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格差拡大の深刻な実態~NHK『ワーキングプア』

放送終了後15分、まだ目に涙が浮かんでる。。強烈なインパクトだった。。

   

「格差」という言葉が流行り始めたのは、「デジタル・デバイド」あたりから

じゃなかっただろうか。今、私はパソコンを使ってブログの記事を打ってい

る。5年前に買ったトラブルだらけのパソコンだけど、一応動くし、それなり

に使いこなしてる。ネットもADSLで高速常時接続だ。これを「当たり前」と

思ってはいけない。日本の中でもこうゆう状況にない人達が大勢いるし、

ましてや世界的には恐ろしく恵まれたデジタル環境にいる。デジタル化が

進む一方の社会において、本人の能力も含めたデジタル関連の格差(デ

ジタル・デバイド)が広がっており、それがさらに人間の格差を拡大・再生

産する。。そうゆう話が流行ったのは6,7年前くらいだろうか。。

   

そして今、格差という言葉は遥かに広くて重要な意味で使われるようになっ

た。所得格差、教育格差、生活格差、地域格差、等々。競争原理の重要性

ばかりが強調され、勝ち組ばかりが華々しく注目される中、日本社会はとん

でもない状況になっている。

   

新聞その他で話はそれなりに知ってるつもりになってたが、やはりテレビの

ドキュメンタリーのインパクトは強烈だった。今日のテーマは「ワーキングプ

ア」。聞き慣れない言葉だが、働く貧困層のこと。引きこもりとかニートの話

とは違って、実際に働いてるのに恐ろしく貧しい人達が急増している。驚い

たことに、全世帯のおよそ1割の400万世帯ほどが、働いてるのに生活保

護水準以下の収入だという。。

   

番組では様々な貧困の実態が丹念に映し出された。NHKだから、余計な

BGMもコメンテーターもなし。ひたすら、さまざまな格差の実態から映し出さ

れる。その中でも3つ強烈なインパクトを受けたものがあった。

   

まず、地方のさびれた街の年老いた仕立て屋さん。昔は流行ってた店だが、

驚いたことに、今年4月までの総収入が1万円程度だという。。1食100円

~200円の食事で頑張る姿を見るだけでも辛かったが、アルツハイマーで

入院してる奥さんがいる話になった時には、不謹慎ながらも思わず苦笑いし

てしまった。ほとんどブラックジョークの世界だ。入院費で年金が消えてしまう

が、生活保護は受けない。なぜなら、生活保護を受けるためには、奥さんの

葬式に備えた貯えの100万円が邪魔だから。。

      

2つ目は、子供のころ親に養育放棄されてしまって、その後ホームレスになっ

てる30代の男性。もちろん、そんな事をしてしまった親自体がそうとう下の世

界にいたと思われるが、そうゆう家庭に生まれて来た子供が、やがてゴミ箱

から雑誌を数冊拾って1冊50円で売って生活する状況に陥ってるのは、何と

も切なすぎる話だ。格差は家庭を通じて次世代に引き継がれてしまう。ホー

ムレスというのは、多摩川を自転車で走る時も、近所の公園でランニングす

る時にも見かける身近な存在なので、何ともやり切れない感じを受けた。。

   

そして、3つ目。思わず涙ぐんでしまったのは、親が養育放棄したり虐待し

たりした子供を預かっている養育施設の映像。そこでいきなり、「Happy 

Birthday♪」が歌われたのだ。こんな状況で、生まれて来て良かったね、と

笑顔で歌えるものなのか。。冷静に振り返れば、過剰な演出のようにも感

じられるけど、見てる時のインパクトは強烈だった。そして、あらためて自分

の親に感謝した。不満は色々あったけど、少なくとも養育拒否も虐待もされ

てないし、それなりに立派な後姿も子供の目に焼き付けてくれたから。。

   

最後に、どうすべきかという話について。確か5月末の『クローズアップ現代』

だったと思うが、経団連会長を退任する直前のトヨタ会長・奥田氏が登場。

財界総理とまで呼ばれる奥田氏は、国谷裕子キャスターが格差に関する

質問をした時、そんなのは気の持ちようだという意味の返答をした。つまり、

下の階層にいても気の持ちようで幸せなんだという考え。それは違うんじゃ

ないかと食い下がる国谷に対しても、奥田氏は同じ答を繰り返した。

   

社会のトップにいる強大な権力者がこうゆう意識を持ってる限り、見通しは

暗いだろう。政治家はともかく、少なくとも財界の上層部は考えを改めるべ

きだ。単に経済原理で考えても、格差社会の深刻化は自社にとって損だと

いう認識が必要なのだ。例えば、下の階層が拡大して不安も広がると、長

い目で見た時に高い車や趣味的な車が売れなくなるだろう。実際、最近は

軽自動車とか実用性とか燃費ばかりがもてはやされている。アメリカの自動

車業界が衰退したおかげで絶好調だからといって、トップがこの程度の狭く

て浅い認識の持ち主である限り、先は見えてるだろう。。

   

ほんの僅かでも情報発信能力を持ってる者として、こうゆう非常に重要な

問題について発言するのはほとんど義務だと思い、硬派な記事を書いてみ

た。ドラマ記事やスポーツ記事だけじゃなく、こうゆう記事を読んで下さる方

が増えると嬉しいと思う。そのことが、格差是正へのささやかな一歩にもな

る。そのためにも、まず自分がこういった問題について書くべきだろう。。 

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コメント

遅ればせながら、この記事にレスさせてもらいます。

私が思うに、、、「資源ごみ」だけではなく、人材も「リサイクルの時代」が来るべきなのではないかと。

もちろん、被雇用者側も「自分に出来る事」を自らの手で見つける必要はあると思いますが、やはり、雇われて何ぼの労働者ですから、雇用者側が最初から「ゴミ」と決め付けてしまったら、その人は有用な人材ではなくなってしまうのですよね?

でもきっと、「ゴミ人間」の烙印を推されてしまった人の中にも、まだまだ資源となりうるエネルギーは眠っているはずで、それを社会に還元していくのも、雇用者の重要な責任なのではないでしょうかね?。

投稿: 「千葉の日本画家」 | 2006年7月26日 (水) 00時18分

>千葉の日本画家さん

こんばんは♪
資源も人材も、リサイクルは重要だと思います。
そもそも、世の中に「ゴミ」なんてないんですよね。
  
ただ、リサイクルのための仕事の確保とか、そもそもの
リストラを緩和することとか考えると、やはり
適切かつ十分な仕事を社会全体で産み出す必要があるでしょう。
そのためには、経済に関する意識変革も重要でしょう。
   
リストラや機械化を進めてコストカットして、短期的に
企業の利益を増やす。でも、最終需要を担う消費者は結局
人間しかいない。そこに余裕が無くなると、中長期的には
企業にとっても不利益だし、マクロ的にも経済が収縮してしまう。
トップの方々には、こうゆう大局的な視野を持って欲しいものです。。

投稿: テンメイ | 2006年7月26日 (水) 03時44分

テンメイ様、おはようございます。
コメント&TB返しありがとうございました。
人間も動物ですから、
盛者必衰の理があるわけです。
老いた熊は餌を取るのもままならず、
テリトリーも奪われ、
やがて死に至ります。
熊はおそらくそれをみじめと思わないのですが、
人は思うのですね。
ひきこもりやニートの問題、
さらには少子化の問題まで
すべてこの「みじめに思う」気持ちが関係している
と考えます。
格差社会を捉えそこなうリーダーたち。
しかし、国民を餓死させて
核兵器を作るしかないリーダーにくらべれば
「みじめに思う」気持ちが軽くなるのは仕方ない。
そうでないと彼らが「自分をみじめに」感じますから。
たぶん、彼らの言う気持ちの問題はそういう意味なのでは?
キッドはこの手の問題でいたたまれない気分になると
このサイトを見ることにしています。

http://arkot.com/jinkou/

ま、たくさんいるから大丈夫かな・・・と。
66億6千万になる日はチェックしたいものだ。
そんな風にふと思う今日この頃です。

投稿: キッド | 2006年10月16日 (月) 08時02分

>キッドさん

こんばんは。
「路地裏」でもお会いできて光栄です♪

そちらの記事(特に小文字)を読んでても思いましたが、
言葉の意味の微妙なズレを巧みに活用する方ですネ。
「みじめに思う」という言葉に含まれる、
人間の本性的な意味と、人間の価値的な意味との僅かなズレ。

「みじめに思う」少なからずの人達を見ても何とも思わない
自分の姿を見て、さほど「みじめに思わない」上層部の連中。
第三者的にみれば何ともみじめな姿です。
できればそのみじめさを教えてあげて、そこに甘んじる事の
ないようにする、そうゆう動きが欲しい所です。

「世界の人口」、面白いサイトですね。
刻々と増え続ける人口カウンターが強烈です。
確かに「戦争なんかしている場合ではありません」。
でも、どうしても対立して、やがて争いにつなげてしまう、
これもまた人間なんですよね。。

路地裏の世界でも、また宜しく♪

投稿: テンメイ | 2006年10月17日 (火) 00時29分

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なんか、見てるうちに吐き気がしてきた。 新聞の紙面を飾る「小泉改革」だの「景気回復」だのという文字は何なんだ!? これが社会の真の姿なのかと。 まるでマトリックスでモーフィアスに案内されたネオのような状態だ。  \Welcome to the real world.\ 東京で、住む家も借りられずその日暮らしをする30代の男性。 過疎化が進んだ商店街で洋服の仕立て屋を営む男性。 農業だけでは生活していけない農家の家族。 男手ひとつで2児を育てる50歳の男性。... [続きを読む]

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