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一瞬の輝きの果てに~『クロサギ』第10話

今でこそ言うけど、このドラマ、実は初回の15分くらいですぐチャンネルを

変えたくなった。我慢したのは、春ドラマの紹介記事でイチオシにしてたか

らって事情が大きい。その後もしばらくは、期待ハズレの落胆を抱えつつ、

ブログの記事のためにひたすら我慢の連続。ところが中盤から、視聴率低

下に逆行するかのように、徐々に評価が上昇。今では終わってしまうのが

残念な気もしてる。あと1回か。。

   

ドラマの出来がよくなってる点については今までの記事でも書いてきたけ

ど、長く見続けることで愛着がわくものっていうのもある。例えば、黒崎の

「バーン」。『野ブタ』以来の懐かしさはあるものの、他局のシリアスな社会

派的ドラマってこともあって、違和感もあった。でも今回、ガチャガチャで

取ったピストルのおもちゃを子供にあげて「バーン」と言わせた辺り、凄く

可愛い変奏的演出だった。また、いつの間にかギャグっぽい感じになって

「声がでかい!」って台詞を、意味もなくテレホン・オペレーターに投げか

けてたのもニヤッと出来た。山Pがいずれ別のドラマに出た時には、是非

意味もなく「声がでかい!」と言って欲しいもんだ♪ あと、「何と!」って

台詞もいい感じ。ちなみに、山下に特別な感情を抱いたわけじゃないので

念のため。氷柱や早瀬なら話は別だけど・・♪

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まず、あらすじを簡単に。桂木(山崎努)黒崎(山下智久)に、内職詐欺の

被害者・水野可南子(松居直美)を紹介する。シロサギは江守公子(いしだあ

ゆみ)で、自らの通販会社のDM宛名書きのバイトを相手に紹介、専用キット

を高額で売りつけ、マージンで払う契約のバイト代も、注文が来なかったとウ

ソを言って払わず、さらに上客の名簿を売りつける手口。

黒崎は名簿屋になりすまし、江守に安値で偽の名簿を販売。ただしマージン

をもらう契約。そして、可南子に再び内職を申し込ませ、偽の名簿を受け取

らせる。江守はまた、注文がほとんど無かったと黒崎と可南子に言ってマー

ジンをごまかすが、可南子はDMにこっそり自分への注文連絡用ハガキを

同封してたので、返信されてきたハガキを証拠として江守に突きつける。黒

崎も、そのハガキの差出人が自分の売った名簿の名前だと言い、江守を追

及。結局、詐欺で訴えると2人で脅かして2000万ゲット。さらに偽の注文で

高額の商品を騙し取った上、神志名(哀川翔)にチクッて江守を逮捕させた。

一方、神志名は早瀬(奥貫薫)と桂木の関係を調査。早瀬の父が好きだった

赤いバラを桂木が毎月供えてたこと、行方不明になった早瀬の母はかつて

桂木の女で、桂木のもとから逃げ出して料理人である父と一緒になったこと

を、早瀬に話す。母と桂木の過去を知った早瀬が「桂」に戻ると、桂木は倒

れてた。何とか一命を取り留めた桂木は、フランチャイズ開業詐欺の御木本

(岸部シロー)、つまり黒崎の家庭を崩壊させたシロサギと何やら密談。どう

やら、人生最後のゲームを楽しんでるようだ。可南子の夫は、御木本のかつ

ての部下の春日に騙されて仕返しをしようとして刑務所入りしてる。黒崎が、

江守→水野(妻)→水野(夫)→春日→御木本→GOALと進む様子を楽しむ

桂木。気づいた黒崎は激怒するが、神志名らが逮捕状を持って迫ってきた。

かつて財団融資詐欺で逮捕された新川波江(杉田かおる)が捜査に協力し

たようだ。

そしてラスト。パトカーや警察の到着を、心配そうに見つめる氷柱(堀北真

希)ゆかり(市川由衣)。黒崎はついに逮捕されてしまうのか。。。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まずはお約束の詐欺について。前回の記事の最後に、「時間が足りないは

ずなのに、また来週も通信販売詐欺なんてものをやるらしい」と書いた。で

も、今回の詐欺の話は色んな意味で良かったと思う。今までで一番かも。

詐欺そのものの手口や描写が良かったわけじゃなくて、ドラマ全体の中での

使い方が良かった。

まず、今回の内職詐欺は、黒崎の父が引っかかったフランチャイズ開業詐

欺と本質的に同じものになってる。つまり、仕事を与える代わりだと言って先

に金を巻き上げる手口。そして、可南子の夫がフランチャイズ詐欺に引っか

かって逮捕されてるって設定は、不自然だけど巧妙だ。黒崎を憎き御木本

の所までゴールさせる仕掛けで、桂木が作った「宝探しゲーム」って言うより、

スタッフが作った巧みなエンディング・ゲームって感じ。遊びだと思うと不自然

さもさほど気にならなくなる。

また、適度なヒネリが利いてたのもいい。可南子は、自分も夫も似たような

手口に引っかかってるのに、子供みたいな詐欺師が「美味しいバイトの話が

あるんだけど」とか甘い誘いをかけるとまたOKしてた。ここは、黒崎を正義

の味方だと思ってるとワクワクしながら微笑む所かも知れないけど、単なるク

ロ詐欺だと思うと、「また引っかかるのかよ!」と突っ込みながら苦笑する所。

こう書くと、考えすぎだと思う人もいるだろうから、補足しとこう。可南子がバ

イトとしてクロ詐欺に参加、電話の応対を上手くやってのけた直後、周りの

アルバイト達は「素晴らしい!」と口々に褒め称えて拍手してた。実はこれ、

詐欺的な商法でよく使われる手口。商品や相手をホメる短い言葉を大声で

連呼したり、恥ずかしいくらい大騒ぎしたり。おまけに、あのアルバイト達は

かなり怪しい連中だった。仕事せずに国際電話したり、友達と単なるおしゃ

べりをしたり。以上の事から、ストーリー的には黒崎に助けてもらってる可

南子が、再び詐欺に引っかかったかのように描かれてるのは明らかだ。こ

うした詐欺の使い方は、なかなか高度だし教訓的で、評価に値する♪

あと、いしだあゆみと松居直美の演技も良かった。いしだは上手くて笑え

たし、松居もバカだけど憎めない女性を好演してた。。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

続いて、終焉の表現について。

 「お父さん、いつ帰ってくるの?」

 「もう少しよ。お仕事が終わったらね」

黒崎がじっと聞いていた、可南子と子供のやり取り。明らかに、クロ詐欺と

いう生き方と、『クロサギ』というドラマの終焉を予告するものだ。「仕事」が

終われば、家族みんなの幸せな生活に戻れる。あるいは、不幸な詐欺事

件にケリをつけて、幸せだった家族の思い出を胸に生きていける。家族以

外の人との新たな幸せに向かうことも可能になるだろう。。

  

そしてもう一つ、氷柱の花火。美しく儚いものの象徴として、花火ほどふさ

わしいものはない。お母さんが送ってくれた花火を可愛い女子大生が夜一

人で楽しむって設定はかなり苦しいし、黒崎の言葉を借りれば「ちょっと痛

いコ」(CIK)だ。でも、一瞬の暗い輝きを放ったクロ詐欺と、1クールだけの

きらめきを終えようとしてる『クロサギ』を象徴しつつ、新たな幸せの方向も

指し示していた。暴発する花火で無邪気にハシャぐ黒崎と氷柱。前回示さ

れてたように、幸せなんて大げさなもんじゃなくて、好きな人とキレイなもの

を楽しむ、一緒に笑う、一緒に美味しいものを食べる。そういった些細な事

の積み重ねだ。もっと言えば、無限の時空の中では人生全体が一瞬の花火

みたいなもの。花火は桂木の死を暗示してるのかも知れないし、各視聴者

の人生をもかすかに表現してたのかも知れない。。

   

いずれにせよ、ラストに逮捕状が出て、予告編に「逃避行」なんてテロップが

出た以上、原作や続編の話はさておき、今クールのドラマにひとまず終焉が

訪れることは確定した。単なる美少年詐欺師のクロ詐欺を描くヒーロー物語

じゃなくて、不幸なクロサギの誕生から終焉までを描く成長物語ってことにな

る。全く自然な流れで、満足だ♪

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後に早瀬。赤いバラの謎解きはあっけなさ過ぎるけど、桂木との関係は

意表を突くものだったし、奥貫の演技が素晴らしかった♪ かなり難しい演

技だったと思うのに、切なさと愛情と妖艶さが融合した女の表情を見事に

表してた。寝込んだ桂木が寒いと言った時なんて、抱き締めるのかと思って

ドキドキしてしまったほど。。(^^ゞ やっぱ、まだまだ全然OK♪

一方の桂木。これも複雑な話になった。大切な女をたった一人の友達に奪

われて、しかも自分がらみのトラブルでその友達を失い、女も行方不明になっ

てたとは。。前回の海とか水遊びってのは、親代わりとして幼い頃から早瀬を

育てたってことの表現だったのかな。来週、実は早瀬が桂木の娘だって話が

出てもおかしくはない。どうせ原作にはない話なんだから。。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と言う訳で、いよいよ最終回。予告編で黒崎は「元気でね。吉川氷柱さん」

か言ってたけど、別れと見せかけて結ばれるってのはよくある話。逃げると

いっても、御木本や桂木との決着が残ってるはずだから、そう簡単なことじゃ

ない。もう時間が足りないはずだから、せめて黒崎と桂木と氷柱の3人をきっ

ちり描いて欲しいと思う。

クロ詐欺を卒業してどこか遠くで地道な人生を歩むのか、逮捕されるのか、

いずれにせよ黒崎がクロ詐欺を止めて一般社会に戻るのが自然だ。さらに

言うなら、氷柱や神志名のことを考えても、やっぱり逮捕される方が自然だ

と思う。その方が杉田かおるも喜ぶでしょ♪

果たして、結末はいかに。。ではまた、来週・・☆彡

      

P.S.堀北真希の手作り料理、手編みのセーター、手作りケーキ、全然OK!

    奥貫でも市川由衣でも、もちろん一般の女性でも・・♪

            

cf.「野ブタ」彰と信子の再会~『クロサギ』第1話

   詐欺師2人の騙し合い~『クロサギ』第2話

   あなたはそれで幸せなの?~『クロサギ』第3話

   憎悪による束縛~『クロサギ』第4話

   お帰り♪~『クロサギ』第5話

   鏡像への攻撃と執着~『クロサギ』第6話

   不条理に揺れる生~『クロサギ』第7話

   二重の敗北から終焉へ~『クロサギ』第8話

   幸せに生きるということ~『クロサギ』第9話

   遠い夜明け~『クロサギ』最終回

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コメント

いやー面白くなってきましたね!!ほんと最後まで見て良かった!!あと1回なんておしい!!早瀬さんが桂木の娘は自分も思ってしまいました!!行方不明のお母さんが心配!!しかし最後にまた杉田さんが出てくるとは・・・!!

投稿: お気楽 | 2006年6月17日 (土) 10時38分

>お気楽さん

こんにちは。コメントどうもです♪
努力がやっと報われたって感じですよネ。
このドラマ、早瀬と桂木をメインにして、
サブストーリーの特別編が作れそう。。
杉田かおるには意表を突かれました!
来週も何かやらかしてくれそうな予感・・(^^)

投稿: テンメイ | 2006年6月17日 (土) 14時29分

テンメイさん、こんばんは!
テンメイさんも感じられたんですね今週のクロサギ、ストーリーが面白くなってると思います。
山P目線で今まで来たけれど今週は純粋にストーリーも楽しめた気がします。レビューはあんまり変わってないけど(苦笑)

早瀬の事情がわかったのが大きかったかな?今まで桂木との関係が不明だったのが急に明るくなってしかも感情をむき出しにする早瀬に驚きだったりします。
確かに色香がにじむかも?

ここまで来てクロサギやめてまともな生活に戻れるとも思えないのですけど・・。逮捕か死ならば自然ですが。
P日記によるとかなりサプライズが待ってるとのこと。
制作側も視聴者を騙すと明言しています。
>別れと見せかけて結ばれるってのはよくある話。
確かに可能性ありますね・・。
どっちにしても、余韻を残して次を予感させる終わり方を希望します・・切実に・・お願い!

投稿: かりん | 2006年6月17日 (土) 21時21分

こんばんは。
おいらも「声がでかい!」と「何と!」はお気に入りのセリフでした♪
特に「声がでかい!」の言い方と口の動きに嵌ってました。
もう終わっちゃうんですね。
一番のお気に入りのドラマだけに何だか寂しいな~(*^-^*)
ひとつ気になるのが杉田かおるさんが言っていた「黒崎なんて知らない」というセリフです。
来週の金曜日が早く来ないかな♪

投稿: いのきち | 2006年6月17日 (土) 21時49分

>かりんさん

こんばんは♪
レビューは思いっきし普段通りでしたよ!(^^)
早く山Pもフライデーされないかな。
奥貫が相手とかね。外野としては面白い♪
サプライズ、視聴者を騙す、ウーン。。
騙すと明言して実は騙さないってのが究極の騙しかも♪
どうせ、クロサギの余韻なんて残らなくても、
美しい息子2人を応援してれば幸せなんでしょ、ママ☆
 
>いのきちさん

こんばんは♪
「声がでかい!」の口の動き! そりゃまたマニアックですね。。
「黒崎なんて知らない」っていうのは、一回逮捕された後で
杉田かおるが態度を変えて、起訴不能で釈放されるって事かも。
来週の金曜はまだ来てほしくないなぁ。記事がしんどくて・・(^^ゞ

投稿: テンメイ | 2006年6月17日 (土) 23時52分

お久しぶりです。
こんばんは!

いよいよ、次回は最終回ですねー。
5分拡大では、短すぎて
描ききれないのでは?と
素人の私は、心配してますが(笑)

黒崎がどうなるか?
新川の登場にも、度肝を抜かれたので
結末の運びが楽しみです!

韓ドラも見てるので
記事書きが遅いですが(苦笑)
最後まで、よろしくです!

投稿: ルル | 2006年6月18日 (日) 20時11分

>ルルさん

こんばんは。TB&コメントどうもです♪
お久しぶりですね。
ちょっとユニークなブログだったんで覚えてました。
何かチョコチョコ笑えるって感じ(^^)
5分拡大ってのはセコイですよね。
素人の僕も大いに心配してますよ。
杉田かおる、来週神志名を裏切るのかな?
そのおかげで黒崎が命拾いするとか。
まあ、僕は逮捕が自然だと思いますけど。。
ともかく、制作サイドのお手並み拝見ってことで、
こちらこそ宜しくです☆

投稿: テンメイ | 2006年6月19日 (月) 00時49分

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