナは

謝罪して別れを告げ、ヨンジェと共に警察へ。その頃、琴美(市川由衣)

警察で、父・龍一郎と面会。温かい言葉をかけると共に、兄・龍吾と宋が

指名手配されて逃亡している事を伝えていた。。。

        

今回のドラマのタイトル「償うべき罪 守るべき愛」は、表面的に見れば琢己

とユナのことだけど、明らかに日韓=韓日の政治的・社会的背景を意味する

ものだ。伝えるメッセージは単純明快。日本には、償うべき罪がある。けれど

も、それを口にする韓国も、反発または無視しがちな日本も、根本的にお互い

愛し合うべきだ。日本人も韓国人も、結局同じ人間なんだから。。

さて、このありがちなメッセージ。正論だけど、このまま伝えようとしても、耳に

タコ、馬の耳に念仏、ここに書いてるだけでも恥ずかしいほど。こうゆう時に

よく使われるのは、音楽だろう。曲や演奏っていう共通言語にのせると、たち

まち耳に入りやすくなる。特に若者の場合は、そうゆう傾向が顕著だ。このド

ラマには、音楽のようなメッセージの媒介役を務めようとする姿勢が見られる。

今回のドラマに即して考えてみよう。まず、琢己はユナにこう言った。

 「名前とか、どこの国の人間とか、そんな事俺は関係ない。

  俺が好きなのは君だ」

ほとんど、国連のキャンペーンソングにでもなりそうな台詞。ストーリーの流

れに沿って、竹野内豊がチェ・ジウに語るからこそ、心に響いてくる。名前が

関係ないってのは、もちろん、他の国の人の名前を勝手に変えていいとか、

名前を変えないといけない状況に追い込んでもいいなんて話じゃない。名

前や国じゃなく、人の中身こそ重要っていう普通のメッセージを、聞きやすい

形で伝えてるだけだ。

続いて、宋の長い台詞を見てみよう。同じ韓国人の琢己が「日本への復讐、

それがあんたの目的か?」というのに対して、宋はこう語った。 

 「復讐? 違うな。あえて言うなら、正義感でしょうか。日本の未来に対する

  老婆心かも知れない。この国は呑気すぎる。その昔自分たちが、他人に

  与えた痛みなど一度も振り返りもせずに、ずっと今まで過ごして来たんだ

  から。だから私も考えたんだ。この国も、一度くらい同じ恐怖を味わった

  方がいいんじゃないかとね。私の気持ちも分かるだろ、君も韓国人なら」

ドラマの前半でもキータームだった「復讐」。単純にやり返すって意味だとレ

ベルが低すぎるから、しばしば復讐にはそれを正当化する意味が添えられる。

けれども、どう理屈をつけようが、やってる事は復讐と同じこと。これをそのま

ま認めると、世界の争いは永遠に続いてしまう。ここで注目すべきは、この感

心しない台詞を語ってるのが、日本の俳優だってこと。これを韓国の俳優が

言うと、韓国がちょっと悪者っぽくなってしまうし、生々し過ぎる。この辺り、偶

然か意図的か知らないけど、結果的に程よい柔らかさが生じてる。この柔ら

かさが、こうゆう極端にタカ派的な韓国の考えを、日本の視聴者の耳にも入り

やすくしている。

さらに、最後のユナの台詞も見てみよう。

 「互いに愛するためじゃなく 傷つけるために会ってしまった 私はあなたを

  苦しめてばかりいた だから、忘れてください。私の事を、忘れてください」

これに対して、琢己は首を横に振った。一応今回はユナが立ち去ったけど、

そのままドラマが終わるはずもない。さて、ここでも上の台詞を韓国の俳優が

口にする所がミソ。これによって、苦しめた「私」が、日本を暗に示してること

が程よく隠されている。罪を償おうとする相手を、許しつつ愛する。ごもっとも

な(琢己 or 韓国の)姿勢が、日韓=韓日の生々しさを消した上で人々に伝

わっていくことになる。

要するに、このドラマは、意図的か偶然かはともかく、適度な政治性を実現

してるってことだ。現実の政治を背景にしてるって意味だけじゃなく、「集団全

体をある考えや行動に向かわせる力を及ぼす性質」っていう、広い意味での

政治性を。。。

          

さて、次回はいよいよ最終回。「自然な」流れの一つとして、前回の記事に引

き続き予想を立てとこう。ヨンジェは美しく死亡。龍一郎は宋に力を及ぼして

神狗を適当に処理すると共に、龍吾の問題も無難に片付いて、風間家に人

間らしい温かさが多少もたらされる。龍一郎、宋、龍吾のうち、誰かが死ぬか

も知れないけど、龍一郎と龍吾が共に死ぬことはあり得ない(琴美が淋し過

ぎる)。死ぬ人間がいるなら、単なる悪者じゃなく、人間的にプラスの変化を

示した後で死ぬ。琢己とユナは相変わらず読めないけど、どちらも死なず、

心を通わせながらひとまずお別れ。場所は、「浜辺」ならぬ「海辺」の公園か。

あるいは、ユナが1年程度の短い期間服役して、出所後に警察官の琢己が

温かく迎えるとか。果たして、結果は如何に? 拡大版の最終回に期待♪

寝るヒマがないらしいスタッフの皆さん、頑張って!

        

cf.映像美と俳優の存在感~輪舞曲第1話

   ドラマに見出す価値~輪舞曲第2話

   シンプルな心の言葉~輪舞曲第3話

   不信感による孤立の増幅~輪舞曲第4話

   リアルタイムの感想~輪舞曲第5話

   神狗は悪か?~輪舞曲第6話

   リアリティの欠如~輪舞曲第7話

   ロンドの形式~輪舞曲第8話

   自然さについて~輪舞曲第9話

   美しく自然なエンディング~輪舞曲最終回

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コメント

ごめんなさい!!9話にもTBしちゃいました!!韓国人の立場にもなって考えるんですね!!自分はスリリングな展開がないと飽きてしまって・・・。ユナが出所するのを待ってるってのは、いいですね!!

投稿: お気楽 | 2006年3月21日 (火) 03時14分

>お気楽さん

おはようございます♪
TBの間違いはすぐ気付きましたが、勝手に
削除する気にもならず、そのままにしときました。
それでは、9話の分は削除しときますネ。
このドラマ、色々な問題点(特にストーリー)が
目立ちますけど、意欲的・実験的なのは確かで、
トータルでは評価しています。
フィクションも現実も、多角的な見方を
心がけたいと思ってます。

投稿: テンメイ | 2006年3月21日 (火) 10時38分

こんにちは☆
 元「私の趣味日記」の管理人です♪
 
 毎回すごく深く分析されてますよね☆
尊敬します!
 
 私はなんだか主人公2人のラブシーンがどうでも
よくなってきました(>_<)だって、全然盛り上がらないんですもの(汗)

 最終回もあんまり楽しみじゃないですけど、どんな風に決着がつくのかは気になります♪

 ヨンジェには死んでほしくないんですけど、やっぱり死んじゃうんですかね(;;)

投稿: cute | 2006年3月21日 (火) 15時35分

>cuteさん

こんにちは♪ キュートな名前になりましたネ☆
こちらこそ、ブログへの情熱に感心してますよ。
なぞなぞも笑えるし(^^)
「ラブシーン」(?)は確かにイマイチ。。
秋葉原のデートは微笑ましかったのになぁ。。
ヨンジェは、予告でケガしてたみたいだから、
ひょっとすると逆に助かるのかも。。
「自然」じゃないけど、意外な展開を求める
視聴者にもサービスしなきゃいけないですしね。。
それにしてもcuteさんのヨンジェびいきには嫉妬・・(^o^)

投稿: テンメイ | 2006年3月21日 (火) 17時31分

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