自分のために、誰かのために~『タイヨウのうた』第4話
「さぁ、モモレンジャー! お前が来ないと揃わない。」
「薫隊員!」
アカレンジャー=孝治(山田孝之)とキレンジャー=晴男(濱田岳)の呼びか
けのバカバカしさに笑ってしまった薫(沢尻エリカ)は、遂にモモレンジャー
に変身して登場した。「ホント、バッカみたい」と言いつつも、モモ色の防護服
に守られたその顔は嬉しそうだ♪
第2話、第3話とパッとしなかったものの、今回は良かった! 何と言っても、
最後の秘密戦隊ゴレンジャーのアイデアが素晴らしかった。意表を突くし、
笑いがある。ゴレンジャーなんて、スポーツドリンクのパロディCM(ちょっと
だけ萌えた♪)を思い出す程度だから、早速ネットでチェック。30年も前か
ら今に至るまで続く、スーパー戦隊全30(?)シリーズの記念すべき最初
だったのか。発案者の晴男はキレンジャー役に不満そうだったけど、なる
ほどキレンジャーってのは5人の中で「一番ダメダメな奴」だったようだ。
そして、中心はアカレンジャー。だから孝治がやってた訳。主題歌の歌詞
もピッタリ出来てる。
「真っ赤な太陽 仮面にうけて 願いはひとつ 青い空・・・・・・
五つの力を 一つに合わせて 叫べ勝利の おたけびを♪」
いやいや、勉強になった。今後、何の役に立つのか分かんないけど・・♪
『タイヨウのうた』を単なる平凡な難病美少女ものにしないためのポイントは、
「うた」と笑いにあるって話は何度も書いて来たけど、今回は両方がうまく機
能していた。他の笑いにも触れておこう。まず、冒頭で孝治が薫を思い出す
シーン。「同情でもしに来た? そういうの凄い迷惑。だからもう来ないで」。
この重いシーンで、孝治は毎度おなじみタコさんウィンナーを焼いてて、深刻
な顔の真下にはトボけたタコさんの顔が映ってた。こうゆう細かい演出はちゃ
んと評価したいもんだ。あと、晴男が明け方に目覚めた途端、「悪い奴らは許
さない!」と叫んだのも笑える伏線として上手かったし、子供の前でのゴレン
ジャーのポーズもニヤッと出来たし、アオレンジャー=隆介(川村陽介)がちゃっ
かり子供のお母さんをナンパしようとしてたのもイイ。そこへ美咲(佐藤めぐみ)
が唐突に現れて激怒するってのも、お約束すぎて笑えた。
ところで、この美咲がイイ♪ 前からイイなと思ってたけど、今回でますます
ハッキリした。バカっぽくてイケメン大好きな明るさ、人なつっこさ、周囲への
気配りと、美咲のキャラはポジティブな面ばかりが目立つ。それに加えて、実
は佐藤めぐみはかなりルックスもいいし、演技も上手い。薫の誕生パーティー
で薫より先に料理を食べる所なんてのも、さりげなくいい味出してた。沢尻エ
リカの隣だから脇役になっちゃってるけど、美咲も全然OK!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、今週は時間がないのであらすじは3行で。要するに、うたと孝治から身
を遠ざけて自分のカラに閉じこもってしまった薫が、みんなの支えで立ち直り、
大勢の観客を集めて笑顔でストリートライブを再開したっていう、いいお話。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の記事のタイトルには、見覚えのある方もいらっしゃるだろう。昨年末の
『野ブタ』最終回の記事は、「誰かのために、自分のために」と題して書いた。
それをもじって逆順にしたってわけ。この逆順は意味がある。と言うのも、『野
ブタ』は最終回だけでなく全編を通じても、誰かのために生きることが自分の
ためにもなる、という構図が強調されていた。例えば、野ブタをプロデュース
することが自分をプロデュースすることにつながってたわけだ。ところが、今
回の『タイヨウ』は逆に、自分のために生きることが誰かのためになる、とい
う構図になってる。
具体的に見てみよう。まず、孝治の台詞。
「もったいないよ。うたやめんの。才能あんのにもったいない。もし、
歌あきらめんのがオレのせいだったら、オレ一生後悔すると思うか
ら、そうゆうのイヤだからさ。だから毎朝来るよ」
「オレはオレのやりたいようにやるからさ。ほっといてくれ」
薫や仲間への言葉にハッキリ表れてるように、良し悪しはともかく、孝治は
自分を中心に生きる傾向が強い。そもそも、もし薫を中心に考えてたら、あ
の状況でいきなり、不運の象徴である防護服のプレゼントなんてできないは
ずだ。薫が防護服を来て太陽のもとに出ることは、薫の父・謙(勝村政信)の
希望でもあった。だから、孝治の帰り際にこう言ってた。「君の作ってくれた防
護服、僕は、凄く嬉しかった」。嬉しかったのは「僕」であって、薫ではない。
実際、薫は2人に激怒して、皮肉まじりにこう言ってた。
「ありがとう。こんなに同情してくれて。・・・お父さんも、あなたも何なの。
折角うたやめるって決めたのに、あきらめるなっつったり、こんなもの
作ったりして。あたしの人生でしょ。あたしが決める。あたしが決めたん
だから、もうこれでいいの。これ以上もう踏み込まないで」
この辺り、辛い状況の薫が一人でいじけてると見た人が多いかも知れないけ
ど、少なくとも今の世の中、「あなたのためを思って・・」なんて感じの態度は、
最も嫌われるものの一つのはずだ。
さらに言えば、余計な干渉や「同情」に激怒して折角の誕生パーティーを台無
しにした薫も、まず何より自分のために生きてる。そもそも、彼女が孝治から
身を遠ざけた理由は何だったか。
「これ以上好きになったら、私どんどん弱くなる。ずっと生きたいと思っちゃ
うよ。かなわない夢、見ちゃうから」
つまり、自分を守るためなのだ。この辺り、『野ブタ』を見てた方は考えてみて
欲しい。信子(堀北真希)なら、このセリフはありえない。。
念のために繰り返しておこう。別に「良し悪し」の話をしてるんじゃない。生き
方の「違い」、描き方の違いをしっかり把握しようってだけの話。先週書いた
ように、そもそも私自身まず自分のために生きる人間だし、それを悪い事だ
なんて全く思ってない。
ただ、自分の喜びと他人の喜びがなかなか現実には一致しないという話も
既に先週書いた通り。では、運悪く父や孝治に激怒した薫をフォローしたの
は誰だったか。それが、母・由紀(黒田知永子)と晴男だったってわけ。
由紀は、自室でふとんにくるまった薫に優しく手をかけながら、こう言った。
「ごめんね。薫の病気は薫のせいじゃないのに。ごめんね。自由に恋
もさしてあげられなくて」
ナイスフォローだろう。これは本当の意味で薫のために行った行為だから、
もちろん薫も怒るどころか母の愛に恐縮してた。
一方、晴男の見事なゴレンジャー作戦については最初に書いた通り。浜辺
で拾った貝殻を窓に投げ続ける孝治は薫を引っ張り出せなかったが、「バッ
カみたい」な作戦で笑わせた晴男は薫を引っ張り出せた。ちょっと、「北風と
太陽」の話を思い出す所だし、『ギャルサー』の日本神話も思い出す。引きこ
もった天照大神を引っ張り出す時に神々が何をしたか。外で楽しそうに騒ぐ
ことで自分から出てくるように仕向けたって話だった。。
結局、何が言いたいのか。人間関係というのは複雑だし、事の良し悪しも微妙
だということ。念のためにもう一度だけ言うと、上の説明はもちろん、孝治と謙
が悪くて由紀と晴男が良かった、などと言ってるのではない。孝治&謙と薫の
関係は、「運悪く」「さしあたり」上手くいかなかった。でも、由紀と晴男だけでは
上手くいかなかったのも確か。由紀だけだとあのまま家の手伝いを続けること
になってた可能性が高いし、晴男だけではそもそも相手にされない。ところが、
5人揃って、あるいはミドレンジャー=雄太(田中圭)と隆介も含めて7人揃っ
て初めて全体が上手く行く幸運に恵まれたってこと。
最後の薫の言葉を思い出してみよう。
「あたしは、みんなが聞いてくれるだけで嬉しいよ」
これこそ、自分のためと誰かのためが一致した瞬間、自分の喜びと他人の
喜びが重なった瞬間を示す言葉だ。もちろん、孝治にとっても同じこと。自分
も嬉しいし、救われた感じもする。相手のためにもなってる。
こういったシーンは、見る者を幸せな気分にさせてくれる。ただし、ドラマでさえ
なかなか上手くはいかない。ましてや、現実社会では遥かに困難で、失敗だら
けのはず。だからこそ貴重だし、みんなで努力する価値もあるんだろう。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで今回、麻美(松下奈緒)が一人で不気味な動きをしてた。プロデュー
サーで恋人の洋平(要潤)のゴーストライター計画や、孝治の調査結果を知っ
て、薫に敵意を燃やし始めたんだろうか。名曲『Wish』を歌ってればいいの
に、やっぱりドラマには悪役が必要ってことか。ま、ある意味リアルだけどね。。
では、また来週。。☆彡 (徹夜かよ!・・)
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 福岡・博多で77年間、自転車の流し屋台わらび餅、買ってもらうのがうれしい♪ ~ NHK『ドキュメント72時間』(2024.10.26)
- NHKスペシャル『ジャニー喜多川 "アイドル帝国"の実像』、スタートエンターテイメント出演再開の告知特番(2024.10.22)
- 『雲上を駆ける! 第39回・乗鞍ヒルクライム2024』(NBS長野放送)、YouTube動画で見た感想(2024.09.24)
- やす子24時間マラソンの2日目と「同じ道」を9時間で歩いて「検証」した YouTuber、実際は6割弱の距離(29km)を歩いただけ(2024.09.12)
- 直前の欠場、「パリ五輪は、まだ走れ!っていうメッセージ♪」~カンテレ『前田穂南が走れなかったオリンピック』(TVer動画)(2024.09.06)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 中山美穂54歳急死、浴槽の溺死(ヒートショック)の年齢別死亡者数(厚労省・人口動態調査と消費者庁の分析)&休養7km(2024.12.07)
- 紅白の初出場アーティスト、紅組だけ予習♪&レース後も休みなしで好調、14km走(2024.11.20)
- 山P=山下智久、あの小泉みゆきを渋谷でナンパ♪(『アルジャーノンに花束を』第4話)&荷物ウォーク・プチラン(2024.11.13)
- 国民民主党・玉木雄一郎の不倫相手とされる小泉みゆき39歳、10年ほど前までレースクイーン&私の体重もRQに接近?♪(2024.11.12)
- 「極悪女王」唐田えりか、数年間の試練に耐えて覚醒、いよいよ復活へ♪&7kmラン・8kmウォーク(2024.11.03)
コメント
また徹夜ですか!?
(テンメイさんのブログには、
「充分な睡眠」という言葉が存在しない…)(笑)
アマテラスを引き合いに出してきたところ
なるほど~~~!!
非常に感心しました。
おそれいりましたっ!!m(~~)m
初回見逃して、『Wish』を聞いたことがないので残念です。
投稿: トマト | 2006年8月 5日 (土) 11時18分
こんにちは!
炎天下、走ってるのかしら?熱中症にならないようにね。
自分がまずあって、その後に誰かのためにというテーマでしたか。
どうやって支えになれるかと考えると、その底には相手を思う気持ちが流れているわけで、損得抜きの熱いものが羨ましく見えます。
しかしこの暑いなか息で曇る防護服を着てくれるというのは本当に貴重な仲間です。
これも自分のためにしてくれたとわかってるから本当に外に出たくないのかもしれないのに外に出てみたという薫がよかったですね。子供達の前でポーズを決めたのは最高でした☆
「モモレンジャーお前がこないと揃わない」と窓の外でいうセリフには涙。アマテラスですね~~。
投稿: かりん | 2006年8月 5日 (土) 13時25分
>トマトさん
眠い。。今晩もまだ当分眠れなさそう。。(-_-メ)
アマテラスに感心ですか。
ありがたいけど、ちょっと意外かも。
僕は「あまてらすおおみかみ」と打ち込んで
ちゃんと一発変換されるのに感心しました♪
『Wish』は第2話と第3話にもちょっと
流れてたと思うので、一応耳にしてると思いますよ。
>かりんさん
こんばんは。ご心配どうも♪
熱中症は先日1度なったのでもう大丈夫でしょう(^^ゞ
僕が野ブタ最終回と今回の記事とで言いたかったのは、
「誰かのために」という思いや行為の微妙な彩です。
その彩の中で一番単純なものが、「自分のために」との
相対的優位性だと思います。
分かりにくい記事でしょうが、分かりにくい部分を
相手にしてるのだから、むしろ開き直ってます。
まさにこの記事そのものが、「自分のため」なんですよ♪
「誰かのため」でもありますけど。。
それにしても、仲間っていいですよネ。
かりんさんは非常に魅力的なブログ仲間だと思ってますので、
万が一部屋に閉じこもったりしたら、外から呼びかけます。
「さあ、モモレンジャー! お前が来ないと揃わない。
かりん隊員!」ってネ。何ならキレンジャーにしましょうか?(^o^)
投稿: テンメイ | 2006年8月 6日 (日) 03時09分
テンメイさん こんばんは!
お返事遅くなりました~
美咲がいい!←ワーイ!そこだけ嬉しい(笑)
だって美咲がいい!なんて感想ないんだもん。
こんなにいいキャラないと思っているんだけど。
私は、こんな友達が欲しい。美咲がいい!ホントいい!
自分が何かしてあげているっていう押し付けがましさがなく
でも、薫に何かあると全身全霊で叫び守ろうとする。
私は3話で美咲が大好きになった。テンメイさんより
早い(笑)
投稿: アンナ | 2006年8月 7日 (月) 20時05分
>アンナさん
オー、真面目だねぇ。イイ子、イイ子♪
でも「そこだけ」は思いっきし余計!
せめて「ここが」って書く所でしょ。。(-_-;)
ま、それはともかく、美咲はイイな♪
さり気なく温かくて、ストレートなんだよね。
はじけるような若さと明るさもあるし。
アンナちゃんもチョコッとだけ似てるかも。
口の悪い美咲って感じ(^o^)
ちなみにテンメイさんは第1話から美咲を
評価してたから、日本一早い!(^^)v
投稿: テンメイ | 2006年8月 7日 (月) 21時56分