現在から未来へ、あなたと共に~『サプリ』最終回
泣けた。。♪ 2回見て、1回目はエモーショナル、2回目はスタイリッシュに
泣けた。再プレゼンの「WATCHing with you」を見たトキモトの幹部たち
と同様、座ったまま心を込めて拍手!
スタンディング・オベイションまではいかないけど、やはりキミを選んだ目に
狂いは無かったって感じ。タイトルの「伝えたい言葉」も、ちゃんとこっちまで
伝わって来てる。これは間違いなく、大人のための洗練されたドラマだ。。
多分、フツーの映像が終了した時点で、アレッと思った人が結構いるだろう。
何で勇也(亀梨和也)とミナミ(伊藤美咲)が手をつないで都心のオフィス街
を歩いてるのか。これで終わりかよ!とつい突っ込みたくなる所だ。
もしホントにこれで終わりなら相当な減点だけど、まだCM後に僅かな時間
が残ってるはずだ、と思ってたら、やっぱり田舎の海岸シーンに戻った。波
打ち際を2人で歩くシーンが僅かに映って、その後は新番組『のだめカンター
ビレ』の宣伝。まだ物足りないぞ、と思ってたら、最後のスポンサー紹介で再
び波打ち際のシーンになり、15秒ほど映されて終了。まさに、「たった15秒
の出会い」が決定的だった。これで、トータル90点の出来。もしあれが無け
れば、75点くらいまで大幅に評価がダウンするところだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、あのエンディングはどうゆう意味なのか。まさに視線の力が問われる
瞬間、あるいは解釈の自由が広がる瞬間だ。当然こうゆうのは後回し (^^♪
前回書いた「予想」、つまり自然な流れに即して、個々を確認していこう。
まず、なつき(志田未来)、今岡(佐藤浩市)、ヨウコ(白石美帆)に関しては、
ほぼ100点だろう。今岡とヨウコが2人でなっちゃんのピアノ演奏会に行き、
元サヤの関係に。なっちゃんは、今岡たちと深く心を通わせた後、母親のも
とへ向かう。完全に予想通りで、100点は私が取った点と言うより、制作サイ
ドor脚本家・金子ありさが取った点だ。脚本・演出・映像、文句無く上手かった。
最初は、エンジョイ親父・今岡が再プレゼン中、なつきがこっそり資料に書い
てたエンジョイ娘のイラストを見つけた所からスタート。もちろん、このイラスト
は、今岡が書いて渡してたエンジョイ親父のイラストに対応した返信。胸が詰
まった今岡はあわてて急病を装って会議室の外へ。無茶苦茶な話だけど、こ
うゆう箇所はリアリティを求める所じゃない。笑って温かくフィクションを楽しめ
ばいいのだ。
その後、演奏会の舞台脇に駆け込んできた今岡に対して、先生が不審に思っ
た時、なつきが「お父さんです」と繰り返したのもいい。「お父さん」、これこそ
サプリの3人目の主人公なつきの、「伝えたい言葉」だ。ちなみに、先生がキレ
イだったのもイイ♪(関係ないか・・)
さらに、客席で今岡とヨウコが手をつないだ様子を後ろから映し、手の上にな
つきの晴れ姿が浮かんだシーンなんてのも、わざとらしさを吹き飛ばすインパ
クトがあった。このシーンは、後のミナミのプレゼンの映像ともリンクしてて、ま
さにこの辺り、制作サイドの実力誇示だ。ここまででも十分良かったのに、さら
にオマケまであった。演奏会が終わった後、なつきと今岡が2人でピアノを弾
き、客席のヨウコが微笑む。これで100点決定だ!
続いて、荻原(瑛太)とミズホ(りょう)に関する予想について。これも80点には
なるだろう。今さら元サヤになる時間はないので、心を通わせてお終いってこ
とで、この場合はミズホが北京に行かないのだから、例の北京語が使えない
のは当然だ。最初、いい人やってる余裕はないとか言ってた荻原。ミナミとの
食事で、勇也は逃げたんだとか言ってたくせに、最後はそれを自分で撤回。好
きだと伝えに、勇也のもとへ「早く行けよ!」と、ミナミに強い口調で命令。そば
で見てたミズホに「幸せになって欲しいだけです」。ミズホは「いい男になったね」。
これがそのまま、この2人の伝えたい言葉になってる。つまり、荻原はミナミに
「勇也とお幸せに♪」と伝えてるのだし、ミズホは荻原に「別れたのはもったいな
かったかな♪」と伝えてるのだ。今の「荻さま」なら、サントリーのCMに出てきそ
うな中国美人が出迎えてくれることだろう。羨ましいかぎり。。
さらにユリ(浅見れいな)についても見ておくと、これだけは出来が悪くて50点。
さっぱりダメなわけじゃないけど、多くの学校で不合格になる点だ。理由は、1
人だけ可哀相な立場なのに、仕事面の飛躍がなくて、年上で立場も上の社員・
松井(原田あきまさ)による愛のサポートしかなかったから。これじゃまるで、大
昔の女の子のささやかな夢を描くステレオタイプだ。私なら、松井の愛に加えて、
来年の採用試験目指して勉強を再開したユリの姿を最後に5秒ほど挿入する。
これだけで、全然違うはずだ。制作サイドの方、そう思いませんか?応答願い
ます♪(読んでねぇよ!)。ただ、ユリは脇役なので、ここのミスは全体にとって
それほど大きく響くわけでもない。あまり固執せず、いよいよアレに向かおう。。
さて、いよいよ主人公の勇也とミナミ。同じようでも、「ミナミと勇也」ではない。
この2人の上下関係、主従関係が既に入れ替わってることについては、これ
までも書いてきた通り。そして、今回のドラマでも明らかだった。建前上は勇也
がサプリだけど、実質的にはミナミがサプリ、勇也は主食だ。実際、追いかけ
たのはミナミ、大変遅れて好きだと告白したのもミナミ。おまけに、ミナミの土
壇場の告白には荻原の命令が必要だった。一方、勇也はミナミのことを思い
やった(WATCHした)上で、一人で決断・実行し、一人でひたむきに一から出
直してる。どう見ても、勇也の方が上だ。
勇也とミナミについては、一緒になるのは間違いないけど、仕事の処理は難し
くて不明、携帯やゆりかもめやスクランブル交差点が使われればスタイリッシュ、
とか予想しておいた。これは、85点くらいの出来だったか。
勇也が戻るのは変だから、ミナミが追いかけたのは自然。そして、初回と逆に
ミナミが電話をかける。ただし、公衆電話ではなく携帯。ドラマ全体を通じて、公
衆電話と携帯の使い分けはキッチリ行われてる。「遠い」コミュニケーションが
公衆電話、「近い」のが携帯だ。最後にあの距離でわざわざ携帯を使った理由
は、二つ考えられる。一つは初回冒頭とのスタイリッシュな対応の作成。もう一
つは、携帯というメディアの「近さ」についての明示だ。実際、初回は勇也の携
帯がゆりかもめの中で鳴った所からスタートしたのだし、今後の2人の極めて
「近い」関係は携帯を通じたコミュニケーションを中心に行われるのだ。東京
と静岡で、ひょっとしたらTV電話も利用して。
携帯に続いては、肉声の会話。
「1人の方が好きだったの。でも今は、二人の方がいい。
そのくらい、あなたが好き」
「いつかもうちょい働いて、いっちょ前の、大人の男になったらさ、
藤井ミナミを、ミナミのこと迎えに行くから」
と伝え合った。伊東の台詞は上手くなかったけど、再プレゼンが良かったから
差し引きゼロ。要するに、そんなもの無関係だ。その後、山梨以来久し振りの、
パワーアップした「好き好きチュー」。できれば「好き好きエッチ」も見たいもん
だけど、この役者と時間帯じゃ無理な話か♪
さて、この場面でトキモトの広告を描いた看板がバックになってたのはお見事
だった。既に再プレゼンの場で、2人の人間を時計の針に見立てたアイデアに
感心してた所へ、追い討ちをかけるこの演出。抱き合う2人が看板の2人に重
なり、看板の背景が画面の背景の海と溶け合う、素晴らしいシーン♪ クレーン
が上がって、決まったって感じ。一応、クレーンの影が映ってないかチェックした
けど、そんな下らないミスは無かった (^^ゞ
という訳で、いよいよ例の問題に向かおう。あのエンディングは何なのか。2人
で手をつないでオフィス街を歩くシーンは、「100万年」じゃなくて数年先の未来。
ミナミの服装が完全に海岸シーンと違うし、勇也は昔ミナミにプレゼントされた
ネクタイを締めてる。つまり、いっちょ前の大人の男になって、ミナミを迎えに行っ
た後の映像を挿入したのだ。その意味では、「待った」のはミナミなんだけど、
ミナミを走らせた先で勇也が待ってる方が映像的にインパクトがあるし、偉そう
な勇也にミナミが謝る方が、2人の関係の完全な逆転を示すことになる。したがっ
て、あれはあれで問題ない。勇也が差し出した手にミナミが手を重ね、緑の街
路樹の間を仲良く歩いていく。エンディングの曲のラストコーラスと共に、真っ直
ぐな道を進み、最後はカメラが上方にそびえるビルを映し出して、とりあえず終
了。もちろん、真っ直ぐな道とは、大人の道だ。勇也が海岸で語ったように、大
人はすぐに遠くに向かおうとはしない。「ここ」から地道に一歩一歩進んでいくの
が大人だ。ただし、遠くには高い夢がそびえてるってこと。
こういった近未来の大人の2人の姿を、現在の海岸の2人の姿へと挟み込ん
で放映してたのだ。録画してる方は、何ならホントの最後の15秒、海岸の2人
の服装をチェックして欲しい。バッグまで含めて、好き好きチューの時と全く同じ
だ。したがって、これが現在であって、「ここ」から2人で手をつないで、一緒に
(with you)未来へと歩むことになる。挟み込まれた未来予想図が実現する
かどうかは分からないが、今ここでの2人の足取りが確かで軽やかなもので
ある事だけは明らかだろう。
分かりにくさと時間切れ気味な所を除けば、とてもキレイなラストだった☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
残念ながら、そろそろ時間だ。不評に負けず、最後までしっかりした仕事を見
せてくれた制作サイドの皆さん、お疲れさま♪
大人同士は別れ際、黙って相手の健闘を祈るものらしいから、笑顔だけプレ
ゼントして別れよう。マトモな仕事を続ければ、必ず理解者は増えていくはずだ。
WALKing with you! ではまた。。☆彡
P.S.最後のぼやけたビルを、クリエイト・エージェンシーのビルと見ることは
一応可能だ。その少し前に、荻原が見上げたシーンとのリンクもできる。
でも、少し無理があるし、わざとボカして意味の広がりを作ってることを
理解したい所だ。
P.S.2 やっぱり勇也はまだ大人になってなかったのか? いや、そうでは
ない。社会的にはまだ一人前の大人になってないものの、人間的
には既に大人だ。当然、後者の意味の方が重要なのだ。
P.S.3 サーフボードが突然歩き始めたのには爆笑♪ なつきの冷静な対
処も良かった。志田未来は今後も注目しよう。
P.S.4 最後の波打ち際は、少しだけ『ギャルサー』ラストのボトルレターと
似てる。どちらも、時空を超えた世界のつながりを表してるからだ。
P.S.5 ミナミが合気道をやってるって設定の意味にようやく気付いた。近
づく相手をはねのけて自分を守るって姿勢の象徴なわけね。
やっぱりエライぞ、金子ありさ♪
☆ ☆ ☆
亀梨&深キョンの夜エロ~『セカンド・ラブ』第1話
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コメント
テンメイさん、
再度TBさせていただきました。
ほんと場違いなのに(汗
この最終回にどのような感想を持たれたのか
おっかなびっくりで読みました。
読み終えて気持ちが楽になりました。
そしてまたもあたたかいコメント頂きました。
そうか、本当のマラソンランナーのように
心地良く倒れ込む、もアリなんですね・・・。
投稿: いつか | 2006年9月21日 (木) 19時49分
>いつかさん
こんばんは♪
全然、場違いじゃないですよ。
文体がかなり違いますが、思いの強さは同じでしょう。
おっかなびっくりの気持ち、分かります。
自分が大好きなタレントが主演してる作品を
他人がどう見てるのか、気になりますよね。
僕の目には、志の高い洗練された大人の作品に見えます。
大きく全体をとらえれば、部分的な欠点など些細な問題。
極端な感情に流されない全体的視野こそ、大人のものでしょう。
誰もが気軽に楽しめる作品ではないため、
かなり世間的に過小評価されてる分、
ウチでは少し強めにホメてます。
ただ、過大評価したつもりは全くありません。
マラソンで力を尽くして倒れるのは気持ちいいもんですよ。
ご一緒に如何?(^^)
投稿: テンメイ | 2006年9月22日 (金) 00時23分