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限りある命、選びとる生き方~『ギャルサー』第8話

 「お前にはたくさんの時間がある。でももし、今日しかなかったら、

  お前は何をやる?」

もし今日一日限りの命だとしたら、何をするだろうか、何をすべきだろうか。

今回シンノスケが投げかけたのが、この問いかけ。平凡だけど、色々と考え

させる奥深くて重い問題だ。制服姿の可愛いギャル達や、サキのサービス・

ショットに萌えてる場合じゃない。。

    

最初にこの問いを聞いた時は、みんなテレビを見てる。そして、今再びこれ

を聞く時、私は記事を書いてるし、皆さんは記事を読んでる。でも、残り僅か

な命だとしたら、そんな事をするだろうか。そんな事をすべきだろうか。もしし

ないんなら、もしすべきでないんなら、今この瞬間にやってていいんだろうか。

こう考えると、ブログのドラマ記事に頭を悩ますことに疑問が生じるし、キー

ボードに向かう手も動かなくなってしまう。

でも、とりあえず無理やり書き進めてみることにしよう。書けるかどうか、自

信がないけど。。。

   

あらすじを超簡単に。イモコ探しに疲れてるシンノスケ(藤木直人)のもとに、

追い討ちをかけるように、イモコから手を引けというアキコ(三浦理恵子)

脅迫電話。それでも、ついに有力情報をゲット。可愛いコだけど名前でイジ

メられて、2年前の夏に東京の「なんとか」っていう高校に転校したらしい。

それを聞いたシンノスケがやって来たのは、「南都下」高校。全くの勘違い

だし、「なんとか」じゃなく「みなみつげ」と読むんだけど、たまたまそこは

キ(戸田恵梨香)、シズカ(佐津川愛美)、スミレ(奈津子)の高校だった。

シンノスケを追い払うために、サキが自分で名簿を調べようとしてる時、実

は生徒会長がリカ(岩佐真悠子)だと判明。超優等生とギャルを要領よく二

股かけてるリカは、サキの要領の悪さをけなすが、サキはそんなリカに反

発。でも、教頭先生はリカだけを可愛がり、サキをゴミ扱いしてた。エンゼル

ハートにも行かなくなってるサキは、全く居場所がない状況。

そんな中、ジェロニモ(古田新太)がシンノスケを元気付けるために、「よみ

がえり」というチョコレートっぽい食べ物を5粒送って来た。大切なものなの

に、こっそり2粒ずつ食べてしまったサキと一ノ瀬(佐藤隆太)。体調の異変

に気づいたサキに、シンノスケは、もう今日一日の命だと宣告。残された僅

かな時間、やりたい事が多すぎて何をすべきか選べないサキを見て、シン

ノスケは土に埋めてしまう。そのまま大地に帰れという意味。そこへ助けに

来たのが、大切な模試を受けてる最中のリカ。『パラパラ4』の収録をすっ

ぽかして模試を優先するつもりだったけど、サキと共に、大切な今日という

日をパラパラに使うことを選択、収録会場へと急ぐ。

最後の1粒の「よみがえり」を食べたシンノスケの手助けもあって、ギリギリ

間に合った2人は、メンバーに土下座して出場。ナギサ(新垣結衣)、ユリカ

(矢口真里)と共に、制服姿のままでパラパラ。

結局、練習不足は隠せなかったサキだが、最後の一日を有意義に過ごす

ことができた。そこへシンノスケが来て、「よみがえり」は単なる栄養剤、just

a joke!♪と告げる。さらに、中心メンバーのレミ(鈴木えみ)、ナギサ、ラン

(西田奈津美)が告げた事実が、サキに追い討ちをかけた。実は、リーダー

代理に選んだのは単なるあみだくじの結果。しかも、もうシオリが帰って来

るから、サキの代理役は終了とのこと。

そしてラスト。再びシンノスケに脅迫電話がかかるが、電話の向こうで女2

人が争ってる様子。バシッ。「干渉しない約束でしょ!」 「イモコ・・」。よう

やくイモコにたどり着いたようだ。正体はレミだったのか?。。。

   

今回は、前回に続く後編って感じの回だから、まとめて考えてみよう。既

前回、次のように書いておいた。・・・一ノ瀬が、他人の影響で奪われそ

うになった場所を自分で取り戻したのに対して、サキは、他人の影響で押

し付けらた場所を持て余し、困惑してる所。どちらも、自分の場所に他人

が関わって来る点においては同じだけど、サキについては、来週の「後編」

を見た上で考えることにしよう。押し付けられた場所を自分で引き受け直し、

結局上手くいかないから返上するけど満足感だけはしっかり残る。こんな

展開がキレイだと思うし、シオリや他のメンバーの立場にも配慮したものだ

と思うけど、果たしてどうか・・・

   

まず、予想がほぼ当たってたことには大きく頷いた。ハズれたのは、返上

するんじゃなくて取り上げられたって点だけ。サキが引き受け直すのは、

教訓青春コメディーとして当然だし、満足感・達成感や、そこから生じる新

たな意欲も当然のこと。そして、上手くいかないのも当たり前だ。元々下手

なパラパラが、ロクに練習せずに上手くなるはずはない。もし上手くなって

たり、リーダー代理を上手くこなしたりしてたら、逆にサキだけが浮いた存

在になってしまう。あくまで、「みんなでやるからパラパラ、みんながいるから

エンゼルハート♪」のはず。

   

次に、一ノ瀬とサキの比較についての補足。一ノ瀬の場合、警官をやりたいっ

て自分の希望は元々あった。それが、周囲との関係でグラついてたから、シン

ノスケと父親が支えて、元の「場所」に戻したって話。

ところがサキの場合、まだ16歳ってこともあって、元々自分の希望が定まって

なかった。そこへ、シズカからエンゼルハートへの誘いがあり、レミからはリー

ダー代理とパラパラ4代表の役割が与えられた。自分から望んだ「場所」じゃ

ないし、不安定な年頃でもあるから、一ノ瀬の時より難しいのは当たり前。

     

そこでシンノスケは、サキが「よみがえり」をつまみ食いしたのを利用して、今

日一日限りの命っていう状況を与えた。もちろん、普通に考えるとバカバカし

い話で、教頭先生も相手にしてない。でも、サキは女の子。占い、迷信、心理

ゲームとかを、根拠なんて気にせずに信じてしまうのがフツーだし、今は追い

込まれた状況だから尚更だ。また、栄養ドリンクを2本飲むと変な感じになる

のは事実だから、2粒食べたサキが自分の変調に驚くのは理解できる。さら

に止めを刺したのが、サキの食べカスをシンノスケが水溜りに落とした時の、

ブクプクとした異様な泡。スロー再生しても見えないけど、食べカスにしては

「ドボン」とやたら大きな音がしてるから、シンノスケが何か発泡剤のような物

を落として小細工したと考えるのが自然。したがって、今日一日限りの命っ

て話をサキが信じたのは、それほど不自然なことでもない。

    

それでもまだ、やるべき事を選べないサキを見たシンノスケは、さらに土に

埋めた。これには二つの意味がある。まず、死んで土に帰るのをサキに実

感させること。もう一つは、前回、一ノ瀬を境内に縛り付けたのと同じこと。

つまり、思い通りに生きられない状況を与えることで、思い通りに生きること

の重要性、自分で何かを選びとる自由の大切さを教えたわけ。

    

もし今回、この程度の考察で止めるんなら、ここでシンノスケの台詞でも引

用して、終わりにしていく所だろう。

 「今を大切に生きること、とても尊い」

 「何も選べず、自分をゴミだと言っていたお前は死んだ。そして今、お前は

  生まれ変わった。人生のタイムリミットを感じて、選ぶことができた。人生

  は今日の積み重ね。いつも、今日一日だけと思えば、大事なもの選ぶこ

  とができる」

   

でも、実はここからが核心部分。「こうしてシンノスケの活躍によって、サキと

リカは自分のやりたい事を選びとることができた」なんて話で終わらせる訳

にはいかない。考えるべきポイントは二つある。一つは、シンノスケの活躍

のおかげなのかって点。もう一つは、自分のやりたい事だったのかって点。

この二つは、密接にリンクする話だ。

   

結論を先に書いてしまおう。サキとリカは、「お互い助け合って」、「一緒にや

りたい事」を選びとったのだ。思い出してみよう。サキは、土に埋められても

「オッサン! 出せよ!」と叫んでただけ。そこへ、模試を捨てたリカがやっ

て来て助け始め、シンノスケは微笑んでその様子を見守る。つまり、土に埋

めるより重要な事が起きたのだ。それは、仲間と一緒になること、一緒に何

かを選びとることだ。

サキは文字通りリカに「引っ張られて」、パラパラを選んだ。まさに「みんなで

やるからパラパラ、みんながいるからエンゼルハート」を選んだわけだ。そし

てリカは、サキの言葉に影響されて、またサキを助けるために、模試を捨て

て校庭に飛び出した。実は、この点こそ、サキと一ノ瀬の最大の違い、少女

と大人の違いだろう。

少女は一般に、仲間と共に行動しようとする。これを見た大人は、もっと自

分ってものを持て、一人じゃ何もできないのか、としばしば口にしたがる。で

も、これは大人の視点にすぎない。つまり、少女にとってはウソなのだ。

を中心にして生きることと、仲間を中心にして生きること。それぞれ長所と

所を持つ、二つの対等な生き方にすぎない。ただ、少女のフツーと大人の

ツーが違うだけ。少女は大人に言い返すことだってできるはず。「一緒に何

かをやる仲間もいないのか」、と。

    

『ギャルサー』は、大人のカウボーイ一人と少女のサークルが向き合う物語。

大人はインディアンも警官も基本的に一人で行動するけど、少女は集団で

行動する。大人の方が多少頭が回るし口も達者だから、大人が説教する形

にはなってる。でも改めて考えると、シンノスケやジェロニモが、人に上から

説教するほどの人生を送ってるわけでもない。かなり適当だしメチャクチャだ。

だから、すごく大きな視点で見渡すなら、このドラマは教訓青春コメディなんか

じゃない。むしろ、大人と少女の対等で貴重な出会いを描くコメディだろう。。。

    

もう時間がない。最後に、最初の問題に戻って、とりあえずの考えを書き留

めておこう。今日一日限りの命なら、今ここでドラマ記事を書いてるかどうか

分からないし、書くべきかどうかも分からない。ただ、書いてる可能性はある

し、書くべきなのかも知れない。

と言うのも、少なくとも今の私にとって、自分の考えを一番広く大勢の人に伝

える場は、ブログのドラマ記事、特に『ギャルサー』だ。しかも、好き嫌いや良

し悪しはともかく、この記事は私にしか書けない。だとしたら、金にも名誉に

もならず、乾いた雑巾を絞るみたいに必死で言葉を搾り出すこの作業こそ、

自分がこの世に生きた証として一番ふさわしいんじゃないだろうか。ましてや、

実際は今日死ぬ可能性はかなり低いんだから、ここでこうして自分の発言の

場をさらに築き上げていくことは、とても貴重なことじゃないだろうか。。

   

一日限りの命という仮定で選びとることが、その時点で一番大切なことだと

は限らない。仮定そのものが非現実的だし、単なる一時的な心地よさに身

をゆだねてしまう可能性だって大きい。だから、シンノスケは別に「正しい」

ことをした訳じゃないし、サキとリカが「正しい」判断をしたかどうかも分から

ない。それでもやはり、真正面から命と向き合い、全力でどこかへ進もうと

試みる彼らの姿は感動的だ♪ なぜなら、自分もそうありたいと願ってるし、

そのパワーを与えてもらえるから。。では、また来週☆ ご静聴、どうも <(_ _)>   

   

P.S.今回のジェロニモの教訓は次の通り。

      「人生というのは、ブーメランに似ている。受け止める勇気のない

       まま投げてしまえば、永遠にその楽しさを得ることはできぬ。

       また調子こいて、2ついっぺんに投げちゃえば、2ついっぺんに

       戻って来て、ちょっと危ない、ちょっとあわてる、ちょっと憂鬱」

    何かをやる際には、その結果を自分で受け止める勇気が必要なのは

    確かだ。でも、今回の物語とはイマイチ結びつきが弱いし、説得力も

    不足。だから、シンノスケに突っ込まれて逆ギレするハメになってた。。

   

P.S.2 牛に使う投げ縄でサキを捕まえるって話は、第1話でサキが牛の

      メアリーに似てると言ってた台詞とつながってる。また、リカが妙に

      サキを可愛がると共に要領が悪いと言ってた話も、リカだけやや

      極端な外見のギャルなのも、今回で謎が解けた。相変わらず緻密

      な構成だ♪

   

P.S.3 商店街の話は、全体とうまく溶け合っていない。今回に限らず、こ

      のドラマの「玉にキズ」的な部分が、商店街の扱いだ。ま、全体に

      影響はないからいいけどネ。。

   

cf.破天荒な痛快青春コメディー~『ギャルサー』第1話

   走り続けろ、進之助!~『ギャルサー』第2話

   命のつながりへの感謝~『ギャルサー』第3話

   ウソが導いた本当の自分~『ギャルサー』第4話

   他人と気持ちよく生きること~『ギャルサー』第5話

   みんながいるからエンゼルハート♪~『ギャルサー』第6話

   自分の場所、他人とのつながり~『ギャルサー』第7話

   表面と中身、どちらも私~『ギャルサー』第9話

   Open the door!~『ギャルサー』第10話

   感謝すべき遭遇、時空を超えた銀河~『ギャルサー』最終回

    ・・・・・・・・・・・・

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   『ギャルサー ビジュアルブック』購入☆

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コメント

テンメイさん、こんにちは!
相変わらず、深いレビューですね~。
今回はシンノスケのジョークというオチだったけど、
その間の注目点は多かったですよね。
まあ、テンメイさんの視点には及びませんでしたが。

面白さの中に大きなテーマがありますね。
このドラマってある種真面目過ぎるドラマのような?

投稿: ads(あず) | 2006年6月 5日 (月) 23時55分

>ads(あず)さん

こんばんは。
いつも励まして頂き、感謝してます<(_ _)>
今回、確かに注目点がたくさんあったんですが、
ウチらしく(?)重い話題を中心に据えました。
ホント、記事が書きにくくて大苦戦。。
いつもは書き終えた後に何度か読み直して、チョコ
チョコ手を加えるんですが、今回は読み直す気にも
ならない状況でした。(^_^;)
まあ、一応の形は出来てるようで、一安心って所です。。
このドラマは、野ブタと同じで、毎回ハッキリした
メッセージを送ってますね。ヴァリエーションをつけて。
ものすごく真面目なドラマだと思います。
ただ、真面目「過ぎる」のか、「素晴らしく」真面目
なのかは、見る人の受け止め方によるでしょう。
もちろん僕は、この素晴らしい真面目さを絶賛します!☆

投稿: テンメイ | 2006年6月 6日 (火) 05時07分

こんばんは!
遅くなってしまいましたが遊びにきました。
今週はUPしないでしまったのですが、さすがテンメイさんはすばらしい。

>死んで土に帰るのをサキに実感させること。もう一つは、前回、一ノ瀬を境内に縛り付けたのと同じこと。
あの、土のシーンが恵梨香ちゃんにとってかわいそうでしたのでかなり印象に残りましたが、こういう意味があったのね。
毎回自由を奪うシーンがでるので後者は納得ですが、なるほど、死ぬということを使って土に返ることを暗示させていたの。深いですね。

もう明後日にはまた次の便がきちゃうわね。
また楽しみにしてます・・もし挫折しても遊びに来ますから(笑)

投稿: かりん | 2006年6月 8日 (木) 20時59分

>かりんさん

こんばんは♪ 遊びに来て頂き、嬉しいです☆
サキを土に埋める時もインパクトがありましたが、
そこからリカが助け出す様子をシンノスケが笑顔で
眺めてるシーンが最高でした!
まるで、サキとリカが手をつなぐのを待ってたみたいで、
これしかないって感じの素晴らしい展開。
さすが『ギャルサー』のスタッフは分かってらっしゃる♪
ひょっとすると、編集の担当者が抜群なのかも。。
それはともかく、「挫折」ってそちらの事かな?
山Pの記事ばっか書いてるから、時間もパワーも
無くなるんでしょ! ママ、溺愛しすぎ!(^_^;)
それとも、ウチの挫折? あり得なくはないかも。。

投稿: テンメイ | 2006年6月 9日 (金) 00時53分

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