『華麗なる一族』第3話、ドラマと原作の比較
今期、ドラマ記事の新企画として始めた、各回ごとのドラマと原作の比較。今の
ところ、予想以上のアクセスを頂いてる。第1話の比較記事は、Yahoo!の順
位が高かったおかげで飛びぬけたアクセスになってるが、第2話もそれなりに
健闘している。読者の反応以上に強調すべきなのは、書いてる自分が面白い
こと♪ 当初の目論見通り、ドラマとは何なのかという点が非常に具体的に分
かって来て、ドラマそのものと同じくらい面白い。毎週ドラマ記事を2本も書くの
は時間的にキツイんだけど、今週も最低限のことは書いておこう。
ただし時間の関係で、原作の特徴を箇条書きするに留める。いつものように、
ドラマと原作はキレイに対応してないものの、大雑把に言うなら、第3話に対応
する山崎豊子原作の箇所は、上巻p.434~p.524。こうして見ると、ドラマ
の進行ペースは順調なものだ。ちなみに、もう一度念のために書いておくと、原
作のこれ以降の部分はわざと読んでない。あくまで、ドラマの後追いで少しずつ
読んで記事を書くことで、いわゆるネタバレ(狭義)を回避しているわけだ。
☆ ☆ ☆
①万俵鉄平(木村拓哉)が相子(鈴木京香)を跳ね除けて、大介(北大路欣也)
が鉄平を平手打ちするシーンはない。
②期限までに追加融資(原作では10%、18億)を得られないと高炉建設は断
念、という話はない。ドラマはここで、鉄平の切迫感を増すと共に、阪神特殊
製鋼の石川社長を登場させたかったのだろう(鉄平は専務)。
③鉄平の金策に、銭高(西村雅彦)は付いて来てない。したがって、銭高をネ
ガティブに、鉄平をポジティブに描くことはしていない。
④銀平(山本耕史)と万樹子(山田優)のお見合い場所は、ヴィラ舞子浜でなく
ヴィラ・舞子。この時、大介が銀平に、私のものは全て譲るとか、お前は私の
血をひいた息子だなどとはいうシーンはない(第2話対応箇所のラストにそう
ゆう話が少しある)。銀平が大介似で、鉄平が敬介似、なんて会話もない。
⑤大介は角田支店長をにらんでないどころか、むしろ支店長たち全体をねぎらっ
てて、角田も感激している(第2話対応箇所)。ただし、結局そのねぎらいがプ
レッシャーになってるという話がやがて登場する。角田支店長の死に関しては、
他行との激しい競争とか、預金者側(農家)のしたたかな計算とかの関与も強
調されている。
⑥阪神銀行の合併目標は、三栄銀行じゃなくて第三銀行(ただし7位の銀行と
いう点は共通)。この第三銀行は、阪神特殊製鋼の追加融資とは関わってい
ない。したがって、鉄平の妻・早苗(長谷川京子)の父・大川一郎(西田敏行)
が、この銀行に紹介状を書いて融資への圧力をかけるという話もない。
⑦融資に行き詰った鉄平が原点回帰する話はない。つまり、東大の研究室も
表彰状も、アパートも芙佐子(稲森いずみ)も出てこない。代わりに、鉄平は
つる乃家で女将(多岐川裕美)や芸者らを相手に気晴らしする。ドラマは鉄
平と芙佐子の恋愛を描く前提で作ってるので、その点を考慮するなら、あの
強引さは許容範囲だし、錆びるんじゃないぞ、鉄平とかいう台詞も悪くない。
ただし、表彰状を2枚並べて「義肢」まで持ち出すのは演出過剰。
⑧三雲(柳葉敏郎)と鉄平の雉打ちシーンはない。当然、イノシシも登場しない。
ドラマでは最初から唐突に「ずいぶん杜撰(ズサン)な仕事ですね」という三雲
の台詞が登場するが、原作ではまず鉄平が高炉計画に計算ミスがあったと
ウソを言って、三雲が「技術者のあなたにしては、杜撰過ぎますね」と応答する。
この辺り、ドラマは編集段階でズサンな仕事をしてしまったのかも知れない。
なお、大同銀行の融資はドラマと同じく10億だが、ドラマとは違ってメインバン
ク・阪神銀行の融資を超えることになる。ちなみに残りの8億は「協調融資銀行
と新規の生命保険会社で少しずつ都合出来た」とだけ書かれている。
⑨敬介の幻は登場していない。したがって、大介に対して鉄平の才能を言い聞
かせることもない。これも含めて、鉄平のヒーロー扱いとか、敬介との関わり
に関するドラマの描写は奇妙なほど過剰だ。なお、原作では将軍も出てない。
⑩銀平が結婚を決意したのは、角田支店長の死とか弔い合戦とかいうような
話とは関係ない。第1話対応箇所で、他人事のようにいつの間にか承認して
いる。また、万樹子が銀平を平手打ちするシーンはない。「いい家庭を」とい
う話に関しては、銀平の心理の説明が短く書かれている。
⑪ドラマラストの、鉄平専務の大演説とか歓声などというものは、当然ない。。
☆ ☆ ☆
今週はここまで。時間が許せば、また来週末に。。☆彡
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