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目指せエビちゃん♪~NHK『東京カワイイ☆ウォーズ』

日曜夜のNHKスペシャル、『東京カワイイ☆ウォーズ』ファッション編

題して、日本のファッション業界のここ数年の動きを紹介していた(新聞

では『東京〝カワイイ〟戦争』)。ファッションと言っても、もちろん女性ファッ

ション。特に日本では、若い女性のマーケットが非常に勢いを持ってて、

世界的にも珍しい現象のようだ。

         

女性がファッション、化粧、エステなど、ひたすら外見的・表面的なものに

ひかれる状況に対して、一昔前なら顔をしかめた人たち(特に男性or中高

年)が大勢いただろうが、今ではかなり事情が異なって来てるように感じる。

そこには2つ理由があるだろう。まず、結局男性も女性の外見が好きだっ

ていう動かしがたい現実の再確認。もう一つは、外野がどう言おうと、現代

日本の女性、特にF1と呼ばれる20~30代前半女性の勢いは、もう止め

ようが無いという現実だ。こうした現実が嘆かわしいかどうかはともかく、し

ばらく変わりそうもないのなら、その流れに上手く乗ろうとする人達が大勢

出てくるのは自然なことだろう。

             

さて、番組は今年3月に開かれた史上最大級のファッションイベント「東京

ガールズコレクション」から始まる。渋谷に集まった女性は18000人。そ

こで紹介されたのは、有名デザイナーが上流階級向けに作る「モード」

はなく、「リアルクローズ」(real clothes)と総称されるオシャレな普段着。身

にまとうのは、ファッション雑誌等の人気モデル。特にその中でも観客から

「カワイ~イ♪」と注目を浴びてた(とされる)のは、『CanCam』の専属モデ

ルの蛯原友里押切もえだ。

     

エビちゃん、モエちゃんと呼ばれるこの2人、ここ1年くらいでメディアの露出

が急激に増えてるので、もはや若い女性以外にも有名だろう。

確かに、可愛くてスタイルがいいのは認めるし、エビちゃんのアネッサのCM

なんてのは良かった。ただ、正直言ってここまで特別扱いされる理由は分か

らない。間違いなく、10年後の若者の基準では断トツにはならないだろう。実

際エビちゃん自身も、自分の今の人気について「全然ピンと来ない」とかテレ

ビで語ってた。土屋アンナなんて、どんな目でカワイイ先輩を見てるのかね。。

      

いずれにせよ、事実としては確かに、今の彼女たちはブームになってる。だ

からこそ、メディアも飛びついてるわけだけど、今回紹介されてたのは靴下・

ストッキングで有名な福助(番組では名前なし)。3年前に経営破たんした後、

再生の道を歩んでる会社で、前にもNHKで特集を組んでた。ここしばらくの

生足ブームで、ストッキングの売り上げは10年で半減してるそうで、エビちゃ

んの力にすがろうって企画。ポイントは彼女が「カワイイ」と言うかどうかであっ

て、言ってくれればまず確実に売れると担当者は語る。つまり、エビちゃんが

カワイイと言えば、多くの女の子もカワイイと言うってことだ。では、彼女がど

うゆう時に「カワイイ」と言うのかたずねてみると、「直感ですね。自分が欲し

いとか、着たいとか、身に着けたいと 思ったものにカワイイとトキメキます」

とのこと。何のことはない。まさに普段着の言葉だ。これが力を持つって所が

勢いってもんだろう。。

    

その次に紹介されたのは、渋谷109の熾烈な戦争。100を超える店が、毎

日売り上げを公開して、相手の様子をチェックしながら戦ってる。そこでは、

企画から販売までわずか2週間で済ませるスピード(工場がアジアなのに・・)

とか、店舗の頻繁な入れ替え、「プロは必要ない」とか言って専門知識のない

女の子2人(藤田志穂、平野与志美)を前面に出してるブランド展開とかが紹

介されてた。この時代に、毎年売り上げ記録を更新してるという109、まさに

リアルクローズの総本山だ。。

     

109もそうだけど、買い手の女の子の「カワイイ」に合わせて次々に新しいも

のを出す戦略に対しては、全く別の考えもあるし、負の側面もある。

例えば日本モード界の大御所のコシノヒロコは、それではビジネスにはなって

も続かないと語ってた。多くのフツーの買い手じゃなく、選び抜かれた作り手が

時間をかけてファッションを作り上げていくべきだっていう主張だ。確かに一理

あるが、それは今のリアルクローズ界に対する批判にはなってないのかも知

れない。続かなくても短期間で儲けて、また新しい事を始めればいいっていう、

ビジネスライクな思考が十分ありうるからだ。

                 

一方、負の側面として、人気絶頂からわずか10年足らずで全面営業停止に

まで追い込まれてしまったブランドも紹介されてた。加藤保が率いるこのブラ

ンド、ネットで調べると直ちに出てきた。有名なアルバローザだ。まさかそこま

でドン底になってるとは知らなかった。このブランドが再起を目指して手を組ん

だのが、マーチャンダイザー(ブランド・プロデューサー)として実績のある赤松

と、例の東京ガールズコレクションを主催した大浜史太郎。6年前、日本初

の携帯ファッション販売に乗り出したのが大浜で、girlswalker.comなどを

運営するゼイヴェル(Xavel)社長として既にメジャーになってる。彼はガール

ズコレクションのサテライト版をパリのジャパン・エキスポで開くことを企画。そ

れをアルバローザ再生の場とした。あちらのアニメファンやコスプレファンばか

りが目立つ異様な雰囲気のショーで、アルバはわずか5分の紹介だったが、

一応の手ごたえは感じたみたいで、その後の携帯販売もそこそこのスタートに

なったようだ。

   

アルバよりも遥かに規模の大きい負け組もある。それは、欧米はもちろん国

内でも影響力が小さい「東京コレクション」を中心とする、日本のモード界全体。

このままではダメだということで、経済産業省などから15億の補助金が出て、

新たに「日本ファッション・ウイーク」(JFW)というイベントを企画。けれども、

欧米の関心はむしろ東京のリアルクローズにあるので、中心となる太田伸之

(イッセイミヤケ社長)も大浜と手を組もうとしてるようだ。将来的には、東京

コレクションと東京ガールズコレクションを共同開催したいらしい。公平に見

て、これはモードがリアルクローズに白旗を揚げるようなもんだ。こうした動き

を、コシノヒロコらモード界の重鎮はどう感じてるんだろうか。。

      

番組全体を見た時、協力者への気遣いもあってか、かなりポジティブな評価を

感じた。必ずしも反対しないが、気になったのは、金の問題だ。例えば、春と

秋の東京ガールズコレクションでリアルタイムに2000万円の売り上げがあっ

たと紹介されてたものの、経費がいくらかかってるのかは紹介されない。1人

3000円を20000人集めても、6000万。合わせて8000万円の売り上げだ。

スポンサーを考慮するにしても(例えば化粧惑星)、これであれほど大きなイベ

ントがペイするのか、ちょっと気になる。今をときめく大浜が、5年後には加藤

の立場に回ることも十分あり得ることだろう。

       

いずれにせよ、現代日本を中心とするこの動きが、世界の中で今後どう展開

していくのか、注目して行きたい。目を光らせて大浜氏と話してた外資の鋭い

目が印象的だった。。

       

P.S.リアルクローズ全体をカワイイの一言でまとめるのは流石に乱暴で、

例えば朝日新聞9月15日夕刊では、お嬢さん風のキャンキャン系と、ギャル

を大人っぽくしたグラマラス系(おそらくこれも雑誌からの命名)に大別してい

る。見た目がカワイイのは前者で、後者はむしろカッコイイの方がふさわしい

ような気がする。

ただ、若い女性の間で圧倒的に使われてるホメ言葉が「カワイイ」であって、

これを巡って莫大な人・物・金が高速で動いてることだけは確かだろう。

    

P.S.2 朝日夕刊には、面白い話が載っている。第1回、第2回ガールズ

コレクションでは、人気モデルの来た服だけ売れる現象が起きたこと。あと、

第3回来場者の感想として、「服? モデルに夢中で見てなかった」。

こうしてみると、やはりイベント全体の収支報告が気になる所だ。

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