自然に曲がった子供の魅力~『サプリ』第2話
「つか」は前置詞でも助詞でもなくて接続詞だろ!とでも突っ込む所から始め
よう。そんな事どうでもいいんだけど、何か苛立つ。八つ当たりしたくなる。。
このドラマ、放送開始前に思ってたよりはイイ。映像が全般的にキレイだし、
音楽もまずまず。そこそこの心地良さや面白さはあるし、人物設定にも厚み
がある。セリフも悪くはない。でも、見終わった後で何だかむなしい。。
これは必ずしもドラマの欠点じゃないのかも知れない。ドラマなんて適当に
見て軽く楽しんでおしまいってのがフツーだろうし、見終わった後はまたすぐ
別の番組や他の娯楽に向かえばいい。今回なら、すぐTBS系列にチャンネ
ルを変えた人も結構いただろう。ただ、これでマジメに記事を書こうとしてる
立場から言うと、そんな価値や中身があるのかって気が少ししてしまう。
その一方で,価値や中身なんてものは与えられなくても創り出せばいいって
思いももちろんある。だから、苛立ちの一部は自分の無能さに向けられてる
んだろう。
ま、こうゆうウダウダした文章は度々書いてるので、ウチの常連さんなら笑っ
て聞き流してくれるだろうと信じてる。「また始まったよ♪」って感じで。。(^^ゞ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、そうゆう訳でって言うか、メイン・ストーリーにあんまし興味を持てないの
で、あらすじは省略。華やかな職場で活躍してる美人OLが年下のイケメン2
人にモテる話なんて、正直勘弁して欲しい。ここでは、「全体」の流れを追うよ
り、ちょっと興味をもった「部分」について触れてみよう。
まず、ミナミ(伊東美咲)と荻原(瑛太)の会話について考えてみよう。
「いつも口当たりのいい事ばかり言って、上手く立ち回って、ウソも平気で。
・・・そんなんでいい仕事してるって言える?」
「藤井さんは、正攻法の人なんですね。真っ直ぐ仕事して、真っ直ぐ恋愛し
て、いいと思います。・・・でも、寂しくないですか? 真っ直ぐって、人をは
じくから。曲がったり、策を練ったり、技を使ったり。そうゆうの罪じゃない
と思います。もっと正攻法以外を身に着けるべきです」
いま仮に、真っ直ぐの線を紙に引くとしよう。そこに描かれた線は、実際には
真っ直ぐじゃなくて、多少曲がってるはずだ。その点を他人に指摘されると、
今度はもっと力を入れて真っ直ぐ引こうとするだろう。それでも、よく見るとやっ
ぱり曲がった線だ。。
ここから2つの事に気付く。まず、真っ直ぐっていうのは厳密には不可能だっ
てこと。また、不可能な真っ直ぐをできるだけ追求しようとすると、力が入るっ
てことだ。この力はいい意味では「努力」ってやつで、ある程度は必要だし、
いい結果をもたらすこともある。一方、その力は自分を疲れさせるし、真っ直
ぐでない他人をはじき飛ばすことにもつながる。特に、何が真っ直ぐかって基
準が人それぞれ微妙に違うので、2つの真っ直ぐはしばしば衝突する。。
ミナミの真っ直ぐさは、今回の仕事において、荻原やスタイリストを始めとす
る他のスタッフをはじきかねなかった。それは「寂しい」ことかも知れないが、
悪いこととは限らない。たまたま今回は、香月ミカ(相沢紗世)の鶴の一声も
あって、「曲げた」方法が上手くいったけど、「真っ直ぐ」の方が良かった可能
性も十分あった。
また、ミナミが真っ直ぐで荻原が曲がってるとは必ずしも言えない。実際、ミ
ナミは主張を曲げたし、荻原は自分の意見を真っ直ぐ押し通した。一時的に
は、荻原がミナミをはじいたことになる。
さらに、「曲がってる」ことと「曲げる」ことの違いも指摘しとこう。大なり小なり、
誰でも曲がってる。でも、荻原がやってるのは意図的に曲げること。真っ直ぐ
に比べるとラクかも知れないけど、かなり疲れるのは間違いない。色んなリス
クもある。信用を失ったり、誤解されたり、真っ直ぐを忘れてしまったり。だか
らこそ、ミズホ(りょう)の「そのままでいいのに」っていう言葉が荻原の心をつ
かんだんだろう。そのままとは、一般的に言うと、自然に少し曲がってる状態
のことだ。古今東西ありふれてるこの言葉が上手く働くためには、色んな条
件が必要だってことは言うまでもない。
また、おそらく最も自然に曲がってるのが勇也(亀梨和也)なんだろう。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう時間がないけど、大人と子供について、少しだけ。今岡(佐藤浩市)は勇
也にこう言った。
「悪くなくても謝るのが大人、悪いと思っても謝れないのが子供だ。どっちが
いいのかは分かんない。どっちも間違ってるかも知れない。ただな、どっち
にしても、後で後悔するのは自分なんだぜ」
よく聞く話で、シャープだし結構正しい基準だとは思う。ただ、もしかすると「些
細な事で謝るのが大人、大切な事で謝るのが子供」なのかも知れない。
なるほど今岡は、社会人としてあちこちで頭を下げてるだろう。けれども、決
定的な所では謝らなかった。それは、娘のなつき(志田未来)に「半人前の仕
事をして、一人前の要求をしない」と言った瞬間のこと。ここは当然、「ゴメン。
言い過ぎた」と謝った後、「よし、久々にピアノでも弾いてみるか」とフォローす
べき所だ。父親として半人前の仕事しかしてない今岡に、一人前の説教をす
る資格はない。
ところが実際には、沈黙の後で出た言葉は「なつきさぁ、おばあちゃんとこ行
くか?」だった。母親は仕事で一人海外へ、預かった父親は実家に娘をタラ
イ回しにして若い部下に夢中。「当番表」にしたがって勇也が焼きうどん作っ
てくれたくらいじゃ、娘は辛すぎる。なつきの悲しげな表情が目に焼きついて
しまった。。
一方、大人が良くて子供が悪いなんて単純な話じゃないのも当然の事。実際、
色んな意味で子供の勇也に、ユリ(浅見れいな)は魅力を感じてた。
結局、自然に曲がった子供である所が勇也の魅力の核心かも知れない。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
という訳で、もう時間切れ。マズイ。。唐突だけど、また来週☆彡
でも、この調子じゃ再来週あたりは危ないかも。。
P.S.勇也を一家の大黒柱にした所とか、荻原をイヤな奴からイイ奴にした
所とか、かなり不自然だった。無理やり「曲げた」って感じ。。
P.S.2 個人的には、悪くなくても謝れる、でも、そんな事態にならないよう
にあらかじめ諸々の配慮をする、そんな大人になりたいと思う。。
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コメント
テンメイさん こんにちは!
冒頭のジレンマ何かテンメイさんらしくていいね。
そのウダウダが聞きたいの、私は。
だって、フツウの感想は他の人がやってるじゃん(笑)
なので、ウダウダして下さい(^^)
>自然に曲がってるのが勇也(亀梨和也)
なるほどね。。。なるほどね。
ちなみに私は自然で真っ直ぐで、意図的に時々曲げるけど
曲がれなくてぶつかる(笑)聞いてないって?ハイハイ。
音楽と映像は心地よくていい台詞もあるんだけど
なんかインパクトに欠けるかなぁ。。。
途中、眠くなっちゃうし、どうしても見たいと思わせる
何かがないかも。
でも、私は今後に期待してレビューするけんど。
テンメイさんはヤバそうだね(笑)
投稿: アンナ | 2006年7月18日 (火) 09時45分
こんにちは。
2度目のコメントです。
テンメイさんのウダウダが結構ツボです(笑)
ところで、「サプリ」今期一番期待していたのに残念です。
「野ブタ」の深いセリフと亀梨クンの切なくて繊細な演技に毎回魅了され続けていた私には「亀梨クン、なんでこんな作品に出ちゃったのよ~?」が正直な感想です。
でもテンメイさんの語りが読みたいのでどうかこのドラマ見続けて下さいな(笑)
投稿: k | 2006年7月18日 (火) 17時56分
どもです。
ちなみに、わたしも、ウダウダがいいと思いました(笑)
私は絵描きの端くれとして、直線と曲線の話はツボでした。
実際絵の中に描く「直線」の話ですが、、、私なりに色々と試行錯誤はありまして、、、やはり最初の頃は、手描きでまっすぐの線を引き事を努力しましたね、、、それを過ぎると直線自体を否定するように敢えて線に抑揚をつけるようになった時期もあって、、、そして最近は、定規で引いたほうがキレイだったら定規使えばいいじゃん!って、、、(笑)
まあ、ある意味手抜きを覚えた訳ですが、、、翻せば、手段よりも目的を大切にするようになったのかな?って気もします♪
投稿: ムラタヒロキ | 2006年7月18日 (火) 18時22分
事後承諾的に、リンク張らせていただきます♪
宜しくどうぞ!
投稿: ムラタヒロキ | 2006年7月18日 (火) 18時26分
>アンナさん
いいコだね~、アンナちゃん♪
自然で真っ直ぐで、意図的に時々曲げるけど
曲がれなくてぶつかる・・・なるほど。。
聞いてるよ♪ わりと近いかも。嬉しくない?(^^)
ホント、インパクトないんだよなぁ。
でも、ウダウダでいいんなら、もうしばらく書こうかな♪
>kさん
ご無沙汰です。再びコメントどうも♪
ウダウダが結構ツボですかネ。
開き直るのもなんですが・・(^^ゞ
野ブタとは比べ物にならないドラマですが、
ま、ありがたいお言葉もかけて頂いたし、
もうしばらく好き勝手にウダウダ書きますか。。
>ムラタヒロキさん
どうも♪ 直線と曲線の話がツボでしたか。
嬉しいです。さすが、芸術家☆
上のコメント全体が人文系っぽくて、全く偶然の
出会いなのに、意外と似た者同士かも知れませんね。
手段と目的、難しい問題ですが、手段というのは
プロセス(過程)の一要素であって、これを
抜きにしては人間の営みは語れないと思ってます。
人生はプロセスにしか意味がありませんから。。
こちらもリンク張らせて頂きました。
今後とも宜しくお願いします。
投稿: テンメイ | 2006年7月18日 (火) 22時55分
テンメイさん、ウダウダが大好評で良かったですね!
私へのオススメかも…ということでしたので今回見てみました。後から考えると、音楽がどこのシーンで使われていたのか全く記憶にないのです。どうも私は、細かいところで自分の世界に入っちゃったみたいで…例えば、「そのキャッチコピーはどうよ??」(ああ職業病~)とか…。亀梨君が、宝塚月組男役トップの瀬奈じゅん(素顔)に似てると思ったら、最後まで瀬奈じゅんとして脳内変換されちゃって亀梨君が女の子に見えてしまった。(uu;)、多分この先もこのクセは治らないかも(苦笑)でも、企画職の雰囲気が懐かしいから、これからも見ようかな♪(ちなみに瀬奈ファンに話したら、サプリの亀梨君は品がなくてイヤだと…)
それから「結婚できない男」は、当分さえない阿部ちゃんをみなければいけないのかなあ~と思うとなんだか悲しくもあり。ジャックニコルソン主演の映画「恋愛小説家」とすごくダブってしまって…。この映画結構好きなんですど。。。。こっちは阿部ちゃんがジャックニコルソンと脳内変換されるのを出来れば阻止したいんですけどね…笑(+。+)
皆さんの深みのあるコメントの後に、かる~い&長い感想で失礼しました。
投稿: トマト | 2006年7月19日 (水) 01時33分
う~む、深いですね~♪
「プロセス」ですよ。うんうん。
そう、思って昨日の自分の書き込みを思うと、「目的の為には手段を選ばない」って、言い換えられちゃいますよね~♪
ただまあ、そう言っちゃうと、明らかに「言わんとした事」とは、ニュアンスは違ってきてしまう訳ですが、、、。
その辺をも少し掘り下げ手考えると、「手段と目的」の、「目的」をどう捉えるか?で、180度視点が変わってくるかもしれませんね!
例えば、同じ「旅をする」でも、「目的地に到着する」事が目的の人と、「風景を見る」のが目的の人といますものね?。
そういう意味では、私が手で直線を書こうとしていたときには、目的地を目指して「線を書こう」としていたんだと思います。
でも、それが、風景を見る「絵を描こう」という目的に変わったので、そのための「手段」には拘りがなくなったのかもしれませんね~。。。
投稿: ムラタヒロキ@改め「千葉の日本画家」 | 2006年7月19日 (水) 04時53分
>トマトさん
音楽だけでなく、メイン・ストーリーも簡単に忘れてしまい
そうな、癒し系環境ビデオとでも言うべきドラマでしょう。
その意味で、視聴者の「サプリ」にはなってるかも。。
宝塚! 出た~・・全く縁のない世界で、出身女優を
テレビで見る程度ですが、女性は結構好きですネ。。
「結婚できない男」は今週もクスクス笑いましたよ♪
>千葉の日本画家さん
どうも。凄い名前に改めましたネ♪
非常に興味深いコメントで、私自身ならこう考えます。
・・・風景を見る「絵を描こう」という目的に変わったと
言うより、むしろ「風景画の完成」が主たる目的になったので、
絵を描くというプロセス的行為の重要性が薄れた。それが
直線を書く手段へのこだわりの無さへとつながった・・・
釈迦に説法、失礼しました。。
投稿: テンメイ | 2006年7月20日 (木) 03時45分
テンメイさん お久しぶり。
ちょっと来ないうちに少し変わりましたね。
(実は体調くずしてたのです。)
好きだなあテンメイ節。
これからも楽しみにしてますわ。
でもね、
今期のドラマなんだか小粒じゃありません?
ああ、野ブタに熱くなったころがなつかしい。
投稿: 海苔 | 2006年7月21日 (金) 23時15分
>海苔さん
どうも、ご無沙汰です♪
そろそろコメントくださるんじゃないかと思ってました。
体調はもう大丈夫なんでしょうか。ご自愛ください。。
少なくともウチの場合、『野ブタ』ファンがやっぱり
『サプリ』に流れてるようですね。
『クロサギ』にも流れてたし、同じ土9の『ギャルサー』にも多少。
確かに、サプリはもちろん、今期は全部小粒かも。
『タイヨウ』には一応期待してるんですけど、苦しいかな。。
昔からの常連さんに「変わりましたね」なんて
言われると、ドキッとしますよ。
それってドラマだと、女のコが昔好きだった人に
会ってガッカリした時に使うセリフですよネ(^^ゞ
自分で気付く点と言えば、文字の色(色自体と使い方)、
文章の区切り方、軽~い記事の一部導入くらいかな。
あと、コメントくださる方の名前が変わってますけど。
ドラマ自体はともかく、今週のサプリとかタイヨウとか、
テンメイ節炸裂だと思ってますけど、如何ですかね(^^)
ではまた。お大事に。。
投稿: テンメイ | 2006年7月22日 (土) 06時35分