他人と気持ちよく生きること~『ギャルサー』第5話
爆笑コメディーから「いいドラマ」へと路線転向しつつあるギャルサー。そこ
で語られる「教訓」は、表面的には平凡に見えるけど、なかなか奥行きがあっ
て考えさせる。決して単なる若者向けドラマじゃなく、大人も見るに値する内
容だ。その点は、半年前の『野ブタ』と全く同じ。
ちなみに今回は、『野ブタ』バンドー役の水田芙美子まで登場。ギャルサー
「レッドスネーク」代表の役で、名前も前と同じ「コズエ」。野ブタファンには嬉
しい演出だった♪ 才能豊かな彼女、前よりキレイに見えたのは、気のせい
じゃないだろう。プロデューサーさん、今後はもっと違った役にも使ってネ!
さて、今回もあらすじを超簡単に。ギャルサーの合同イベント開催が決定。
仕切り役はエンゼルハート。会場の契約書にサインとハンコをもらう役を任
されたサキ(戸田恵梨香)、シズカ(佐津川愛美)、スミレ(奈津子)の3人組。
結局サキがスミレに押し付けた。スミレは出来上がった契約書を集会所の
VIPルームに置いといたが、なぜか紛失した様子。あわてた3人組、サキの
悪知恵で、シンノスケ(藤木直人)に責任をなすりつける作り話を演出。シン
ノスケが喫茶店クリフォードの留守番中にボヤを起こしたせいで契約書が
燃えてしまったっていうストーリー。
シンノスケは一ノ瀬(佐藤隆太)に説教され、おわびとしてお金の代わりの野
菜作りに励む。ところが、その後契約書が発見され、ウソがバレた。サキ達
は、仲間に謝った後、シンノスケの所にも行って頭を下げる。ところがシンノ
スケは怒るどころか気持ちいいと言って笑顔で応対。最後はレミ(鈴木えみ)
と3人組が他のギャルサー代表に土下座、ナギサ(新垣結衣)が別の会場を
見つけてきたこともあって、何とか一件落着。。。
さて、今回の表向きのテーマは「言い訳」。言い訳とは、自分がやったミスや
悪い事を、別のもの(特に他人)のせいにして責任逃れしようとする言葉。前
回の「ウソ」と同じく、多かれ少なかれ誰でも口にしてしまうものだ。
ただ、ウソと言い訳には決定的な違いがある。ウソは、時と場所を選ばず、
色んな状況で言うものだ。だからこそ、単に笑いを呼ぶウソとか、いいウソ、
可愛いウソってものもあり得る。
ところが「言い訳」は、悪いものを指す時に使う言葉だ。悪くないものに対して
は、「理由」っていう一般的な言葉が使われる。つまり、自分が責任逃れする
ための悪い理由付けこそが、言い訳だ。言い訳をする人間は、他人の責任
追及から自分を守ろうとして、逆に怒られたり冷たい視線を浴びたりする。自
分はもちろん、他人も不愉快にさせる。シンノスケに言わせると、
「言い訳はしない。・・・言い訳すれば、お前ムカつく。友達、イヤな気持ちに
したくない」
じゃあ、言い訳の代わりにどうすればいいのか。謝罪、賠償、事後処理、再
発防止・・。いずれにせよ、まず心から謝らないといけない。
言い訳なんてものをそもそも知らなかったシンノスケは、「大切なもの燃やし
た。ごめんなさい」と、遥か年下のギャル達に素直に頭を下げた。その直前
のモモ(山内菜々)の申し訳なさそうな言葉も、広い意味で謝罪だろう。話の
内容じゃなくて話し方・態度が、身内のシンノスケの不手際について深く謝って
て、見てるこっちまで胸を打たれた。
「シンノスケは、お金がありません。迷惑をかけたから、野菜を沢山作って、
おわびをするんだって、そう言ってました・・・」
でも、実際には素直に謝れないことも少なくない。大人の場合、言い訳無用
の社会でかなり鍛えられてるから、自然に言い訳が減っていくけど、若いうち
はなかなかそうも行かない。謝れないのは、自分に責任を受け止める力がな
いことに加えて、別の事情がある。相手にも、許す力がないのだ。
その点で、サキ達の謝罪を受けた時のシンノスケの対応は120点だった♪
「みんな怒ってるよ。だからオッサンも怒れよ。何すんだって、怒れよ」
「なぜ? お前、正直に言った。何も、怒る理由がない。・・・謝る心、尊い。
それを聞く人間に、穏やかな許しの気持ちをもたらす。謝る心、人の心
から怒りを消す。だから、尊い。お前、謝った。とても、気持ちがいい」
自分が謝るだけじゃなく、他人の謝罪を聞いた時に穏やかになれること、怒
りを消せること、気持ちよくなれること。これこそが、必ずしも年齢とは関係
ない、「大人」の条件だろう。そしてさらに、賠償、事後処理、再発防止といっ
たことまでキチンと出来るようになれば、他人と気持ちよく生きられるように
なるだろう。
ジェロニモ(古田新太)の言葉を借りるなら、
「言い訳とは、泳げぬ人間がしがみつく浮き輪のようなものだ。つかまって
る内はラクだが、いつまで経っても自分で泳ぐ力は得られない。その娘
たちは、やがて、言い訳という浮き輪を手放し、悠々と、大海原を泳ぎだ
すだろう」
あとは、もっと積極的に気持ちよさを増やすこともできるようになれば、もっと
キレイに速く泳げるようになるだろう。
ちなみに、浮き輪はビート板と言い換えてもいいらしい・・(^^)
それにしても、ここまで路線転向してしまうと、個人的には全然OKだけど、
視聴率がちょっと心配になる。まだ中盤。シンノスケとジェロニモを中心に、
もうちょっとギャグにも力を注いで欲しいもんだ。レミ&ナギサの今後にも
期待したい所♪ ではまた、来週☆
P.S.今回ちょっとだけ脚光を浴びたスミレ。「楽勝♪ 楽勝♪」と飛び跳
ねる姿が可愛かった♪ 宇宙人みたいなギャルサーが、どんどん
可愛く見えて来る。ちょっとマズイかも。。(#^.^#)
P.S.2 珍しく苦言を一つ。一番いいシーン、サキ達が謝ってシンノスケが
許す場面での、「通り雨」はヒドイ。。ホースの水撒きかよ!
P.S.3 結局、契約書紛失はムツコの八つ当たりだと最後に分かった。
自分に何か非がある時、それを他のものに差し向けてしまうのが
人間の悪いクセ。他のもののせいだと理由付けるのが「言い訳」、
他のものを攻撃するのが「八つ当たり」。
つまり今回のオチは、言い訳を八つ当たりへとアレンジしたもの。
このドラマ、やっぱりよく考えて作られてる。野ブタと同じ♪
・・・・・・・・・・・・
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コメント
さすがですね。
言い訳と謝罪の明確な分類を論じてくれました。
読んでいてもすっきり整理できます。
テンメイさんて何のお仕事してるのかとっても興味がわいてきました。
ところで野ブタの水田さんって最後に出てました?
どうもよくわかりませんでした。美人になったのか・・。
もともと美人系でしたが役の上できつめだったので
そういう印象が残っているんですよね。
もう一回確認してみるかな?
>別の事情がある。相手にも、許す力がないのだ。
すごいね!
そういわれたらそうだと思います。
許すための人間としてのキャパが必要だわ。
思いっきり笑える要素が減りましたね。
それがちと残念です!
投稿: かりん | 2006年5月14日 (日) 19時20分
>かりんさん
毎度どうも♪
仕事ですか? 詐欺師です(^^)
いやいや、わりと想像しやすい職業ですよ。
水田さんは、最後にレッドスネーク代表として
先頭で入ってきた女の子。風格漂ってました。
奥側の座席に座ったので、分かりにくかったかも。
ケバいバンドーと違って、キレイなギャルでした♪
許すキャパには2種類あるでしょうネ。
一つはシンノスケ的な純粋無垢さで、真似しにくい。
もう一つは、自分を抑えつつ相手を理解し愛する心。
言うは易し、行なうは難しですが、僕は時々、
ゆっくり深く腹式呼吸して気持ちを静めます。
マニアックすぎて怪しい?(^^)
投稿: テンメイ | 2006年5月14日 (日) 21時15分
はじめまして、ギャルサー関係ハシゴしてたどり着きました
テンメイさんの記事、まさに“だよねーー!”“ウンウン”
状態で一気に読ませていただきました。
元々戸田恵梨香c、新垣結衣c目当てでしたが、もうドップリ
はまってます。特に5話ではサキ達が、公園でシンノスケに
謝るシーンなど、気がつけば涙ダーーでした。
最終話まで、楽しみにしています。
投稿: conan | 2006年6月 2日 (金) 11時30分
>conanさん
はじめまして。コメントありがとうございます♪
ほとんどTBをつけてないウチの記事なんかに、
よくたどり着けましたね!(^^)
まったく期待せず、『クロサギ』の代わりにしようかと
思って見始めた『ギャルサー』、僕もドップリはまってます。
お目当ての女の子もいなかったんですけど、今じゃみんな
可愛く見えてしまいますネ。特に、ナギサ・ラン・サキ♪
わざわざ少し前の第5話にコメントくださったって事は、
それだけ思い入れがあるってことでしょうか。
僕は、記事にも書きましたが、肝心の公園シーンの雨が
ホースの水撒きに見えてしまったので減点なんですよ(^_^;)
それ以外はいい話だっただけに、ちょっと残念でした。
実は最終話の記事は書けないかも知れないんですが、
第10話までは頑張りますんで、楽しんで頂ければ幸いです☆
投稿: テンメイ | 2006年6月 2日 (金) 23時19分