権威的秩序vs破壊的天才~『医龍』第1話
『医龍』第1話~神の手を持つ男
面白い! 試しに見た初回、予想より良かった♪ ヒーロー物語に適度な
お色気と笑いが混じってて、医療問題を扱うシリアスな内容にも関わらず、
肩が凝らずに楽しめる。同じフジテレビの名作『白い巨塔』と比べると、リア
リティで負けてるけど、面白さなら勝ってるかも。。
あらすじは以下の通り。海辺の掘っ立て小屋で、酒・女・借金にまみれて暮
らす「医龍」、朝田龍太郎(坂口憲ニ)。1年前まで、世界各地で活動するM
SAP(万人のための医師団)に参加、最高レベルの救命医療チーム「メディ
カル・ドラゴン」を率いる天才外科医だった。ところが、出身の北日本大学の
医局でトラブルを起こしたために、どこも雇ってくれない。今や、彼を心配し
てくれるのは、かつてのチームの看護師・里原ミキ(水川あさみ)一人だけ。
病気なのに、龍太郎以外の医者には見てもらわないと言い張って、必死に
龍太郎を医者の道に戻そうとしてた。
そんな龍太郎のもとへ、ある日突然、明真大学付属病院心臓外科・助教授、
加藤晶(稲森いずみ)が登場。かつてその才能を見せ付けられた龍太郎に、
「バチスタ」(当時は極めて高度だった心臓手術法)を依頼する。自分の論
文と出世のため、また医局の教授の総長選のためだが、龍太郎にとっても
名誉で悪くない話。
引き受けた龍太郎を病院で待ってたのは、相変わらず教授を絶対視する
医局と、大学病院の「白い巨塔」的な権力構造。野口教授(岸部一徳)らに
早速にらまれてしまうし、医局のあり方に疑問をもつ研修医・伊集院(小池
徹平)とも距離がある。さらに、内科講師の藤吉(佐々木蔵之介)とも対立。
一方、救急救命部(ER)の麻酔医・荒瀬(阿部サダヲ)は自分に麻酔を使っ
てフラつく変な奴。その上司の鬼頭教授(夏木マリ)は龍太郎に興味を持っ
たようだが、加藤とは犬猿の仲らしい。
そんな中、若い男性患者が搬送されてきて、合コンや接待で日々を過ごす
木原助手(池田鉄洋)が執刀。心停止で木原が諦めたのを見学していた龍
太郎は、強引に手術室に入り、手で心臓マッサージして蘇生に成功。あっと
いう間に縫合手術も終わらせ、手伝う伊集院も、見学してた加藤とミキも圧
倒される。怒り狂った木原の方は、加藤が何とか丸め込みに成功。
大学病院にウンザリした龍太郎は、もう医者を辞めると言い出し、ミキは必
死に止める。そのとき突然、ミキの病気が悪化して倒れ、すぐさま龍太郎が
応急処置で救命。命をかけて龍太郎に医師の仕事をさせたミキの情熱に
負けて、龍太郎は病院復帰を決意。ミキに、治ったら一緒にチームを組もう
と約束する。
最後、加藤と共に病院に戻る龍太郎の後姿を、憎悪の目で見送る一人の男。
元先輩で、加藤の恋人でもある野心家、霧島助教授(北村一輝)だった。。。
好青年のイメージが強い坂口が、いきなりセックスとバーボンに明け暮れる
龍太郎の姿で登場したのは、なかなか新鮮。加藤の登場と龍太郎のセック
スが、まるで『輪舞曲』の最初の頃みたいにコマ切れの薄暗い映像でごちゃ
混ぜに描かれた時には、かなりイヤな感じがしたものの、後は普通の映像。
セックス相手の女が終わった後に言った、「あなた、いい手してる」っていう
台詞は、龍太郎の天才的な手腕を上手く表してたし、自然な流れで龍太郎
の背中の火傷(龍みたいな模様)を映し出してた。
他にも、エレベーターでの加藤と霧島の濃厚なキス、ホットパンツ姿で砂浜
に倒れたミキの胸元を開いて人工呼吸するシーンと、適度なエロスがちりば
められてる。これは、乃木坂太郎による原作が、大人向けのコミック『ビッグ
コミック スペリオール』だからか。あるいは、22時スタートってことで、大人
の視聴者向けのサービスだろうか。いずれにせよ意外感があったし、悪くな
い演出だ。お子様は早く寝ようネ♪ ミキとのシーンは、映像もBGMもキレイ
で印象深かった。。
一方、ミキ・木原・伊集院・荒瀬、さらに看護師達と、とぼけた味で軽くニヤッ
とさせてくれたのもいい。特に木原役の池田は顔自体が笑えるので(失礼)、
今後のボケにも期待できそうだ。本物の重苦しい悪役は、野口と霧島に任
せとけば十分。また、伊集院役の小池徹平は、なかなかハマリ役でいい演
技だったと思う。ファンに怒られそうだけど、いかにも気が弱くて落ち着きが
無くてみんなにバカにされてるって感じ。坂口に次ぐ準主役級なんだから、
今後も頑張ってほしい。
原作は全く知らないけど、龍太郎は今後おそらく、ミキ、伊集院、藤吉、荒
瀬をチームのメンバーにして、バチスタや権力構造に立ち向かうんだろう。
ちょっと心配なのは、このままだと単なるヒーロー物語になってしまうんじゃ
ないかってこと。超人的な能力を持つものが、困難を乗り越えて悪を倒すっ
てだけじゃ、平凡だし奥深さもない。『水戸黄門』や『大岡越前』とも大差な
いし、円谷プロのウルトラマン・シリーズの方がむしろ進んでることになる。
キツイ言い方をするなら、現実の権力構造から一時だけ目を逸らせた視聴
者が、超人を頂点とする新たな階層秩序にハマって楽しむだけの事。もちろ
ん、単なる娯楽作品としてならそれでもいいけど、このドラマにはもっと高い
意識を持って欲しいもんだ。来週以降の展開に期待しよう♪
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