オレンジ色に光るイガイガ~『たったひとつの恋』第2話
あたし、あたし、やっぱりあのオレンジの、欲しい!
さっきの、あのオレンジのイガイガが欲しい!
夏の花火のように、儚くて美しい若者の恋。そのイメージは前回、工場の火花
や、弘人=ヒロト(亀梨和也)と菜緒=ナオ(綾瀬はるか)の衝突=火花へと
変奏されていた。そして今回は、お祭りの夜店にあったオレンジ色のイガイガ
のヨーヨー。この小物使いはすごく上手い! 花火や火花を思わせるオレンジ
は当然として、芸が細かいのはイガイガ。「上流と下流の恋」に付きまとうトゲト
ゲしさだけでなく、輝く火花をも表してるのだから、台詞としては当然、トゲトゲ
じゃなくてイガイガがbetterだ。語感も可愛くて、ベタベタ感をも表してる♪
今回の話のポイントは、明らかにこのイガイガだ。お祭りでヨーヨー釣りを始
める直前、弘人は菜緒にウソついてた事を謝った。「間違って冷たい水に入
れられた角砂糖みたいにかき回してもかき回しても溶けなかった」言葉、菜
緒の「ウソツキ!」って言葉は、弘人の心の底で急激に溶けたことだろう。
一方、もともと菜緒も弘人が気になって仕方ないのだから、これで接近への
道が一気に開けたことになる。
そして決定的だったのは、裕子=ユウコ(戸田恵梨香)がイタズラで邪魔した
せいで、自分が欲しかったイガイガを弘人が落としてしまったシーン。
「お前、何すんだよ!♪」
親しい関係を示す「お前」って言葉を弘人が裕子に向けた時、菜緒は
「心が凍った・・」
水面に広がる波紋に映った菜緒の姿が歪む(上手い演出&映像)。それが
やがて、冒頭に引用した可愛いおねだりへと繋がっていく。(凍ったって台詞
は無くてもよかった・・)
普段なら、付き合ってらんないとか怒るはずの弘人があっさり1人でヨーヨー
釣りに戻ったのを見て、亜裕太=アユタ(平岡祐太)と甲=コウ(田中聖)は
ビックリ。店の人も、また来た弘人にビックリ。この辺りも説明が過剰なのが
気になるけど、余りこだわらない事にしよう。
見事にイガイガを取って来た弘人と、受け取った菜緒の会話はベタベタだ。
「あなたが取ってくれたのだから欲しいんだよ」
「オレも、あんただから取って来たんだけど」
微笑ましいって言うか、聞いてるこっちが赤面するような告白を交わした後、
弘人が後ろに差し出した手を不思議そうに見つめた菜緒が、イガイガを載
せたシーンはすごく可憐だった♪ そして、結局手をつないだ二人。
さらにラスト直前、遥か距離を隔てた「上」の家と「下」の家とで、イガイガは
淡い気持ちを光で通わせると共に、少しだけ菜緒の心にトゲトゲしさももた
らしてた。母・亜紀子(余貴美子)に注意されたため、アッサリ弘人が電話を
切ったからだけど、そんな事でむくれる菜緒がまた可愛い♪ まだちょっと、
白夜行・雪穂の余韻でビクビクしちゃうけどネ。。
弘人が懐中電灯を使ってたのも上手いコントラストだ。生活感のないイガイガ
と、生活感のある懐中電灯。この対比を改めて弘人に思い知らす事になった
のが、ラストの雑誌の記事。セレブな生活を送るスタージュエリーの一家と知っ
た弘人の心には、イガイガorトゲトゲしたものが再び広がって来たことだろう。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上流と下流って言葉が適当かどうかはともかく、諸々の格差ってものは色ん
な形で人間関係に影響を及ぼす。いい例が今回のクリーニングの件だ。菜緒
にとって、一度自分が袖を通したジャケットをクリーニングして返すのは当然
のこと。ただ、弘人にしてみれば、どんな高級なクリーニング店を使ったのか
分からないから、なけなしの1万円をため息混じりで返すハメになる。1万円
は、神崎家の1ヶ月の食費だったかも知れない。喘息の弟の薬代だったかも
知れない。金融業者に返済する金にも困り、従業員のボーナスも2年連続払
えなくて頭を下げる弘人にとって、菜緒のクリーニングはどれだけ「有難迷惑」
だったことだろう。
無粋な話だけど、イガイガを何回かけて取ったのかも気になる所。あの後5回
だとしたら、計7回で2100円。弘人にとってはかなりの出費のはずだ。
もちろん、弘人はそんな事を口にするはずもないし(「秘密」)、菜緒にはそう
ゆう下の生活感覚が分からない。結局、上と下の2人の亀裂は沈黙のうちに
広がっていくことになる。ベタベタは寒々へと変わらざるを得ないし、イガイガ
はトゲトゲへと変わらざるを得ないだろう。。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、土9・亀梨・綾瀬・北川と条件が揃ってるのに、前回は視聴率的に苦戦
してしまった『ひと恋』。個人的にも、ベタなのは分かってた事だし良しとしても、
あまりの緩さと静けさに衝撃を受けてしまった。今週の視聴率が1ケタになって
ても、さほど驚きはない。
ただ、このドラマをつまらないと切り捨てるのも、思い切りベタな態度だろう。
もちろん、ベタだから悪いって話でもないけど、色んなドラマがあっていいとは
思うし、視聴者の側も自分の視線を鍛えることが重要なんじゃないだろうか。
ヴァリエーションとか、深さとか。
少なくとも、受け手と同時に送り手でもあるブロガーとしては、フツーに見て面
白いドラマを面白いと書いてフツーの共感を得るだけじゃなく、フツーに見て
イマイチのドラマに新たな意味や価値を持たせることも大切なんじゃないだろ
うか。見る楽しさより、書く喜び。。な~んて話を、『サプリ』からずっと続けて
るんだけど、まだ知らない人もいるだろうから、もう一度ってことで。
ウケの悪い話なのは承知の上。一部の人に、何かが伝わればそれで十分だ。。
さて今後、かなり伏線が張られたので、色々と想像する楽しみができた。弘人
と野球の話、ヒロトがレン(齋藤隆成)に心臓をやるって話、菜緒の病気の再
発、菜緒の誘拐、菜緒と兄・達也(要潤)との関係(ストーカーとか妄想って言
葉)、菜緒とレンの結び付き、工場の従業員の不満、etc。。
ウチが来週、どのドラマを残してるのかも、乞うご期待♪ それでは。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.亜裕太はともかく、甲の使い方がちょっと苦しい。はずしまくるキャラ
なんだろうけど、キャラ設定そのものが今の所はずしてる。
亜裕太のハーバーカフェは、横浜らしくていい設定。
P.S.2 裕子はいいコ過ぎて気味が悪いほどだけど、「遅ぇよ。もう帰ったよ」
っていう電話のイタズラは、『ギャルサー』サキを思い出させて懐か
しかった♪
P.S.3 菜緒と裕子のWサンタ、最終回でもう一度見れるかな?♪
クリスマス、サンタ、リッチなお店と揃うと、また『白夜行』を思い出し
ちゃうな。まとめ記事をいまだに書いてない負い目のせいか。。(^_^;)
P.S.4 「最初から」でいきなりパーを出すじゃんけんは笑えた。あれは
オリジナルなんだろうか。これから流行ったりして♪
最後の雑誌の片方、『季刊 柿』って名前は単なるギャグなのかね。。
P.S.5 ストーリーに必要な分を少し超えて、お祭りのシーンを映してたのは
良かった。最終回近くでもう1回あってもいいと思う。
☆ ☆ ☆
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コメント
テンメイ様。ようやく、おいつきましたよ。
キッドの妄想では
ネタ会議で
ハロウィンカラー=オレンジ色でそろえたいのよねと神様。
ネタ出しでキャンデーなどが出て
今週はオレンジのイガイガ(例の火の悪魔という説あり)
に決定。
その途中でスピンオフしたのが「柿」だったのでは。
そりゃオレンジ色でなくてカキ色でしょうと神様。
柿にこだわるスタッフが美術発注したのでは・・・。
ピカピカ愛の光通信。
ロミジュリで言うとバルコニーの図なんですが、
距離あるなーっ。さすがは神様のスケールだ。
今回、おばあさまが登場、従業員も増員。
まだまだ登場しないが存在するメンバーがいそうで
それも楽しみです。
要さんに関してはプライベートに関してセリフでクギがさされたのではと妄想しましたぁ。
返す返すも・・・浴衣なかった・・・★★。
投稿: キッド | 2006年10月22日 (日) 07時34分
テンメイさん おはよう!
>無粋な話だけど、イガイガを何回かけて取ったのかも気になる所。あの後5回
だとしたら、計7回で2100円。弘人にとってはかなりの出費のはずだ。
アハハ!すごい分析で思わずのけぞりました(笑)
確かに。。。私はイガイガを釣れた瞬間が見たかった(鬼)
マジ、あれは欲しいので取ってきて~~~♪
でも、まだ貧富の差をさほど感じないし
売りにしている傷害のある恋愛にも思えないし
一番ダメなのがドキドキしないことだね。
恋愛ものはドキドキしてなんぼだから・・・私は。
次回、菜緒と付き合うとかアユタ?が言ってたよね。
キスシーンありそうだし、これから色々あるんだろう
けども。
でもね、鳥肌もんのセリフも演出もクセになってきた。
>ウチが来週、どのドラマを残してるのかも、乞うご期待♪
期待してます♪私は最後まで見続ける!えへ。
投稿: アンナ | 2006年10月22日 (日) 09時07分
しかし、あのイガイガはすごい反響ですね!!ほんと言葉の響きもいいし・・・。自分だったら、取ってやるよって連れてくのになぁと思ってしまいました!!2回目でとれなかったら、きっとおじさんがくれたと思うけど・・・。
投稿: お気楽 | 2006年10月22日 (日) 10時51分
>キッドさん
やっとおいつきましたか。お疲れさまです(^^)
柿の説明、面白いですね。
でも、「カキ色に光るイガイガ」じゃ、
記事のタイトルにはしにくいな♪
火の悪魔説ってのは、アンナちゃん発案なのかな。。
光通信、バルコニーが遠すぎて
ロミオもあそこまでは行けないでしょ。
切ないシーンに感じましたね。。
浴衣、こだわりますね♪
僕はミニスカの方がいいかも・・(^^ゞ
>アンナちゃん
辛口が可愛いアンナちゃんのためなら、取って来て
あげたいんだけど、やっぱキムタクじゃなきゃダメとか
言い出しそうだから止めとこ♪
2100円じゃ取れそうもないしネ(^^ゞ
貧富の差、結構感じるけどね。
クリーニングもそうだし、携帯もそうだし、
もう色々と実害が出てると思うよ。
ちなみに「傷害」じゃなくて「障害」ネ♪
一応、ツッコミ入れとこ。。
ドキドキしなくても、くすぐったいんだからOKでしょ。
鳥肌も快感に変わってきたのかな。
アンナちゃん、そろそろリタイアかと思ってたのに続けるの?
負けたくないなぁ。。。
>お気楽さん
イガイガは大ヒットでしょ。外観も機能も語感もグッド!
お祭りの夜店のヨーヨーってのもいいですネ。
ただ、起死回生とまではいかないかな。
なるほど、可愛い女の子を連れてくと、おじさんも
簡単にオマケしてくれそう・・♪
投稿: テンメイ | 2006年10月22日 (日) 19時14分
テンメイさん、こんにちは!
私と同様、リアル光通信を過去に試されたようで(笑)。
正直、ストーリー展開や雰囲気が緩いんですが、
今回を見てようやく面白みを理解できました。
それは、メインの二人が互いに反発し続けるのではなく、
早い段階で意識し合うようになったからでして・・・。
>ウチが来週、どのドラマを残してるのかも、乞うご期待♪
はいな、期待しています!
投稿: ads(あず) | 2006年10月22日 (日) 23時16分
どうも、こんばんは♪
光通信っていうか鏡通信、懐かしいですネ!
強烈に緩いドラマですけど、それなりに楽しんでます。
緩さへの違和感自体、恥ずかしさ、照れ臭さ、
懐かしさ、などに加えて、世間の冷たさまで(^o^)
どうせなら視聴率1ケタになって、
ドラマ界の話題を独占してほしいもの♪
メインの2人は来週早くもトゲトゲするようですが、
奇数の5人でどうゆうラブストーリーを組み立てるのか、
北川悦吏子の腕も見所です☆
誰があぶれるのかも。。♪
投稿: テンメイ | 2006年10月23日 (月) 04時47分