火花で始まる静寂な花火~『たったひとつの恋』第1話
たとえば 夏の日の花火みたいに忘れられない
たった たったひとつの恋があるとすれば
それはやっぱり 20歳の頃の恋なのかな・・・
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たったひとつの恋とは必ずしも言えないけど、20歳の頃の恋は、いまだに
忘れられない特別なきらめきを保ち続けてる。半ば大人、半ば子供の微妙
な過渡期。お互いがまだまだ幼くて、つまらない誤解や衝突もあるし、未熟
なためらいやとまどいもある。見栄や意地をはることも少なくない。けれども、
そうした不安定な状態の中で、ひたすら相手に向かい続ける気持ちや言葉、
行動には、後で取り戻す事は決してできない爆発的なパワーがみなぎってた。
その意味でなら、あれはやっぱり、たったひとつの恋なのかもしれない。。
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エッ?『セーラー服と機関銃』の記事とノリが違うじゃないかって? まあまあ♪
たまには感傷的にもなるし、詩人にもなるわけよ。いつも制服美少女に萌えた
り、RUN&BIKEで体育会系やったりしてちゃ、人間に奥行きがないでしょ。
海や空を眺めて物思いにふけることもあるし、青春ラブストーリーと共に昔を
懐かしむこともある。これが人間ってもの。。
弘人=ヒロト(亀梨和也)の気持ちや行動は、ホント良く分かるなぁ。。「一緒
にしないで!」っていう亀梨ファンの罵声は、聞こえないフリをしとこう♪
金や地位やブランドなんてものにはツバ吐いてたし、そんなものに群がってる
女なんてのは軽蔑してた。でも、それは決して単なる嫌悪じゃなく、憧れの側
面も持ってた。自分の中に矛盾があるのだ。当然、そうゆう自分に対して苛立
つし、幼さゆえにその苛立ちを他人に向けてしまうこともある。おまけに、弘人
ほどじゃないけど、生活も色々と大変だった。だから、菜緒=ナオ(綾瀬はるか)
や上流社会に対する弘人の屈折した態度は、すごくよく分かる。
それにしても、「上流と下流の恋」ってタイトルや内容は凄い。脚本家の北川悦
吏子、まさか大昔の発想をそのまま持ち込んだわけじゃないだろうから、現代
の格差社会を意識してのことなのかね。先日、ワーキング・プア(働く貧困層)
に関する記事を書いたら予想外のアクセスが来て驚いたけど、景気が上向い
てる今現在も、格差は確実に拡大してるし、人々の関心も高い。もちろん北川
も、そうした事は十分承知してるはずだから、意識したとしても不思議はない。
それとも、もっと一般的に、人と人との「距離」が広がってるように感じる現状
を表してる、一種のたとえ話なんだろうか。。
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少し細かく今回のドラマを見てみよう。物語は横浜を俯瞰する映像からスタート。
エンディング・テーマが流れる最中の映像も同じような映像で、横浜の美しさを
上手く表している。
その後、実家が細々と経営する船の修理工場で働く弘人の姿。記事の冒頭に
引用した台詞が流れる中、弘人の目に火花が映る。夏の日の花火みたいな恋
は、文字通りの火花から始まった。
その後、菜緒との最初の出会いも、違う意味での火花。メバル入りのバケツに
ぶつかってびしょ濡れの菜緒が、親友・裕子=ユウコ(戸田恵梨香)の言葉に
従って渋々「ごめんなさい!!」。弘人もイヤミっぽく「こっちこそ、すみませんで
した!!」。菜緒のキレイな洋服が、弘人との出会いで台無しになったことで、
この先の2人を暗示していた。
最悪の火花で始まった2人が、なぜ急にパーティーで接近するのかは、あまり
描かれてなかったけど、若者の恋の始まりに丁寧な筋書きなんて不要なのか
も知れない。少し接近した2人の距離が一気に縮まるキッカケになったのは、
ビンゴの1等を祝うネズミ花火(おそらくCG)。ここで菜緒が大げさに慌てるの
を用意する伏線として、冒頭のお茶の席が使われてたわけね。同じくCGのア
ブorハチに奇妙なほど菜緒が慌てたシーンが思い出される。演技もストーリー
も演出・映像もかなり不自然だけど、こだわるほどの事でもない。
ネズミ花火に驚いた菜緒がプールに落ちると、弘人は明らかに自分で踏み出
して一緒に落ちる。つまり、今度は逆に弘人が、菜緒との出会いによってビショ
濡れになったわけだ。ただし、菜緒が濡れたのは汚い水、弘人が濡れたのは
キレイな水。この辺りは、流石に上手く作られてる。
ブールのシーンでの独白「僕は 彼女といると 探し物ばかりしてるんだ」が何
を意味してるのかは、今後徐々に明らかになるんだろう。まさか、バッグとコン
タクトを探しておしまい、なんて事はないはず。生き方や自分を探すなんて抽
象的な話だけでもないと思うけどな。。
一気に縮まった関係が突然冷え込んだのは、濡れた服が乾いたかどうか見
に行く途中の弘人が、横濱女学館の女子大生たちの会話を耳にしたから。
最低でも慶応、あとは国立、自分より下はイヤ、愛じゃ何も買えない・・・。そ
の後、仲間のいる部屋に戻った弘人は、同じく軽薄な会話をしてる様子を見
てキレる。弘人が見たのは、上流の女子大生の醜さだけじゃなく、下流の自
分達の醜さだ。身勝手な弘人を怒らない甲=コウ(田中聖)と亜裕太=アユタ
(平岡祐太)は、イイ連中とも言えるし、甘い連中とも言える。かなり演じにくい
役だろうけど、田中も平岡もまずまず無難にこなしてた。
その後、多少の悪意も交えて、ハロウィーンに港が見える丘公園で会う約束。
すっぽかされて傷つくことへの恐れもあって、自分からすっぽかそうとする弘
人に対し、自分にも他人にも正直でウソをつかない菜緒は約束を守って公園
へ。結局、30分以上遅れて弘人も到着。ただし、菜緒は「あなたにもう一度
会いたかった」と正直に言ったのに、弘人は言えない。その代わり、魔女のコ
スプレを隠すためにジャケットを菜緒に貸し、キャンディもあげる。「トリック・オ
ア・トリート」(trick or treat)、お菓子くれなきゃイタズラするよっていう、ハロ
ウィーンの台詞を意識したもの。横浜の美しい夜景を見下ろしながら、いい感
じの2人。ここでまた弘人の独白。
恋の始まりはいつだって赤ちゃんのまばたきみたいに
ささやかで美しいんだ
それがその後 どれほど残酷で苦しい恋に育ってゆくとしても
僕は その運命を 逃れられない
実際、幸福な瞬間はアッと言う間に終わる。クリーニングしたジャケットを持っ
て、弘人が通ってるはずの慶応医学部を訪れた菜緒は、弘人のウソに気付
いて、最後は工場までたどり着く。そして一言、「ウソツキ!」。
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正直言って、前日に続いて想定外のドラマだった。『セーラー服』では意外な
面白さに驚いたけど、今度はあまりの「緩さ」に驚愕。まさか、これほど静か
で地味にゆっくり進むとは思わなかった。まったりとした弛緩。まるで、お茶の
席で映ってた静寂な日本庭園みたいな印象。
これを視聴者がどう捉えたのかはともかく、ブロガーの実力が問われるドラマ
だとは言える。ドラマ記事候補の暫定第2位だったこのドラマ、フツーに考えれ
ばもはや暫定第3位の『セーラー服』より下だし、候補外の『僕の歩く道』にも負
けてるだろう。でも、ウチはフツーじゃない。記事を書くかどうかは、ドラマが面
白いかどうかじゃなく、記事を書く作業が自分にとって刺激的かどうかで決める。
見る楽しさよりも、書く喜び。今回の「静寂さ」を見て、むしろ逆に、このドラマで
どんな記事が書けるのか、自分自身に興味が湧いて来た。もちろん綾瀬はるか
も戸田恵梨香も好きだし、上流階級の女子大生達も嫌いじゃない♪
最終的に残すのは1本の予定だから、月曜の暫定第1位『のだめカンタービレ』
をじっくり見た後で判断しよう。それでは。。☆彡
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P.S.綾瀬はるかは、まだ『白夜行』雪穂のイメージが強烈に残ってるので、
ムスッとした顔はかなり怖い。パーティーでも、シャンパングラスを投げ
つけるのかと思った。
『ナイナイサイズ』のゲストでは、ひたすら可愛いだけだったけどね。。♪
P.S.2 菜緒の兄・達也役の要潤、いい男だけど何か不気味。妹を弘人と
取り合うことになるのかな。あるいは、邪魔するだけなのか。。
P.S.3 弘人の母・亜紀子役の余貴美子。『白夜行』だと一番の善人だった
から、あの姿には驚いた。菜緒に意地悪したりするのかね。。
P.S.4 戸田恵梨香は『ギャルサー』サキのイメージが残ってるけど、今回
は単なるいいコだった。出来ればたまに、懐かしのハイキックとか
見せて欲しいもの。もちろんギャルっぽいミニスカで♪
P.S.5 折角、特別出演で松島トモ子なんて出てるんだから、お茶の席で
何気なく「ミネラル麦茶」の箱を置いとく程度の笑いは欲しかった♪
P.S.6 できれば『エンタの神様』の放映時間を後ろに回して、『たったひとつ
の恋』の直後に『恋のから騒ぎ』を見せてくれると笑えるんだけど♪
☆ ☆ ☆
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コメント
なるほどね。。。
おはよう!朝までかかったんでしょ?(笑)
お疲れさま~♪
でもね、テンメイさんのレビューを読んでいて
いいこと発見!
>見る楽しさよりも、書く喜び
うん、ここの部分わかるな~
面白くてもレビューがサクサク進まないドラマもあるよね。
このドラマはまだ初回なので何とも言えないけど。。。
かなりゆるゆるだったね。
静寂な日本庭園って。。。(笑)
画面全体が暗くて、時の流れが緩くて、これ土9?って
思った。
上流と下流の恋ってのがすごいよね。
障害があればあるほど燃えるんだろうけど。。。
でもさ、見ないと書けないわけで(笑)
最後まで見続けることが出来るのか?今後に注目!(笑)
投稿: アンナ | 2006年10月15日 (日) 09時47分
やっぱり、はるかちゃんは白夜行のイメージが強いですよね!!何か裏がありそうな・・・。早くも嘘がばれた弘人の巻き返しに期待!!
投稿: お気楽 | 2006年10月15日 (日) 12時35分
>アンナちゃん
こんにちは♪ ロクに寝てないから眠い。。
久々に疲れちゃったわ。。
「見る楽しさよりも、書く喜び」、名言でしょ(^^)v
見るのと書くのとじゃ、作業自体も全然違うしネ。。
それにしても、ゆるゆるだった。
シーンとした日本庭園で、時々水の流れで竹の筒が
コーンって音を響かせるって感じ(大げさ?)。
障害、あれに視聴者が共感できるのか、興味深い所。。
さて、このドラマ、今後どうしようかな。
アンナちゃん、すぐ挫けそうだね(^o^)
>お気楽さん
あの雪穂が自分にも他人にも正直な役をやるなんて、
とても素直には受け止められませんよ(^^ゞ
弘人をにらみつけて、何か悪い事やらせそうな感じ♪
ウソつき弘人がどう巻き返すのか、北川の実力を
じっくり見せて頂きましょう☆
投稿: テンメイ | 2006年10月15日 (日) 16時22分
テンメイ様、こんばんは。
ココログフリーはメンテナンスが迫ってきて
一日欠落は必至なので・・・。
皆勤賞狙いのキッドはガッカリしています。
ま、のだめまでは行けるので、
区切りとしては悪くないのですが。
「役者魂!」はやはり別格の運命なのだな。
そーゆー性格のキッドなので
綾瀬の役柄にはすごく共感しています。
これまで
私の胸でお泣きなさい・・・死んじゃうけど。
やったのは私だよ・・・言ったのは福田麻由子だけど。
他、多数の難役を、軽々とこなして
演技力とポカリスェットな魅力で
若手女優存在感ナンバーワン(キッド談)の綾瀬さん。
今回はボランティアなお嬢様なひたむきな病弱な役柄。
わはは。もう、これ以上、複雑にしないでほしい。
来週はお祭り。浴衣は・・・もう季節はずれだから
・・・ないのかな。
できれば・・・あって欲しい。★★。
投稿: キッド | 2006年10月15日 (日) 23時24分
>キッドさん
ガッカリの気持ち、よ~く分かります!
僕も公開以来、1年2ヶ月連続更新中なもんで。
ただし、単に日付が変わってアップしたとか、
メンテナンスの時とかは、平気で後から日付変更してます。
その操作までちゃんと何度も公言してますしね。
ハッキリ言って、1日休むともう止めてしまいたく
なりそうで、ちょっと怖いんですよ。。
綾瀬はるか、演技力だけなら若手女優トップかも。
ただ、お茶の席とバケツ水浴びと、妙に大げさに
嫌がる仕草はかなり引っかかりました。
ギャグにもなってませんしネ。。
でも、ポカリのCMは好きですよ♪
浴衣はドラマの季節には合ってないと思いますが、夏の花火
なんて言ってたから、いずれあるかも知れませんネ☆
投稿: テンメイ | 2006年10月16日 (月) 01時24分
テンメイさん、こんにちは!
足ツボしながら見た無礼者のルルです(^^ゞ
コメントをありがとう!
なるほど~、キレイな水と汚い水。
テンメイさんの視点だと、意外な発見をしますね。
マイナスな評価の方も多いですが(苦笑)
嫌いではないカラーなので
醜くならない限り、書いていくと思います。
ワタシも母子家庭だったので
ヒロトの気持ちがわかる部分もありますし。
あんなに苦労はしてないですが(^^ゞ
専門学校に行く時は
お金のかからない学校を選びましたね。
5人の若者はいい感じですね♪
一人、余ってしまうので追加が欲しいとこですが(笑)
でわでわ~
またよろしくお願いします!
投稿: ルル | 2006年10月16日 (月) 16時03分
>ルルさん
こんばんは!
いくら緩いドラマだからって、
足のツボ押ししながら見ちゃダメでしょ(^_^;)
ワビ・サビの日本庭園的世界を味わう時には、
せめて僕みたいに座禅しながら見ないと!(ウソ♪)
放送直後に予想した通り、イマイチかイマニの世評
みたいですが、ペタとか弘人の性格とか階級差の設定
とかは、見る前から分かってたので何の驚きもありません。
ただ、あの緩さ、静けさ、まったり感は、
ここ最近のドラマだと飛びぬけてますね。
映画なら珍しくないと思いますけど、週末のゴールデンの
ドラマであれだと、チャンネルを変えた人も多かったかも。
僕もブログが無ければ最初の5分で止めてました。。
でも逆に、記事作りは刺激的な感じがします。
独自のレビューを書くにはもってこいの作品かも。。
もう1回じっくり見て、判断しようと思います。
コウだけ余るんじゃ何のヒネリもないし可哀相だから、
もう1人女の子をプラスするとか、技を見せて欲しい所。
北川悦吏子の手腕に期待しましょう。
いずれにせよ、今後ともよろしく♪
投稿: テンメイ | 2006年10月16日 (月) 23時51分
>兄・達也役の要潤、いい男だけど何か不気味。妹を弘人と取り合うことになるのかな。あるいは、邪魔するだけなのか。。
私も思いました。
兄には何か有ると思います。
これから先の、展開非常に気に成ります。
投稿: かっぱ | 2006年10月17日 (火) 21時50分
>かっぱさん
こんばんは。コメントどうもです♪
兄の要潤、どう見てもフツーじゃないですよネ。
菜緒を溺愛してるって感じ。
適度なドロドロなら歓迎しますけど、どうでしょう。
今後の展開が楽しみです☆
投稿: テンメイ | 2006年10月17日 (火) 22時51分