テレビの視聴率について(下)
先日の記事の続き。朝日新聞11月30日朝刊の『視聴率のふしぎ(上)』と題す
る記事は、一般の人々が視聴率を気にしてるという指摘から始まっている。これ
は確かに「ふしぎ」な事だ。と言うのも、「視聴率は元々、民間テレビ局と広告主
が、テレビCMをどんな価格で何本くらい放映するかを決めるための指標にすぎ
ない」のだから。業界向けデータを一般人が気にするのは、「視聴率の高さが『み
んな見てるんだなあ』という話題性、安心感につながっている」から、と語るのは
日大芸術学部・上滝徹也教授。映画に比べると、テレビの方が話題性の比重が
高いのは確かだろう。また、フジテレビ・亀山千広局長(かつての人気ドラマプロ
デューサー)は、テレビの密室性を指摘する。映画と違って家庭という密室で見
るため、他人の動向が分からないという事だ。
とは言え、視聴者よりも遥かに視聴率を気にしてるのは、もちろんテレビ局だ。
スポーツの日本戦は、視聴率を稼ぎやすい時間帯に持っていこうとするし、ドラ
マの初回と最終回は視聴率が高めだから、時間を延長することも多い。
ところで、視聴率とはフツーは「世帯視聴率」を指す。視聴率10%とは、10世帯
に1世帯が見たって意味で、10人に1人ではない。仮に各世帯の2人に1人が
見たとすると、世帯視聴率10%とは「個人視聴率」5%ということになる。けれど
も、この換算は実際には困難な作業だから、10年ほど前から個人視聴率を直
接調査するようになった。要するに広告主の要請であって、例えば化粧品のCM
なら、若い女性がよく見る番組を望むのは当然のこと。記事には面白いデータ
が載っていて、世帯視聴率と「独身OL視聴率」とが全く違ってることを示す具体
例が示されていた。
一方、個人視聴率にも問題がある。そもそも調査対象は関東・関西・名古屋で
各600世帯だけ。この中でさらに年齢や職業を絞ると、サンプル数が少なすぎ
て精度が落ちてしまう。けれども、調査世帯を増やすと費用が増してしまう。
☆ ☆ ☆
続いて、12月5日の『視聴率のふしぎ(中)』には、CM収入のないNHKでも視
聴率を気にしてる話が載っていた。民放みたいな高視聴率祝いの張り紙こそな
いものの、各局の番組の視聴率が書き込まれたB4の紙が毎朝配られるらしい。
また、「毎分ごとの視聴率と個人視聴率を参考に、番組意図と整合しているかみ
て、次の番組に生かしています」と語るプロデューサーも登場。岡田円治局長は
「唯一で最大の指標・・・無視して番組を作れば独善に陥りかねない」と話してる。
海老沢前会長の拡大路線とともに、視聴率重視の姿勢を強めたといわれて
るとの事。紅白歌合戦のような看板番組でなくても、普段から自局の放送の中
で番組CMを流す時間が増えている。もちろん、「数字があまり期待できなくても、
意義のある番組なら」という、公共放送らしい発言もある。例えば『女性のうつ』
を扱った番組は視聴率5.7%だったが、反響が2千件以上寄せられたらしい。
とは言え、全体的に見ると、やはり視聴率を気にしてるのは間違いなさそうだ。。
☆ ☆ ☆
最後に、6日の『視聴率のふしぎ(下)』では、「視聴質」と、テレビ視聴方法の多
様化の問題が取り上げられている。
視聴率は、見てるか見てないかを示すだけだが、視聴質は見る時の理由・集中
度・満足度などを指す言葉。NHKとか、看板番組を持ってる企業にとっては特
に重要な指標だろう。テレ朝では97年から他局の番組も含めてネット調査を行っ
てるとのこと。
一方、テレビ視聴方法の多様化は、録画の増加とデジタル化が中心になっても
たらされたもの。録画状況のデータも調査で記録できるものの、再生されたかど
うか分からないし、再生してもCMを飛ばしてる可能性が高いから、視聴率には
加えてない、とビデオリサーチ社。また、1700万台もの受信機が普及してるBS
デジタルは、なぜか大雑把なデータしか明らかにしてないらしいし(数値が低すぎ
るからだろう・・)、地上デジタル放送への移行と共に広がるであろう「ワンセグ放
送」の携帯による視聴も、全く対応できてない。
さらに、デジタルの代表と言えばパソコン。最近はパソコンでテレビを見る人も増
えてるはずだ。私も最近チューナー内蔵PCを買ってからは、PCで見たり録画し
たりする事が増えてて、その便利さを実感しているが、もちろん視聴率には反映
されてない。話題のYouTubeへのビデオ投稿なんてのも、今現在は著作権侵害
などで違法扱いなんだろうけど、Googleが2000億円も出して買収したくらいだ
から、今後どうなるかは分からない。好きな番組が何でもタダで簡単に見れるの
なら、みんな使いたがるだろうけど、視聴率は計れないはずだ。代わりにアクセス
数や視聴時間でも調べることになるんだろうか。。。
☆ ☆ ☆
様々な問題のある視聴率だが、研究や改良を重ねながら、まだしばらくは絶対
的権力を持ち続けるのは間違いない。この記事は、単に新聞記事に触発された
軽いものに過ぎないけど、今後も視聴率には関心を持ち続けることになるだろう。
もちろん、人気番組を見ることで話題性や安心感を手に入れるためとか、好きな
番組の数値に一喜一憂するためではなく、テレビ番組を構成する重要な外的要
素の1つとして。。
P.S.参考までに、ウチが扱ってきたドラマの平均視聴率を挙げておこう。
高視聴率のものが一つもないのが笑える。。(^^ゞ 少なくとも野ブタは、
ドラマの出来もいいし、キャストも人気アイドルが揃ってるし(亀梨和也・
山下智久・堀北真希)、土9で原作も売れてるんだから、20%行っても
良かったと思うけどネ。主題歌の「青春アミーゴ」(修二と彰)もミリオン
セラーだったのに、これこそ「視聴率のふしぎ」だな。。
ちなみにウチの記事のアクセス数では、野ブタとギャルサーが断トツ☆
ひと恋も健闘してるけど、追いつけそうもない。。
野ブタ。をプロデュース 16.9%
白夜行 12.3%
けものみち 14.7%
輪舞曲 15.5%
氷壁 7.9%
ギャルサー 12.9%
クロサギ 15.7%
医龍 14.8%
サプリ 14.2%
タイヨウのうた 10.3%
僕の歩く道 17.8%(第9話まで)
セーラー服と機関銃 13.3%
たったひとつの恋 11.3%(第8話まで)
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