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『華麗なる一族』第8話、ドラマと原作の比較

『華麗』終了後、早くも一週間が経過。今さら第8話の記事かよ!と自分で突っ

込んでしまうけど、むしろ逆に、今さら後には引けない。確かに、投資するパワー

を読者の反応で回収できるあてはない。でも、阪神特殊製鋼に対する大同銀行

の融資とは違って、ズルズルと原作記事を続けても、ウチがよそのブログに吸

収合併されることはないだろう。

エッ、こんな所、誰も欲しがらないって? あっ、そう♪

        

          ☆          ☆          ☆

さて、第8話と対応する山崎豊子原作の箇所は、非常に大雑把に言って、下巻

p.35~p.300。爆発後の事故処理委員会から、更正開始後の告訴取り下げ

の前まで。ドラマも原作も内容豊富な部分だ。

いつものように、原作がドラマと違う部分を箇条書きにしてみよう。ネタバレの心

配は既に無くなったものの、今まで通り、ドラマで第8話までに出てない話はまだ

原作記事には書かない。

    

鉄平(木村拓哉)の出生の秘密が「明かされる」シーンはないが、その代わり

 として、鉄平が大介に問い詰めるシーンがある。

   

    「阪神特殊鋼を意図的に経営不振に陥れたその意図の中に、僕の

    出生が、かかわっているのではないでしょうか」

    そう云った途端、端正な大介の顔が一瞬、醜く歪んだ。

    「お父さん、僕はあなたの子供ではなく、祖父と母との──」

    「黙れ! 鉄平──」

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「今の僕の問いに、答えて下さい。」

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「鉄平、お前は、万俵大介の長男だ──、それ以外の何ものでもない」

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    鉄平には、もはや父の応えは要らなかった。そして万俵大介を骨肉の父

    として考えることが、はるか真実に遠いことのように思われた。

     

 結局、原作ではどちらの子なのか曖昧なまま、宙吊り状態で結末を迎えるの

 だ。「万俵大介の長男」であることと、大介の実の子であることとは全く別の話。

 ドラマでは、まず女将(多岐川裕美)の手紙を受けて、鉄平が敬介の血液型を

 調べたものの、ハッキリせず。さらに鉄平は、家族の前で母・寧子(原田美枝

 子)を厳しく問い詰め、寧子は泣きながら謝罪。鉄平が敬介の子であることを

 暗に認めて、鉄平と大介(北大路欣也)の対立は決定的に。

    

 鉄平を産んだ母が暗に認めるなんてのはかなり不自然だし人騒がせで、ネッ

 ト上でも不評だったと思う。ただ、話としては原作より分かりやすくなってて、最

 後のやっぱり大介の子供ってオチの効果を高める形になっている。

 ま、実際はバレバレだったけどネ♪

       

②ドラマでは前から出てた「マシュマロ」って話がようやく登場する。箱根で永田

 大蔵大臣(津川雅彦)との会談を終えた後の大介のもとへ相子(鈴木京香)

 が登場。抱かれた後の相子が、余韻に浸りつつ足をからませると、相手にさ

 れなかったので、嫉妬気味につぶやく。

   

    「やはり足は、纏足のように小さくて白い寧子さんの方なのね」

    湿った声で相子が云った途端、大介の胸にふと、亡父が公卿の

    女の手足はましゅまろのように白く柔らかいということだな、と云っ

    た言葉が思い出され、そこに自分の新妻を犯す脂ぎった亡父の

    顔が浮かび上がり、その亡き父の顔に、明後日、最後の引導を

    渡す鉄平の顔が重なり合った。

         

③大介と永田の会談における、2つの石(鞍馬石と秩父石)の話。前年の山荘

 新築の際、大介は永田にお祝いとして鞍馬石(200万~300万円)を贈って

 た。だから、もう2つくらい欲しいとかいう永田の言葉は更なる賄賂要求にな

 るのだ。

 ドラマでは新築祝いの話が省略されてたから、どうして賄賂の要求を意味し

 てるのか分かりにくかった。ただし、ドラマだけでなく原作においても、どうし

 て2「億円」というケタの話まで分かるのかという事までは、説明していない。

 この世界での相場ってもんかな。。

    

阪神特殊鋼(ドラマでは阪神特殊製鋼)が、いわゆる倒産(銀行取引停止、会

 社更生法の申請と適用)に至る経緯は、ドラマと違って非常に詳しい。さすが、

 原作者・山崎豊子が必死に勉強しただけの事はある。実は、その詳しい説明

 をここで解読するか、あるいは別の単独記事にまとめようと思ってたんだけど、

 時間が無くなってしまった。しばらく後で、何らかの形で書きたいとは思ってる

 ものの、実現するかどうか怪しい。

    

 差し当たり一言だけ、ドラマとの決定的違いを挙げとこう。原作では、阪神特

 殊鋼が資金繰りに困る中で、不運も重なって、不渡り手形を出してしまうのだ。

 「不渡り手形って何?」っていう人はウチの読者には少ないと思うけど、分かり

 やすく大胆に言い換えれば、たまたま借金の返済が期限に間に合わなかったっ

 てこと。するとその情報が周囲にすぐ伝わって、一気に立場が苦しくなるのだ。

 あそこはもうダメだなって思われてしまう。ちなみに、不渡り手形は2回出してし

 まうと銀行取引停止で倒産するハメになる。

         

⑤「亡霊」という言葉は、大介が鉄平に向けて言ったもの。会社を助けてくれと

 縋り付く鉄平に対して、大介が怒鳴りつける。

   

    「女々しいぞ、鉄平、いつまで祖父の亡霊に取り憑かれているのか!」

    思いがけない言葉が浴びせられた。鉄平は愕然とし、父の背後の壁

    に掛っている自分と瓜二つの先代、万俵敬介の肖像写真を見上げた。

    その途端、鉄平の心の奥底に残っていた父に対する肉親の絆が、ぷ

    つんと切れる思いがした。

    「お父さん、あなたは──」

    あとは言葉にならず、全身を戦慄かせて父を凝視した。

    

 ドラマでは、鉄平が敬介の子供らしいと分かったあと、銀平(山本耕史)が冷

 たくシニカルに「やっと分かりましたね。この家に取り憑いている、亡霊の正

 体が」と語っていた。

    

⑥銀平は、大同銀行を吸収合併する計画について、大介からようやく知らされた。

 大事な時期で、筆頭株主・安田の機嫌を損ねるとまずいから、娘の万樹子(山

 田優)を早く実家に迎えに行け、と促すのだ。

 ドラマでは、銀平は遥か前から計画を知ってて、おまけに鉄平とも仲がいいの

 に、黙ったままチクらないという、非常に不自然な流れになっていた。

    

阪神銀行に対する民事提訴は、鉄平が一人で決定して、弁護士・倉石(萩原

 聖人)のアドバイスにしたがって、阪神特殊鋼専務の立場で行うことになった。

 この提訴には、特殊鋼の石川社長も驚いて、あわてて義兄の大介のもとへ相

 談に行っている。

 ドラマでは、特殊鋼の臨時取締役会で提訴を決定。反対は銭高一人で、鉄平

 が勝手にメチャクチャやってるという印象は無い。さらに、倉石の事務所には

 『義を見てせざるは勇無きなり」という貼り紙が大きく掲げられてて、鉄平と倉

 石の2人を上に持ち上げていた。

    

⑧閨閥結婚の話が着々と進む中、二子(相武紗季)は再び自分から四々彦(成

 宮寛貴)にプロポーズっぽい言葉をかけると共に、大介に直接抗議している。

 でも、大介は全く相手にしていない。また、前回の原作記事にも書いたけど、

 二子と万樹子がドラマよりも上手く重ね合わされている。閨閥結婚に苦しむ同

 い年の女性として。

   

⑨ドラマでは第7話で、大介が綿貫(笑福亭鶴瓶)に密約の証書として、「御高配

 多謝 御約束厳守」と裏書きされた名刺を渡していた。原作では8話対応箇所

 に登場して、その後の合併話にちゃんとつながっている。ただし、渡したのは

 大介じゃなくて芥川で、渋々仕方なくって感じだった。

           

          ☆          ☆          ☆

あと2話か。。こうなったら、もう意地だな♪

おそらく、See you later!☆彡

    

           

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cf.夢見る息子vs現実を見る父~『華麗なる一族』第1話

   鉄平と大介の心理分析~『華麗なる一族』第1話補足

   『華麗なる一族』第1話、ドラマと原作の比較

   無言で泳ぎ去った将軍~『華麗なる一族』第2話

   『華麗なる一族』第2話、ドラマと原作の比較

   腰を抜かした理想主義者たち~『華麗なる一族』第3話

   『華麗なる一族』第3話、ドラマと原作の比較

   理性を翻弄するものの次元~『華麗なる一族』第4話

   『華麗なる一族』第4話、ドラマと原作の比較

   多様なバランスの饗宴~『華麗なる一族』第5話

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   鉄平と大介、2人のデスペラード~『華麗なる一族』第6話

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   星に願いを~『華麗なる一族』第7話

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   死と再生~『華麗なる一族』第8話

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   なぜ明日の太陽を見ないのか~『華麗なる一族』最終回

   『華麗なる一族』最終回、ドラマと原作の比較

                 

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   冬ドラマは『華麗なる一族』で決まり!☆

   『華麗なる一族』鉄平=キムタクのモデル

   『華麗なる一族』最終回、鉄平の手紙と遺言

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