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『華麗なる一族』第5話、ドラマと原作の比較

やっと折返し地点まで到着か。マラソンはここからの復路が勝負。各回ごとの

比較っていうこの新企画をいつまで続けられるか、怪しい雲行きになって来た。

まあ、東京マラソンみたいに冬の雨ってわけでもないけどネ。寒そうだよなぁ。。

            

          ☆          ☆          ☆ 

さて、第5話と対応する山崎豊子原作の箇所は、大雑把に言って中巻p.94

~p.305。祖父・敬介の法要の後から、ベアリング社のキャンセル通知まで。

今週も、原作がドラマと違う点を箇条書きしてみよう。初めて読む人のために

もう一度書いておくと、私はドラマの進行にほぼ合わせて読んでるので、原作

の先の話は知らない。だから、いわゆるネタバレ、つまりドラマの先取り話もウ

チの記事にはない。ただし、結末のポイントだけはウッカリ知ってしまった。。

      

鉄平(木村拓哉)による大介(北大路欣也)の誤射の描き方が、ドラマに比べ

 るとそれなりに納得できるものになっている。ドラマではとても誤射とは思えな

 いので、私は第5話のドラマ記事とコメント応答の中で、ハッキリした理由と共

 に、大介の演技説を主張した。そこで一番言いたかった事は、総合的に見て

 誤射は絶対あり得ないという事であって、あの非常に変なシーンを仕方なく解

 釈するなら演技としか考えられないという話だ。

     

 ところが原作を読むと、一応あり得る話にちゃんとなっている! ポイントを4

 つ列挙してみよう。

    

  1.鉄平はふと飛び立った雉に反射的に発砲して、「危ない! 頭取が!」

    という警告まで受けている(ドラマでは10秒も狙った末の発砲)。

  2.父親は数メートル先(ドラマは数十メートルも先)で、偶然の誤射の確率

    が数学的に百倍前後となる(10倍の2乗という意味)。

  3.鉄平はただちに大介のもとに駆け寄って抱き起こしてるし、後で「ほんと

    うに私の不注意でした、どうかお許し下さい」と謝罪している。退席する直

    前にも、再び自分の非を認めている。大介も、不満と不審をあらわにしな

    がらも、「殺そうとしたのか?」なんて極端なことまでは言ってない。

  4.そもそも弾は当たってないので、大介は血を流していない。耳元をかすめ

    て、鼓膜がショックを受けて倒れただけ。これも考慮すると、現実的可能

    性はドラマの数千倍か数万倍にはなる。当然、包帯も絆創膏も無関係。

       

 以上の4点から、原作の場合には誤射の可能性を認めてもよい。

 なお、原作では雉打ちの直前に、正月の朝焼けは不吉だという話が登場す

 る。ドラマでは説明抜きで、不自然な朝焼けのCG(?)が僅かに映っていた。

    

②銀行の合併話がそれなりに納得できるものになっている。大蔵省が色んな

 可能性を模索する中で、自分たちの影響力を保てる程度のほどよい合併規

 模を考案したってことだ。分かりやすく言うと弱者連合。これを美馬(仲村トオ

 ル)がチクった時、阪神銀行頭取で「小が大を食う」合併を狙う大介は、当然

 激怒している。ドラマでは、銀平が少し疑問を口にしただけだった。

    

相子(鈴木京香)と弟の話は、遥か前の第2話対応箇所でわりと詳しく書かれ

 ている(上巻p.348-366)。偶然の手助けはあったものの、あくまで相子の

 方から弟に会いに言ってるし、ドラマと比べると多少ほのぼのとしたやり取りに

 なっていて、相子の心の内も書かれている。ただし、ドラマのような相子と鉄平

 のやり取りはない。

    

芙佐子(稲森いずみ)に対する鉄平のほのかな思いがようやく登場した。た

 だし、芙佐子は昔の恋人ではなく、つる乃屋の若女将。ドラマが前から匂わ

 せていた、芙佐子の出生の秘密に関する話も登場。

    

⑤不正融資問題が大川一郎(西田敏行)と無関係なので、鉄平が情報をリー

 クした犯人を追求することはない。そのため、ドラマ冒頭の三雲(柳葉敏郎)

 平(山本耕史)とのやり取りもないし、一子(吹石一恵)がチクることもな

 い。もちろん、大川の葬儀を大介がゴルフで中座して、鉄平と早苗が激怒す

 るなんて子供じみた話もない。

      

万樹子(山田優)が相子の寝室を見たのは、第4話対応箇所。相子に見つ

 かった万樹子は衝撃で何も言えない状態。したがって、「お妾じゃない!」

 言って相子に平手打ちされるドラマのやり取りはない。また、寧子(原田美枝

 子)が相子に叱られることもない。

    

二子(相武紗季)の閨閥結婚相手は、細川一也。ドラマは佐橋和也という

 名前に変えることで、佐橋総理の甥であることを分かりやすくしている。

     

⑧ベアリング社のキャンセルは、営業担当の常務が電話で鉄平に伝えている。

 ドラマは、四々彦(成宮寛貴)が直接伝えた。どうでもいいような細かい部分

 だけど、脚本のこの工夫はうなづけるものだ。誰が伝えてもいい話だから、

 そこそこ存在感がある脇役を登場させとくのはいい事だろう。。

         

          ☆          ☆          ☆

あ~~しんど。。それでは、時間と気力が許せばまた来週末に。。☆彡

    

           

cf.夢見る息子vs現実を見る父~『華麗なる一族』第1話

   鉄平と大介の心理分析~『華麗なる一族』第1話補足

   『華麗なる一族』第1話、ドラマと原作の比較

   無言で泳ぎ去った将軍~『華麗なる一族』第2話

   『華麗なる一族』第2話、ドラマと原作の比較

   腰を抜かした理想主義者たち~『華麗なる一族』第3話

   『華麗なる一族』第3話、ドラマと原作の比較

   理性を翻弄するものの次元~『華麗なる一族』第4話

   『華麗なる一族』第4話、ドラマと原作の比較

   多様なバランスの饗宴~『華麗なる一族』第5話

   鉄平と大介、2人のデスペラード~『華麗なる一族』第6話

   星に願いを~『華麗なる一族』第7話

   『華麗なる一族』第7話、ドラマと原作の比較

   死と再生~『華麗なる一族』第8話

   『華麗なる一族』第8話、ドラマと原作の比較

   大切に守りたいもの~『華麗なる一族』第9話

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   なぜ明日の太陽を見ないのか~『華麗なる一族』最終回

   『華麗なる一族』最終回、ドラマと原作の比較

            

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   『華麗なる一族』最終回、鉄平の手紙と遺言

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