『華麗なる一族』第4話、ドラマと原作の比較
やっと4本終了か。。各回ごとの比較という新企画、前回書いたように、アクセ
スもあるし書いてて面白いんだけど、結構大変な作業だ。しかも、回を重ねるご
とにどんどん大変になって来た。と言うのも、ドラマと原作はキレイに対応してな
いから、比較をする際には原作のかなり前の方まで遡ってチェックすることにな
るからだ。時間とやる気があれば、大学の卒業論文くらいは簡単に書けてしま
うだろう。頑張れば修士論文でもいけそう。文系学生の皆さん、如何?♪
☆ ☆ ☆
では今週も、原作がドラマと違ってる部分の箇条書きで済ませたい。第4話と対
応する山崎豊子原作の箇所は、無理を承知であえて言うなら、上巻p.524~
中巻p.94だ。要するに、敬介の法要まで。
①三栄銀行・向井副頭取から大川一郎(西田敏行)への不正献金は、第三銀
行・瀬川副頭取から自由党・田淵幹事長への不正献金となっている。正確に
は、女性問題で脅された副頭取が総会屋に不正融資し、その金が田淵幹事
長や自由党に流れたという話で、黒幕(フィクサー)の関与も書かれてるし、毎
朝新聞へのリークの詳細まで書かれている。さすがにドラマでは、単純化せざ
るを得なかっただろう。大川を持ち出したドラマは、ある意味で複雑化したわ
けだが、登場する人物や金の流れの面で単純化されている。そもそも原作で
は、自由党の永田大蔵大臣(津川雅彦)も他人事ではないわけだ。
ちなみに、大介(北大路欣也)に情報をもたらしたのは、ドラマでは万樹子の
父・安田と美馬(仲村トオル)だが、原作では美馬の代わりに情報収集係の芥
川が大活躍する。これについても、ドラマの単純化は理解できる。
②ベアリング社との契約は、ドラマほど華やかな出来事ではなく、一つのビジ
ネスの成功にすぎない。要するにドラマは、あらゆる機会をとらえて、万俵鉄
平(木村拓哉)をヒーローに仕立て上げようとしている。
③第3話ラストの鉄平の勇ましい演説シーンに少し似た話は、第3話対応箇
所に登場している。ただし、高炉の鍬入式だから、第3話の記事には書け
なかった(第3話は鍬入式の前まで)。鉄平の挨拶の後に従業員代表たち
が感動して出迎えるのだが、挨拶は普通の地味な内容だし、従業員も大
勢いるわけではない。
④銀平(山本耕史)・万樹子(山田優)の披露宴での揉め事は、第3話対応箇
所にあった。大介は、気に入らなければ鉄平が遠慮すれば、とまでは言っ
てない。代わりに母・寧子(原田美枝子)が相子(鈴木京香)の味方をする。
寧子の複雑な思いが、ドラマより丁寧に描かれている。
⑤出荷の揉め事。鉄平と船積み作業員とのやり取りは、第2話対応箇所の最
後辺りに出ていた。ただし、殴られるどころか一喝して終わりという感じのあっ
さりしたもの。このシーンに関しては、ドラマはある程度評価できる。
⑥前に少しだけ触れたが、二子(相武紗季)が阪神特殊鋼(ドラマでは製鋼)を
訪れるシーンが、第3話対応箇所に登場していた(ドラマでは第2話)。この時、
二子は二年ぶりに一之瀬四々彦(成宮寛貴)と再会し、社会人として立派に
なった姿に初めて好印象を持つ。
一方、二子の閨閥結婚話については、今回の対応箇所に注目すべき会話
がある。ドラマとは逆に、鉄平は「いいじゃないか」という感じの反応を示して、
二子は不満を示しているのだ。このとき鉄平は、二子が結婚相手として四々
彦を考えてることを感じ取る。ここでもやはり、ドラマと違って、鉄平は素晴ら
しいヒーローではなく、もっとリアルで自然に描かれている。
⑦第一製鋼からの銑鉄供給が、帝国製鉄と通産省の圧力でストップするとい
う話はない。ドラマは恐らく、元通産大臣・大川の鉄平に対する愛情を表現し
たかったのだろう。原作にはそもそも、大川の話はほとんど出てない。また、
鉄平が通産省に直接抗議するという話がないのだから、将軍も雷も路面電
車も当然出てこない。
⑧万樹子は、相子がテーブルの下で大介と足を絡ませるのを見るより先に、
別の衝撃的なものを見ている。ネタバレの恐れがあるのでここでは書かない。
⑨ドラマでは全く冴えないチョイ役だった大蔵省・春田銀行局長は、もっと官僚
らしく描かれている。
⑩美馬は元から、大川が嫌いだったことになっている。あくが強く政敵が多い
大川と親戚であることは、官僚として迷惑だという設定だ。大川を裏切ると
いうドラマの設定は、この点において無理がないものだ。
⑪敬介の17回忌(ドラマは13回忌)には、何も揉め事は起きてない。
☆ ☆ ☆
あんまし見直してないけど、眠いのでこの辺で。。☆彡 (また朝かよ・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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